説明

吸気ダクト

【課題】 インタークーラダクト4の体格を小型化して自動車のエンジンルームに対する搭載性を向上することを課題とする。
【解決手段】 第1、第2ダクト半体A、Bの各第1、第2フランジ21、31間に形成される内側バリ溜まり41および連通路42、つまりダクト本体17の両側に隣り合うように形成される内側バリ溜まり41および連通路42をレゾネータ18、19の共鳴室および連通管として使用している。また、内側バリ溜まり41の容積を、狙いとする消音周波数に対し、レゾネータ18、19の共鳴周波数を表す公式を用いて算出される容積に設定している。これによって、ダクト本体17を有するインタークーラダクト4に対して、新たに特別な共鳴室を設けることなく、内側バリ溜まり41の容積を微調整するだけで、コンパクトな消音機能付きのインタークーラダクト4を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気騒音を共鳴作用により消音するヘルムホルツ型のレゾネータを有する吸気ダクトに関するもので、特に内燃機関に吸い込まれる吸気が流れる吸気通路を形成するダクト本体に発生する吸気騒音を共鳴作用により消音する内燃機関の吸気消音装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
近年、自動車に対する車外騒音の低減要求が高まってきており、内燃機関(エンジン)の騒音の中の1つである、エンジンの吸気系に発生する吸気音もその対象になっている。 吸気音を低減するための吸気消音装置としては、吸気音を共鳴作用により消音する共鳴型消音器(レゾネータやサイドブランチ)が公知である。
また、レゾネータの1つに、共鳴室をこの共鳴室よりも小さい流路断面積を有する連通管で、吸気ダクトの内部の吸気通路に連通させるようにしたヘルムホルツ型のレゾネータが公知である。このレゾネータの共鳴周波数(f)は、下記の公式(ヘルムホルツの式)で表されることが知られている。
【0003】
[数1]
f={c/(2π)}・{S/(V・L)}1/2
なお、cは音速(m/s)、Sは連通管の流路断面積(m2 )、Vは共鳴室の容積(m3 )、Lは連通管の全長(m)である。
そして、レゾネータの共鳴室の容積(V)や連通管の全長(L)、あるいは連通管の直径(または連通管の流路断面積S)を適切に調整することで、特定の共鳴周波数の吸気音を低減させることができる。
【0004】
ここで、エンジン吸気系のダクト本体にレゾネータを一体化した吸気消音装置が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
先ず、吸気ダクトは、図4ないし図6に示したように、ダクト軸線方向に縦割り2分割された半円筒状体であるダクト半体101、102をそれぞれ合成樹脂材により一体成形し、ダクト半体101、102の側方に凹状の側方突出部103、104をそれぞれ設け、側方突出部103、104の周縁に互いに対向するフランジ105、106をそれぞれ設け、フランジ105、106を突き合わせて振動溶着することにより、レゾネータ107、108やサイドブランチ109が円筒状のダクト本体110の両側に接合一体化して合成樹脂製の吸気ダクトを製造するようにしている。
【0005】
図4および図5に示した合成樹脂製の吸気ダクト(従来例1)は、ダクト本体110の両側に、フランジ105の対向面に対して逆側面(上端面)よりも上方側に向かって突出する上側凸部およびフランジ106の対向面に対して逆側面(下端面)よりも下方側に向かって突出する下側凸部を設け、上側凸部の内面と下側凸部との間に容積空間111〜120を設け、これらの容積空間111〜120をレゾネータ107、108の共鳴室として使用している。
また、レゾネータ107、108とダクト本体110とを区画する隔壁体に切欠き121〜130を設け、これらの切欠き121〜130をレゾネータ107、108の連通管として使用している。
また、空間111〜120は、仕切り壁で仕切られている。これにより、複数の共鳴周波数に対応可能となっている。
【0006】
ところが、従来例1の吸気ダクトにおいては、幅方向の中央部に円筒状のダクト本体110を配し、幅方向の両側に複数の空間111〜120および複数の切欠き121〜130によって構成される複数のレゾネータ107、108を接合一体化した構造となっているが、ダクト本体110の両側に複数のレゾネータ107、108を構成するために、フランジ105、106の上下端面から上下方側に向かって突出する上下側凸部を設けているので、吸気ダクトの体格、特にダクト本体110の両側の消音機能部(レゾネータ107、108)の体格が大型化している。これにより、吸気ダクトの体格の大型化に伴い、例えば車両に対する吸気ダクトの搭載性を悪化させる要因となっている。
【0007】
一方、図6に示した合成樹脂製の吸気ダクト(従来例2)は、ダクト本体110の両側に共鳴型消音器である多孔レゾネータ107および2つのサイドブランチ109を設けたものである。
これは、ダクト本体110をそのダクト軸線方向に半割り構造にするのと同時に、多孔型のレゾネータ107や2つのサイドブランチ109をそのダクト軸線方向に半割り構造にして、第1、第2ダクト半体101、102のフランジ105、106を突き合わせて振動溶着することにより接合一体化している。
なお、レゾネータ107やサイドブランチ109は、従来例1の吸気ダクトと同様に、フランジ105の上端面よりも上方側に向かって突出する上側凸部およびフランジ106の下端面よりも下方側に向かって突出する下側凸部を設け、上側凸部の内面と下側凸部との間に容積空間111、116、117を設けている。
【0008】
ところが、従来例2の吸気ダクトにおいては、従来例1の吸気ダクトと同様に、ダクト本体110の両側にレゾネータ107とサイドブランチ109を構成するために、フランジ105、106の上下端面から上下方側に向かって突出する上下側凸部を設けているので、吸気ダクトの体格、特にダクト本体110の両側の消音機能部(レゾネータ107、サイドブランチ109)の体格が大型化している。これにより、吸気ダクトの体格の大型化に伴い、例えば車両に対する吸気ダクトの搭載性を悪化させる要因となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1553284号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第1548701号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、消音機能付きの吸気ダクトの体格を小型化して搭載性を向上することのできる吸気ダクト(内燃機関の吸気消音装置)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の発明は、内燃機関の吸気通路を形成する筒状のダクト本体、およびこのダクト本体に発生する吸気音を共鳴作用により消音するレゾネータを有する合成樹脂製の吸気ダクトである。
この吸気ダクト(ダクト本体およびレゾネータ)は、少なくとも2分割された第1、第2ダクト半体(合成樹脂製の第1、第2分割体)の周縁に互いに対向する第1、第2フランジをそれぞれ設け、第1、第2フランジに互いに溶着される第1、第2溶着部をそれぞれ設け、第1、第2溶着部同士を突き合わせて溶着することにより第1、第2ダクト半体を接合一体化して形成される。
【0012】
吸気ダクト(ダクト本体およびレゾネータ)は、内側壁体と、内側バリ溜まりと、連通路とを備えている。
内側壁体は、第1、第2ダクト半体の各第1、第2溶着部よりもダクト本体側(内側)に設置されている。この内側壁体は、第1、第2フランジのうちの少なくとも一方のフランジから第1、第2フランジのうちの少なくとも他方のフランジ側に向かって突出している。
内側バリ溜まりは、第1、第2ダクト半体の各第1、第2溶着部と内側壁体との間に形成されている。この内側バリ溜まりは、第1、第2溶着部の溶着時に発生する溶着バリを溜める空間である。
【0013】
連通路は、第1、第2ダクト半体のうちの少なくとも一方のダクト半体のフランジに設けられる内側壁体と第1、第2ダクト半体のうちの少なくとも他方のダクト半体のフランジとの間に形成されている。この連通路は、吸気通路と内側バリ溜まりとを連通している。
レゾネータは、内側バリ溜まりおよび連通路によって構成されている。つまり第1、第2ダクト半体の各第1、第2フランジ間に形成される内側バリ溜まりおよび連通路を、ダクト本体に発生する吸気音を共鳴作用により消音するレゾネータとして使用している。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、内側バリ溜まりおよび連通路によってレゾネータを構成しているので、互いに溶着される第1、第2溶着部と内部に吸気通路を形成する筒状のダクト本体との間にレゾネータが設けられる。これにより、ダクト本体を有する吸気ダクトに対して、新たに特別な共鳴室および連通管を設けることなく、コンパクトな共鳴型消音器(ヘルムホルツ型のレゾネータ)を得ることができる。
これによって、消音機能付きの吸気ダクト(ダクト本体およびレゾネータ)の体格を従来例(つまり、フランジ105の上端面よりも上方側に向かって突出する上側凸部およびフランジ106の下端面よりも下方側に向かって突出する下側凸部を設け、上側凸部の内面と下側凸部との間に容積空間111〜120や切欠き121〜130を設ける等して、ダクト本体110の両側の消音機能部がフランジ105、106よりも上下方向に突出する従来例1及び2の消音機能付きの吸気ダクト形状)と比べて、ダクト本体の両側の第1、第2フランジ間に形成される消音機能部(レゾネータ)の体格を非常に小型化できるので、例えば車両に対する搭載性を向上することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明によれば、内側バリ溜まりを、レゾネータの共鳴室として使用することにより、ダクト本体を有する吸気ダクトに対して、新たに特別な共鳴室(レゾネータ容積部)を設けることなく、内側バリ溜まりの容積を微調整するだけで、コンパクトな共鳴型消音器(ヘルムホルツ型のレゾネータ)を得ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、内側バリ溜まりの容積が、狙いとする消音周波数に対し、レゾネータの共鳴周波数を表す公式(一般式、ヘルムホルツの式)を用いて算出される容積に設定されている。
これによって、ダクト本体を有する吸気ダクトに対して、新たに特別な共鳴室(レゾネータ容積部)を設けることなく、内側バリ溜まりの容積を微調整するだけで、コンパクトな共鳴型消音器(ヘルムホルツ型のレゾネータ)を得ることができる。
ここで、内側バリ溜まりの容積は、上記の数1の式、つまりレゾネータの共鳴周波数の一般式で規定(定義)される容積(V)に設定される。
【0016】
請求項4に記載の発明によれば、連通路を、レゾネータの連通管として使用することにより、ダクト本体を有する吸気ダクトに対して、新たに特別な連通管を設けることなく、連通路の流路断面積または全長を微調整するだけで、コンパクトな共鳴型消音器(ヘルムホルツ型のレゾネータ)を得ることができる。
請求項5に記載の発明によれば、連通路の流路断面積が、狙いとする消音周波数に対し、レゾネータの共鳴周波数を表す公式(一般式、ヘルムホルツの式)を用いて算出される諸元に設定されている。
これによって、ダクト本体を有する吸気ダクトに対して、新たに特別な連通管を設けることなく、連通路の流路断面積を微調整するだけで、コンパクトな共鳴型消音器(ヘルムホルツ型のレゾネータ)を得ることができる。
ここで、連通路の流路断面積は、上記の数1の式、つまりレゾネータの共鳴周波数の一般式で規定(定義)される流路断面積(S)に設定される。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、連通路の全長が、狙いとする消音周波数に対し、レゾネータの共鳴周波数を表す公式(一般式、ヘルムホルツの式)を用いて算出される諸元に設定されている。
これによって、ダクト本体を有する吸気ダクトに対して、新たに特別な連通管を設けることなく、連通路の全長を微調整するだけで、コンパクトな共鳴型消音器(ヘルムホルツ型のレゾネータ)を得ることができる。
ここで、連通路の全長は、上記の数1の式、つまりレゾネータの共鳴周波数の一般式で規定(定義)される全長(L)に設定される。
【0018】
請求項7に記載の発明によれば、吸気ダクトとして、コンプレッサの出口に接続するインタークーラダクトに適用されている。
請求項8に記載の発明によれば、狙いとする消音周波数(消音したい周波数)として、高周波数帯域に含まれる周波数(例えば2〜3kHz)を使用している。この高周波数帯域に含まれる周波数の場合には、内側バリ溜まりの容積を小さくすることができる。また、連通路の全長を短くすることができる。また、内側バリ溜まりの容積を小さくすると同時に、連通路の全長を短くしても良い。また、連通路の全長を短くすると同時に、連通路の流路断面積を大きくしても良い。
【0019】
請求項9に記載の発明によれば、第1溶着部に、第1フランジから第2フランジ側に向かって突出すると共に、吸気通路の吸気流方向に延びる突条リブを設けている。
請求項10に記載の発明によれば、第2溶着部に、第2フランジから第1フランジ側に向かって突出すると共に、吸気通路の吸気流方向に延びる突条リブを設けている。
なお、第1溶着部の突条リブと第2溶着部の突条リブとは、互いに溶着により接合される。
【0020】
請求項11に記載の発明によれば、第1ダクト半体の方が、第2ダクト半体よりも天地方向の天側に配置されている。
内側壁体は、第2フランジから第1フランジ側に向かって突出している。
連通路は、第1フランジと内側壁体との間に形成されている。
内側壁体の先端位置または連通路の開口位置は、第1溶着部と第2溶着部との接合面の位置よりも天地方向の天側に位置している。
これによって、第1、第2溶着部の溶着時に、第1溶着部と第2溶着部との接合面で生じる溶着バリが内側壁体により塞き止められるので、溶着バリが吸気通路側にはみ出すのを防止できる。これにより、はみ出し部分が障害となって吸気の流通抵抗(圧力損失)が悪化したり、エンジンに吸引されたりする不具合の発生を抑制することができる。
【0021】
請求項12に記載の発明によれば、吸気ダクト(ダクト本体およびレゾネータ)は、内側壁体と、内側バリ溜まりと、連通路と、外側壁体と、外側バリ溜まりとを備えている。 外側壁体は、第1、第2溶着部よりも吸気通路側に対して逆側(外側)に設置されている。この外側壁体は、第1、第2フランジのうちの少なくとも一方のフランジから第1、第2フランジのうちの少なくとも他方のフランジ側に向かって突出している。
外側バリ溜まりは、第1、第2溶着部と外側壁体との間に形成されている。この外側バリ溜まりは、第1、第2溶着部の溶着時に発生する溶着バリを溜める空間である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】内燃機関の代表的な制御装置(エンジン制御システム)を示した構成図である(実施例1)。
【図2】消音機能付きのインタークーラダクトを示した斜視図である(実施例1)。
【図3】(a)は消音機能付きのインタークーラダクトを示した断面図で、(b)は(a)の拡大図である(実施例1)。
【図4】吸気ダクトを示した斜視図である(従来例1)。
【図5】吸気ダクトを示した断面図である(従来例1)。
【図6】(a)、(b)は吸気ダクトを示した斜視図である(従来例2)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。
本発明は、消音機能付きの吸気ダクトの体格を小型化して搭載性を向上し、狙いとする消音周波数の吸気音を効果的に低減し、振動溶着時に発生する溶着バリが吸気通路へ流出することを防止するという目的を、第1、第2ダクト半体の各第1、第2フランジ間に形成される内側バリ溜まりおよび連通路を、ダクト本体に発生する吸気音を共鳴作用により消音するレゾネータとして使用することで実現した。
これにより、ダクト本体を有する吸気ダクトに対して、新たに特別な共鳴室および連通管を設けることなく、例えばダクト本体の側面に大きなレゾネータ空間を形成する張り出し部を設けることなく、コンパクトな共鳴型消音器(ヘルムホルツ型のレゾネータ)を得ることができる。
【実施例1】
【0024】
[実施例1の構成]
図1ないし図3は本発明の実施例1を示したもので、図1はエンジン制御システムを示した図で、図2および図3は消音機能付きのインタークーラダクトを示した図である。
【0025】
本実施例の内燃機関の制御装置(エンジン制御システム)は、内燃機関(エンジン1)の排気ガス(排気)の圧力を利用して吸気(吸入空気)を過給(圧縮)するターボチャージャを有する過給システム(内燃機関の過給装置)と、エンジン1の吸気管に発生する吸気音を共鳴作用により消音する吸気消音装置(内燃機関の吸気消音装置、消音機能付きのインタークーラダクト等の吸気ダクト)とを備え、エンジン1に供給される吸気を制御する吸気制御装置(内燃機関の吸気制御装置)として使用される。
ここで、エンジン1は、複数の気筒(シリンダボア)を有する多気筒ガソリンエンジン(例えば直列4気筒エンジン)が採用されている。但し、多気筒ガソリンエンジンに限定されず、多気筒ディーゼルエンジンを適用しても構わない。このエンジン1は、自動車等の車両のエンジンルーム内にターボチャージャと共に設置されている。
【0026】
エンジン1には、エアクリーナ2、ターボチャージャ、電子スロットル装置、燃料噴射装置等が搭載されている。
ここで、エアクリーナ2は、インレットダクト(外気導入ダクト)の上流端で開口した外気導入口より空気導入流路に導入される外気(吸気)を濾過するフィルタエレメント(濾過エレメント)を有している。
そして、エアクリーナ2の出口端は、エアクリーナ2を通過した吸気が流れる吸気通路を形成するインテークダクトを介して、ターボチャージャのコンプレッサハウジングに接続している。
コンプレッサハウジングの出口端は、コンプレッサのインペラ3から流出した吸気が流れる吸気通路を形成するインテークダクト(インタークーラダクト4を含む)を介して、インタークーラ5に接続している。インタークーラ5の出口端は、インタークーラ5を通過した吸気が流れる吸気通路を形成するインテークダクトを介して、電子スロットル装置のスロットルボディに接続している。なお、インタークーラと電子スロットル装置の配列は逆でも良く、更には電子スロットル装置はなくても良い。
【0027】
ここで、電子スロットル装置は、スロットルボディ、スロットルバルブ6および電動アクチュエータ7を備えている。この電子スロットル装置は、スロットルバルブ6の開閉動作により吸気の流量を調整する空気流量調整装置である。
スロットルバルブ6を支持するシャフトは、電動アクチュエータ7によって回転方向に駆動される。電動アクチュエータ7は、スロットルバルブ6を開弁方向または閉弁方向に駆動するモータ、およびこのモータの回転を減速してシャフトに伝達する減速機構等により構成される。モータは、ECUによって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車等の車両に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。
【0028】
スロットルボディの出口端は、スロットルバルブ6を通過した吸気が流れる吸気通路を形成するインテークマニホールドを介して、エンジンの各気筒毎の吸気ポートに接続している。
これらのインテークダクト、コンプレッサハウジング、インタークーラダクト4、インタークーラ5、インテークダクト、スロットルボディ、インテークマニホールド等によって、エンジンの各気筒毎の燃焼室に吸い込まれる吸気が流れる吸気通路11を形成する吸気管(内燃機関の吸気管、吸気ダクト)が構成される。
吸気管の内部に形成される吸気通路11は、エンジン1の各気筒毎の燃焼室および吸気ポートに連通している。
【0029】
一方、エンジン1の各気筒毎の排気ポートの出口端は、エンジンの各気筒毎の燃焼室より流出した排気が流れる排気通路を形成するエキゾーストマニホールドを介して、ターボチャージャのタービンハウジングに接続している。タービンハウジングの出口端は、タービンのホイール8から流出した排気が流れる排気通路を形成するエキゾーストダクトを介して、排気浄化装置(触媒)に接続している。排気浄化装置の出口端は、触媒を通過した排気が流れる排気通路を形成するエキゾーストダクトを介して、排気消音器であるマフラ9に接続している。
これらのエキゾーストマニホールド、タービンハウジング、エキゾーストダクト、排気浄化装置、エキゾーストダクト、排気消音器であるマフラ9等によって、エンジンの各気筒毎の燃焼室から流出した排気が流れる排気通路12を形成する排気管(内燃機関の排気管、排気ダクト)が構成される。
排気管の内部に形成される排気通路12は、エンジン1の各気筒毎の燃焼室および排気ポートに連通している。
【0030】
ターボチャージャは、エンジン1の吸気管の途中に設けられるコンプレッサと、エンジン1の排気管の途中に設けられるタービンとを備え、吸気管を流れる吸気をコンプレッサで圧縮し、圧縮された圧縮空気(吸気)をエンジン1の各気筒毎の燃焼室へ送り込むターボ過給機である。
このターボチャージャは、タービンのホイール(タービンホイール)8が排気により回転駆動されると、ホイール8に連結したタービンシャフト10およびコンプレッサのインペラ(コンプレッサインペラ)3も回転し、このインペラ3が吸気を圧縮する。
【0031】
タービンは、ホイール8およびタービンハウジングを備えている。このホイール8は、円周方向に複数のタービンブレード(翼)を有し、エンジン1の排気圧力により回転駆動される。そして、ホイール8は、タービンシャフト10を介して、コンプレッサのインペラ3と直接的に連結してインペラ3を回転駆動(直結駆動)する。
タービンハウジングの中央部には、ホイール8を回転自在に収容するホイール収容空間が形成されている。タービンハウジングの入口部には、外部からホイール8へ排気を流入する排気導入流路が形成されている。また、タービンハウジングの出口部には、ホイール8から外部へ排気を流出する排気導出流路が形成されている。
【0032】
コンプレッサは、インペラ3およびコンプレッサハウジングを備えている。このインペラ3は、円周方向に複数のインペラブレード(翼)を有し、タービンシャフト10を介して、ホイール8に連結して回転駆動(直結駆動)される。
コンプレッサハウジングの中央部には、インペラ3を回転自在に収容するインペラ収容空間が形成されている。コンプレッサハウジングの入口部には、外部からインペラ3へ吸気を流入する吸気導入流路が形成されている。また、コンプレッサハウジングの出口部には、インペラ3から外部へ吸気を流出する吸気導出流路が形成されている。
インタークーラ5は、コンプレッサのインペラ3で圧縮されて高圧になり吸気温度が上昇した圧縮空気(吸気)を冷却する空気冷却器(熱交換器)である。
【0033】
ここで、エンジン1のエンジン本体(シリンダブロックおよびシリンダヘッド)には、吸気バルブ13によって開閉される吸気ポート、および排気バルブ14によって開閉される排気ポートが形成されている。
エンジン1のシリンダヘッドには、先端部が各気筒毎の燃焼室内に露出するようにスパークプラグ15が取り付けられている。また、シリンダヘッドには、各吸気ポート内に最適なタイミングで燃料を噴射するインジェクタ(電磁式燃料噴射弁)が取り付けられている。
エンジン1のシリンダブロックの内部には、例えば4気筒エンジンでは気筒配列方向に4つの燃焼室(シリンダボア)が形成されている。また、シリンダブロックの各シリンダボア内には、連接棒を介して、クランクシャフトに連結されたピストン16がその往復摺動方向に摺動自在にそれぞれ支持されている。
【0034】
[実施例1の特徴]
次に、本実施例のインタークーラダクト4の詳細を図2および図3に基づいて簡単に説明する。
インタークーラダクト4は、内部に吸気通路11が形成された角筒状のダクト本体17、およびこのダクト本体17に発生する吸気音を共鳴作用により消音する共鳴型吸気消音器(ヘルムホルツ型のレゾネータ18、19)を有する吸気ダクト(インテークダクト)である。
インタークーラダクト4は、ダクト軸線方向に縦割り2分割された半角筒状体(半割り角筒状体)である第1、第2ダクト半体A、Bをそれぞれ合成樹脂材により一体成形し、第1、第2ダクト半体A、Bをその内面同士が向き合うように配置し、第1、第2ダクト半体A、Bの溶着部同士を振動溶着して接合一体化して製造される。
【0035】
第1ダクト半体Aは、耐熱性を有する合成樹脂材(例えばポリアミド樹脂(PA)等の熱可塑性樹脂)による一体成形で構成されている。
第1ダクト半体Aは、少なくとも振動溶着行程を含む製造時に、第2ダクト半体Bよりも天地方向の天側に配置される。
第1ダクト半体Aの周縁(周方向の左右両端縁)には、インタークーラダクト4のダクト軸線方向と同一方向である吸気流方向(ダクト本体17の吸気通路11を流れる吸気の流れ方向、吸気通路11の軸線方向)に対して垂直な方向(直角に交差する方向)の外部側に向かって突出する2つの第1フランジ21がそれぞれ一体的に設けられている。これらの第1フランジ21は、吸気通路11の軸線方向に沿って真っ直ぐに延びている。
2つの第1フランジ21には、第2ダクト半体Bの第2フランジと所定の距離を隔てて対向する対向面が形成されている。
【0036】
2つの第1フランジ21の突出方向の中間部分には、第2ダクト半体Bの第2溶着部に振動溶着される突条状の第1溶着部がそれぞれ設けられている。2つの第1溶着部は、第1フランジ21の対向面から第2ダクト半体Bの第2フランジ側に向かって突出する溶着突条リブ22をそれぞれ有している。2つの溶着突条リブ22は、吸気通路11の軸線方向に沿って真っ直ぐに延びている。
2つの第1フランジ21には、第1、第2ダクト半体A、Bの各第1、第2溶着部よりも吸気通路側に対して逆側(外側)に外側壁体23がそれぞれ設けられている。2つの外側壁体23は、第1フランジ21の対向面から第2ダクト半体Bの第2フランジ側に向かって突出する外側突条リブである。これらの外側壁体23は、吸気通路11の軸線方向に沿って真っ直ぐに延びている。
【0037】
第2ダクト半体Bは、第1ダクト半体Aと同様に、耐熱性を有する合成樹脂材(例えばポリアミド樹脂(PA)等の熱可塑性樹脂)による一体成形で構成されている。
第2ダクト半体Bの周縁(周方向の左右両端縁)には、吸気通路11を流れる吸気流方向(吸気通路11の軸線方向)に対して垂直な方向の外部側に向かって突出する2つの第2フランジ31がそれぞれ一体的に設けられている。これらの第2フランジ31は、吸気通路11の軸線方向に沿って真っ直ぐに延びている。
2つの第2フランジ31には、第1ダクト半体Aの第1フランジ21と所定の距離を隔てて対向する対向面が形成されている。これにより、第1、第2フランジ21、31は、所定の距離を隔てて、互いに対向して配置される。
【0038】
2つの第2フランジ31の突出方向の中間部分には、第1ダクト半体Aの第1溶着部(溶着突条リブ22)に振動溶着される突条状の第2溶着部がそれぞれ設けられている。2つの第2溶着部は、第2フランジ31の対向面から第1ダクト半体Aの第1フランジ(特に第1溶着部)側に向かって突出すると共に、第1ダクト半体Aの溶着突条リブ22に振動溶着される溶着突条リブ32をそれぞれ有している。2つの溶着突条リブ32は、吸気通路11の軸線方向に沿って真っ直ぐに延びている。
2つの第2フランジ31には、第1、第2ダクト半体A、Bの各溶着突条リブ22、32よりも吸気通路側に対して逆側(外側)に外側壁体33がそれぞれ設けられている。2つの外側壁体33は、第2フランジ31の対向面から第1フランジ21の外側壁体側に向かって突出する外側突条リブである。これらの外側壁体33は、吸気通路11の軸線方向に沿って真っ直ぐに延びている。なお、外側壁体23、33は、開口部34を隔てて、互いに対向して配置される。
【0039】
ここで、本実施例の第1、第2フランジ21、31は、溶着突条リブ22、32と外側壁体23、33との間に外側空間が形成されている。この外側空間は、溶着突条リブ22、32の振動溶着時に発生する溶着バリを溜める外側バリ溜まり35として使用される。 この外側バリ溜まり35は、第1ダクト半体Aの第1フランジ21の対向面と溶着突条リブ22の外側面と外側壁体23のバリ溜まり側面と第2ダクト半体Bの第2フランジ31の対向面と溶着突条リブ32の外側面と外側壁体33のバリ溜まり側面とに囲まれている。これにより、溶着突条リブ22、32の振動溶着時に溶着バリとなって溶着突条リブ22、32の接合面(接合ライン)よりも外側に流出した際に、その流出した溶着バリが外側壁体23、33によって塞き止められて、外側バリ溜まり35内に溜められる。
2つの第2フランジ31には、第1、第2ダクト半体A、Bの各溶着突条リブ22、32よりも吸気通路側(内側)に内側壁体36がそれぞれ設けられている。2つの内側壁体36は、第2フランジ31の対向面から第1フランジ側に向かって突出する内側突条リブである。これらの内側壁体36は、吸気通路11の軸線方向に沿って真っ直ぐに延びている。なお、内側壁体36は、所定の隙間(連通路42)を隔てて第1フランジ21の対向面に対向して配置される。
【0040】
ここで、本実施例の第1、第2フランジ21、31は、溶着突条リブ22、32と内側壁体36との間に内側空間が形成されている。この内側空間は、溶着突条リブ22、32の振動溶着時に発生する溶着バリを溜める内側バリ溜まり41として使用される。これにより、溶着突条リブ22、32の振動溶着時に溶着バリとなって溶着突条リブ22、32の接合面(接合ライン)よりも内側に流出した際に、その流出した溶着バリが内側壁体36によって塞き止められて、内側バリ溜まり41内に溜められる。
また、内側壁体36の先端位置または連通路42の開口位置Hは、図3に示したように、溶着突条リブ22と溶着突条リブ32との接合面の位置Gよりも天地方向の天側に位置している。
【0041】
ここで、インタークーラダクト4は、樹脂成形型で第1、第2ダクト半体A、Bを射出成形することで、第1、第2ダクト半体A、Bの周縁、つまりダクト本体17の両側の第1、第2フランジ21、31に、互いに振動溶着される溶着突条リブ22、32を設け、第1、第2ダクト半体A、Bをその内面同士が向き合うように配置し、第1、第2フランジ21、31の溶着突条リブ22、32を突き合わせて溶着突条リブ22、32を互いに振動溶着することにより第1、第2ダクト半体A、Bがその内面同士が向き合うように接合一体化されて製造される。
なお、外側壁体23、33は、インタークーラダクト4の外部(空間)と外側バリ溜まり35とを区画する外側隔壁体であり、溶着バリがインタークーラダクト4の外部へ流出するのを規制する外側規制壁体である。また、内側壁体36は、インタークーラダクト4のダクト本体17の内部(吸気通路11)と内側バリ溜まり41とを区画する内側隔壁体であり、溶着バリが吸気通路11内へ流出するのを規制する内側規制壁体である。
【0042】
本実施例のインタークーラダクト4は、ダクト本体17に発生する吸気音を共鳴作用により消音する消音機能付きの吸気ダクトである。そして、ダクト本体17のダクト軸線方向の両側には、レゾネータ18、19がそれぞれ設けられている。
レゾネータ18、19は、内側バリ溜まり41および連通路42によって構成されている。つまり第1、第2ダクト半体A、Bの各第1、第2フランジ21、31間に形成される内側バリ溜まり41および連通路42をレゾネータ18、19として使用している。
レゾネータ18、19は、上述した内側バリ溜まり41、およびダクト本体17の内部(吸気通路11)と内側バリ溜まり41とを連通する連通路42を備えている。
レゾネータ18、19は、内側バリ溜まり41の容積および連通路42の諸元が一定である場合、特定周波数の吸気音に共鳴して、その特定周波数の吸気音を消音(低減)する共鳴型消音器である。
【0043】
内側バリ溜まり41は、溶着突条リブ22、32と内側壁体36との間に形成されており、レゾネータ18、19の共鳴室として使用される。この内側バリ溜まり41は、第1ダクト半体Aの第1フランジ21の対向面と溶着突条リブ22の内側面と第2ダクト半体Bの第2フランジ31の対向面と溶着突条リブ32の内側面と内側壁体36のバリ溜まり側面とに囲まれている。
内側バリ溜まり41の容積は、狙いとする消音周波数に対し、レゾネータ18、19の共鳴周波数を表す公式(ヘルムホルツの式)を用いて算出される容積に設定される。
つまり、内側バリ溜まり41の容積は、下記の数2の式、つまりレゾネータ18、19の共鳴周波数の一般式で規定される容積に設定される。
[数2]
f={c/(2π)}・{S/(V・L)}1/2
なお、cは音速(m/s)、Sは連通管である連通路42の流路断面積(m2 )、Vは共鳴室である内側バリ溜まり41の容積(m3 )、Lは連通路42の全長(m)である。
【0044】
連通路42は、吸気通路11の軸線方向に沿って真っ直ぐに延びるように設けられている。この連通路42の全長(吸気通路11の軸線と垂直)方向の一端(内側端)は、ダクト本体17の流路壁面で開口している。また、連通路42の全長(吸気通路11の軸線と垂直)方向の他端(外側端)は、内側バリ溜まり41の壁面で開口している。
連通路42は、第1ダクト半体Aの第1フランジ21の対向面から上方に向かって突出した内側壁体36の先端面と第2ダクト半体Bの第2フランジ31の対向面との間に形成されており、レゾネータ18、19の連通管として使用される。この連通路42の流路断面積は、狙いとする消音周波数に対し、レゾネータ18、19の共鳴周波数を表す公式を用いて算出される諸元に設定されている。つまり、連通路42の流路断面積は、上記の数2の式で規定(定義)されるSに設定される。
また、連通路42の全長は、狙いとする消音周波数に対し、レゾネータ18、19の共鳴周波数を表す公式を用いて算出される諸元に設定されている。つまり連通路42の全長は、上記の数2の式で規定(定義)されるLに設定される。
【0045】
ここで、本実施例では、本発明に係る消音機能を有する吸気ダクトとして、ターボチャージャのコンプレッサハウジングの出口とインタークーラ5の入口とを接続するインタークーラダクト4に適用している。
このようなターボチャージャのコンプレッサのインペラ3で圧縮されて高圧になった圧縮空気(吸気)が流れる吸気通路11を形成するインタークーラダクト4においては、狙いとする消音周波数(消音したい周波数)として、高周波数帯域に含まれる周波数(例えば2〜3kHz)が使用される。この高周波数帯域に含まれる周波数(例えば2〜3kHz)の場合には、内側バリ溜まり41の容積を小さく設定することができる。また、連通路の全長を短くすることができる。また、内側バリ溜まり41の容積を小さく設定すると同時に、連通路42の全長を短くしても良い。また、連通路42の全長を短くすると同時に、連通路42の流路断面積を大きくしても良い。
これにより、消音機能付きのインタークーラダクト4、つまりレゾネータ18、19を有するインタークーラダクト4の体格がコンパクトとなる。
【0046】
[実施例1の作用]
次に、本実施例のエンジン制御システムの作動を図1ないし図3に基づいて簡単に説明する。
【0047】
エンジン1の各気筒毎の燃焼室よりエキゾーストマニホールドへ排出された排気は、ターボチャージャのタービンハウジングの入口部である排気導入流路からホイール収容空間内に流入してホイール8を回転させ、タービンハウジングの出口部である排気導出流路から排出される。
タービンのホイール8の回転がタービンシャフト10を介してコンプレッサのインペラ3に伝達されると、コンプレッサのインペラ3が回転する。
そして、エアクリーナ2から吸気通路11内に吸い込まれた吸気は、コンプレッサハウジングの入口部である吸気導入流路からインペラ収容空間内に流入する。インペラ収容空間内に流入した吸気は、ホイール8の回転に伴い回転するインペラ3によって圧縮されて圧力(過給圧)が上昇する。そして、圧力が上昇した圧縮空気(吸気)は、コンプレッサハウジングの出口部である吸気導出流路からインタークーラダクト4を通ってインタークーラ5に送り込まれて冷却される。そして、インタークーラ5から流通した吸気は、スロットルバルブ6、インテークマニホールドを通ってエンジン1の各気筒毎の吸気ポートおよび燃焼室に吸い込まれる。
【0048】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例のインタークーラダクト4においては、第1、第2ダクト半体A、Bの各第1、第2フランジ21、31間に形成される内側バリ溜まり41および連通路42、つまりダクト本体17の両側に隣り合うように形成される内側バリ溜まり41および連通路42を、吸気音の消音を行うレゾネータ18、19として使用している。つまりダクト本体17の両側の第1、第2フランジ21、31間に形成される消音機能部(レゾネータ18、19)は、第1フランジ21の上端面から第2フランジ側に対して逆側(上方側)へ突出する凸部が設けられていない。また、第2フランジ31の下端面から第1フランジ側に対して逆側(下方側)へ突出する凸部が設けられていない。
また、内側バリ溜まり41の容積を、狙いとする消音周波数に対し、レゾネータ18、19の共鳴周波数を表す公式を用いて算出される容積に設定している。これによって、ダクト本体17を有するインタークーラダクト4に対して、新たに特別な共鳴室(レゾネータ容積部)を設けることなく、内側バリ溜まり41の容積を微調整するだけで、コンパクトな共鳴型消音器(ヘルムホルツ型のレゾネータ)を有するインタークーラダクト4を得ることができる。
【0049】
また、連通路42の流路断面積を、狙いとする消音周波数に対し、レゾネータ18、19の共鳴周波数を表す公式を用いて算出される諸元に設定している。
また、連通路42の全長を、狙いとする消音周波数に対し、レゾネータ18、19の共鳴周波数を表す公式(一般式、ヘルムホルツの式)を用いて算出される諸元に設定している。
これによって、ダクト本体17を有するインタークーラダクト4に対して、新たに特別な連通管を設けることなく、連通路42の流路断面積や全長を微調整するだけで、コンパクトな消音機能付きのインタークーラダクト4を得ることができる。
この結果、消音機能付きのインタークーラダクト4(ダクト本体17およびレゾネータ18、19)の体格を従来例1及び2(つまり、フランジ105の上端面よりも上方側に向かって突出する上側凸部およびフランジ106の下端面よりも下方側に向かって突出する下側凸部を設け、上側凸部の内面と下側凸部との間に容積空間111〜120や切欠き121〜130を設ける等して、ダクト本体110の両側の消音機能部がフランジ105、106よりも上下方向に突出する従来例1及び2の消音機能付きの吸気ダクト形状)と比べて、ダクト本体17の両側の第1、第2フランジ21、31間に形成される消音機能部(レゾネータ18、19)の体格を非常に小型化できるので、自動車等の車両のエンジンルームに対する搭載性を向上することができる。したがって、自動車等の車両への搭載スペース、特にエンジンルーム内への搭載スペースを縮小化することができる。
【0050】
また、内側壁体36の先端位置または連通路42の開口位置Hは、図3に示したように、溶着突条リブ22と溶着突条リブ32との接合面の位置Gよりも天地方向の天側に位置している。
これによって、溶着突条リブ22、32の振動溶着時に、溶着突条リブ22と溶着突条リブ32との接合面Gで生じる溶着バリが内側壁体36により確実に塞き止められるので、溶着バリがダクト本体17の内部(吸気通路11)側にはみ出すのを防止できる。これにより、はみ出し部分が障害となって吸気の流通抵抗(圧力損失)が悪化したり、エンジンに吸引されたりする不具合の発生を抑制することができる。
【0051】
また、第1ダクト半体Aの第1フランジ21に設けられる溶着突条リブ22と第2ダクト半体Bの第2フランジ31に設けられる溶着突条リブ32とは、振動溶着により接合される。すなわち、溶着突条リブ22と溶着突条リブ32とを一対の溶着治具によって挟み、各溶着突条リブ22、32の接合面Gが相対的に往復摺動することにより、接合面近傍の合成樹脂材は摩擦熱によって部分的に溶融する。そして、この溶融部分が再び固化することによって、各溶着突条リブ22、32が接合される。このような振動溶着時に、外側バリ溜まり35内および内側バリ溜まり41内に溶融した合成樹脂材の一部が侵入する。これにより、インタークーラダクト4の外部およびダクト本体17の内部(吸気通路11)に溶着バリがはみ出すのを防止できる。
【0052】
[変形例]
本実施例では、第1、第2ダクト半体A、Bを半角筒状体(半割り角筒状体)としているが、第1、第2ダクト半体A、Bを半円筒状体(半割り円筒状体)としても良い。
本実施例では、ダクト本体17の両側(吸気通路11の軸線方向(吸気流方向)に対して直角に交差する方向の両側)の第1、第2フランジ21、31間にレゾネータ18、19をそれぞれ設けているが、ダクト本体17の片側の第1、第2フランジ21、31間にのみレゾネータを設けても良い。
【0053】
また、本発明の吸気ダクトを、インタークーラダクト4以外の吸気ダクト(インテークダクト、サージタンク、インテークマニホールド)に適用しても良い。
また、本発明の吸気ダクトを、真っ直ぐに延びる直管部だけでなく、湾曲した曲管部に適用しても良い。
また、内側バリ溜まり41および連通路42の内部を区画壁により仕切ることで、内側バリ溜まり41および連通路42を複数の共鳴室(レゾネータ容積部)および複数の連通管としても良い。また、複数の共鳴室の各容積および複数の連通管の各諸元を異ならせることにより、複数の共鳴周波数の吸気音を消音(低減)できるようになる。
また、内側バリ溜まり41の長さ(吸気通路11の軸線方向(吸気流方向)の長さ)と連通路42の長さ(吸気通路11の軸線方向(吸気流方向)の長さ)とが異なっていても良い。
【0054】
本実施例では、第2フランジ31の対向面から第1フランジ側に向かって突出する内側壁体36を設けているが、第1フランジ21の対向面から第2フランジ側に向かって突出する内側壁体を設けても良い。また、第1、第2フランジ21、31の対向面から互いに接近するように第2、第1フランジ側に向かって突出する内側壁体を設けても良い。
本実施例では、第1フランジ21の対向面から第2フランジ側に向かって突出する外側壁体23を設けているが、第1フランジ側に外側壁体23を設けなくても良い。
本実施例では、第2フランジ31の対向面から第1フランジ側に向かって突出する外側壁体33を設けているが、第2フランジ側に外側壁体33を設けなくても良い。
【0055】
本実施例では、第1、第2ダクト半体A、Bを同一の樹脂材や樹脂モールド材により一体成形(射出成形)しているが、第1、第2ダクト半体A、Bを異なる樹脂材や樹脂モールド材により一体成形しても良い。なお、第1、第2ダクト半体A、Bを形成する樹脂材に、繊維状フィラー等の樹脂補強材を含有(配合)しても良い。また、第1、第2ダクト半体A、Bの成形方法として、射出成形以外に、押し出し成形やブロー成形を用いても良い。
【0056】
本実施例では、第1フランジ21の溶着突条リブ(第1溶着部)22と第2フランジ31の溶着突条リブ(第2溶着部)32とを突き合わせて振動溶着することで2つの第1、第2ダクト半体A、Bを接合一体化して合成樹脂製のインタークーラダクト(吸気ダクト)4を構成しているが、第1フランジ21の第1溶着部と第2フランジ31の第2溶着部とを突き合わせて加熱溶着、レーザー溶着等の他の溶着方法を用いて溶着することで2つの第1、第2ダクト半体A、Bを接合一体化して合成樹脂製の吸気ダクトを構成しても良い。
また、第1フランジ21の溶着突条リブ22と第2フランジ31の溶着突条リブ32とを突き合わせて互いに振動溶着される部分のみをそれぞれ第1、第2溶着部としても良い。例えば第1フランジ21の溶着突条リブ22の先端部分のみを第1溶着部としても良い。また、第2フランジ31の溶着突条リブ32の先端部分のみを第2溶着部としても良い。
【0057】
本実施例では、第1、第2ダクト半体A、Bの形状を略同一の半筒形状としているが、第1、第2ダクト半体A、Bの形状が異なる部分筒形状としても良い。また、角筒形状ではなく、円筒形状でも、異形形状でも構わない。
また、第1フランジ21の第1溶着部と第2フランジ31の第2溶着部との接合面(接合ライン)が、吸気通路11の軸線方向(吸気流方向)に対して所定の角度分だけ傾斜していても良い。
【符号の説明】
【0058】
A 第1ダクト半体
B 第2ダクト半体
1 エンジン(内燃機関)
3 コンプレッサのインペラ
4 インタークーラダクト
5 インタークーラ
17 ダクト本体
18 レゾネータ
19 レゾネータ
21 第1ダクト半体の第1フランジ
22 第1フランジの溶着突条リブ(第1溶着部)
23 第1フランジの外側壁体
31 第2ダクト半体の第2フランジ
32 第2フランジの溶着突条リブ(第2溶着部)
33 第2フランジの外側壁体
35 外側バリ溜まり
36 第2フランジの内側壁体
41 内側バリ溜まり(レゾネータの共鳴室)
42 連通路(レゾネータの連通管)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関に吸い込まれる吸気が流れる吸気通路を形成する筒状のダクト本体、およびこのダクト本体に発生する吸気音を共鳴作用により消音するレゾネータを有する合成樹脂製の吸気ダクトであって、
少なくとも2分割された第1、第2ダクト半体の周縁に互いに対向する第1、第2フランジをそれぞれ設け、
前記第1、第2フランジに互いに溶着される第1、第2溶着部をそれぞれ設け、
前記第1、第2溶着部同士を突き合わせて溶着することにより前記第1、第2ダクト半体を接合一体化して形成される吸気ダクトにおいて、
(a)前記第1、第2溶着部よりも前記ダクト本体側に設置されて、前記第1、第2フランジのうちの少なくとも一方のフランジから前記第1、第2フランジのうちの少なくとも他方のフランジ側に向かって突出する内側壁体と、
(b)前記第1、第2溶着部と前記内側壁体との間に形成されて、溶着時に発生する溶着バリを溜める内側バリ溜まりと、
(c)前記内側壁体と前記他方のフランジとの間に形成されて、前記吸気通路と前記内側バリ溜まりとを連通する連通路と
を備え、
前記レゾネータは、前記内側バリ溜まりおよび前記連通路によって構成されていることを特徴とする吸気ダクト。
【請求項2】
請求項1に記載の吸気ダクトにおいて、
前記内側バリ溜まりは、前記レゾネータの共鳴室として使用されることを特徴とする吸気ダクト。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の吸気ダクトにおいて、
前記内側バリ溜まりの容積は、
狙いとする消音周波数に対し、前記レゾネータの共鳴周波数を表す公式を用いて算出される容積に設定されていることを特徴とする吸気ダクト。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の吸気ダクトにおいて、
前記連通路は、前記レゾネータの連通管として使用されることを特徴とする吸気ダクト。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のうちのいずれか1つに記載の吸気ダクトにおいて、
前記連通路の流路断面積は、
狙いとする消音周波数に対し、前記レゾネータの共鳴周波数を表す公式を用いて算出される諸元に設定されていることを特徴とする吸気ダクト。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のうちのいずれか1つに記載の吸気ダクトにおいて、
前記連通路の全長は、
狙いとする消音周波数に対し、前記レゾネータの共鳴周波数を表す公式を用いて算出される諸元に設定されていることを特徴とする吸気ダクト。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の吸気ダクトにおいて、
ターボチャージャのコンプレッサの出口に接続するインタークーラダクトに適用されていることを特徴とする吸気ダクト。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のうちのいずれか1つに記載の吸気ダクトにおいて、
狙いとする消音周波数とは、高周波数帯域に含まれる周波数のことであることを特徴とする吸気ダクト。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のうちのいずれか1つに記載の吸気ダクトにおいて、
前記第1溶着部は、前記第1フランジから前記第2フランジ側に向かって突出すると共に、前記吸気通路の吸気流方向に延びる突条リブを有していることを特徴とする吸気ダクト。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のうちのいずれか1つに記載の吸気ダクトにおいて、
前記第2溶着部は、前記第2フランジから前記第1フランジ側に向かって突出すると共に、前記吸気通路の吸気流方向に延びる突条リブを有していることを特徴とする吸気ダクト。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のうちのいずれか1つに記載の吸気ダクトにおいて、
前記第1ダクト半体は、前記第2ダクト半体よりも天地方向の天側に配置されており、 前記内側壁体は、前記第2フランジから前記第1フランジ側に向かって突出しており、 前記連通路は、前記第1フランジと前記内側壁体との間に形成されており、
前記内側壁体の先端位置または前記連通路の開口位置は、前記第1溶着部と前記第2溶着部との接合面の位置よりも天地方向の天側に位置していることを特徴とする吸気ダクト。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のうちのいずれか1つに記載の吸気ダクトにおいて、
前記第1、第2溶着部よりも前記吸気通路側に対して逆側に設置されて、前記第1、第2フランジのうちの少なくとも一方のフランジから前記第1、第2フランジのうちの少なくとも他方のフランジ側に向かって突出する外側壁体と、
前記第1、第2溶着部と前記外側壁体との間に形成されて、溶着時に発生する溶着バリを溜める外側バリ溜まりと
を備えていることを特徴とする吸気ダクト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−193631(P2012−193631A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56421(P2011−56421)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)