説明

吸油剤

【目的】 高粘性油や高粘性溶剤に対して吸油倍率、吸油速度および吸油後の保油性能に優れ、樹脂のベタツキもなく、低温下においても吸油性能が低下することのない膨潤性吸油剤を提供する。
【構成】 ノニオン性界面活性剤と難溶性無機塩の存在下で、炭素数15〜30の(メタ)アクリレート等と炭素数2〜6のメタクリレートおよび架橋剤とを水性懸濁重合して得られる微粒子。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吸油速度の大きな膨潤型吸油剤に関する。さらに詳しくは、食用油を含む広範な種類の油や各種有機溶媒を、多量かつ効果的に吸収して膨潤し、しかも室温での吸油性能および吸油速度を著しく改善した膨潤型吸油剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、海上への流出油や廃水中の油分の回収が、環境保全上大きな問題となっている。また、家庭や工場で廃棄される小規模の廃油や、工場における機械油等の漏油の簡便な処理方法が強く望まれていた。これらの流出油や廃水中の油分の回収或は廃油や漏油の処理の有力な手段の一つとして、吸油剤を使用して油を吸収した後焼却処理その他の後処理を行う手法が従来より用いられている。このような吸油剤としては、例えば、もみがら、ワラ、パルプ、ピート、綿等の天然植物系吸油剤;石灰、シリカ、パーライト等の無機多孔質粉体を撥水処理した無機系吸油剤;ポリプロピレン繊維、ポリスチレン繊維、ポリエチレン繊維等の合成繊維系吸油剤;発泡ポリウレタンフォーム等の発泡樹脂系吸油剤等が市販され使用されていた。
【0003】しかし、これらの従来品は、満足のいく吸油量が得られないものが多く、また、その吸油機構が材質中に存在する空隙または細孔に油を吸着保持するため、次のような欠点があった。すなわち、従来の吸油剤は、■吸油による体積変化がほとんどなく、極めてかさ高くなり、貯蔵や取り扱い上不都合がある。■吸油後の保有力に劣っており、特に天然植物系や合成繊維系や発泡樹脂系の吸油剤は、わずかな外圧により容易に吸収していた油を再放出するため、後処理は極めて煩雑である。■これらの吸油剤は一般に撥水処理が施されているが、長時間油水混合系に使用すると水の空隙への侵入が起こって吸油能が低下する。■油水懸濁状態からの吸油はある程度可能であるが、本質的に水中溶存油分を吸収できないという問題点があった。
【0004】これらの問題点を解決する手段として、ある種のポリマー中に油を吸収膨潤させるタイプの合成樹脂系吸油剤についていくつか報告されている。例えば、t−ブチルスチレン/ジビニルベンゼンの共重合体(特開昭45−27081号公報)、t−ブチルメタクリレートおよび/またはネオペンチルメタクリレートの架橋重合体(特開昭50−15882号公報)、メンチルメタクリレートおよび/またはボルニルメタクリレートの架橋重合体(特開昭50−59486号公報)、ポリノルボルネンゴム(例えばCdF社製品のノーソレックスAP)、炭素数10〜16の1価脂肪族アルコールの(メタ)アクリレートの架橋重合体(特開平3−221582)等があげられる。
【0005】しかしながら、t−ブチルメタクリレートおよび/またはネオペンチルメタクリレート架橋重合体は、ベンゼンのような芳香族炭化水素系低沸点油に対しては、ある程度の吸油量を示すものの、脂肪族炭化水素系油に対しては満足のいく吸油量が得られなかった。また、t−ブチルスチレン/ジビニルベンゼン共重合体やメンチルメタクリレートの架橋重合体やポリノルボルネンゴムは、低沸点の芳香族または脂肪族炭化水素系油類に対してはある程度の吸油量を示すものの、脂肪酸エステル系油類、脂肪酸、高級アルコール等の極性油や、高粘性油に対する吸油性能に劣っていた。また、炭素数10〜16の1価脂肪族アルコールの(メタ)アクリレートの架橋重合体は、低沸点の芳香族または脂肪族炭化水素系油類、脂肪酸エステル系油類、脂肪酸や高級アルコール等の極性油、さらに高粘性油に対してもある程度の吸油量を示すものの、高粘性油や高粘性溶剤に対する吸油速度の面ではまだ満足するものではなく、さらに、樹脂のベタツキが激しく、使い勝手が悪いという欠点があった。
【0006】次に、本発明の吸油剤と類似した共重合組成のものとしては、炭素数16〜24の(メタ)アクリレート/炭素数2〜12の(メタ)アクリレート/極性基を有するエチレン性不飽和モノマー共重合体架橋物(特開平2−110183)をあげることができる。しかし、この重合体の重合方法は、トルエン等の溶剤中での反応であり、できあがりの状態も溶剤溶液である。さらに、その用途は、感圧性接着剤であり吸油剤ではない。また、使用時には、溶剤を蒸発させなければならないという欠点もあり、吸油剤の用途に使用することはできない。
【0007】また、本発明の吸油剤の製造方法と類似したものとしては、界面活性剤存在下で水性懸濁重合するにあたって、水溶性無機塩を添加する微粒子重合体の製造方法(特開平2−75603)をあげることができる。しかし、この方法で炭素数15以上のアルキル基を有するビニル系単量体を重合すると、できあがった重合体のベタツキが激しく取り扱いづらいという欠点があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の吸油剤が有する前記問題点を解決するものである。すなわち、本発明の目的は、高粘性油や高粘性溶剤に対して吸油倍率、吸油速度および吸油後の保油性能に優れ、樹脂のベタつきもなく、しかも、低温下においても吸油性能が著しく低下することのない膨潤性吸油剤を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の単量体成分の架橋重合体を、ノニオン性界面活性剤と難溶性無機塩の存在下で、水性懸濁分散重合すると前記目的を達成するのに極めて有効であることを見いだした。さらに、この吸油剤の吸油速度は、従来の吸油剤に比べて極めて大きいことを見いだし、本発明を完成するに至った。本発明の対象は、ノニオン性界面活性剤と難溶性無機塩の存在下で、炭素数15〜30の1価脂肪族アルコールの(メタ)アクリレート、炭素数15〜30の1価脂肪酸のビニルエステル、炭素数15〜30の脂肪族アルキル基を有するビニルエーテル、炭素数15〜30の脂肪族アルキル基を有するアリルエーテルより選ばれる少なくとも1種(A)および炭素数2〜6のアルキル基を有するメタクリレート(B)を主成分とする分子中に1個の重合性不飽和基を有する単量体混合物と、分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体(D)を全単量体の0.001〜10重量%含有する単量体成分を水性懸濁重合により共重合して得られる微粒子状の吸油剤に関する。
【0010】本発明で用いられる単量体(A)の脂肪族アルキル基の炭素数は15〜30の範囲である。この炭素数が15より小さいと、製造した架橋重合体のベタツキが激しくなり取り扱いづらくなるか、または、吸油性能の不十分な架橋重合体しか得られなくなるかのどちらかである。また、この炭素数が30より大きいと側鎖同士の結晶性が著しく高くなるため常温での吸油性能が著しく低い架橋重合体しか得られない。
【0011】本発明で用いられる単量体(A)としては、以下のようなものがある。炭素数15〜30の脂肪族1価アルコールの(メタ)アクリレートとしては、例えば、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート、ヘンエイコシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート、トリコシル(メタ)アクリレート、テトラコシル(メタ)アクリレート、ペンタコシル(メタ)アクリレート、ヘキサコシル(メタ)アクリレート、ヘプタコシル(メタ)アクリレート、オクタコシル(メタ)アクリレート、ノナコシル(メタ)アクリレート、トリアコンチル(メタ)アクリレート等であり、炭素数15〜30の1価脂肪酸のビニルエステルとしては、例えば、ヘキサデカン酸ビニル、ヘプタデカン酸ビニル、オクタデカン酸ビニル、ノナデカン酸ビニル、エイコサン酸ビニル、ヘンエイコサン酸ビニル、ドコサン酸ビニル、トリコサン酸ビニル、テトラコサン酸ビニル、ペンタコサン酸ビニル、ヘキサコサン酸ビニル、ヘプタコサン酸ビニル、オクタコサン酸ビニル、ノナコサン酸ビニル、トリアコンタン酸ビニル等であり、炭素数15〜30の脂肪族アルキル基を有するビニルエーテルとしては、例えば、ペンタデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテル、ヘプタデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、ノナデシルビニルエーテル、エイコシルビニルエーテル、ヘンエイコシルビニルエーテル、ドコシルビニルエーテル、トリコシルビニルエーテル、テトラコシルビニルエーテル、ペンタコシルビニルエーテル、ヘキサコシルビニルエーテル、ヘプタコシルビニルエーテル、オクタコシルビニルエーテル、ノナコシルビニルエーテル、トリアコンチルビニルエーテル等であり、炭素数15〜30の脂肪族アルキル基を有するアリルエーテルとしては、例えば、ペンタデシルアリルエーテル、ヘキサデシルアリルエーテル、ヘプタデシルアリルエーテル、オクタデシルアリルエーテル、ノナデシルアリルエーテル、エイコシルアリルエーテル、ヘンエイコシルアリルエーテル、ドコシルアリルエーテル、トリコシルアリルエーテル、テトラコシルアリルエーテル、ペンタコシルアリルエーテル、ヘキサコシルアリルエーテル、ヘプタコシルアリルエーテル、オクタコシルアリルエーテル、ノナコシルアリルエーテル、トリアコンチルアリルエーテル等であり、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0012】これら単量体(A)の使用量は、1個の重合性不飽和基を有する単量体の全量に対して16〜80重量%が好ましく、より好ましくは25〜50重量%となる割合である。単量体(A)の使用量が、1個の重合性不飽和基を有する単量体の全量に対して16重量%未満であると、吸油性能の不十分な架橋重合体しか得られなくなる。また、単量体(A)の使用量が、1個の重合性不飽和基を有する単量体の全量に対して80重量%より多くなると、側鎖同士の結晶性が著しく高くなるため常温での吸油性能が著しく低い架橋重合体しか得られなくなる。
【0013】本発明で用いられる単量体(B)は、単量体(A)の側鎖の結晶性を阻害するために用いられる親油性単量体であり、炭素数が2〜6の範囲のアルキルメタクリレートである。この炭素数が2より小さいと、吸油性能の不十分な架橋重合体しか得られない。また、この炭素数が6より大きいと、単量体(A)の側鎖の結晶性を阻害する効果が著しく損なわれ、常温での吸油性能が著しく低い架橋重合体しか得られない。
【0014】本発明で用いられる単量体(B)としては、以下のようなものである。炭素数2〜6のアルキル基を有するメタクリレートとしては、例えば、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、sec−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−メチルブチルメタクリレート、3−メチルブチルメタクリレート、1−メチルブチルメタクリレート、1,2−ジメチルプロピルメタクリレート、2−エチルプロピルメタクリレート、1−エチルプロピルメタクリレート、2,2−ジメチルプロピルメタクリレート、1,1−ジメチルプロピルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、1−メチルペンチルメタクリレート、2−メチルペンチルメタクリレート、3−メチルペンチルメタクリレート、4−メチルペンチルメタクリレート、1−エチルブチルメタクリレート、2−エチルブチルメタクリレート、3−エチルブチルメタクリレート等であり、これらの1種または2種以上を用いることができる。
【0015】これら単量体(B)の使用量は、1個の重合性不飽和基を有する単量体の全量に対して16〜80重量%が好ましく、より好ましくは35〜75重量%となる割合である。単量体(B)の使用量が、1個の重合性不飽和基を有する単量体の全量に対して16重量%未満であると、単量体(A)の側鎖の結晶性を阻害する効果が著しく損なわれ、常温での吸油性能が著しく低い架橋重合体しか得られない。また、単量体(B)の使用量が、1個の重合性不飽和基を有する単量体の全量に対して80重量%より多くなると、吸油性能の不十分な架橋重合体しか得られなくなる。また、単量体(A)と(B)の総量が、全単量体量の80重量%以上含まれていなければならない。単量体(A)と(B)の総量が、全単量体量80重量%未満であると、吸油性能の不十分な架橋重合体しか得られなくなる。
【0016】また、本発明では、(A),(B)以外の1個の重合性不飽和基を有する単量体(C)を共重合することもできるが、その使用量は全単量体に対して20重量%未満でなければならない。使用量が20重量%以上になると、吸油性能の不十分な架橋重合体しか得られなくなる。このような単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、フマル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレン(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、酢酸ビニル等をあげることができる。
【0017】本発明に用いられる架橋性単量体(D)の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;N,N′−メチレンビスアクリルアミド、N,N′−プロピレンビスアクリルアミド等のN,N′−アルキレンビスアクリルアミド;グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のポリオールトリ(メタ)アクリレート;ジビニルベンゼン、ジビニルエーテル等のジビニル化合物;テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート等のポリオールテトラ(メタ)アクリレート;N,N′−ジアセチル−N,N′−ジビニル−1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン、N,N′−1,6−ヘキシレンビス(N−ビニルアセトアミド)、N,N′−1,4−ブチレンビス(N−ビニルアセトアミド)、N,N′−1,10−デシレンビス(N−ビニルアセトアミド)等のN,N′−アルキレンビス(N−ビニルカルボン酸アミド);p−キシリレンビス(N−ビニルアセトアミド)、m−キシリレンビス(N−ビニルアセトアミド)、m−キシリレンビス(N−ビニルホルミルアミド)等のN,N′−キシリレンビス(N−ビニルカルボン酸アミド);トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、トリアリルフォスフェート、テトラアリルオキシエタン、ショ糖アリルエーテル等のポリアリル化合物等をあげることができ、これらの架橋性単量体を1種または2種以上用いることができる。
【0018】本発明の吸油剤を製造する際に用いられる単量体(A),(B)を主成分とする1個の重合性不飽和基を有する単量体全量は、全単量体に対して90〜99.999重量%の範囲であり、好ましくは95〜99.99重量%である。すなわち、架橋性重合体(D)の量は、全単量体に対して0.001〜10重量%の範囲であり、好ましくは0.01〜5重量%である。単量体(A),(B)を主成分とする1個の重合性不飽和基を有する単量体全量が90重量%未満であったり、架橋性単量体(D)が10重量%を越えると、得られる架橋重合体の架橋密度が高くなりすぎて多量の油を吸収できなくなるため好ましくない。また、単量体(A),(B)を主成分とする1個の重合性不飽和基を有する単量体全量が99.999重量%を越えたり架橋性単量体(D)が0.001重量%未満では、得られる架橋重合体の油に対する可溶性が増大し、吸油後に架橋重合体が溶出して吸油剤本来の機能を発揮できなくなるため、好ましくない。
【0019】本発明の吸油剤の製造方法は、水性懸濁重合である。水性懸濁重合は水性媒体中で懸濁重合を行うものであるが、この水性媒体としては、水は必須であり、また、懸濁系の安定性を阻害しない範囲で水溶性有機溶媒を溶解した水を使用してもよい。また、分散剤としてHLBの高いノニオン性の界面活性剤と難溶性燐酸塩を使用する。HLBの高いノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等が用いられる。この界面活性剤の使用量は、全単量体に対して0.2〜10重量%含むことが好ましい。この界面活性剤の使用量が全単量体に対して0.2重量%未満であると、重合中に懸濁分散液の分散状態が壊れる恐れがある。また、この界面活性剤の使用量が全単量体に対して10重量%より多く含むと重合時の泡立ちが激しくなり好ましくない。
【0020】また、本発明に用いられる難溶性無機塩は、分散剤の役割も果たすのみならず、製造された架橋性重合体(吸油剤)の吸油速度を増大させる役割を有するものであり、その使用量は全単量体に対して0.2〜20重量%であることが好ましい。難溶性無機塩の使用量が全単量体に対して0.2重量%未満であると、吸油速度が小さくなってしまう恐れがある。また、難溶性無機塩の使用量が20重量%より多くなると、吸油剤に対する難溶性無機塩の量が多くなりすぎ、実用的でない。本発明の吸油剤を製造する際に用いられる難溶性無機塩は、例えば、炭酸カルシウム、第三燐酸カルシウム、第三燐酸マグネシウム、第二燐酸マグネシウム、第二燐酸カルシウム、第二燐酸バリウム等がある。これらのうち特に、第二燐酸マグネシウム、第三燐酸マグネシウムが好ましく、製造された架橋性重合体(吸油剤)の吸油速度を著しく増大させることができる。
【0021】また、同時に分散剤として水溶性高分子保護コロイドを併用することもできる。この水溶性高分子保護コロイドの例としては、ポリビニルアルコールやアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、ゼラチン、ポリアクリル酸ナトリウム等をあげることができる。本発明において使用される重合開始剤としては特に制限はないが、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクロルベンゾイル、過酸化クミル、過酸化tert−ブチル、2,5−ジ(ペルオキシベンゾエート)ヘキシン−3、1,3−ビス(第三ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、過酸化ラウロイル、過酢酸第三ブチル、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第三ブチルペルオキシ)ヘキサンおよび過安息香酸第三ブチル、メチルエチルケトンペルオキシド、メチルシクロヘキサノンペルオキシド等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリルおよびジメチルアゾジイソブチレート等のアゾ系化合物があり、これらの1種または2種以上が使用できる。この使用量は、用いられる単量体の種類等により決められるものであるが、全単量体に対して0.1〜4.0重量%程度が好適である。
【0022】本発明の吸油剤を得るための重合方法は、上記のように水性懸濁分散重合であるが、重合中の温度は40〜150℃の範囲が好ましい。重合終了後、得られた微粒子樹脂の水性懸濁液を濾過し、2〜3度水洗した後、乾燥して目的の吸油剤が得られる。本発明の吸油剤は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素系油のみならず、脂肪族エステル系油、高級脂肪酸、高級アルコール類、エーテル等の広範な種類の油に対して、多量の油を従来の膨潤性吸油剤と比べて速やかに吸収し、また温度変化による吸油性能の影響も従来の吸油剤と比べて小さく、低温下においても高い吸油性能を保持することができる。
【0023】したがって、本発明の吸油剤は、海上流出油回収、浮上油回収、排水中の油分回収等に低温条件下でも効果を示すほか、エマルジョンブレーカー、漏油処理剤、電子レンジ用加温カバー、食用廃油処理剤、機械用廃油処理剤、家庭用または工業用油拭き取り剤、科学雑巾、漏油センサー、オイルシール剤、各種保油剤等の非常に広範な用途に適用することができる。また、本発明の吸油剤は、広範な油を吸収保油するため、各種芳香剤、防虫・殺虫剤、殺菌剤、集魚剤等の徐放性基材としても使用することができ、産業の発展に大きく貢献できるものである。
【0024】
【実施例】次に本発明の吸油剤について実施例および比較例をあげてさらに説明するが、本発明はこれだけに限定されるものではない。なお、例中特にことわりのない限り、部は重量部を表すものとする。
【0025】実施例1温度計、撹拌機、窒素ガス導入管および還流冷却器を備えた1リットルフラスコに、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル4.5部、難溶性無機塩として第二燐酸マグネシウム7.5部、水溶性高分子保護コロイドとしてヒドロキシエチルセルロース1.5部を用い、これらを水510部に溶解して仕込み、撹拌下フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下に70℃に加熱した。その後、単量体(A)としてオクタデシルアクリレート60部、単量体(B)としてtert−ブチルメタクリレート90部、架橋性単量体(D)としてジビニルベンゼン0.1部および重合開始剤として過酸化ベンゾイル0.8部からなる溶液をフラスコ内に一度に加え、700rpm の条件で激しく撹拌した。3時間後、フラスコ内温度を80℃に昇温し、同温度で2時間維持して重合反応を行い、その後さらにフラスコ内温度を95℃に昇温し3時間維持して重合を完成させた。重合完了後、粒状の架橋重合体を濾別し、水で数度洗浄した後、乾燥して粒径100〜1000μmの白色粉末〔実施例吸油剤(1)〕を得た。
【0026】実施例2温度計、撹拌機、窒素ガス導入管および還流冷却器を備えた1リットルフラスコに、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル4.5部、難溶性無機塩として第三燐酸マグネシウム7.5部、水溶性高分子保護コロイドとしてヒドロキシエチルセルロース2.0部を用い、これらを水510部に溶解して仕込み、撹拌下フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下に70℃に加熱した。その後、単量体(A)としてオクタデシルメタクリレート50部、単量体(B)としてイソブチルメタクリレート100部、架橋性単量体(D)としてトリメチロールプロパントリメタクリレート0.09部および重合開始剤として過酸化ラウロイル0.6部からなる溶液をフラスコ内に一度に加え、700rpmの条件で激しく撹拌した。3時間後、フラスコ内温度を80℃に昇温し、同温度で2時間維持して重合反応を行い、その後さらにフラスコ内温度を95℃に昇温し3時間維持して重合を完成させた。重合完了後、粒状の架橋重合体を濾別し、水で数度洗浄した後、乾燥して粒径100〜1000μmの白色粉末〔実施例吸油剤(2)〕を得た。
【0027】実施例3温度計、撹拌機、窒素ガス導入管および還流冷却器を備えた1リットルフラスコに、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルエーテル4.5部、難溶性無機塩として第二燐酸マグネシウム7.5部、水溶性高分子保護コロイドとしてカルボキシメチルセルロース2.0部を用い、これらを水510部に溶解して仕込み、撹拌下フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下に70℃に加熱した。その後、単量体(A)としてオクタコサン酸ビニル55部、単量体(B)としてネオペンチルメタクリレート100部、架橋性単量体(D)としてエチレングリコールジメタクリレート0.1部および重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.6部からなる溶液をフラスコ内に一度に加え、700rpmの条件で激しく撹拌した。3時間後、フラスコ内温度を80℃に昇温し、同温度で2時間維持して重合反応を行い、その後さらにフラスコ内温度を100℃に昇温し3時間維持して重合を完成させた。重合完了後、粒状の架橋重合体を濾別し、水で数度洗浄した後、乾燥して粒径100〜1000μmの白色粉末〔実施例吸油剤(3)〕を得た。
【0028】実施例4温度計、撹拌機、窒素ガス導入管および還流冷却器を備えた1リットルフラスコに、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルエーテル4.5部、難溶性無機塩として第三燐酸マグネシウム7.5部、水溶性高分子保護コロイドとしてポリアクリル酸ソーダ2.0部を用い、これらを水510部に溶解して仕込み、撹拌下フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下に40℃に加熱した。その後、単量体(A)としてオクタデシルビニルエーテル75部、単量体(B)としてシクロヘキシルメタクリレート75部、架橋性単量体(D)としてN,N′−ジアセチル−N,N′−ジビニル−1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン0.5部および重合開始剤としてアゾビスジバレロニトリル1.2部からなる溶液をフラスコ内に一度に加え、700rpm の条件で激しく撹拌した。3時間後、フラスコ内温度を70℃に昇温し、同温度で2時間維持して重合反応を行い、その後さらにフラスコ内温度を90℃に昇温し3時間維持して重合を完成させた。重合完了後、粒状の架橋重合体を濾別し、水で数度洗浄した後、乾燥して粒径100〜1000μmの白色粉末〔実施例吸油剤(4)〕を得た。
【0029】実施例5温度計、撹拌機、窒素ガス導入管および還流冷却器を備えた1リットルフラスコに、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル4.5部、難溶性無機塩として第二燐酸マグネシウム7.5部を用い、これらを水510部に溶解して仕込み、撹拌下フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下に70℃に加熱した。その後、単量体(A)としてヘキサコシルメタクリレート75部、単量体(B)としてイソプロピルメタクリレート75部、架橋性単量体(D)としてトリメチロールプロパンジアリルエーテル0.5部および重合開始剤として過酸化ジ−tert−ブチル1.2部からなる溶液をフラスコ内に一度に加え、700rpm の条件で激しく撹拌した。3時間後、フラスコ内温度を80℃に昇温し、同温度で2時間維持して重合反応を行い、その後さらにフラスコ内温度を100℃に昇温し3時間維持して重合を完成させた。重合完了後、粒状の架橋重合体を濾別し、水で数度洗浄した後、乾燥して粒径100〜1000μmの白色粉末〔実施例吸油剤(5)〕を得た。
【0030】実施例6温度計、撹拌機、窒素ガス導入管および還流冷却器を備えた1リットルフラスコに、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルエーテル4.5部、難溶性無機塩として第三燐酸マグネシウム7.5部、水溶性高分子保護コロイドとしてポリアクリル酸ソーダ2.0部を用い、これらを水510部に溶解して仕込み、撹拌下フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下に40℃に加熱した。その後、単量体(A)としてオクタデシルビニルエーテル54部、単量体(B)としてシクロヘキシルメタクリレート75部、単量体(C)としてアクリロニトリル21部、架橋性単量体(D)としてN,N′−ジアセチル−N,N′−ジビニル−1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン7.5部および重合開始剤としてアゾビスジバレロニトリル1.2部からなる溶液をフラスコ内に一度に加え、700rpm の条件で激しく撹拌した。3時間後、フラスコ内温度を70℃に昇温し、同温度で2時間維持して重合反応を行い、その後さらにフラスコ内温度を90℃に昇温し3時間維持して重合を完成させた。重合完了後、粒状の架橋重合体を濾別し、水で数度洗浄した後、乾燥して粒径100〜1000μmの白色粉末〔実施例吸油剤(6)〕を得た。
【0031】実施例7温度計、撹拌機、窒素ガス導入管および還流冷却器を備えた1リットルフラスコに、ノニオン性界面活性剤としてポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル4.5部、難溶性無機塩として第二燐酸マグネシウム7.5部を用い、これらを水510部に溶解して仕込み、撹拌下フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下に70℃に加熱した。その後、単量体(A)としてヘキサコシルメタクリレート48部、単量体(B)としてイソプロピルメタクリレート75部、単量体(C)としてヒドロキシプロピルメタアクリレート27部、架橋性単量体(D)としてトリメチロールプロパンジアリルエーテル0.5部および重合開始剤として過酸化ジ−tert−ブチル1.2部からなる溶液をフラスコ内に一度に加え、700rpmの条件で激しく撹拌した。3時間後、フラスコ内温度を80℃に昇温し、同温度で2時間維持して重合反応を行い、その後さらにフラスコ内温度を100℃に昇温し3時間維持して重合を完成させた。重合完了後、粒状の架橋重合体を濾別し、水で数度洗浄した後、乾燥して粒径100〜1000μmの白色粉末〔実施例吸油剤(7)〕を得た。
【0032】比較例1温度計、撹拌機、窒素ガス導入管および還流冷却器を備えた1リットルフラスコに、完全ケン化ポリビニルアルコール4.0部および部分ケン化ポリビニルアルコール0.16部を水600部に溶解して仕込み、撹拌下フラスコ内を窒素置換し、窒素気流下に40℃に加熱した。その後、ドデシルアクリレート150部、エチレングリコールジアクリレート0.3部および重合開始剤としてアゾビスジメチルバレロニトリル0.5部からなる溶液をフラスコ内に一度に加え、700rpm の条件で激しく撹拌した。3時間後、フラスコ内温度を70℃に昇温し、同温度で2時間維持して重合反応を行い、その後さらにフラスコ内温度を80℃に昇温し3時間維持して重合を完成させた。重合完了後、粒状の架橋重合体を濾別し、水で数度洗浄した後、乾燥して比較例吸油剤(1)を得た。
【0033】比較例2比較例1においてドデシルアクリレート150部の代わりにドデシルアクリレート67.3部、スチレン82.7部を用い、エチレングリコールジアクリレート0.5部に変更した以外は、比較例1と同様の方法により比較例吸油剤(2)を得た。
【0034】比較例3比較例1においてドデシルアクリレート150部の代わりに2−エチルヘキシルアクリレート150部を用い、エチレングリコールジアクリレート0.5部の代わりにジビニルベンゼン0.35部を用いた以外は、比較例1と同様の方法により比較例吸油剤(3)を得た。
【0035】比較例4比較例1においてドデシルアクリレート150部の代わりにオクタデシルアクリレート150部を用い、エチレングリコールジアクリレート0.35部に変更した以外は、比較例1と同様の方法により比較例吸油剤(4)を得た。
【0036】比較例5比較例1においてドデシルアクリレート150部の代わりにt−ブチルスチレン150部を用い、エチレングリコールジアクリレート0.5部の代わりにN,N′−ジアセチル−N,N′−ジビニル−1,4−ビスアミノメチルシクロヘキサン0.1部を用いた以外は、比較例1と同様の方法により比較例吸油剤(5)を得た。
【0037】実施例8〈吸油倍率の測定〉実施例1〜7で得られた実施例吸油剤(1)〜(7)、比較例1〜5で得られた比較例吸油剤(1)〜(5)のそれぞれについて、以下の方法により吸油倍率を測定した。
(測定方法)吸油剤試料1gを25℃の条件下に表1に示した各種油や溶剤に浸漬し、24時間後に金網上に濾別回収した。次いで試料を金網上に20分間放置して試料に保持されない油または溶剤を充分に流下せしめた後、膨潤試料の重量(αg)を測定し、次式に従い吸油倍率を計算した。
吸油倍率(g/g)=(膨潤試料の重量−浸漬前の試料重量)/浸漬前の試料重量=(α−1)/1評価結果を表1に示した。
【0038】
【表1】


【0039】表1で明らかなように、本発明および比較例1の膨潤性吸油剤は、広範な種類の油に対して多量の油を吸収することができる。
【0040】実施例9〈飽和吸油時間の測定〉実施例1〜7で得られた実施例吸油剤(1)〜(7)、比較例1および比較例2で得られた比較例吸油剤(1)〜(2)のそれぞれについて、以下の方法により吸油倍率が飽和に達するまでの時間(飽和膨潤までの時間)を測定した。
(測定方法)吸油剤試料1gを25℃の条件下で四塩化炭素、トルエン、灯油および菜種油に浸漬し、それぞれの油や溶剤について、一定時間毎に吸油倍率を測定した。一定時間毎の吸油倍率の測定方法は、浸漬時間が異なるだけで、それ以外は上記の〈吸油倍率の測定〉で行ったのと同様の方法である。評価結果を表2に示した。
【0041】
【表2】


【0042】表1に示したように広範な種類の油に対して多量の油を吸収することができるのは本発明および比較例1の吸油剤であったが、表2から明らかなようにその飽和吸油時間(吸油速度)を比較すると、本発明の吸油剤の方が比較例1,2の吸油剤よりも明らかに飽和吸油時間が短い(吸油速度が大きい)。すなわち、広範な油に対して、短時間でかつ多量の油を吸収できるのは、本発明の吸油剤のみである。
【0043】実施例10〈ベタツキ試験〉実施例1〜7で得られた実施例吸油剤(1)〜(7)、比較例1および比較例2で得られた比較例吸油剤(1)〜(2)のそれぞれについて、以下の方法によりベタツキの有無を評価した。
(評価方法)吸油剤試料1gを25℃の条件下でシリコーン剥離紙上に置き、その上から上質紙を置き、1kg/m2の圧力を10秒間かけた後上質紙に吸油剤試料が付着するか否かを調べることにより評価した。評価結果を表3に示した。
【0044】
【表3】


【0045】実施例11〈圧力変化による漏油量の測定〉実施例1〜7で得られた実施例吸油剤(1)〜(7)および市販のPP繊維の吸油剤について、以下の方法により圧力変化による漏油量を測定した。
(測定方法)吸油剤試料にトルエンを吸収させて飽和状態にした後、その飽和試料50gを片末端に金網を装着したシリンダー(φ=20mm)に充填しピストンにて加圧し、そのときの漏油量を測定し飽和吸油量から除することにより求めた。評価結果を図1に示した。また、実施例吸油剤(2)〜(7)も実施例吸油剤(1)と同様の結果となった。
【0046】実施例12〈浮上油回収試験〉容量36リットルの水槽に水30リットル(水面の面積1000cm2)を入れ、さらに水面にB重油15gを添加した。この水面上に、実施例1〜5で得られた実施例吸油剤(1)〜(7)のそれぞれ5gを10cm×10cmの大きさのポリプロピレン(PP)不織布に挟んだものおよび10cm×10cmの大きさのPP不織布をそれぞれ4時間浮かべたのち引き上げ、水面上のB重油の残存の様子から浮上油回収能を次の基準により評価した。その結果を表4に示した。
【0047】
【表4】


【0048】
【発明の効果】本発明により、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素系油のみならず、脂肪族エステル系油、高級脂肪酸、高級アルコール類、エーテル等の広範な種類の油に対して、常温において短時間でかつ多量の油を吸収することができ、しかも、一度吸収した油を放出しにくいことを特徴とする膨潤性吸油剤を提供することができる。また、本発明の吸油剤は、海上流出油回収、浮上油回収、排水中の油分回収等に低温条件下でも効果を示すほか、エマルジョンブレーカー、漏油処理剤、電子レンジ用加温カバー、食用廃油処理剤、機械用廃油処理剤、家庭用または工業用油拭き取り剤、科学雑巾、漏油センサー、オイルシール剤、各種保油剤等の非常に広範な油を吸収保油するため、各種芳香剤、防虫・殺虫剤、殺菌剤、集魚剤等の徐放性基剤としても使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】吸油材料の再漏油量を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ノニオン性界面活性剤と難溶性無機塩の存在下で、炭素数15〜30の1価脂肪族アルコールの(メタ)アクリレート、炭素数15〜30の1価脂肪酸のビニルエステル、炭素数15〜30の脂肪族アルキル基を有するビニルエーテル、炭素数15〜30の脂肪族アルキル基を有するアリルエーテルより選ばれる少なくとも1種(A)、および炭素数2〜6のアルキル基を有するメタクリレート(B)を主成分とする分子中に1個の重合性不飽和基を有する単量体混合物と、分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体(D)を全単量体の0.001〜10重量%含有する単量体成分を水性懸濁重合により共重合して得られる微粒子状の吸油剤。
【請求項2】 ノニオン性界面活性剤と難溶性無機塩の存在下で、炭素数15〜30の1価脂肪族アルコールの(メタ)アクリレート、炭素数15〜30の1価脂肪酸のビニルエステル、炭素数15〜30の脂肪族アルキル基を有するビニルエーテル、炭素数15〜30の脂肪族アルキル基を有するアリルエーテルより選ばれる少なくとも1種(A)、および炭素数2〜6のアルキル基を有するメタクリレート(B)の合計80重量%以上含み、(A)および(B)以外の分子中に1個の重合性不飽和基を有する単量体(C)を20重量%未満含有する単量体混合物と、分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する架橋性単量体(D)を全単量体の0.001〜10重量%含有する単量体成分を水性懸濁重合法により共重合して得られる微粒子状の吸油剤。
【請求項3】 炭素数15〜30の1価脂肪族アルコールの(メタ)アクリレート、炭素数15〜30の1価脂肪酸のビニルエステル、炭素数15〜30の脂肪族アルキル基を有するビニルエーテル、炭素数15〜30の脂肪族アルキル基を有するアリルエーテルより選ばれる少なくとも1種(A)と、炭素数2〜6のアルキル基を有するメタクリレート(B)の共重合比が1:4〜4:1(重量比)である請求項1および2記載の吸油剤。

【図1】
image rotate