説明

吸引用器具及び流体吸引セット

【課題】吸気機構への負荷を制限でき且つ簡素な構成を有する吸引用器具及び流体吸引セットを提供すること。
【解決手段】流体Fの吸引に用いられる吸引用器具10は、流体Fが導入される導入口25及び気体が導出される導出口26が形成され、且つ内圧を調節可能な筐体20を備え、この筐体20には外気が流入可能な隙間Gが形成されており、内圧の低減幅が制限される。筐体20は、開放口24が形成された略箱状の本体21と、開放口24を略被覆する被覆体23と、を有し、隙間Gが本体21と被覆体23との間に形成されることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の吸引に用いられる吸引用器具及び流体吸引セットに関する。
【背景技術】
【0002】
流体を用いる器具において、例えば痰詰まりや誤嚥を防止するべく、痰や口腔内洗浄液等の流体を吸引して回収する必要がある。そこで、流体を吸引する吸引用器具が種々開発されている(特許文献1又は2参照)。
【0003】
図5は、従来例に係る吸引用器具900の概略構成図である。図5に示されるように、吸引用器具900には、図示しない掃除機等の吸気機構に連通する吸気管927が設けられている。また、容器921の開口は被覆体923で被覆されたうえで、更に接合部材924によって密に閉じられており、この結果、容器921の内部空間は完全に密閉されている。このため、吸気機構を稼動させると、容器921の内圧が低減し、痰や洗浄液等の流体Fが連通管925を介して容器921に導入されることになる。導入された流体Fは容器921内に貯留され、適宜の時点で廃棄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−277064号公報
【特許文献2】特開平9−308641号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の吸引用器具900では、吸気機構への負荷が過大になり、結果的に吸気機構が破損しやすい。ここで、容器921に内圧を調節する弁や、吸気機構の吸引圧の制限機構を別途設けることで、吸気機構への負荷を制限することが考えられるが、部品点数の増加による製造コスト増や、携帯性の悪化が問題である。
【0006】
本発明は、以上の実情に鑑みてなされたものであり、吸気機構への負荷を制限でき且つ簡素な構成を有する吸引用器具及び流体吸引セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、隙間を形成して筐体の内部空間を不完全に密閉することで、内圧の低減幅が容易に制限されることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0008】
(1) 流体の吸引に用いられる吸引用器具であって、
流体が導入される導入口及び気体が導出される導出口が形成され、且つ内圧を調節可能な筐体を備え、
前記筐体には外気が流入可能な隙間が形成されており、内圧の低減幅が制限される吸引用器具。
【0009】
(1)の発明によれば、隙間から外気が流入して筐体の内圧の低減幅が制限されるため、内圧の過度な低下が抑制され、吸気機構への負荷を制限できる。また、かかる効果は、隙間を形成して筐体の内部空間の密閉性を不完全化するだけという簡素な構成で奏される。なお、食物のような固形物と異なり、流体は、筐体の密閉が不完全であっても充分に吸引できる。
【0010】
(2) 前記筐体は、開放口が形成された略箱状の本体と、前記開放口を略被覆する被覆体と、を有し、
前記隙間は、前記本体と被覆体との間に形成される(1)記載の吸引用器具。
【0011】
(2)の発明によれば、隙間が開放口を被覆体で不完全に被覆するだけで形成されるので、構成をより簡素化できる。
【0012】
(3) 前記筐体は、光の透過を抑制する透過抑制層を有する(1)又は(2)記載の吸引用器具。
【0013】
流体が口腔内洗浄後の洗浄液や痰等である場合、それを視認した者に強い不快感を催させる。
しかし(3)の発明によれば、透過抑制層により筐体内部の視認が阻害されるため、筐体内部に貯留された流体に伴う不快感を抑制できる。
【0014】
(4) 前記筐体の内部に着脱可能に配置され、前記導入口から導入された流体を収容する収容容器を更に備え、
前記筐体には開閉可能な取出口が形成され、この取出口を介して前記収容容器が取り出される(1)から(3)いずれか記載の吸引用器具。
【0015】
(4)の発明によれば、流体が収容容器に収容されるため、流体を廃棄する際には、筐体から収容容器のみを離脱して、廃棄又は洗浄した後に再利用できる。このため、継続使用コストの削減を期待できる。
【0016】
また、導入部材や導出部材等が連結される筐体に比べ、収容容器は流体を収容する機能を備えてさえいればよく、構造を簡素化可能であるため、洗浄を容易且つ充分に行うことができる。
【0017】
(5) 前記収容容器を位置決めする位置決め部材を更に備える(4)記載の吸引用器具。
【0018】
収容容器の位置が不安定であると、導入口からの流体が収容容器へと導入されなかったり、携帯時等の振動の影響で、収容された流体が収容容器外へと溢れ出したりするおそれがある。
しかし(5)の発明によれば、収容容器が位置決めされるので、流体の収容を確実に行うことができる。
【0019】
(6) 前記位置決め部材は、前記収容容器を前記導出口から離間した箇所に位置決めする(5)記載の吸引用器具。
【0020】
気体の導出に伴い、収容容器が導出口へと引き寄せられる。これにより、導出口へと流れる気体の流路が過度に狭まると、騒音が大きくなることが懸念される。
しかし(6)の発明によれば、収容容器が導出口から離間した箇所に位置決めされるので、気体の流路が確保される。これにより、騒音の発生を抑制できる。
【0021】
(7) 前記収容容器と前記導出口との距離は、前記導出口の径よりも大きい(6)記載の吸引用器具。
【0022】
(7)の発明によれば、収容容器と導出口との距離が導出口の径よりも大きいので、導出口への気体の流れが気体導出速度のボトルネックにはなりにくい。このため、導出口の径を適宜設定することで、気体導出速度を適切に制御でき、吸引力に対する気体導出効率を向上できる。
【0023】
(8) 前記収容容器の内部には、前記流体を増粘する増粘剤が配置されている(4)から(7)いずれか記載の吸引用器具。
【0024】
(8)の発明によれば、収容容器に収容された流体が増粘されるので、流体が収容容器から溢れ出すといった事態をより確実に抑制できる。
【0025】
(9) (1)から(8)いずれか記載の吸引用器具と、流体を吸引して前記導入口へと供給する流体吸引器と、を備える流体吸引キット。
【0026】
(10) 前記流体吸引器は、口腔内に接触される清掃ブラシと、この清掃ブラシを支持する柄部と、前記清掃ブラシに洗浄流体を供給する流体供給部と、前記洗浄流体を回収する流体回収部と、この流体回収部を前記導出口へ連通させる連通管と、を有する口腔内洗浄器具である(9)記載の流体吸引セット。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、隙間から外気が流入して筐体の内圧の低減幅が制限されるため、内圧の過度な低下が抑制され、吸気機構への負荷を制限できる。また、かかる効果は、隙間を形成して筐体の内部空間の密閉性を不完全化するだけという簡素な構成で奏される。なお、食物のような固形物と異なり、流体は、筐体の密閉が不完全であっても充分に吸引できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る吸引用器具の概略構成図である。
【図2】図1の吸引用器具のII−II線断面図である。
【図3】図1の吸引用器具に流体を供給する流体吸引器の一例を示す図である。
【図4】図3の流体吸引器のIV−IV線断面図である。
【図5】従来例に係る吸引用器具の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
<吸引用器具>
図1は本発明の一実施形態に係る吸引用器具10の概略構成図である。図2は図1の吸引用器具10のII−II線断面図である。図1に示されるように、吸引用器具10は筐体20を備え、この筐体20には、流体Fが導入される導入口25、及び気体が導出される導出口26が形成され、筐体20は内圧を調節可能である。
【0031】
導出口26には、導出接続部27に接続された導出パイプPを介して、図示しない吸引機構(例えば掃除機)へと連通され、これにより、吸引機構を稼動することで、筐体20の内圧を低下できる。ここで、導入口25は、導入接続部29を介して後述の連通管57に接続されていて、この連通管57を介して流体源へと連通されている。このため、筐体20の内圧が低下すると、流体Fが導入口25から筐体20の内部へと導入されることになる。
【0032】
ここで、筐体20の内圧が過度に低下すると、吸引機構への負荷が過大になり、吸引機構が損傷しやすい。しかし、本発明においては、筐体20に外気が流入可能な隙間Gが形成されている。これにより、筐体20の内圧が低減するにつれ、隙間Gから外気が流入して内圧の低減幅が制限されるため、吸引機構への吸気機構への負荷を制限できる。また、かかる効果は、隙間Gを形成して筐体20の内部空間の密閉性を不完全化するだけという簡素な構成で奏される。
【0033】
なお、筐体20の内圧の低減幅が制限されると、導入口25からの流体の吸引力の上限も制限されることになる。しかし、食物のような固形物と異なり、流体は粘性が比較的低いので、充分に吸引できる。つまり、本発明は、吸引力の向上を追及してきた従来技術の常識を覆し、流体の吸引にとっては不必要に高い吸引力を敢えて低減することで、流体の充分な吸引と、吸引機構への負荷の制限という利点を兼ね備えたものである。
【0034】
本発明において吸引する流体は、液体、半固体、又は気体の1種以上であってよく、吸引機構の吸引力や耐久性等に応じて、所定の流動性を有するものの範囲で適宜選択されてよい。本実施形態の流体は、後述するように口腔内洗浄液であるが、これに限られるものではない。このように吸引用器具10を多様な流体に適用するためには、筐体20を多様な吸引機構に連通できることが有利である。そこで、導出接続部27は、本体21の外方に向けて外径が縮径する縮径部28を有している。これにより、種々の径を有する導出パイプPを縮径部28に接続することができるため、吸引用器具10の汎用性を向上できる。
【0035】
具体的に、本実施形態の筐体20は、開放口24が形成された本体21と、開放口24を略被覆する被覆体23と、を有する。そして、前述した隙間Gは、本体21と被覆体23との間に形成されている。これにより、隙間Gが開放口24を被覆体23で不完全に被覆するだけで形成されるので、構成をより簡素化できる。
【0036】
本実施形態では、隙間Gは、比較的軽量な被覆体23を本体21上に単に載置することで形成している(つまり、図6の接合部材924に相当する部材が存在しない)が、これに限られず、開放口24よりも若干小さい大きさの被覆体を用いることで形成してもよい。なお、隙間Gは、筐体20に内圧が所定値以下になると開く内圧調節弁を設けることで形成してもよいが、部品点数及び製造コストの増加の点で好ましくない。なお、内圧調節弁に比べ、本体21及び被覆体23の単なる配置によって形成される隙間G(基本的に常時形成されている)は、筐体20の内圧の低下を遅延化させるが、前述のように固体よりもはるかに流動性の高い流体Fを吸引する場合には特に問題にならない。
【0037】
本実施形態の吸引用器具10は、筐体20の内部に着脱可能に配置された収容容器30を更に備え、この収容容器30は導入口25から導入された流体Fを収容する。そして、筐体20には開閉可能な取出口(本実施形態では開放口24と共通する)が形成されているため、この取出口を介して収容容器30が取り出される。これにより、流体Fが収容容器30に収容されるため、流体Fを廃棄する際には、筐体20から収容容器30のみを離脱して、廃棄又は洗浄した後に再利用できる。このため、継続使用コストの削減を期待できる。また、連通管57や導出パイプPが連結される筐体20に比べ、収容容器30は流体Fを収容する機能を備えてさえいればよく、構造を簡素化可能であるため、洗浄を容易且つ充分に行うことができる。なお、取出口は、開放口24と共通しなくてもよく、開放口24とは別に形成されていてもよい。
【0038】
本実施形態では、開放口24は本体21の上面に形成されているため、被覆体23も本体21の上面を覆うように配置されている。かかる被覆体23に導入口25が形成されているため、流体Fは導入口25から下方の本体21へと落下して導入されることになる。ただし、開放口の位置は、本体21の上面に限られず、本体21の側面又は底面であってもよい。また、本実施形態における開放口24は、本体21の上面全体に形成されているが、本体21の上面の一部であってもよい。
【0039】
本実施形態では、本体21の側面211に導出口26が形成されている。この場合、導出口26が形成される位置は、高くなるにつれ、導出接続部27に接続される導出パイプPの重量により不安定になりやすく、低くなるにつれ、流体Fが吸引機構に吸引されやすく、この場合には吸引機構の故障を招来し得る点を考慮して適宜設定されてよい。なお、導出口26は、側面211に限られず、本体21の上面に形成されていてもよいが、本実施形態のように被覆体23が筐体20の上面に配置される場合には、重量が比較的大きい導出パイプPにより隙間Gの形成が阻害され得るため、被覆体23は筐体20の側面に形成されることが好ましい。
【0040】
上記の位置に導入口25が形成されていることに伴い、流体Fを受け止められるよう、収容容器30は導入口25の下方に配置されている。しかし、収容容器30の位置が不安定であると、導入口25からの流体Fが収容容器30へと導入されずに収容容器30の外に流失してしまったり、携帯時等の振動の影響で、収容された流体Fが収容容器30の外へと溢れ出したりするおそれがある。そこで、図1及び図2に示されるように、本実施形態の吸引用器具10は収容容器30を位置決めする位置決め部材40a,40bを更に備える。これにより、収容容器30が位置決めされるので、流体Fの収容を確実に行うことができる。
【0041】
なお、本実施形態の収容容器30は、構成の簡素化の観点で、上端に31を有し、導入口25から落下する流体Fを受け止めているが、流体Fを導入可能である限りにおいてこれに限られない。例えば、収容容器30を略箱状又は略袋状にし、その内部を管等で導入口25に連通してもよい。このような態様は、収容容器30が略密封されるため、収容容器30に収容された流体Fが溢れ出すといった事態を抑制できる。
【0042】
また、流体Fが溢れ出るといった事態に関して、収容容器30の内部に流体Fを増粘する増粘剤が配置されていることが好ましい。これにより、収容容器30に収容された流体Fが増粘されるので、流体Fが収容容器30から溢れ出すといった事態をより確実に抑制できる。この場合、収容容器30を非塩素系素材等で形成しディスポーザブルにすることで、流体Fの廃棄を容易に完了できる。
【0043】
本実施形態の位置決め部材40a,40bは収容容器30と側面211との間に介在しているため、収容容器30は、筐体20の背面213、及び位置決め部材40a,40bにより3点で支持され、極めて安定な姿勢に維持される。ただし、位置決め部材の具体的構成は、これに限られず、例えば底面215、側面211、又は被覆体23に突設されて収容容器30を係止する凸部や、収容容器30の底部もしくは側部、又は本体21の背面213もしくは底面215に配置された接着剤、面ファスナ等の接着部材も許容される。
【0044】
気体の導出に伴い、収容容器30が導出口26へと引き寄せられる。これにより、導出口26へと流れる気体の流路が過度に狭まると、騒音が大きくなることが懸念される。そこで、本実施形態の位置決め部材40a,40bは、収容容器30を導出口26から離間した箇所に位置決めする。これにより、気体の流路が確保されるので、騒音の発生を抑制できる。ただし、流体Fの流動性が極めて高い等のように気体導出速度が小さくて充分である場合には、収容容器30は導出口26に略密着していてもよい。
【0045】
ここで、収容容器30と導出口26との距離Dは、騒音の許容範囲、吸引機構による吸引力等に応じて適宜設定されてよいが、導出口の径rよりも大きいことが好ましい。これにより、導出口26への気体の流れが気体導出速度のボトルネックになりにくいため、導出口26の径rを適宜設定することで、気体導出速度を適切に制御でき、吸引力に対する気体導出効率を向上できる。なお、導出口の径rを大きくするにつれ、単位吸引力に対する気体導出速度が高まるため、吸引機構の損傷をより確実に抑制できることになる。従って、導出口の径rは、導出パイプPの径に近似する程度に大きいことが好ましい。
【0046】
ところで、流体Fが口腔内洗浄後の洗浄液や痰等である場合、筐体20又は収容容器30内に貯留された流体Fを視認した者に強い不快感を催させる。そこで、筐体20又は収容容器30は、光の透過を抑制する透過抑制層を有することが好ましい。透過抑制層は、視認困難性を向上できる点で、少なくとも筐体20又は収容容器30の側面及び上面に配置されることが好ましく、容易に加工できる点では、前面に配置されてよい。なお、透過抑制層は、筐体20又は収容容器30の厚み方向の一部(例えば、表層、裏層、又は中間層)であってもよいし、全部であってもよい。透過抑制層の構成成分は、特に限定されず、従来周知のものであってよい。
【0047】
<流体吸引器>
図3は、図1の吸引用器具10に流体Fを供給する流体吸引器の一例である口腔内洗浄器具50を示す図である。また、図4は、図3の口腔内洗浄器具50のIV−IV線断面図である。口腔内洗浄器具50は、流体Fを吸引して導入口25へと供給し、吸引用器具10とともに本発明の流体吸引キットを構成する。口腔内洗浄器具50の詳細を以下説明する。
【0048】
図3及び図4に示されるように、口腔内洗浄器具50は、口腔内に接触される清掃ブラシ51と、この清掃ブラシ51を支持する柄部53と、清掃ブラシ51に洗浄流体を供給する流体供給部54と、洗浄流体を回収する流体回収部55と、この流体回収部55を導入口25へ連通させる連通管57と、を有する。
【0049】
流体供給部54は、柄部53の基部533において導入管65に接続される。この導入管65はシリンジ61へと延びていて、ピストン63の挿入に伴ってシリンジ61内の洗浄流体が導入管65へと導入される。口腔内への洗浄流体の導入量はピストン63の挿入の程度によって容易に調節できる。洗浄流体は、導入管65を介して導入路543に流れ、更に導入路543を通って先端部531に形成された供給口541から導出される。この状態で清掃ブラシ51を歯牙等の口腔内に接触させ、口腔内を摺動させることで、口腔内が有効に洗浄される。
【0050】
しかし、高齢者等の場合、誤嚥を防止するために、口腔内に導出した洗浄流体を回収する必要がある。本実施形態の口腔内洗浄器具50では、先端部531に回収口551が形成されていて、この回収口551は基部533へと延びて連通管57に接続されている。これにより、前述の吸引機構を稼動すると、筐体20の内圧低下に伴って、回収口551から洗浄流体が回収されるので、誤嚥を抑制できる。口腔内洗浄器具50及び流体供給部60の詳細に関しては、特開平9−308641号公報の記載を援用して本明細書の一部とする。
【0051】
なお、流体吸引器は、本実施形態では口腔内洗浄器具50であったが、これに限られず、流体を吸引するあらゆる装置であってよく、例えば喉に詰まった痰を吸引するノズル等が例示される。
【0052】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0053】
10 吸引用器具
20 筐体
21 本体
23 被覆体
24 開放口、取出口
25 導入口
26 導出口
30 収容容器
40 位置決め部材
50 口腔内洗浄器具(流体吸引器)
51 清掃ブラシ
53 柄部
54 流体供給部
55 流体回収部
57 連通管
r 径
D 距離
P 導出管
G 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の吸引に用いられる吸引用器具であって、
流体が導入される導入口及び気体が導出される導出口が形成され、且つ内圧を調節可能な筐体を備え、
前記筐体には外気が流入可能な隙間が形成されており、内圧の低減幅が制限される吸引用器具。
【請求項2】
前記筐体は、開放口が形成された略箱状の本体と、前記開放口を略被覆する被覆体と、を有し、
前記隙間は、前記本体と被覆体との間に形成される請求項1記載の吸引用器具。
【請求項3】
前記筐体は、光の透過を抑制する透過抑制層を有する請求項1又は2記載の吸引用器具。
【請求項4】
前記筐体の内部に着脱可能に配置され、前記導入口から導入された流体を収容する収容容器を更に備え、
前記筐体には開閉可能な取出口が形成され、この取出口を介して前記収容容器が取り出される請求項1から3いずれか記載の吸引用器具。
【請求項5】
前記収容容器を位置決めする位置決め部材を更に備える請求項4記載の吸引用器具。
【請求項6】
前記位置決め部材は、前記収容容器を前記導出口から離間した箇所に位置決めする請求項5記載の吸引用器具。
【請求項7】
前記収容容器と前記導出口との距離は、前記導出口の径よりも大きい請求項6記載の吸引用器具。
【請求項8】
前記収容容器の内部には、前記流体を増粘する増粘剤が配置されている請求項4から7いずれか記載の吸引用器具。
【請求項9】
請求項1から8いずれか記載の吸引用器具と、流体を吸引して前記導入口へと供給する流体吸引器と、を備える流体吸引キット。
【請求項10】
前記流体吸引器は、口腔内に接触される清掃ブラシと、この清掃ブラシを支持する柄部と、前記清掃ブラシに洗浄流体を供給する流体供給部と、前記洗浄流体を回収する流体回収部と、この流体回収部を前記導出口へ連通させる連通管と、を有する口腔内洗浄器具である請求項9記載の流体吸引セット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−240205(P2010−240205A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−93176(P2009−93176)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(504179255)国立大学法人 東京医科歯科大学 (228)