説明

吸引車

【課題】 着脱自在な吸引コンテナを搭載した信頼性の高い吸引車を提供する。
【解決手段】 吸引車は、吸引コンテナの油圧回路92と車両の油圧回路85とを接続する油圧カプラ86と、吸引コンテナの電気回路97と車両の電気回路98とを接続する電気コネクタ99と、車両に吸引コンテナが搭載されているか否かを検知する搭載検知センサ101と、油圧カプラ86及び電気コネクタ99の少なくとも一方が接続されているか否かを検知する接続検知センサ102と、安全装置110とを備えている。安全装置110は、車両に吸引コンテナが搭載されているときにチルト機構103の動作を規制し、油圧カプラ86等が接続されているときに吸引コンテナの離脱を防止し、車両に吸引コンテナが搭載されかつ電気コネクタ99が接続されていない場合に走行を開始すると、警報装置105を作動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸引車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、建設作業現場や下水処理場等において汚泥、土砂、廃液等の回収対象物を回収し、これら回収対象物を処理場等の所定場所に運搬する吸引車が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
【0003】
一般に、吸引車は、車両と、当該車両に装備された吸引回収のための各種機器とを備えている。吸引回収のための機器としては、例えば、回収対象物を回収するレシーバタンク、レシーバタンク内を減圧することによって当該レシーバタンクに回収対象物を吸引するブロワ、レシーバタンクからブロワに向かって流れる空気を浄化する集塵装置等が挙げられる。
【特許文献1】特開平11−28964号公報
【特許文献2】特開2003−237906号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、吸引回収のための各種機器をコンテナ化し、それら機器を車両に対して一体的に着脱自在に構成することとすれば、吸引車の利便性の向上を図ることができる。例えば、吸引車を回収現場付近にまで移動させた後、吸引コンテナを車両から分離し、吸引コンテナのみを回収現場に移動させることにより、作業範囲を拡大すること等が可能となる。
【0005】
一方、単に吸引回収のための各種機器をコンテナ化し、車両に対して着脱自在に構成しただけでは、十分に信頼性の高い吸引車を実現することは難しい。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、着脱自在な吸引コンテナを搭載した信頼性の高い吸引車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る吸引車は、傾倒自在な荷役フレームを有する車体と、前記荷役フレームを傾倒させるチルト機構と、前記車体に取り付けられた走行用エンジンと、回収対象物を回収するレシーバタンクと、前記レシーバタンク内の空気を吸引するブロワと、前記走行用エンジンとは別個に形成されて前記ブロワを駆動する独立エンジンとを有し、前記荷役フレームに着脱自在に搭載された吸引コンテナと、前記吸引コンテナが前記荷役フレームに搭載されているか否かを検知する搭載検知センサと、前記吸引コンテナが前記荷役フレームに搭載されていると、前記チルト機構による傾倒動作を規制する安全装置と、を備えたものである。
【0008】
上記吸引車によれば、吸引コンテナが荷役フレームに搭載されているときには、荷役フレームの傾倒は規制される。そのため、吸引コンテナが車体に搭載された状態で荷役フレームが傾倒することは規制されるので、吸引コンテナの落下等を防止することができ、吸引コンテナの破損を防止することができる。したがって、着脱自在な吸引コンテナを搭載した信頼性の高い吸引車を得ることができる。
【0009】
本発明に係る他の吸引車は、荷役フレームを有する車体と、前記車体に取り付けられた走行用エンジンと、前記車体に設けられた油圧回路と、前記車体に設けられた電気回路と、回収対象物を回収するレシーバタンクと、前記レシーバタンク内の空気を吸引するブロワと、前記走行用エンジンとは別個に形成されて前記ブロワを駆動する独立エンジンと、油圧回路と、電気回路とを有し、前記荷役フレームに着脱自在に搭載された吸引コンテナと、前記車体の油圧回路と前記吸引コンテナの油圧回路とを接続する油圧カプラと、前記車体の電気回路と前記吸引コンテナの電気回路とを接続する電気コネクタと、前記油圧カプラ及び前記電気コネクタの少なくとも一方が接続されていることを検知する接続検知センサと、前記油圧カプラ及び前記電気コネクタの少なくとも一方が接続されていると、前記吸引コンテナの前記荷役フレームからの離脱を規制する安全装置と、を備えたものである。
【0010】
上記吸引車によれば、油圧カプラ及び電気コネクタの少なくとも一方が接続されている場合には、吸引コンテナの荷役フレームからの離脱が規制される。そのため、車体の油圧回路と吸引コンテナの油圧回路とが接続された状態、又は車体の電気回路と吸引コンテナの電気回路とが接続された状態で吸引コンテナが車体から取り外されることはないので、電気ケーブルや油圧配管等の破断などを未然に防止することができる。したがって、着脱自在な吸引コンテナを搭載した信頼性の高い吸引車を得ることができる。
【0011】
本発明に係る他の吸引車は、荷役フレームを有する車体と、前記車体に取り付けられた走行用エンジンと、前記車体に設けられた電気回路と、回収対象物を回収するレシーバタンクと、前記レシーバタンク内の空気を吸引するブロワと、前記走行用エンジンとは別個に形成されて前記ブロワを駆動する独立エンジンと、電気回路とを有し、前記荷役フレームに着脱自在に搭載された吸引コンテナと、前記車体の電気回路と前記吸引コンテナの電気回路とを接続する電気コネクタと、前記吸引コンテナが前記荷役フレームに搭載されているか否かを検知する搭載検知センサと、前記電気コネクタが接続されているか否かを検知する接続検知センサと、警報装置と、前記吸引コンテナが前記荷役フレームに搭載されかつ前記電気コネクタが接続されていない場合に前記車体が走行すると、前記警報装置を作動させる安全装置と、を備えたものである。
【0012】
上記吸引車によれば、吸引コンテナが車体に搭載されている場合に、電気コネクタが接続されていないにも拘わらず車体が走行すると、警報が発せられる。そのため、運転手等は、電気コネクタの接続忘れを容易かつ迅速に把握することができる。したがって、着脱自在な吸引コンテナを搭載した信頼性の高い吸引車を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように、本発明によれば、着脱自在な吸引コンテナを搭載した信頼性の高い吸引車を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0015】
図1〜図5に示すように、本実施形態に係る吸引車1は、車両10と、車両10に着脱自在に搭載された吸引コンテナ(クリーンキュームコンテナ)20とを備えている。吸引コンテナ20は、車両10に搭載された状態で使用することもでき、車両10から分離された状態で使用することもできる。
【0016】
図1に示すように、車両10は、キャブ12と、シャーシ13と、シャーシ13の上側に設けられたサブシャーシ11と、サブシャーシ11の上側に設けられた荷役フレーム29とを備えている。シャーシ13には、走行用エンジン14や図示しない動力伝達装置及びブレーキ装置などが組み立てられている。また、シャーシ13には、車輪15が取り付けられている。
【0017】
吸引コンテナ20は、荷役フレーム29に着脱自在に搭載されたコンテナ台21を備えている。荷役フレーム29は側面視L型に形成され、コンテナ台21の前端から上方に延びる垂直部29bと、コンテナ台21の前端から後方に延びる水平部29aとを備えている。コンテナ台21は車両10の前後方向に延びている。コンテナ台21の具体的形状は何ら限定されず、平板状の部材であってもよく、骨組み構造の部材であってもよい。なお、以下では、車両10の前側、後側、右側、左側を、それぞれ単に前側、後側、右側、左側と称することとする。コンテナ台21の前側の下部には支持脚72が設けられ、コンテナ台21の後側の下部には支持ローラ71が設けられている。コンテナ台21上の後側部分にはレシーバタンク22が設置され、コンテナ台21上の前側部分には、略直方体形状のケーシング23が設置されている。
【0018】
レシーバタンク22は、後側が開放されたタンク本体22bと、タンク本体22bの後側に設けられた蓋22aとを備えている。蓋22aは、上側を支点として回動自在に形成され、タンク本体22bの開放部分を開閉自在に覆っている。タンク本体22bと蓋22aとの間には、油圧シリンダからなるゲートシリンダ81が設けられている。ゲートシリンダ81はレシーバタンク22の長手方向に延びている。ゲートシリンダ81の前端部81aはタンク本体22bに回転自在に取り付けられ、ゲートシリンダ81の後端部81bは蓋22aに回転自在に取り付けられている。このような構成により、ゲートシリンダ81が伸びると蓋22aは開放され、ゲートシリンダ81が縮むと蓋22aは閉じられることになる。
【0019】
コンテナ台21とレシーバタンク22のタンク本体22bとの間には、油圧シリンダからなるダンプシリンダ82が設けられている。ダンプシリンダ82は、コンテナ台21及びレシーバタンク22の長手方向から傾斜した姿勢に配置されている。ダンプシリンダ82の前端部82aは、取付用のブラケット82cを介してコンテナ台21に回転自在に支持されている。ダンプシリンダ82の後端部82bは、タンク本体22bに回転自在に取り付けられている。このような構成により、ダンプシリンダ82が伸びると、レシーバタンク22は後側が下がった状態に傾けられる。したがって、蓋22aを開放した状態でダンプシリンダ82が伸びると、レシーバタンク22内の回収物が後方に排出される。一方、ダンプシリンダ82が縮むと、レシーバタンク22は水平な姿勢に戻される。
【0020】
コンテナ台21の前後方向の中央部分、すなわちレシーバタンク22とケーシング23との間には、上流側キャッチャ24と下流側キャッチャ25とを一体化してなるタンク26(図2も参照)が配置されている。上流側キャッチャ24及び下流側キャッチャ25は、いずれも湿式集塵装置によって形成されている。ただし、上流側キャッチャ24及び下流側キャッチャ25は湿式集塵装置に限らず、その他の集塵装置であってもよい。上流側キャッチャ24と下流側キャッチャ25とは、車両10の左右方向に並んでいる。下流側キャッチャ25の上側には、下流側サイレンサ52が設けられている。
【0021】
車両10は、吸引コンテナ20を着脱自在に搭載しているが、吸引コンテナ20以外のコンテナ等を搭載することも可能である。荷役フレーム29は、コンテナ台21以外のものとも着脱自在に構成されている。吸引コンテナ20は傾倒した状態で使用されることがないので、車両10は、通常は吸引コンテナ20を傾倒させる必要はない。しかし、車両10には、傾倒させる必要のあるコンテナ等が搭載される場合もある。そこで、車両10には、荷役フレーム29を傾倒させる油圧シリンダからなる傾動シリンダ95が設けられている。
【0022】
図4は、吸引コンテナ20を車両10から降ろし、地面に置いた状態を示している。図4に示すように、ケーシング23の内部には、走行用エンジン14とは別のエンジン31が配置されている。エンジン31の上方には、当該エンジン31によって駆動されるルーツブロワ32が設置されている。エンジン31の左側(図4の紙面表側)には駆動軸73が突出し、この駆動軸73とルーツブロワ32の回転軸74とに伝動ベルト75が巻き掛けられている。なお、符号77は、伝動ベルト75に張力を与えるテンションプーリである。ただし、エンジン31の駆動軸73とルーツブロワ32の回転軸74とは、伝動ベルト75以外の伝動部材(例えば、チェーンやドライブシャフト等)によって連結されていてもよい。
【0023】
図4に示すように、ルーツブロワ32の上方には、上流側サイレンサ51が配置されている。これらエンジン31、ルーツブロワ32及び上流側サイレンサ51は、ケーシング23の内部において上下方向に並べられている。
【0024】
次に、図6を参照しながら、吸引コンテナ20の空気の配管系統60について説明する。
【0025】
図6に示すように、レシーバタンク22と上流側キャッチャ24とは、ホース61a及び配管61bからなる空気流路61を介して接続されている。上流側キャッチャ24と上流側サイレンサ51とは、配管62を介して接続されている。上流側サイレンサ51とルーツブロワ32とは、配管63を介して接続されている。ルーツブロワ32と下流側キャッチャ25とは、配管64を介して接続されている。なお、下流側サイレンサ52は下流側キャッチャ25の上部に設けられ、下流側キャッチャ25と一体化されている。下流側サイレンサ52の上部には、排気口52aが形成されている。
【0026】
配管64の中途部と配管61bの中途部とは、分岐管65によって接続されている。また、配管64には、リリーフバルブ66が設けられた分岐管67が接続されている。配管61bには、負荷開放弁68が設けられた分岐管69が接続されている。配管61bの分岐管69の上流側と、配管64の分岐部の下流側と、分岐管65とには、それぞれバルブ70が設けられている。
【0027】
例えば汚泥等の回収対象物を回収する際には、レシーバタンク22に接続された吸引ホース(図示しない)を回収場所に挿入し、エンジン31を起動する。すると、ルーツブロワ32が駆動され、レシーバタンク22内の空気がルーツブロワ32によって吸引され、レシーバタンク22内の圧力が低下する。その結果、汚泥等の回収対象物がレシーバタンク22に回収される。
【0028】
レシーバタンク22内の空気は空気流路61を経て上流側キャッチャ24に流入し、当該空気に含まれる塵埃が上流側キャッチャ24によって除去される。上流側キャッチャ24を流出した空気は、上流側サイレンサ51を通過し、ルーツブロワ32に吸入される。ルーツブロワ32から吐出された空気は、配管64を流通し、下流側キャッチャ25に流入する。そして、上記空気は下流側キャッチャ25によって清浄化され、排気口52aを通じて外部に排出される。
【0029】
吸引コンテナ20には、図7に示すような油圧回路92が設けられている。油圧回路92には、前述のゲートシリンダ81及びダンプシリンダ82と、ゲートシリンダ81の操作用切換弁87と、ダンプシリンダ82の操作用切換弁88とが設けられている。また、油圧回路92には、油タンク90と、油タンク90の油の供給及び回収を行うための切換弁91とが設けられている。ただし、油圧回路92の具体的構成は何ら限定されるものではない。
【0030】
車両10にも油圧回路85が設けられている。詳細な説明は省略するが、車両10の油圧回路85には、前述の傾動シリンダ95(図1参照)等が含まれる。車両10の油圧回路85と吸引コンテナ20の油圧回路92とは、油圧カプラ86を介して接続されている。油圧カプラ86は、車両10側のカプラ86bと吸引コンテナ20側のカプラ86aとから構成されている。車両10側の油圧回路85とカプラ86bとは、パイプ84によって接続されている。なお、ここでは油圧カプラ86の個数は2つであるが、油圧カプラ86の個数やパイプ84の本数等は何ら限定されない。
【0031】
詳細な構成の説明は省略するが、吸引コンテナ20及び車両10には、それぞれ電気回路97,98(図8参照)が設けられている。そして、吸引コンテナ20側の電気回路97と車両10側の電気回路98とは、電気コネクタ99によって接続されている。電気コネクタ99は、吸引コンテナ20側のコネクタ99aと車両10側のコネクタ99bとから構成されている。車両10の電気回路98とコネクタ99bとは、電気ケーブル83によって接続されている。なお、コネクタ99の個数や電気ケーブル83の本数等が限定されないことは勿論である。
【0032】
吸引車1は、図8に示すような安全制御システム100を備えている。安全制御システム100は、車両10に吸引コンテナ20を搭載しているか否かを検知する搭載検知センサ101と、油圧カプラ86及び電気コネクタ99がそれぞれ接続されているか否かを検知する接続検知センサ102と、これら搭載検知センサ101及び接続検知センサ102に基づいてチルト機構103、脱着機構104及び警報装置105を制御する安全装置110とを有している。
【0033】
本実施形態では、搭載検知センサ101は、コンテナ台21又は荷役フレーム29に設けられた近接スイッチ96(図1参照)によって構成されている。近接スイッチ96は、コンテナ台21と荷役フレーム29とが接触又は所定間隔以内に接近したときにON/OFFされるスイッチである。近接スイッチ96は、コンテナ台21と荷役フレーム29とが接触するとON/OFFされる接触式のスイッチであってもよく、あるいは非接触式のスイッチ(例えば、光学式スイッチ等)であってもよい。本実施形態では、近接スイッチ96はコンテナ台21の前側に配置されているが、近接スイッチ96の配置位置は何ら限定されない。
【0034】
近接スイッチ96は、吸引コンテナ20が搭載された場合にはON/OFFされるが、その他のコンテナ等が搭載された場合にはON/OFFされないように構成されている。近接スイッチ96の具体的構成は限定されないが、例えば、吸引コンテナ20の所定箇所に凸部が設けられ、荷役フレーム29における吸引コンテナ20の当該凸部に対応する箇所に凹部が設けられ、近接スイッチ96は、これら凸部と凹部とが嵌合することによってON/OFFされるスイッチであってもよい。このように、予め吸引コンテナ20及び車両10の互いに対応する箇所に凹部及び凸部を設けておくこと等により、吸引コンテナ20を識別する搭載検知センサ101を簡単に形成することができる。
【0035】
チルト機構103は荷役フレーム29を傾倒させる装置であり、本実施形態では前述の傾動シリンダ95によって構成されている。
【0036】
脱着機構104は、吸引コンテナ20を車両10から取り外す装置である。脱着機構104の構成は何ら限定されず、脱着機構104として公知の任意の機構(例えば、特開平11−208358号公報に開示された機構等)を利用することができる。図示は省略するが、本実施形態では脱着機構104は、コンテナ台21を荷役フレーム29の長手方向に沿って移動させるスライドシリンダによって形成されている。このスライドシリンダは油圧シリンダからなり、車両10の油圧回路85に設けられている。
【0037】
警報装置105は、運転者等に警報を発する装置である。警報の具体的方法は何ら限定されず、音、振動、光等の手段を好適に用いることができる。本実施形態では、警報装置105は、警報音を発するブザー(図示は省略)によって形成されている。
【0038】
安全装置110は、以下の第1〜第3の安全制御を実行する制御装置である。安全装置110はハードウェア的に構成されていてもよく、ソフトウェア的に構成されていてもよい。安全装置110の具体的構成は何ら限定されるものではない。
【0039】
第1の安全制御は、吸引コンテナ20を搭載している場合に、荷役フレーム29の傾倒を規制することによって吸引コンテナ20の破損等を防止する制御である。すなわち、安全装置110は、まず、搭載検知センサ101からの信号に基づいて、車両10に吸引コンテナ20が搭載されているか否かを判断する。そして、吸引コンテナ20が搭載されている場合には、チルト機構103(傾動シリンダ95)のスイッチがONされてもチルト機構103が作動しないようにする。なお、吸引コンテナ20と異なり、傾倒させてもよいコンテナ等が搭載されている場合には、この第1安全制御は実行されない。すなわち、傾倒させてもよいコンテナ等が搭載された場合には、搭載検知センサ101の検出に基づいて吸引コンテナ20が搭載されていないと判断され、チルト機構103は規制されず、本来の動作を自由に実行する。
【0040】
第2の安全制御は、吸引コンテナ20の油圧回路92と車両10の油圧回路85とを接続している場合、又は、吸引コンテナ20の電気回路97と車両10の電気回路98とを接続している場合に、吸引コンテナ20の車両10からの離脱を規制することによって、パイプ84又は電気ケーブル83の破断を防止する制御である。すなわち、安全装置110は、まず、接続検知センサ102からの信号に基づいて、油圧カプラ86及び電気コネクタ99の少なくとも一方が接続されているか否かを判断する。そして、油圧カプラ86及び電気コネクタ99の少なくとも一方が接続されている場合には、脱着機構104のスイッチがONされても、吸引コンテナ20が車両10から離脱しないようにする。
【0041】
第3の安全制御は、車両10が吸引コンテナ20を搭載して走行するときに、電気コネクタ99が未接続の場合には警報を発することにより、電気コネクタ99の接続忘れを防止する制御である。すなわち、安全装置110は、まず、搭載検知センサ101からの信号に基づいて車両10に吸引コンテナ20が搭載されているか否かを判断し、接続検知センサ102からの信号に基づいて電気コネクタ99が接続されているか否かを判断する。そして、吸引コンテナ20が搭載されかつ電気コネクタ99が接続されていない場合には、車両10が走行を開始すると警報装置105を作動させ、警報(本実施形態ではブザー音)を発する。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、吸引コンテナ20に走行用エンジン14から独立したエンジン31を設け、吸引コンテナ20を車両10に対して着脱自在に構成することとした。そのため、車両10から離れた場所で吸引コンテナ20による吸引回収作業を実行することができる。したがって、作業範囲を拡大すること等が可能となり、吸引車1の利便性を向上させることができる。
【0043】
本実施形態によれば、前記第1の安全制御を実行することとしたので、車両10に吸引コンテナ20が搭載されているときには、荷役フレーム29の傾倒を規制することができる。そのため、吸引コンテナ20の落下等を防止することができ、吸引コンテナ20の破損等を防止することができる。したがって、着脱自在な吸引コンテナ20を搭載した吸引車1の信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態によれば、前記第2の安全制御を実行することとしたので、油圧カプラ86及び電気コネクタ99の少なくとも一方が接続されている場合には、車両10からの吸引コンテナ20の取り外しを規制することができる。そのため、車両10と吸引コンテナ20とをつなぐパイプ84や電気ケーブル83の破断などを未然に防止することができる。したがって、着脱自在な吸引コンテナ20を搭載した吸引車1の信頼性を向上させることができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、前記第3の安全制御を実行することとしたので、吸引コンテナ20が搭載されかつ電気コネクタ99が接続されていないにも拘わらず車両10が走行を開始すると、警報を発することができ、運転者にそのことを認識させることができる。そのため、運転者は、走行を停止して電気コネクタ99を接続する等の対応を迅速にとることが可能となる。したがって、着脱自在な吸引コンテナ20を搭載した吸引車1の信頼性を向上させることができる。
【0046】
以上のように、本実施形態によれば、利便性が高くかつ信頼性の高い吸引車1を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
以上説明したように、本発明は、吸引車について有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】吸引車の側面図である。
【図2】吸引車の平面図である。
【図3】吸引車の背面図である。
【図4】吸引コンテナの側面図である。
【図5】吸引コンテナの平面図である。
【図6】吸引コンテナの空気の配管系統図である。
【図7】油圧回路の配管系統図である。
【図8】吸引車の安全制御システムの構成図である。
【符号の説明】
【0049】
1 吸引車
10 車両(車体)
14 走行用エンジン
20 吸引コンテナ
21 コンテナ台
22 レシーバタンク
29 荷役フレーム
31 エンジン(独立エンジン)
32 ルーツブロワ(ブロワ)
83 電気ケーブル
84 パイプ
85 車両の油圧回路
86 油圧カプラ
92 吸引コンテナの油圧回路
97 吸引コンテナの電気回路
98 車両の電気回路
99 電気コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾倒自在な荷役フレームを有する車体と、
前記荷役フレームを傾倒させるチルト機構と、
前記車体に取り付けられた走行用エンジンと、
回収対象物を回収するレシーバタンクと、前記レシーバタンク内の空気を吸引するブロワと、前記走行用エンジンとは別個に形成されて前記ブロワを駆動する独立エンジンとを有し、前記荷役フレームに着脱自在に搭載された吸引コンテナと、
前記吸引コンテナが前記荷役フレームに搭載されているか否かを検知する搭載検知センサと、
前記吸引コンテナが前記荷役フレームに搭載されていると、前記チルト機構による傾倒動作を規制する安全装置と、
を備えた吸引車。
【請求項2】
荷役フレームを有する車体と、
前記車体に取り付けられた走行用エンジンと、
前記車体に設けられた油圧回路と、
前記車体に設けられた電気回路と、
回収対象物を回収するレシーバタンクと、前記レシーバタンク内の空気を吸引するブロワと、前記走行用エンジンとは別個に形成されて前記ブロワを駆動する独立エンジンと、油圧回路と、電気回路とを有し、前記荷役フレームに着脱自在に搭載された吸引コンテナと、
前記車体の油圧回路と前記吸引コンテナの油圧回路とを接続する油圧カプラと、
前記車体の電気回路と前記吸引コンテナの電気回路とを接続する電気コネクタと、
前記油圧カプラ及び前記電気コネクタの少なくとも一方が接続されていることを検知する接続検知センサと、
前記油圧カプラ及び前記電気コネクタの少なくとも一方が接続されていると、前記吸引コンテナの前記荷役フレームからの離脱を規制する安全装置と、
を備えた吸引車。
【請求項3】
荷役フレームを有する車体と、
前記車体に取り付けられた走行用エンジンと、
前記車体に設けられた電気回路と、
回収対象物を回収するレシーバタンクと、前記レシーバタンク内の空気を吸引するブロワと、前記走行用エンジンとは別個に形成されて前記ブロワを駆動する独立エンジンと、電気回路とを有し、前記荷役フレームに着脱自在に搭載された吸引コンテナと、
前記車体の電気回路と前記吸引コンテナの電気回路とを接続する電気コネクタと、
前記吸引コンテナが前記荷役フレームに搭載されているか否かを検知する搭載検知センサと、
前記電気コネクタが接続されているか否かを検知する接続検知センサと、
警報装置と、
前記吸引コンテナが前記荷役フレームに搭載されかつ前記電気コネクタが接続されていない場合に前記車体が走行すると、前記警報装置を作動させる安全装置と、
を備えた吸引車。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−272984(P2006−272984A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90300(P2005−90300)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000002358)新明和工業株式会社 (919)
【Fターム(参考)】