説明

吸込口体および電気掃除機

【課題】電動機の防振構造を備えつつ、電動機の駆動力を確実に伝達可能な吸込口体および電気掃除機を提案する。
【解決手段】吸込口体26は、底面に吸込口28を有する吸込口本体32と、吸込口本体32に回転自在に軸支されて吸込口28に配置される回転清掃体29と、吸込口本体32に両端を支持される筒形状のモータケース41およびモータケース41を貫き延びる出力軸31aを有して吸込口本体32に収容されて回転清掃体29の駆動力を発生する電動機31と、出力軸31aに固定される主動プーリ52と、回転清掃体29に接続する従動プーリ53と、主動プーリ52と従動プーリ53とに巻掛かるベルト55と、出力軸31aの自由端部を軸支する軸受56と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明に係る実施形態は、吸込口体および電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
底面に吸込口を有する吸込口本体と、吸込口本体に回転自在に軸支されて吸込口に配置される回転清掃体と、吸込口本体に収容される電動機と、電動機から回転清掃体へ駆動力を伝達する伝達機構と、を備えた吸込口体が知られている。
【0003】
伝達機構は、電動機の出力軸に固定される主動プーリと、回転清掃体に接続される従動プーリと、主動プーリと従動プーリとに巻掛かるベルトと、を備える。主動プーリ、従動プーリおよびベルトは、電動機の駆動力を回転清掃体に確実に伝えるために、相互に噛み合う歯を有する。
【0004】
また、吸込口体は、吸込口本体と電動機との間に介在して電動機の運転にともなう振動を遮断する防振部材を備える。防振部材は、もっぱらゴム弾性体を用いたものであり、振動の遮断に要する範囲で電動機の変位を許容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−35793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の吸込口体は、例えば、糸片が絡まったり、異物が挟まったりして回転清掃体の回転負荷が増大(回りづらくなったり、停止したり)すると、主動プーリとベルトとの間または従動プーリとベルトとの間で歯が滑ってしまうことがある。
【0007】
ここで、主動プーリから従動プーリへ向かうベルトの動きを「ベルトの送り」、従動プーリから主動プーリへ向かうベルトの動きを「ベルトの戻り」と呼ぶ。
【0008】
回転清掃体の回転負荷が増大すると、電動機の駆動力によってベルトの戻り側は引っ張られ、他方、ベルトの送り側は弛んでしまう。ベルトの戻り側を引っ張る力は、弾性支持された電動機を回転清掃体側へ引き込み、主動プーリと従動プーリとの軸間距離を近づける。他方、ベルトの送り側の弛みは、主動プーリとベルトとの間または従動プーリとベルトとの間で噛み合う歯数を減少させ、もしくは噛み合いを浅くする。
【0009】
主動プーリと従動プーリとの軸間距離が近くなり、しかも噛み合う歯数が減少し、もしくは噛み合いが浅くなると、主動プーリとベルトとの間または従動プーリとベルトとの間で歯が滑ってしまう。なお、歯の滑りは、一般に噛み合う歯数が少ない主動プーリとベルトとの間で起こりやすい。一旦、歯が滑ってしまうと、歯が欠けたり、歯先が摩耗したりして噛み合わせが浅くなり、歯の滑りやすさは増してしまう。
【0010】
このように、従来の吸込口体は、主動プーリまたは従動プーリからベルトが滑って空回りして回転清掃体の回転が止まり、さらにはベルトの交換を必要とする虞があった。
【0011】
そこで、本発明は、電動機の防振構造を備えつつ、電動機の駆動力を確実に伝達可能な吸込口体および電気掃除機を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記の課題を解決するため本発明の実施形態に係る吸込口体は、底面に吸込口を有する吸込口本体と、前記吸込口本体に回転自在に軸支されて前記吸込口に配置される回転清掃体と、吸込口本体に両端を支持される筒形状のモータケースおよび前記モータケースを貫き延びる出力軸を有して前記吸込口本体に収容されて前記回転清掃体の駆動力を発生する電動機と、前記出力軸に固定される第一プーリと、前記回転清掃体に接続する第二プーリと、前記第一プーリと前記第二プーリとに巻掛かるベルトと、前記出力軸の自由端部を軸支する軸受と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の実施形態に係る電気掃除機は、前記吸込口体を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示した斜視図。
【図2】本発明の実施形態に係る吸込口体を示した斜視図。
【図3】本発明の実施形態に係る吸込口体の内部を示した斜視図。
【図4】本発明の実施形態に係る吸込口体の電動機、伝達機構および弾性支持部を示した概略的な断面図。
【図5】本発明の実施形態に係る吸込口体の電動機、伝達機構および弾性支持部を示した概略的な斜視断面図。
【図6】本発明の実施形態に係る吸込口体の電動機、伝達機構および弾性支持部を示した概略的な側面図。
【図7】本発明の実施形態に係る吸込口体の電動機、伝達機構および弾性支持部の他の例を示した概略的な側面図。
【図8】本発明の実施形態に係る吸込口体の電動機、伝達機構および弾性支持部の他の例を示した概略的な側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る電気掃除機の実施形態について図1から図8を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る電気掃除機の外観を示した斜視図である。
【0017】
図1に示すように、電気掃除機1は、いわゆるキャニスタ型の電気掃除機である。電気掃除機1は、被掃除面上を走行する掃除機本体2と、掃除機本体2に着脱自在に接続された管部3と、を備える。
【0018】
掃除機本体2は、本体ケース5と、本体ケース5の両側方に軸支された一対の車輪6と、本体ケース5に着脱自在に装着された塵埃分離集塵部7と、塵埃分離集塵部7に連通された電動送風機8と、主に電動送風機8の運転を制御する本体制御部9と、電動送風機8に電力を導く電源コード11と、を備える。
【0019】
本体ケース5は、塵埃分離集塵部7に連通された本体接続口12を有する。
【0020】
車輪6は、大径の走行輪である。
【0021】
塵埃分離集塵部7は、電動送風機8が発生させる負圧によって電気掃除機1に吸い込まれる含塵空気(塵埃を含んだ空気)から塵埃を分離し、捕集する。
【0022】
本体制御部9は、予め設定された複数の運転モードを有する。また、本体制御部9は、管部3から読み取る操作信号に対応する任意の運転モードを複数の運転モードから択一的に選択し、選択した運転モードにしたがって電動送風機8を運転する。それぞれの運転モードは、管部3から読み取る操作信号に対応付けて互いに異なる入力値(電動送風機8の入力値)を有するよう設定される。
【0023】
電源コード11は、自由端部に電源プラグ13を備える。
【0024】
管部3は、電動送風機8の運転にともない掃除機本体2から作用する負圧によって、被掃除面から含塵空気を吸い込み掃除機本体2に案内する。管部3は、掃除機本体2の本体接続口12に着脱自在に接続された接続管19と、接続管19に連通された集塵ホース21と、集塵ホース21に連通された手元操作管22と、手元操作管22から突出させて設けられた把持部23と、把持部23に設けられた操作部24と、手元操作管22に着脱自在に接続され連通された延長管25と、延長管25に着脱自在に接続された吸込口体26と、を備える。
【0025】
集塵ホース21は、可撓で細長い略円筒状を有する。集塵ホース21の一端は、接続管19に接続される。集塵ホース21は、接続管19を介して掃除機本体2の内部に連通する。
【0026】
手元操作管22の一端は、集塵ホース21の他端に設けられる。手元操作管22は、接続管19および集塵ホース21を介して掃除機本体2の内部に連通する。
【0027】
把持部23は、電気掃除機1のユーザが把持して電気掃除機1を操作するものである。把持部23は、手元操作管22に設けられる。
【0028】
操作部24は、それぞれの運転モードに対応するスイッチを備える。具体的には、操作部24は、電動送風機8の運転停止操作を受け取る停止スイッチ24aと、電動送風機8の運転開始操作を受け取る起動スイッチ24bと、を備える。起動スイッチ24bは、弱運転スイッチ(図示省略)、中運転スイッチ(図示省略)および強運転スイッチ(図示省略)を別個に備える構成にしても良い。電気掃除機1のユーザは、操作部24を操作して電動送風機8の運転モードを択一的に選択できる。
【0029】
延長管25は、伸縮可能な細長略円筒状に形成される。延長管25は、複数の筒状体を重ね合わせたテレスコピック構造を有する。延長管25の一端は、手元操作管22の他端に着脱自在に接続される。延長管25は、接続管19、手元操作管22および集塵ホース21を介して掃除機本体2の内部に連通する。
【0030】
吸込口体26は、延長管25の他一端に着脱自在に接続される。また、吸込口体26は、木床やカーペットなどの被掃除面上を走行自在な構造を有するとともに、走行状態において被掃除面に対向する底面に吸込口28を有する。さらに、吸込口体26は、吸込口体26に軸支されて吸込口28に配置された回転清掃体29と、回転清掃体29を回転駆動させる電動機31と、を備える。吸込口体26は、延長管25、手元操作管22および集塵ホース21を介して掃除機本体2の内部に連通する。
【0031】
電気掃除機1は、起動スイッチ24bで運転開始操作を受け取ると電動送風機8の運転を開始して掃除機本体2の内部に負圧(吸込負圧)を発生する。この負圧は、本体接続口12から集塵ホース21と手元操作管22と延長管25とを経て吸込口体26の吸込口28に作用する。吸込口28に作用した負圧によって、電気掃除機1は、被掃除面に溜まった塵埃を空気とともに吸込口28から吸い込んで被掃除面を掃除する。このとき、電気掃除機1は、吸込口28に吸い込んだ含塵空気を塵埃分離集塵部7によって空気と塵埃とに分離する。分離された塵埃は塵埃分離集塵部7で捕集される。他方、分離された空気は、塵埃分離集塵部7を通過して電動送風機8に吸い込まれた後、掃除機本体2から排気される。
【0032】
吸込口体26についてさらに詳述する。
【0033】
図2は、本発明の実施形態に係る吸込口体を示した斜視図である。
【0034】
図2に示すように、吸込口体26は、略直方体形状の箱状の吸込口本体32と、吸込口本体32の後部に設けられた接続管部33と、を備える。
【0035】
ここで、吸込口体26の前進方向(図2中、実線矢X)を前方、その反対方向を後方とする。また、吸込口体26を床面などの略水平な被掃除面に配置させた状態で、後から前を見たときの左側(図2中、実線矢Y)を左方、その反対方向を右方とする。さらに、吸込口体26の前後方向および左右方向に直交する右手座標系の+Z方向を上方とし、その反対方向を下方とする。
【0036】
吸込口本体32は、平面視において前後方向に短辺、左右方向に長辺を有する長方形状のケース体35を備える。ケース体35は、上方が開放された箱状の下ケース36と、下ケース36を覆う上ケース37および蓋ケース38と、を備える。
【0037】
接続管部33は、吸込口本体32の後部側の幅方向略中央部に配置される。また、接続管部33は、吸込口本体32に軸支された回転接続管部39と、回転接続管部39に軸支された揺動接続管部40と、を備える。
【0038】
回転接続管部39は、吸込口本体32によって吸込口体26の前後方向に沿う軸(X軸に一致する軸またはX軸に平行な軸)回りに回動自在に軸支される。
【0039】
揺動接続管部40は、回転接続管部39に揺動自在に設けられる。すなわち、揺動接続管部40は、回転接続管部39の回転軸(X軸に一致する軸またはX軸に平行な軸)に直交する軸回りに揺動自在に軸支される。また、揺動接続管部40の自由端部は、延長管25の自由端部に着脱自在に接続される。
【0040】
図3は、本発明の実施形態に係る吸込口体の内部を示した斜視図である。なお、図3は、上ケース37および蓋ケース38を除去して示した図である。
【0041】
図3に示すように、吸込口体26は、底面に吸込口28を有する吸込口本体32と、吸込口本体32に回転自在に軸支されて吸込口28に配置される回転清掃体29と、吸込口本体32に両端を支持される筒形状のモータケース41およびモータケース41を貫き延びる出力軸31aを有して吸込口本体32に収容されて回転清掃体29の駆動力を発生する電動機31と、を備える。
【0042】
吸込口本体32の下ケース36は、上方が開放された箱状体であり、回転清掃体29が収容された吸込室42、電動機31が収容された機械室43および吸込口体制御部45が収容された制御室46を区画する内壁47を備える。
【0043】
なお、上ケース37は機械室43および制御室46の上方に覆い被さり、蓋ケース38は吸込室42の上方に覆い被さる。
【0044】
吸込室42は吸込口体26の前半部に区画され、機械室43は吸込口体26の左側後半部から左側部に渡って区画され、制御室46は吸込口体26の右側後半部に区画される。機械室43と制御室46とは離隔されている。
【0045】
吸込室42は、吸込口体26底面の吸込口28に連続する空間であり、吸込口体26の幅方向に延びる空間である。
【0046】
回転清掃体29は、吸込口体26の幅方向に回転軸を向けて着脱自在に保持されており、吸込室42から取り出すことができる。
【0047】
電動機31は、吸込室42の後方左寄りに配置される。モータケース41は、円筒形状を有し、中心線(円筒形状部の中心線)を吸込口体26の幅方向に向ける。モータケース41は、電動機31全体を安定して支えることができるように、少なくとも2箇所、具体的には円筒形状の底面にあたるそれぞれの端部で吸込口本体32に支持される。出力軸31aは、モータケース41の中心線の略同軸上にあってモータケース41の一方の底部から吸込口体26の左側壁の内側に向けて延びる。
【0048】
吸込口体制御部45は、掃除機本体2から接続管19、集塵ホース21、手元操作管22および延長管25を介して供給される電力によって電動機31を運転する。
【0049】
また、吸込口体26は、吸込室42と接続管部33(より詳しくは、回転接続管部39)とを連通するラッパ形状の連通管49と、吸込口本体32とモータケース41との間に介在して振動を遮断する防振部材51(防振部材)と、出力軸31aに回転一体に固定される主動プーリ52(第一プーリ)と、機械室43にあって吸込室42に収容された回転清掃体29に接続する従動プーリ53(第二プーリ)と、従動プーリ53と主動プーリ52とに巻掛かるベルト55と、出力軸31aの自由端部を軸支する軸受56と、を備える。
【0050】
連通管49は、機械室43と制御室46との間にあり、機械室43と制御室46とを隔てる。
【0051】
防振部材51は、シリコンゴムなどのゴム弾性体またはバネなどの弾性体であり、電動機31の運転にともなう振動がケース体35に伝わらないよう遮断する。防振部材51は、電動機31の出力軸31aの延長方向に離間された一対の防振部材51a、51bを有する。防振部材51a、51bは、円筒形状のモータケース41のそれぞれの端部を吸込口本体32に支持する。
【0052】
主動プーリ52、従動プーリ53およびベルト55は、電動機31の駆動力を回転清掃体29に伝達する伝達機構57であり、各々相互に噛み合う歯52a、53a、55aを有する。
【0053】
従動プーリ53は、カップリング(図示省略)によって回転清掃体29に接続される。
【0054】
ベルト55は、機械室43内にあって吸込口体26の左側部の前側から後側に渡って従動プーリ53および主動プーリ52に巻掛かり、電動機31と回転清掃体29との間で駆動力を伝達する。ベルト55は、ワイヤ(図示省略)で補強されたものであり駆動力によって延びることはない。
【0055】
図4は、本発明の実施形態に係る吸込口体の電動機、伝達機構および弾性支持部を示した概略的な断面図である。
【0056】
図5は、本発明の実施形態に係る吸込口体の電動機、伝達機構および弾性支持部を示した概略的な斜視断面図である。
【0057】
図4および図5に示すように、吸込口体26の電動機31は、モータケース41に覆われた回転子58および固定子(図示省略)と、出力軸31aを回転自在に軸支する軸受61a、61bと、を備える。
【0058】
出力軸31aは、円筒形状のモータケース41の中心に沿ってモータケース41の内外を貫く。出力軸31aは、モータケース41内側部分に回転子58を回転一体に保持し、モータケース41外側部分に主動プーリ52を回転一体に保持する。
【0059】
軸受61a、61bは、回転子58を挟み込むように配置されてモータケース41に固定される。
【0060】
防振部材51(すなわち防振部材51a、51b)は、吸込口本体32に設けられたモータ架台62a、62bに電動機31を弾性支持し、振動の遮断に要する範囲で電動機31の変位を許容する。
【0061】
軸受56は、吸込口本体32に設けられた軸受ハウジング63に嵌る。軸受56は、回転清掃体29の回転負荷が予め設定する負荷を超えたとき、出力軸31aに接して主動プーリ52と従動プーリ53との接近を抑制する軸受穴65を有する。換言すると、軸受穴65は、出力軸31aとの間に隙間Sを形成する。この隙間Sの距離は、回転清掃体29の回転負荷が予め設定する負荷を超えたときに出力軸31aと軸受穴65とが接し、かつ主動プーリ52、従動プーリ53およびベルト55の相互間で歯52a、53a、55aの噛み合いを保てるよう設定される。軸受56は、主動プーリ52の近傍にあることが望ましい。
【0062】
ここで、「回転清掃体29の回転負荷が予め設定する負荷を超えたとき」とは、例えば、糸片が絡まったり、異物が挟まったりして回転清掃体29の回転負荷が増大し、回転清掃体29が回りづらくなったり、停止したりした状態を想定して設定される条件である。予め設定する負荷は、回転する回転清掃体29が木床やカーペットなどの被掃除面を円滑に掻き上げる際(所謂、正常動作時)に生じる回転負荷よりも大きく、回転清掃体29が回りづらくなったり、停止したりした際に生じる回転負荷と略同等または若干小さめに設定される。
【0063】
回転清掃体29の回転負荷が増大すると、電動機31の駆動力によってベルト55の戻り側は引っ張られ(図5中、実線矢A)、他方、ベルトの送り側は弛もうとする。ベルト55の戻り側を引っ張る力は、弾性支持された電動機31を回転清掃体29側へ引き込み、主動プーリ52と従動プーリ53との軸間距離を近づけようとする。他方、ベルトの送り側の弛みは、主動プーリ52とベルト55との間または従動プーリ53とベルト55との間で噛み合う歯数を減少させようとし、もしくは噛み合いを浅くしようとする。
【0064】
そこで、吸込口体26は、主動プーリ52、従動プーリ53およびベルト55の相互間の滑りを次のようにして防ぐ。なお、説明を簡単なものにするため、回転清掃体29を強制的に停止する場合について説明する。
【0065】
図6は、本発明の実施形態に係る吸込口体の電動機、伝達機構および弾性支持部を示した概略的な側面図である。
【0066】
図6に示すように、吸込口体26の軸受穴65は、出力軸31aとの間に隙間Sを形成する円形状を有する。
【0067】
吸込口体26は、回転清掃体29が強制的に停止すると、ベルト55に伝わる駆動力によって電動機31が回転清掃体29の方へ向かって引っ張られる(図6中、実線矢A)。この引張力は、弾性支持された電動機31を回転清掃体29に近づける。ところが、吸込口体26は、出力軸31aの先端部が軸受56の軸受穴65に接すると(図6中、二点鎖線31a)、少なくとも出力軸31aの先端部の変位を妨げて主動プーリ52および従動プーリ53の軸間距離が近づくことを防ぐ。出力軸31aの先端部の変位量は、主動プーリ52とベルト55との噛み合いを保つことが可能な範囲で規制される。
【0068】
吸込口体26は、主動プーリ52および従動プーリ53の軸間距離の接近を防ぐことによって、ベルト55の送り側における弛みを拡大することもなく、主動プーリ52とベルト55との噛み合いを保つ。
【0069】
他方、吸込口体26は、回転清掃体29が円滑に回転しているときは、軸受56と出力軸31aとの接触を回避し、振動の伝搬や機械的損失の増加を防ぐ。
【0070】
図7は、本発明の実施形態に係る吸込口体の電動機、伝達機構および弾性支持部の他の例を示した概略的な側面図である。
【0071】
図7に示すように、吸込口体26Aの軸受56Aは、回転清掃体29の方向へ延びる長穴である軸受穴65Aを有する。軸受56Aは、軸受穴65Aの指向性を確保するために、軸受ハウジング63Aに対して回転止66を備える。軸受穴65Aの長手直交方向幅は、出力軸31aを挿入可能な範囲で狭くて良い。
【0072】
吸込口体26Aは、回転清掃体29が強制的に停止すると、ベルト55に伝わる駆動力によって電動機31が回転清掃体29の方へ向かって引っ張られる(図7中、実線矢A)。この引張力は、弾性支持された電動機31を回転清掃体29に近づける。ところが、吸込口体26Aは、出力軸31aの先端部が軸受56の軸受穴65Aに接すると(図7中、二点鎖線31a)、少なくとも出力軸31aの先端部の変位を妨げて主動プーリ52および従動プーリ53の軸間距離が近づくことを防ぐ。出力軸31aの先端部の変位量は、主動プーリ52とベルト55との噛み合いを保つことが可能な範囲で規制される。
【0073】
吸込口体26Aは、主動プーリ52および従動プーリ53の軸間距離の接近を防ぐことによって、ベルト55の送り側における弛みを拡大することもなく、主動プーリ52とベルト55との噛み合いを保つ。
【0074】
他方、吸込口体26Aは、回転清掃体29が円滑に回転しているときは、軸受56と出力軸31aとの接触を回避し、振動の伝搬や機械的損失の増加を防ぐ。
【0075】
図8は、本発明の実施形態に係る吸込口体の電動機、伝達機構および弾性支持部の他の例を示した概略的な側面図である。
【0076】
図8に示すように、吸込口体26Bは、回転清掃体29の回転負荷が予め設定する負荷を超えたとき、軸受56Bに接して主動プーリ52と従動プーリ53との接近を抑制する軸受ハウジング63Bを備える。
【0077】
軸受ハウジング63Bは、回転清掃体29の回転負荷が予め設定する負荷を超えたとき、軸受56Bに接して主動プーリ52と従動プーリ53との接近を抑制する。換言すると、軸受ハウジング63Bは、軸受56Bとの間に隙間Sを形成する。この隙間Sの距離は、回転清掃体29の回転負荷が予め設定する負荷を超えたときに出力軸31aと軸受ハウジング63Bとが接し、かつ主動プーリ52、従動プーリ53およびベルト55の相互間で歯の噛み合いを保てるよう設定される。
【0078】
他方、軸受56Bは、出力軸31aに固定される。
【0079】
吸込口体26Bは、回転清掃体29が強制的に停止すると、ベルト55に伝わる駆動力によって電動機31が回転清掃体29の方へ向かって引っ張られる(図8中、実線矢A)。この引張力は、弾性支持された電動機31を回転清掃体29に近づける。ところが、吸込口体26Bは、出力軸31aに固定された軸受56が軸受ハウジング63Bに接すると(図8中、二点鎖線56B)、少なくとも出力軸31aの先端部の変位を妨げて主動プーリ52および従動プーリ53の軸間距離が近づくことを防ぐ。出力軸31aの先端部の変位量は、主動プーリ52とベルト55との噛み合いを保つことが可能な範囲で規制される。
【0080】
吸込口体26Bは、主動プーリ52および従動プーリ53の軸間距離の接近を防ぐことによって、ベルト55の送り側における弛みを拡大することもなく、主動プーリ52とベルト55との噛み合いを保つ。
【0081】
他方、吸込口体26Bは、回転清掃体29が円滑に回転しているときは、軸受56Bと軸受ハウジング63Bとの接触を回避し、振動の伝搬や機械的損失の増加を防ぐ。
【0082】
本実施形態に係る吸込口体26、26A、26Bによれば、回転清掃体29の回転負荷が増大しても、主動プーリ52と従動プーリ53との軸間距離が適宜に保たれ、ベルト55に弛みを生じることなく、主動プーリ52とベルト55との間または従動プーリ53とベルト55との間で噛み合う歯数を減少させ、もしくは噛み合いを浅くすることもない。したがって、吸込口体26、26A、26Bは、主動プーリ52とベルト55との間または従動プーリ53とベルト55との間で歯52a、53a、55aが滑ってしまうこともなく、歯52a、53a、55aが滑ってしまうことによる歯52a、53a、55aの欠損や摩耗を生じることもなく、長期間に亘って良好な噛み合わせを維持できる。
【0083】
また、本実施形態に係る吸込口体26、26A、26Bによれば、所謂正常動作時において、主動プーリ52と従動プーリ53との軸間距離を保つ軸受56、56A、56Bが出力軸31aまたは軸受ハウジング63Bに接することなく、電動機31の防振を阻害することなく、しかも機械的損失が大きくなることもない。
【0084】
なお、本発明に係る電気掃除機1は、キャニスタ型の電気掃除機1に限らず、アップライト型、スティック型、ハンディ型あるいは自律型などの電気掃除機1であってもよい。
【0085】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0086】
1 電気掃除機
2 掃除機本体
3 管部
5 本体ケース
6 車輪
7 塵埃分離集塵部
8 電動送風機
9 本体制御部
11 電源コード
12 本体接続口
13 電源プラグ
19 接続管
21 集塵ホース
22 手元操作管
23 把持部
24 操作部
24a 停止スイッチ
24b 起動スイッチ
25 延長管
26、26A、26B 吸込口体
28 吸込口
29 回転清掃体
31 電動機
31a 出力軸
32 吸込口本体
33 接続管部
35 ケース体
36 下ケース
37 上ケース
38 蓋ケース
39 回転接続管部
40 揺動接続管部
41 モータケース
42 吸込室
43 機械室
45 吸込口体制御部
46 制御室
47 内壁
49 連通管
51 防振部材
51a、51b 防振部材
52 主動プーリ
53 従動プーリ
55 ベルト
52a、53a、55a 歯
56、56A、56B 軸受
57 伝達機構
58 回転子
61a、61b 軸受
62a、62b モータ架台
63、63A、63B 軸受ハウジング
65、65A 軸受穴
66 回転止

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面に吸込口を有する吸込口本体と、
前記吸込口本体に回転自在に軸支されて前記吸込口に配置される回転清掃体と、
吸込口本体に両端を支持される筒形状のモータケースおよび前記モータケースを貫き延びる出力軸を有して前記吸込口本体に収容されて前記回転清掃体の駆動力を発生する電動機と、
前記出力軸に固定される第一プーリと、
前記回転清掃体に接続する第二プーリと、
前記第一プーリと前記第二プーリとに巻掛かるベルトと、
前記出力軸の自由端部を軸支する軸受と、を備えることを特徴とする吸込口体。
【請求項2】
前記軸受は、前記回転清掃体の回転負荷が予め設定する負荷を超えたとき、前記出力軸に接して前記第一プーリと前記第二プーリとの接近を抑制する軸受穴を有することを特徴とする請求項1に記載の吸込口体。
【請求項3】
前記軸受穴は、回転清掃体の方向へ延びる長穴であることを特徴とする請求項2に記載の吸込口体。
【請求項4】
前記回転清掃体の回転負荷が予め設定する負荷を超えたとき、前記軸受に接して前記第一プーリと前記第二プーリとの接近を抑制する軸受ハウジングを備えることを特徴とする請求項1に記載の吸込口体。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の吸込口体を備えることを特徴とする電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−115614(P2012−115614A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270758(P2010−270758)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】