説明

吸着等量線作成用情報の測定方法、吸着等量線作成方法、吸着熱計算方法、プログラムおよび測定システム

【課題】吸着熱や吸着等量線を得るまでの時間を短縮でき、得られる吸着熱や吸着等量線の測定精度・条件を向上できる新規な吸着等量線の作成方法を提供すること
【解決手段】測定系(容器)に配置された測定用物質の吸着等量線作成用情報〔温度T(x)、圧力P(x)〕(但し、xは0以上の整数)を得るために、(i)測定系に供給/排出されるガス量を調整して測定系の温度を一定量だけ変化させる温度制御ステップAと、(ii)測定用物質のガス吸着量n(x)が温度制御ステップAの実施前と同一となるまで、測定系(容器)に供給/排出されるガス量を調整することで、測定系の圧力を変化させるガス流量制御ステップBと、を交互に繰り返す吸着等量線作成用情報の測定方法、これを用いた吸着等量線作成方法および吸着熱計算方法、これら方法を実行するプログラム、および、これら方法を利用する測定システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着等量線作成用情報の測定方法、吸着等量線作成方法、吸着熱計算方法、プログラムおよび測定システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
固体物質、特に、多孔性物質の吸着能の測定は、従来より熱量測定法や、吸着等温線、吸着等圧線の測定などにより行われている。また、本発明者は、多孔性物質の種々の特性評価を容易とするために、容器内に配置された多孔性物質の吸着量を一定に保った状態で、容器内の温度や圧力を変化させた際の測定結果に基づいて、吸着等量線を作成できる測定装置を提案している(特許文献1)。この測定装置では、多孔性物質の重量を検出する重量検出部を備えており、重量検出部で検出された検出重量に基づいて、容器内へ供給、または、容器外へと排出されるガス量を制御することで、多孔性物質の吸着量を一定に維持するフィードバック制御を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−64731号公報(請求項7、段落番号0016等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、固体物質の各種吸着特性の中でも、特に、吸着熱は、新規な材料の開発や、材料の各種製品への適用を試みる上で、重要な物性値となる場合がある。特に、固体物質が多孔性物質である場合には、通常、吸着熱は、非常に重要かつ必ず把握しておくべき物性値である。この吸着熱の測定方法としては、i)吸着等温線または吸着等圧線を測定し、この測定データに基づいて作成した吸着等量線を利用して、Clapeyron−Clausius式から吸着熱を計算する方法、および、ii)上述した本発明者が提案した測定装置を利用して測定された吸着等量線を利用してClapeyron−Clausius式から吸着熱を計算する方法が挙げられる。
【0005】
しかし、i)に示す方法では、吸着等温線または吸着等圧線を測定しなければならないが、吸着等量線を作成するためには、膨大なデータ測定が必要とされる。それゆえ、結果的に、測定開始から吸着熱を得るまでに、長時間を要する。さらに、ii)に示す方法では、測定時に、多孔性物質の吸着量を一定に維持するために、重量検出部で検出された検出重量に基づいてフィードバック制御を行う必要がある。しかしながら、重量検出部として利用できる装置は、高価である。これに加えて、その測定精度も1μgオーダーであるため、結果として得られる吸着等量線や吸着熱のデータとしての精度も低いものとなる。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、吸着熱や吸着等量線を得るまでの時間を短縮でき、得られる吸着熱や吸着等量線の精度の高い吸着等量線作成用情報の測定方法、これを用いた吸着等量線作成方法および吸着熱計算方法、これら方法を実行するプログラム、および、これら方法を利用する測定システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、
第一の本発明の吸着等量線作成用情報の測定方法は、
特定の組成からなるガスで満たされ、測定用物質が内部に配置され、かつ、一定の容積を有する容器内の圧力および温度を、
(i)容器内の圧力を一定に維持した状態で、容器内の温度を所定の温度変化量だけ変化させるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、容器内の圧力測定結果、容器内の温度測定結果、および、温度変化量に基づいてフィードバック制御することにより、容器内の温度を制御する温度制御ステップと、
(ii)容器内の温度を一定に維持した状態で、温度制御ステップの実施により変化した測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量が、温度制御ステップの実施前における測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、当該ガス流量の測定結果、および、温度制御ステップの実施に際して、容器内に新たに供給、または、容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、ガス流量を制御するガス流量制御ステップと、
を交互に2回以上繰り返すことにより、変化させた際に、下式(1)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を得ることを特徴とする。
【0008】
【数1】

【0009】
〔ここで、式(1)中、T(0)は、1回目の温度制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、T(a)は、a回目の温度制御ステップ実施後からa+1回目の温度制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、P(0)は、1回目のガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、P(a)は、a回目のガス流量制御ステップ実施後からa+1回目のガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、aは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【0010】
第一の本発明の吸着等量線作成用情報の測定方法の一実施態様は、吸着等量線作成用情報の測定に用いる測定システムが、容器と、容器に接続され、容器外から容器内へと特定の組成からなるガスを供給するガス供給路と、容器に接続され、容器内から容器外へと、容器内の特定の組成からなるガスを排出するガス排出路と、ガス供給路上に設けられ、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量を制御するガス供給量制御部と、ガス排出路上に設けられ、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量を制御するガス排出量制御部と、容器内の温度を制御する温度制御部と、容器内の圧力を制御する圧力制御部と、ガス供給路上に設けられ、ガス供給量を測定するガス供給量測定部と、ガス排出路上に設けられ、ガス排出量を測定するガス排出量測定部と、容器内の温度を測定する温度測定部と、容器内の圧力を測定する圧力測定部と、ガス供給量測定部、ガス排出量測定部、温度測定部、および、圧力測定部から選択される少なくともいずれかの測定部により測定された測定値群、ならびに、予め設定された、ガス供給量、ガス排出量、温度変化量および圧力変化量、から選択される少なくともいずれかの設定値群、から選択される少なくとも1種の入力値に基づいて、ガス供給量、ガス排出量、温度および圧力から選択される少なくとも1種のパラメーター値を制御する機能を有するパラメーター値制御部と、を少なくとも備え、パラメーター制御部が、温度制御ステップおよびガス流量制御ステップを実施する機能を少なくとも有することが好ましい。
【0011】
第二の本発明の吸着等量線作成用情報の測定方法は、
特定の組成からなるガスで満たされ、測定用物質が内部に配置され、かつ、一定の容積を有する容器内の圧力および温度を、
(i)容器内の温度を一定に維持した状態で、容器内の圧力を所定の圧力変化量だけ変化させるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、容器内の温度測定結果、容器内の圧力測定結果、および、圧力変化量に基づいてフィードバック制御することにより、
圧力を制御する圧力制御ステップと
(ii)容器内の圧力を一定に維持した状態で、圧力制御ステップの実施により変化した測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量が、圧力制御ステップの実施前における測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、当該ガス流量の測定結果、および、圧力制御ステップの実施に際して、容器内に新たに供給、または、容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、ガス流量を制御するガス流量制御ステップと、を交互に2回以上繰り返すことにより、変化させた際に、
下式(2)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を得ることを特徴とする。
【0012】
【数2】

【0013】
〔ここで、式(2)中、T(0)は、1回目のガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、T(b)は、b回目のガス流量制御ステップ実施後からb+1回目のガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、P(0)は、1回目の圧力制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、P(b)は、b回目の圧力制御ステップ実施後からb+1回目の上記圧力制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、bは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【0014】
第二の本発明の吸着等量線作成用情報の測定方法の一実施態様は、吸着等量線作成用情報の測定に用いる測定システムが、容器と、容器に接続され、容器外から容器内へと特定の組成からなるガスを供給するガス供給路と、容器に接続され、容器内から容器外へと、容器内の特定の組成からなるガスを排出するガス排出路と、ガス供給路上に設けられ、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量を制御するガス供給量制御部と、ガス排出路上に設けられ、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量を制御するガス排出量制御部と、容器内の温度を制御する温度制御部と、容器内の圧力を制御する圧力制御部と、ガス供給路上に設けられ、ガス供給量を測定するガス供給量測定部と、ガス排出路上に設けられ、ガス排出量を測定するガス排出量測定部と、容器内の温度を測定する温度測定部と、容器内の圧力を測定する圧力測定部と、ガス供給量測定部、ガス排出量測定部、温度測定部、および、圧力測定部から選択される少なくともいずれかの測定部により測定された測定値群、ならびに、予め設定された、ガス供給量、ガス排出量、温度変化量および圧力変化量、から選択される少なくともいずれかの設定値群、から選択される少なくとも1種の入力値に基づいて、ガス供給量、ガス排出量、温度および圧力から選択される少なくとも1種のパラメーター値を制御する機能を有するパラメーター値制御部と、を少なくとも備え、パラメーター制御部が、圧力制御ステップおよびガス流量制御ステップを実施する機能を少なくとも有することが好ましい。
【0015】
第一の本発明の本発明の吸着等量線作成用情報の測定方法および第二の本発明の吸着等量線作成用情報の測定方法の一実施態様は、測定用物質が、多孔性物質であることが好ましい。
【0016】
本発明の吸着等量線作成方法は、第一の本発明の本発明の吸着等量線作成用情報の測定方法または第二の本発明の吸着等量線作成用情報の測定方法により得られた吸着等量線作成用情報を用いて、測定用物質の吸着等量線を作成することを特徴とする。
【0017】
本発明の吸着熱計算方法は、第一の本発明の本発明の吸着等量線作成用情報の測定方法および第二の本発明の吸着等量線作成用情報の測定方法により得られた吸着等量線作成用情報を用いて、測定用物質の吸着熱を計算することを特徴とする。
【0018】
第一の本発明のプログラムは、特定の組成からなるガスで満たされ、測定用物質が内部に配置され、かつ、一定の容積を有する容器内の圧力および温度を変化させるためのステップとして、
(i)容器内の圧力を一定に維持した状態で、容器内の温度を所定の温度変化量だけ変化させるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、容器内の圧力測定結果、容器内の温度測定結果、および、温度変化量に基づいてフィードバック制御することにより、容器内の温度を制御する温度制御ステップと、
(ii)容器内の温度を一定に維持した状態で、温度制御ステップの実施により変化した測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量が、温度制御ステップの実施前における測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、当該ガス流量の測定結果、および、温度制御ステップの実施に際して、容器内に新たに供給、または、容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、ガス流量を制御するガス流量制御ステップと、を含み、
(iii)さらに、温度制御ステップと、ガス流量制御ステップとを交互に2回以上繰り返すことにより、容器内の圧力および温度とを変化させた際に、下式(3)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を得る吸着等量線作成用情報測定ステップを、少なくとも含むことを特徴とする。
【0019】
【数3】

【0020】
〔ここで、式(3)中、T(0)は、1回目の温度制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、T(a)は、a回目の温度制御ステップ実施後からa+1回目の温度制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、P(0)は、1回目のガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、P(a)は、a回目のガス流量制御ステップ実施後からa+1回目のガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、aは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【0021】
第二の本発明のプログラムの一実施態様は、
特定の組成からなるガスで満たされ、測定用物質が内部に配置され、かつ、一定の容積を有する容器内の圧力および温度を変化させるためのステップとして、
(i)容器内の温度を一定に維持した状態で、容器内の圧力を所定の圧力変化量だけ変化させるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、容器内の温度測定結果、容器内の圧力測定結果、および、圧力変化量に基づいてフィードバック制御することにより、圧力を制御する圧力制御ステップと
(ii)容器内の圧力を一定に維持した状態で、圧力制御ステップの実施により変化した測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量が、圧力制御ステップの実施前における測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、
容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、当該ガス流量の測定結果、および、圧力制御ステップの実施に際して、容器内に新たに供給、または、容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、ガス流量を制御するガス流量制御ステップと、を含み、
(iii)さらに、圧力制御ステップと、ガス流量制御ステップとを交互に2回以上繰り返すことにより、容器内の圧力および温度とを変化させた際に、下式(4)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を得る吸着等量線作成用情報測定ステップを、少なくとも含むことを特徴とする。
【0022】
【数4】

【0023】
〔ここで、式(4)中、T(0)は、1回目のガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、T(b)は、b回目のガス流量制御ステップ実施後からb+1回目のガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点においてに測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、P(0)は、1回目の圧力制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、P(b)は、b回目の圧力制御ステップ実施後からb+1回目の圧力制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、bは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【0024】
第一の本発明のプログラムおよび第二の本発明のプログラムの一実施態様は、吸着等量線作成用情報を用いて、測定用物質の吸着等量線を作成する吸着等量線作成ステップをさらに含むことが好ましい。
【0025】
第一の本発明のプログラムおよび第二の本発明のプログラムの他の実施態様は、吸着等量線作成用情報を用いて、測定用物質の吸着熱を計算する吸着熱計算ステップを含むことが好ましい。
【0026】
第一の本発明の測定システムは、
容器と、該容器に接続され、容器外から容器内へと特定の組成からなるガスを供給するガス供給路と、容器に接続され、容器内から容器外へと、容器内の特定の組成からなるガスを排出するガス排出路と、ガス供給路上に設けられ、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量を制御するガス供給量制御部と、ガス排出路上に設けられ、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量を制御するガス排出量制御部と、容器内の温度を制御する温度制御部と、容器内の圧力を制御する圧力制御部と、ガス供給路上に設けられ、ガス供給量を測定するガス供給量測定部と、ガス排出路上に設けられ、ガス排出量を測定するガス排出量測定部と、容器内の温度を測定する温度測定部と、容器内の圧力を測定する圧力測定部と、ガス供給量測定部、ガス排出量測定部、温度測定部、および、圧力測定部から選択される少なくともいずれかの測定部により測定された測定値群、ならびに、予め設定された、ガス供給量、ガス排出量、温度変化量および圧力変化量、から選択される少なくともいずれかの設定値群、から選択される少なくとも1種の入力値に基づいて、ガス供給量、ガス排出量、温度および圧力から選択される少なくとも1種のパラメーター値を制御する機能を有するパラメーター値制御部と、測定値群から選択される少なくとも1種の測定値を記録する記録部と、を少なくとも備え、
パラメーター制御部が、
(i)容器内の圧力を一定に維持した状態で、容器内の温度を所定の温度変化量だけ変化させるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、容器内の圧力測定結果、容器内の温度測定結果、および、温度変化量に基づいてフィードバック制御することにより、容器内の温度を制御する温度制御ステップと、
(ii)容器内の温度を一定に維持した状態で、温度制御ステップの実施により変化した測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量が、温度制御ステップの実施前における測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、当該ガス流量の測定結果、および、温度制御ステップの実施に際して、容器内に新たに供給、または、容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、ガス流量を制御するガス流量制御ステップと、
を交互に2回以上繰り返す機能を少なくとも有し、記録部が、1回目の温度制御ステップ実施前2つのステップを交互に実施する過程で、下式(5)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで得られる、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を記録する機能を少なくとも有することを特徴とする。
【0027】
【数5】

【0028】
〔ここで、式(5)中、T(0)は、1回目の温度制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、T(a)は、a回目の温度制御ステップ実施後からa+1回目の温度制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、P(0)は、1回目のガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、P(a)は、a回目のガス流量制御ステップ実施後からa+1回目のガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、aは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【0029】
第二の本発明の測定システムは、
容器と、該容器に接続され、容器外から容器内へと特定の組成からなるガスを供給するガス供給路と、容器に接続され、容器内から容器外へと、容器内の特定の組成からなるガスを排出するガス排出路と、ガス供給路上に設けられ、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量を制御するガス供給量制御部と、ガス排出路上に設けられ、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量を制御するガス排出量制御部と、容器内の温度を制御する温度制御部と、容器内の圧力を制御する圧力制御部と、ガス供給路上に設けられ、ガス供給量を測定するガス供給量測定部と、ガス排出路上に設けられ、ガス排出量を測定するガス排出量測定部と、容器内の温度を測定する温度測定部と、容器内の圧力を測定する圧力測定部と、ガス供給量測定部、ガス排出量測定部、温度測定部、および、圧力測定部から選択される少なくともいずれかの測定部により測定された測定値群、ならびに、予め設定された、ガス供給量、ガス排出量、温度変化量および圧力変化量、から選択される少なくともいずれかの設定値群、から選択される少なくとも1種の入力値に基づいて、ガス供給量、ガス排出量、温度および圧力から選択される少なくとも1種のパラメーター値を制御する機能を有するパラメーター値制御部と、測定値群から選択される少なくとも1種の測定値を記録する記録部と、を少なくとも備え、
パラメーター制御部が、
(i)容器内の温度を一定に維持した状態で、容器内の圧力を所定の圧力変化量だけ変化させるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、容器内の温度測定結果、容器内の圧力測定結果、および、圧力変化量に基づいてフィードバック制御することにより、圧力を制御する圧力制御ステップと、
(ii)容器内の圧力を一定に維持した状態で、圧力制御ステップの実施により変化した測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量が、圧力制御ステップの実施前における測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、当該ガス流量の測定結果、および、圧力制御ステップの実施に際して、容器内に新たに供給、または、容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、ガス流量を制御するガス流量制御ステップと、を交互に2回以上繰り返す機能を少なくとも有し、
記録部が、1回目の圧力制御ステップ実施前から2つのステップを交互に実施する過程で、下式(6)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで得られる、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を記録する機能を少なくとも有することを特徴とする。
【0030】
【数6】

【0031】
〔ここで、式(6)中、T(0)は、1回目のガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、T(b)は、b回目のガス流量制御ステップ実施後からb+1回目のガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、P(0)は、1回目の圧力制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、P(b)は、b回目の圧力制御ステップ実施後からb+1回目の圧力制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、bは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、吸着熱や吸着等量線を得るまでの時間を短縮でき、得られる吸着熱や吸着等量線の精度の高い吸着等量線作成用情報の測定方法、これを用いた吸着等量線作成方法および吸着熱計算方法、これら方法を実行するプログラム、および、これら方法を利用する測定システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】従来の吸着等量線の作成方法の一例を説明する模式図である。
【図2】第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法の一例を示す説明図である。
【図3】第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法の一例を示す説明図である。
【図4】第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法または第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法に用いられる測定システムの一例を示す概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
<吸着等量線作成用情報の測定方法>
第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法では、特定の組成からなるガスで満たされ、測定用物質が内部に配置され、かつ、一定の容積を有する容器内の圧力および温度を、下記(A)に示す温度制御ステップと、下記(B)に示すガス流量制御ステップとを、交互に2回以上繰り返すことにより、変化させた際に、下式(1)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を得ることを特徴とする。
【0035】
(A)温度制御ステップ
温度制御ステップでは、容器内の圧力を一定に維持した状態で、容器内の温度を所定の温度変化量だけ変化させるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、容器内の圧力測定結果、容器内の温度測定結果、および、温度変化量に基づいてフィードバック制御することにより、容器内の温度を制御する。
【0036】
(B)ガス流量制御ステップ
ガス流量制御ステップでは、容器内の温度を一定に維持した状態で、温度制御ステップの実施により変化した測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量が、温度制御ステップの実施前における測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、当該ガス流量の測定結果、および、温度制御ステップの実施に際して、容器内に新たに供給、または、容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、ガス流量を制御する。
【0037】
【数7】

【0038】
ここで、式(1)中、T(0)は、1回目の温度制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、T(a)は、a回目の温度制御ステップ実施後からa+1回目の温度制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、P(0)は、1回目のガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、P(a)は、a回目のガス流量制御ステップ実施後からa+1回目のガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、aは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。
【0039】
第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法では、上述した温度制御ステップと、ガス流量制御ステップとを繰り返す過程で、式(1)に示す仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、吸着等量線を作成する上で必要かつ最小限の測定データを得ることができる。それゆえ、結果的に、後は、得られた測定データに基づいてコンピュータを利用して情報処理を行えば吸着等量線や、吸熱量を直ぐに得ることができる。このため、複数の吸着等温線または複数の吸着等圧線を測定して得られた測定データに基づいて、吸着等量線を作成したり、Clapeyron−Clausius式から吸着熱を計算する方法と比べて、吸着熱や吸着等量線を得るために、膨大なデータ測定を必要しない。このため、吸着等量線の作成や、吸着熱の計算結果を得るまでの時間を大幅に短縮できる。
【0040】
以上に説明した効果を、図面を用いて以下により具体的に説明する。図1は、従来の吸着等量線の作成方法の一例を説明する模式図であり、図1の上段は吸着等温線を示し、図1の中段は吸着等圧線を示し、図1の下段は吸着等量線を示す。図1の上段において、横軸は圧力P、縦軸は吸着量nを表し、図1の中段において、横軸は温度T、縦軸は吸着量nを表し、図1の下段において、横軸は温度T、縦軸は圧力Pを表す。なお、温度Tおよび圧力Pは、測定用物質が配置された測定系における温度および圧力を意味し、吸着量nは、測定用物質に吸着しているガス量を意味する。また、図1の上段に示される、符号T〜符号Txで示される複数のラインは、温度T〜温度Txにおける吸着等量線を意味し、図1の中段に示される、符号P〜符号Pxで示される複数のラインは、圧力P〜圧力Pxにおける吸着等圧線を意味し、図1の下段に示される符号nで示される1本のラインは、吸着量nにおける吸着等量線を意味する。
【0041】
ここで、図1の下段に示すように吸着等量線は、ガス吸着・脱ガス反応する測定用物質に対するガス吸着量が一定の場合における温度Tと圧力Pとの関係を示すグラフである。このため、吸着等量線の作成には、測定用物質に対するガス吸着量を一定(n)とした状態において測定された温度Tおよび圧力Pのデータが必要である。
【0042】
これに対して、図1の上段に示す吸着等温線は、ガス吸着・脱ガス反応する測定用物質が配置された測定系における温度が一定の場合におけるガス吸着量nと圧力Pとの関係を示すグラフであり、図1の中段に示す吸着圧温線は、ガス吸着・脱ガス反応する測定用物質が配置された測定系における圧力が一定の場合におけるガス吸着量nと圧力Pとの関係を示すグラフである。
【0043】
このため、図1の上段に示す吸着等温線に基づいて、図1の下段に示す吸着等量線の作成用のデータ、すなわち、吸着量nが一定(n)の場合における温度Tと圧力Pとからなる情報を得ようとすると、図1に示すように温度Tを変えて、吸着量nがnを示すライン(図1の上段の点線のライン)と交差する複数の吸着等温線を測定する必要がある。すなわち、図1の上段に示されるように、図中、温度Tにおける吸着等温線〜温度Txにおける吸着等温線までに示される複数の吸着等温線が必要になる。そして、作成する吸着等量線の精度も確保するためには、できるだけ沢山の吸着等温線の測定が必要になる。これは、図1の中段に示す複数の吸着等圧線に基づいて、図1の下段に示す吸着等量線の作成用のデータを得ようとする場合も同様である。
【0044】
次に、第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法について図面を用いてより具体的に説明する。図2は、第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法の一例を示す説明図であり、図中、横軸は圧力P、縦軸は測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量nを表す。なお、図中の原点は、圧力P、吸着量nが共に0を意味する点では無く、任意の圧力P、吸着量nを有する点を意味する。また、図中、符号T(0)で示されるラインは、温度T(0)における吸着等温線を意味し、符号T(1)で示されるラインは、温度T(1)における吸着等温線を意味し、符号T(2)で示されるラインは、温度T(2)における吸着等温線を意味する。また、温度T(0)、T(1)、T(2)は、T(2)<T(1)<T(0)なる関係を満たす。
【0045】
まず、容積Vの容器内に測定用物質を配置した後、容器内を特定の組成からなるガス(以下、単に、「ガス」と略す場合がある)で置換し、測定用物質に対するガス吸着・脱ガス反応が平衡状態となるのを待つ。次に、この状態における初期の温度、圧力、吸着量をそれぞれ、P(0)、T(0)、n(0)とし、図中では、Pos(0)で示される位置とする。続いて、この状態から、温度制御ステップと、ガス流量制御ステップとをこの順に交互に実施する過程で、式(1)に示す仮想測定情報群として示される全ての温度値および圧力値を測定し、吸着等量線作成用情報を得る。
【0046】
なお、温度制御ステップおよびガス流量制御ステップの詳細を説明する前に、この測定系における温度T、圧力Pおよび吸着量nの関係について説明する。ここで、ガスで満たされ、測定用物質が内部に配置され、かつ、一定の容積を有する容器(測定系)において、温度T、圧力Pおよび吸着量nの間には下式(2)に示す関係が成立する。なお、この容器は、必要に応じて外部から容器内へとガスを供給できると共に、容器内から外部へとガスを排出することができる。
【0047】
【数8】

【0048】
ここで、式(2)において、Δnは、測定用物質に対するガスの吸着量変化(mol)を表し、Δnは、容器内に供給されるガス量、または、容器外へと排出されるガス量(mol)を表し、Δpは、容器内の圧力変化(Torr)を表し、Vは容器の容積(cm)を表し、Rは気体定数、すなわち、0.0624cm・Torr/K・molを表し、Tは、容器内の温度(K)を意味する。以下、温度制御ステップおよびガス流量制御ステップの詳細について説明する。
【0049】
まず、初期状態Pos(0)において、1回目の温度制御ステップA1を実施する。この場合、圧力PをP(0)に維持したまま、温度Tを、T(0)から所定の温度変化量だけ減少させる。ここで、温度Tを、所定の温度変化量だけ減少させようとすると、測定用物質のガス吸着量nが増加するため、圧力PをP(0)に維持するためには容器内にガスを供給する必要がある。この容器内へのガスのガス供給量は、温度制御ステップA1の実施中における容器内の圧力Pの測定結果と、容器内の温度Tの測定結果と、所定の温度変化量〔T(1)−T(0)〕とに基づいて、フィードバック制御される。すなわち、温度制御ステップA1実施前においては、温度T(0)と、温度変化量〔T(1)−T(0)〕とが既知であるため、これらの情報を元に、制御目標となるターゲット温度T(1)を算出する。そして、温度制御ステップA1実施中においては、容器内の圧力Pを逐次測定して圧力Pが一定に保たれているか否かの判断結果に加えて、容器内の温度Tを逐次測定し、その測定結果が、ターゲット温度T(1)に近づいているか否かや、一致しているかの判断結果に基づいて、ガス供給量の制御や、温度制御ステップA1を終了すべきかどうかの制御を行う。
【0050】
これにより、圧力PをP(0)に維持したまま、温度Tを、T(0)からT(1)まで確実に変化させることができる。そして、1回目の温度制御ステップA1の実施を終えた時点で、温度T、圧力P、吸着量はn、それぞれ、T(1)、P(0)、n(1)となり、図中では、Pos(1−0)で示される位置となる。
【0051】
次に、Pos(1−0)において、1回目のガス流量制御ステップB1を実施する。この場合、温度TをT(1)に維持したまま、吸着量nを、n(1)から初期値のn(0)まで減少させる。ここで、容器内の温度TをT(1)に維持したまま、吸着量nを、n(1)からn(0)まで減少させようとすると、容器内の圧力Pを減少させる必要がある。そして、容器内の圧力Pを減少させるには、容器外へとガスを排出する必要がある。この容器外へと排出されるガスのガス排出量は、<a>1回目のガス流量制御ステップB1の実施中における容器内へと供給されるガスのガス供給量の測定結果と、<b>1回目の温度制御ステップA1の実施前後における測定用物質のガス吸着量の変化量〔n(1)−n(0)〕、言い換えれば、1回目の温度制御ステップA1の実施に際して、容器内に新たに供給されたガスの総量の測定結果とに基づいて、フィードバック制御される。
【0052】
すなわち、1回目のガス流量制御ステップB1実施前においては、測定用物質のガス吸着量の変化量〔n(1)−n(0)〕が既知であるため、1回目のガス流量制御ステップB1実施中においては、容器内から排出される単位時間当たりのガス流量を逐次測定して、積算ガス流量を求め、その積算ガス流量が、〔n(1)−n(0)〕に近づいているか否かや、一致しているかの判断結果に基づいて、ガス排出量の制御や、ガス流量制御ステップB1を終了すべきかどうかの制御を行う。
【0053】
これにより、温度TをT(1)に維持したまま、測定用物質に対するガス吸着量を、n(1)から初期値n(0)にまで確実に減少させることができる。また、このプロセスを実施し終えた時点で、容器内の圧力Pは、付随的にP(0)からP(1)へと減少することになる。すなわち、1回目のガス流量制御ステップB1の実施を終えた時点で、温度T、圧力P、吸着量nは、それぞれ、T(1)、P(1)、n(0)となり、図中では、Pos(1)で示される位置となる。
【0054】
このように1回目の温度制御ステップA1と1回目のガス流量制御ステップB1とを終えた時点で、ガス吸着量n(0)における1組の〔温度T、圧力P〕からなる情報として、〔T(0)、P(0)〕および〔T(1)、P(1)〕の2個が得られることになる。同様に2回目の温度制御ステップA2と2回目のガス流量制御ステップB2とを実施すれば、ガス吸着量n(0)における1組の〔温度T、圧力P〕からなる情報として、さらに、〔T(2)、P(2)〕を得ることができる。
【0055】
なお、図2に示す例においては、xを0以上の整数とした場合、Pos(x)における温度T、圧力Pの測定と、Pos(x+1)における温度T、圧力Pとの測定との間において、1回の温度制御ステップと1回の圧力制御ステップとを含むプロセスを1回のみ実施している。しかしながら、温度T、圧力Pは、上記プロセスを1回繰り返す毎に必ず測定する必要は無く、複数回繰り返した後に測定してもよい。たとえば、図2に示す例では、xの値が1つ毎、すなわち、Pos(0)、Pos(1)、Pos(2)、Pos(3)・・・の各々において温度Tと圧力Pとを測定し、これらの値を吸着等量線作成用情報としているが、xの値が5つ毎、すなわち、Pos(0)、Pos(5)、Pos(10)、Pos(15)・・・のみにおいて温度Tと圧力Pとを測定し、これらの値を吸着等量線作成用情報としていてもよい。
【0056】
なお、図2に示すケースでは、温度制御ステップにおいて温度Tを減少させて、吸着量nを増加させ、ガス流量制御ステップにおいて、ガス流量の制御により吸着量nを初期値まで減少させ、その結果として付随的に圧力Pを減少させている。しかしながら、図2に示すケースとは逆方向に温度制御ステップとガス流量制御ステップとを実施することもできる。この場合、温度制御ステップにおいて温度Tを増加させて、吸着量nを減少させ、ガス流量制御ステップにおいて、ガス流量の制御により吸着量nを初期値まで増加させ、その結果として付随的に圧力Pを増加させることになる。このため、この場合においても、吸着等量線作成用情報を得ることができる。
【0057】
なお、温度制御ステップおよびガス流量制御ステップは、最低でも交互に2回以上繰り返すことが必要である。温度制御ステップおよびガス流量制御ステップを交互に繰り返す回数を、2回以上とすることにより、吸着等量線を作成するのに最低限必要な3個以上の〔温度T、圧力P〕情報の集合からなる吸着等量線作成情報を得ることができる。なお、温度制御ステップおよびガス流量制御ステップを交互に繰り返す回数は、吸着等量線作成情報に基づいて得られる吸着等量線や吸着熱の精度をより向上させる観点から、3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。また、温度制御ステップおよびガス流量制御ステップを交互に繰り返す回数の上限は特に限定されないが、吸着等量線作成情報に基づいて得られる吸着等量線や吸着熱の精度向上効果に対する、吸着等量線や吸着熱を得るのに要する時間のバランスから、実用上は、100回以下が好ましい。
【0058】
なお、精度の高い吸着等量線や吸着熱を得るためには、式(1)に示す仮想測定情報群から選択して測定された温度および圧力の測定精度が高いことが重要である。温度や圧力の測定精度を左右する要因としては、種々挙げられる。しかしながら、特許文献1に示された方法と、第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法とでは、下記の点において大きな違いがある。すなわち、測定用物質である多孔性物質のガス吸着や脱ガスに伴う重量変化を重量検出部で検出した結果に基づいてフィードバック制御を行う測定システムを利用して吸着等量線を測定する方法に対して、第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法では、測定用物質のガス吸着や脱ガスに伴う重量変化を、測定用物質が配置された容器内へ供給、または、容器外へ排出、されるガス流量の測定により間接的に把握し、この結果に基づいてフィードバック制御を行っている。
【0059】
要約すれば、吸着等量線の作成に必要な測定データを得る際に、測定用物質の重量変化を、特許文献1では、重量測定装置で直接検出してフィードバック制御(重量基準フィードバック制御)を行っているのに対して、第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法では、ガス流量を測定することで間接的に検出してフィードバック制御(ガス流量基準フィードバック制御)を行っている。そして、重量基準フィードバック制御では、測定精度が1μgオーダーの重量測定に基づき行われるに対して、ガス流量基準フィードバック制御では、重量基準に換算した場合の測定精度が0.01μgオーダーのガス流量測定に基づいて行われる。このため、ガス流量基準フィードバック制御を採用する第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法は、特許文献1に示された方法と比べて、より精密なフィードバック制御を行うことができるため、吸着等量線の作成に必要な測定データの精度も高く、結果として、この測定データに基づいて得られる吸着熱や吸着等量線の精度もより高くなる。
【0060】
なお、参考までに述べれば、重量基準フィードバック制御に用いられるような重量測定装置としては、腐食性ガスにも利用可能であるなどの汎用性の高さや、メンテナンス性の点から、通常、石英スプリングや、磁気浮上天秤が用いられる。ここで、石英スプリングの測定精度は約2〜5μgであり(「コロイド科学IV.コロイド科学実験法」、日本化学会編、東京化学同人 p187参照)、磁気浮上天秤の測定精度は約1μgである(Rubotherm社ホームページ)。
【0061】
これに対して、ガス流量基準フィードバック制御に用いられるガス流量測定装置は、質量流量計(マスフローコントローラ)である。ここで、質量流量計として、株式会社堀場エステック社製のSEC−Z512KX(フルスケール流量:1/2sccm、流量精度:フルスケール流量の±1.0%)を用いて、ガスを流す時間の測定精度を1秒とし、水素ガスを流した場合の測定精度は、「{(フルスケール流量×流量精度)/標準状態のガス1molの体積}×水素ガスの分子量×ガスを流す時間の測定精度」、で表される。こここで、標準状態のガス1molの体積は、22414cm/mol、水素ガスの分子量は2g/molである。よって、上記式から、測定精度は約0.005μgとなる。すなわち、石英スプリングや、磁気浮上天秤を用いた場合の測定精度に対して、質量流量計を用いた場合の測定精度は、約100倍前後も優れていることがわかる。
【0062】
これに加えて、重量基準フィードバック制御では、測定用物質の重量測定を正確に行うために、測定用物質に対して、加熱源や冷却源を直接接触させることができない。このため、測定物質の温度を所望の温度に制御するのに時間を要し、結果的に測定時間が長くなる。これに対して、ガス流量基準フィードバック制御では、重量測定装置を用いて測定用物質の重量測定を行う必要がないため、測定用物質に対して、加熱源や冷却源を直接接触させることができる。このため、測定用物質の温度を所望の温度に速やかに制御でき、結果的に測定時間をより短縮することができる。さらに、測定用物質に対して、加熱源や冷却源を直接接触させた場合、より広い温度範囲での測定が可能となり、特に室温以下の低温測定が容易となるというメリットもある。
【0063】
次に、第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法について以下に説明する。
第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法では、特定の組成からなるガスで満たされ、測定用物質が内部に配置され、かつ、一定の容積を有する容器内の圧力および温度を、下記(C)に示す圧力制御ステップと、下記(D)に示すガス流量制御ステップとを、交互に2回以上繰り返すことにより、変化させた際に、下式(2)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を得ることを特徴とする。
【0064】
(C)圧力制御ステップ
圧力制御ステップでは、容器内の温度を一定に維持した状態で、容器内の圧力を所定の圧力変化量だけ変化させるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、容器内の温度測定結果、容器内の圧力測定結果、および、圧力変化量に基づいてフィードバック制御することにより、圧力を制御する。
【0065】
(D)ガス流量制御ステップ
ガス流量制御ステップでは、容器内の圧力を一定に維持した状態で、圧力制御ステップの実施により変化した測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量が、圧力制御ステップの実施前における測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、当該ガス流量の測定結果、および、圧力制御ステップの実施に際して、容器内に新たに供給、または、容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、ガス流量を制御する。
【0066】
【数9】

【0067】
ここで、式(3)中、T(0)は、1回目のガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、T(b)は、b回目のガス流量制御ステップ実施後からb+1回目のガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の温度を表し、P(0)は、1回目の圧力制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、P(b)は、b回目の圧力制御ステップ実施後からb+1回目の圧力制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の容器内の圧力を表し、bは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。
【0068】
第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法では、上述した温度制御ステップと、ガス流量制御ステップとを繰り返す過程で、式(3)に示す仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、吸着等量線を作成する上で必要かつ最小限の測定データを得ることができる。よって、第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法と同様に、吸着等温線や吸着等圧線を測定し、この測定データに基づいて吸着等量線を作成したり、Clapeyron−Clausius式から吸着熱を計算する方法と比べて、吸着熱や吸着等量線を得るための時間を大幅に短縮できる。
【0069】
次に、第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法について図面を用いてより具体的に説明する。図3は、第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法の一例を示す説明図であり、図中、横軸は温度T、縦軸は測定用物質に対する特定の組成からなるガスの吸着量nを表す。なお、図中の原点は、温度T、吸着量nが共に0を意味する点では無く、任意の温度T、吸着量nを有する点を意味する。また、図中、符号P(0)で示されるラインは、圧力P(0)における吸着等温線を意味し、符号P(1)で示されるラインは、圧力P(1)における吸着等温線を意味し、符号P(2)で示されるラインは圧力P(2)における吸着等温線を意味する。また、圧力P(0)、P(1)、P(2)は、P(2)<P(1)<P(0)なる関係を満たす。
【0070】
まず、容積Vの容器内に測定用物質を配置した後、容器内をガスで置換し、測定用物質に対するガス吸着・脱ガス反応が平衡状態となるのを待つ。次に、この状態における初期の温度、圧力、吸着量をそれぞれ、P(0)、T(0)、n(0)とし、図中では、Pos(0)で示される位置とする。続いて、この状態から、圧力制御ステップと、ガス流量制御ステップとをこの順に交互に実施する過程で、式(3)に示す仮想測定情報群として示される全ての温度値および圧力値を測定し、吸着等量線作成用情報を得る。なお、この容器(測定系)における温度T、圧力Pおよび吸着量nの関係については、既述した式(2)に示す通りである。以下、温度制御ステップおよびガス流量制御ステップの詳細について説明する。
【0071】
まず、初期状態Pos(0)において、1回目の圧力制御ステップC1を実施する。この場合、温度TをT(0)に維持したまま、圧力Pを、P(0)から所定の圧力変化量だけ減少させる。ここで、圧力Pを、所定の圧力変化量だけ減少させようとすると、測定用物質のガス吸着量nが減少するため、温度TをT(0)に維持するためには容器外へとガスを排出する必要がある。この容器外へのガスのガス排出量は、圧力制御ステップC1の実施中における容器内の温度Tの測定結果と、容器内の圧力Pの測定結果と、所定の圧力変化量〔P(1)−P(0)〕とに基づいて、フィードバック制御される。すなわち、圧力制御ステップC1実施前においては、圧力P(0)と、圧力変化量〔P(1)−P(0)〕とが既知であるため、これらの情報を元に、制御目標となるターゲット圧力P(1)を算出する。そして、圧力制御ステップC1実施中においては、容器内の温度Tを逐次測定して温度Tが一定に保たれているか否かの判断結果に加えて、容器内の圧力Pを逐次測定し、その測定結果が、ターゲット圧力P(1)に近づいているか否かや、一致しているかの判断結果に基づいて、ガス排出量の制御や、圧力制御ステップC1を終了すべきかどうかの制御を行う。
【0072】
これにより、温度TをT(0)に維持したまま、圧力Pを、P(0)からP(1)まで確実に変化させることができる。そして、1回目の圧力制御ステップC1の実施を終えた時点で、温度T、圧力P、吸着量はn、それぞれ、T(0)、P(1)、n(1)となり、図中では、Pos(1−0)で示される位置となる。
【0073】
次に、Pos(1−0)において、1回目のガス流量制御ステップD1を実施する。この場合、圧力PをP(1)に維持したまま、吸着量nを、n(1)から初期値のn(0)まで増加させる。ここで、容器内の圧力PをP(1)に維持したまま、吸着量nを、n(1)からn(0)まで増加させようとすると、容器内の温度Tを減少させる必要がある。そして、容器内の温度Tを減少させるには、容器内へとガスを供給する必要がある。この容器内へと供給されるガスのガス供給量は、<a>1回目のガス流量制御ステップD1の実施中における容器外へと排出されるガスのガス排出量の測定結果と、<b>1回目の圧力制御ステップC1の実施前後における測定用物質のガス吸着量の変化量〔n(1)−n(0)〕、言い換えれば、1回目の圧力制御ステップC1の実施に際して、容器外へと新たに排出されたガスの総量の測定結果とに基づいて、フィードバック制御される。
【0074】
すなわち、1回目のガス流量制御ステップD1実施前においては、測定用物質のガス吸着量の変化量〔n(1)−n(0)〕が既知であるため、1回目のガス流量制御ステップD1実施中においては、容器内へ供給される単位時間当たりのガス流量を逐次測定して、積算ガス流量を求め、その積算ガス流量が、〔n(1)−n(0)〕に近づいているか否かや、一致しているかの判断結果に基づいて、ガス供給量の制御や、ガス流量制御ステップD1を終了すべきかどうかの制御を行う。
【0075】
これにより、圧力PをP(1)に維持したまま、測定用物質に対するガス吸着量を、n(1)から初期値n(0)にまで確実に増加させることができる。また、このプロセスを実施し終えた時点で、容器内の温度Tは、付随的にT(0)からT(1)へと減少することになる。すなわち、1回目のガス流量制御ステップD1の実施を終えた時点で、温度T、圧力P、吸着量nは、それぞれ、T(1)、P(1)、n(0)となり、図中では、Pos(1)で示される位置となる。
【0076】
このように1回目の圧力制御ステップC1と1回目のガス流量制御ステップD1とを終えた時点で、ガス吸着量n(0)における1組の〔温度T、圧力P〕からなる情報として、〔T(0)、P(0)〕および〔T(1)、P(1)〕の2個が得られることになる。同様に2回目の圧力制御ステップC2と2回目のガス流量制御ステップD2とを実施すれば、ガス吸着量n(0)における1組の〔温度T、圧力P〕からなる情報として、さらに、〔T(2)、P(2)〕を得ることができる。
【0077】
なお、図3に示す例においては、xを0以上の整数とした場合、Pos(x)における温度T、圧力Pの測定と、Pos(x+1)における温度T、圧力Pとの測定との間において、1回の圧力制御ステップと1回の圧力制御ステップとを含むプロセスを1回のみ実施している。しかしながら、温度T、圧力Pは、上記プロセスを1回繰り返す毎に必ず測定する必要は無く、複数回繰り返した後に測定してもよい。たとえば、図3に示す例では、xの値が1つ毎、すなわち、Pos(0)、Pos(1)、Pos(2)、Pos(3)・・・の各々において温度Tと圧力Pとを測定し、これらの値を吸着等量線作成用情報としているが、xの値が5つ毎、すなわち、Pos(0)、Pos(5)、Pos(10)、Pos(15)・・・のみにおいて温度Tと圧力Pとを測定し、これらの値を吸着等量線作成用情報としていてもよい。
【0078】
なお、図3に示すケースでは、圧力制御ステップにおいて圧力Pを減少させて、吸着量nを減少させ、ガス流量制御ステップにおいて、ガス流量の制御により吸着量nを初期値まで増加させ、その結果として付随的に温度Tを減少させている。しかしながら、図3に示すケースとは逆方向に圧力制御ステップとガス流量制御ステップとを実施することもできる。この場合、圧力制御ステップにおいて圧力Pを増加させて、吸着量nを増加させ、ガス流量制御ステップにおいて、ガス流量の制御により吸着量nを初期値まで減少させ、その結果として付随的に温度Tを増加させることになる。このため、この場合においても、式(3)に示す吸着等量線作成用情報を得ることができる。
【0079】
第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法において、圧力制御ステップおよびガス流量制御ステップを交互に繰り返す回数は、第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法の場合と同様の理由から、2回以上であることが必要であり、3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。また、繰り返す回数の上限は、100回以下が好ましい。
【0080】
また、第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法は、第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法と同様に、吸着等量線の作成に必要な測定データを得る際に、重量基準フィードバック制御ではなくガス流量基準フィードバック制御を行っている。このため、第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法も、特許文献1に示された方法と比べて、より精密なフィードバック制御を行うことができるため、吸着等量線の作成に必要な測定データの精度も高く、結果として、この測定データに基づいて得られる吸着熱や吸着等量線の精度もより高くなる。
【0081】
以上に説明した第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法および第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法において用いられる測定用物質としては、ガス吸着・脱ガス反応を生じる物質であれば、如何様な物質でも用いることができる。測定用物質の具体例としては、通常のバルク状の物質、繊維状物質やその集合体、粉末状物質やその集合体、表面が粗面状の物質、多孔性物質などを挙げることができる。しかしながら、測定用物質としては、物質の特性として吸着特性がより重要な意味を持つ多孔性物質であることが特に好ましい。
【0082】
また、吸着等量線作成用情報の測定に際して利用する特定の組成からなるガスとしては特に限定されず、測定温度域および測定圧力域において気体状態となる公知のガスを利用することができる。特定の組成からなるガスの具体例としては、たとえば、酸素ガス、窒素ガス、希ガスなどの1種類の成分からなるガスや、酸素と窒素とを主成分として含む空気等のような2種類以上の成分からなるガスを挙げることができる。
【0083】
なお、第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法および第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法におけるフィードバック制御としては、特に限定されず公知のフィードバック制御が利用できるが、精度の高いフィードバック制御を行なう観点からはPID制御を利用することが好ましい。
【0084】
<吸着等量線作成方法および吸着熱計算方法>
吸着等量線作成用情報の利用用途については特に限定されないが、通常は、この吸着等量線作成用情報を用いて測定用物質の吸着等量線を作成したり、吸着熱を計算したりすることに利用できる。なお、図1の下段に例示したような吸着等量線の作成や、下式(4)に示すClapeyron−Clausius式に基づく吸着熱の計算に際しては、コンピュータを利用することが好ましい。
【0085】
【数10】

【0086】
ここで式(4)において、qstは等量吸着熱、Pは内部圧力、Tは内部温度、Rは気体定数である。そして、吸着等量線作成用情報により、式(4)中の右辺に示される内部圧力Pおよび内部温度Tが明らかとなるため、式(4)中の左辺に示される等量吸着熱qstを計算することができる。
【0087】
<プログラム>
なお、上述した第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法および第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法や、これら吸着等量線作成用情報の測定方法を利用した吸着等量線作成方法および吸着熱計算方法については、コンピュータにより実行可能な公知のプログラミング言語で記載されたプログラムの態様で提供することもできる。
【0088】
この場合、第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法を実施する第一の本実施形態のプログラムは、(A)温度制御ステップと、(B)ガス流量制御ステップと、(E)(A)温度制御ステップと、(B)ガス流量制御ステップとを交互に2回以上繰り返すことにより、容器内の圧力および温度とを変化させた際に、上述した式(1)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を得る吸着等量線作成用情報測定ステップと、を少なくとも含むものである。
【0089】
また、第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法を実施する第二の本実施形態のプログラムは、(C)圧力制御ステップと、(D)ガス流量制御ステップと、(F)(C)温度制御ステップと、(D)ガス流量制御ステップとを交互に2回以上繰り返すことにより、容器内の圧力および温度とを変化させた際に、上述した式(3)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を得る吸着等量線作成用情報測定ステップと、を少なくとも含むものである。
【0090】
なお、第一の本実施形態のプログラムおよび第二の本実施形態のプログラムには、さらに、吸着等量線作成用情報を用いて、測定用物質の吸着等量線を作成する吸着等量線作成ステップ、および/または、測定用物質の吸着熱を計算する吸着熱計算ステップが含まれていることが特に好ましい。
【0091】
<測定システム>
上述した第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法および第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法を実施する際に利用できる測定システムとしては、これら測定方法が実施可能な構成を有するものであればその構成は特に限定されないが、以下に示す構成を有することが特に好ましい。
【0092】
すなわち、このような測定システムとしては、容器と、容器に接続され、容器外から容器内へと特定の組成からなるガスを供給するガス供給路と、容器に接続され、容器内から容器外へと、容器内の特定の組成からなるガスを排出するガス排出路と、ガス供給路上に設けられ、容器外から容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量を制御するガス供給量制御部と、ガス排出路上に設けられ、容器内から容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量を制御するガス排出量制御部と、容器内の温度を制御する温度制御部と、容器内の圧力を制御する圧力制御部と、ガス供給路上に設けられ、ガス供給量を測定するガス供給量測定部と、ガス排出路上に設けられ、ガス排出量を測定するガス排出量測定部と、容器内の温度を測定する温度測定部と、容器内の圧力を測定する圧力測定部と、ガス供給量測定部、ガス排出量測定部、温度測定部、および、圧力測定部から選択される少なくともいずれかの測定部により測定された測定値群、ならびに、予め設定された、ガス供給量、ガス排出量、温度変化量および圧力変化量、から選択される少なくともいずれかの設定値群、から選択される少なくとも1種の入力値に基づいて、ガス供給量、ガス排出量、温度および圧力から選択される少なくとも1種のパラメーター値を制御する機能を有するパラメーター値制御部と、を少なくとも備えていることが好ましい。
【0093】
なお、本願明細書において、「測定システム」とは、測定用物質が配置される容器とその他の構成部分とから構成されるシステムを意味する。ここで、その他の構成部分の全ては、容器を含む装置本体部分と物理的に一体不可分に設けられていてもよく、その他の構成部分の少なくとも一部が容器を含む装置本体部分から物理的に分離して設けられていてもよい。但し、その他の構成部分の一部が容器を含む装置本体部分から物理的に分離して設けられている場合は、測定装置本体部分から物理的に分離して設けられているその他の構成部分の一部は、測定システムを使用する際に、少なくとも第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法または第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法が実施可能なように、測定装置本体部分と接続される。
【0094】
ここで、第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法を実施する場合には、パラメーター制御部が、(A)温度制御ステップおよび(B)ガス流量制御ステップを実施する機能を少なくとも有する。また、第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法を実施する場合には、パラメーター制御部が、(C)圧力制御ステップおよび(D)ガス流量制御ステップを実施する機能を少なくとも有する。なお、パラメーター制御部は、測定装置本体に対して外付けで接続される機器(たとえば、パーソナルコンピュータなど)内に設けられていてもよい。
【0095】
さらに、測定装置は、ステップ(A)およびステップ(B)、または、ステップ(C)およびステップ(C)を交互に繰り返して実施した際に、式(1)または式(3)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで得られる、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を記録する機能を少なくとも有する記録部や、この記録部に記録された吸着等量線作成用情報に基づいて、吸着等量線を作成したり吸着熱を計算するデータ処理部や、データ処理の結果を表示する表示部を備えていてもよい。また、これら記録部、データ処理部、表示部は、測定装置本体に対して外付けで接続される機器(たとえば、パーソナルコンピュータや、液晶ディスプレイなど)によって代用することもできる。
【0096】
図4は、第一の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法または第二の本実施形態の吸着等量線作成用情報の測定方法に用いられる測定システムの一例を示す概略模式図である。図4に示す測定システム1は、容器10と、容器10に接続されたガス供給路20と、ガス供給路20上に設けられた流量調整弁(ガス供給量制御部)22および流量計(ガス供給量測定部)24と、ガス排出路30と、ガス排出路30上に設けられた流量調整弁(ガス排出量制御部)32および流量計(ガス排出量測定部)34と、容器10の内部の温度を制御する温度制御部40と、容器10の内部の温度を測定する温度測定部50と、容器10の内部の圧力を測定する圧力測定部52と、パラメーター値制御部60とを備えている。
【0097】
なお、流量調整弁22、32は、容器10の内部の圧力を制御する圧力制御部70の機能を有する。また、パラメーター制御部60は、流量計24、34、温度測定部50および圧力測定部52に接続されている。そして、これらの各部にて測定される測定値は、パラメーター制御部60に伝達されるようになっている。また、パラメーター制御部60は圧力制御部70としての機能も有する流量調整弁22、32と、温度制御部40とに接続されている。そして、パラメーター制御部60は、これら各部へとその作動状態を制御するための制御信号を伝達できるようになっている。さらに、パラメーター制御部60は、
ガス供給量、ガス排出量、温度変化量および圧力変化量、から選択される少なくともいずれかの設定値を記録する内蔵メモリを備えていてもよいが、これらの設定値が、外部から伝達されるように、コンピュータなどの外部機器(図4中、不図示)と接続されていてもよい。
【0098】
なお、ガス供給路20の容器10と接続された側と反対側の端は、水素ガスや窒素ガスなど、空気以外のガスが充填されたボンベ(図4中、不図示)や、これらガスを供給するガス供給源(図4中、不図示)に接続されていてもよい。また。ガス排出路30の容器10と接続された側と反対側の端は、容器10の内部から排出されたガスを回収するためのガス回収部(図4中、不図示)に接続されていてもよい。
【0099】
吸着等量線作成用情報の測定に際しては、まず、容器10の内部に測定用物質80が配置され、ガス供給路20から供給されるガスによって、容器10の内部がガス置換される。この状態で、式(1)に示す吸着等量線作成用情報を測定する場合には、流量調整弁22、32や、温度制御部40を制御することによって、温度制御ステップとガス流量制御ステップとを交互に繰り返しつつ、温度Tおよび圧力Pを測定する。なお、図4に示す例では、温度制御部40および温度測定部50は、測定用物質80からは離れた位置に設けられているが、測定用物質80に接触または近接する位置に配置してもよい。この場合は、測定用物質80の加熱および/または冷却を速やかに行うことができると共に、測定用物質80の温度の測定結果も速やかにパラメーター制御部60へとフィードバックできる。このため、測定時間をより短縮できる。
【符号の説明】
【0100】
1 測定システム
10 容器
20 ガス供給路
22 流量調整弁(ガス供給量制御部)
24 流量計(ガス供給量測定部)
30 ガス排出路
32 流量調整弁(ガス排出量制御部)
34 流量計(ガス排出量測定部)
40 温度制御部
50 温度測定部
52 圧力測定部
60 パラメーター値制御部
70 圧力制御部
80 測定用物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の組成からなるガスで満たされ、測定用物質が内部に配置され、かつ、一定の容積を有する容器内の圧力および温度を、
(i)上記容器内の圧力を一定に維持した状態で、上記容器内の温度を所定の温度変化量だけ変化させるように、
上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、
上記容器内の圧力測定結果、上記容器内の温度測定結果、および、上記温度変化量に基づいてフィードバック制御することにより、上記容器内の温度を制御する温度制御ステップと、
(ii)上記容器内の温度を一定に維持した状態で、上記温度制御ステップの実施により変化した上記測定用物質に対する上記特定の組成からなるガスの吸着量が、上記温度制御ステップの実施前における上記測定用物質に対する上記特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、
上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、
当該ガス流量の測定結果、および、上記温度制御ステップの実施に際して、上記容器内に新たに供給、または、上記容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、上記ガス流量を制御するガス流量制御ステップと、
を交互に2回以上繰り返すことにより、変化させた際に、
下式(1)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を得ることを特徴とする吸着等量線作成用情報の測定方法。

【数1】

〔ここで、上記式(1)中、T(0)は、1回目の上記温度制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の上記容器内の温度を表し、T(a)は、a回目の上記温度制御ステップ実施後からa+1回目の上記温度制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の上記容器内の温度を表し、P(0)は、1回目の上記ガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の上記容器内の圧力を表し、P(a)は、a回目の上記ガス流量制御ステップ実施後からa+1回目の上記ガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の上記容器内の圧力を表し、aは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【請求項2】
請求項1に記載の吸着等量線作成用情報の測定方法において、
前記吸着等量線作成用情報の測定に用いる測定システムが、
前記容器と、
前記容器に接続され、前記容器外から前記容器内へと特定の組成からなるガスを供給するガス供給路と、
前記容器に接続され、前記容器内から前記容器外へと、前記容器内の特定の組成からなるガスを排出するガス排出路と、
上記ガス供給路上に設けられ、前記容器外から前記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量を制御するガス供給量制御部と、
上記ガス排出路上に設けられ、前記容器内から前記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量を制御するガス排出量制御部と、
前記容器内の温度を制御する温度制御部と、
前記容器内の圧力を制御する圧力制御部と、
上記ガス供給路上に設けられ、上記ガス供給量を測定するガス供給量測定部と、
上記ガス排出路上に設けられ、上記ガス排出量を測定するガス排出量測定部と、
前記容器内の温度を測定する温度測定部と、
前記容器内の圧力を測定する圧力測定部と、
上記ガス供給量測定部、上記ガス排出量測定部、上記温度測定部、および、上記圧力測定部から選択される少なくともいずれかの測定部により測定された測定値群、ならびに、予め設定された、ガス供給量、ガス排出量、温度変化量および圧力変化量、から選択される少なくともいずれかの設定値群、から選択される少なくとも1種の入力値に基づいて、
上記ガス供給量、上記ガス排出量、上記温度および上記圧力から選択される少なくとも1種のパラメーター値を制御する機能を有するパラメーター値制御部と、
を少なくとも備え、
上記パラメーター制御部が、前記温度制御ステップおよび前記ガス流量制御ステップを実施する機能を少なくとも有することを特徴とする吸着等量線作成用情報の測定方法。
【請求項3】
特定の組成からなるガスで満たされ、測定用物質が内部に配置され、かつ、一定の容積を有する容器内の圧力および温度を、
(i)上記容器内の温度を一定に維持した状態で、上記容器内の圧力を所定の圧力変化量だけ変化させるように、
上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、
上記容器内の温度測定結果、上記容器内の圧力測定結果、および、上記圧力変化量に基づいてフィードバック制御することにより、
上記圧力を制御する圧力制御ステップと
(ii)上記容器内の圧力を一定に維持した状態で、上記圧力制御ステップの実施により変化した上記測定用物質に対する上記特定の組成からなるガスの吸着量が、上記圧力制御ステップの実施前における上記測定用物質に対する上記特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、
上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、
当該ガス流量の測定結果、および、上記圧力制御ステップの実施に際して、上記容器内に新たに供給、または、上記容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、上記ガス流量を制御するガス流量制御ステップと、
を交互に2回以上繰り返すことにより、変化させた際に、
下式(2)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を得ることを特徴とする吸着等量線作成用情報の測定方法。

【数2】

〔ここで、上記式(2)中、T(0)は、1回目の上記ガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の上記容器内の温度を表し、T(b)は、b回目の上記ガス流量制御ステップ実施後からb+1回目の上記ガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点においてに測定したと仮定した場合の上記容器内の温度を表し、P(0)は、1回目の上記圧力制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の上記容器内の圧力を表し、P(b)は、b回目の上記圧力制御ステップ実施後からb+1回目の上記圧力制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の上記容器内の圧力を表し、bは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【請求項4】
請求項3に記載の吸着等量線作成用情報の測定方法において、
前記吸着等量線作成用情報の測定に用いる測定システムが、
前記容器と、
前記容器に接続され、前記容器外から前記容器内へと特定の組成からなるガスを供給するガス供給路と、
前記容器に接続され、前記容器内から前記容器外へと、前記容器内の特定の組成からなるガスを排出するガス排出路と、
上記ガス供給路上に設けられ、前記容器外から前記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量を制御するガス供給量制御部と、
上記ガス排出路上に設けられ、前記容器内から前記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量を制御するガス排出量制御部と、
前記容器内の温度を制御する温度制御部と、
前記容器内の圧力を制御する圧力制御部と、
上記ガス供給路上に設けられ、上記ガス供給量を測定するガス供給量測定部と、
上記ガス排出路上に設けられ、上記ガス排出量を測定するガス排出量測定部と、
前記容器内の温度を測定する温度測定部と、
前記容器内の圧力を測定する圧力測定部と、
上記ガス供給量測定部、上記ガス排出量測定部、上記温度測定部、および、上記圧力測定部から選択される少なくともいずれかの測定部により測定された測定値群、ならびに、予め設定された、ガス供給量、ガス排出量、温度変化量および圧力変化量、から選択される少なくともいずれかの設定値群、から選択される少なくとも1種の入力値に基づいて、
上記ガス供給量、上記ガス排出量、上記温度および上記圧力から選択される少なくとも1種のパラメーター値を制御する機能を有するパラメーター値制御部と、
を少なくとも備え、
上記パラメーター制御部が、前記圧力制御ステップおよび前記ガス流量制御ステップを実施する機能を少なくとも有することを特徴とする吸着等量線作成用情報の測定方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の吸着等量線作成用情報の測定方法において、
前記測定用物質が、多孔性物質であることを特徴とする吸着等量線作成用情報の測定方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の吸着等量線作成用情報の測定方法により得られた前記吸着等量線作成用情報を用いて、前記測定用物質の吸着等量線を作成することを特徴とする吸着等量線作成方法。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の吸着等量線作成用情報の測定方法により得られた前記吸着等量線作成用情報を用いて、前記測定用物質の吸着熱を計算することを特徴とする吸着熱計算方法。
【請求項8】
特定の組成からなるガスで満たされ、測定用物質が内部に配置され、かつ、一定の容積を有する容器内の圧力および温度を変化させるためのステップとして、
(i)上記容器内の圧力を一定に維持した状態で、上記容器内の温度を所定の温度変化量だけ変化させるように、
上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、
上記容器内の圧力測定結果、上記容器内の温度測定結果、および、上記温度変化量に基づいてフィードバック制御することにより、上記容器内の温度を制御する温度制御ステップと、
(ii)上記容器内の温度を一定に維持した状態で、上記温度制御ステップの実施により変化した上記測定用物質に対する上記特定の組成からなるガスの吸着量が、上記温度制御ステップの実施前における上記測定用物質に対する上記特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、
上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、
当該ガス流量の測定結果、および、上記温度制御ステップの実施に際して、上記容器内に新たに供給、または、上記容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、上記ガス流量を制御するガス流量制御ステップと、
を含み、
(iii)さらに、上記温度制御ステップと、上記ガス流量制御ステップとを交互に2回以上繰り返すことにより、上記容器内の圧力および温度とを変化させた際に、
下式(3)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を得る吸着等量線作成用情報測定ステップを、
少なくとも含むことを特徴とするプログラム。
【数3】

〔ここで、上記式(3)中、T(0)は、1回目の上記温度制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の上記容器内の温度を表し、T(a)は、a回目の上記温度制御ステップ実施後からa+1回目の上記温度制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の上記容器内の温度を表し、P(0)は、1回目の上記ガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の上記容器内の圧力を表し、P(a)は、a回目の上記ガス流量制御ステップ実施後からa+1回目の上記ガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の上記容器内の圧力を表し、aは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【請求項9】
特定の組成からなるガスで満たされ、測定用物質が内部に配置され、かつ、一定の容積を有する容器内の圧力および温度を変化させるためのステップとして、
(i)上記容器内の温度を一定に維持した状態で、上記容器内の圧力を所定の圧力変化量だけ変化させるように、
上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、
上記容器内の温度測定結果、上記容器内の圧力測定結果、および、上記圧力変化量に基づいてフィードバック制御することにより、
上記圧力を制御する圧力制御ステップと
(ii)上記容器内の圧力を一定に維持した状態で、上記圧力制御ステップの実施により変化した上記測定用物質に対する上記特定の組成からなるガスの吸着量が、上記圧力制御ステップの実施前における上記測定用物質に対する上記特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、
上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、
当該ガス流量の測定結果、および、上記圧力制御ステップの実施に際して、上記容器内に新たに供給、または、上記容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、上記ガス流量を制御するガス流量制御ステップと、
を含み、
(iii)さらに、上記圧力制御ステップと、上記ガス流量制御ステップとを交互に2回以上繰り返すことにより、上記容器内の圧力および温度とを変化させた際に、
下式(4)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を得る吸着等量線作成用情報測定ステップを、
少なくとも含むことを特徴とするプログラム。
【数4】

〔ここで、上記式(4)中、T(0)は、1回目の上記ガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の上記容器内の温度を表し、T(b)は、b回目の上記ガス流量制御ステップ実施後からb+1回目の上記ガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点においてに測定したと仮定した場合の上記容器内の温度を表し、P(0)は、1回目の上記圧力制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の上記容器内の圧力を表し、P(b)は、b回目の上記圧力制御ステップ実施後からb+1回目の上記圧力制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の上記容器内の圧力を表し、bは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【請求項10】
請求項8または9に記載のプログラムにおいて、
前記吸着等量線作成用情報を用いて、前記測定用物質の吸着等量線を作成する吸着等量線作成ステップをさらに含むことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項8〜10のいずれか1つに記載のプログラムにおいて、前記吸着等量線作成用情報を用いて、前記測定用物質の吸着熱を計算する吸着熱計算ステップを含むことを特徴とするプログラム。
【請求項12】
容器と、
該容器に接続され、上記容器外から上記容器内へと特定の組成からなるガスを供給するガス供給路と、
上記容器に接続され、上記容器内から上記容器外へと、上記容器内の特定の組成からなるガスを排出するガス排出路と、
上記ガス供給路上に設けられ、上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量を制御するガス供給量制御部と、
上記ガス排出路上に設けられ、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量を制御するガス排出量制御部と、
上記容器内の温度を制御する温度制御部と、
上記容器内の圧力を制御する圧力制御部と、
上記ガス供給路上に設けられ、上記ガス供給量を測定するガス供給量測定部と、
上記ガス排出路上に設けられ、上記ガス排出量を測定するガス排出量測定部と、
上記容器内の温度を測定する温度測定部と、
上記容器内の圧力を測定する圧力測定部と、
上記ガス供給量測定部、上記ガス排出量測定部、上記温度測定部、および、上記圧力測定部から選択される少なくともいずれかの測定部により測定された測定値群、ならびに、予め設定された、ガス供給量、ガス排出量、温度変化量および圧力変化量、から選択される少なくともいずれかの設定値群、から選択される少なくとも1種の入力値に基づいて、
上記ガス供給量、上記ガス排出量、上記温度および上記圧力から選択される少なくとも1種のパラメーター値を制御する機能を有するパラメーター値制御部と、
上記測定値群から選択される少なくとも1種の測定値を記録する記録部と、を少なくとも備え、
上記パラメーター制御部が、
(i)上記容器内の圧力を一定に維持した状態で、上記容器内の温度を所定の温度変化量だけ変化させるように、
上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、
上記容器内の圧力測定結果、上記容器内の温度測定結果、および、上記温度変化量に基づいてフィードバック制御することにより、上記容器内の温度を制御する温度制御ステップと、
(ii)上記容器内の温度を一定に維持した状態で、上記温度制御ステップの実施により変化した上記測定用物質に対する上記特定の組成からなるガスの吸着量が、上記温度制御ステップの実施前における上記測定用物質に対する上記特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、
上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、
当該ガス流量の測定結果、および、上記温度制御ステップの実施に際して、上記容器内に新たに供給、または、上記容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、上記ガス流量を制御するガス流量制御ステップと、
を交互に2回以上繰り返す機能を少なくとも有し、
上記記録部が、1回目の上記温度制御ステップ実施前から上記2つのステップを交互に実施する過程で、下式(5)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで得られる、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を記録する機能を少なくとも有することを特徴とする測定システム。
【数5】

〔ここで、上記式(5)中、T(0)は、1回目の上記温度制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の上記容器内の温度を表し、T(a)は、a回目の上記温度制御ステップ実施後からa+1回目の上記温度制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点においてに測定したと仮定した場合の上記容器内の温度を表し、P(0)は、1回目の上記ガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の上記容器内の圧力を表し、P(a)は、a回目の上記ガス流量制御ステップ実施後からa+1回目の上記ガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の上記容器内の圧力を表し、aは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。〕
【請求項13】
容器と、
該容器に接続され、上記容器外から上記容器内へと特定の組成からなるガスを供給するガス供給路と、
上記容器に接続され、上記容器内から上記容器外へと、上記容器内の特定の組成からなるガスを排出するガス排出路と、
上記ガス供給路上に設けられ、上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量を制御するガス供給量制御部と、
上記ガス排出路上に設けられ、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量を制御するガス排出量制御部と、
上記容器内の温度を制御する温度制御部と、
上記容器内の圧力を制御する圧力制御部と、
上記ガス供給路上に設けられ、上記ガス供給量を測定するガス供給量測定部と、
上記ガス排出路上に設けられ、上記ガス排出量を測定するガス排出量測定部と、
上記容器内の温度を測定する温度測定部と、
上記容器内の圧力を測定する圧力測定部と、
上記ガス供給量測定部、上記ガス排出量測定部、上記温度測定部、および、上記圧力測定部から選択される少なくともいずれかの測定部により測定された測定値群、ならびに、予め設定された、ガス供給量、ガス排出量、温度変化量および圧力変化量、から選択される少なくともいずれかの設定値群、から選択される少なくとも1種の入力値に基づいて、
上記ガス供給量、上記ガス排出量、上記温度および上記圧力から選択される少なくとも1種のパラメーター値を制御する機能を有するパラメーター値制御部と、
上記測定値群から選択される少なくとも1種の測定値を記録する記録部と、を少なくとも備え、
上記パラメーター制御部が、
(i)上記容器内の温度を一定に維持した状態で、上記容器内の圧力を所定の圧力変化量だけ変化させるように、
上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、
上記容器内の温度測定結果、上記容器内の圧力測定結果、および、上記圧力変化量に基づいてフィードバック制御することにより、
上記圧力を制御する圧力制御ステップと、
(ii)上記容器内の圧力を一定に維持した状態で、上記圧力制御ステップの実施により変化した上記測定用物質に対する上記特定の組成からなるガスの吸着量が、上記圧力制御ステップの実施前における上記測定用物質に対する上記特定の組成からなるガスの吸着量と同一となるように、
上記容器外から上記容器内へと供給される特定の組成からなるガスのガス供給量、および、上記容器内から上記容器外へと排出される特定の組成からなるガスのガス排出量、から選択される少なくとも一方のガス流量を、
当該ガス流量の測定結果、および、上記圧力制御ステップの実施に際して、上記容器内に新たに供給、または、上記容器内から新たに排出、された特定の組成からなるガスの総量の測定結果、に基づいてフィードバック制御することにより、上記ガス流量を制御するガス流量制御ステップと、
を交互に2回以上繰り返す機能を少なくとも有し、
上記記録部が、1回目の上記圧力制御ステップ実施前から上記2つのステップを交互に実施する過程で、下式(6)に示す1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す情報が3つ以上集合した仮想測定情報群から選択される3つ以上の情報を測定することで得られる、1つの圧力値と1つの温度値とで1組を成す測定情報が3つ以上集合した吸着等量線作成用情報を記録する機能を少なくとも有することを特徴とする測定システム。
【数6】

〔ここで、上記式(6)中、T(0)は、1回目の上記ガス流量制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の上記容器内の温度を表し、T(b)は、b回目の上記ガス流量制御ステップ実施後からb+1回目の上記ガス流量制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点においてに測定したと仮定した場合の上記容器内の温度を表し、P(0)は、1回目の上記圧力制御ステップ実施前に測定したと仮定した場合の上記容器内の圧力を表し、P(b)は、b回目の上記圧力制御ステップ実施後からb+1回目の上記圧力制御ステップ実施前までの少なくともいずれかの時点において測定したと仮定した場合の上記容器内の圧力を表し、bは1以上の整数を表し、nは2以上の整数を表す。〕

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−112404(P2011−112404A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266783(P2009−266783)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度、文部科学省、先端計測分析技術・機器開発事業、機器開発プログラム、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504180239)国立大学法人信州大学 (759)
【出願人】(591091054)日本ベル株式会社 (2)