説明

吸込口体および電気掃除機

【課題】使用者が塵埃に直接手を触れることなく回転ブラシに付着した塵埃を効果的に除去できる床ブラシを提供する。
【解決手段】床ブラシ26は、ケース体31を備える。床ブラシ26は、ケース体31に回転可能に軸支する軸部41、および、軸部41の外面から突出する毛ブラシ部42を備えた回転ブラシ35を有する。ケース体31は、吸込口34を備える。ケース体31は、吸込口34と連通し、回転ブラシ35を軸方向に挿通させて吸込口34に対して着脱可能とする開口部36を備える。ケース体31は、開口部36に位置し、開口部36の中心側に向けて掻き取り部58が付勢し、開口部36から回転ブラシ35を取り外す際に回転ブラシ35の軸部41と掻き取り部58が摺接して塵埃Dを掻き取る掻き取り部材55を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、回転可能な回転清掃体を有する吸込口体およびこれを備えた電気掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気掃除機は、電動送風機を収容した掃除機本体を備えている。この掃除機本体には、電動送風機の吸込側に連通する集塵部が設けられている。そして、この集塵部には、風路が接続されており、この風路の一部は、吸込口体としての床ブラシにより構成されている。この床ブラシは、被掃除面に対向する下面に横長の吸込口が開口形成されている。この吸込口には、被掃除面の塵埃を掻き出す回転清掃体としての回転ブラシが回転可能に配置されている。この回転ブラシは、長尺状の軸部の両端が吸込口の両側に軸支されているとともに、この軸部の周囲に、毛ブラシなどの清掃部材が突出して配置されている。
【0003】
しかしながら、回転ブラシは、絨毯などの被掃除面を掃除した際に、毛ブラシなどに髪の毛などの塵埃が絡み付くおそれがある。このように絡み付いた塵埃を除去する際には、使用者が手で除去したり、鋏で切った後、手で除去したりする必要があり、衛生的でないだけでなく、塵埃の除去に手間を要する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−115501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、使用者が塵埃に直接手を触れることなく回転清掃体に付着した塵埃を効果的に除去できる吸込口体およびこれを備えた電気掃除機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の吸込口体は、ケース体を備える。また、この吸込口体は、ケース体に回転可能に軸支される軸部、および、この軸部の外面から突出する清掃部材を備えた回転清掃体を有する。ケース体は、吸込口を備える。また、このケース体は、吸込口と連通し、回転清掃体を軸方向に挿通させて吸込口に対して着脱可能とする開口部を備える。さらに、このケース体は、この開口部に位置し、この開口部の中心側に向けて少なくとも一部が付勢され、この開口部から回転清掃体を取り外す際にこの回転清掃体の軸部と少なくとも一部が摺接して塵埃を掻き取る掻き取り部材を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態の吸込口体の一部を示す縦断面図である。
【図2】同上吸込口体の回転清掃体を取り外した状態での掻き取り部材を示す縦断面図である。
【図3】同上吸込口体の掻取手段を示す斜視図である。
【図4】同上吸込口体を上側から示す平面図である。
【図5】同上吸込口体を備えた電気掃除機を示す斜視図である。
【図6】第2の実施形態の吸込口体の一部を示す縦断面図である。
【図7】同上吸込口体の回転清掃体を取り外した状態での掻き取り部材を示す縦断面図である。
【図8】第3の実施形態の吸込口体の一部を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、第1の実施形態の構成を図1ないし図5を参照して説明する。
【0009】
図5において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、掃除機本体12と、この掃除機本体12に着脱可能に接続される管部である風路形成体13とを有している。
【0010】
掃除機本体12は、被掃除面上を旋回および走行可能な中空状の本体ケース15を備えており、この本体ケース15の内部に、図示しない本体集塵室と電動送風機室とが前後に区画されている。さらに、電動送風機室には、電動送風機18が収容されており、この電動送風機18の吸込側が本体集塵室に連通している。また、本体集塵室内には、フィルタ、集塵袋、あるいは集塵装置(集塵カップ)などの集塵部が配置されている。そして、本体ケース15の前部には、本体集塵室に連通するとともに風路形成体13の基端側が接続される本体吸込口19が開口形成されている。
【0011】
また、風路形成体13は、本体吸込口19に接続される接続管部21と、この接続管部21の先端側に連通する可撓性を有するホース体22と、このホース体22の先端側に設けられた手元操作部23と、この手元操作部23の先端側に着脱可能に接続される延長管24と、この延長管24の先端側に連通接続される吸込口体としての床ブラシ26とを備えている。そして、この風路形成体13は、電動送風機18の吸込側に連通する風路を内部に区画するものである。
【0012】
手元操作部23には、把持部28がホース体22側へと突出し、この把持部28には、電動送風機18の動作モードを設定するための複数の設定ボタン29がそれぞれ設けられている。
【0013】
また、床ブラシ26は、風路形成体13を掃除機本体12に対して接続した状態で電動送風機18の吸込側に連通して風路の一部を構成するものであり、図3および図4に示すように、左右幅方向に長手状、すなわち横長のケース体31と、このケース体31の左右幅方向の略中心位置の後部に回転可能に連通接続された接続管32とを備え、少なくとも前後方向に沿って被掃除面上を走行(移動)可能となっている。
【0014】
ケース体31には、被掃除面に対向する平坦状の下面31aに、横長四角形状の吸込口34が開口形成されており、この吸込口34には、回転清掃体としての回転ブラシ35が回転可能に配置されている。さらに、ケース体31の側部には、吸込口34に連通し回転ブラシ35をこの吸込口34に対して着脱可能とする開口部36が開口形成されている。そして、このケース体31の内部には、回転ブラシ35を回転駆動させる駆動手段としてのモータ37が配置されている。また、このケース体31の内部には、モータ37の駆動を制御する回転清掃体制御手段としてのブラシ制御手段38が配置されている。
【0015】
吸込口34は、接続管32の上流側である前端側(先端側)に連通している。また、この吸込口34は、回転ブラシ35と略等しい幅寸法(前後方向寸法)を有しており、ケース体31の前側に位置している。
【0016】
また、回転ブラシ35は、ブラシ台部である軸部41と、この軸部41の周囲に螺旋状に取り付けられた複数の清掃部材としての毛ブラシ部42とを有している。
【0017】
軸部41は、例えば剛性を有する合成樹脂などにより長尺の円筒状に形成されており、図1および図4に示すように、外周面に、溝部44と、毛ブラシ部42が取り付けられる取付部である取付凹部45とが両端間に亘って連続してそれぞれ形成されている。さらに、この軸部41の中心部に形成された孔部41aには、長尺の軸体46が挿通され、この軸体46の両端部は、軸部41の両端部からそれぞれ突出している。そして、この軸体46は、一端部が、ケース体31の吸込口34内の一側に回転可能に配置された(一方の)軸支体47に接続されているとともに、他端部が、受板としての円柱状の(他方の)軸支体48に接続されている。
【0018】
軸支体47は、ケース体31に対して回動可能に軸支されており、軸部41の一端部に対して着脱可能に接続される。また、この軸支体47は、モータ37の回転軸37aと、モータ37の回転力を伝達する伝達手段としてのベルト49を介して連結されている。このベルト49は、無端状に形成されており、回転軸37aと軸支体47の外周面との間に巻き掛けられている。したがって、この軸支体47は、モータ37の回転により回転駆動される。
【0019】
また、軸支体48は、略円筒状に形成されており、一端部に、軸部41の他端部が嵌合する(一方の)嵌合凹部48aが軸方向に窪んで形成されているとともに、他端部に、軸体46の他端部を軸支する軸受部51が嵌合する(他方の)嵌合凹部48bが軸方向に窪んで形成されている。
【0020】
ここで、軸受部51は、開口部36を閉塞可能な蓋部である閉塞部材53に一体的に固定される円筒状の保持部51aと、軸体46の他端部が挿通されて回動可能に軸支された円筒状の軸受部本体51bとを備えている。
【0021】
さらに、閉塞部材53は、開口部36に対応する円形板状の閉塞部材本体53aと、この閉塞部材本体53aの全周から軸方向に突出する壁部53bとを一体に有している。また、閉塞部材本体53aの中央部には、軸受部51の保持部51aを一体的に保持するボス状の軸支部53cが同軸に形成されている。そして、この閉塞部材53は、開口部36に対して着脱可能に取り付けられ、この開口部36に取り付けた状態で、周方向に回り止めされている。
【0022】
また、溝部44と取付凹部45とは、例えば軸部41の周方向に交互に形成されており、それぞれ軸部41の軸方向に螺旋状となっている。
【0023】
また、各毛ブラシ部42は、清掃体である毛ブラシ42aの基端部が例えば軟質の図示しない被取付部により纏められてそれぞれ構成されており、この被取付部が各取付凹部45に沿って嵌合されることにより毛ブラシ42aが軸部41の外面(外周面)からこの軸部41の径方向に沿って壁状に突出している。
【0024】
また、図3に示す開口部36は、吸込口34の一側に円形状に開口形成されており、回転ブラシ35の軸部41よりも径寸法が大きく設定されている。さらに、この開口部36には、吸込口34側に臨んで、回転ブラシ35に付着した塵埃を掻き取る掻き取り部材55が取り付けられている。
【0025】
この掻き取り部材55は、例えば弾性を有する部材などにより形成されており、円筒状の本体部57と、この本体部57の一端側から吸込口34側へと突出する溝部44の数に対応する複数の爪状の掻き取り部58と、これら掻き取り部58の基端部にて本体部57の一端側から吸込口34側へと突出する止め部59とを一体に有している。
【0026】
本体部57は、開口部36に対して周方向に回動可能に取り付けられている。
【0027】
また、各掻き取り部58は、回転ブラシ35を開口部36からケース体31の外方へと取り外す際に各溝部44にそれぞれ嵌合して摺接することで塵埃Dを掻き取るもので、基端側から先端側へと幅が狭くかつ厚みが小さく、すなわち基端側から先端側へと徐々に細くなるように形成され、本体部57の周方向に略等間隔に配置されている。さらに、各掻き取り部58は、掻き取り部材55(本体部57)の中心軸、換言すれば開口部36の中心側(中心軸側)に向けて付勢されており、回転ブラシ35をケース体31から取り外した状態で、先端側が回転ブラシ35の各溝部44よりも中心軸側に突出するように形成されている(図2)。換言すれば、各掻き取り部58は、各溝部44に対して中心軸方向に向けて弾性的に押し付けられて(圧接されて)おり、回転ブラシ35を取り外した際に掻き取り部材55が縮径するように構成されている。
【0028】
また、止め部59は、各掻き取り部58により掻き取った塵埃Dを留めるもので、断面視で各掻き取り部58に対して交差する方向に向けて、吸込口34側へと突出している。すなわち、この止め部59は、掻き取り部材55の外周側に向けて突出している。したがって、各掻き取り部58と止め部59とは、断面視でV字状をなしている。また、この止め部59は、本体部57の外周全体に亘って連続して形成されている。したがって、止め部59と各掻き取り部58の基端部との間には、本体部57の周方向に沿って塵埃溜め溝部60が形成されている。
【0029】
また、モータ37は、吸込口34(回転ブラシ35)の後方の一側に、左右幅方向に沿って配置されている。
【0030】
また、ブラシ制御手段38は、例えば制御回路を構成する制御基板であり、吸込口34(回転ブラシ35)の後方の他側に配置されている。
【0031】
なお、モータ37およびブラシ制御手段38は、例えば図5に示す風路形成体13の内部に挿通された図示しない電線を介して掃除機本体12側から給電されている。
【0032】
また、接続管32は、基端側(下流端側)が風路形成体13(延長管24)の先端側に着脱可能に接続される部分であり、図4に示すように、モータ37とブラシ制御手段38との間に位置している。そして、この接続管32は、先端側(上流端側)が拡開状に形成されて回転ブラシ35の後方に対向し、吸込口34(図3)と連通している。
【0033】
次に、上記第1の実施形態の動作を説明する。
【0034】
掃除に床ブラシ26を用いる場合には、図4に示すように、ケース体31に回転ブラシ35を予め取り付けておく。このとき、図3に示す開口部36から回転ブラシ35の一端側をケース体31内へと挿入すると、掻き取り部材55の各掻き取り部58が回転ブラシ35の軸部41の外周面の各溝部44にそれぞれ嵌合する。なお、開口部36から回転ブラシ35の一端側をケース体31内へと挿入した初期の状態で、各掻き取り部58の位置と回転ブラシ35の軸部41の各溝部44の位置とが仮にずれている場合でも、回転ブラシ35をケース体31内へとさらに押し込むと、各掻き取り部58が軸部41の一端部と当接することで掻き取り部材55が周方向へと強制的に回動されて各掻き取り部58と各溝部44とが位置合わせされるので、各掻き取り部58は各溝部44にそれぞれ嵌合する。この状態で、回転ブラシ35をさらにケース体31内へと押し込むと、各掻き取り部58の先端側が図2に示す状態から、付勢に抗して図1に示すように径方向へと開く(拡径する)ように弾性的に変形する。そして、回転ブラシ35の軸部41の一端部から突出する軸体46の一端部を軸支体47に接続固定することで、回転ブラシ35の一端部が(軸支体47を介して)ケース体31に対して回動可能に軸支される。さらに、回転ブラシ35の他端部は、閉塞部材53を開口部36に嵌合させてこの開口部36を閉塞することにより、(この閉塞部材53の軸支部53cを介して)ケース体31に対して回動可能に軸支される。
【0035】
そして、使用者は、図5に示すように、床ブラシ26を延長管24の先端に接続した状態で把持部28を把持し、所望の設定ボタン29を操作することで電動送風機18を所望の動作モードで駆動させる。さらに、使用者は、床ブラシ26を被掃除面上で前後方向などに交互に走行させ、被掃除面上の塵埃を電動送風機18の駆動による負圧によって床ブラシ26の吸込口34から空気とともに吸い込む。
【0036】
また、使用者は、例えば被掃除面の種類(例えば絨毯など)に応じて、例えば設定ボタン29などの操作によって、回転ブラシ35を回転駆動させる。このとき、ブラシ制御手段38がモータ37の回転を制御することにより、このモータ37の回転軸37aにベルト49を介して接続された軸支体47が回動されるので、この軸支体47に一端側が軸支されている回転ブラシ35が回転する。このため、被掃除面上の塵埃が回転ブラシ35の毛ブラシ部42(の毛ブラシ42a)により掻き取られ、この掻き取られた塵埃が吸込口34から空気とともに吸い込まれる。
【0037】
吸込口34から空気とともに吸い込まれた塵埃は、接続管32から、延長管24、ホース体22および本体吸込口19を介して掃除機本体12の集塵部に吸い込まれる。そして、この集塵部で塵埃が捕集され、塵埃が捕集された空気は電動送風機18に吸い込まれ、この電動送風機18を冷却しつつ排気風となった後、掃除機本体12の図示しない排気孔から掃除機本体12の外部へと排気される。
【0038】
掃除が終了したときには、使用者は設定ボタン29を操作して電動送風機18およびモータ37をそれぞれ停止させる。
【0039】
床ブラシ26の手入れ(メンテナンス)をする際には、使用者は床ブラシ26を上下反転させてケース体31の下面31aを上側とし、閉塞部材53を開口部36から取り外し、回転ブラシ35を開口部36から閉塞部材53および軸支体48とともにケース体31の外部へと引き抜く。
【0040】
このとき、図1に示すように、掻き取り部材55の中心軸側に向けて付勢されている各掻き取り部58が回転ブラシ35の軸部41の各溝部44に押し付けられながら回転ブラシ35が移動していくことにより、各掻き取り部58が各溝部44に対して摺接し、これら溝部44に付着した塵埃Dを掻き取る。なお、各溝部44は螺旋状に形成されているため、回転ブラシ35の引き出しに従いそれぞれの位置が徐々に周方向に変化し、各溝部44に各掻き取り部58が嵌合している掻き取り部材55が対応して周方向に回動し、回転ブラシ35の軸部41などに絡み付いた毛などの塵埃を解しながら掻き取る。この掻き取られた塵埃Dは、回転ブラシ35が徐々に開口部36からケース体31の外部へと引き出されるに従い、各掻き取り部58の傾斜に沿ってこれら掻き取り部58の基端側へと徐々に移動する。そして、各掻き取り部58の基端部へと移動した塵埃Dは、これら掻き取り部58と交差する方向に突出する止め部59により止められ、塵埃溜め溝部60に保持された状態で溜められる。
【0041】
また、回転ブラシ35の各溝部44以外の部分、すなわち毛ブラシ部42については、回転ブラシ35を開口部36からケース体31の外部へと引き出す際に、掻き取り部材55の掻き取り部58以外の位置にて本体部57、あるいは止め部59に対して変形しながら順次摺接することで、付着している塵埃が本体部57、あるいは止め部59によって吸込口34内へと削ぎ落とされる。
【0042】
そして、回転ブラシ35をケース体31から外部へと完全に取り外した状態では、図2に示すように、掻き取り部材55の各掻き取り部58が付勢により中心軸側へと勢いよく復帰変形することで、止め部59の基端部にて塵埃溜め溝部60に保持された塵埃Dがケース体31の吸込口34内へと落とされる。この吸込口34内へと落とされた塵埃Dは、回転ブラシ35をケース体31に再装着した床ブラシ26により掃除をする際に、被掃除面に落下することなく電動送風機18の負圧の作用によって接続管32へと吸い込まれる。
【0043】
このように、上記第1の実施形態によれば、回転ブラシ35を軸方向に挿通させて吸込口34に対して着脱可能とする開口部36に、この開口部36の中心側に向けて少なくとも一部(各掻き取り部58)が付勢され、この開口部36から回転ブラシ35を取り外す際にこの回転ブラシ35の軸部41と少なくとも一部(各掻き取り部58)が摺接して塵埃Dを掻き取る掻き取り部材55を備えることにより、使用者が塵埃Dに直接手を触れることなく、回転ブラシ35を開口部36から引き出して吸込口34から取り外す動作だけで、回転ブラシ35に付着した塵埃Dを効果的に除去できる。
【0044】
次に、第2の実施形態を図6および図7を参照して説明する。なお、上記第1の実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0045】
この第2の実施形態は、上記第1の実施形態の掻き取り部材55の各掻き取り部58に代えて、爪部63が本体部57の一端側(吸込口34側)の内周に回動可能に軸支されているものである。
【0046】
この爪部63は、本体部57とは別体で形成され、この本体部57の軸方向に沿って形成されており、本体部57の一端側から吸込口34側に長手状に突出する爪状の掻き取り部63aと、この掻き取り部63aに対して交差する方向へと本体部57の一端側から突出する止め部63bとを一端側に有するとともに、本体部57の内周に対してコイルばねなどの付勢手段65を介して接続される接続部63cを他端側に有し、かつ、これら掻き取り部63aおよび止め部63bと接続部63cとの間の位置に、本体部57に回動可能に軸支される軸支部63dを有している。
【0047】
掻き取り部63aは、回転ブラシ35を開口部36からケース体31の外方へと取り外す際に各溝部44にそれぞれ嵌合して摺接することで塵埃Dを掻き取るもので、基端側から先端側へと幅が狭くかつ厚みが小さく、すなわち基端側から先端側へと徐々に細くなるように形成されている。
【0048】
また、止め部63bは、掻き取り部63aにより掻き取った塵埃Dを留めるもので、断面視で掻き取り部63aに対して交差する方向に向けて、吸込口34側へと突出している。すなわち、この止め部63bは、掻き取り部材55の外周側に向けて突出している。したがって、掻き取り部63aと止め部63bとは、断面視でV字状をなしている。また、この止め部63bと掻き取り部63aの基端部との間には、本体部57の周方向に沿って塵埃溜め溝部63eが形成されている。
【0049】
また、付勢手段65は、接続部63cと本体部57の内周との間に亘って接続されており、爪部63(掻き取り部63a)を掻き取り部材55(本体部57)の中心軸、換言すれば開口部36の中心側(中心軸側)に向けて付勢している。したがって、掻き取り部63aは、回転ブラシ35をケース体31から取り外した状態で、先端側が回転ブラシ35の溝部44よりも中心軸側に突出するように形成されている(図7)。換言すれば、掻き取り部63aは、溝部44に対して中心軸方向に向けて弾性的に押し付けられて(圧接されて)おり、回転ブラシ35を取り外した際に掻き取り部材55が縮径するように構成されている。なお、この付勢手段65は、コイルばね以外でも、例えば軸支部63dに取り付けられるトーションばねなどでもよい。
【0050】
そして、床ブラシ26の手入れ(メンテナンス)をする際には、使用者は床ブラシ26を上下反転させてケース体31の下面31aを上側とし、閉塞部材53を開口部36から取り外し、回転ブラシ35を開口部36から閉塞部材53および軸支体48とともにケース体31の外部へと引き抜く。
【0051】
このとき、図6に示すように、掻き取り部材55の中心軸側に向けて付勢されている掻き取り部63aが回転ブラシ35の軸部41の溝部44に押し付けられながら回転ブラシ35が移動していくことにより、掻き取り部63aが溝部44に対して摺接し、この溝部44に付着した塵埃Dを掻き取る。なお、溝部44は螺旋状に形成されているため、回転ブラシ35の引き出しに従い位置が徐々に周方向に変化し、溝部44に掻き取り部63aが嵌合している掻き取り部材55が対応して周方向に回動し、回転ブラシ35の軸部41などに絡み付いた毛などの塵埃を解しながら掻き取る。この掻き取られた塵埃Dは、回転ブラシ35が徐々に開口部36からケース体31の外部へと引き出されるに従い、掻き取り部63aの傾斜に沿ってこの掻き取り部63aの基端側へと徐々に移動する。そして、掻き取り部63aの基端部へと移動した塵埃Dは、この掻き取り部63aと交差する方向に突出する止め部63bにより止められ、塵埃溜め溝部63eに保持された状態で溜められる。
【0052】
また、回転ブラシ35の溝部44以外の部分、すなわち毛ブラシ部42については、回転ブラシ35を開口部36からケース体31の外部へと引き出す際に、掻き取り部材55の掻き取り部63a以外の位置にて本体部57に対して変形しながら順次摺接することで、付着している塵埃が本体部57によって吸込口34内へと削ぎ落とされる。
【0053】
そして、回転ブラシ35をケース体31から外部へと完全に取り外した状態では、図7に示すように、掻き取り部材55の掻き取り部63aが付勢により中心軸側へと勢いよく復帰変形することで、止め部63bの基端部にて塵埃溜め溝部63eに保持された塵埃Dがケース体31の吸込口34内へと落とされる。この吸込口34内へと落とされた塵埃Dは、回転ブラシ35をケース体31に再装着した床ブラシ26により掃除をする際に、被掃除面に落下することなく電動送風機18の負圧の作用によって接続管32へと吸い込まれる。
【0054】
このように、上記第2の実施形態によれば、回転ブラシ35を軸方向に挿通させて吸込口34に対して着脱可能とする開口部36に、この開口部36の中心側に向けて少なくとも一部(掻き取り部63a)が付勢され、この開口部36から回転ブラシ35を取り外す際にこの回転ブラシ35の軸部41と少なくとも一部(掻き取り部63a)が摺接して塵埃Dを掻き取る掻き取り部材55を備えることにより、使用者が塵埃Dに直接手を触れることなく、回転ブラシ35を開口部36から引き出して吸込口34から取り外す動作だけで、回転ブラシ35に付着した塵埃Dを効果的に除去できる。
【0055】
なお、上記第2の実施形態において、爪部63は、回転ブラシ35の軸部41の溝部44に対応する複数配置してもよい。
【0056】
次に、第3の実施形態を図8を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様の構成および作用については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
この第3の実施形態は、上記各実施形態において、ケース体31の吸込口34の上方に対向する位置に、凹部68が形成されているものである。
【0058】
この凹部68は、掻き取り部材55により回転ブラシ35から掻き取られた塵埃Dが、回転ブラシ35を吸込口34から取り外した状態で掻き取り部材55から吸込口34へと落とされた際に溜められる部分であり、吸込口34の長手方向である左右幅方向に沿って、この吸込口34の長手方向全体に亘って長手状に形成されている。
【0059】
そして、床ブラシ26の手入れ(メンテナンス)をする際に、使用者が床ブラシ26を上下反転させてケース体31の下面31aを上側とし、閉塞部材53を開口部36から取り外し、回転ブラシ35を開口部36から閉塞部材53および軸支体48とともにケース体31の外部へと引き抜くと、掻き取り部材55によって回転ブラシ35の溝部44に付着した塵埃Dが掻き取られるとともに、回転ブラシ35の溝部44以外の部分、すなわち毛ブラシ部42に付着した塵埃が吸込口34内へと削ぎ落とされ、回転ブラシ35をケース体31から外部へと完全に取り外した状態では、これら塵埃がケース体31の吸込口34内へと落とされる。このとき、これら塵埃は、凹部68に溜められ、回転ブラシ35をケース体31に再装着した床ブラシ26により掃除をする際に、被掃除面に落下することなく電動送風機18の負圧の作用によって接続管32へと吸い込まれる。
【0060】
このように、上記第3の実施形態によれば、ケース体31の吸込口34に対向する位置に凹部68を備え、吸込口34が回転ブラシ35と略等しい幅寸法を有することで、掻き取り部材55により回転ブラシ35から除去され吸込口34内へと落下した塵埃を、より確実に保持でき、回転ブラシ35をケース体31に再装着した床ブラシ26により掃除をする際に、これら塵埃を被掃除面に落下させることなく、より確実に掃除機本体12側へと吸い込ませることができる。
【0061】
そして、以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、回転ブラシ35を軸方向に挿通させて吸込口34に対して着脱可能とする開口部36に、この開口部36の中心側に向けて少なくとも一部(掻き取り部58,63a)が付勢され、この開口部36から回転ブラシ35を取り外す際にこの回転ブラシ35の軸部41と少なくとも一部(掻き取り部58,63a)が摺接して塵埃Dを掻き取る掻き取り部材55を備えることにより、使用者が塵埃Dに直接手を触れることなく、回転ブラシ35を開口部36から引き出して吸込口34から取り外す動作だけで、回転ブラシ35に付着した塵埃Dを効果的に除去できる。
【0062】
また、開口部36から回転ブラシ35を取り外す際に掻き取り部材55の少なくとも一部(掻き取り部58,63a)が付勢された状態で嵌合する溝部44を、軸部41の軸方向に沿って有することで、軸部41に付着した塵埃Dを、掻き取り部58,63aと溝部44との摺接によって、より効果的に除去できる。
【0063】
さらに、溝部44が軸部41に対して螺旋状に形成され、掻き取り部材55が開口部36に回動可能に設けられていることで、回転ブラシ35を開口部36から取り外す際に軸部41の周方向に溝部44の位置が徐々にずれるので、この溝部44に掻き取り部58,63aが嵌合している掻き取り部材55が周方向に徐々に回動する。このため、回転ブラシ35(の軸部41)に周方向に絡み付いた毛などの糸状の塵埃を、回動する掻き取り部材55によって絡み付きを解しながら、より効率よく除去できる。
【0064】
そして、掻き取り部材55は、回転ブラシ35を取り外した際に開口部36の中心側に向けた掻き取り部58,63aの付勢により縮径することで、回転ブラシ35を取り外す際に掻き取り部58,63aを、軸部41(の溝部44)に対してより確実に摺接させることができ、軸部41の溝部44に付着した塵埃Dを、より効率よく除去できる。
【0065】
また、掻き取り部材55が、開口部36に取り付けられた本体部57から突出し、開口部36の中心側へと付勢されこの開口部36から取り外される回転ブラシ35の軸部41(の溝部44)に圧接される掻き取り部58,63aと、この掻き取り部58,63aの基端側からこの掻き取り部58,63aに対して交差する方向へと本体部57から突出し、この掻き取り部58,63aにより軸部41(の溝部44)から除去した塵埃Dを止める止め部59,63bとを有していることで、掻き取り部58,63aによって除去した塵埃Dが本体部57の外周と開口部36の内周との隙間に入り込むことを止め部59,63bによって確実に防止でき、塵埃Dの詰まりなどによる掻き取り部材55の回動性の低下などを確実に防止できる。
【0066】
さらに、上記床ブラシ26を備える電気掃除機11は、衛生的でかつメンテナンスが容易で、使い勝手が良好になる。
【0067】
なお、上記各実施形態において、回転ブラシ35の清掃部材としては、毛ブラシ部42だけでなく、例えば被掃除面に付着した塵埃を掻き落とすビータ部すなわちブレードなどの任意の清掃部材を用いてもよいし、互いに異なる複数種類の清掃部材を組み合わせて用いてもよい。
【0068】
また、モータ37およびブラシ制御手段38に代えて、例えばエアタービンなどの任意の駆動手段により回転ブラシ35を回動させる構成としてもよい。
【0069】
さらに、掃除機本体12の細部は、上記構成に限定されるものではなく、キャニスタ型に限らず、例えば上下方向に長手状の掃除機本体12の下端部に床ブラシ26の接続管32が接続されたアップライト型の電気掃除機などでも対応して用いることができる。
【0070】
そして、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
11 電気掃除機
12 掃除機本体
18 電動送風機
26 吸込口体としての床ブラシ
31 ケース体
34 吸込口
35 回転清掃体としての回転ブラシ
36 開口部
41 軸部
42 清掃部材としての毛ブラシ部
44 溝部
55 掻き取り部材
57 本体部
58,63a 掻き取り部
59,63b 止め部
68 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケース体と、
このケース体に回転可能に軸支される軸部、および、この軸部の外面から突出する清掃部材を備えた回転清掃体とを具備し、
前記ケース体は、
吸込口と、
この吸込口と連通し、前記回転清掃体を軸方向に挿通させて前記吸込口に対して着脱可能とする開口部と、
この開口部に位置し、この開口部の中心側に向けて少なくとも一部が付勢され、この開口部から前記回転清掃体を取り外す際にこの回転清掃体の前記軸部と少なくとも一部が摺接して塵埃を掻き取る掻き取り部材とを備えている
ことを特徴とした吸込口体。
【請求項2】
軸部は、開口部から回転清掃体を取り外す際に掻き取り部材の少なくとも一部が付勢された状態で嵌合する溝部を軸方向に沿って有している
ことを特徴とした請求項1記載の吸込口体。
【請求項3】
溝部は、軸部に対して螺旋状に形成され、
掻き取り部材は、開口部に回動可能に設けられている
ことを特徴とした請求項2記載の吸込口体。
【請求項4】
掻き取り部材は、回転清掃体を取り外した際に開口部の中心側に向けた付勢により縮径する
ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか一記載の吸込口体。
【請求項5】
ケース体は、吸込口に対向する位置に凹部を備え、
前記吸込口は、回転清掃体と略等しい幅寸法を有している
ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか一記載の吸込口体。
【請求項6】
掻き取り部材は、
開口部に取り付けられた本体部と、
この本体部から突出し、前記開口部の中心側へと付勢されこの開口部から取り外される回転清掃体の軸部に圧接される掻き取り部と、
この掻き取り部の基端側からこの掻き取り部に対して交差する方向へと前記本体部から突出し、この掻き取り部により前記軸部から除去した塵埃を止める止め部とを有している
ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか一記載の吸込口体。
【請求項7】
電動送風機を収容した掃除機本体と、
前記電動送風機の吸込側に連通する請求項1ないし6いずれか一記載の吸込口体と
を具備したことを特徴とした電気掃除機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−143277(P2012−143277A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1718(P2011−1718)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】