説明

吸水剤及びその製造方法

吸水性樹脂粒子と、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含む改質カチオン性高分子化合物と、を含む吸水剤であって、当該改質カチオン性高分子化合物は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と、改質剤とを反応させて得られるものであり、該改質剤は、連続する2個以上の炭素原子を含むとともに、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応する反応性基を1個含む。吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、吸水性樹脂粒子と改質カチオン性高分子化合物とを混合する混合工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水剤及びその製造方法に関するものであり、特に、紙おむつや生理用ナプキン、いわゆる失禁パッド等の衛生材料等に好適に用いることができる吸水剤及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の衛生材料においては、体液を吸収させることを目的として、パルプ等の親水性繊維と吸水剤とを構成材料とする吸水体が幅広く用いられている。
【0003】
近年、これら衛生材料には利便性向上のため薄型化が要求されている。そのため、吸水体において、かさ比重の小さい親水性繊維の比率を低くし、吸水性に優れ、かつ、かさ比重の大きい吸水剤の比率を高めている。このように吸水体中における吸水剤の使用量を高めることによって、吸水量等の物性を低下させることなく、衛生材料の薄型化を図っている。
【0004】
しかしながら、このように親水性繊維の比率を低くし、吸水剤の比率を高めた衛生材料は、単純に液体を貯蔵するという観点からは好ましいが、実際のおむつ等としての使用状況における液体の分配、拡散を考えた場合には、むしろ問題が生じてくる。例えば、多量の吸水剤は吸水により柔らかいゲル状となり、液体の吸水剤内部への吸収を妨げるゲルブロッキングという現象を引き起こし、衛生材料中の液の拡散性を劇的に低下させる。このような問題を避け、吸収体の吸収特性を維持するためには、親水性繊維と吸水剤との比率はおのずと制限され、衛生材料の薄型化にも限界が生じている。
【0005】
このゲルブロッキングを抑制し、かつ十分な吸水量を達成するためには、遠心分離機保持容量(CRC)等で表される吸収倍率と食塩水流れ誘導性(SFC)等であらわされる液透過性のバランスに優れる吸水剤を得ることが必要となっている。しかし、この2つの関係は、一方を高めるともう一方が低下する関係にあるため、両方の関係(バランス)を十分なレベルまで高めることは困難である。かかる課題を達成するための手段として、例えば以下に挙げるような技術が知られている。
【0006】
特許文献1には、3価以上のカチオンで処理されてなる吸水性樹脂が開示されている。特許文献2には、吸水性樹脂に静電又は立体スペーサーを用いる技術が開示されている。特許文献3には、毛細吸引力と液透過性の両方の物性を併せ持つ吸水剤を提供するために、アクリル酸及び/又はその塩を含む単量体を架橋重合して得られた、不定形破砕状粒子の表面がさらに架橋処理されてなる吸水性樹脂粒子及び液透過性向上剤を含む粒子状吸水剤が開示されている。
【0007】
ところで、吸収倍率と液透過性とのバランスを向上させることを目的とする特許文献1〜3以外にも、吸水性樹脂の様々な物性を向上させるために、種々の添加剤を混合することが提案されている。
【0008】
例えば、刊行物4にはセルロース繊維と複合したときに移動や脱落が起こりにくく、このため、吸水性能に相乗効果が期待されるような吸水剤を容易に得ることを目的として、カルボキシル基を有する吸水性樹脂粒子表面を、前記カルボキシル基と反応して共有結合を形成しうる2個以上の官能基を有する架橋剤で処理して前記カルボキシル基の一部で架橋させ、その後、粒子を、カルボキシル基と反応してイオン結合を形成しうる、重量平均分子量2000以上のカチオン性高分子化合物と混合する吸水剤の製造方法が開示されている。
【0009】
また、刊行物5には、微粒子状の水不溶性無機粉体、および/または、重量平均分子量5000以上のポリアミン化合物を含み、20g/cm(1.96kPa)の荷重下における、吸収開始から60分経過後の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液の拡散吸収倍率が25g/g以上である吸収剤組成物が開示されている。
【0010】
また、刊行物6には、吸水速度、ゲル層の透過速度、加圧下のゲル層の透過速度並びに加圧下吸収倍率がそれぞれ単独よりも優れた吸水剤組成物を提供することを目的として、少なくともアニオン性解離基を有する吸水性樹脂粒子およびカチオン性基を有する水膨潤性樹脂粒子を含む吸水剤組成物が開示されている。
【0011】
刊行物7には、加圧下および無加圧下における吸水倍率に優れ、しかも皮膚等への安全性が高い、衛生材料に好適な吸水剤およびその製造方法を提供することを目的として、吸水性樹脂粒子の表面の少なくとも一部が、多価アミン化合物とオレフィン性二重結合を有する化合物との付加体からなるコーティング膜で被覆されてなるものが開示されている。
【0012】
刊行物8には、膨潤後長時間が経過しても、ゲル同士が凝集し保型した状態を維持でき、高い通液性、加圧下吸収倍率を有することを目的として、吸水性樹脂粒子+特定の範囲に架橋されたカチオン性高分子化合物の混合物が開示されている。
【0013】
刊行物9には、高い吸収能力を有する改良された特性、改良された液体透過性、および高い耐水性を有する吸水剤提供することを目的として、吸水剤ポリマーの粒子および窒素含有ポリマーの全質量に対して5〜17モル/kgのプロトン化可能な窒素原子を有する窒素含有ポリマーからなる吸水剤が開示されている。
【0014】
刊行物10には、酸型の架橋ポリマーと塩基型の架橋ポリマーを組み合わせた吸水性樹脂が開示され、塩基性のポリマーとしてポリエチレンイミン、ポリアリルアミンの架橋体が使用されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2001/74913号パンフレット(公開日:2001年10月11日)
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0128618号明細書(公開日:2002年9月12日)
【特許文献3】国際公開第2004/069915号パンフレット(公開日:2004年8月19日)
【特許文献4】日本国公開特許公報「特開平5−31362号公報(公開日:1993年2月9日)
【特許文献5】日本国公開特許公報「特開2000−342963号公報(公開日:2000年12月12日)
【特許文献6】日本国公開特許公報「特開2000−95955号公報(公開日:2000年4月4日)
【特許文献7】日本国公開特許公報「特開2002−212301号公報(公開日:2002年7月31日)
【特許文献8】日本国公開特許公報「特開2003−62460号公報(公開日:2003年3月4日)
【特許文献9】日本国公表特許公報「特表2005−537131号公報(公開日:2005年12月8日)
【特許文献10】国際公開第99/34841号パンフレット(公開日:1999年7月15日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記特許文献1〜3に開示されている技術は、多価金属塩(金属カチオン)、無機粒子、ポリカチオン等の液透過性向上効果を有する添加剤を吸水性樹脂に添加することで、吸収倍率と液透過性の関係向上を達成する技術であるが、依然としてその関係(バランス)は十分なレベルまで達しておらず、さらなる向上が期待されている。また、上記特許文献4〜10に開示されている技術によっても、吸収倍率と液透過性の関係(バランス)は十分なレベルまで達していない。
【0017】
具体的には、吸水剤を実際に使用する上で、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とを兼ね備えていることが吸水剤に要求されるものの、従来の技術ではこれらの物性を十分満たすには至っていない。
【0018】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであって、その目的は遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とのバランスに優れた吸水剤とその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、吸水性樹脂粒子と、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含む改質カチオン性高分子化合物と、を含む吸水剤であって、当該改質カチオン性高分子化合物は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物を改質剤で改質してなるもの、換言すれば、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と、改質剤とを反応させて得られるものであり、該改質剤は、連続する2個以上の炭素原子を含むとともに、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応する反応性基を1個含んでいる場合に、かかる吸水剤が、従来の技術で得られる吸水剤と比べて、飛躍的に遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れることを初めて見出し本発明を完成するに至った。より具体的には、吸水性樹脂粒子の表面に、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含む改質カチオン性高分子化合物が存在し、当該改質カチオン性高分子化合物は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と、改質剤とを反応させて得られるものであり、該改質剤が、連続する2個以上の炭素原子を含むとともに、上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応する反応性基を1個含んでいる場合に、かかる吸水剤が、従来の技術で得られる吸水剤と比べて、飛躍的に遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れることを初めて見出し本発明を完成するに至った。
【0020】
また、本発明者らは、吸水性樹脂粒子と、2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と、を含む吸水剤であって、当該カチオン性高分子化合物として、カチオン価が1〜22mmol/gであり、かつ、2級カチオン価が0.1〜11mmol/gであるカチオン性高分子化合物を用いる場合に、かかる吸水剤が、従来の技術で得られる吸水剤と比べて、飛躍的に遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れることを初めて見出し本発明を完成するに至った。
【0021】
本発明にかかる吸水剤は、上記課題を解決するために、吸水性樹脂粒子と、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含む改質カチオン性高分子化合物と、を含む吸水剤であって、当該改質カチオン性高分子化合物は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と、改質剤とを反応させて得られるものであり、該改質剤は、連続する2個以上の炭素原子を含むとともに、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応する反応性基を1個含むことを特徴としている。
【0022】
上記の構成によれば、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とのバランスに優れた吸水剤を提供することができるという効果を奏する。
【0023】
本発明にかかる吸水剤では、上記改質カチオン性高分子化合物は、上記吸水性樹脂粒子の表面に存在していることが好ましい。
【0024】
本発明にかかる吸水剤では、上記カチオン性高分子化合物の重量平均分子量は、5000以上であることが好ましい。
【0025】
上記の構成によれば、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とのバランスに優れた吸水剤を提供することができるという効果を奏する。
【0026】
本発明にかかる吸水剤では、上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と改質剤とを反応させることによって生成する結合がアミド結合ではないことが好ましい。上記構成によれば、液透過性向上の効果により優れるという効果を奏する。
【0027】
本発明にかかる吸水剤では、上記改質剤が、連続する3個以上の炭素原子を含むことが好ましい。上記構成によれば、液透過性向上の効果により優れるという効果を奏する。
【0028】
本発明にかかる吸水剤では、改質剤と反応している1級アミノ基及び/又は2級アミノ基の、カチオン性高分子化合物中の全窒素原子に対する割合は、5〜90モル%であることが好ましい。上記構成によれば、液透過性向上の効果により優れるという効果を奏する。
【0029】
本発明にかかる吸水剤では、改質カチオン性高分子化合物のカチオン価が1〜23mmol/gであることが好ましい。上記構成によれば、CRCとSFCとのバランスにさらに優れるというさらなる効果を奏する。
【0030】
本発明にかかる吸水剤は、上記課題を解決するために、吸水性樹脂粒子と、2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と、を含む吸水剤であって、当該カチオン性高分子化合物は、カチオン価が1〜22mmol/gであり、かつ、2級カチオン価が0.1〜11mmol/gである吸水剤であってもよい。
【0031】
上記の構成によれば、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とのバランスに優れた吸水剤を提供することができるという効果を奏する。
【0032】
本発明にかかる吸水剤では、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物は、上記吸水性樹脂粒子の表面に存在していることが好ましい。
【0033】
本発明にかかる吸水剤では、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物の重量平均分子量は、5000以上であることが好ましい。
【0034】
上記の構成によれば、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とのバランスに優れた吸水剤を提供することができるという効果を奏する。
【0035】
本発明にかかる吸水剤では、上記吸水性樹脂粒子は、表面架橋されたものであることが好ましい。
【0036】
上記構成により、膨潤した吸水剤に圧力をかけた際に生じる液の戻り量を減少させることができる。そのため、AAP、言い換えれば、圧力に対する吸収力を高めることができるという効果を奏する。
【0037】
本発明にかかる吸水剤では、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液の液滴を滴下したときの接触角が90度以下であることが好ましい。上記構成によれば、親水性が高く、吸水体に使用された場合、液の拡散性に優れる。それゆえ、吸水体における液の吸収面積が大きくなり、吸水体の性質が向上するというさらなる効果を奏する。
【0038】
本発明にかかる吸水剤は、さらに水溶性多価金属塩を含むことが好ましい。上記構成により、吸水剤の遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とをさらに向上することができるという効果を奏する。
【0039】
本発明にかかる吸水剤は、さらに水不溶性の無機微粒子を含むことが好ましい。上記構成によれば、吸水剤の遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とをさらに向上することができる。また、粉体としてのハンドリング性(流動性)が向上するとともに、吸湿時に凝集しにくくなるというさらなる効果を奏する。
【0040】
本発明にかかる吸水剤の製造方法は、上記課題を解決するために、吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、吸水性樹脂粒子と改質カチオン性高分子化合物とを混合する混合工程を含むことを特徴とし、当該改質カチオン性高分子化合物は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と改質剤とを反応させて得られるものであり、該改質剤は、連続する2個以上の炭素原子を含むとともに、上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応する反応性基を1個含むことを特徴としている。
【0041】
上記の構成によれば、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とのバランスに優れた吸水剤を提供することができるという効果を奏する。
【0042】
本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記改質カチオン性高分子化合物が、溶液、乳化液、又は、懸濁液として、吸水性樹脂粒子に混合されることが好ましい。上記構成によれば、上記吸水性樹脂粒子と上記改質カチオン性高分子化合物とを均一に混合することができるため、CRCとSFCとのバランスをさらに向上することができるというさらなる効果を奏する。
【0043】
本発明にかかる吸水剤の製造方法は、上記課題を解決するために、吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、吸水性樹脂粒子とカチオン性高分子化合物とを混合する混合工程を含み、当該カチオン性高分子化合物として、2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物であって、カチオン価が1〜22mmol/gであり、かつ、2級カチオン価が0.1〜11mmol/gであるカチオン性高分子化合物を用いるものであってもよい。
【0044】
上記の構成によれば、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とのバランスに優れた吸水剤を提供することができるという効果を奏する。
【0045】
本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物が、溶液、乳化液、又は、懸濁液として、吸水性樹脂粒子に混合されることが好ましい。上記構成によれば、上記吸水性樹脂粒子と上記カチオン性高分子化合物とを均一に混合することができるため、CRCとSFCとのバランスをさらに向上することができるというさらなる効果を奏する。
【0046】
本発明にかかる吸水剤の製造方法は、さらに、吸水性樹脂粒子の表面を表面架橋剤によって架橋する表面架橋工程を含むことが好ましい。
【0047】
上記構成により、膨潤した吸水剤に圧力をかけた際に生じる液の戻り量を減少させることができる。そのため、AAP、言い換えれば、圧力に対する吸収力を高めることができるという効果を奏する。
【0048】
本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記混合工程は、上記表面架橋工程の後に行なわれることが好ましい。上記構成によれば、CRCとSFCとのバランスをさらに向上することができる。また、加熱により起こりうる着色を回避することができるというさらなる効果を奏する。
【0049】
本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記混合工程に供される上記吸水性樹脂粒子が、30〜80℃に加温されたものであることが好ましい。上記構成によれば、CRCとSFCとのバランスをさらに向上することができる。また、加熱により起こりうる着色を回避することができるというさらなる効果を奏する。
【0050】
本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記混合工程は、さらに水溶性多価金属塩及び/又は水不溶性の無機微粒子を添加する工程を含むことが好ましい。上記構成により、吸水剤の遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とをさらに向上することができるという効果を奏する。
【0051】
本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記混合工程の後に、混合物を100℃以下の温度で乾燥することが好ましい。かかる温度範囲で乾燥することにより、吸水剤に熱によるダメージを与えることがないため、得られる吸水剤の物性に悪影響を及ぼすことがない。
【発明の効果】
【0052】
本発明にかかる吸水剤は、以上のように、i)吸水性樹脂粒子と、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含む改質カチオン性高分子化合物と、を含む吸水剤であって、当該改質カチオン性高分子化合物は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と、改質剤とを反応させて得られるものであり、該改質剤は、連続する2個以上の炭素原子を含むとともに、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応する反応性基を1個含む構成、又は、ii)吸水性樹脂粒子と、2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と、を含む吸水剤であって、当該カチオン性高分子化合物は、カチオン価が1〜22mmol/gであり、かつ、2級カチオン価が0.1〜11mmol/gである構成を備えているので、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れた吸水剤及びその製造方法を提供することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、吸水剤の吸収容量を示す遠心分離機保持容量(CRC)と液透過性を示す食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れる吸水性樹脂粒子を得ることで、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤とその製法を提供することができる。
【0053】
本発明のさらに他の目的、特徴、および優れた点は、以下に示す記載によって十分わかるであろう。また、本発明の利益は、添付図面を参照した次の説明で明白になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は、実施例においてAAPの測定に用いた測定装置を示す概略図である。
【図2】図2は、実施例においてSFCの測定に用いた測定装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
以下、本発明について説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。また、本発明では重量及び質量、重量%及び質量%は同様の意味であり、文中での使用は質量及び質量%に統一する。
【0056】
まず、以下で使用する略語について定義する。本明細書において、CRC(Centrifuge Retention Capacity)とは遠心分離機保持容量であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、SFC(Saline Flow Conductivity)とは食塩水流れ誘導性であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、AAP(Absorbency against Pressure)とは4.83kPaの圧力に対する加圧下吸収力であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、D50(Distribution)とは質量平均粒子径であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、σζは粒度分布の対数標準偏差であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。FHA(Fixed Height Absorption)とは固定された高さ吸収であり、後述する実施例に記載の測定方法により得られる値をいう。また、本明細書において、食塩水とは塩化ナトリウム水溶液(0.9質量%)を意味する。
【0057】
本発明にかかる吸水剤は吸水性樹脂粒子を含んでおり、さらに改質カチオン性高分子化合物を含んでいる水性液体の吸収固化剤である。
【0058】
本発明にかかる吸水剤は、吸水性樹脂粒子を主成分として含み、さらに1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と、改質剤とを反応させて得られる改質カチオン性高分子化合物を含んでいるものであり、該改質剤は、連続する2個以上の炭素原子を含むとともに、上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応する反応性基を1個含むものであればよい。従って、本発明で吸水剤は、吸水性樹脂粒子を主成分とし、さらに上記改質カチオン性高分子化合物を含み、必要により少量の添加剤及び/又は水を含有していてもよい。ここで、本明細書において、「主成分」とは、吸水性樹脂粒子の含有量が吸水剤全体に対して50質量%以上であることをいう。吸水性樹脂粒子の含有量は吸水剤全体中、より好ましくは60質量%以上99.999質量%以下であり、さらに好ましくは80質量%以上99.999質量%以下であり、さらに好ましくは90質量%以上99.999質量%以下であり、特に好ましくは95質量%以上99.999質量%以下であり、最も好ましくは98質量%以上99.999質量%以下である。
【0059】
また、上記改質カチオン性高分子化合物の吸水剤全体に対しての含有量は、好ましくは0.01質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上1質量%以下である。
【0060】
上記改質カチオン性高分子化合物の吸水剤全体に対しての含有量が0.01質量%以上であることにより、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れる吸水剤を得ることができるため好ましい。また、上記改質カチオン性高分子化合物の吸水剤全体に対しての含有量が5質量%以下であることにより、必要以上にCRCが低下しないため好ましい。
【0061】
本発明にかかる吸水剤中の吸水性樹脂粒子、改質カチオン性高分子化合物以外の成分としては、通常は水が主成分とされ、さらには必要に応じてその他の添加剤が使用される。
【0062】
また、本発明には、吸水性樹脂粒子を主成分として含み、さらに2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物を含んでいるものであり、当該カチオン性高分子化合物のカチオン価が1〜22mmol/gであり、かつ、2級カチオン価が0.1〜11mmol/gである吸水剤も含まれる。かかる吸水剤は、吸水性樹脂粒子を主成分とし、さらに上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物を含んでいればよく、必要により少量の添加剤及び/又は水を含有していてもよい。
【0063】
また、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物の吸水剤全体に対しての含有量は、好ましくは0.01質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.05質量%以上1質量%以下である。
【0064】
上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物の吸水剤全体に対しての含有量が0.01質量%以上であることにより、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れる吸水剤を得ることができるため好ましい。また、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物の吸水剤全体に対しての含有量が5質量%以下であることにより、必要以上にCRCが低下しないため好ましい。
【0065】
上記吸水剤中の吸水性樹脂粒子、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物以外の成分としては、通常は水が主成分とされ、さらには必要に応じてその他の添加剤が使用される。
【0066】
なお、本明細書において、カチオン価とは、カチオン性高分子化合物中又は改質カチオン性高分子化合物中のプロトン化可能な窒素原子の単位質量あたりのモル数で表される。また、本明細書において、2級カチオン価とは、カチオン性高分子化合物中に含まれる2級アミノ基の単位重量あたりのモル数を表す数値である。カチオン価及び2級カチオン価の単位はmmol/g(またはmol/kg)で表される。
【0067】
2級アミノ基のモル数は、例えば滴定、NMR(例えば、13CNMRのピーク面積比)などの公知の方法で測定可能である。また、ポリマーの構造、反応物質のモル数などから計算することも可能である。
【0068】
なお、上記吸水剤は水性液体の吸収固化剤であるが、かかる水性液体としては、水に限らず、尿、血液、糞、廃液、湿気や蒸気、氷、水と有機溶媒及び/又は無機溶媒との混合物、雨水、地下水等、水を含めば特定に制限されないが、好ましくは、尿、特に人尿を挙げることができる。
【0069】
以下、(1)本発明の吸水剤に含まれる吸水性樹脂粒子、(2)改質カチオン性高分子化合物、(3)その他の添加剤、(4)吸水剤、(5)吸水剤の製造方法、(6)吸水体、(7)カチオン価が1〜22mmol/gであり、かつ、2級カチオン価が0.1〜11mmol/gであるカチオン性高分子化合物と吸水性樹脂粒子とを含む吸水剤について順に説明する。
【0070】
(1)本発明の吸水剤に含まれる吸水性樹脂粒子
本発明にかかる吸水剤に用いられる吸水性樹脂粒子は水溶性不飽和単量体を重合して得ることができる水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体(以下、本明細書において、吸水性樹脂のことを水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体と称することがある。)の粒子である。
【0071】
水不溶性水膨潤性ヒドロゲル形成性重合体の具体例としては、例えば、部分中和架橋ポリアクリル酸重合体(米国特許第4625001号明細書、米国特許第4654039号明細書、米国特許第5250640号明細書、米国特許第5275773号明細書、欧州特許第456136号明細書等)、架橋されて部分的に中和された澱粉−アクリル酸グラフトポリマー(米国特許第4076663号明細書)、イソブチレン−マレイン酸共重合体(米国特許第4389513号明細書)、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体のケン化物(米国特許第4124748号明細書)、アクリルアミド(共)重合体の加水分解物(米国特許第3959569号明細書)、アクリロニトリル重合体の加水分解物(米国特許第3935099号明細書)等を挙げることができる。
【0072】
本発明の吸水剤に含まれる吸水性樹脂粒子は、中でも、上記水溶性不飽和単量体として、アクリル酸及び/又はその塩を含む単量体を重合して得られるポリアクリル酸(塩)系架橋重合体からなる吸水性樹脂の粒子であることがより好ましい。ここで、ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体とは、アクリル酸及び/又はその塩を50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは90モル%以上含む単量体を重合して得られる架橋重合体をいう。
【0073】
また、ポリアクリル酸(塩)系架橋重合体中の酸基は、その50モル%以上90モル%以下が中和されていることが好ましく、60モル%以上80モル%が中和されていることがより好ましい。また、ポリアクリル酸塩としてはナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩等を例示することができる。中でも、ポリアクリル酸塩はより好ましくはナトリウム塩である。塩を形成させるための中和は重合前に単量体の状態で行っても良いし、あるいは重合途中や重合後に重合体の状態で行っても良いし、それらを併用してもよい。
【0074】
本発明にかかる吸水剤に用いられる吸水性樹脂粒子として好ましく用いることができるポリアクリル酸(塩)系架橋重合体は、主成分として用いられる単量体(アクリル酸及び/又はその塩)に併用して、必要により他の単量体を共重合させたものであってもよい。
【0075】
他の単量体の具体例としては、メタアクリル酸、マレイン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸等のアニオン性不飽和単量体及びその塩;アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、N−アクリロイルピペリジン、N−アクリロイルピロリジン、N−ビニルアセトアミド等のノニオン性の親水基含有不飽和単量体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、それらの四級塩等のカチオン性不飽和単量体等を挙げることができる。これら他の単量体の使用量は、全単量体中0モル%以上30モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0モル%以上10モル%以下である。
【0076】
本発明で用いられる吸水性樹脂粒子は、内部架橋構造を有する架橋重合体であることが好ましい。上記吸水性樹脂粒子に内部架橋構造を導入する方法としては、架橋剤を使用しないで自己架橋によって導入する方法、1分子中に2個以上の重合性不飽和基及び/又は2個以上の反応性基を有する内部架橋剤を共重合又は反応させて導入する方法等を例示することができる。中でも内部架橋剤を共重合又は反応させて導入する方法を用いることがより好ましい。
【0077】
上記内部架橋剤の具体例としては、例えば、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンアクリレートメタクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、(ポリ)エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールジグリシジルエーテル;エチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;エチレンジアミン、ポリエチレンイミン、グリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0078】
これらの内部架橋剤は1種のみを用いてもよいし、2種以上を使用してもよい。中でも、得られる吸水性樹脂粒子の吸水特性等から、2個以上の重合性不飽和基を有する化合物を内部架橋剤として必須に用いることがより好ましい。
【0079】
上記内部架橋剤の使用量は全単量体に対して0.005モル%以上3モル%以下であることがより好ましく、より好ましくは0.01モル%以上1.5モル%以下、最も好ましくは0.05モル%以上0.2モル%以下である。
【0080】
重合に際しては、澱粉−セルロース、澱粉−セルロースの誘導体、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)、ポリアクリル酸(塩)架橋体等の親水性高分子や、次亜リン酸(塩)等の連鎖移動剤を添加してもよい。
【0081】
また、上記したアクリル酸及び/又はその塩を主成分とする単量体を重合するに際しては、バルク重合、逆相懸濁重合、沈澱重合を行うことも可能であるが、性能面や重合の制御の容易さから、単量体を水溶液にする水溶液重合を行うことがより好ましい。かかる重合方法は、例えば、米国特許第4625001号明細書、米国特許第4769427号明細書、米国特許第4873299号明細書、米国特許第4093776号明細書、米国特許第4367323号明細書、米国特許第4446261号明細書、米国特許第4683274号明細書、米国特許第4690996号明細書、米国特許第4721647号明細書、米国特許第4738867号明細書、米国特許第4748076号明細書、米国特許出願公開2002/40095号明細書等に記載されている。
【0082】
重合を行うにあたっては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、t−ブチルハイドロパーオキサイド、過酸化水素、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩等のラジカル重合開始剤、紫外線や電子線等の活性エネルギー線等を用いることができる。また、ラジカル重合開始剤を用いる場合、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、硫酸第一鉄、L−アスコルビン酸等の還元剤を併用してレドックス重合としてもよい。これらの重合開始剤の使用量は、全単量体に対して、0.001モル%以上2モル%以下であることが好ましく、より好ましくは0.01モル%以上0.5モル%以下である。
【0083】
上記の重合により得られた吸水性樹脂粒子の形状は、一般には、不定形破砕状、球状、繊維状、棒状、略球状、偏平状等であるが、不定形破砕状であることがより好ましい。吸水性樹脂粒子が不定形破砕状であれば、改質カチオン性高分子化合物を、吸水性樹脂粒子の表面により効率的に存在させることができる。
【0084】
上記架橋重合体が水溶液重合で得られたものでゲル状である場合、すなわち含水ゲル状架橋重合体(以下、本明細書において含水ゲルと略称することがある)である場合、該含水ゲル状架橋重合体を、乾燥し、乾燥の前及び/又は後で通常粉砕して吸水性樹脂粒子とする。なお、本発明において、乾燥とは固形分の上昇操作をいい、通常、固形分が乾燥前と比較して上昇すればよいが、固形分が90質量%以上、上限は99質量%程度まで上昇することがより好ましい。乾燥は重合と同時に行ってもよく、重合時の乾燥と重合後の乾燥とを併用してもよいが、より好ましくは、重合後に乾燥装置を用いて乾燥する乾燥工程が設けられる。本発明では、乾燥後の吸水性樹脂の固形分は好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。固形分が低くなってしまうと、流動性が悪くなり製造に支障をきたすばかりか、吸水性樹脂が粉砕できなくなり、特定の粒度分布に制御できなくなってしまう場合がある。なお、ここで、吸水性樹脂の固形分は、後述する測定方法により測定される値をいう。
【0085】
本発明では、乾燥は、乾燥工程の時間全体の50%以上の時間、より好ましくは実質すべての乾燥工程をとおして100℃〜250℃の範囲で行われる。100℃未満の温度では、未乾燥物が発生してしまい、粉砕に支障をきたすばかりか、粒度分布の制御が困難になるおそれがある。また、乾燥の温度が250℃以上では、吸水性樹脂にダメージを与えてしまう結果、水可溶分量の上昇が起こり、諸物性の向上効果も見られない場合がある。なお、乾燥温度は熱媒温度で規定するが、マイクロ波等熱媒温度で規定できない場合は材料温度で規定する。乾燥方法としては、乾燥温度が上記範囲内であれば特に限定されるものではなく、熱風乾燥、無風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥等を好適に用いることができる。中でも、熱風乾燥を用いることがより好ましい。熱風乾燥を用いる場合の乾燥風量は、好ましくは0.01〜10m/sec、より好ましくは0.1〜5m/secの範囲である。
【0086】
乾燥温度の範囲はより好ましくは130℃〜220℃、さらに好ましくは150℃〜200℃の温度範囲である。また、乾燥は、一定温度で乾燥してもよく、温度を変化させて乾燥してもよいが、実質、すべての乾燥工程は上記の温度範囲内でなされることが好ましい。
【0087】
乾燥時間は、重合体の表面積、含水率、及び乾燥機の種類に依存し、目的とする含水率になるよう適宜選択される。乾燥時間は、通常10〜120分、より好ましくは20〜90分、さらに好ましくは30〜60分である。乾燥時間が10分未満では、吸水性樹脂粒子の内部のポリマー鎖に起こる変化が小さく、そのため十分な改善効果が得られないと考えられ、そのため諸物性の向上効果が見られない場合がある。また、乾燥時間が120分以上では、吸水性樹脂粒子にダメージを与えてしまう結果、水可溶分量の上昇が起こり、諸物性の向上効果も見られない場合がある。
【0088】
得られた吸水性樹脂は粉砕機によって粉砕される。粉砕は乾燥前、中、後のいずれに行っても良いが、好ましくは乾燥後である。上記粉砕機は特に限定されるものではないが、例えばロールミルのようなロール式粉砕機、ハンマーミルのようなハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、カッターミル、ターボグラインダー、ボールミル、フラッシュミル等が用いられる。この中でも、粒度分布を制御するためにはロールミルを用いることがより好ましい。粒度分布を制御するため連続して2回以上粉砕することがより好ましく、連続して3回以上粉砕することがさらに好ましい。また、2回以上粉砕する場合には、それぞれの粉砕機は同じであっても異なっていてもよい。異なる種類の粉砕機を組み合わせて使うことも可能である。
【0089】
上記のようにして粉砕された吸水性樹脂粒子を特定の粒度分布に制御するため、特定の目開きの篩で分級してもよい。篩で分級するために用いる分級機は特に限定されるものではないが、たとえば振動篩(アンバランスウェイト駆動式、共振式、振動モータ式、電磁式、円型振動式等)、面内運動篩(水平運動式、水平円−直線運動式、3次元円運動式等)、可動網式篩、強制攪拌式篩、網面振動式篩、風力篩、音波篩等が用いられ、好ましくは振動篩、面内運動篩が用いられる。また、篩の目開きは好ましくは1000μm〜300μm、より好ましくは900μm〜400μm、さらに好ましくは710μm〜450μmの範囲である。これらの範囲から外れると目的の粒度分布が得られない可能性がある。
【0090】
上記のようにして分級された吸水性樹脂粒子をさらに特定の粒度分布に制御するため、さらに分級することで、特定の粒子径未満の粒子の一部又はすべてを除去してもよい。かかる工程において用いられる分級機も特に限定されるものではないが、たとえば上記で例示されたものが好ましく用いられ、他には微粉型分級装置(遠心力式、慣性力式等)等が用いられる。本工程において、好ましくは粒子径が200μm未満、より好ましくは150μm未満、最も好ましくは106μm未満の粒子径である粒子の、一部又はすべてが除去される。
【0091】
本発明で用いられる吸水性樹脂粒子は、その表面近傍が表面架橋剤である有機表面架橋剤及び/又は水溶性無機表面架橋剤によって表面架橋されていることがより好ましい。このように、吸水剤に含まれる吸水性樹脂粒子はその表面近傍が、表面架橋剤によって架橋されていることにより、膨潤した吸水剤に圧力をかけた際に生じる液の戻り量を減少させることができる。そのため、AAP、言い換えれば、圧力に対する吸収力を高めることができる。
【0092】
表面架橋剤による表面架橋はどの段階で行ってもよいが、より好ましくは吸水性樹脂粒子を特定の粒度分布に制御するための操作を行った後に行われる。
【0093】
表面架橋処理に用いることのできる表面架橋剤としては、吸水性樹脂粒子の有する官能基、例えば、カルボキシル基と反応し得る官能基を2個以上有する表面架橋剤を挙げることができる。かかる表面架橋剤は、有機表面架橋剤であってもよいし、無機表面架橋剤であってもよいが、中でも、水溶性の有機表面架橋剤をより好適に用いることができる。
【0094】
かかる表面架橋剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、オキシエチレン−オキシプロピレンブロック共重合体、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール;エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリシドール等のエポキシ化合物;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ポリエチレンイミン等の多価アミン化合物や、それらの無機塩ないし有機塩(例えば、アゼチジニウム塩等);2,4−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の多価イソシアネート化合物;1,2−エチレンビスオキサゾリン等の多価オキサゾリン化合物;尿素、チオ尿素、グアニジン、ジシアンジアミド、2−オキサゾリジノン等の炭酸誘導体;1,3−ジオキソラン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−ヒドロキシメチル−1,3−ジオキソラン−2−オン、1,3−ジオキサン−2−オン、4−メチル−1,3−ジオキサン−2−オン、4,6−ジメチル−1,3−ジオキサン−2−オン、1,3−ジオキソパン−2−オン等のアルキレンカーボネート化合物;エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン、α−メチルエピクロロヒドリン等のハロエポキシ化合物、及び、その多価アミン付加物(例えばハーキュレス製カイメン:登録商標);γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;3−メチル−3−オキセタンメタノール、3−エチル−3−オキセタンメタノール、3−ブチル−3−オキセタンメタノール、3−メチル−3−オキセタンエタノール、3−エチル−3−オキセタンエタノール、3−ブチル−3−オキセタンエタノール、3−クロロメチル−3−メチルオキセタン、3−クロロメチル−3−エチルオキセタン、多価オキセタン化合物等のオキセタン化合物;等を挙げることができる。
【0095】
上記表面架橋剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。中でも多価アルコールは、安全性が高く、吸水性樹脂粒子の表面の親水性を向上させることができる点で好ましい。
【0096】
上記表面架橋剤の使用量は、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して0.001質量部以上5質量部以下であることが好ましい。
【0097】
表面架橋剤と吸水性樹脂粒子との混合の際には水を用いてもよい。水の使用量は、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して、0.5質量部を越え、10質量部以下が好ましく、1質量部以上5質量部以下の範囲内がより好ましい。
【0098】
また、表面架橋剤又はその水溶液と吸水性樹脂粒子とを混合する際には、親水性有機溶媒や、第三物質を混合助剤として用いてもよい。親水性有機溶媒を用いる場合には、例えば、国際公開第2004/069915号に記載された親水性溶媒を用いることができる。
【0099】
親水性有機溶媒の使用量は、吸水性樹脂粒子の種類や粒径、含水率等にもよるが、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、0質量部以上5質量部以下の範囲内であることがより好ましい。
【0100】
また、上記第三物質として欧州特許第0668080号明細書に示された無機酸、有機酸、ポリアミノ酸等を存在させてもよい。これらの混合助剤は表面架橋剤として作用するものであっても良いが、表面架橋後に吸水性樹脂粒子の吸水性能を低下させないものであることが好ましい。本発明で用いられる吸水性樹脂粒子は、沸点が100℃以下の親水性有機溶媒を含まない表面架橋剤と混合、加熱により架橋されたものであることが好ましい。吸水性樹脂粒子が沸点100℃以下の親水性有機溶媒を含む場合、当該親水性有機溶媒の気化により表面架橋剤の吸水性樹脂粒子表面での存在状態が変化し、SFC等の物性が十分に満たされない場合がある。
【0101】
吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とをより均一に混合するため、水溶性無機塩(より好ましくは、過硫酸塩)を、吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とを混合する際に共存させることがより好ましい。水溶性無機塩の使用量は、吸水性樹脂粒子の種類や粒径等にもよるが、吸水性樹脂粒子の固形分100質量部に対して0.01質量部以上1質量部以下の範囲内が好ましく、0.05質量部以上0.5質量部以下の範囲内がより好ましい。すなわち、上記吸水性樹脂粒子に対して0.01質量%以上1.0質量%以下の水溶性無機塩好ましくは過硫酸塩を含む有機表面架橋剤及び/又は水溶性無機表面架橋剤との混合、加熱によって架橋されたものであることが好ましい。
【0102】
吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とを混合する混合方法は特に限定されるものではないが、例えば、吸水性樹脂粒子を親水性有機溶剤に浸漬し、必要に応じて水及び/又は親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を混合する方法、吸水性樹脂粒子に直接、水及び/又は親水性有機溶媒に溶解させた表面架橋剤を噴霧若しくは滴下して混合する方法等を例示することができる。
【0103】
吸水性樹脂粒子と表面架橋剤とを混合した後、通常、加熱処理を行い、架橋反応を遂行させることが好ましい。上記加熱処理温度は、用いる表面架橋剤にもよるが、40℃以上250℃以下であることが好ましく、100℃以上240℃以下であることがより好ましく、150℃以上230℃以下であることがさらに好ましい。加熱処理温度が40℃未満の場合には、AAPやSFC等の吸収特性が十分に改善されない場合がある。また、加熱処理温度が250℃を越える場合には、吸水性樹脂粒子の劣化を引き起こし、各種物性が低下する場合があり注意を要する。加熱処理時間は、好ましくは1分以上2時間以下、より好ましくは5分以上1時間以下である。
【0104】
本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、質量平均粒子径が好ましくは100μm以上600μm以下であり、より好ましくは200μm以上500μm以下、最も好ましくは300μm以上400μm以下である。吸水性樹脂粒子の質量平均粒子径が100μm以上600μm以下の範囲を外れた場合、液透過性・拡散性が著しく低下、又は吸収速度が大幅に低下し得る。このような吸水性樹脂粒子を、例えば、オムツに用いた場合、液の漏れ等を引き起こすおそれがある。
【0105】
また、本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、175μm以上710μm以下の吸水性樹脂粒子が、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましい。
【0106】
また、本発明で用いる吸水性樹脂粒子は、目開き150μmの篩を通過できる大きさの粒子の割合が、吸水性樹脂粒子の全質量に対して、5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがより好ましく、1質量%以下であることがさらに好ましい。目開き150μmの篩を通過できる大きさの粒子の割合が、吸水性樹脂粒子の全質量に対して、5質量%以下である吸水性樹脂粒子が吸水剤に用いられることで、得られる吸水剤の粉塵量を抑制することができる。そのため、吸水剤の製造の際に吸水性樹脂粒子に含まれる微粒子が飛散することに起因する安全衛生上の問題を防止することができ、得られる吸水剤の物性が低下することを抑制することができる。なお、上記割合が5質量%を超えた場合、吸水剤の製造の際に粉塵が発生し易くなるので、安全衛生上の問題が生じ得る、又は吸水体の物性低下を招く等のおそれがある。
【0107】
さらに、上記吸水性樹脂粒子としては、質量平均粒子径が300μm以下である微紛状の吸水性樹脂粒子(以下適宜「微粉」と記す)を造粒、乾燥、粒度調整し、表面架橋したものを用いてもよい。また、粉砕して得られる一次粒子の不定形破砕状の吸水性樹脂粒子に微紛の造粒物を一部混合した吸水性樹脂粒子を用いてもよい。微粉の造粒物を吸水性樹脂粒子に一部混合した場合には、吸水速度、米国特許出願公開2005/0003191A1号公報に記載されている固定された高さ吸収(FHA)等の吸収特性が一層優れた吸水剤を得ることが出来る。吸水性樹脂粒子に含まれる微粉の造粒物の混合量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、最も好ましくは20質量%以上である。なお、微粉の粒子径は分級される篩目径で示される。
【0108】
微粉の造粒物の作成方法としては、微粉を再生する公知の技術が使用可能である。例えば、温水と微粉とを混合し乾燥する方法(米国特許第6228930号明細書)や、微粉と単量体水溶液とを混合し重合する方法(米国特許第5264495号明細書)、微粉に水を加え特定の面圧以上で造粒する方法(欧州特許第844270号明細書)、微粉を十分に湿潤させ非晶質のゲルを形成し乾燥・粉砕する方法(米国特許第4950692号明細書)、微粉と重合ゲルとを混合する方法(米国特許第5478879号明細書)等を用いることが可能である。
【0109】
中でも、微粉の造粒物の作成方法としては、上記の温水と微粉とを混合し、乾燥する方法を用いることがより好ましい。当該方法により造粒された吸水性樹脂粒子は、多孔質構造(特開2004−261797号公報に記載されている多孔質構造と同義の構造)を有しているため好ましい。本発明で用いられる吸水性樹脂粒子は、多孔質構造を有する粒子を好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上、特に好ましくは20質量%以上含んでいることが好ましい。吸水性樹脂粒子が、多孔質構造を有する微粉の造粒物を含むことによって、上記吸水性樹脂粒子及びそれを含む吸水剤は、固定された高さ吸収(FHA)に優れたものとなる。
【0110】
本発明で用いられる吸水性樹脂粒子のCRCは、好ましくは5(g/g)以上であり、より好ましくは15(g/g)以上であり、さらに好ましくは25(g/g)以上である。CRCの上限値は、特に限定されないが、好ましくは60(g/g)以下であり、より好ましくは50(g/g)以下であり、さらに好ましくは40(g/g)以下である。CRCが5(g/g)未満の場合、吸水性樹脂粒子を吸水剤に用いた場合、吸収量が少なすぎ、オムツ等の衛生材料の使用に適さない。また、CRCが50(g/g)よりも大きい場合、吸水性樹脂粒子が吸水剤に使用された場合、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤を得ることができなくなる場合がある。
【0111】
本発明で用いられる吸水性樹脂粒子のAAPは、8(g/g)以上、好ましくは16(g/g)以上であり、より好ましくは20(g/g)以上であり、さらに好ましくは22(g/g)以上であり、最も好ましくは24(g/g)以上である。AAPの上限値は、特に限定されないが、好ましくは30(g/g)以下である。AAPが8(g/g)未満の場合、吸水性樹脂粒子が吸水剤に使用された場合、上記吸水剤に圧力が加わった際の液の戻り(通称リウェット:Re−Wetといわれる)が少ない吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。
【0112】
本発明で用いられる吸水性樹脂粒子のSFCは、好ましくは10(10−7・cm・s・g−1)以上であり、より好ましくは30(10−7・cm・s・g−1)以上であり、さらに好ましくは50(10−7・cm・s・g−1)以上である。SFCが10(10−7・cm・s・g−1)未満の場合、液透過性が向上せず、吸水性樹脂粒子が吸水剤に使用された場合に、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。SFCの上限は特に指定されないが、好ましくは3000(10−7・cm・s・g−1)以下であり、より好ましくは2000(10−7・cm・s・g−1)以下である。SFCが3000(10−7・cm・s・g−1)よりも大きい場合、吸水性樹脂粒子が吸水剤に使用された場合に、吸水体での液漏れが発生する場合がある。
【0113】
本実施の形態にかかる吸水性樹脂粒子は、水可溶分量が好ましくは35質量%以下であり、より好ましくは25質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以下である。水可溶分量が35質量%を超える場合、ゲル強度が弱く、液透過性に劣ったものとなることがある。また吸水性樹脂粒子が吸水体に使用された場合、吸水体に圧力が加わった際の液の戻り(通称リウエット:Re−Wet)が少ない吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。
【0114】
(2)改質カチオン性高分子化合物
本発明にかかる吸水剤では、上記吸水性樹脂粒子の表面に改質カチオン性高分子化合物が存在している。なお、ここで、上記吸水性樹脂粒子の表面とは、上記吸水性樹脂粒子が外気にさらされている部分、及び/又は、吸水性樹脂粒子の表面から粒子径(長径)の10分の1内部までの部分を示すものとする。なお、ここで、長径とは、粒子表面(外気にさらされている部分)上の任意の2点をとった場合、この2点間の距離が最大となる長さのことをいう。
【0115】
吸水性樹脂粒子の表面に改質カチオン性高分子化合物が存在していることによって、吸水剤のCRCを低下させることなく、SFCを向上させることができる。言い換えれば、吸水剤の液透過性が向上することとなる。なお、液透過性向上のためには、改質カチオン性高分子化合物は、上記吸水性樹脂粒子が外気にさらされている部分、及び/又は、吸水性樹脂粒子の表面から粒子径(長径)の10分の1内部までの部分に含まれていればよいが、上記吸水性樹脂粒子が外気にさらされている部分に含まれていることがより吸水剤の物性を向上させる。
【0116】
本発明の吸水剤に用いられる改質カチオン性高分子化合物は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物を改質剤で改質してなるものであり、該改質剤は、連続する2個以上の炭素原子を含むとともに、上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応する反応性基を1個含んでいればよい。換言すれば、上記改質カチオン性高分子化合物は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と、上記改質剤とを反応させて得られるものである。
【0117】
上記改質カチオン性高分子化合物の前駆体であるカチオン性高分子化合物としては、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物であれば好適に用いることができる。1級アミノ基及び/又は2級アミノ基は塩の形で存在してもよい。ここで、1級アミノ基又は2級アミノ基の塩とは、1級アミノ基又は2級アミノ基が、無機酸又は有機酸で中和されたものであれば特に限定されるものではない。かかる無機酸塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等を挙げることができる。また、有機酸塩としては、連続する炭素数が1以下の有機酸の塩であれば特に限定されるものではなく、例えば、蟻酸等の塩を挙げることができる。
【0118】
より具体的には、上記カチオン性高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、ポリエーテルポリアミン、ポリエーテルアミン、ポリビニルアミン、ポリアルキルアミン、ポリアリルアミン、ポリジアリルアミン、ポリ(N−アルキルアリルアミン)、モノアリルアミン−ジアリルアミン共重合体、N−アルキルアリルアミン−モノアリルアミン共重合体、モノアリルアミン−ジアルキルジアリルアンモニウム塩・共重合体、ジアリルアミン−ジアルキルジアリルアンモニウム塩・共重合体、ポリエチレンポリアミン、ポリプロピレンポリアミン、ポリアミジン等;これらの塩;これらの求電子試薬との反応物;エチレンイミンのグラフトにより変性された変性ポリアミドアミン、プロトン化ポリアミドアミン、ポリアミドアミンとエピクロルヒドリンとの縮合物、アミン類とエピクロルヒドリンとの縮合物、ポリ(ビニルベンジルジアルキルアンモニウム)、ポリ(ジアリルアルキルアンモニウム)、ポリ(2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピルジアルキルアミン)、ポリ(N−ビニルホルムアミド)の部分加水分解物、ポリ(N−ビニルアルキルアミド)の部分加水分解物、(N−ビニルホルムアミド)−(N−ビニルアルキルアミド)共重合体の部分加水分解物、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾリン、ポリビニルテトラヒドロピリジン、ポリジアルキルアミノアルキルビニルエーテル、ポリジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、ポリアリルアミン、ポリアミジン(特許第2624089号に記載されているもの等が例として挙げられる)、及びこれらの塩等を挙げることができる。
【0119】
これらの中でも、ポリビニルアミン、その塩、ポリ(N−ビニルホルムアミド)の部分加水分解物、および、その塩から選ばれる少なくとも1種を含むカチオン性高分子化合物が好適である。
【0120】
なお、本発明では、ポリ(N−ビニルホルムアミド)の部分加水分解物をポリビニルアミンとも表記する。また、同様に後述する改質されたポリ(N−ビニルホルムアミド)の部分加水分解物を改質ポリビニルアミンとも表記する。
【0121】
なお、上記ポリ(N−ビニルホルムアミド)の部分加水分解物の加水分解率は、好ましくは1〜99%であり、より好ましくは3〜97%であり、さらに好ましくは6〜95%であり、特に好ましくは10〜80%である。
【0122】
上記カチオン性高分子化合物としては、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0123】
中でも、上記カチオン性高分子化合物としては、液透過性向上の効果により優れるという観点から、ポリエチレンイミン等のポリアルキレンイミン、ポリアリルアミン等を用いることがより好ましい。また、上記ポリアルキレンイミン等は、直鎖状であても、分岐鎖状であってもよい。
【0124】
上記カチオン性高分子化合物の重量平均分子量は、5000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましく、30000以上であることがさらに好ましい。重量平均分子量が5000未満であると期待する効果が得られなくなるおそれがある。また、上記カチオン性高分子化合物の重量平均分子量の上限は特に限定されるものではないが、100万以下であることが好ましく、50万以下であることがより好ましい。上記カチオン性高分子化合物の重量平均分子量が、100万以下であることにより、粘度が低くなり、取り扱い性や混合性に優れるため好ましい。なお、重量平均分子量は、GPC、粘度測定、静的光散乱等の公知の方法で測定することができる。
【0125】
本発明にかかる吸水剤に用いられる改質カチオン性高分子化合物は、上記カチオン性高分子化合物と改質剤とを反応させて得られるものであり、該改質剤は、連続する2個以上の炭素原子を含むとともに、上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応する反応性基を1個含んでいればよい。
【0126】
該改質剤が、連続する2個以上の炭素原子を含むとともに、上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応する反応性基を1個含んでいることにより、かかる反応基が、上記カチオン性高分子化合物の上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応し、改質剤中の連続する2個以上の炭素原子が直接的又は間接的に上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基に結合する。また、上記改質剤が、上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応する反応性基を1個含んでいることにより、改質剤は上記カチオン性高分子化合物に対して非架橋的に反応する。それゆえ、多数の上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基に直接的又は間接的に結合された2個以上の炭素原子が、吸水性樹脂粒子間に安定した隙間を形成するために効果的に働き、得られる吸水剤の液透過性が向上すると考えられる。それゆえ、かかる改質剤を用いて得られる改質カチオン性高分子化合物を、吸水性樹脂粒子の表面に存在させることにより、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れた吸水剤を得ることができると考えられる。
【0127】
なお、上記改質剤は連続する2個以上の炭素原子を含んでいればよいが、上記改質剤は連続する3個以上の炭素原子を含んでいることがより好ましい。
【0128】
また、上記改質剤における分子内の連続する炭素数の上限は特に限定されるものではないが、例えば、30以下であることが好ましく、20以下であることがより好ましい。分子内の連続する炭素数が30以下であることにより、改質されたカチオン性高分子化合物と吸水性樹脂粒子との混合性が向上するためより好ましい。
【0129】
上記改質剤としては、例えば、炭素数2〜20のアルキレンオキシド、芳香族オキシド、炭素数2〜20のアルキルグリシジルエーテル;シランカップリング剤;炭素数が2〜20の脂肪酸;炭素数が2〜20のヒドロキシ脂肪酸等を用いることができる。また、上記アルキレンオキシドの炭素数は2〜20であれば好適に用いることができるが、炭素数が2〜4であることがさらに好ましく、2〜3であることが特に好ましい。
【0130】
より具体的には、上記モノエポキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキサンオキシド、スチレンオキシド、1−フェニルプロピレンオキシド、メチルグリシジルエーテル、エチルグルシジルエーテル、グリシジルイソプロピルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、1−メトキシ−2−メチルプロピレンオキシド、アリルグリシジルエーテル、2−エチルオキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェニル(EO5)グリシジルエーテル、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ラウリルアルコール(EO15)グリシジルエーテル等、炭素数11〜15のアルコールの混合物のグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、パルミチルグリシジルエーテル、ミリスチルグリシジルエーテル、ラウリルグリシジルエーテル、カプリルグリシジルエーテル、カプロイルグリシジルエーテル等を挙げることができる。
【0131】
また、上記シランカップリング剤としては、より具体的には例えば、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
【0132】
また、上記脂肪酸としては、飽和脂肪酸であってもよいし、不飽和脂肪酸であってもよい。飽和脂肪酸としては、具体的には例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸(カプリン酸)、ウンデカン酸、ドデカン酸(ラウリン酸)、トリデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸(パルミチン酸)、ヘプタデカン酸(マルガリン酸)、オクタデカン酸(ステアリン酸)、ノナデカン酸(ツベルクロステアリン酸)、イコサン酸(アラキジン酸)、ドコサン酸(ベヘン酸)、テトラドコサン酸(リグノセリン酸)、ヘキサドコサン酸(セロチン酸)、オクタドコサン酸(モンタン酸、メリシン酸)等を挙げることができる。また、不飽和脂肪酸としては、具体的には、例えば、9−ヘキサデセン酸(パルミトイル酸)、cis−9−オクタデセン酸(オレイン酸)、11−オクタデセン酸(バクセン酸)、cis,cis−9,12−オクタデカジエン酸(リノール酸)、9,12,15−オクタデカトリエン酸((9,12,15)−リノレン酸)、6,9,12−オクタデカトリエン酸((6,9,12)−リノレン酸)、9,11,13−オクタデカントリエン酸(エレステアリン酸)、8,11−イコサジエン酸、5,8,11−イコサトリエン酸、5,8,11,14−イコサテトラエン酸(アラキドン酸)、cis−15−テトラドコサン酸(ネルボン酸)、クロトン酸、ミリストレイン酸、エライジン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ステアリドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸、ドコサヘキサエン酸等を挙げることができる。なお、上記脂肪酸は、直鎖状であっても、枝分かれ状であってもよいが、中でも直鎖状の脂肪酸であることがより好ましい。これにより、吸水性樹脂粒子間に存在する上記有機酸及び/又はその塩の疎水基同士が、吸水性樹脂粒子間において、水中で水に溶けないで、疎水性相互作用により集合して安定化すると考えられる。それゆえ、吸水性樹脂粒子間に安定した隙間ができて液透過性が向上すると考えられる。
【0133】
上記脂肪酸は、分子内の連続する炭素数が2以上であれば特に限定されるものではないが、好ましくは3以上である。
【0134】
また、上記ヒドロキシ脂肪酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、リシノール酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オキシステアリン酸、縮合ヒマシ油脂肪酸、水添縮合ヒマシ油脂肪酸、リンゴ酸、乳酸、クエン酸、サリチル酸、グリコール酸、没食子酸、2−ヒドロキシ酪酸、酒石酸、パラヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシプロピオン酸等を挙げることができる。
【0135】
また、アニス酸、安息香酸、グリオキシル酸、グルタル酸、コハク酸、フマル酸、マロン酸、イミジノ酢酸、イセチオン酸、アジピン酸、シュウ酸、グルコン酸、ソルビン酸等も上記改質剤として好適に用いることができる。
【0136】
上記改質剤としては、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0137】
特に好ましい改質剤としては、プロピレンオキシド、スチレンオキシド、ブチルグリシジルエーテル、エチレンオキシド、炭素数12〜17のアルキルグリシジルエーテル、炭素数2〜17の脂肪酸、乳酸等を挙げることができる。中でも、プロピレンオキシド、プロピオン酸を用いることが最も好ましい。これにより得られる吸水剤の液透過性向上の効果により優れるため好ましい。
【0138】
また、上記改質カチオン性高分子化合物は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含んでいればよい。上記改質カチオン性高分子化合物は、前駆体であるカチオン性高分子化合物中の1級アミノ基及び/又は2級アミノ基が全て、上記改質剤と反応するのではなく、上記改質剤と反応していない1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含んでいることが好ましい。または、前駆体であるカチオン性高分子化合物中の1級アミノ基及び/又は2級アミノ基が全て上記改質剤と反応していても、なお、2級アミノ基が残存している場合であってもよい。これにより、優れた液透過性向上の効果を得ることができる。
【0139】
上記改質カチオン性高分子化合物が1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含んでいることにより液透過性向上の効果により優れる理由は明らかではないが、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基が残存していることにより、吸水性樹脂粒子と上記改質カチオン性高分子化合物との結合力が増すことにより、上記改質カチオン性高分子化合物が安定的に吸水性樹脂粒子間に存在し効果を及ぼすことができることが考えられる。
【0140】
改質剤と反応している1級アミノ基及び/又は2級アミノ基の、カチオン性高分子化合物中の全窒素原子に対する割合は、5〜90モル%であることが好ましく、10〜80モル%であることがより好ましく、20〜70モル%であることがさらに好ましい。
【0141】
改質剤と反応している1級アミノ基及び/又は2級アミノ基の、カチオン性高分子化合物中の全窒素原子に対する割合は、5%以上であることにより、CRCとSFCとのバランスに優れるため好ましい。また、改質剤と反応している1級アミノ基及び/又は2級アミノ基の、カチオン性高分子化合物中の全窒素原子に対する割合は、90%以下であることにより、CRCとSFCとのバランスに優れるため好ましい。ここで、改質剤と反応している1級アミノ基及び/又は2級アミノ基の、カチオン性高分子化合物中の全窒素原子に対する割合は、NMRやIR等の公知の方法で測定することができる。
【0142】
また、上記改質カチオン性高分子化合物は、遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)のバランスに優れた吸水剤を得るという観点から、上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と改質剤とを反応させることによって生成する結合がアミド結合ではないことがより好ましい。
【0143】
また、上記改質カチオン性高分子化合物のカチオン価は1〜23mmol/gであることが好ましく、2〜20mmol/gであることがより好ましく、3〜18mmol/gであることがさらに好ましい。上記改質カチオン性高分子化合物のカチオン価が、1mmol/g以上であることにより、CRCとSFCとのバランスに優れるため好ましい。また、上記改質カチオン性高分子化合物のカチオン価が、23mmol/g以下であることにより、CRCとSFCとのバランスに優れるため好ましい。
【0144】
また、上記カチオン性高分子化合物と改質剤とを反応させる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、上記カチオン性高分子化合物と改質剤とを混合し攪拌する方法を挙げることができる。上記カチオン性高分子化合物と改質剤とを混合し攪拌するにあたり、上記カチオン性高分子化合物と改質剤とは、それぞれ、溶液の形で混合し、攪拌することがより好ましい。また、混合攪拌時の温度は、カチオン性高分子化合物と改質剤とに応じて適宜選択すればよいが、通常は、30℃〜80℃である。また、攪拌する時間も特に限定されるものではないが、1分〜1時間である。
【0145】
本発明で用いられる改質カチオン性高分子化合物は、以上のように、当該1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と改質剤とを反応させて得られるものである。かかる改質カチオン性高分子化合物は、同一分子内の主鎖に1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を有するとともに、側鎖に炭素数2以上の炭化水素基を有している重合体であり得る。
【0146】
本発明では、上記改質カチオン性高分子化合物のかわりに、側鎖に1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むとともに、側鎖に炭素数2以上の炭化水素基を含む高分子化合物を用いてもよい。
【0147】
かかる高分子化合物は、例えば、主鎖ビニルアミンと、炭素数2以上の(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体として得ることができる。より好ましくは、例えば、(i)アリルアミンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合、(ii)N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルエチルアミド、N−ビニルプロピルアミド等のN−ビニルアルキルアミドと、(メタ)アクリル酸エステルとの共重合、(iii)ジアリルジアルキルアミンアミンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合により得ることができる。
【0148】
(3)その他の添加剤
本発明にかかる吸水剤中の吸水性樹脂粒子、改質カチオン性高分子化合物以外の成分としては、通常は水が主成分とされ、さらには必要に応じてその他の添加剤が使用される。本発明で用いられるその他の添加剤としては、例えば、水溶性多価金属塩、水不溶性の無機微粒子、ポリエチレングリコール等の水溶性ポリマー、界面活性剤、ポリマーエマルジョン等を挙げることができる。
【0149】
かかる水溶性多価金属塩としては、例えば、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、ビス硫酸カリウムアルミニウム、ビス硫酸ナトリウムアルミニウム、カリウムミョウバン、アンモニウムミョウバン、ナトリウムミョウバン、アルミン酸ナトリウム、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、塩化ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸ジルコニウムナトリウム等を好適に用いることができる。また、吸収する水性液体との溶解性の観点から、上記水溶性多価金属塩は、結晶水を有することがより好ましい。これらの水溶性多価金属塩は1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、硫酸アルミニウムを最も好適に用いることができる。
【0150】
上記水溶性多価金属塩の吸水剤全体に対しての含有量は、好ましくは0質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.001質量%以上5質量%以下、さらに好ましくは0.01質量%以上1質量%以下である。
【0151】
上記水溶性多価金属塩を上記含有量の範囲で添加することにより、吸水剤の遠心分離機保持容量(CRC)と食塩水流れ誘導性(SFC)とをさらに向上することができる。
【0152】
また、上記水不溶性の無機微粒子としては、例えば、タルク、カオリン、フラー土、ベントナイト、活性白土、重晶石、天然アスファルタム、ストロンチウム鉱石、イルメナイト、パーライト等の鉱産物;多価金属酸化物及び多価金属水酸化物;親水性のアモルファスシリカ(例えば、乾式法:トクヤマ社 ReolosilQS−20、沈殿法:DEGUSSA社 Sipernat22S、Sipernat2200);酸化ケイ素・酸化アルミニウム・酸化マグネシウム複合体酸(例えば、ENGELHARD社 Attagel#50)、酸化ケイ素・酸化アルミニウム複合体、酸化ケイ素・酸化マグネシウム複合体等の酸化物複合体類等を挙げることができる。中でも上記水不溶性の無機微粒子としては、親水性のアモルファスシリカを用いることが最も好ましい。
【0153】
水不溶性の無機微粒子の吸水剤全体に対しての含有量は、好ましくは0質量%以上5質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%以上0.5質量%以下である。
【0154】
上記水不溶性の無機微粒子を上記含有量の範囲で添加することにより、吸水剤の取扱い性(流動性)やSFCを向上することができる。
【0155】
(4)吸水剤
本発明にかかる吸水剤は、吸水性樹脂粒子を含む吸水剤であって、該吸水性樹脂粒子の表面に、改質カチオン性高分子化合物が存在する吸水剤である。なお、改質カチオン性高分子化合物については上記(2)で、吸水性樹脂粒子については上記(1)で説明したとおりであるのでここでは説明を省略する。
【0156】
本発明にかかる吸水剤は、より好ましくは、水溶性不飽和単量体を重合して得られ、内部架橋構造を有し、表面架橋された吸水性樹脂粒子と改質カチオン性高分子化合物を含む吸水剤であって、吸水時に吸水性樹脂粒子間及び/又はその吸水性樹脂粒子表面に、改質カチオン性高分子化合物が存在することが好ましい。これにより、高いCRCに加えて、従来なかった液透過性向上効果を得ることができる。
【0157】
また、上記吸水剤中の、改質カチオン性高分子化合物が表面に存在する吸水性樹脂粒子は、質量平均粒子径が好ましくは100μm以上600μm以下であり、より好ましくは200μm以上500μm以下であり、さらに好ましくは300μm以上400μm以下である。上記の範囲を外れた場合、液透過性が低下し、吸水剤への液の取り込み速度が著しく悪化する場合がある。すなわち、吸収速度が大幅に低下し、例えばオムツに用いた場合、液の漏れ等を引き起こすおそれがある。
【0158】
また、本発明で用いる吸水剤中の、改質カチオン性高分子化合物が表面に存在する吸水性樹脂粒子が175μm以上710μm以下の吸水剤が、50質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることが好ましい。
【0159】
また、上記吸水剤中の、改質カチオン性高分子化合物が表面に存在する吸水性樹脂粒子は、目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合が5質量%以下であることが好ましく、3質量%以下であることがさらに好ましく、1質量%以下であることが最も好ましい。目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合が5質量%を超えた場合、吸水剤の製造の際に粒子の飛散による安全衛生上の問題が生じる。また、得られた吸水体の物性が低下する場合がある。
【0160】
また、上記吸水剤中の、改質カチオン性高分子化合物が表面に存在する吸水性樹脂粒子は、粒度分布の対数標準偏差(σζ)が0.20以上0.50以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.30以上0.40以下である。この範囲を外れると液透過性が低下し、吸水体への液の取り込み速度が著しく悪化する場合がある。
【0161】
また、上記吸水剤は、CRCが、好ましくは5(g/g)以上であり、より好ましくは15(g/g)以上であり、さらに好ましくは25(g/g)以上である。上限値は、特に限定されないが、好ましくは60(g/g)以下であり、より好ましくは50(g/g)以下であり、さらに好ましくは40(g/g)以下である。CRCが5(g/g)未満の場合、吸収量が少なすぎ、オムツ等の衛生材料の使用に適さない。また、遠心分離機保持容量(CRC)が60(g/g)よりも大きい場合、吸水体に使用された時に、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。
【0162】
本発明にかかる吸水剤は、SFCが、好ましくは30(10−7・cm・s・g−1)以上であり、より好ましくは50(10−7・cm・s・g−1)以上であり、さらに好ましくは100(10−7・cm・s・g−1)以上、さらに好ましくは150(10−7・cm・s・g−1)以上であり、特に好ましくは170(10−7・cm・s・g−1)以上、最も好ましくは200(10−7・cm・s・g−1)以上である。SFCが30(10−7・cm・s・g−1)未満の場合、吸水体に使用された時に、吸水体への液の取り込み速度に優れる吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。SFCの上限値は、特に限定されないが、好ましくは3000(10−7・cm・s・g−1)以下である。これを超えると、上記吸水性樹脂粒子の項で記載したような問題が生じる可能性がある。
【0163】
本発明にかかる吸水剤は、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)が、好ましくは8(g/g)以上であり、より好ましくは16(g/g)以上であり、さらに好ましくは20(g/g)以上である。上限値は、特に限定されないが、好ましくは30(g/g)以下である。4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)が8(g/g)未満の場合、吸水体に使用された時に、吸水体に圧力が加わった際の液の戻り(通称リウェット:Re−Wetといわれる)が少ない吸水剤を得ることができなくなるおそれがある。
【0164】
本発明にかかる吸水剤は、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液の液滴を滴下したときの接触角が0度以上、90度以下であることが好ましく、70度以下であることがより好ましく、50度以下であることがさらに好ましく、30度以下であることが特に好ましい。上記接触角が、90度以下であると、親水性が高く、吸水体に使用された場合、液の拡散性に優れる。それゆえ、吸水体における液の吸収面積が大きくなり、吸水体の性質が向上するため好ましい。
【0165】
上記吸水剤は、水可溶分量が、35質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。吸水剤の水可溶分量が35質量%を超える場合、ゲル強度が弱く、液透過性に劣ったものとなることがある。また、オムツ中で長時間使用した際に、CRC、AAPなどが経時的に低下することがある。
【0166】
また、本発明の吸水剤は親水性を付与されているものであることが好ましい。吸水剤を親水化するための技術としては、例えば、WO2005/044915に記載の4価以上のポリオールを少なくとも表面に含有する吸水性樹脂を用いる方法、特開2006−233008号に記載の吸水性樹脂に無機微粒子を添加しUV照射する方法、特願2007−504791号に記載の水不溶性無機微粒子を含有し特定の条件を満たす吸水剤組成物を用いる方法、米国特許出願公開第2005−0288182号に記載の水溶性多価金属塩と尿素誘導体を含む吸水性樹脂を用いる方法、特願2006−188668号に記載の親水性の無機微粒子を添加する方法等従来公知の方法を好適に使用することができる。
【0167】
(5)吸水剤の製造方法
また、本発明には、吸水性樹脂粒子と改質カチオン性高分子化合物とを含む吸水剤、より具体的には、吸水性樹脂粒子を含む吸水剤であって、当該吸水性樹脂粒子の表面に、改質カチオン性高分子化合物が存在する吸水剤を製造する方法も含まれる。本発明の吸水剤の製造方法は、吸水性樹脂粒子と、改質カチオン性高分子化合物とを混合する混合工程を少なくとも含んでいればよい。これによって、CRCとSFCのバランスに優れる吸水剤を製造することができる。
【0168】
本発明において吸水性樹脂粒子と、上記、改質カチオン性高分子化合物とを混合する方法は、特に限定されるものではなく、吸水性樹脂粒子に上記改質カチオン性高分子化合物を含む溶液又は分散液を混合する方法、吸水性樹脂粒子に上記溶液又は分散液を噴霧して混合する方法、吸水性樹脂粒子に上記、改質カチオン性高分子化合物をそのまま混合し必要に応じて水、溶媒、分散媒等を添加して混合する方法等を用いることができる。
【0169】
中でも本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記改質カチオン性高分子化合物は、溶液又は分散液で混合されることがより好ましい。これにより、混合性が向上するため、好ましい。
【0170】
本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記、改質カチオン性高分子化合物は、溶液、乳化液、又は、懸濁液として混合されることがさらに好ましい。
【0171】
ここで、上記、改質カチオン性高分子化合物が溶液で混合される場合用いられる溶媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水;エタノール、メタノール等のアルコール;ポリエチレングリコール等を好適に用いることができる。中でも水を用いることが最も好ましい。また同様に、水と水溶性の有機溶媒(メタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール、1,4−ジオキサンなど)を混合した混合溶媒を用いることが最も好ましい。また、かかる溶液中の上記改質カチオン性高分子化合物の濃度は10質量%以上100質量%以下であることが好ましく、30質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。
【0172】
150また、上記改質カチオン性高分子化合物が懸濁液で混合される場合用いられる分散媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水;エタノール、メタノール等のアルコール;ポリエチレングリコール等を好適に用いることができる。中でも水を用いることが最も好ましい。また同様に、水と水溶性の有機溶媒(メタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール、プロピレングリコールなどの多価アルコール、1,4−ジオキサンなど)を混合した混合溶媒を用いることが最も好ましい。また、かかる分散液中の上記改質カチオン性高分子化合物の濃度は10質量%以上100質量%以下であることが好ましく、30質量%以上100質量%以下であることがより好ましい。また、分散剤として、さらに水溶性ポリマー、界面活性剤等を添加してもよい。
【0173】
さらに、上記改質カチオン性高分子化合物は、溶液又は懸濁液のほかにも、乳化剤とともに例えば水中で乳化液として、吸水性樹脂粒子と混合してもよい。かかる場合の分散媒としては、特に限定されるものではないが、例えば、水等を好適に用いることができる。また、乳化剤としては、特に限定されるものではないが、非イオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等を用いればよい。また、かかる乳化液中の上記改質カチオン性高分子化合物の濃度は10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
【0174】
また、本発明にかかる吸水剤の製造方法では、改質カチオン性高分子化合物は、水溶液として混合されることがさらに好ましい。また、かかる水溶液中の上記改質カチオン性高分子化合物の濃度は10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、30質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。
【0175】
また、上記混合工程を行う時期は、特に限定されるものではない。本発明で用いられる吸水性樹脂粒子は、その表面近傍が表面架橋されていることがより好ましい。それゆえ、本発明の吸水剤の製造方法は、さらに、吸水性樹脂粒子の表面を表面架橋剤によって架橋する表面架橋工程を含むことが好ましく、上記混合工程は、かかる表面架橋工程の間及び/又は上記表面架橋工程の後に行われることがより好ましい。
【0176】
ここで、混合工程が行われる、表面架橋工程の間及び/又は上記表面架橋工程の後とは、吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合と同時であってもよいし、吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合物を加熱処理している間であってもよいし、吸水性樹脂粒子と表面架橋剤との混合物を加熱処理した直後であってもよいし、吸水性樹脂粒子と表面架橋剤の混合物を加熱処理し得られた吸水性樹脂粒子を冷却した後であってもよいし、また、これらの複数の段階で混合を行ってもよい。
【0177】
中でも上記混合工程は、高いCRCとより優れた液透過性向上効果を得るという観点からは、上記表面架橋工程の後、例えば、吸水性樹脂粒子と表面架橋剤の混合物を加熱処理した直後、吸水性樹脂粒子と表面架橋剤の混合物を加熱処理し得られた吸水性樹脂粒子を冷却した後等に行われることがより好ましく、吸水性樹脂粒子と表面架橋剤の混合物を加熱処理し得られた吸水性樹脂粒子を冷却した後に行われることが特に好ましい。
【0178】
また、上記混合工程に供される上記吸水性樹脂粒子は、30〜80℃に加温されたものであることが好ましく、50〜70℃に加温されたものであることがより好ましい。上記混合工程に供される上記吸水性樹脂粒子が30℃以上であることにより混合後の取扱い性が向上するため好ましい。また、上記混合工程に供される上記吸水性樹脂粒子が80℃以下であることにより、加熱による着色やアミド化を防止することができるので好ましい。
【0179】
また上記混合工程は、さらに上述した水溶性多価金属塩及び/又は水不溶性の無機微粒子等の添加剤を添加する工程を含んでいてもよい。かかる添加剤を添加する場合には、その添加方法は、特に限定されるものではなく、吸水性樹脂粒子又は吸水性樹脂粒子と改質カチオン性高分子化合物との混合物に上記添加物を含む溶液又は分散液を混合する方法、上記溶液又は分散液を噴霧して混合する方法、上記添加剤をそのまま混合し必要に応じて水、溶媒、分散媒等を添加して混合する方法等を用いることができる。
【0180】
また、上記添加剤を添加する時期も特に限定されるものではなく、改質カチオン性高分子化合物と同時に添加してもよいし、吸水性樹脂粒子と改質カチオン性高分子化合物とを混合した後その混合物に添加してもよい。中でも、吸水剤の取扱い性向上やSFCの向上の観点から、上記添加剤は、吸水性樹脂粒子と改質カチオン性高分子化合物とを混合した後に添加することがより好ましい。
【0181】
また、上記混合工程で、吸水性樹脂粒子と、改質カチオン性高分子化合物と、必要に応じて上記他の添加剤とを混合する具体的な混合方法は特に限定されるものではなく、公知の撹拌装置を用いて混合することができる。かかる撹拌装置としては、例えば、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、V型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、ロールミキサー、転動式混合機、レディゲミキサー、パドルブレンダー、リボンミキサー、ロータリーブレンダー、ジャータンブラー、プラウジャーミキサー、モルタルミキサー等を好適に用いることができる。また、かかる攪拌装置は、吸水性樹脂粒子と、改質カチオン性高分子化合物と、必要に応じて上記他の添加剤とを含む混合物を加熱する加熱装置を備えていてもよいし、加熱装置によって加熱した上記混合物を冷却する冷却装置を備えていてもよい。上記攪拌装置によって攪拌を行う時間は特に限定されるものではないが、好ましくは60分以下、より好ましくは30分以下である。
【0182】
また、上記混合工程後、得られた混合物は乾燥することが好ましい。ここで、乾燥は、乾燥工程の時間全体の50%以上の時間、より好ましくは実質すべての乾燥工程をとおして好ましくは40℃以上100℃未満の範囲で行われる。かかる温度範囲で乾燥することにより、吸水剤に熱によるダメージを与えることがないため、得られる吸水剤の物性に悪影響を及ぼすことがない。なお、乾燥温度は熱媒温度で規定するが、マイクロ波等熱媒温度で規定できない場合は材料温度で規定する。乾燥方法としては、乾燥温度が上記範囲内であれば特に限定されるものではなく、熱風乾燥、無風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥等を好適に用いることができる。
【0183】
乾燥温度の範囲はより好ましくは40℃〜100℃、さらに好ましくは50℃〜90℃の温度範囲である。また、乾燥は、一定温度で乾燥してもよく、温度を変化させて乾燥してもよいが、実質、すべての乾燥工程は上記の温度範囲内でなされることが好ましい。
【0184】
乾燥時間は、吸水剤の表面積、含水率、及び乾燥機の種類に依存し、目的とする含水率になるよう適宜選択される。乾燥時間は、通常10〜120分、より好ましくは20〜90分、さらに好ましくは30〜60分である。乾燥時間が10分未満では、乾燥が十分でなく、取扱い性が十分でない場合がある。また、乾燥時間が120分以上では、吸水剤にダメージを与えてしまう結果、水可溶分量の上昇が起こり、諸物性の向上効果も見られない場合がある。
【0185】
上記吸水剤の製造方法においては、上記吸水性樹脂粒子を不定形破砕状にするため、上記吸水性樹脂粒子に機械的ダメージを与えた後に、上記改質カチオン性高分子化合物と吸水性樹脂粒子とを混合することがより好ましい。吸水性樹脂粒子を不定形破砕状とすることにより、吸水性樹脂粒子の表面に改質カチオン性高分子化合物を効率よく含ませることができ、得られる吸水剤の物性を向上させることができる。
【0186】
ここで、機械的ダメージとは、ガラス・金属などを吸水性樹脂粒子に衝突させることにより、物理的衝撃を与えることをいう。
【0187】
吸水性樹脂粒子に機械的ダメージを与える方法としては、吸水性樹脂粒子に衝撃を与えることができれば特に限定されるものではない。たとえば、ガラス製容器に吸水性樹脂粒子およびガラスビーズを入れた後、振盪することによって機械的ダメージを与える方法(後述するペイントシェーカーテスト)を挙げることができる。また、その他の吸水性樹脂粒子に機械的ダメージを与える方法としては、吸水性樹脂粒子を、円筒形の容器にボールなどと共に入れて回転させる方法(ボールミル)、攪拌翼を有する撹拌機内で撹拌する方法、パドルドライヤー(パドル翼を有する加熱機、冷却機)を通過させる方法、粉砕機で粉砕する方法、空気輸送により輸送する方法、吸水性樹脂粒子の粒子同士を衝突または摩擦させる方法を挙げることができる。
【0188】
(6)吸水体
本発明にかかる吸水体は、本発明にかかる吸水剤を含むものである。本発明の吸水体を適当な素材と組み合わせることにより、たとえば、衛生材料の吸収層として好適な吸水体とすることができる。以下、本発明の吸水体について説明する。
【0189】
本発明において、吸水体とは、血液、体液、尿等を吸収する衛生材料に用いられる組成物であって、吸水剤とその他の素材からなる成形された組成物のことである。ここで、上記衛生材料としては、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等を挙げることができる。吸収体に用いられるその他の素材としては、セルロース繊維を挙げることができる。かかるセルロース繊維の具体例としては、例えば、木材からのメカニカルパルプ、ケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、溶解パルプ等の木材パルプ繊維;レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維等を例示できる。より好ましいセルロース繊維は木材パルプ繊維である。またこれらセルロース繊維はナイロン、ポリエステル等の合成繊維を一部含有していてもよい。本発明にかかる吸水剤を吸水体の一部として使用する際には、吸水体中に含まれる上記吸水剤の含有量が、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上の範囲である。吸水体中に含まれる本発明の吸水剤の質量が、20質量%未満になると、十分な吸収効果が得られなくなるおそれがある。
【0190】
本発明にかかる吸水剤とセルロース繊維とを用いて吸水体を製造するには、たとえば、セルロース繊維からなる紙、マット等に上記吸水剤を散布し、必要によりこれらの紙、マット等で挟持する方法、セルロース繊維と吸水剤とを均一にブレンドする方法、等吸水体を得るための公知の手段を適宜選択することができる。より好ましい方法としては、吸水剤とセルロース繊維とを乾式混含した後、圧縮する方法を挙げることができる。この方法により、セルロース繊維からの吸水剤の脱落を著しく抑えることが可能である。圧縮は加熱下に行うことが好ましく、その温度範囲は、たとえば50℃以上200℃以下である。
【0191】
本発明にかかる吸水剤は、吸水体に使用された場合、諸物性に優れるため、液の取り込みが早く、また、吸水体表層の液の残存量が少ない、非常に優れた吸水体が得られる。
【0192】
本発明にかかる吸水剤は、優れた吸水特性を有しているため、種々の用途の吸水保水剤として使用することができる。具体的には、例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の吸収物品用吸水保水剤;水苔代替、土壌改質改良剤、保水剤、農薬効力持続剤等の農園芸用保水剤;内装壁材用結露防止剤、セメント添加剤等の建築用保水剤;リリースコントロール剤、保冷剤、使い捨てカイロ、汚泥凝固剤、食品用鮮度保持剤、イオン交換カラム材料、スラッジ又はオイルの脱水剤、乾燥剤、湿度調整材料等で使用できる。中でも、本発明にかかる吸水剤は、紙おむつ、生理用ナプキン等の、糞、尿又は血液の吸収用衛生材料に特に好適に用いられる。
【0193】
本発明にかかる吸水体は、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の衛生材料に用いられる場合、(a)着用者の体に隣接して配置される液体透過性のトップシート、(b)着用者の身体から遠くに、着用者の衣類に隣接して配置される、液体に対して不透過性のバックシート、及び(c)トップシートとバックシートの間に配置された吸水体、を含んでなる構成で使用されることが好ましい。吸水体は二層以上であっても良いし、パルプ層等とともに用いても良い。
【0194】
(7)カチオン価が1〜22mmol/gであり、かつ、2級カチオン価が0.1〜11mmol/gであるカチオン性高分子化合物と吸水性樹脂粒子とを含む吸水剤
また、本発明には、吸水性樹脂粒子を主成分として含み、さらに2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物を含んでいるものであり、当該カチオン性高分子化合物のカチオン価が1〜22mmol/gであり、かつ、2級カチオン価が0.1〜11mmol/gである吸水剤も含まれる。
【0195】
ここで、本項目(7)の吸水剤において、吸水性樹脂粒子及びその他の添加剤については、それぞれ、上記(1)及び(3)と同様であるので、ここでは説明を省略する。なお、本項目(7)の吸水剤においては、上記(1)及び(3)において、「改質カチオン性高分子化合物」との記載は、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物に置き換えて読むものとする。
【0196】
本項目(7)の吸水剤では、上記吸水性樹脂粒子の表面に上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物が存在している。なお、ここで、上記吸水性樹脂粒子の表面とは、上記(2)で説明したとおりである。
【0197】
吸水性樹脂粒子の表面に上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物が存在していることによって、吸水剤のCRCを低下させることなく、SFCを向上させることができる。言い換えれば、吸水剤の液透過性が向上することとなる。なお、液透過性向上のためには、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物は、上記吸水性樹脂粒子が外気にさらされている部分、及び/又は、吸水性樹脂粒子の表面から粒子径(長径)の10分の1内部までの部分に含まれていればよいが、上記吸水性樹脂粒子が外気にさらされている部分に含まれていることがより吸水剤の物性を向上させる。
【0198】
上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物はカチオン価が1〜22mmol/gであり、かつ、2級カチオン価が0.1〜11mmol/gである。これにより、吸水剤のCRCを低下させることなく、SFCを向上させることができるという本発明の効果を得ることができる。
【0199】
上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物は、カチオン価が1〜22mmol/gであればよいが、1〜21mmol/gであることがより好ましく、2〜20mmol/gであることがさらに好ましい。また、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物は、2級カチオン価が0.1〜11mmol/gであればよいが、0.2〜10mmol/gであることがより好ましく、1〜10mmol/gであることがさらに好ましい。
【0200】
また、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物は、分子中に含まれる2級アミノ基の、分子中に含まれる全窒素原子に対する割合が、5〜100モル%であることが好ましく、25〜100モル%であることがより好ましく、50〜100モル%であることがさらに好ましい。これにより、吸水剤のCRCを低下させることなく、SFCを向上させることができるという本発明の効果を得ることができる。
【0201】
上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物は塩の形で存在してもよい。ここで、上記2級アミノ基の塩とは、2級アミノ基が、無機酸又は有機酸で中和されたものであれば特に限定されるものではない。かかる無機酸塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩等を挙げることができる。また、有機酸塩としては、連続する炭素数が1以下の有機酸の塩であれば特に限定されるものではなく、例えば、蟻酸等の塩を挙げることができる。
【0202】
上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物としては、例えば、上記(2)に記載のカチオン性高分子化合物と前記改質剤との反応物を挙げることができる。より具体的には、例えば、改質ポリエチレンイミン、改質ポリビニルアミン(改質ポリビニルアミンは、前記改質剤とポリ(N−ビニルホルムアミドの加水分解物とを反応させて得られる改質ポリ(N−ビニルホルムアミド)加水分解物であるともいえる)、改質ポリアリルアミン、改質ポリアミジン等を挙げることができる。
【0203】
上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物としては、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0204】
中でも、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物としては、液透過性向上の効果により優れるという観点から、改質ポリエチレンイミン、改質ポリビニルアミン等を用いることがより好ましい。また、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
【0205】
上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物の重量平均分子量は、5000以上であることが好ましく、10000以上であることがより好ましく、30000以上であることがさらに好ましい。重量平均分子量が5000未満であると期待する効果が得られなくなるおそれがある。また、上記カチオン性高分子化合物の重量平均分子量の上限は特に限定されるものではないが、100万以下であることが好ましく、50万以下であることがより好ましい。上記カチオン性高分子化合物の重量平均分子量が、100万以下であることにより、粘度が低くなり、取り扱い性や混合性に優れるため好ましい。なお、重量平均分子量は、GPC、粘度測定、静的光散乱等の公知の方法で測定することができる。
【0206】
本項目(7)の吸水剤では、吸水時に吸水性樹脂粒子間及び/又はその吸水性樹脂粒子表面に、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物が存在することが好ましい。これにより、高いCRCに加えて、従来なかった液透過性向上効果を得ることができる。
【0207】
本項目(7)の吸水剤の上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物が表面に存在する吸水性樹脂粒子の質量平均粒子径、175μm以上710μm以下の吸水剤の割合、150μmのふるいを通過できる粒子の割合、粒度分布の対数標準偏差(σζ)については、上記(4)と同様である。また、本項目(7)の吸水剤のCRC、SFC、AAP、0.9質量%塩化ナトリウム水溶液の液滴を滴下したときの接触角、水可溶分量についても上記(4)と同様である。
【0208】
また、本発明には、本項目(7)の吸水剤を製造する方法も含まれる。かかる吸水剤の製造方法は、吸水性樹脂粒子とカチオン性高分子化合物とを混合する混合工程を含み、当該カチオン性高分子化合物として、2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物であって、カチオン価が1〜22mmol/gであり、かつ、2級カチオン価が0.1〜11mmol/gであるカチオン性高分子化合物を用いる方法であればよい。これによって、CRCとSFCのバランスに優れる吸水剤を製造することができる。
【0209】
本発明において吸水性樹脂粒子と、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物とを混合する方法は、特に限定されるものではなく、吸水性樹脂粒子に上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物を含む溶液又は分散液を混合する方法、吸水性樹脂粒子に上記溶液又は分散液を噴霧して混合する方法、吸水性樹脂粒子に上記、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物をそのまま混合し必要に応じて水、溶媒、分散媒等を添加して混合する方法等を用いることができる。
【0210】
中でも本発明にかかる吸水剤の製造方法では、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物は、溶液又は分散液で混合されることがより好ましい。これにより、混合性が向上するため、好ましい。かかる製造方法では、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物は、溶液、乳化液、又は、懸濁液として混合されることがさらに好ましい。
【0211】
本項目(7)の吸水剤の具体的な製造方法については、上記(5)と同様であるので、ここでは説明を省略する。また、本項目(7)の吸水剤を含む吸収体についても上記(6)と同様であるので、ここでは説明を省略する。なお、本製造方法においては、上記(5)及び(6)において、「改質カチオン性高分子化合物」との記載は、上記2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物に置き換えて読むものとする。
【実施例】
【0212】
以下に、実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「質量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、「質量%」を「wt%」と記すことがある。
【0213】
吸水性樹脂、吸水性樹脂粒子又は吸水剤の諸性能は、以下の方法で測定した。特に記載が無い限り下記の測定は室温(20〜25℃)、湿度50RH%の条件下で行われたものとする。
【0214】
なお、衛生材料等の最終製品として使用された吸水剤の場合は、吸水剤は吸湿しているので、適宜、吸水剤を最終製品から分離して減圧低温乾燥後(例えば、1mmHg以下、60℃で12時間)に測定すればよい。また、本実施例及び比較例において使用された吸水剤の固形分はすべて94質量%以上であった。また、以下の測定方法の記載は吸水剤の測定を例に挙げているが、同様の方法で吸水性樹脂粒子の物性も測定することができる。
【0215】
また、参考例13で行ったペイントシェーカーテストは以下のようにして行った。
【0216】
<遠心分離機保持容量(CRC)>
遠心分離機保持容量(CRC)は0.90質量%食塩水に対する無加圧下で30分の吸収倍率を示す。なお、CRCは、無加圧下吸収倍率と称されることもある。
【0217】
吸水剤0.200gを不織布製(南国パルプ工業(株)製、商品名:ヒートロンペーパー、型式:GSP−22)の袋(85mm×60mm)に均一に入れてヒートシールした後、室温で大過剰(通常500ml程度)の0.90質量%食塩水(塩化ナトリウム水溶液)中に浸漬した。30分後に袋を引き上げ、遠心分離機(株式会社コクサン社製、遠心機:型式H−122)を用いてedana ABSORBENCY II 441.1−99に記載の遠心力(250G)で3分間水切りを行った後、袋の質量W(g)を測定した。また、同様の操作を吸水剤を用いずに行い、その時の質量W(g)を測定した。そして、これらW、Wから、次式に従って遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)を算出した。
【0218】
遠心分離機保持容量(CRC)(g/g)
=(W(g)−W(g))/(吸水剤の質量(g))−1
<4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)>
圧力に対する吸収力(AAP)は0.90質量%食塩水に対する4.83kPaで60分の吸収倍率を示す。なお、AAPは、4.83kPaでの加圧下吸収倍率と称されることもある。図1は、AAPの測定装置を示す断面図である。
【0219】
図1に示す測定装置を用い、内径60mmのプラスチックの支持円筒100の底に、ステンレス製400メッシュの金網101(目の大きさ38μm)を融着させ、室温(20℃以上25℃以下)、湿度50RH%の条件下で、金網101上に吸水剤0.900gを均一に散布し、その上に、試験体102である吸水剤に対して4.83kPa(0.7psi)の荷重を均一に加えることができるよう調整された、外径が60mmよりわずかに小さく支持円筒100との隙間が生じず、かつ上下の動きが妨げられないピストン103と荷重104とをこの順に載置し、この測定装置10の全体の質量Wa(g)を測定した。
【0220】
直径150mmのペトリ皿105の内側に直径90mmのガラスフィルター106(株式会社相互理化学硝子製作所社製、細孔直径:100〜120μm)を置き、0.90質量%食塩水108(20℃以上25℃以下)をガラスフィルター106の上面と同じ液面になるように加えた。その上に、直径90mmの濾紙107(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を1枚載せ、表面が全て濡れるようにし、かつ過剰の液を除いた。
【0221】
上記測定装置10の一式を上記湿った濾紙上に載せ、液を荷重下で吸収させた。1時間後、測定装置10の一式を持ち上げ、その質量Wb(g)を測定した。そして、Wa、Wbから、下記の式に従って4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)(g/g)を算出した。
【0222】
4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)
=(Wb(g)−Wa(g))/(吸水剤の質量(0.900g))
<食塩水流れ誘導性(SFC)>
食塩水流れ誘導性(SFC)は吸水剤の膨潤時の液透過性を示す値である。SFCの値が大きいほど、吸水剤は、高い液透過性を有することとなる。本実施例においては、米国特許第5849405号明細書記載のSFC試験に準じて行った。図2は、SFCの測定装置を示す概略図である。
【0223】
図2に示す測定装置において、タンク31にはガラス管32が挿入されており、ガラス管32の下端は、0.69質量%食塩水33をセル41中のゲル44の底部から、5cm上の高さに維持できるように配置されている。また、タンク31中の0.69質量%食塩水33は、コック付きL字管34を通じてセル41へ供給されるよう構成されている。セル41の下には、透過した液を補集する捕集容器48が配置されており、補集容器48は上皿天秤49の上に設置されている。セル41の内径は6cmであり、下部の底面にはNo.400ステンレス製金網(目開き38μm)42が設置されていた。ピストン46の下部には液が透過するのに十分な穴47があり、底部には吸水剤あるいはその膨潤ゲルが、穴47へ入り込まないように透過性の良いガラスフィルター45が取り付けてあった。セル41は、セル41を乗せるための台の上に置かれ、セル41と接する台の面は、液の透過を妨げないステンレス製の金網43の上に設置した。
【0224】
人工尿(1)は、塩化カルシウムの2水和物0.25g、塩化カリウム2.0g、塩化マグネシウムの6水和物0.50g、硫酸ナトリウム2.0g、りん酸2水素アンモニウム0.85g、りん酸水素2アンモニウム0.15g、及び、純水994.25gを加えたものを用いた。
【0225】
図2に示す測定装置20を用い、容器40に均一に入れた吸水剤(0.900g)を人工尿(1)中で2.07kPa(0.3psi)の加圧下、60分間膨潤させゲル44とした。その後、ゲル44のゲル層の高さを記録し、次に2.07kPa(0.3psi)の加圧下、0.69質量%の食塩水33を、一定の静水圧でタンク31から膨潤したゲル層を通液させた。このSFC試験は室温(20℃以上25℃以下)で行った。試験ではコンピューターと天秤とを用い、時間の関数として、20秒間隔でゲル層を透過する液体量を10分間記録した。膨潤したゲル44(の主に粒子間)を透過する流速Fs(T)は増加質量(g)を増加時間(s)で割ることによりg/sの単位で決定した。一定の静水圧と安定した流速が得られた時間をTsとし、Tsと10分間の間に得たデータだけを流速計算に使用して、Tsと10分間の間に得た流速を使用してFs(T=0)の値、つまりゲル層を通る最初の流速を計算した。Fs(T=0)はFs(T)対時間の最小2乗法の結果をT=0に外挿することにより計算した。
【0226】
食塩水流れ誘導性(SFC)
=(Fs(t=0)×L)/(ρ×A×ΔP)
=(Fs(t=0)×L)/139506
ここで、Fs(t=0):g/sで表した流速、L:cmで表したゲル層の高さ、ρ:NaCl溶液の密度(1.003g/cm)、A:セル41中のゲル層上側の面積(28.27cm)、ΔP:ゲル層にかかる静水圧(4920dyne/cm)及びSFC値の単位は(10−7・cm・s・g−1)である。
【0227】
液の透過が早すぎて、静水圧が上記に満たない場合は、上記ΔPの値を食塩水の液面の高さから計算された値に変更してSFCを計算することができる。
【0228】
<質量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)>
国際公開第2004/69915号パンフレット記載の質量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)試験に準じて行った。
【0229】
<目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合>
上記、質量平均粒子径(D50)及び粒度分布の対数標準偏差(σζ)の測定方法と同様の分級操作を行い、目開き150μmのふるいを通過した量から目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合(質量%)を求めた。
【0230】
<吸水剤の固形分>
吸水剤において、180℃で揮発しない成分が占める割合を表す。含水率との関係は以下の様になる。
固形分(質量%)=100−含水率(質量%)
固形分の測定方法は、以下のように行った。
【0231】
底面の直径が約5cmのアルミカップ(質量W)に、約1gの吸水剤を量り取り(質量W)、180℃の無風乾燥機中において3時間静置し、乾燥させる。乾燥後のアルミカップ+吸水剤の質量(W)を測定し、以下の式より固形分を求めた。
固形分(質量%)=((W−W)/W)×100
<水可溶分(水可溶成分)量>
250ml容量の蓋付きプラスチック容器に0.90質量%食塩水184.3gをはかり取り、その水溶液中に吸水剤1.00gを加え16時間、スターラーを回転させ攪拌することにより樹脂中の可溶分を抽出した。この抽出液を濾紙1枚(ADVANTEC東洋株式会社、品名:(JIS P 3801、No.2)、厚さ0.26mm、保留粒子径5μm)を用いて濾過することにより得られた濾液の50.0gを測り取り測定溶液とした。
【0232】
はじめに0.90質量%食塩水だけを、まず、0.1NのNaOH水溶液でpH10まで滴定を行い、その後、0.1NのHCl水溶液でpH2.7まで滴定して空滴定量([bNaOH]ml、[bHCl]ml)を得た。
【0233】
同様の滴定操作を測定溶液についても行うことにより滴定量([NaOH]ml、[HCl]ml)を求めた。
【0234】
例えば既知量のアクリル酸とそのナトリウム塩が主成分の吸水剤の場合、そのモノマーの平均分子量と上記操作により得られた滴定量をもとに、吸水剤の水可溶分量を以下の計算式により算出することができる。未知量の場合は滴定により求めた中和率を用いてモノマーの平均分子量を算出する。
【0235】
水可溶分(質量%)=0.1×(平均分子量)×184.3×100×([HCl]−[bHCl])/1000/1.0/50.0
中和率(mol%)=(1−([NaOH]−[bNaOH])/([HCl]−[bHCl]))×100
<カチオン価>
0.01gの改質カチオン性高分子化合物を1000mlのビーカーに量りとり、そこに500mlの0.1モル/l塩酸を加える。10分間攪拌した後、得られた溶液をビーカーに20ml量りとり、これに指示薬としてトルイジンブルー指示薬溶液(和光純薬工業株式会社製)を数滴添加する。1/400モル/lのポリビニル硫酸カリウム標準溶液(和光純薬工業株式会社製)を徐々に加えていき、溶液の色が青から紫に変わったところを終点とする。終点までの、ポリビニル硫酸カリウム標準溶液の滴下量をVmlとするとカチオン価は以下の式により算出される。
カチオン価(mmol/g)=(V×(1/400))/(0.01×(20/500))
<接触角>
SUS板上に両面粘着テープを貼り、その上に吸水剤を撒き、両面テープに付着しなかった吸水剤を掻き落として、表面が吸水剤で覆われた試料板を作製した。0.90質量%生理食塩水を該試料板に接触させたときの接触角を、20℃、60%RHの条件下、接触角計(協和界面科学(株)製、FACE CA−X型)を用いて液滴法にて測定した。0.90質量%生理食塩水の液滴を試料板に滴下してから1秒後の接触角を1試料について5回測定し、その平均値を求めて吸水剤の接触角とした。
【0236】
<固定された高さ吸収(FHA)>
US2005/000319A1に記載の方法に従って固定された高さ吸収(FHA)の測定を行う。なお、本発明においては、測定時の高さは20cmで行った。
【0237】
<ペイントシェーカーテスト>
ペイントシェーカーテスト(PS)とは、直径6cm、高さ11cmのガラス製容器に、直径6mmのガラスビーズ10g、吸水性樹脂または吸水剤30gを入れてペイントシェーカー(東洋製機製作所 製品No.488)に取り付け、800cycle/min(CPM)で振盪するものであり、装置詳細は特開平9−235378号公報に開示されている。なお振盪時間は30分間とした。
【0238】
振盪後、目開き2mmのJIS標準篩でガラスビーズを除去し、ダメージを与えられた吸水性樹脂粒子または吸水剤が得られる。
【0239】
<吸水剤の着色評価(ハンターLab表色系/L値、a値、b値)>
吸水剤の着色評価は、日本電色工業株式会社製の分光式色差計SZ−Σ80COLOR MEASURING SYSTEMを用いて行った。測定の設定条件は、反射測定が選択され、内径30mmで且つ高さ12mmである付属の粉末・ペースト試料台が用いられ、標準として粉末・ペースト用標準丸白板No.2が用いられ、30Φ投光パイプが用いられた。備え付けの試料台に約5gの吸水剤を充填した。この充填は、備え付け試料台を約6割程度充填するものであった。室温(20〜25℃)及び湿度50RH%の条件下で、上記分光式色差計にて表面のハンターLab表色系におけるL値(Lightness:明度指数)、a値(色度)、b値(色度)を測定した。この値を、「曝露前のL値、a値、b値」とする。
【0240】
また、同じ装置の同じ測定法によって、同時に他の尺度の物体色YI(黄色度)ないしWB(ホワイトバランス)も測定できる。WBは大きいほど、YIは小さいほど、低着色で実質白色に近づくことを示す。
【0241】
続いて、上記ペースト試料台に約5gの吸水剤を充填し、70±1℃、相対湿度65±1%の雰囲気に調整した恒温恒湿機(タバイエスペック株式会社製PLATINOUSLUCIFER、形式PL−2G)中に吸水剤を充填したペースト試料台を7日間曝露した。この曝露が、7日間着色促進試験である。曝露後、上記分光式色差計にて表面のハンターLab表色系におけるL値(Lightness)、a値(色度)、b値(色度)を測定した。この測定値を、「70±1℃、相対湿度65±1%の雰囲気下に7日間曝露後のL値、a値、b値」とする。
【0242】
〔参考例1〕
シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸434.0g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4356.9g、純水660.1g、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)9.69gを溶解させて反応液とした。次にこの反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。続いて、反応液に20質量%過硫酸ナトリウム水溶液16.21gおよび0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液23.16gを攪拌しながら添加したところ、およそ20秒後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、25℃以上90℃以下で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。このとき、重合が開始してから最高温度に達するまでの時間は15分以内であった。得られた含水ゲル(含水ゲル状架橋重合体)は、その径が約5mm以下に細分化されていた。
【0243】
この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュの金網上に広げ、185℃で45分間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルで粉砕し、さらに分級操作によって、目開き710μmのJIS標準篩を通過した粒子を、さらに目開き175μmのJIS標準篩で分級し、通過した微粒子を除去することにより、質量平均粒子径(D50)350μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.33の不定形破砕状の吸水性樹脂(A)を得た。吸水性樹脂(A)の遠心分離機保持容量(CRC)は34.0(g/g)、水可溶分は9.0質量%、目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合は1.0質量%であった。
【0244】
得られた吸水性樹脂(A)100質量部に1,4−ブタンジオール0.35質量部、プロピレングリコール0.55質量部、純水3.0質量部、過硫酸ナトリウム0.1質量部の混合液からなる表面架橋剤を均一に混合した後、混合物を212℃で35分間加熱処理した。その後、得られた粒子を目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(1)を得た。吸水性樹脂粒子(1)の遠心分離機保持容量(CRC)は27.1(g/g)、食塩水流れ誘導性(SFC)は85(10−7・cm・s・g−1)、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は24.6(g/g)、固定された高さ吸収(FHA)は23.7(g/g)であった。
【0245】
〔参考例2〕
シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸505.6g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4430.8g、純水511.7g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523)12.786gを溶解させて反応液とした。次にこの反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。続いて、反応液に20質量%過硫酸ナトリウム水溶液14.67gおよび0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液24.45gを攪拌しながら添加したところ、およそ25秒後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、25℃以上90℃以下で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。このとき、重合が開始してから最高温度に達するまでの時間は15分以内であった。得られた含水ゲル(含水ゲル状架橋重合体)は、その径が約5mm以下に細分化されていた。
【0246】
この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュの金網上に広げ、180℃で45分間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルで粉砕し、さらに分級操作によって、目開き710μmのJIS標準篩を通過した粒子を、さらに目開き175μmのJIS標準篩で分級し、通過した微粒子を除去することにより、質量平均粒子径(D50)343μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.32の不定形破砕状の吸水性樹脂(B)を得た。吸水性樹脂(B)の遠心分離機保持容量(CRC)は33.4(g/g)、水可溶分は6.1質量%、目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合は1.0質量%であった。
【0247】
得られた吸水性樹脂(B)100質量部に1,4−ブタンジオール0.34質量部、プロピレングリコール0.56質量部、純水3.0質量部の混合液からなる表面架橋剤を均一に混合した後、混合物を208℃で40分間加熱処理した。その後、得られた粒子を目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。次に、解砕された粒子にペイントシェーカーテスト1を行った。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(2)を得た。吸水性樹脂粒子(2)の遠心分離機保持容量(CRC)は29.2(g/g)、食塩水流れ誘導性(SFC)は28(10−7・cm・s・g−1)、4.83kPaの圧力に対する吸収力(AAP)は24.9(g/g)、固定された高さ吸収(FHA)は25.7(g/g)であった。
【0248】
参考例1〜2で得られた吸水性樹脂(A)及び(B)の諸物性を表1に、吸水性樹脂粒子(1)及び(2)の諸物性を表2に示す。
【0249】
【表1】

【0250】
【表2】

【0251】
〔参考例3〕
耐圧反応容器に、50質量%ポリエチレンイミン水溶液(日本触媒製、エポミン(登録商標)P−1050、エポミン(登録商標)P−1050と、後述するエポミン(登録商標)P−1000とは全く同じポリマーであり、水溶液濃度のみが異なるものである。)900g及び純水242.9gを入れた。次に内部を窒素置換し、温度を80℃まで上昇させた。続いて、密閉された反応容器中に、プロピレンオキシドを2時間かけて242.9g添加した。この時、反応温度は79〜82℃、圧力は0.8MPa以下に保たれた。添加終了後、80℃で2時間保持した。こうして、ポリエチレンイミンの全窒素原子に対して、プロピレンオキシドを40モル%反応させた改質ポリエチレンイミン(PO−40C)水溶液を得た。この改質ポリエチレンイミン(PO−40C)水溶液の樹脂分は50.0質量%であった。これを純水で希釈することで、30質量%水溶液としたものを、改質ポリエチレンイミン(PO−40)水溶液とした。
【0252】
上記と同様の反応操作を、50質量%ポリエチレンイミン水溶液(日本触媒製、エポミン(登録商標)P−1050)900.1g、純水424.6g、プロピレンオキシド424gを用いて行った。なお、プロピレンオキシドの添加時間は3.5時間に変更した。こうして、ポリエチレンイミンの全窒素原子に対して、プロピレンオキシドを70モル%反応させた改質ポリエチレンイミン(PO−70C)水溶液を得た。この改質ポリエチレンイミン(PO−70C)水溶液の樹脂分は51.1質量%、粘度は5820mPa・s(25℃)であった。これを純水で希釈することで、30質量%水溶液としたものを、改質ポリエチレンイミン(PO−70)水溶液とした。
【0253】
上記と同様の反応操作を、50質量%ポリエチレンイミン水溶液(日本触媒製、エポミン(登録商標)P−1050)750.5g、純水505.8g、プロピレンオキシド505.8gを用いて行った。なお、プロピレンオキシドの添加時間は4時間に変更した。こうして、ポリエチレンイミンの全窒素原子に対して、プロピレンオキシドを100モル%反応させた改質ポリエチレンイミン(PO−100C)水溶液を得た。この改質ポリエチレンイミン(PO−100C)水溶液の樹脂分は50.8質量%、粘度は3570mPa・s(25℃)であった。これを純水で希釈することで、30質量%水溶液としたものを、改質ポリエチレンイミン(PO−100)水溶液とした。
【0254】
〔参考例4〕
冷却管及び攪拌機付きの4口のガラス製セパラブルフラスコに、50質量%ポリエチレンイミン水溶液(日本触媒製、エポミン(登録商標)P−1050)300g及び純水200gを入れた。次に内部を窒素置換し、温度を80℃まで上昇させた。続いて、反応容器中に、スチレンオキシドを1時間かけて42g添加した。この時、反応温度は80℃に保たれた。添加終了後、80℃で7時間保持した。こうして、ポリエチレンイミンの全窒素原子に対して、スチレンオキシドを10モル%反応させた改質ポリエチレンイミン(SO−10C)水溶液を得た。この改質ポリエチレンイミン水溶液(SO−10C)の樹脂分は35.8質量%であった。これを純水で希釈することで、30質量%水溶液としたものを、改質ポリエチレンイミン(SO−10)水溶液とした。
【0255】
上記と同様の反応操作を、50質量%ポリエチレンイミン水溶液(日本触媒製、エポミン(登録商標)P−1050)300g、純水395g、スチレンオキシド83.7gを用いて行った。なお、スチレンオキシドの添加時間は1.5時間、添加後の保持時間は3時間に変更した。こうして、ポリエチレンイミンの全窒素原子に対して、スチレンオキシドを20モル%反応させた改質ポリエチレンイミン(SO−20)水溶液を得た。この改質ポリエチレンイミン水溶液(SO−20)の樹脂分は30.0質量%であった。
【0256】
〔参考例5〕
冷却管及び攪拌機付きの4口のガラス製セパラブルフラスコに、50質量%ポリエチレンイミン水溶液(日本触媒製、エポミン(登録商標)P−1050)79.8g及び純水716gを入れた。次に内部を窒素置換した。続いて、反応容器中に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ株式会社製、製品名サイラエース、品番S−510)を3.98g添加した。続いて、室温で3時間攪拌した。こうして、ポリエチレンイミンの全窒素原子に対して、シランカップリング剤を10モル%反応させた改質ポリエチレンイミン(Si−10)水溶液を得た。この改質ポリエチレンイミン水溶液(Si−10)の樹脂分は5.5質量%であった。
【0257】
〔参考例6〕
ポリエチレンイミン(数平均分子量約70000、日本触媒株式会社製、品番エポミン(登録商標)P−1000、30質量%水溶液)10gに純水8.9gを加えて、水溶液中に攪拌子を入れスターラー上で攪拌した。得られた水溶液18.9g中に、ブチルグリシジルエーテル(シグマアルドリッチ社製)0.91gを滴下し、その後70〜80℃の湯浴中で1時間攪拌した。こうして、ポリエチレンイミンの全窒素原子に対して、ブチルグリシジルエーテルを10モルパーセント反応させたポリエチレンイミンの19.7質量%水溶液を得た。これを、改質ポリエチレンイミン(BGE−10)水溶液とした。
【0258】
同様の方法で、ポリエチレンイミンの全窒素原子に対して、20モル%反応させたものを、改質ポリエチレンイミン(BGE−20)水溶液(濃度19.7質量%)とした。
【0259】
〔参考例7〕
特開2005−170977号の実施例に記載された重合体1の作製方法を参考にして以下の操作を行った。
【0260】
還流冷却器、温度計、攪拌機を備えたガラス製の100mlセパラブルフラスコにポリエチレンイミン(日本触媒株式会社製、品番エポミン(登録商標)SP−200)を45g仕込み、攪拌しながらデナコール(登録商標)EX−192(ナガセケムテックス株式会社製)5.0gを加えた。この重合体混合物を攪拌下60℃に昇温して4時間反応させた後、純水で希釈して、改質ポリエチレンイミン(EXS−10)水溶液(濃度42.8質量%)を得た。改質ポリエチレンイミン(EXS−10)は、水に対して任意の割合で完全に溶解し、しかも、DO中のNMRスペクトル測定において、3.5ppm付近にエポキシ環が開環して生ずるメチンプロトン由来のシグナルが検出されたことから、その生成が確認された。また、改質ポリエチレンイミン(EXS−10)の臭気はほとんどなかった。
【0261】
〔参考例8〕
特開2005−170977号の実施例に記載された重合体1の作成方法を参考にして、以下の操作を行った。
【0262】
還流冷却器、温度計、攪拌機を備えたガラス製の100mlセパラブルフラスコにポリエチレンイミン(日本触媒株式会社製、品番エポミン(登録商標)P−1000、30質量%水溶液)を40g(ポリマー成分量12g)仕込み、攪拌しながらデナコール(登録商標)EX−192(ナガセケムテックス株式会社製)0.63gを加えた。この重合体混合物を攪拌下60℃に昇温して4時間反応させた後、純水で希釈して、改質ポリエチレンイミン(EXP−5)水溶液(濃度20質量%)を得た。改質ポリエチレンイミン(EXP−5)は、DO中のNMRスペクトル測定において、3.5ppm付近にエポキシ環が開環して生ずるメチンプロトン由来のシグナルが検出されたことから、その生成が確認された。また、改質ポリエチレンイミン(EXP−5)の臭気はほとんどなかった。
【0263】
また、上記と同様の操作を、デナコール(登録商標)EX−192の使用量を1.33gに変更して行った。こうして、改質ポリエチレンイミン(EXP−10)水溶液(濃度20質量%)を得た。
【0264】
〔参考例9〕
ポリアリルアミンPAA(登録商標)−15B(日東紡績株式会社製、15質量%水溶液)100.0質量部と純水50.0質量部とを混合し、均一な溶液を得た。この溶液をポリアリルアミン(1)水溶液(濃度10質量%)とした。
【0265】
ポリアリルアミン(1)水溶液40.0gにデナコール(登録商標)EX−192(ナガセケムテックス株式会社製)を0.444g滴下し、70℃で1時間撹拌した。こうして得られたものを改質ポリアリルアミン(EX−10)水溶液とした。
【0266】
上記と同様の操作を、デナコール(登録商標)EX−192の使用量を1.74gに変更して行った。こうして得られたものを改質ポリアリルアミン(EX−30)水溶液とした。
【0267】
上記と同様の操作を、デナコール(登録商標)EX−192の使用量を4.00gに変更して行った。こうして得られたものを改質ポリアリルアミン(EX−50)水溶液とした。
【0268】
〔参考例10〕
エポミン(登録商標)P−1000(株式会社日本触媒製、30質量%水溶液)100質量部と純水200質量部とを混合し、透明な均一な溶液を得た。これをポリエチレンイミン(11)水溶液(濃度10質量%)とした。
【0269】
ポリエチレンイミン(11)水溶液40.0gを90℃の湯浴で加温した。そこに、90℃に加温し溶融させたステアリン酸(和光純薬工業株式会社製)0.444gを添加し、90℃で1時間撹拌した。こうして得られたものを改質ポリエチレンイミン(STE−10)水溶液とした。
【0270】
上記と同様の操作を、ステアリン酸の使用量を1.714gに変更して行った。こうして得られたものを改質ポリエチレンイミン(STE−30)水溶液とした。
【0271】
上記と同様の操作を、ステアリン酸の使用量を4.000gに変更して行った。こうして得られたものを改質ポリエチレンイミン(STE−50)水溶液とした。
【0272】
〔参考例11〕
エポミン(登録商標)P−1000(株式会社日本触媒製、30質量%水溶液)100質量部とプロピオン酸(関東化学株式会社製)5.17質量部とを混合し、室温で3時間撹拌した。こうして、改質ポリエチレンイミン(PA−15)水溶液を得た。
【0273】
上記と同様の操作を、プロピオン酸の使用量を25.8質量部に変更して行った。こうして得られたものを改質ポリエチレンイミン(PA−46)水溶液とした。
【0274】
〔参考例12〕
エポミン(登録商標)P−1000(株式会社日本触媒製、30質量%水溶液)100質量部と乳酸(関東化学株式会社製)6.98質量部とを混合し、室温で3時間撹拌した。こうして、改質ポリエチレンイミン(LA−17)水溶液を得た。
【0275】
上記と同様の操作を、乳酸の使用量を34.9質量部に変更して行った。こうして得られたものを改質ポリエチレンイミン(LA−51)水溶液とした。
【0276】
上記参考例3〜12により製造された改質カチオン性高分子化合物、その前駆体であるカチオン性高分子化合物、及び、改質剤を表3にまとめた。
【0277】
【表3】

【0278】
〔参考例13〕
シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸436.4g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4617.9g、純水395.96g、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均分子量523)10.13g(0.08モル%)、1,4−ブタンジオール0.873g(0.04モル%)を溶解させて反応液とした。次にこの反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。続いて、反応液に20質量%過硫酸ナトリウム水溶液14.53gおよび0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液24.22gを攪拌しながら添加したところ、およそ34秒後に重合が開始した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、25℃以上92℃以下で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。得られた含水ゲル状架橋重合体は、実質ゲルの粒子径が約5mm以下に細分化されていた。
【0279】
この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュの金網上に広げ、180℃で45分間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルで粉砕し、さらに分級操作によって、目開き710μmのJIS標準篩を通過した粒子を、さらに目開き175μmのJIS標準篩で分級し、通過した微粒子を除去することにより、質量平均粒子径(D50)380μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.31の不定形破砕状の吸水性樹脂(C)を得た。吸水性樹脂(C)の遠心分離機保持容量(CRC)は33.1(g/g)、水可溶分は9.9質量%、目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合は0.4質量%であった。
【0280】
得られた吸水性樹脂(C)100質量部に1,4−ブタンジオール0.34質量部、プロピレングリコール0.56質量部、純水3.0質量部の混合液からなる表面架橋剤を均一に混合した後、混合物を208℃で40分間加熱処理した。その後、得られた粒子を目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。次に、解砕された粒子にペイントシェーカーテストを行った。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(3)を得た。
【0281】
参考例13で得られた吸水性樹脂(C)の諸物性を表1に、吸水性樹脂粒子(3)の諸物性を表2に示す。
【0282】
〔参考例14〕
参考例3と同様の操作を50質量%ポリエチレンイミン水溶液のかわりに、ポリビニルアミン水溶液(PVAm95と表記する。濃度17質量%、重量平均分子量約40万、加水分解率95mol%、カチオン価21.4mmol/g)1000g及び純水205.4g、プロピレンオキシド42.2gを用いて行った。こうして、ポリビニルアミンのプロトン化可能な窒素原子の全量に対して、プロピレンオキシドを20モル%反応させた改質ポリビニルアミン(PO−20)水溶液を得た。この改質ポリビニルアミン(PO−20)水溶液の樹脂分は17.0質量%であった。
【0283】
上記と同様の反応操作を、ポリビニルアミン水溶液(PVAm44と表記する。濃度17質量%、重量平均分子量約40万、加水分解率44mol%、カチオン価7.5mmol/g)1000g及び純水32.7g、プロピレンオキシド7.3gを用いて行った。こうして、ポリビニルアミンのプロトン化可能な窒素原子の全量に対して、プロピレンオキシドを10モル%反応させた改質ポリビニルアミン(PO−10)水溶液を得た。この改質ポリビニルアミン(PO−10)水溶液の樹脂分は17.0質量%であった。
【0284】
〔実施例1〕
参考例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、参考例3で得られた改質ポリエチレンイミン(PO−40)水溶液を3.3質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、改質ポリエチレンイミン(PO−40)水溶液が均一に添加されるように行った。この混合物を、60℃1時間、無風下で静置乾燥した。その後、得られた混合物を目開き850μmのJIS標準ふるいを通し、吸水剤(1)とした。
【0285】
〔実施例2〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例3で得られた改質ポリエチレンイミン(PO−40)水溶液を13.3質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(2)とした。
【0286】
〔実施例3〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例3で得られた改質ポリエチレンイミン(PO−70)水溶液を3.3質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(3)とした。
【0287】
〔実施例4〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例3で得られた改質ポリエチレンイミン(PO−70)水溶液を8.7質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(4)とした。
【0288】
〔実施例5〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例4で得られた改質ポリエチレンイミン(SO−10)水溶液を1.7質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(5)とした。
【0289】
〔実施例6〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例4で得られた改質ポリエチレンイミン(SO−10)水溶液を3.3質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(6)とした。
【0290】
〔実施例7〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例4で得られた改質ポリエチレンイミン(SO−20)水溶液を1.7質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(7)とした。
【0291】
〔実施例8〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例4で得られた改質ポリエチレンイミン(SO−20)水溶液を3.3質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(8)とした。
【0292】
〔実施例9〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例6で得られた改質ポリエチレンイミン(BGE−10)水溶液を5.1質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(9)とした。
【0293】
〔実施例10〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例6で得られた改質ポリエチレンイミン(BGE−20)水溶液を5.1質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(10)とした。
【0294】
〔実施例11〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例5で得られた改質ポリエチレンイミン(Si−10)水溶液を5.5質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(11)とした。
【0295】
〔比較例1〕
吸水性樹脂粒子(1)を比較吸水剤(1)とした。
【0296】
〔比較例2〕
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、ポリエチレンイミン(数平均分子量70000、日本触媒株式会社製、品番エポミン(登録商標)P−1000、30質量%水溶液)を3.3質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に添加されるように行った。この混合物を、60℃1時間、無風下で静置乾燥した。その後、得られた混合物を目開き850μmの篩いを通し、比較吸水剤(2)とした。
【0297】
〔比較例3〕
参考例1で得られた吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、参考例3で得られた、反応によってアミノ基がすべて3級アミンとなった改質ポリエチレンイミン(PO−100)水溶液を3.3質量部添加した。添加は吸水性樹脂粒子(1)を攪拌しながら、溶液が均一に添加されるように行った。この混合物を、60℃1時間、無風下で静置乾燥した。その後、得られた混合物を目開き850μmのJIS標準ふるいを通し、比較吸水剤(3)とした。
【0298】
実施例1〜11で得られた吸水剤(1)〜(11)、及び、比較例1〜3で得られた比較吸水剤(1)〜(3)の諸物性を測定した結果を表4に示す。
【0299】
【表4】

【0300】
表4に示されるように、改質ポリエチレンイミンを添加して製造された吸水剤は、非常に優れたSFC値を示した(吸水剤(1)〜(11))。中でも、プロピレンオキシドで改質されたポリエチレンイミンを添加して製造された吸水剤(吸水剤(1)〜(4))は特に優れたSFC値を示した。
【0301】
改質ポリエチレンイミンが添加されていない吸水剤(比較吸水剤(1))はSFC値に劣っていた。また、改質されていないポリエチレンイミン(エポミンP−1000:カチオン価=23.2mmol/g、2級カチオン価=11.6mmol/g)を添加することで作成された吸水剤(比較吸水剤(2))もSFC値に劣っていた。
【0302】
また、改質ポリエチレンイミンのなかでも、全てのアミノ基が3級アミンとなるまで改質されたポリエチレンイミンを添加することで作成された吸水剤(比較吸水剤(3))はSFC値に劣っていた。このことより、1級および/または2級アミンの存在が重要であることが示された。
【0303】
〔実施例12〕
吸水性樹脂粒子(1)のかわりに、参考例2で得られた吸水性樹脂粒子(2)100質量部を用いた以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(12)とした。
【0304】
〔実施例13〕
吸水性樹脂粒子(1)のかわりに、参考例2で得られた吸水性樹脂粒子(2)100質量部を用いて、改質ポリエチレンイミン(PO−40)水溶液を10質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(13)とした。
【0305】
〔実施例14〕
吸水性樹脂粒子(1)のかわりに、参考例2で得られた吸水性樹脂粒子(2)100質量部を用いて、改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例3で得られた改質ポリエチレンイミン(PO−70)水溶液を3.3質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(14)とした。
【0306】
〔実施例15〕
吸水性樹脂粒子(1)のかわりに、参考例2で得られた吸水性樹脂粒子(2)100質量部を用いて、改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例3で得られた改質ポリエチレンイミン(PO−70)水溶液を10質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(15)とした。
【0307】
〔比較例4〕
吸水性樹脂粒子(2)を比較吸水剤(4)とした。
【0308】
〔比較例5〕
吸水性樹脂粒子(1)のかわりに、参考例2で得られた吸水性樹脂粒子(2)100質量部を用いた以外は比較例2と同様にして吸水剤を得た。得られた吸水剤を比較吸水剤(5)とした。
【0309】
実施例12〜15で得られた吸水剤(12)〜(15)、及び、比較例4〜5で得られた比較吸水剤(4)〜(5)の諸物性を測定した結果を表5に示す。
【0310】
【表5】

【0311】
表5に示されるように、改質ポリエチレンイミンを添加して製造された吸水剤は、非常に優れたSFC値を示した(吸水剤(12)〜(15))。
【0312】
改質ポリエチレンイミンが添加されていない吸水剤(比較吸水剤(4))はSFC値に劣っていた。また、改質されていないポリエチレンイミン(エポミンP−1000:カチオン価=23.2mmol/g、2級カチオン価=11.6mmol/g)を添加して製造された吸水剤(比較吸水剤(5))もSFC値に劣っていた。
【0313】
〔実施例16〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例7で得られた改質ポリエチレンイミン(EXS−10)水溶液を2.3質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(16)とした。
【0314】
〔実施例17〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例8で得られた改質ポリエチレンイミン(EXP−5)水溶液を5.0質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(17)とした。
【0315】
〔実施例18〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例8で得られた改質ポリエチレンイミン(EXP−10)水溶液を5.0質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(18)とした。
【0316】
〔比較例6〕
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、エポミン(登録商標)SP−200水溶液(濃度40質量%)を2.5質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、比較吸水剤(6)とした。
【0317】
〔比較例7〕
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、エポミン(登録商標)P−1000水溶液(濃度20質量%)を5.0質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、比較吸水剤(7)とした。
【0318】
吸水剤(16)〜(18)、及び、比較吸水剤(1)、(6)〜(7)の諸物性を測定した結果を表6に示す。
【0319】
【表6】

【0320】
表6に示されるように、改質ポリエチレンイミンを添加して製造された吸水剤は、非常に優れたSFC値を示した(吸水剤(16)〜(18))。中でも、分子量の高いポリエチレンイミン(エポミン(登録商標)P−1000)を改質した改質ポリエチレンイミンの効果がより大きかった(吸水剤(17)〜(18))。
【0321】
改質ポリエチレンイミンが添加されていない吸水剤(比較吸水剤(1))はSFC値に劣っていた。また、改質されていないポリエチレンイミン(エポミンP−1000:カチオン価=23.2mmol/g、2級カチオン価=11.6mmol/g)(エポミンP−200:カチオン価=23.2mmol/g、2級カチオン価=8.1mmol/g)を添加して製造された吸水剤(比較吸水剤(6)、(7))もSFC値に劣っていた。
【0322】
〔実施例19〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例9で得られた改質ポリアリルアミン(EX−10)水溶液を9.1質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(19)とした。
【0323】
〔実施例20〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例9で得られた改質ポリアリルアミン(EX−30)水溶液を7.3質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(20)とした。
【0324】
〔実施例21〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例9で得られた改質ポリアリルアミン(EX−50)水溶液を5.5質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(21)とした。
【0325】
〔比較例8〕
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、ポリアリルアミン(1)水溶液(濃度10質量%)を10質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、比較吸水剤(8)とした。
【0326】
吸水剤(19)〜(21)、及び、比較吸水剤(1)、(8)の諸物性を測定した結果を表7に示す。
【0327】
【表7】

【0328】
表7に示されるように、改質ポリアリルアミンを添加して製造された吸水剤は、非常に優れたSFC値を示した(吸水剤(19)〜(21))。
【0329】
改質ポリエチレンイミンが添加されていない吸水剤(比較吸水剤(1))はSFC値に劣っていた。また、改質されていないポリアリルアミンを添加して製造された吸水剤(比較吸水剤(8))もSFC値に劣っていた。
【0330】
〔実施例22〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例10で得られた改質ポリエチレンイミン(STE−10)水溶液を9.1質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(22)とした。
【0331】
〔実施例23〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例10で得られた改質ポリエチレンイミン(STE−30)水溶液を7.3質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(23)とした。
【0332】
〔実施例24〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例10で得られた改質ポリエチレンイミン(STE−50)水溶液を5.5質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(24)とした。
【0333】
〔比較例9〕
吸水性樹脂粒子(1)100質量部に、参考例10で得られたポリエチレンイミン(11)水溶液(濃度10質量%)を10質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、比較吸水剤(9)とした。
【0334】
吸水剤(22)〜(24)、及び、比較吸水剤(1)、(9)の諸物性を測定した結果を表8に示す。
【0335】
【表8】

【0336】
表8に示されるように、改質ポリエチレンイミンを添加して製造された吸水剤は、非常に優れたSFC値を示した(吸水剤(22)〜(24))。
【0337】
改質ポリエチレンイミンが添加されていない吸水剤(比較吸水剤(1))はSFC値に劣っていた。また、改質されていないポリエチレンイミン(エポミンP−1000:カチオン価=23.2mmol/g、2級カチオン価=11.6mmol/g)を添加して製造された吸水剤(比較吸水剤(9))もSFC値に劣っていた。
【0338】
〔実施例25〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例11で得られた改質ポリエチレンイミン(PA−15)水溶液を2.99質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(25)とした。
【0339】
〔実施例26〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例11で得られた改質ポリエチレンイミン(PA−46)水溶液を2.25質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(26)とした。
【0340】
吸水剤(25)〜(26)、及び、比較吸水剤(1)、(2)の諸物性を測定した結果を表9に示す。
【0341】
【表9】

【0342】
〔実施例27〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例12で得られた改質ポリエチレンイミン(LA−17)水溶液を2.95質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(27)とした。
【0343】
〔実施例28〕
改質カチオン性高分子化合物の水溶液として参考例12で得られた改質ポリエチレンイミン(LA−51)水溶液を2.20質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(28)とした。
【0344】
吸水剤(27)〜(28)、及び、比較吸水剤(1)、(2)の諸物性を測定した結果を表10に示す。
【0345】
【表10】

【0346】
表9、10に示されるように、改質ポリエチレンイミンを添加して製造された吸水剤は、非常に優れたSFC値を示した(吸水剤(25)〜(28))。
【0347】
改質ポリエチレンイミンが添加されていない吸水剤(比較吸水剤(1))はSFC値に劣っていた。また、改質されていないポリエチレンイミン(エポミンP−1000:カチオン価=23.2mmol/g、2級カチオン価=11.6mmol/g)を添加して製造された吸水剤(比較吸水剤(2))もSFC値に劣っていた。
【0348】
〔実施例29〕
吸水性樹脂粒子(1)のかわりに、参考例13で得られた吸水性樹脂粒子(3)100質量部を用い、改質ポリエチレンイミン(PO−40C)水溶液を2.0質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(29)とした。
【0349】
〔実施例30〕
吸水性樹脂粒子(1)のかわりに、参考例13で得られた吸水性樹脂粒子(3)100質量部を用い、改質ポリエチレンイミン(PO−40C)水溶液を4.0質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(30)とした。
【0350】
〔実施例31〕
吸水性樹脂粒子(1)のかわりに、参考例13で得られた吸水性樹脂粒子(3)100質量部を用い、改質ポリエチレンイミン(PO−40C)水溶液を6.0質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(31)とした。
【0351】
〔実施例32〕
吸水性樹脂粒子(1)のかわりに、参考例13で得られた吸水性樹脂粒子(3)100質量部を用い、改質ポリエチレンイミン(PO−40C)水溶液を8.0質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(32)とした。
【0352】
〔比較例10〕
吸水性樹脂粒子(3)を比較吸水剤(10)とした。
【0353】
〔実施例33〜36〕
実施例29で得られた吸水剤(29)100重量部に、親水性アモルファスシリカ(株式会社日本アエロジル製、アエロジル200)を0.3質量部添加し、均一になるようによく混合した。こうして得られた吸水剤を吸水剤(33)とした。同様の操作を、吸水剤(30)〜(32)についても行い、それぞれ、吸水剤(34)〜(36)を得た。吸水剤(33)〜(36)は吸水剤(29)〜(32)と比較して、粒子の取扱い性に優れており、特に流動性が飛躍的に向上していた。
【0354】
実施例29〜36で得られた吸水剤(29)〜(36)、及び、比較例10で得られた比較吸水剤(10)の諸物性を測定した結果を表11に示す。
【0355】
【表11】

【0356】
〔実施例37〕
シグマ型羽根を2本有する内容積10リットルのジャケット付きステンレス型双腕型ニーダーに蓋を付けて形成した反応器中で、アクリル酸436.4g、37質量%アクリル酸ナトリウム水溶液4617.9g、純水395.96g、ポリエチレングリコールジアクリレート(分子量523、この内部架橋剤としてのポリエチレングリコールジアクリレートは、エチレンオキシドの平均付加モル数nが9である。)10.13g(0.08mol%)、1,4−ブタンジオール0.873g(0.04mol%)を溶解させて反応液とした。さらに、上記反応溶液を25℃に保ちながら、この反応液を窒素ガス雰囲気下で、20分間脱気した。系内に溶存する酸素は1質量ppm以下であった。続いて、反応液に20質量%過硫酸ナトリウム水溶液14.53gおよび0.1質量%L−アスコルビン酸水溶液24.22gを攪拌しながら添加したところ、およそ34秒後に上記反応溶液が25.5℃になり重合が開始した。重合開始3分後、2質量%エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)5ナトリウム(略称:EDTMP・5Na)水溶液を21.55g(全モノマー質量に対して200質量ppm)を系内に添加した。そして、生成したゲルを粉砕しながら、25.5℃以上92℃以下で重合を行い、重合が開始して30分後に含水ゲル状架橋重合体を取り出した。得られた含水ゲル状架橋重合体は、実質ゲルの粒子径が約5mm以下に細分化されていた。
【0357】
この細分化された含水ゲル状架橋重合体を50メッシュの金網上に広げ、180℃で45分間熱風乾燥を行い、乾燥物をロールミルで粉砕し、さらに分級操作によって、目開き710μmのJIS標準篩を通過した粒子を、さらに目開き175μmのJIS標準篩で分級し、通過した微粒子を除去することにより、質量平均粒子径(D50)389μm、粒度分布の対数標準偏差(σζ)0.31の不定形破砕状の吸水性樹脂(D)を得た。吸水性樹脂(D)の遠心分離機保持容量(CRC)は32.9(g/g)、水可溶分は9.7質量%、目開き150μmのふるいを通過できる大きさの粒子の割合は0.3質量%であった。
【0358】
得られた吸水性樹脂(D)100質量部に1,4−ブタンジオール0.34質量部、プロピレングリコール0.56質量部、純水3.0質量部の混合液からなる表面架橋剤を均一に混合した後、混合物を209℃で30分間加熱処理した。その後、得られた粒子を目開き710μmのJIS標準篩を通過するまで解砕した。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(4−30)を得た。
【0359】
これと同様の操作を、加熱時間を35分に変更して行った。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(4−35)を得た。
【0360】
これと同様の操作を、加熱時間を40分に変更して行った。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(4−40)を得た。
【0361】
これと同様の操作を、加熱時間を45分に変更して行った。こうして、表面が架橋された吸水性樹脂粒子(4−45)を得た。
【0362】
次に、それぞれの吸水性樹脂粒子にペイントシェーカーテスト1を行った。こうして、吸水性樹脂粒子(4−30)、(4−35)、(4−40)、(4−45)から、それぞれ吸水性樹脂粒子(5−30)、(5−35)、(5−40)、(5−45)を得た。
【0363】
上記で得られた吸水性樹脂(D)の諸物性について表1に示した。また、吸水性樹脂粒子(4−30)、(4−35)、(4−40)、(4−45)、(5−30)、(5−35)、(5−40)、(5−45)の諸物性について表12にまとめた。
【0364】
上記の吸水性樹脂粒子(5−40)100質量部に、改質ポリエチレンイミン(PO−40C)2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液(改質ポリエチレンイミン(PO−40C)水/メタノール溶液)を添加した。添加は吸水性樹脂粒子(5−40)を攪拌しながら、溶液が均一に添加されるように行った。この混合物を、90℃1時間、無風下で静置乾燥した。その後、得られた混合物を目開き850μmのJIS標準ふるいを通し、吸水剤(37)とした。
【0365】
同様の操作を、改質ポリエチレンイミン(PO−70C)2.0質量部およびメタノール2.0質量部を混合した溶液(改質ポリエチレンイミン(PO−70C)水/メタノール溶液)を用いて行い、吸水剤(38)とした。
【0366】
吸水性樹脂粒子(5−40)を比較吸水剤(11)とした。
【0367】
吸水剤(37)〜(38)、比較吸水剤(11)の諸物性を測定した結果を表13に示した。また、吸水剤(38)の着色評価(ハンターLab表色系/L値、a値、b値)結果を表14に示した。
【0368】
【表12】

【0369】
【表13】

【0370】
【表14(1)】

【0371】
【表14(2)】

【0372】
〔実施例38〕
吸水性樹脂粒子(1)のかわりに、参考例13で得られた吸水性樹脂粒子(3)100質量部を用い、参考例14で得られた改質ポリビニルアミン(PO−20)水溶液を2.94質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(39)とした。得られた吸水剤(39)の諸物性を表11に示す。
【0373】
〔実施例39〕
吸水性樹脂粒子(1)のかわりに、参考例13で得られた吸水性樹脂粒子(3)100質量部を用い、参考例14で得られた改質ポリビニルアミン(PO−10)水溶液を2.94質量部添加した以外は、実施例1と同様にして吸水剤を得て、吸水剤(40)とした。得られた吸水剤(40)の諸物性を表11に示す。
【0374】
【表15】

【0375】
表15に、実施例で用いたカチオン性高分子化合物及び改質カチオン性高分子化合物のカチオン価及び2級カチオン価を示す。
【0376】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0377】
本発明にかかる吸水剤、並びに吸水剤の製造方法にて得られる吸水剤は、吸収倍率と加圧下の液透過性のバランスに優れるため、種々の用途の吸水保水剤として使用できる。
【0378】
例えば、紙おむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、医療用パッド等の吸収物品用吸水保水剤;水苔代替、土壌改質改良剤、保水剤、農薬効力持続剤等の農園芸用保水剤;内装壁材用結露防止剤、セメント添加剤等の建築用保水剤;リリースコントロール剤、保冷剤、使い捨てカイロ、汚泥凝固剤、食品用鮮度保持剤、イオン交換カラム材料、スラッジ又はオイルの脱水剤、乾燥剤、湿度調整材料等で使用できる。
【0379】
また、本発明における吸水剤は、紙おむつ、生理用ナプキン等の、糞、尿又は血液の吸収用衛生材料に特に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0380】
31 タンク
32 ガラス管
33 0.69質量%食塩水
34 コック付きL字管
35 コック
40 容器
41 セル
42 ステンレス製金網
43 ステンレス製金網
44 膨潤ゲル
45 ガラスフィルター
46 ピストン
47 ピストン中の穴
48 補集容器
49 上皿天秤
100 プラスチックの支持円筒
101 ステンレス製400メッシュの金網
102 膨潤ゲル
103 ピストン
104 荷重(おもり)
105 ペトリ皿
106 ガラスフィルター
107 濾紙
108 0.9質量%食塩水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性樹脂粒子と、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含む改質カチオン性高分子化合物と、を含む吸水剤であって、
当該改質カチオン性高分子化合物は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と、改質剤とを反応させて得られるものであり、
該改質剤は、連続する2個以上の炭素原子を含むとともに、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応する反応性基を1個含むことを特徴とする吸水剤。
【請求項2】
上記改質カチオン性高分子化合物は、上記吸水性樹脂粒子の表面に存在していることを特徴とする請求項1に記載の吸水剤。
【請求項3】
上記カチオン性高分子化合物の重量平均分子量は、5000以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸水剤。
【請求項4】
上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と改質剤とを反応させることによって生成する結合がアミド結合ではないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸水剤。
【請求項5】
上記改質剤が、連続する3個以上の炭素原子を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸水剤。
【請求項6】
改質剤と反応している1級アミノ基及び/又は2級アミノ基の、カチオン性高分子化合物中の全窒素原子に対する割合は、5〜90モル%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸水剤。
【請求項7】
改質カチオン性高分子化合物のカチオン価が1〜23mmol/gであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸水剤。
【請求項8】
吸水性樹脂粒子と、2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と、を含む吸水剤であって、
当該カチオン性高分子化合物は、カチオン価が1〜22mmol/gであり、かつ、2級カチオン価が0.1〜11mmol/gであることを特徴とする吸水剤。
【請求項9】
上記カチオン性高分子化合物は、上記吸水性樹脂粒子の表面に存在していることを特徴とする請求項8に記載の吸水剤。
【請求項10】
上記カチオン性高分子化合物の重量平均分子量は、5000以上であることを特徴とする請求項8又は9に記載の吸水剤。
【請求項11】
上記吸水性樹脂粒子は、表面架橋されたものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の吸水剤。
【請求項12】
0.9質量%塩化ナトリウム水溶液の液滴を滴下したときの接触角が90度以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の吸水剤。
【請求項13】
さらに水溶性多価金属塩を含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の吸水剤。
【請求項14】
さらに水不溶性の無機微粒子を含むことを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の吸水剤。
【請求項15】
吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、
吸水性樹脂粒子と改質カチオン性高分子化合物とを混合する混合工程を含むことを特徴とし、
当該改質カチオン性高分子化合物は、1級アミノ基及び/又は2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物と改質剤とを反応させて得られるものであり、
該改質剤は、連続する2個以上の炭素原子を含むとともに、上記1級アミノ基及び/又は2級アミノ基と反応する反応性基を1個含むことを特徴とする吸水剤の製造方法。
【請求項16】
上記改質カチオン性高分子化合物が、溶液、乳化液、又は、懸濁液として、吸水性樹脂粒子に混合されることを特徴とする請求項15に記載の吸水剤の製造方法。
【請求項17】
吸水性樹脂粒子を含む吸水剤の製造方法であって、
吸水性樹脂粒子とカチオン性高分子化合物とを混合する混合工程を含み、
当該カチオン性高分子化合物として、2級アミノ基を含むカチオン性高分子化合物であって、カチオン価が1〜22mmol/gであり、かつ、2級カチオン価が0.1〜11mmol/gであるカチオン性高分子化合物を用いることを特徴とする吸水剤の製造方法。
【請求項18】
上記カチオン性高分子化合物が、溶液、乳化液、又は、懸濁液として、吸水性樹脂粒子に混合されることを特徴とする請求項17に記載の吸水剤の製造方法。
【請求項19】
さらに、吸水性樹脂粒子の表面を表面架橋剤によって架橋する表面架橋工程を含むことを特徴とする請求項15〜18のいずれか1項に記載の吸水剤の製造方法。
【請求項20】
上記混合工程は、上記表面架橋工程の後に行なわれることを特徴とする請求項19に記載の吸水剤の製造方法。
【請求項21】
上記混合工程に供される上記吸水性樹脂粒子が、30〜80℃に加温されたものであることを特徴とする請求項15〜20のいずれか1項に記載の吸水剤の製造方法。
【請求項22】
上記混合工程は、さらに水溶性多価金属塩及び/又は水不溶性の無機微粒子を添加する工程を含むことを特徴とする請求項15〜21のいずれか1項に記載の吸水剤の製造方法。
【請求項23】
上記混合工程の後に、混合物を100℃以下の温度で乾燥することを特徴とする請求項15〜22のいずれか1項に記載の吸水剤の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−540206(P2010−540206A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−501726(P2010−501726)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【国際出願番号】PCT/JP2008/067990
【国際公開番号】WO2009/041727
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(000004628)株式会社日本触媒 (2,292)
【Fターム(参考)】