説明

吸水管巻取装置

【課題】消防自動車などへの取付位置、装着位置に自由度を持たせることができ、吸水管を容易に螺旋状に整列させて巻き取ることができるとともに、吸水管を滑らないように作業性よく整列させて巻き取ることのできる吸水管巻取装置を提供する。
【解決手段】リール11の外周に吸水管を巻き取る吸水管巻取装置Rにおいて、リール11を、リール本体13の外周にゴム円筒体14を取り付けた構成とし、ゴム円筒体14の外周に、吸水管の一部を収容する収容溝14dを螺旋状に周回させて設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、消防自動車が自然水利などの水源から取水するために使用する吸水管を巻き取り、収容する吸水管巻取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
消防自動車で消火活動を行う場合、一般的に、自然水利などの水源から吸水管を使用して水を吸い上げ、吸い上げた水をポンプで加圧した後、消火ホースの先端に接続された放水ノズル(管鎗)から延焼個所などへ向けて水を放出する。
【0003】
上記した吸水管は、防災要員が巻き取って収容する負担を軽減するため、リールの外周に吸水管を重ね巻き式で巻き取る吸水管巻取装置を利用している(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3参照。)。
【0004】
【特許文献1】特許第3927164号公報
【特許文献2】実用新案登録第2536850号公報
【特許文献3】実用新案登録第2523079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の吸水管巻取装置は、リールの外周に吸水管を重ね巻き式で巻き取るので、外径(高さ)が大きくなることにより、消防自動車への取付位置、装着位置が制約(限定)される。
【0006】
この発明は、上記したような不都合を解消するためになされたもので、消防自動車などへの取付位置、装着位置に自由度を持たせることができ、吸水管を容易に螺旋状に整列させて巻き取ることができるとともに、吸水管を滑らないように作業性よく整列させて巻き取ることのできる吸水管巻取装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、リールの外周に吸水管を巻き取る吸水管巻取装置において、前記リールを、リール本体の外周にゴム円筒体を取り付けた構成とし、前記ゴム円筒体の外周に、前記吸水管の一部を収容する収容溝を螺旋状に周回させて設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明の吸水管巻取装置によれば、リールの外周に吸水管を螺旋状(一重)に巻き取るので、巻き取った状態における吸水管の外径(高さ)を小さくすることができる。
したがって、吸水管巻取装置の外径(高さ)を小さくすることができることにより、消防自動車などへの吸水管巻取装置の取付位置、装着位置に自由度を持たせることができる。
また、ゴム円筒体の外周に、吸水管の一部を収容する収容溝を螺旋状に周回させて設けたので、収容溝に沿って吸水管を容易に螺旋状に整列させて巻き取ることができるとともに、吸水管を滑らないように作業性よく整列させて巻き取ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施例を図に基づいて説明する。
【0010】
図1はこの発明の一実施例である吸水管巻取装置の正面図、図2は図1に示した吸水管巻取装置の左側面図、図3は図1に示したゴム円筒体の拡大断面図、図4は吸水管を巻き取った状態の吸水管巻取装置の正面図、図5は吸水管を巻き取った状態の吸水管巻取装置の左側面図である。
【0011】
この発明の吸水管巻取装置Rは、図1または図2に示すように、吸水管を周囲に巻き取るリール11と、このリール11を回転可能に支持する支持フレーム21と、この支持フレーム21に取り付けられ、リール11を構成する回転軸12の水路12cに接続されたスイベルジョイント31とで構成されている。
【0012】
上記したリール11は、図1において左端が開放した水路12cが内部に設けられた回転軸12と、この回転軸12の外周に取り付けられた円筒体形状のリール本体13と、このリール本体13の外周に取り付けられたゴム円筒体14と、回転軸12の水路12cに連通するように一端が回転軸12に水密に取り付けられてゴム円筒体14の外側(外周)へ突出した後、ゴム円筒体14の吸水管を巻き取る下流側へ沿うように他端部が折り曲がった水管15とで構成されている。
そして、リール本体13には、水管15が取り付けられた部分から吸水管を巻き取る下流側へ向かう一部分に切欠部13mが設けられるとともに、図1において左右端に、吸水管が食み出さないように縁13eがそれぞれ設けられている。
そして、ゴム円筒体14には、外周に吸水管の一部を収容する収容溝14dが螺旋状に周回させて設けられている(図3をも参照)。
なお、ゴム円筒体14は、リール本体13の切欠部13mに対応する部分が切り欠かれている。
そして、水管15の一端には、吸水管の接続部を接続する接続部15cが設けられている。
【0013】
上記した支持フレーム21は、左、右側支持枠22L,22Rと、この左、右側支持枠22L,22Rの間の上下に配置される上、下側ガイドローラ23U,23Dと、この上、下側ガイドローラ23U,23Dを回転可能に支持し、左、右側支持枠22L,22Rを貫通するとともに、左、右側支持枠22L,22Rに対してリール11の半径方向へ所定の範囲で移動可能な支軸24と、左、右側支持枠22L,22Rを貫通した支軸24の部分にそれぞれ取り付けられた連結部材25と、各連結部材25と対向するように左、右側支持枠22L,22Rの外側面に取り付けら(固定さ)れた取付部材26と、この取付部材26と連結部材25とを移動可能に接続するボルト、ナットなどからなる接続部材27と、連結部材25と取付部材26との間の接続部材27の周囲に配置され、各支軸24(左、右側支持枠22L,22R)をリール11の回転軸12側へ付勢するコイルスプリングなどの付勢部材28とで構成されている。
そして、リール11の回転軸12は、左、右側支持枠22L,22Rに取り付けたベアリングなどの軸受け29によって回転可能に支持されている。
【0014】
上記したスイベルジョイント31は、支持フレーム21の左側支持枠22Lから突出したリール11の回転軸12に設けられた水路12cに連通するように回転軸12に接続された状態で、固定部材32で左側支持枠22Lの左(外)側面に固定されている。
【0015】
図5において、吸水管Tには、吸水管巻取装置Rの接続部15cに接続される接続部cが一端に設けられている。
【0016】
この吸水管巻取装置Rは、吸水管Tの長さを10m、吸水管Tの外径を90mmとした場合、左右幅を950mm、高さを950mm、奥行きを810mm、左、右側支持枠22L,22Rの間隔を650mmの大きさとすることができた。
【0017】
次に、吸水管Tの巻取、繰り出しについて説明する。
まず、吸水管Tを巻き取る場合、図2において、下側ガイドローラ23Dを付勢部材28の付勢力に抗して下側へ移動させ、下側ガイドローラ23Dとゴム円筒体14との間に右側から左側へ吸水管Tを接続部c側から挿入する。
そして、吸水管Tの接続部cを水管15の接続部15cに接続するとともに、吸水管Tをゴム円筒体14の収容溝14dに沿わせる。
このようにして吸水管Tの接続部cを水管15の接続部15cに接続すると、下側ガイドローラ23Dは付勢部材28の付勢力により、吸水管Tに下側から接して吸水管Tを押さえ付ける。
【0018】
さらに、図2において、リール11を時計方向へ回転させることにより、吸水管Tは下側ガイドローラ23Dで案内され、図4および図5に示すように、ゴム円筒体14の収容溝14dに沿って吸水管Tを容易に螺旋状に整列させて巻き取ることができる。
このようにして吸水管Tを巻き取ると、上側ガイドローラ23Uは付勢部材28の付勢力により、吸水管Tに上側から接して上下動しながら吸水管Tを押さえ付け、下側ガイドローラ23Dは付勢部材28の付勢力により、吸水管Tに下側から接して上下動しながら吸水管Tを押さえ付ける。
【0019】
次に、吸水管Tを吸水管巻取装置Rから繰り出す場合、図5において、吸水管Tの他端を把持して引き出すことにより、リール11が回転するので、吸水管Tを吸水管巻取装置Rから容易に繰り出すことができる。
このようにして吸水管Tを繰り出すときも、上側ガイドローラ23Uは付勢部材28の付勢力により、吸水管Tに上側から接して上下動しながら吸水管Tを押さえ付け、下側ガイドローラ23Dは付勢部材28の付勢力により、吸水管Tに下側から接して上下動しながら吸水管Tを押さえ付ける。
【0020】
上述したように、この発明の一実施例によれば、リール11の外周に吸水管Tを螺旋状(一重)に巻き取るので、巻き取った状態における吸水管Tの外径(高さ)を小さくすることができる。
したがって、吸水管巻取装置Rの外径(高さ)を小さくすることができることにより、消防自動車などへの吸水管巻取装置Rの取付位置、装着位置に自由度を持たせることができる。
また、ゴム円筒体14の外周に、吸水管Tの一部を収容する収容溝14dを螺旋状に周回させて設けたので、収容溝14dに沿って吸水管Tを容易に螺旋状に整列させて巻き取ることができるとともに、吸水管Tを滑らないように作業性よく整列させて巻き取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の一実施例である吸水管巻取装置の正面図である。
【図2】図1に示した吸水管巻取装置の左側面図である。
【図3】図1に示したゴム円筒体の拡大断面図である。
【図4】吸水管を巻き取った状態の吸水管巻取装置の正面図である。
【図5】吸水管を巻き取った状態の吸水管巻取装置の左側面図である。
【符号の説明】
【0022】
R 吸水管巻取装置
11 リール
12 回転軸
12c 水路
13 リール本体
13m 切欠部
13e 縁
14 ゴム円筒体
14d 収容溝
15 水管
15c 接続部
21 支持フレーム
22L 左側支持枠
22R 右側支持枠
23U 上側ガイドローラ
23D 下側ガイドローラ
24 支軸
25 連結部材
26 取付部材
27 接続部材
28 付勢部材
29 軸受け
31 スイベルジョイント
32 固定部材
T 吸水管
c 接続部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リールの外周に吸水管を巻き取る吸水管巻取装置において、
前記リールを、リール本体の外周にゴム円筒体を取り付けた構成とし、
前記ゴム円筒体の外周に、前記吸水管の一部を収容する収容溝を螺旋状に周回させて設けた、
ことを特徴とする吸水管巻取装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate