説明

吸気装置の連結構造

【課題】大型の構造体の有無に関わらず適用可能な吸気装置の連結構造を提供する。
【解決手段】本発明は、シリンダヘッドの上流側に設けられる燃料調整装置と、燃料調整装置の端部が挿入される吸気管38と、端部の吸気管38への挿入によって形成される重合部の外周に設けられ、重合部を締め付けて吸気管38と燃料調整装置を連結する締着帯57と、を備えた吸気装置の連結構造であって、締着帯57の外周面には互いに対向する一対の立壁69が設けられ、一対の立壁69の対向間隔に挿入される規制突起51が吸気管38又は燃料調整装置に設けられ、締着帯57による重合部の締め付け時に、規制突起51と立壁69が接触して締着帯57の回転が規制されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車、自動車、船外機等のエンジンの吸気装置に適用され、この吸気装置を構成する複数の通気構造体を接続するための連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動二輪車、自動車、船外機等のエンジンには、空気と燃料の混合気を燃焼室に供給するための吸気装置が設けられている。この吸気装置は、例えば、シリンダヘッドの上流側に設けられる燃料調整装置と、燃料調整装置の上流側に設けられるエアクリーナとを備えており、エアクリーナから導入される空気と燃料調整装置に噴射される燃料が混合されて、シリンダヘッドに導入されるようになっている。
【0003】
この種の吸気装置に用いられる連結構造として、特許文献1には、エアクリーナに固定された出口筒と燃料調整装置(特許文献1では気化器3)との接続部を円環状の金属バンド(締着帯)によって締め付けることで、エアクリーナを燃料調整装置に連結する構成が開示されている。この従来技術では、上記した締め付け時に金属バンドが回転しないように、エアクリーナから突出させた突起に金属バンドを接触させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−320411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような構造では、出口筒と燃料調整装置の接続部の近傍に、突起を設けるための大型の構造体(エアクリーナ等)が必要となり、実際上大型の構造体の近傍でしか回り止めの構造を適用することができなかった。そのため、連結構造の適用範囲が限定されていた。
【0006】
また、特許文献1では、エアクリーナに固定された出口筒の端部に金属バンドが巻き付けられているのに対して、突起はエアクリーナに設けられている。即ち、金属バンドによって連結される出口筒や燃料調整装置とは別の部材に突起が設けられている。このような構成では、設計公差(製造誤差)や組み付け時に生じる所謂組み付け誤差が大きくなり、金属バンドとエアクリーナの突起の位置がずれる問題があった。
【0007】
そこで、本発明は上記の事情を考慮し、大型の構造体の有無に関わらず適用可能な吸気装置の連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、シリンダヘッドの上流側に設けられる燃料調整装置と、該燃料調整装置の端部が挿入される吸気管と、前記端部の前記吸気管への挿入によって形成される重合部の外周に設けられ、該重合部を締め付けて前記吸気管と前記燃料調整装置を連結する締着帯と、を備えた吸気装置の連結構造であって、前記締着帯の外周面には互いに対向する一対の立壁が設けられ、該一対の立壁の対向間隔に挿入される規制突起が前記吸気管又は前記燃料調整装置に設けられ、前記締着帯による前記重合部の締め付け時に、前記規制突起と前記立壁が接触して前記締着帯の回転が規制されることを特徴とする。
【0009】
このような構成を採用することにより、エアクリーナ等の比較的大型の構造体が無い場合又は比較的大型の構造体が重合部から離れている場合であっても連結構造の適用が可能となり、締着帯の回転を規制しながら重合部の締め付けを安定的に行うことが可能となる。
【0010】
また、前記規制突起は、前記吸気管と一体に成形されていても良い。
【0011】
このような構成を採用することで、従来の構造と比較して設計公差が小さくなり、立壁と規制突起の位置ずれが生じにくくなる。また、吸気管に燃料調整装置を接続する前に、吸気管の規制突起と締着帯の立壁を用いて、締着帯を所定の位置(所定の角度)に位置決めしておくことができる。これに伴って、燃料調整装置の組み付けを行う作業者は、燃料調整装置の接続に伴う振動により締着帯が回転するのを気にすることなく、簡単に燃料調整装置の組み付けを行うことができる。
【0012】
更に、前記一対の立壁の基端部は、前記締着帯の外周面に固定され、前記一対の立壁の先端部は、互いに連結されていても良い。
【0013】
このような構成を採用することにより、立壁の強度を向上させることができる。特に、締着帯の回転方向に対して高強度となるため、作業者がドライバーをボルトに強く押し付けたとしても、締着帯は回転することが無く、確実にボルトの着脱を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大型の構造体の有無に関わらず適用可能な吸気装置の連結構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る自動二輪車を示す左側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る自動二輪車のエンジンを示す左側面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る自動二輪車のエンジンにおいて、シリンダヘッドの吸気ポート周辺部を示す背面図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、金属バンドを取り付けた下流側吸気管の斜視図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、下流側吸気管と燃料調整装置の連結構造を示す断面図である。
【図6】本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、下流側吸気管を示す左側面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る自動二輪車において、締付ボルトを取り付けた金属バンドの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の一実施形態に係る自動二輪車1の全体の構成について説明する。以下、上下、左右、前後の方向は、自動二輪車1に乗車する運転者から見た方向を示す。
【0017】
図1に示されるように、自動二輪車1には、骨組を構成する車体フレーム2が設けられている。車体フレーム2は、自動二輪車1の上前部に配置されるヘッドパイプ3と、ヘッドパイプ3の上部後側から後方に向けて左右一対に延設されるメインフレーム4と、ヘッドパイプ3の下部後側から後下方に向けて延設される左右一対のサブフレーム5と、メインフレーム4の後端から下方に向けて延設される左右一対のボディチューブ6と、メインフレーム4及びボディチューブ6から後方に向かって延設される左右一対のシートレール7と、を主体として構成されている。
【0018】
ヘッドパイプ3には、左右一対のフロントフォーク10が回転可能に支持されている。フロントフォーク10の下端には前輪11が軸支され、フロントフォーク10の下部には、前輪11の上部を覆うようにしてフロントフェンダ12が固定されている。フロントフォーク10の上端にはハンドルバー13が固定され、ハンドルバー13の両端にはグリップ14が固定されている。
【0019】
左右一対のボディチューブ6の後下部には、フートレスト15が取り付けられている。フートレスト15の前方にはピボット軸16が架設され、ピボット軸16にはリヤスイングアーム17が上下方向揺動可能に支持されている。リヤスイングアーム17の後端には後輪18が軸支され、後輪18の上方にはリヤフェンダ20が設けられている。
【0020】
メインフレーム4とサブフレーム5の間には、エンジン21が懸架されている。エンジン21には、エキゾーストパイプ22の前端部が連結され、エキゾーストパイプ22の後端部にはマフラ23が連結されている。エンジン21の上方には燃料タンク24が搭載され、燃料タンク24の後方には、シートレール7に支持されて運転者シート25が設けられている。
【0021】
次に、エンジン21について説明する。
【0022】
エンジン21は、例えば水冷式並列4気筒エンジンである。図2に示されるように、エンジン21は、上下二分割式のクランクケース26と、クランクケース26の上前部に突設されるシリンダアッセンブリ27と、を備えている。シリンダアッセンブリ27は、クランクケース26から上前方に延設されるシリンダ28と、シリンダ28の上方に設けられるシリンダヘッド30と、シリンダヘッド30の上面を被覆するシリンダヘッドカバー31と、を備えている。
【0023】
クランクケース26は例えばアルミ製であり、クランクケース26の下端にはオイルパン32が設けられている。クランクケース26内には、いずれも図示を省略するクランク軸と、クラッチと、変速装置と、が収納されている。そして、エンジン21の駆動に伴ってクランク軸が回転すると、この回転がクラッチ及び変速装置を介して後輪18に伝達されて、自動二輪車1が走行するように構成されている。
【0024】
図3に示されるように、シリンダヘッド30の後壁33には、4個のインテークポート34が車幅方向(左右方向)に並んで設けられている。各インテークポート34には後方に向かって開口部35が設けられ、各開口部35は、シリンダ28とシリンダヘッド30の間に設けられた燃焼室(図示せず)と連通している。各インテークポート34には、開口部35の外周にフランジ面36(図2参照)が設けられている。
【0025】
図2に示されるように、インテークポート34には、吸気装置37が接続されている。吸気装置37は、シリンダヘッド30の上流側に設けられる下流側吸気管38と、下流側吸気管38の上流側に設けられる燃料調整装置(スロットルボディ)40と、燃料調整装置40の上流側に設けられる上流側吸気管41と、上流側吸気管41の上流側に設けられるエアクリーナ42と、を備えている。
【0026】
なお、図2及び図5は、燃料噴射装置40を下流側吸気管38に組み付けた状態を示しているのに対して、図3及び図4は、燃料噴射装置40を下流側吸気管38に組み付ける前の状態を示している。また、図4では手前側が上流側、奥側が下流側であり、図5では、上側が上流側、下側が下流側であり、図6では、右側が上流側、左側が下流側である。また、図4のA−A線は、図5における断面位置を示している。
【0027】
下流側吸気管38は、硬質ゴム製であり、円筒状を成している。図4に最も良く示されるように、下流側吸気管38の外周面43の下流端部には、上方と下方に向かって突部44が設けられ、各突部44には締結穴(ザグリ穴)45が設けられている。そして、下流側吸気管38の下流側の端面をインテークポート34のフランジ面36に接合させた状態で、締結穴45に貫挿させた締結ボルト46(図3参照)をシリンダヘッド30に設けられた雌ネジ部(図示せず)に螺合させることで、下流側吸気管38がシリンダヘッド30に連結されている。下流側吸気管38の下流側の端面には、円環状の溝部47(図5参照)が凹設されている。
【0028】
図5、図6に示されるように、下流側吸気管38の外周面43の上流端部には円環状の巻き付け凹部50が設けられている。内側の2気筒に対応する下流側吸気管38には、上側の突部44の左右両側に規制突起51が設けられている。規制突起51は下流側吸気管38と一体に成形されている。規制突起51は、巻き付け凹部50よりも下流側の外周面43から外側に向かって形成される突出部48と、この突出部48の外側部分から上流側に向かって延びる延出部49と、を備えており、断面略L字状を成している。延出部49は、巻き付け凹部50の外側に、所定の間隔を介して配置されている。下流側吸気管38の内周面52の上流部分には環状凹部53が設けられ、環状凹部53には、環状リブ54が突設されている。
【0029】
燃料調整装置40は、例えばアルミ製である。図5に示されるように、燃料調整装置40の下流端部には円筒状の差込み部55が設けられており、この差込み部55は、下流側吸気管38内に挿入されて環状凹部53に嵌合している。これにより、燃料調整装置40の内部空間と下流側吸気管38の内部空間が連通している。なお、図示を省略するが、燃料調整装置40の上流端部は上流側吸気管41に挿入されており、この挿入によって燃料調整装置40と上流側吸気管41の重合部が形成されている。
【0030】
燃料調整装置40内にはスロットルバルブ(図示せず)が設けられており、このスロットルバルブを開放することで、エアクリーナ42に導入された空気が、上流側吸気管41を介して燃料調整装置40に導入されるようになっている。
【0031】
燃料調整装置40には燃料噴射装置56(図2参照)が接続され、燃料噴射装置56には燃料タンク24が接続されている。そして、燃料タンク24から燃料噴射装置56に導入された燃料が、燃料調整装置40内に噴射されて空気と混合された後、下流側吸気管38及びインテークポート34を介して燃焼室(図示せず)に導入されるように構成されている。
【0032】
燃料調整装置40と下流側吸気管38の重合部59(以下、単に「重合部59」と称す。)の外周には、締着帯としての金属バンド57が巻き付けられている(図5参照)。外側の2気筒に対応する金属バンド57は、巻き付け凹部50に巻き付けられる円環状のバンド本体58と、バンド本体58の両端部に設けられる一対の締付片60と、を備えている。内側の2気筒に対応する金属バンド57は、上記したバンド本体58及び締付片60に加えて、バンド本体58の外周面に固定される立壁部材61を備えている。以下、内側の2気筒に対応する金属バンド57を基準に説明する。
【0033】
図7に示されるように、バンド本体58の幅方向両端(図7では上下両端)には、鍔部62が設けられている。各締付片60には、互いに対向する締付板63が設けられ、各締付板63には貫挿穴64が穿設されている。一方の締付板63(図7では左側の締付板63)には、四角柱状の締付ナット65が固定され、締付ナット65には貫挿穴64と対応する位置に、雌ネジ部66が設けられている。雌ネジ部66には、各貫挿穴64に貫挿された締付ボルト67が螺合している。締付ボルト67には、各締付板63の対向間隔に突当ナット68が螺合している。
【0034】
立壁部材61は、一方の締付片60側に偏った位置に設けられている。立壁部材61は、互いに対向する一対の立壁69を備えている。図4に示されるように、一対の立壁69の基端部(開放端部)70は互いに離間する方向に湾曲しており、バンド本体58の外周面に溶接されている。一対の立壁69の先端部71は、互いに接近する方向に湾曲しており、連結壁72を介して連結されている。これにより、立壁部材61は、U字状を成している。
【0035】
上記の如く構成されたものにおいて、並列4気筒のうち内側の2気筒に対応する吸気装置37について、燃料調整装置40を下流側吸気管38に連結する方法を説明する。以下、右から2番目の気筒に対応する下流側吸気管38を右側の下流側吸気管38と称し、左から2番目の気筒に対応する下流側吸気管38を左側の下流側吸気管38と称す。
【0036】
まず、一対の立壁69の対向間隔に規制突起51を挿入しながら、金属バンド57のバンド本体58を下流側吸気管38の巻き付け凹部50に巻き付ける。その際、図3に示されるように、右側の下流側吸気管38に取り付けられる金属バンド57については、上側の突部44の左側に設けられた規制突起51を一対の立壁69の対向間隔に挿入し、左側の下流側吸気管38に取り付けられる金属バンド57については、上側の突部44の右側の規制突起51を一対の立壁69の対向間隔に挿入する。また、どちらの金属バンド57についても、締付ボルト67の頭が外側を向くように配置する。
【0037】
次に、下流側吸気管38内に燃料調整装置40の差込み部55を挿入していき、差込み部55を燃料調整装置40の環状凹部53に嵌合させる(図5参照)。そして、車体側方から挿入したドライバー(図示せず)により締付ボルト67を締め込む。これにより、他方の締付板63が徐々に一方の締付板63側に移動し、突当ナット68に当接する(図7の二点鎖線参照)。これに伴って、バンド本体58の内径が徐々に小さくなり、金属バンド57によって重合部59が締め付けられる。これにより、燃料調整装置40の差込み部55の外周面と下流側吸気管38の内周面52が圧接して、下流側吸気管38と燃料調整装置40が連結される。なお、自動二輪車1の走行が繰り返され、下流側吸気管38の肉厚が薄くなった場合には、適宜突当ナット68の締付ボルト67に対する螺合位置を変化させて、締め付け強度を調節する。
【0038】
本実施形態では、上記した金属バンド57による重合部59の締め付け時に、一対の立壁69が規制突起51に接触して金属バンド57の回転が規制される。そのため、エアクリーナ42等の比較的大型の構造体が無い場合又は比較的大型の構造体が重合部59から離れている場合であっても、金属バンド57の回転を規制しながら重合部59の締め付けを安定的に行うことが可能となり、燃料調整装置40を下流側吸気管38に容易に連結することが可能となる。
【0039】
また、立壁69の先端部71を互いに連結させているため、立壁69の強度を向上させることができる。特に金属バンド57の回転方向に対して高強度となるため、作業者がドライバーを締付ボルト67に強く押し付けたとしても、金属バンド57は回転することが無く、確実に締付ボルト67の着脱を行うことができる。
【0040】
特に、本実施形態では、U字状の立壁部材61で規制突起51の外周を囲うようにしているため、金属バンド57の回転だけでなく、金属バンド57の平行移動も確実に規制することができる。そのため、締付作業中における金属バンド57の脱落等を防止して、締付作業を一層円滑に行うことが可能となる。
【0041】
また、下流側吸気管38に規制突起51を設けているため、エアクリーナ42に規制突起51を設けるような場合と比較して設計公差が小さくなり、立壁69と規制突起51との位置ずれが生じにくくなる。また、下流側吸気管38に燃料調整装置40を接続する前に、下流側吸気管38の規制突起51と金属バンド57の立壁69を用いて、金属バンド57を所定の位置(所定の角度)に位置決めしておくことができる。これに伴って、燃料調整装置40の組み付けを行う作業者は、燃料調整装置40の接続に伴う振動により金属バンド57が回転するのを気にすることなく、簡単に燃料調整装置40の組み付けを行うことができる。
【0042】
また、金属バンド57に関して、バンド本体58の一部を変形させて立壁部材61を形成するのではなく、バンド本体58とは別体に形成された立壁部材61をバンド本体58に溶着している。そのため、バンド本体58の円筒形状の一部に凹凸が生じない。また、下流側吸気管38に関して、巻き付け凹部50の一部を隆起させて規制突起51を形成するのではなく、巻き付け凹部50よりも下流側から突出させた規制突起51を巻き付け凹部50の外側に延出させている。そのため、巻き付け凹部50の円環形状の一部に凹凸が生じない。このように、バンド本体58及び巻き付け凹部50のどちらにも凹凸が生じないため、締付ボルト67による締付時に生じる応力を、バンド本体58と巻き付け凹部50の接触部分全体に均一に分散させることが可能となる。そのため、凹凸による締結力の低下を防止することが可能となる。
【0043】
また、本実施形態では、上側の突部44の左右両側に規制突起51を設けると共に、立壁部材61を一方の締付片60側に偏った位置に配置することで、同一形状の金属バンド57を用いて、左右両側の下流側吸気管38に対応することが可能となっている(図3参照)。これに伴って、金属バンド57の製造工程の簡易化及び製造コストの低廉化を図ることが可能となる。
【0044】
なお、本実施形態では、燃料調整装置40と下流側吸気管38の連結に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、燃料調整装置40と上流側吸気管41の連結に本発明の構成を適用しても良い。
【0045】
なお、本実施形態では、上側の突部44の左右両側に規制突起51を設ける場合について説明したが、上側、下側の区別は便宜的なものであり、インテークポート34のレイアウト等に応じて、本実施形態とは上下逆さまに下流側吸気管38を取り付けて、下側の突部44の左右両側に規制突起51が配置されるように構成しても良い。
【0046】
本実施形態では、並列する4気筒に対応する吸気装置37のうち、燃料調整装置40の下流側吸気管38への組み付けが特に困難な内側の2気筒に対応する吸気装置37にのみ本願発明の構成を適用した。一方で、他の異なる実施形態では、すべての気筒に対応する吸気装置37に本願発明の構成を適用することも可能である。即ち、本願発明の構成を適用する吸気装置37の数は適宜変更することが可能である。
【0047】
本実施形態では、立壁部材61を1箇所にのみ設けたが、他の異なる実施形態では、複数箇所に立壁部材61を設けても良い。本実施形態では、一対の立壁69と連結壁72により立壁部材61をU字型に形成したが、他の異なる実施形態では、一対の立壁69及び連結壁72を平板状とすることで、立壁部材61をコ字状に形成しても良い。また、各立壁69の先端部71同士を直接連結することで、立壁部材61をV字状に形成しても良い。これらの構成を採用した場合にも、本実施形態と同様に一対の立壁69の先端部71が互いに連結されるため、立壁69の高強度化を図ることが可能となる。
【0048】
本実施形態では、下流側吸気管38に一対の規制突起51を設けたが、他の異なる実施形態では、1個又は3個以上の規制突起51を下流側吸気管38に設けても良い。本実施形態では、下流側吸気管38に規制突起51を設けたが、他の異なる実施形態では、燃料調整装置40に規制突起51を設けても良い。本実施形態では、金属バンド57を締着帯として用いたが、他の異なる実施形態では、例えばプラスチック等の樹脂製の締着帯を用いても良い。
【0049】
本実施形態では、並列4気筒型のエンジン21に本発明の構成を適用する場合について説明したが、他の異なる実施形態では、並列2気筒型、単気筒型、V型等の他の異なるタイプのエンジン21に、本発明の構成を適用しても良い。
【0050】
本実施形態では、オンロード型の自動二輪車1のエンジン21に本発明の構成を適用したが、他の異なる実施形態では、オフロード型、スクータ型等の他の異なるタイプの自動二輪車1に本発明の構成を適用しても良い。また、ATV(不整地走行車両)、自動車(四輪車)、雪上車、船外機等のエンジン21に、本発明の構成を適用することも可能である。即ち、本発明は、4サイクルレシプロエンジン全般に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
30 シリンダヘッド
37 吸気装置
38 下流側吸気管(吸気管)
40 燃料調整装置
51 規制突起
57 金属バンド(締着帯)
59 重合部
69 立壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッドの上流側に設けられる燃料調整装置と、該燃料調整装置の端部が挿入される吸気管と、前記端部の前記吸気管への挿入によって形成される重合部の外周に設けられ、該重合部を締め付けて前記吸気管と前記燃料調整装置を連結する締着帯と、を備えた吸気装置の連結構造であって、
前記締着帯の外周面には互いに対向する一対の立壁が設けられ、該一対の立壁の対向間隔に挿入される規制突起が前記吸気管又は前記燃料調整装置に設けられ、
前記締着帯による前記重合部の締め付け時に、前記規制突起と前記立壁が接触して前記締着帯の回転が規制されることを特徴とする吸気装置の連結構造。
【請求項2】
前記規制突起は、前記吸気管と一体に成形されていることを特徴とする請求項1に記載の吸気装置の連結構造。
【請求項3】
前記一対の立壁の基端部は、前記締着帯の外周面に固定され、
前記一対の立壁の先端部は、互いに連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸気装置の連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−229672(P2012−229672A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−99219(P2011−99219)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)