説明

吻合の部位における狭窄の予防のための装置および方法

本発明は、吻合部位における狭窄を処置または予防することに関する。一実施形態において、本発明はグラフト開口部またはその隣接部への配置のために長手軸に沿って湾曲されたステントである。さらなる実施形態において、ステントは薬物コートされることによってグラフト開口部の近傍に抗血管増殖薬を直接送達することを可能にし、さらなる実施形態において、ステントは外部ワイヤの使用によって拡張可能である。別の実施形態において、本発明は特別に構成されたステントと、生体適合性マトリックス材料および医薬品を含むスリーブとを含むキットであり、このスリーブは血管またはグラフトの外表面に適用されることによって、医薬品の血管外送達をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本願は、2010年1月27日に出願された米国仮特許出願第61/298,631号への優先権を主張する。
【0002】
分野
本発明は一般的に、吻合の部位およびその周囲における狭窄を予防、抑制または処置するために有用な治療移植片、装置および方法に関する。加えて本発明は、吻合またはフィステルへの配置のために特定的に構成されたステント、ならびにそれらの部位をマトリックス材料および治療剤を含む血管外治療移植片と組み合わせるための方法にも関する。この特定的に構成されたステントは、吻合から離れた狭窄または狭小化の処置にも有用であり、たとえば側枝における小孔狭窄の処置、中心静脈(例、橈側皮アーチ(cephalic arch))における狭窄の処置などにも有用である。
【背景技術】
【0003】
動脈−静脈グラフトおよび動脈−静脈フィステルの構築などの血管の手順は、末期腎疾患の患者の血液透析を容易にするための血管アクセスを提供するために行われる。血管形成術などの介入は、たとえば閉塞性内膜過形成またはアテローム性動脈硬化症などの血管増殖性の状態からもたらされる狭小化(狭窄)または閉塞などを処置するために行われる。血液透析のための血管アクセスは、動脈−静脈フィステル(arterio−venous fistula:AVF)(例、Brecisa−Cimino)として構築されても、動脈と静脈との間に補綴材料(例、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroehtylene)、「PTFE」)を置くグラフト(graft)(AVG)として構築されてもよい。AVフィステルの構築の際には、静脈を動脈に連結または付着させることによって、動脈および静脈の内腔間の直接連絡を可能にする。動脈−静脈フィステルを作製するための方法の1つにおいては、前腕、腕または大腿の静脈を隣接する動脈に連結または付着させることによって、この動脈および静脈の内腔間の直接連絡をもたらす。AVフィステルの構築の際には、静脈の切断端部をその本来の場所から取り除き、静脈をその長手軸に沿って湾曲させることによって、静脈を動脈に直接接続してもよい。たとえば動脈と静脈、グラフトと動脈、またはグラフトと静脈などの血管結合の部位は、血管吻合部位または血管吻合と呼ばれる。吻合は縫合またはクリップを用いて完成させてもよいし、こうした吻合の作製および完成のために特別に設計された装置の助けによって完成させてもよい。グラフトは、たとえばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの合成材料でできていてもよいし、自家組織(例、伏在静脈、乳動脈など)で構成されてもよい。
【0004】
フィステルまたはグラフトの構築後、動脈と静脈とを接続している吻合部位(例、フィステルの場合)ならびにグラフト/動脈およびグラフト/静脈の吻合部位(例、AVグラフトの場合)は治癒される。しかしながら、これらの血管アクセスおよび血管グラフト手術はある特定の割合で、吻合部位およびその周囲の狭小化または狭窄のために失敗する。AVフィステルの60パーセントもが透析を支持するために好適な血管アクセスに発達しない(「成熟の不全」)。この成熟不全の重要な原因は、一般的に吻合部狭窄(Juxta Anastomotic Stenosis:JAS)と呼ばれる、静脈端部およびその周囲の管腔の狭小化または閉塞性狭窄である。狭窄は吻合から離れた部位でも起こり得る(例、橈側皮アーチ狭窄、針穿刺部位の狭窄など)。AVグラフトの場合には、PTFEグラフトと静脈との吻合部位がしばしば狭窄を発生し、その結果グラフトの流れが遅くなったり血栓形成がもたらされたりして、透析のための血管アクセスとして使用できなくなる。動脈循環内に配置されたグラフト(例、補綴PTFEグラフトを用いた末梢動脈バイパス、または伏在静脈などの生物組織導管を用いた冠状動脈もしくは末梢動脈バイパス)にも類似の病変が発生する。冠状動脈バイパスグラフト手術および末梢血管手術(例、大動脈−腸骨、大腿−大腿、大腿−膝窩、大腿−脛骨など)に用いられるグラフトの不全または機能異常も周知である。一般的に、動脈系の病態をバイパスするために用いられるグラフトにおける狭窄は、上述の血液透析アクセスグラフトまたはフィステルの不全に比べてゆっくりと発達する。
【0005】
血管グラフトの不全の重要な原因は通常、血管吻合部位またはその周囲の血管または補綴導管の管腔の狭小化に関係している。この狭小化の原因の1つは血管増殖性応答の結果であり、これはしばしばグラフト血栓症およびフィステル不全をもたらす。たとえば感染症、偽性動脈瘤、出血など、他の病態がグラフトまたはフィステルの性能に影響することもある。上の考察は血管を伴う吻合(血管吻合)に注目しているが、広い意味で2つの中空の管または導管の結合の部位または領域を含む吻合の他の例は、尿管、気管/気管支、卵管、腸のセグメントなどを伴う吻合を含み、これらの吻合部位およびその周囲にも管腔の狭小化の問題がみられる。本出願に記載される方法および装置は、血管およびこれらの非血管適用の両方における使用が意図されている。
【0006】
血管増殖性応答の顕在化である新生内膜過形成は、吻合開口部および隣接する血管に影響する。しばしば、平滑筋細胞の移動および増殖によって血管壁が厚くなり、管腔が狭くなる。処置せずに放置すると、狭窄は最終的に閉塞およびグラフトまたはフィステルの不全をもたらす。グラフトおよびフィステル不全の病因は、さまざまな物理的刺激(例、剪断応力は、たとえば非拡張静脈からの抵抗の増加、乱流による層流の置換などの血行力学的障害をもたらす)、化学的刺激、または生物的刺激、および感染症または異物拒絶反応に関係することがある。たとえば動脈−静脈フィステルにおいて、静脈をその本来の場所から取り除くことは応力および傷害をもたらす可能性があり、そのために狭窄の危険性が高くなり得る。グラフトまたはフィステルにおける狭窄が進行してより重症になるにつれて、グラフトまたはフィステルは機能障害性となり、医学的手順のためのアクセスは最適でなくなるかまたは不在となり、その血管アクセスを用いて血液透析を行うことが妨げられる。2つの動脈を接続するグラフト(例、冠状動脈バイパスグラフト手術または末梢動脈バイパス手術に用いられるグラフト)における血流が減少すると、バイパスされる動脈による供給を受ける器官への血液供給の減少または欠乏(虚血)に関係する問題がもたらされる。
【0007】
狭窄が起こったときの処置選択肢の1つは、たとえばバルーン血管形成などの非外科的な経皮カテーテルに基づく処置によって、狭小化を低減または抹消し、グラフトを通る血流を回復させる(それによって適切な血液透析の再開を可能にする)ことを含む。一局面において、バルーン血管形成は、閉塞部位へのバルーンカテーテルの配置と、バルーンを膨張させて、血管壁の内部に制限(restriction)をもたらしている材料を圧縮することによって血管の最小管腔径(minimum luminal diameter:MLD)を増加させることとを伴う。その制限の長さ、重症度および特徴(例、血流の制限をもたらす狭窄の程度、および石灰化の量)によっては、最適な管腔拡張を達成するためにバルーンを再配置して2回以上膨張および収縮させる必要があり得る。完了すると、バルーンカテーテルは系から取り出される。
【0008】
バルーン血管形成を「独立型(stand alone)」の手順として用いることもできるが、バルーン血管形成にはしばしばステントの配置が伴う。当該技術分野において公知であるとおり、ステントとは脈管構造内に配置される拡張可能な足場または支持装置である(血管内移植片)。血管形成の後、機械的(弾性)反跳および負の血管再構築は、元の制限部位の再狭小化(再狭窄)の重要な原因となり得る。血管内ステントは反跳に対処するために有効であり、かつ制限または狭窄のバルーン血管形成後にもたらされ得る切開皮弁(dissection flap)が血管内腔に後退することを防ぐためにも非常に有効である。こうした切開皮弁は、血管形成の直後に血流を完全に遮断して急性の血管閉鎖をもたらす可能性がある。ステントは急性閉鎖の予防に非常に有効である。先行技術において公知のステントは「バルーン拡張可能型」または「自己拡張型」のいずれかであり、血管内に配置されるとき、拡張後のステントは血管壁の内側裏層(内膜表面)に直接隣接する。バルーン拡張可能型ステントはPalmazの特許文献1に開示されている。自己拡張型ステントはSigwartの特許文献2、Wallstenの特許文献3、Wallstenらの特許文献4、およびHachtmanらの特許文献5に開示されている。血管形成後に簡単なステント(すなわちベアメタルの部分的または完全に生分解性の非薬物コートステント)を用いるにもかかわらず、この形の処置(血管内ステント配置)は重要な失敗の危険性、すなわち処置部位の再狭小化(再狭窄)または閉塞の危険性を有する。言換えると、ベアメタルステントの足場効果は、それだけでは処置部位の再狭窄の問題を完全に克服できない。再狭窄の問題を克服または低減するために、血管の手順に薬物溶出性ステントを使用することも当業者に周知である。薬物溶出性ステントは、たとえば一般的にWolffの特許文献6、Liらの特許文献7、Wrightらの特許文献8、およびShookoohiの特許文献9などに開示されている。
【0009】
処置部位(例、血管吻合部位およびその周囲)における狭窄を効果的に処置できない限り、グラフトまたはフィステル不全が起こりやすくなる。血液透析AVグラフトまたはフィステル不全の場合、患者は腎移植を受けるのでない限り、即時/緊急の血管内手順(すなわち、たとえば血栓除去などの非外科的なカテーテルに基づく経皮手順)を受けて「凝血塊を取り除く(declot)(中の血栓を除去する)」か、または再び血管手術を受けて異なる部位に別のグラフトもしくはフィステルであり得る別の血管アクセスを配置するか、またはカテーテルの配置を受ける必要がある。再手順および再手術の明らかな問題点(例、死亡率、罹患率、経費、入院の延長、感染症など)、ならびに移植の可用性が限られていることを考えると、透析血管アクセスおよびグラフト吻合の狭窄の予防および処置に有効でありかつ長続きする(すなわち耐久性のある)処置が必要とされている。
【0010】
伝統的なステントの構成は、フィステルおよびグラフトの吻合部位およびその隣接部の狭窄を処置することに制限を有する。動脈−静脈フィステルまたはグラフトの吻合開口部に隣接して、静脈またはグラフトが動脈または血管から角度を付けて突出し、体内のその起点に向けて長手軸に沿って湾曲している(「キャンディ棒(candy cane)構成」)。(図1〜3)。現在利用可能なステントは長手軸に沿って湾曲していないため、血管の屈曲の中に伸長できないために、フィステルまたはグラフトの吻合部位およびその隣接部への配置によく適さない。加えて、吻合部位における血管の角形成、Uターンまたはヘアピン構成のために、これらのステントはグラフト開口部を通じて、および動脈−静脈フィステルの動脈内へと容易に操作できない。
【0011】
現在利用可能なステントのさらに別の制限は、吻合における構成に関する。2本の血管、またはグラフトと血管とは直角に連結され得る(図1Aを参照)。吻合が直角であれば、円筒形のステントの端縁を配置することによって、ステント端縁が直角吻合の血管の端縁に適合するように整列して並び得るようにできる(図1Bを参照)。しかしながらほとんどの場合、操作者は吻合を作製する前に血管の端縁を面取りしている(図1Cを参照)。この場合、円筒形のステント端縁を面取りされた血管の端縁に対して厳密に整列できないことが認識できる。ステントは吻合より「少し足りなく」なる(図2D、図16Aを参照)か、または吻合を越えて他方の血管内に突出する(図16Bを参照)。したがって、吻合の血管が互いに垂直でない吻合部位における、真っ直ぐ切断された直角の端部/端縁を有するステントの配置に関する両方の望ましくない状態に対処するステントが必要とされている。
【0012】
吻合において連結される2本の血管の直径は異なることがある。同様に、吻合のレベルの血管の直径と、吻合から離れた点における直径とが異なることがある。よって本明細書において用いられるステントは先細にされる(tapered)必要があり得る。先細という用語は、一方の端部における拡張ステントの直径が、反対側の端部の拡張ステントの直径と異なることを示す。この直径の相違はステントの長さにわたって徐々に起こってもよいし、ステントの長さに沿ったある点で急に起こってもよい。
【0013】
狭窄を処置および予防するための別の公知の方法は、血管またはグラフトの外表面への補綴装置または「スリーブ」の移植であり、次いでそれはたとえばラパマイシン(シロリムス)、パクリタキセル、タクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムスおよびその他の細胞周期抑制剤または同様に機能する薬剤などの抗血管増殖薬または薬剤を溶出する。こうしたスリーブは、「血液透析血管アクセスおよびその他の血管グラフトの不全を予防または処置するための装置および方法(Apparatus and Methods for Preventing or Treating Failure of Hemodialysis Vascular Access and Other Vascular Grafts)」と題する特許文献10と、「血管閉鎖装置に対する組織応答を調節するための医学的移植片および方法(Medical Implants and Methods For Regulating the Tissue Response to Vascular Closure Devices)」と題する2004年6月18日に出願された同時係属中の特許文献11とに開示されている。
【0014】
したがって、吻合部位またはフィステルおよびその周囲の狭窄を予防、抑制または処置するために上述のラップ(wrap)またはスリーブとともに用いることのできるステントが必要とされている。加えて、こうしたマトリックス材料を含む血管外の治療移植片を血管内のステント移植片と組み合わせるための方法が必要とされている。さらに、伝統的な自己拡張型ニチノールステントまたはバルーン拡張可能型ステントを血管周囲薬物溶出スリーブと組み合わせることも必要とされている。本明細書に記載されるステントはいずれも、狭窄を予防、抑制または処置するために血管周囲のラップと組み合わせて用いることができる。(図18および図19を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第4,733,665号明細書
【特許文献2】米国特許第5,443,500号明細書
【特許文献3】米国特許第4,655,771号明細書
【特許文献4】米国特許第5,061,275号明細書
【特許文献5】米国特許第5,645,559号明細書
【特許文献6】米国特許第5,545,208号明細書
【特許文献7】米国特許第6,899,731号明細書
【特許文献8】米国特許第6,273,913号明細書
【特許文献9】米国特許出願公開第2009/0182404号明細書
【特許文献10】米国特許第6,726,933号明細書
【特許文献11】米国特許出願公開第2005/0004158号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
一実施形態において、本発明は吻合部位に配置するために特別に構成されたステントであり、このステントは吻合および/または吻合の隣接部に配置するために長手軸に沿って湾曲されている。吻合部位から離れたところでこうしたステントが用いられてもよい。たとえば、吻合から離れた血管の屈曲部分、または血管の分岐などにおいて用いられてもよい。別の実施形態において、ステントは吻合部位に配置するために特別に構成されており、ここでステントは吻合への配置を容易にするために端縁が面取りされるか、フレアにされる(flared)か、またはラッパ形にされている(trumpeted)。別の実施形態において、ステントは先細にされることによって、拡張ステントの一方の端部における直径が他方の端部と異なる。別の実施形態において、ステントはPTFEなどのポリマーでコートされる。そのコーティングはステントの長さおよび周囲全体に沿って延在してもよいし、ステントを部分的に覆っていてもよい。さらなる実施形態において、ステントは薬物でコートされることによって、吻合部位およびその周囲の近傍への直接的な抗血管増殖薬の局所送達を可能にする。さらなる実施形態においては、薬物溶出バルーン拡張可能型ステントと自己拡張可能型との組み合わせが用いられる。すなわち、バルーン拡張可能型薬物溶出性ステントが自己拡張型ステントと血管壁との間に挟まれる。さらなる実施形態においては、収縮状態のステントの外表面に、ハンドルを有するワイヤまたはワイヤ様の送達系が取り付けられており、ワイヤまたは別の放出機構を操作することによってステントの外表面を血管の内表面に向かって引っ張り、結果としてステントの拡張および配置をもたらす。
【0017】
別の実施形態においては、バルーン拡張可能型薬物溶出性ステントと非薬物コート自己拡張型ステントとの組み合わせが用いられる。この場合、最初にバルーン拡張可能型薬物溶出性ステントがAVフィステルまたはグラフトの吻合およびその周囲に配置される。次いで自己拡張型ニチノールステントを配置することによって、バルーン拡張可能型薬物溶出性ステントが、拡張された自己拡張型ニチノールステントと、グラフトの内側裏層および/または血管の内壁との間に挟まれるようにする。バルーン拡張可能型薬物溶出性ステントは生分解性材料でできていてもよいし、ステンレス鋼またはコバルトクロムなどの生体安定(biostable)材料でできていてもよい。
【0018】
別の実施形態において、バルーン拡張可能型または自己拡張可能型のステントは、ポリマー、織物または生物学的コーティングによって部分的または完全に覆われていてもよい。ステントに用いられ得るこうした被覆の例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0019】
別の実施形態において、本発明は、吻合部位への配置のために特別に構成されたステントであって、長手軸に沿って湾曲されたステント(血管内移植片)と、生体適合性マトリックス材料および医薬品を含むスリーブとを含むキットであって、このスリーブは血管またはグラフトの外表面に適用される(血管周囲移植片)ことによって、医薬品の血管外送達をもたらす。生体適合性マトリックスは、ステントが配置された後に、吻合の被覆を可能にするためにマトリックスの周縁の折り畳みを可能にする簡単な送達装置によって適用されてもよい。別の実施形態においては、吻合(例、AVグラフト、AVフィステル)の作製のための手術のときに、血管内ステントおよび血管周囲薬物溶出生体適合性マトリックス材料の両方が移植されてもよい。
【0020】
別の実施形態において、本発明は、吻合部位への配置のために特別に構成されたステントであって、端縁が面取り、フレア、またはラッパ形にされたステントと、生体適合性マトリックス材料および医薬品を含むスリーブとを含むキットであって、このスリーブは血管またはグラフトの外表面に適用されることによって、医薬品の血管外送達をもたらす。生体適合性マトリックスは、ステントが配置された後に、吻合の被覆を可能にするためにマトリックスの周縁の折り畳みを可能にする簡単な送達装置によって適用されてもよい。別の実施形態においては、吻合(例、AVグラフト、AVフィステル)の作製のための手術のときに、血管内ステントおよび血管周囲薬物溶出生体適合性マトリックス材料の両方が移植されてもよい。
【0021】
別の実施形態において、本発明は、吻合部位への配置のために特別に構成されたステントであって、先細にされたステントと、生体適合性マトリックス材料および医薬品を含むスリーブとを含むキットであって、このスリーブは血管またはグラフトの外表面に適用されることによって、医薬品の血管外送達をもたらす。生体適合性マトリックスは、ステントが配置された後に、吻合の被覆を可能にするためにマトリックスの周縁の折り畳みを可能にする簡単な送達装置によって適用されてもよい。別の実施形態においては、吻合(例、AVグラフト、AVフィステル)の作製のための手術のときに、血管内ステントおよび血管周囲薬物溶出生体適合性マトリックス材料の両方が移植されてもよい。
【0022】
別の実施形態において、本発明は、吻合部位への配置のために特別に構成されたステントであって、被覆されたステントである(例、PTFEによって被覆された)ステントと、生体適合性マトリックス材料および医薬品を含むスリーブとを含むキットであって、このスリーブは血管またはグラフトの外表面に適用されることによって、医薬品の血管外送達をもたらす。生体適合性マトリックスは、ステントが配置された後に、吻合の被覆を可能にするためにマトリックスの周縁の折り畳みを可能にする簡単な送達装置によって適用されてもよい。別の実施形態においては、吻合(例、AVグラフト、AVフィステル)の作製のための手術のときに、血管内ステントおよび血管周囲薬物溶出生体適合性マトリックス材料の両方が移植されてもよい。
【0023】
別の実施形態において、本発明は、吻合部位への配置のために特別に構成された薬物溶出バルーン拡張可能型ステントと、自己拡張型ニチノールステントとを含むキットである。ステントの特別な特徴は、以下の1つまたはそれ以上を含んでもよい:ステントの長軸に沿った屈曲、面取りされるか、フレアまたはラッパ形にされた端縁、先細の設計、織物(例、PTFE)による被覆。上述の特徴のいずれも有さない伝統的な設計のステント(例、バルーン拡張可能型ステント、たとえばステンレス鋼またはコバルトクロムバルーン拡張可能型ステントなど、自己拡張型ステント、たとえばニチノール自己拡張型ステントなど、部分的または完全に生分解性のステント、PTFEまたはその他の生分解性もしくは非生分解性ポリマーなどの合成材料で部分的または完全に覆われたステント、または静脈のセグメントなどの生物組織のセグメントで覆われたステントなど)もキットに含まれてもよい。
【0024】
血管外スリーブと血管内ステントとを適用することによって吻合部位における狭窄を処置または予防するための方法も提供される(図12〜15、図18および図19)。一実施形態において、ステントは収縮された状態で挿入され、ステントの外表面に取り付けられたワイヤを操作することによってステントの外表面を血管の内壁に向かって引っ張り、結果としてステントの拡張をもたらす。別の実施形態において、ステントは収縮された状態で挿入され、かつシースに覆われており、そのシースを縮めることによってステントを拡張させる。シースの収縮が遠位端から始まる(すなわちステントの遠位端が最初に配置される)ように系が構成されてもよいし、シースの収縮が近位端から始まる(すなわちステントの近位端が最初に配置される)ように系が構成されてもよい。(図17Aおよび図17B)。付加的な実施形態において、ステントは配置前に他の手段(例、ステントの周りに巻かれたワイヤ、ステントの拡張を抑制する膜)によってコンパクトで抑制的な(拡張されない)状態に保持されてもよい。一実施形態において、ステントはバルーン拡張可能型ステントである。別の実施形態において、ステントは自己拡張型である。別の実施形態において、ステント送達装置はステントの近位端(操作者の指に最も近い端部)が最初に配置されることを可能にする。近位端が放出されるとき、操作者はそれを引き戻して、部分的に配置されたステントの数ミリメートルが現在吻合の動脈側にあることを認識できる。このとき、放出の第2の機構がステントの残りの部分の放出を可能にする。1つの実行においてはステントの近位端が最初に放出されるが、別の実行においてはステントの遠位端が最初に放出される。
【0025】
ステントを含む送達系は、経皮的に体内に導入されてもよい。ステントを含む送達系は、開放性の手術手順の際に体内に導入されてもよい。ステントを含む送達系は、ロボットシステムを用いて体内に導入されてもよい。
【0026】
生体適合性マトリックス材料および医薬品を含むスリーブは、開放性の手術手順の際に意図される位置に移植されてもよい。生体適合性マトリックス材料および医薬品を含むスリーブは、経皮的に移植されてもよい。生体適合性マトリックス材料および医薬品を含むスリーブは、ロボットシステムを用いて移植されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1A】図1Aは、「面取りされない」直角の吻合(図1Aおよび図1B)と、面取りされた角度付きの吻合(図1Cおよび図1D)との相違を示すための図である。
【図1B】図1Bは、「面取りされない」直角の吻合(図1Aおよび図1B)と、面取りされた角度付きの吻合(図1Cおよび図1D)との相違を示すための図である。
【図1C】図1Cは、「面取りされない」直角の吻合(図1Aおよび図1B)と、面取りされた角度付きの吻合(図1Cおよび図1D)との相違を示すための図である。
【図1D】図1Dは、「面取りされない」直角の吻合(図1Aおよび図1B)と、面取りされた角度付きの吻合(図1Cおよび図1D)との相違を示すための図である。
【図2A】図2Aは、直角の面取りされない吻合(図2C)と、面取りされた角度付きの吻合(図2Dおよび図2E)とに対してステント設計要求(図2Aおよび図2B)がいかに異なるかを示すための図である。
【図2B】図2Bは、直角の面取りされない吻合(図2C)と、面取りされた角度付きの吻合(図2Dおよび図2E)とに対してステント設計要求(図2Aおよび図2B)がいかに異なるかを示すための図である。
【図2C】図2Cは、直角の面取りされない吻合(図2C)と、面取りされた角度付きの吻合(図2Dおよび図2E)とに対してステント設計要求(図2Aおよび図2B)がいかに異なるかを示すための図である。
【図2D】図2Dは、直角の面取りされない吻合(図2C)と、面取りされた角度付きの吻合(図2Dおよび図2E)とに対してステント設計要求(図2Aおよび図2B)がいかに異なるかを示すための図である。
【図2E】図2Eは、直角の面取りされない吻合(図2C)と、面取りされた角度付きの吻合(図2Dおよび図2E)とに対してステント設計要求(図2Aおよび図2B)がいかに異なるかを示すための図である。
【図3】図3は、動脈−静脈フィステルの側面図である。
【図4】図4は、本発明のステントの一実施形態を示す側面図である。
【図5】図5は、長手軸に沿って切断された動脈−静脈フィステルまたはグラフトの吻合部位の所定の位置にある本発明のステントの実施形態を示す側面図である。
【図6】図6は、長手軸に沿って切断された動脈−静脈フィステルまたはグラフトの吻合部位の所定の位置にある本発明のステントの実施形態を示す側面図である。
【図7】図7は、長手軸に沿って切断された動脈−静脈フィステルまたはグラフトの吻合部位の所定の位置にある本発明のステントの実施形態を示す側面図である。
【図8】図8は、動脈−静脈フィステルにおいて使用中の本発明のキットを示す側面図であり、ここではステントの配置を明らかにするためにフィステルおよびラップが長手軸に沿って切断されている。
【図9】図9は、本発明の方法の一実施形態を示す側面図であり、ここではステント送達系の配置を明らかにするために動脈−静脈フィステルが切断されている。
【図10】図10は、長手軸に沿って切断された被覆ステントを示す側面図である。
【図11】図11は、長手軸に沿って切断された、血管内の自然な屈曲における所定の位置にある本発明のステントの実施形態を示す側面図である。
【図12】図12は、治療例に記載される結果を示す図である。
【図13】図13は、治療例に記載される結果を示す図である。
【図14】図14は、治療例に記載される結果を示す図である。
【図15】図15は、治療例に記載される結果を示す図である。
【図16】図16Aは、面取りされたステント端縁と伝統的な直角のステント端縁との相違を示し、なぜ面取りされた端縁が吻合の最適な適用範囲を提供するかを示すための図である。図16Bは、面取りされたステント端縁と伝統的な直角のステント端縁との相違を示し、なぜ面取りされた端縁が吻合の最適な適用範囲を提供するかを示すための図である。図16Cは、面取りされたステント端縁と伝統的な直角のステント端縁との相違を示し、なぜ面取りされた端縁が吻合の最適な適用範囲を提供するかを示すための図である。図16Dは、面取りされたステント端縁と伝統的な直角のステント端縁との相違を示し、なぜ面取りされた端縁が吻合の最適な適用範囲を提供するかを示すための図である。
【図17】図17は、自己拡張型ステントのための伝統的な従来の配置系(遠位端が最初に配置され、近位端が最後に配置される)と、ステントの「最初に近位端、最後に遠位端」の配置を可能にする提案配置系との相違を示す図である。
【図18】図18Aは、血管内ステントを血管周囲薬物溶出マトリックスと組み合わせる概念を示すための図であり、両方の移植片は吻合およびその周囲に配置される。図18Bは、血管内ステントを血管周囲薬物溶出マトリックスと組み合わせる概念を示すための図であり、両方の移植片は吻合およびその周囲に配置される。
【図19】図19Aは、血管内ステントを血管周囲薬物溶出マトリックスと組み合わせる概念を示すための図であり、両方の移植片は吻合およびその周囲に配置される。図19Bは、血管内ステントを血管周囲薬物溶出マトリックスと組み合わせる概念を示すための図であり、両方の移植片は吻合およびその周囲に配置される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明はさまざまな形で実施され得るが、本開示は本発明の例証と考えられるべきであり、本発明を例示される特定の実施形態に制限することは意図されていないことを理解しつつ、以下にいくつかの実施形態の説明が与えられる。
【0029】
本出願において規定されるさまざまな範囲における数値の使用は、明確に別様に示されない限り、記述される範囲の最小値および最大値の両方の前に「約」という語が付くかのような近似として述べられるものである。この態様で、記述される範囲よりも上および下のわずかな変動を用いて、その範囲内の値と実質的に同じ結果が得られてもよい。本明細書において用いられる「約(about)」および「およそ(approximately)」という用語が数値を示すとき、それらは、心臓病学および薬学の技術分野または問題となる範囲もしくは構成要素に関連する技術分野の当業者に対する明白な通常の意味を有する。厳密な数値的境界からの広がりの量は、いくつかの要素に依存する。たとえば、考慮すべき要素のいくつかは、その構成要素の臨界、および/または所与の量の変動が請求される主題の性能に与える影響、ならびに当業者に公知のその他の考慮点などを含んでもよい。よって一般的事項として、「約」または「およそ」は数値を広げるが、それに正確な限界を与えることはできない。たとえばいくつかの場合において、「約」または「およそ」は関連技術に依存して±5%、または±10%、または±20%、または±30%を意味してもよい。加えて、範囲の開示は、最小値と最大値との間のすべての値を含む連続的な範囲であることが意図される。
【0030】
本発明の医学的装置は、広くは吻合部位およびその周囲の狭窄を処置するために用いられるステントおよびスリーブを含む。本発明は少なくとも次の6つの点で一意である:(1)本発明のステントは、フィステルまたは吻合部位への特別な配置のために、または屈曲を有する吻合部位から離れた血管(例、橈側皮アーチ)を適応させるためにその長手軸に沿って湾曲している(「キャンディ棒形状」)、(2)本発明のステントは、特別な配置のために、および面取りされた吻合部位、血管起点(小孔)、または側枝血管が親血管から直角以外の角度で生じている血管分岐における整列を容易にするために面取り、フレア、またはラッパ形にされている、(3)本発明のステントは、2つの構造の直径が異なるところの配置を容易にするために先細にされている、(4)本発明は、薬物溶出バルーン拡張可能型または自己拡張型ステントと、簡単な非薬物溶出バルーン拡張可能型または自己拡張型ステントとの組み合わせを含む、(5)本発明のステントは、織物またはポリマー(例、PTFE)によって部分的または完全に覆われていてもよい、および(6)本発明の方法およびキットは、特別に構成されたステントを、狭窄を予防することに向けられた医薬品を溶出するスリーブと組み合わせる。薬物溶出スリーブは、他の自己拡張型および/またはバルーン拡張可能型ステントと組み合わせて用いられてもよい(すなわち、本発明を実施するために特定的に構成されたステントを有することは必要ではない)。
【0031】
図1Aを参照すると、血管またはグラフト15の端縁10は、血管またはグラフト10の長手軸に対して垂直に切断されてもよい(点線で示される)。この場合、2本の血管または血管およびグラフト15および20を連結することによって作製される吻合(図1Bに示される)は直角になる。図1Cは、血管またはグラフト15の端縁25が角度を付けて切断されてもよいことを示す。これによって、血管15の端部に面取り構成が与えられる。この面取りのために、吻合(図1Dに示される)の最終的なサイズは、長さおよび吻合の面積の両方の点で図1Bに示される直角の吻合よりも大きくなることに注目されたい。図2A〜2Eは、ステントを吻合およびその周囲への移植のために特に適したものにする、本開示において考察されるステント設計のいくつかを示す。図2Aはステント30を示し、これは長手軸および円形の断面を有する本質的に管状の本体である。ステント30は、長手軸に沿って屈曲度(degree of curvature)を有する。ステント30は第1の近位端35および第2の遠位端40を有し、各々の端部30、35は異なる直径45、50を有し、ステント30に先細の外観を与える。図2Bは、ステント30の第1の端部35がフレアにされるかまたはラッパ形にされることを示す。図2Cは、図2Aに示されるステント30をどのようにして直角の吻合に移植できるかを示す。図2Dは、静脈またはグラフト15が面取りされている吻合の周りへの移植には、図2Aに示されるステント30があまりよく適さないことを示す。図2Eは、ステント30の第1の端部35を面取り、フレアまたはラッパ形にすることによって、吻合におけるより正確な移植が可能になる様子を示す。図3は側面から見た吻合を示す。Aというマークの付いた構造は動脈を表す。Vというマークの付いた構造はグラフトまたは静脈を表す。AおよびVは、吻合を受ける体内のあらゆる中空の管または導管を表し得る。
【0032】
図4を参照すると、一実施形態において、本発明のステント30は、長手中心軸65および第1の端部直径70を有する管状壁60を有する本質的に管状の本体を規定するウェブ様の構造55を有し、このウェブ構造55は収縮された構成から拡張された構成に拡張可能であり、ここでステント30はフィステルまたは吻合部位または屈曲を有する血管への配置のために特別に構成されている。このステントは長手軸65に沿って約5度から160度の屈曲度75を有する。図5を参照すると、ステント30は静脈、グラフトまたは血管15の内腔80に配置され、ステント30の近位端35は静脈、グラフトまたは血管15と、動脈、グラフトまたは血管20との接合部の吻合開口部85を開いたまま保持する。ステント30の正確な屈曲度75は、静脈15で起こっている屈曲度に基づいて定められてもよい。フィステル以外の場合には、参照番号15はグラフトまたは他の血管もしくは導管を表してもよい。つまりステント30は、フィステルまたはグラフト吻合部位における吻合開口部85の構造および静脈または動脈またはその他の血管15の屈曲を維持するために特別に構成されている。
【0033】
図6を参照すると、ステント30の屈曲部分が吻合またはグラフト開口部85を越えて配置されてもよい。この配置において、ステント30は静脈、グラフトまたは血管15から吻合開口部85を通って動脈、グラフトまたは血管20の中に入っている。AVグラフトの場合、20とラベルされた構造は静脈であり、15とラベルされた構造は補綴グラフトである。この場合(すなわちAVグラフトの場合)、ステント30はグラフト15から吻合85を越えて静脈20の中に延在している。動脈バイパスグラフトの場合には、15とラベルされた構造は補綴グラフト(例、PTFE)、動脈導管(例、乳動脈)または静脈導管(例、伏在静脈)を表し、20とマークを付けられた構造は、バイパスされる冠状動脈または末梢動脈であってもよいレシピエント動脈を表す。ステントの屈曲度75は約5度から160度の間であり、これは静脈、血管またはグラフト15と動脈、グラフトまたはその他の血管構造20との間の配向度に基づいて選択される。本明細書に記載されるすべての実施形態は、いずれのステント配置にも適用される。
【0034】
図11を参照すると、ステント30の本体は、吻合部位から離れた場所の血管15の自然な屈曲にも配置できる。屈曲度75は約5度から160度の間であり、これは血管の屈曲度に基づいて選択される。
【0035】
本発明のさらなる実施形態において、ステント30は先細にされることによって、ステント30の長手軸65に沿って直径が減少する。図2Aを参照すると、ステント30は第1の近位端35と、近位端35の反対側の第2の遠位端40とで構成される。ステント30の近位端35の直径は、反対側の遠位端40におけるステントの直径よりも大きい。図2Cに示されるとおり、この実施形態は、血管の直径がセグメントごとに変化するような血管への配置に特に適している。
【0036】
さらなる実施形態において、ステントは「面取り」、「フレア」または「ラッパ形」にされた端縁25を有する。図2Bを参照すると、ステント30は第1の近位端35と、近位端35の反対側の第2の遠位端40とで構成される。近位端35ではウェブ構造55が外向きに拡張しており、その結果としてステント30のその端部35の直径45が増加しており、ステント30の近位端35に「面取り」、「フレア」または「ラッパ形」の外観を与えている。図2Eに示されるとおり、こうした実施形態は吻合開口部85への配置に特に適している。面取りされた端縁25は、ステントが動脈、血管またはグラフト20に突出することなく開口部85に隣接することを可能にする。
【0037】
さらなる実施形態において、ステントは、たとえばラパマイシン、パクリタキセル、タクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムスおよびその他の細胞周期抑制剤または同様に機能する薬剤などの抗血管増殖薬または薬剤を溶出する。これを、(例、端縁を面取り、フレアまたはラッパ形にすることによる)吻合への正確な配置、および(ステントを長手軸65に沿って湾曲させることによる)湾曲した血管の内表面への近接した並置を可能にする特別な構成のステント30と組み合わせることによって、吻合開口部85の直近に抗血管増殖薬を直接局所送達して、有効量の抗増殖剤を単独で、またはアジュバントおよびその他の抗増殖剤と組み合わせて血管構造に直接送達することによって、新生内膜過形成を予防または抑制または処置することが可能になる。ラパマイシン(シロリムス)は、本発明とともに用いるための抗増殖特性を有する好ましい薬物である。
【0038】
本発明の一実施形態において、収縮状態90のステント30には、ステントを放出および拡張するための外部ワイヤ(「リップコード(rip cord)」)が備えられる。図7を参照すると、収縮状態のステント30はガイドワイヤ95に取り付けられている。収縮状態90のステントの外表面にはさらなるワイヤ100が取り付けられている。ワイヤ100はステントの表面ではなく先行端縁に取り付けられてもよい。このワイヤ100は、ステント30がグラフト開口部または吻合部位85に配置された後に、取り付けられたワイヤ100を操作することによってステント30の外表面を血管またはグラフト15の内表面に向かって引っ張り、ステントを拡張させて血管またはグラフト壁の内表面105に隣接させるように構成されている。
【0039】
図8を参照すると、本発明のさらなる実施形態は、吻合部位における狭窄を処置または予防するためのキットであり、このキットは吻合部位への配置のために特別に構成された前述の屈曲ステント30(この図面には面取り、フレアまたはラッパ形、先細は示されない)またはあらゆる他のタイプのバルーン拡張可能型もしくは自己拡張型ステントと、ラップもしくはスリーブ110、または血管もしくはグラフト15もしくは20の外表面の吻合開口部85および吻合部位を囲む領域への配置のための移植可能な補綴装置とを含み、このスリーブは次いでたとえばラパマイシン(シロリムス)、パクリタキセル、タクロリムス、エベロリムス、ゾタロリムスおよびその他の細胞周期抑制剤または同様に機能する薬剤などの1つまたはそれ以上の抗血管増殖薬または薬剤を溶出する。生体適合性マトリックス材料、たとえばタンパク質、コラーゲン、フィブリン、キトサン、セルロースなど、および抗増殖剤に加えて、この移植可能装置は任意に、血管壁の中膜および外膜のコラーゲン蓄積を阻害する薬剤、ならびに血管壁の石灰化の低減を助ける医薬を含む。ラパマイシンは、本発明とともに用いるための抗増殖特性を有する好ましい薬物である。ラパマイシンは外側から血管および/またはグラフトの壁を通って、静脈および/または動脈および/またはグラフトの内部へと拡散する。外側から血管壁を通ってその内部へのラパマイシン(および抗増殖効果を有するその他の薬物)の溶出は、装置が移植された直後に始まり、その薬物は吻合部位における平滑筋細胞の増殖を阻害する。
【0040】
よって本発明のキットは、血管またはグラフトの内腔から生じる新規の処置を血管外の医薬的適用と組み合わせて提供することによって、狭窄の処置および/または予防を改善する。この組み合わせによって静脈、グラフト、動脈および吻合開口部の狭窄を予防できるだけでなく、ステント移植の後によく起こる再狭窄を処置できる。本発明の別の実施形態において、特別に構成されたステントは薬物を溶出することによって、スリーブが提供する血管外の医薬処置に加えて、グラフト開口部の近傍に医薬品を直接血管内送達する。
【0041】
「血液透析血管アクセスおよびその他の血管グラフトの不全を予防または処置するための装置および方法(Apparatus and Methods for Preventing or Treating Failure of Hemodialysis Vascular Access and Other Vascular Grafts)」と題する米国特許第6,726,933号と、「血管閉鎖装置に対する組織応答を調節するための医学的移植片および方法(Medical Implants and Methods For Regulating the Tissue Response to Vascular Closure Devices)」と題する米国特許出願公開第2005/0004158号との全内容を、ここに引用により援用する。
【0042】
本発明の方法は、上述のとおり吻合部位への配置のために特別に構成されたステント30を提供するステップと、医薬品を吸収させた生物学的マトリックスを含むスリーブ110を提供するステップと、吻合部位の血管外表面にスリーブを適用するステップと、静脈、血管およびグラフト15ならびに吻合部位の開口部85にステント30を挿入するステップとを開示する。一実施形態において、ステント30は、ステント30の外表面に付けられた外部ワイヤ100とともに構成される。図7に関して、収縮状態90のステント30は、次いでガイドワイヤ95を使用することによって静脈、グラフトまたは血管15に挿入される。ステントの近位端35が吻合開口部85または吻合部位の所定の位置に置かれた後に、ステントの外表面に付けられたワイヤ100を操作して、ステントの外表面を血管の内表面105に向かって引っ張ることによって、ステント30を拡張させて血管またはグラフト15の壁の内表面105に隣接させる。
【0043】
図9に関して、別の実施形態において、ステント30は収縮状態90で挿入され、収縮ステント90を囲むシース115によって収縮状態で保持される。ステント30の近位端35が吻合開口部85または吻合部位に配置された後、シース115が縮められる。シース115を縮めることによってステント30が拡張し、血管またはグラフト15の壁の内表面105に隣接する。最後にシース115が除去されて、吻合部位の所定の位置に拡張ステント30が残される。
【0044】
一実施形態において、ステントはバルーン拡張可能型ステントである。別の実施形態において、ステントは自己拡張型ステントである。
【0045】
図10に関して、別の実施形態において、バルーン拡張可能型または自己拡張可能型ステント30のウェブ構造55の外表面は、ポリマー、織物または生物学的コーティング120によって部分的または完全に覆われていてもよい。ステントに用いられ得るこうした被覆の例は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)である。
【0046】
別の実施形態において、本発明は、フィステル流出狭窄に対する独立型の処置としてAVフィステルの吻合部位およびその周囲において簡単なステント(すなわち非薬物コートの自己拡張型またはバルーン拡張型ステント)を用いることに関する。こうした方法は、薬物溶出スリーブの血管周囲適用を伴わない簡単なステントによって、手術のすぐ後に流出狭窄を予防的に処置するために用いられてもよい。言換えると、スリーブの使用は任意である。こうした簡単なステントは、既存のステント設計であってもよいし、本明細書の別の場所に記載される新規のステント設計のいずれかであってもよい。
【0047】
加えて、この方法のステップの順序はその新規性に対して決定的なものではない。
【0048】
図16A〜16Dは、面取りされたステント端縁と伝統的な直角の真っ直ぐ切断されたステント端縁との相違を示し、吻合の血管が互いに垂直に連結されていないときになぜ面取りされた端縁が吻合の最適な適用範囲を提供するかを示している。図16A(すなわち、真っ直ぐな端部のステントが吻合開口部の全周に完全に接触するには短すぎる場所に配置されており、吻合部位全体に延在していない)または図16B(すなわち、吻合開口部の全周に達するためにはステントが吻合を越えて血管に突出する必要がある)の状況はどちらも望ましくないため、「面取り」、「フレア」または「ラッパ形」にされた端縁を有するステントがこの問題を克服できる。「面取り」は吻合の最適な適用範囲を提供する助けとなり、隣接する血管への突出なしに吻合が完全に被覆されるようなステント配置を容易にする(図16Cを参照)。
【0049】
図17は、自己拡張型ステントのための伝統的な従来の配置系(遠位端が最初に配置され、近位端が最後に配置される)と、ステントの「最初に近位端、最後に遠位端」の配置を可能にする提案された系との相違を示している。
【0050】
図18は、AVグラフトとともに、血管内ステント30がどのようにして血管周囲薬物溶出マトリックス110とともに使用されるかを示している。このAVグラフトは、一片のPTFEグラフト15を動脈20と静脈20との間で吻合することによって構築されている。ステント30は吻合部位およびその周囲の内部に配置される(図18Aを参照)。薬物溶出マトリックス110は、血管20とグラフト15との外部面に配置される(図18Bを参照)。図18は、グラフト静脈吻合におけるこの使用を示している。この移植は、グラフト動脈吻合またはAVグラフト系の他の場所でも行われ得る。このステント30および薬物溶出マトリックス110の構成は、段落64〜73の「治療例(AVグラフト)」に考察される治療例において用いられたものである。
【0051】
図19は、AVフィステルに対して血管内ステントがどのようにして血管周囲薬物溶出マトリックスとともに使用されるかを示している。このAVフィステルは、静脈15のセグメントの端部を動脈20の側部に吻合することによって構築されている。この例示に示されるステント30は伝統的な面取りされていないステントであり、吻合部位およびその周囲の内部に配置されて流出静脈15の中に延在している(図19Aを参照)。薬物溶出マトリックス110は血管の外部面に配置される(図19Bを参照)。これらと同じ概念を、本発明において開示される特別に設計されたステントによって実行できる。このステント30および薬物溶出マトリックス30の構成は、段落74〜82の「治療例(AVフィステル)」に考察される治療例において用いられたものである。
【0052】
治療例(AVグラフト)
方法:ヒツジモデルを用いて原理研究の証明を行った。6mmのPTFE血管グラフトを、一方側の頸動脈と反対側の頸静脈との間で吻合し、ヒトの血液透析アクセスループと類似の構成の動脈静脈(AV)ループグラフトを作製した。合計4匹の動物の研究を行い、2匹の動物(2つのAVグラフト)はPTFEグラフト−静脈吻合に血管内自己拡張型ニチノールステントを受け取り、他方の2匹の動物(2つのAVグラフト)はPTFE−静脈グラフト吻合に血管内自己拡張型ニチノールステントと、血管周囲シロリムス(ラパマイシン)溶出コラーゲンマトリックスとを受け取った。シロリムス溶出コラーゲンマトリックスはPTFEグラフト静脈吻合の場所の外表面に移植されることによって、外部面のマトリックスが血管内のニチノール血管内ステントの場所にほぼ対応するようにされた。使用されたステントは自己拡張型ニチノールステントであり、長さは30mm、完全に拡張されたときの直径は8.0mmであった。コラーゲンマトリックスは既知用量のシロリムス(およそ75マイクログラム/cm)と組み合わされた。
【0053】
結果:コントラスト血管造影を行って、最初の手術から28日および56±1日後のグラフト、ステントおよび血管の状態を評価した。
【0054】
A.28日後の血管造影の結果を図12に示す。
【0055】
図12A、図12B:シロリムス溶出コラーゲンマトリックスを伴わずに血管内自己拡張型ニチノールステントを受け取った2匹の動物からの血管造影図。どちらの動物にもステント内の狭小化がみられる。
【0056】
図12C、図12D:血管内自己拡張型ニチノールステントとシロリムス溶出コラーゲンマトリックスとを受け取った2匹の動物からの血管造影図。図1Cには血管造影的に明らかな狭小化はなく、図1Dのステント内腔には微小な狭小化がある。
【0057】
B.56日後の血管造影の結果を図13に示す。
【0058】
図13A、図13B:シロリムス溶出コラーゲンマトリックスを伴わずに血管内自己拡張型ニチノールステントを受け取った2匹の動物からの血管造影図。ステントの狭小化がみられ、その狭小化は28日後の外観よりも明白である。
【0059】
図13C、図13D:血管内自己拡張型ニチノールステントとシロリムス溶出コラーゲンマトリックスとを受け取った2匹の動物からの血管造影図。ステントの微小な狭小化がある。
【0060】
オフライン測定値に基づく近似測定値を下の表に示す。すべてのステント寸法は既知のグラフト寸法である6.0mmに標準化されている。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

結論:
1.狭小化の程度(%ステント直径狭窄)は、ステントおよび薬物溶出性ステントマトリックスの両方を受け取った動物よりも、薬物溶出コラーゲンマトリックスを伴わずにステントを受け取った動物の方が高い。
【0064】
2.残余最小ステント内腔寸法(minimal stent lumen dimension:MLD)は、薬物溶出性ステントマトリックスを伴わずにステントを受け取った動物よりも、ステントと薬物溶出コラーゲンマトリックスとを受け取った動物の方が大きい。
【0065】
3.ステント%直径狭窄および最小ステント内腔寸法(MLD)におけるこれらの差は、指標手術の28日後および56±1日後の両方においてみられる。
【0066】
治療例(AVフィステル)
方法:ヒツジ動脈−静脈フィステルモデルを用いて原理研究の証明を行った。大腿静脈を大腿動脈に、(静脈の)端部から(動脈の)側部への様式で吻合することによって、両側性の動脈静脈フィステルを作製した。吻合の方法(端部から側部)は、ヒトにおいて透析アクセスを提供するために作製されるAVフィステルの構成(例、橈骨−橈側皮(radio−cephalic)、上腕−橈側皮)を模倣するものである。血管内ステントに加えて血管周囲の薬物溶出(例、シロリムス)を用いるという概念は、他の吻合構成(例、端部から端部、側部から側部など)、および静脈と動脈とが吻合されるその他の手術(例、冠状動脈バイパスグラフト手術、末梢血管バイパス手術)または2本の導管が吻合されるその他の手術(例、卵管、尿管、胆管、気管支気道、腸係蹄など)にも適用可能である。対照フィステルは、血管内自己拡張型ニチノールステントも血管周囲シロリムス(ラパマイシン)溶出コラーゲンマトリックスも受け取らなかった。処置フィステルは、吻合から始まって流出静脈に延在する(この場合は吻合近傍セグメントにわたる)血管内自己拡張型ニチノールステントと、血管周囲シロリムス(ラパマイシン)溶出コラーゲンマトリックスとを受け取った。シロリムス溶出コラーゲンマトリックスはフィステルの外表面に移植されることによって、外部面のマトリックスが血管内のニチノール血管内ステントの吻合場所にほぼ対応するようにされた。加えてシロリムス溶出マトリックスは、マトリックスが吻合の場所の動脈と静脈との両方を包むように吻合に移植された。下に考察される例示的実施例は、長さが30mmまたは40mmで完全に拡張されたときの直径が6mmである自己拡張型ステントの使用を示す。コラーゲンマトリックスは既知用量のシロリムス(およそ75マイクログラム/cm)と組み合わされた。
【0067】
結果:コントラスト血管造影を行って、第0日(手術日)および手術の28日後のフィステル、吻合、ステントおよび血管(対照および処置)の状態を評価した。下に考察される処置された動物例においては、手術の62日後にも血管造影を行った。
【0068】
A.第0日(手術日)の血管造影の結果を図14に示す。
【0069】
図14A、図14B:手術日(第0日)における対照AVフィステルの血管造影図。
【0070】
図14C、図14D:血管内自己拡張型ステント(左は6mm×30mm、右は6mm×40mm)および血管周囲シロリムス溶出マトリックスで処置された動物の手術日(第0日)における血管造影図。
【0071】
B.追跡血管造影の結果を図15に示す。
【0072】
図15A、図15B:手術の28日後の対照AVフィステルの血管造影図は、流出静脈および吻合の重篤な狭窄を示す。
【0073】
図15C、図15D:血管内自己拡張型ステント(6mm×30mmおよび血管周囲シロリムス溶出マトリックスで処置された動物において第28日(図15C)および第62日(図15D)に行われた左のAVフィステルの血管造影図。第28日には、対照と比べて吻合および流出静脈の内腔寸法の顕著な改善(開存性の改善)がみられる。この改善は第62日に行われた血管造影図でも維持されている。
【0074】
結論:
1.対照動物(血管内ステントも血管周囲シロリムス溶出コラーゲンマトリックスも無)における動脈−静脈フィステルの28日後の血管造影図は、吻合および流出静脈の吻合近傍セグメントにおける重篤な狭窄を示す。この狭窄のパターンは、ヒトにおける状況(例、透析を支持するために作製された橈骨−橈側皮フィステルにおける狭窄、冠状動脈および末梢動脈バイパスグラフト手術における静脈グラフトの吻合狭窄)を模倣している。
【0075】
2.処置された動物(血管内ステントおよび血管周囲シロリムス溶出コラーゲンマトリックス)は、吻合および流出静脈における内腔寸法の顕著な改善(内腔開存性の改善)を示す。
【0076】
3.この利益は28日後および62日後の血管造影図の両方にみられる。
【0077】
前述のものを含み、本明細書に引用されるすべての文書は、あらゆる目的に対してその全体が引用により援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステントであって、
前記ステントは、長手軸および周囲直径を有する管状の壁を有する本質的に管状の本体を規定する構造を含み、
前記構造は収縮された構成から拡張された構成に拡張可能であり、
前記ステントは吻合部位への配置のために前記長手軸に沿って湾曲されている、ステント。
【請求項2】
前記ステントにおける屈曲度は約5度である、請求項1に記載のステント。
【請求項3】
前記ステントにおける屈曲度は約10度である、請求項1に記載のステント。
【請求項4】
前記ステントにおける屈曲度は約15度である、請求項1に記載のステント。
【請求項5】
前記ステントにおける屈曲度は約20度である、請求項1に記載のステント。
【請求項6】
前記ステントにおける屈曲度は約25度である、請求項1に記載のステント。
【請求項7】
前記ステントにおける屈曲度は約30度である、請求項1に記載のステント。
【請求項8】
前記ステントにおける屈曲度は約35度である、請求項1に記載のステント。
【請求項9】
前記ステントにおける屈曲度は約40度である、請求項1に記載のステント。
【請求項10】
前記ステントにおける屈曲度は約45度である、請求項1に記載のステント。
【請求項11】
前記ステントにおける屈曲度は約50度である、請求項1に記載のステント。
【請求項12】
前記ステントにおける屈曲度は約55度である、請求項1に記載のステント。
【請求項13】
前記ステントにおける屈曲度は約60度である、請求項1に記載のステント。
【請求項14】
前記ステントにおける屈曲度は約65度である、請求項1に記載のステント。
【請求項15】
前記ステントにおける屈曲度は約70度である、請求項1に記載のステント。
【請求項16】
前記ステントにおける屈曲度は約75度である、請求項1に記載のステント。
【請求項17】
前記ステントにおける屈曲度は約80度である、請求項1に記載のステント。
【請求項18】
前記ステントにおける屈曲度は約85度である、請求項1に記載のステント。
【請求項19】
前記ステントにおける屈曲度は約90度である、請求項1に記載のステント。
【請求項20】
前記ステントにおける屈曲度は約95度である、請求項1に記載のステント。
【請求項21】
前記ステントにおける屈曲度は約100度である、請求項1に記載のステント。
【請求項22】
前記ステントにおける屈曲度は約105度である、請求項1に記載のステント。
【請求項23】
前記ステントにおける屈曲度は約110度である、請求項1に記載のステント。
【請求項24】
前記ステントにおける屈曲度は約115度である、請求項1に記載のステント。
【請求項25】
前記ステントにおける屈曲度は約120度である、請求項1に記載のステント。
【請求項26】
前記ステントにおける屈曲度は約125度である、請求項1に記載のステント。
【請求項27】
前記ステントにおける屈曲度は約130度である、請求項1に記載のステント。
【請求項28】
前記ステントにおける屈曲度は約135度である、請求項1に記載のステント。
【請求項29】
前記ステントにおける屈曲度は約140度である、請求項1に記載のステント。
【請求項30】
前記ステントは薬物溶出性ステントである、請求項1に記載のステント。
【請求項31】
前記薬物は抗増殖薬である、請求項30に記載のステント。
【請求項32】
前記薬物はラパマイシンである、請求項30に記載のステント。
【請求項33】
前記薬物はラパマイシンのアナログである、請求項30に記載のステント。
【請求項34】
前記薬物はエベロリムスである、請求項30に記載のステント。
【請求項35】
前記薬物はデキサメタゾンである、請求項30に記載のステント。
【請求項36】
前記薬物はパクリタキセルである、請求項30に記載のステント。
【請求項37】
前記薬物はタクロリムスである、請求項30に記載のステント。
【請求項38】
収縮状態の前記ステントの外表面に付けられたワイヤをさらに含み、前記ワイヤを操作することによって前記ステントの前記外表面を前記血管の内表面に向かって引っ張り、前記ステントを拡張させて内部の血管またはグラフト壁に隣接させる、請求項1に記載のステント。
【請求項39】
前記ステントは薬物溶出性ステントである、請求項38に記載のステント。
【請求項40】
前記薬物は抗増殖薬である、請求項39に記載のステント。
【請求項41】
前記薬物はラパマイシンである、請求項39に記載のステント。
【請求項42】
前記薬物はラパマイシンのアナログである、請求項39に記載のステント。
【請求項43】
前記薬物はエベロリムスである、請求項39に記載のステント。
【請求項44】
前記薬物はデキサメタゾンである、請求項39に記載のステント。
【請求項45】
前記薬物はパクリタキセルである、請求項39に記載のステント。
【請求項46】
前記薬物はタクロリムスである、請求項39に記載のステント。
【請求項47】
吻合部位における狭窄を予防するための方法であって、
a.長手軸および周囲直径を有する管状の壁を有する本質的に管状の本体を規定する構造を含むステントを提供するステップであって、前記構造は収縮された構成から拡張された構成に拡張可能であり、前記ステントは吻合部位への配置のために前記長手軸に沿って湾曲されている、ステップと、
b.治療剤を吸収させた生体適合性マトリックス材料を含むスリーブを提供するステップと、
c.前記スリーブを吻合部位の血管外表面に適用するステップと、
d.前記ステントを吻合部位の静脈開口部およびグラフト開口部に挿入するステップと
を含む、方法。
【請求項48】
前記治療剤はラパマイシンである、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記治療剤はラパマイシンのアナログである、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記治療剤はエベロリムスである、請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記治療剤はデキサメタゾンである、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
前記治療剤はパクリタキセルである、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
前記治療剤はタクロリムスである、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
前記マトリックス材料はコラーゲンを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
前記コラーゲンはI型ウシコラーゲンである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記コラーゲンは、I型、II型、III型、IV型、XI型、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記マトリックス材料はフィブリンを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項58】
前記マトリックス材料は多糖を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項59】
前記多糖はキトサンである、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記マトリックス材料は、コラーゲン、フィブリン、キトサン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項61】
前記ステントは薬物溶出性ステントである、請求項47に記載の方法。
【請求項62】
前記薬物は抗増殖薬である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記薬物はラパマイシンである、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
前記薬物はラパマイシンのアナログである、請求項61に記載の方法。
【請求項65】
前記薬物はエベロリムスである、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記薬物はデキサメタゾンである、請求項61に記載の方法。
【請求項67】
前記薬物はパクリタキセルである、請求項61に記載の方法。
【請求項68】
前記薬物はタクロリムスである、請求項61に記載の方法。
【請求項69】
前記提供されるステントは、収縮状態の前記ステントの外表面に付けられたワイヤをさらに含み、前記ステントを挿入するステップはさらに、
a.収縮状態の前記ステントを吻合部位の静脈およびグラフト開口部に挿入するステップと、
b.前記外部ワイヤを操作することによって前記ステントの前記外表面を前記血管の内表面に向かって引っ張り、前記ステントを拡張させて内部の血管またはグラフト壁に隣接させるステップと
を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項70】
前記ステントは薬物溶出性ステントである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記薬物は抗増殖薬である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記薬物はラパマイシンである、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記薬物はラパマイシンのアナログである、請求項70に記載の方法。
【請求項74】
前記薬物はエベロリムスである、請求項70に記載の方法。
【請求項75】
前記薬物はデキサメタゾンである、請求項70に記載の方法。
【請求項76】
前記薬物はパクリタキセルである、請求項70に記載の方法。
【請求項77】
前記薬物はタクロリムスである、請求項70に記載の方法。
【請求項78】
吻合部位における狭窄を予防するための方法であって、
a.ステント送達系を提供するステップであって、前記ステント送達系は、
i.収縮された構成のステントであって、前記ステントは、長手軸および周囲直径を有する管状の壁を有する本質的に管状の本体を規定するウェブ構造であり、前記ウェブ構造は収縮された構成から拡張された構成に拡張可能であり、前記ステントは吻合部位への配置のために前記長手軸に沿って湾曲されている、ステント、および
ii.前記ステントを収縮された状態に収縮するための前記ステントを囲むシース
を含む、ステップと、
b.治療剤を吸収させた生体適合性マトリックス材料を含むスリーブを提供するステップと、
c.前記スリーブを吻合部位の血管外表面に適用するステップと、
d.前記ステント送達系を吻合部位に向けるステップと、
e.前記シースを縮めるステップであって、前記シースを縮めることによって前記ステントが拡張して内部の血管またはグラフト壁に隣接する、ステップと
を含む、方法。
【請求項79】
前記ステントは薬物溶出性ステントである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記薬物は抗増殖薬である、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記薬物はラパマイシンである、請求項79に記載の方法。
【請求項82】
前記薬物はラパマイシンのアナログである、請求項79に記載の方法。
【請求項83】
前記薬物はエベロリムスである、請求項79に記載の方法。
【請求項84】
前記薬物はデキサメタゾンである、請求項79に記載の方法。
【請求項85】
前記薬物はパクリタキセルである、請求項79に記載の方法。
【請求項86】
前記薬物はタクロリムスである、請求項79に記載の方法。
【請求項87】
吻合部位における狭窄を予防するためのキットであって、
a.ステントであって、前記ステントは、長手軸および周囲直径を有する管状の壁を有する本質的に管状の本体を規定するウェブ構造を含み、前記ウェブ構造は収縮された構成から拡張された構成に拡張可能であり、前記ステントは吻合部位への配置のために前記長手軸に沿って湾曲されている、ステント、および
b.治療剤を吸収させた生体適合性マトリックス材料を含むスリーブ
を含む、キット。
【請求項88】
前記治療剤はラパマイシンである、請求項87に記載のキット。
【請求項89】
前記治療剤はラパマイシンのアナログである、請求項87に記載のキット。
【請求項90】
前記治療剤はエベロリムスである、請求項87に記載のキット。
【請求項91】
前記治療剤はデキサメタゾンである、請求項87に記載のキット。
【請求項92】
前記治療剤はパクリタキセルである、請求項87に記載のキット。
【請求項93】
前記治療剤はタクロリムスである、請求項87に記載のキット。
【請求項94】
前記マトリックス材料はコラーゲンを含む、請求項87に記載のキット。
【請求項95】
前記コラーゲンはI型ウシコラーゲンである、請求項94に記載のキット。
【請求項96】
前記コラーゲンは、I型、II型、III型、IV型、XI型、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項94に記載のキット。
【請求項97】
前記マトリックス材料はフィブリンを含む、請求項87に記載のキット。
【請求項98】
前記マトリックス材料は多糖を含む、請求項87に記載のキット。
【請求項99】
前記多糖はキトサンである、請求項98に記載のキット。
【請求項100】
前記マトリックス材料は、コラーゲン、フィブリン、キトサン、およびそれらの混合物からなる群より選択される、請求項87に記載のキット。
【請求項101】
前記ステントは薬物溶出性ステントである、請求項78に記載のキット。
【請求項102】
前記薬物は抗増殖薬である、請求項101に記載のキット。
【請求項103】
前記薬物はラパマイシンである、請求項101に記載のキット。
【請求項104】
前記薬物はラパマイシンのアナログである、請求項101に記載のキット。
【請求項105】
前記薬物はエベロリムスである、請求項101に記載のキット。
【請求項106】
前記薬物はデキサメタゾンである、請求項101に記載のキット。
【請求項107】
前記薬物はパクリタキセルである、請求項101に記載のキット。
【請求項108】
前記薬物はタクロリムスである、請求項101に記載のキット。
【請求項109】
AVフィステルの吻合における狭窄を予防するための方法であって、
a.長手軸および周囲直径を有する管状の壁を有する本質的に管状の本体を規定する構造を含むステントを提供するステップであって、前記構造は収縮された構成から拡張された構成に拡張可能であり、前記ステントは吻合への配置のために前記長手軸に沿って湾曲されている、ステップと、
b.前記ステントを前記吻合の静脈およびグラフト開口部に挿入するステップであって、前記ステントの前記吻合への配置または前記吻合の周囲への配置が、前記流出静脈の狭小化を防ぐ、ステップと
を含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A−2E】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公表番号】特表2013−517906(P2013−517906A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−551292(P2012−551292)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際出願番号】PCT/US2011/022795
【国際公開番号】WO2011/094459
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(512197548)
【出願人】(307047014)
【Fターム(参考)】