説明

吻合器具および吻合を実施する方法

【課題】従来手順および最小侵襲性手順の両方の間に、遠隔縫合を実施するための改良された外科器具および方法の提供。
【解決手段】遠位端、近位端ならびに回動可能に取り付けられた少なくとも1つのハンドル12を有するハウジング26;複数の外科ファスナー260を解除可能に支持するよう構成された、ハウジング26の遠位端に取り付けられた装填ユニット100;ハウジング26から間隔を空けた関係にある第1の位置から、ハウジング26により近い第2の位置に移動可能であるハンドル12であって、アクチュエーターと協同して、第1の位置から第2の位置へのハンドル12の移動の際に複数の外科ファスナー260を変形するハンドル12;複数の外科ファスナー260上に配置可能な保持リングであって、外科ファスナー260の変形後に、保持リングと該外科ファスナー260との間の組織を固定するような寸法である、保持リングを備える外科器具10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(1.技術分野)
本開示は、管状本体構造の吻合を実施するための外科器具および方法に関し、そしてよ
り詳細には、例えば、冠状動脈バイパス移植片手順の間に血管組織を接合するための器具
に関する。
【背景技術】
【0002】
(2.関連技術の背景)
冠状動脈疾患は、しばしば、冠状動脈中の損傷または閉塞により特徴付けられ、これは
、心筋、または心筋虚血への不適切な血流を生じ得、これは、代表的には、狭心症、心臓
組織の壊死(心筋梗塞)、および突然死のような合併症の原因である。いくつかの場合に
は、冠状動脈疾患は、薬物の使用により、ならびに/または挙動および食餌療法における
改変により処置され得る。その他の場合には、冠状動脈の拡張が、血管形成術、レーザー
切除、アテローム切除術、カテーテル法、および血管内ステントのような手順により達成
され得る。
【0003】
特定の患者には、冠状動脈バイパス移植片(「CABG」)が症状を軽減するための処
置の好適な形態であり、そしてこの移植片は、しばしば、平均寿命を増加する。CABG
手順は、1つ以上の冠状動脈への血管セグメントの直接吻合からなる。例えば、伏在静脈
の逆にしたセグメントが、1つの端部が動脈血供給源としての上行動脈に、そして他の端
部が動脈閉塞を超える点で冠状動脈につながれ得る。あるいは、胸骨に隣接する胸腔中に
位置する内部乳動脈が、同様に、左前下行動脈(「LAD」)のような、冠状動脈につな
がれるために適切である。
【0004】
CABG手順の実施には、代表的には、心臓、血管および関連組織への接近が必要であ
る。患者の胸腔への接近は、胸部に大きな長手方向の切開を作製することによる開放手順
で達成され得る。この手順は、胸骨正中切開と呼ばれ、胸骨を切断するためにのこぎりま
たはその他の切断器具を必要とし、胸腔の2つの対向する半分を離れて広げ、胸郭の内部
器官をむき出す。
【0005】
Buggeによる米国特許第5,025,779号は、対向する胸骨の半分を握り、そ
して胸腔を離して広げるように設計された開創器を開示している。この技法により作製さ
れた大きな開口は、外科医が外科手術部位を直接観察し、そして罹患器官上で手順を実施
することを可能にする。しかし、大きな切開および胸郭の実質的な転置を含むこのような
手順は、しばしば、患者に傷害性であり、顕著な付随するリスクをともなう。回復期間は
長期に渡り得、そしてしばしば苦痛をともなう。さらに、冠外科手術を指摘された患者は
、心臓に達する接近を含むリスクに起因して、このような外科手術をなしで済ます必要が
あり得る。
【0006】
Jakoによる米国特許第5,503,617号は、胸郭を開創かつ離して保持し、開
口「ウィンドウ」を通じて心臓または肺への接近を可能にする血管外科手術または心臓外
科手術における使用のための、外科医により保持されるように構成された開創器を開示す
る。この開創器は、剛直性のフレームおよびこの剛直性のフレームにスライド可能に接続
された転移フレームを含む。低部ブレードおよび上部ブレードが、それぞれ、上記剛直性
のフレームおよび転移フレームに回転可能に取り付けられている。この「ウィンドウ」に
よるアプローチは、外科医が、より小さな切開を通じ、および、胸郭のより少ない転置に
よる接近、そしてその結果、患者に対するより少ない外傷で接近を得ることを可能にする

【0007】
一旦、胸腔への接近が達成されると、心臓の外科手術が実施され得る。代表的には、こ
のような手順は、身体を安静にした間の循環を維持しながら、心拍を制止することが必要
である。塩化カリウム(KCl)のような心臓麻痺性の流体が、心臓の血管に送達され、
心筋を麻痺させる。StermanらによるWO95/15715に開示されるように、
例えば、心臓麻痺性の流体が、上行動脈中に挿入されたカテーテルにより冠状動脈を通じ
て心筋中に注入される。
【0008】
あるいは、心臓麻痺性流体は、患者頚部に接近した内部頚動脈に配置されたカテーテル
により、後戻り様式で冠状静脈を通じて注入される。このような手順は、心臓に隣接する
血管中に複数のカテーテルの導入を必要とし、これは、所望の血管が適切に位置決められ
、かつ接近されることを必要とする複雑な手順である。適切な配置を決定するために、ガ
イドワイアおよびカテーテルの進行を緊密に監視しなければならない。さらに、カテーテ
ルの導入は、次いで閉鎖されなければならない血管中の穿刺を形成し、そしてカテーテル
が通過しなければならない血管の内壁に対する外傷の増加したリスクがある。
【0009】
あるいは、このCABG手順は、心臓を鼓動させながら実施され得る。ここで、このよ
うな手順は、開胸術により実施されるとき、最小侵襲性直接冠状動脈パイパス(MIDC
AB)と一般に呼ばれている(胸骨切開により実施されるとき、この手順は、一般に、開
放冠状動脈バイパス(OP−CAB)と呼ばれる)。移植手順の間、心臓を安定化し、そ
して冠状動脈を通じる血流を制限するために外科器具が用いられる。心拍間のような心臓
サイクル中の特定の段階で生じるように、鼓動する心臓に対して実施される手順(例えば
、同調手順)に特別の注意を払わなければならない。
【0010】
CABG手順を実施するために、伏在静脈のような採集された血管セグメントは、末端
から側面への吻合により冠状動脈につながれる。代表的には、縫合糸を用いてこの血管セ
グメントをつなぐ。しかし、従来の縫合は、ウィンドウアプローチのような最小侵襲手順
の使用により複雑であり、例えば、外科手術部位への制限された接近および低下した可視
性が移植片に縫合糸を手動で付与する外科医の能力を妨げ得る。さらに、このCABG手
順が、心臓が鼓動している間に実施される場合、手動で縫合することは、困難かつ時間を
浪費する。なぜなら、この縫合は、心拍と同調されなければならないからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
認識され得るように、採集された血管セグメントを、冠状動脈に手動で縫合するプロセ
スは、時間がかかり、そして外科医の側にかなりの熟練を必要とする。得られる縫合され
た吻合もまた、外科医の技術に依存する。MIDCABのような最小侵襲性手順では、縫
合する能力は、制限された操縦性および低下した可視性に起因して、なおより複雑である
。本明細書に参考としてその全体が援用される、Hinchliffeらによる米国特許
第5,707,380号は、従来手順および最小侵襲性手順の両方の間に、血管に穴を開
けることなく遠隔縫合を可能にする装置および手順を開示する。しかし、従来手順および
最小侵襲性手順の両方の間に、遠隔縫合を実施するための改良された外科器具および方法
に対して継続する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(要旨)
第1の血管および第2の血管の吻合のための外科器具は、遠位端および近位端を有する
ハウジングと、これらの間に配置されたアクチュエーターとを備える。このアクチュエー
ターは、ハンドルおよびリンクアセンブリを含み、このリンクアセンブリは、ハンドルの
移動に応答して発射ストロークにより移動可能である。この器具はまた、上記ハウジング
の遠位端に、上記アクチュエーターと機械的に協同する使い捨て可能な装填ユニットが解
除可能に取り付けられ、該使い捨て可能な装填ユニットを含む。この使い捨て可能な装填
ユニットは複数の外科ファスナーを含み、これは、上記発射ストロークによる上記アクチ
ュエーターとリンクアセンブリの移動に際し変形する。
【0013】
好ましくは、上記リンクアセンブリは、少なくとも3つのリンクを含み、そして上記ハ
ンドルの発射ストロークは3つの段階、すなわち、上記リンクが、上記ハウジングを通っ
て配列される水平軸に対して斜めに配置される、第1の発射前段階;上記リンクが完全に
伸長し、そして上記水平軸に実質的に平行である中間段階;および上記リンクが、上記水
平軸に対して斜めに配置される、第3の発射後段階を含む。上記リンクアセンブリの上記
第1の段階から第2の段階への移動は、上記外科ファスナーを変形し、そして上記リンク
アセンブリの上記第2の段階から第3への段階への移動は、上記使い捨て可能な充填ユニ
ットから上記外科ファスナーを解除する。
【0014】
1つの実施形態では、上記リンクアセンブリは、スプリングを、上記発射ストロークの
第1の段階および第2の段階を通じて付勢し、これは、次に、上記リンクアセンブリの第
2の段階から第3の段階への移動を機械的に容易にし、上記外科ファスナーを解除する。
別の実施形態では、この外科器具は、上記アクチュエーターの作動を容易にする、第2の
ハンドルを備える。外科器具のなお別の実施形態は、ハンドルを含み、これはタブを有し
、これは、上記発射ストロークの終了後、上記ハウジングに近接して上記ハンドルをロッ
クする。
【0015】
本発明のその他の目的および特徴は、添付の図面を組み合わせて考慮された以下の詳細
な説明から明らかになる。しかし、図面は、例示のみの目的に設計され、そして本発明の
限定の規定としてではないことを理解すべきである。
【0016】
目的の外科器具および方法の例示の実施形態が図面を参照して本明細書に記載される。
項目1.第1の血管および第2の血管の吻合のための外科器具であって:
遠位端および近位端を有するハウジングと、これらの間に配置されたアクチュエーター
とを備え、該アクチュエーターが:
第1の位置から少なくとも1つの次の位置に移動可能であるハンドル;および
該ハンドルと機械的に係合し、そして該第1の位置から該少なくとも1つの次の位置へ
の該ハンドルの移動に応答する発射ストロークにより移動可能であるリンクアセンブリ;
を含み、
該ハウジングの遠位端に、該アクチュエーターと機械的に協同する使い捨て可能な装填
ユニットが解除可能に取り付けられ、該使い捨て可能な装填ユニットが、該発射ストロー
クによる該アクチュエーターの移動に際し変形する複数の外科ファスナーを含む、外科器
具。
項目2.前記リンクアセンブリが、少なくとも3つのリンクを含む、項目1に記載の外科
器具。
項目3.前記ハンドルおよびリンクアセンブリの発射ストロークが、少なくとも:
前記リンクが、前記ハウジングを通って配列される水平軸に対して斜めに配置される、
第1の発射前段階;
該リンクが完全に伸長し、そして該水平軸に実質的に平行である、中間段階;および
該リンクが、該水平軸に対して斜めに配置される、第3の発射後段階、を含む、項目2
に記載の外科器具。
項目4.前記リンクアセンブリの前記第1の段階から第2の段階への移動が、前記外科フ
ァスナーを変形する、項目3に記載の外科器具。
項目5.前記リンクアセンブリの前記第2の段階から第3への段階への移動が、前記使い
捨て可能な充填ユニットから前記外科ファスナーを解除する、項目3に記載の外科器具。
項目6.前記リンクアセンブリが、スプリングを、前記発射ストロークの第1の段階およ
び第2の段階を通じて付勢する、項目5に記載の外科器具。
項目7.前記リンクアセンブリの第1の段階および第2の段階を通じる移動の間の前記ス
プリングの付勢が、該リンクアセンブリの第2の段階から第3の段階への移動を機械的に
容易にし、前記外科ファスナーを解除する、項目6に記載の外科器具。
項目8.前記アクチュエーターの作動を容易にする、第2のハンドルをさらに備える、項
目1に記載の外科器具。
項目9.前記ハンドルが、前記発射ストロークの終了後、前記ハウジングに近接して該ハ
ンドルをロックするタブを備える、項目1に記載の外科器具。
【発明の効果】
【0017】
本発明によって、従来手順および最小侵襲性手順の両方の間に、遠隔縫合を実施するた
めの改良された外科器具および方法が提供された。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本開示の実施形態に従って構築された外科器具の斜視図である。
【図2】図2は、本開示の好適な実施形態に従って構築された単回使用装填ユニット(以後「SULU」)の拡大部分斜視図である。
【図2A】図2Aは、図2の示された詳細な領域の拡大斜視図である。
【図3】図3は、2つの管腔血管間の血管吻合を作成するために、SULUとの作動的係合のために設計されている外科ファスナーの斜視図である。
【図4】図4は、図1の外科器具の側面図である。
【図4A】図4Aは、取り付けられるカバープレートなしで示される、図1の外科器具のハンドル/アクチュエーターアセンブリの左側面図である。
【図5】図5は、SULUを受入れて係合するために装填前位置で示されるアクチュエーターアセンブリの遠位端の拡大斜視図である。
【図6】図6は、図2のSULUの裏面斜視図である。
【図6A】図6Aは、図2のSULUの下半分の裏面斜視図である。
【図7】図7は、図2のSULUの分離された部分の斜視図である。
【図7A】図7Aは、図7の示された詳細な領域のより拡大した斜視図である。
【図7B】図7Bは、図7の示された詳細な領域のより拡大した斜視図である。
【図7C】図7Cは、第1の引込みスリーブの基礎部分の拡大斜視図である。
【図7D】図7Dは、図7Cの示された詳細な領域のさらに拡大した斜視図である。
【図7E】図7Eは、2つの管腔血管間の血管吻合を維持するために、SULUとともに取り込まれ得る保持リングの拡大図である。
【図7F】図7Fは、SULUの発射前に外科ファスナーの周りに配置される図7Eの保持リングをともなう図2のSULUの拡大部分斜視図である。
【図7G】図7Gは、SULU発射後の外科ファナスーの周りに配置される図7Eの保持リングをともなう図2のSULUの拡大部分斜視図である。
【図7H】図7Hは、SULU発射後の外科ファスナーに対する、図7Eの保持リングの位置を示す、2つの管腔血管の断面図である。
【図7I】図7Iは、SULU発射後の外科ファスナーに対する、図7Eの保持リングの位置を示す、2つの管腔血管の拡大内面図である。
【図7J】図7Jは、2つの管腔血管間の血管吻合を維持するためにSULUとともに取り込まれる得る保持リングの代替実施形態の拡大図である。
【図7K】図7Kは、リングのアパーチャの1つの内部周縁に沿って形成されたスリットを示す、図7Jの詳細な領域の拡大図である。
【図7L】図7Lは、SULU発射後に真直ぐになる、保持リングの別の代替の実施形態の拡大図である。
【図7M】図7Mは、細いワイア様材料で構成される保持リングの別の代替の実施形態の拡大図である。
【図7N】図7Nは、その土台脚から伸びる隆起を有する、図3の外科ファスナーの代替の実施形態を示す図である。
【図7O】図7Oは、その土台脚から伸びる隆起を有する、図3の外科ファスナーの代替の実施形態を示す図である。
【図7P】図7Pは、その土台脚から伸びる隆起を有する、図3の外科ファスナーの代替の実施形態を示す図である。
【図7Q】図7Qは、その土台脚から伸びる隆起を有する、図3の外科ファスナーの代替の実施形態を示す図である。
【図7R】図7Rは、その土台脚から伸びる隆起を有する、図3の外科ファスナーの代替の実施形態を示す図である。
【図7S】図7Sは、その土台脚から伸びる隆起を有する、図3の外科ファスナーの代替の実施形態を示す図である。
【図8】図8は、図7の示された詳細な領域のより拡大された斜視図である。
【図9】図9は、図7の示された詳細な領域のより拡大された斜視図である。
【図10】図10は、カバープレートを分離して示すアクチュエーターアセンブリの斜視図である。
【図11】図11は、部分を分離して示される図10のアクチュエーターアセンブリの斜視図である。
【図12】図12は、発射のために装填されて示される図1の外科器具の水平方向の断面図である。
【図13】図13は、図12の示された詳細な領域の水平方向の断面図である。
【図13A】図13Aは、図13の詳細に示された領域のより拡大された水平方向の断面図である。
【図14】図14は、図12の切断線14−14に沿ってとられた外科器具の上面断面図である。
【図15】図15は、図14の詳細に示された領域のより拡大された上面断面図である。
【図16】図16は、図12の切断線16−16に沿ってとられた外科器具の正面断面図である。
【図17】図17は、第1の血管が挿入されたSULUの斜視図である。
【図18】図18は、第1の血管の端部が、第2の血管中の切開中に挿入される使い捨てユニットの遠位端上で裏返る、SULUの斜視図である。
【図19】図19は、SULUおよびその中に挿入されて示される裏返った第1の血管がある、第2の血管の内部の斜視図である。
【図20】図20は、SULUおよび発射前位置にある第2の血管内に挿入されて示される裏返った第1の血管の側面断面図である。
【図21】図21は、器具の第1の発射段階の間のカバープレートがないアクチュエーターアセンブリの側面図であって、そしてこのアクチュエーターアセンブリ内の第1の開創器の内部移動を示す図である。
【図21A】図21Aは、第1の発射段階後のアクチュエーターアセンブリの内部稼動要素の関連する位置を示す、側面断面図である。
【図21B】図21Bは、外科ファスナーを変形するための、第1の発射段階の間のSULUの移動を示す、側面断面図である。
【図21C】図21Cは、図21Bに詳細に示される領域のより拡大された側面断面図である。
【図21D】図21Dは、「止め金で締められた」形態で示された外科ファスナーのより拡大された斜視図である。
【図21E】図21Eは、第1の発射段階後のロッキングスリーブの関連する移動を示す側面図である。
【図22】図22は、第2の発射段階の間のアクチュエーターアセンブリの側面断面図であって、そしてこのアクチュエーターアセンブリ内の第2の開創器の内部移動を示す図である。
【図22A】図22Aは、第2の発射段階の間のSULUの側面断面図であって、そして第2の開創器の移動の直接結果として移動し、外科ファスナーを解除する、第2の引込みスリーブの移動を示す図である。
【図22B】図22Bは、第2の開創器の移動の直接結果として移動する、フィンガー様保持突起物の引込み移動を示すより拡大された側面断面図である。
【図23】図23は、発射後に開き第1の血管を解除する2つの支持体の回動可能な移動を示す、SULUの斜視図である。
【図24】図24は、完成した吻合を示す図である。
【図25】図25は、稼動する「ウィンドウ」を患者の心臓がむき出されて示す図である。
【図26A】図26Aは、図1−26に関して記載される器具の外科ファスナーの止め金パターンを示す図である。
【図26B】図26Bは、1つの可能な代替外科ファスナーの止め金パターンを示す図である。
【図27】図27は、本開示に従って吻合を作製する方法を示す概略図である。
【図28】図28は、本開示に従って吻合を作製する方法を示す概略図である。
【図29】図29は、本開示に従って吻合を作製する方法を示す概略図である。
【図30】図30は、本開示に従って吻合を作製する方法を示す概略図である。
【図31】図31は、本開示に従って大動脈中に吻合を形成するための大動脈穴あけ器の斜視図である。
【図32A】図32Aは、図31の大動脈穴あけ器の分離された部分の右斜視図である。
【図32B】図32Bは、図31の大動脈穴あけ器の分離された部分の左斜視図である。
【図33】図33は、本開示の実施形態に従って構築された外科器具の別の実施形態を示す図である。
【図34】図34は、本開示の実施形態に従って構築された外科器具の別の実施形態を示す図である。
【図35】図35は、本開示の実施形態に従って構築された外科器具の別の実施形態を示す図である。
【図36】図36A〜Bは、本開示の実施形態に従って構築された外科器具の別の実施形態を示す図である。
【図37−1】図37A〜Bは、本開示の実施形態に従って構築された外科器具の別の実施形態を示す図である。
【図37−2】図37−1のつづき。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(詳細な説明)
本明細書に開示された外科器具および方法の好適な実施形態を、血管吻合が、冠状動脈
(例えば、左前下行動脈(「LAD」))中の閉塞をバイパスするために、採集された血
管(例えば、伏在静脈)の部分を接続することにより作製される冠状動脈バイパス手順に
関して記載する。あるいは、現在開示される外科器具はまた、その他の管状管腔体構造の
吻合を実施する際に利用され得る。
【0020】
以下の図面および記載において、用語「近位」は、従来用いられているように、ユーザ
ーにより近接する、装置の端部をいい、その一方、用語「遠位」は、ユーザーからより遠
い端部をいう。
【0021】
同じ参照番号が類似または同一の部材を同定する図面を詳細に参照して、本開示の1つ
の実施形態の概略を図1に示し、そしてそこで外科器具10として示される。外科器具1
0は、2つの主要な部材、すなわち、アクチュエーターアセンブリ20および使い捨て装
填ユニット(「DLU」)または単回使用装填ユニット(「SULU」)100を備え、
これらは、これらの内部稼動部材とともに、外科ファスナー260を変形するために機械
的に協同し、2つの血管、例えば、伏在静脈320および大動脈310間の吻合を完成す
る(図21B)。
【0022】
好ましくは、種々の図面中に示される特定の外科器具10は、ほぼL字型の形状であっ
て、土台脚264および上方に伸びる支持脚262を含む、図3中に示されるファスナー
260に類似の外科ファスナーのアレイを変形するように設計されている。好ましくは、
土台脚264は、遠位端269を含み、これは、外科ファスナー260の変形に際し、伏
在静脈320および大動脈310を貫通するに十分な形状である。上方に伸びる支持脚2
62は、回動点265で土台脚264に取り付けられ、そして、その自由端部に、大動脈
310を貫通し、そして吻合後外科ファスナー260を適所に固定するために設計された
内側に伸びるプロング267を含む。回動点265はまた、外科器具10の操作に関して
以下により詳細に説明される(図7Nおよび7Sを参照のこと)、外科ファスナー260
の形成を促進し得る、浮き彫りまたは鋳造セクション261を含むような寸法であり得る
ことが工夫されている。
【0023】
図3に戻って詳細に、凸部263が、土台脚264と支持脚262との間で内側に突出
し、そして、好ましくは、図21Bおよび24に関して以下により詳細に説明するように
、吻合後、流体連通する大動脈310に対して伏在静脈320を保持するために、土台脚
264と協同するに十分な寸法である。外科ファスナー260は、特定の目的に依存して
異なるパターン/アレイでSULU上に配列され得ることが工夫されている。
【0024】
図1、4、10および11で最も良く観察されるように、アクチュエーターアセンブリ
20は、近位端24、遠位端22、および、それらの間で規定される、アクチュエーター
アセンブリ20の内部稼動部材を収容するためのハウジング26を含む。好ましくは、プ
レート90が、アセンブルされるとき、アクチュエーターアセンブリ20の内部部材をカ
バーする。より詳細には、ハウジング26は、少なくとも1つの機械的インターフェース
23aを含み、これは、2つの部材26および90を対合させて係合するためにカバープ
レート90上に配置された対応する機械的インターフェース23b(図10)と相互作用
する。
【0025】
アクチュエーターアセンブリ20はまた、外科器具10の発射を開始するハンドル12
、およびアクチュエーターアセンブリ20上へのSULU100の装填のためのスプリン
グ装填された親指タブ30を含み、その両者は、以下により詳細に説明される。好ましく
は、ハンドル12は、生物工学的表面を備え、これは、この器具の操作の間に、ユーザー
の手で心地よく握られるような輪郭および形状である。
【0026】
ここで、図11に戻って、好ましくは、ハウジング26内にアセンブルかつ保存される
、アクチュエーターアセンブリ20の内部稼動部材を詳細に示す。より詳細には、この作
動するアセンブリ20は、ねじれスプリング70を含み、これは、ハウジング26から突
出するポスト21の回りに取り付けられる。スプリング70は、ハウジングの下部に対し
て付勢される下部アーム74、および回転する2段階カム60に対して付勢される上部ア
ーム72を含む。
【0027】
ハンドル12は、ハンドル12の近位端から側方に突出し、そしてハウジング26の近
位端24内に配置される対応する凹部29に回動して係合し、ハウジング26に対してハ
ンドル12の枢軸移動を可能にするブッシング19を含む。ハンドル12はまた、その近
位端24に配置される、ハンドル12と組み合わされて移動するレバー16の近位端を受
け入れる、垂直方向に伸びるスロット27を含む。一対のフランジ14aおよび14bが
、このハンドル12から下方に伸び、そしてその間にレバー16を受け入れる。ハンドル
12上に配置される機械的インターフェース11aは、レバー16上に配置される対応す
る機械的インターフェース11bと係合し、レバー16をハンドル12に固定する。好ま
しくは、レバー16は、ハンドル12の下方移動の間にカム60と係合し、そしてその運
動を制御する形状の第1の凹部17を有する。この目的は、図21Aに関してより詳細に
説明される。レバー16はまた、第2の凹部15を含み、これは、ハウジング26内でス
プリング70の側方移動の制限を補助する。
【0028】
上記のように、作動するアセンブリ20はまた、その遠位端22の近傍に配置された長
軸方向に伸びるスロット28内で、ハウジング26の上にあるスプリング装填された親指
タブ30を含む。図10で最もよく観察されるように、スロット28は、それぞれ、ハウ
ジング26およびカバープレート90のノッチ18aおよび18bにより形成される。タ
ブ30は、親指ガイド35を含み、これは、スライドスリーブ32と協同し、SULUを
装填するためにタブ30の近位方向移動を促進する。タブ30の上に配置される下方に垂
れるフランジ34は、スライドスリーブ32の上に配置されるマウント31中に位置する
対応するスロット33に係合する。好ましくは、スライドスリーブ32は、ポスト36を
含み、これは、その上にねじれスプリング38を受け入れる寸法である。スプリング38
は、ハウジング26、およびスライドスリーブ32の近位エッジ37内に、スプリング3
8がスライドスリーブ32を、遠位端22の近位方向にあって最も遠位の位置に付勢する
ように配置されるブロック47の間で付勢されている。好ましくは、スリーブ32の遠位
端39は、弧状または半環状であり、そして第1の開創器80の対応する端部82にスラ
イド可能に係合する寸法であり、以下により詳細に論議されるように、SULU100が
装填された後、アクチュエーターアセンブリ20内にSULU100をロックする。
【0029】
アクチュエーターアセンブリ20はまた、第1の開創器80および第2の開創器50を
含み、これらは各々ハンドル12の移動により移動し、これは、次に、2段階カム60に
動きを与える。第1の開創器80は、それぞれ、遠位端82および近位端84を含み、そ
して、スライド可能に支持するスリーブ32のための遠位端82から近位方向に伸びる細
長い筋(furrow)83の例外を除いて寸法はほぼ管状である。開創器80はまた、
開創器80をカム60に固定するためのピン54を受け入れるためのスロット85、およ
び2つのカム随行部材51aおよび51bをそれぞれ受け入れるために近位端84の近傍
に位置する、別のスロットの対87および89を含む。好ましくは、この近位端84は分
岐し、その中に第2の開創器50の挿入を容易にする。
【0030】
図11および16で最も良く観察されるように、ガイド81が、ハウジング26中の細
長いリブ25a、およびカバープレート90中の細長いリブ25bと係合し、開創器80
をハウジング26にスライド可能に取り付ける。ガイド81は、リブ25aよりわずかに
長い寸法であり、ハンドル12の能動化に際し、ハウジング26に対する第1の開創器8
0の近位方向移動を可能にする。好ましくは、保護チューブ95が、第1の開創器80の
回りにはめ込み式に配置され、そしてその中にスライドスリーブ32のマウント31を固
定するスロット96によってスライドスリーブ32とともに移動する。保護チューブ95
もまた、開創の間に、第1の開創器80の側方移動を制限することを支援することが予期
される。チューブ95はまた、第1の開創器80中に位置するガイド81とほぼ整列する
細長いチャネル97を含み、両方の部材をリブ25aおよび25bに取り付ける。
【0031】
タブ30の近位方向移動が、スライドスリーブ32に一致する近位方向移動を与え、S
ULU100の一対の第1および第2の引込みスリーブ110および120(図7−9)
を受け入れるように設計されている、第1の開創器80内に配置されたキャリッジ86お
よび88をむき出しにする。より詳細かつ図5で最も良く観察されるように、キャリッジ
86は、形状がほぼ環状であり、そしてSULU100の第2の引込みスリーブ120の
端部122aおよび122bの合体により形成される外部リップ122を受け入れるよう
に設計されている。好ましくは、キャリッジ86は、図22Aに関してより詳細に説明す
るように、第1の引込みスリーブ110に対する第2の引込みスリーブ120の近位方向
移動を可能にするように、リップ122の寸法より大きい。同様に、キャリッジ88は、
形状が環状であり、そして第1の引込みスリーブ110の外部リップ112を受け入れる

【0032】
アクチュエーターアセンブリ20はまた、ハンドルロック40を含み、これは、第1の
開創器80の上にあり、そしてハウジング26とカバープレート90との間で側方に伸び
る。より詳細には、図10で最も良く観察されるように、ハンドルロック40は、スロッ
ト93aおよび93b内に取り付けられる。ハンドルロック40は、ハウジング26のレ
ッジ49に対してハンドルロック40を付勢するためのスプリング45(図12)を受け
入れるポスト43を含む。ハンドルロック40はまた、ハンドル12上に配置されるフラ
ンジ14aおよび14bと整列する一対のフランジ42aおよび42bを含む。図21お
よび22に最も良く示されるように、ハンドル12の下方移動は、フランジ14aおよび
14bがフランジ42aおよび42bを通り越し、その時点で、スプリング45がハンド
ルロック40を近位方向に強制し、フランジ14aおよび14bの上にフランジ42aお
よび42bをロックし、そしてハンドル12を下方に配置される位置にロックするまで、
スプリング45に対して、最初は遠位方向にハンドルロック40を押付ける。好ましくは
、フランジ42aおよび42bは、それらの間にレバー16を受け入れるためにスロット
41を規定する。
【0033】
アクチュエーターアセンブリ20はまた、鍵様の遠位端53およびT字型のヒールセク
ション56を有する細長いアーム52を含む第2の開創器50を含む。好ましくは、T字
型ヒールセクション56は、その近位方向に配置される、ねじれスプリング55に取り付
けられる。第2の開創器50は、好ましくは、その近位端で分岐し、各々が、それぞれ、
カム随行部材51および51bを受け入れるためのスロット57およびアパーチャ59を
有する、2つの長軸方向に伸びるフィン58aおよび58bを形成する。スプリング55
が、アーム52の上にあり、そして外科器具10の操作に関して以下により詳細に説明さ
れる、第2の開創器50が開創するとき、ヒールセクション56を近位に付勢する、細長
いストップ65に対して付勢されることが予期される。
【0034】
上記のように、第1の開創器80は、ピン54により2段階カム60に固定される。よ
り詳細には、カム60は、カム60を第1の開創器80に固定するピン54を受け入れる
ために、その遠位端の近傍に位置するアパーチャ61を含む。カム60はまた、それぞれ
が、対応する随行部材51aおよび51bに動きを与えるための2つの別個のステージ、
すなわち、62a、62bおよび64a、64bを各々含む、一対のほぼ垂直の弧状の形
状のスロット62および64を含む。ノブ66が、カム60の最上部分の近傍に位置し、
そして、これは、図12に最も良く示されるように、レバー16内に位置する凹部17に
スライド可能に係合する寸法である。
【0035】
図21Aおよび22に最も良く示されるように、ハンドル12の下方移動の間に、レバ
ー16が、ノブ66が凹部17に沿って近位方向に動き、そしてカム60をピン54の回
りに下方に回動させるように、ノブ66を下方に付勢することが予期される。次に、随行
部材51aおよび51bが、スロット64および62に沿って動き、そして以下により詳
細に説明される、第1および第2の開創器80および50を近位方向に移動させる。好ま
しくは、凹部17、ノブ66ならびにスロット64および62は、カム随行部材51aお
よび51bの移動およびタイミングを制御する寸法であり得る。例えば、ステージ64a
、64bならびに62aおよび62bは、第1および第2の開創器のタイミングと移動と
を制御し得る寸法であり得、それは、次いで、吻合の効率に影響し得る。
【0036】
好ましくは、細長いストップ65が、カム60の遠位端に固定され、そして第2の開創
器50の上にある。細長いストップ65は、遠位端69と近位端67とを含み、これは、
各々がそれらを通って配置されるアパーチャ63aおよび63bをそれぞれ有する、2つ
の伸張部分67aおよび67bを含む。好ましくは、ストップ65の端部69は、それが
、SULU100内に位置する対応する付勢ポスト102に係合するような十分な寸法で
ある。
【0037】
好ましくは、第2の開創器50、カム60および細長いストップ65は、第1の開創器
80中への挿入の前に予備アセンブルされる。より詳細に、そして図10−12に最も良
く示されるように、細長いストップ65は、第2の開創器50のアーム52の上、T字型
ヒールセクション56と端部53との間に位置する。ストップ65のアパーチャ63aお
よび63bは、カム60のアパーチャ61と、一旦カム60と細長いストップ65が第1
の開創器80のスロット91内に挿入されると、ピン54がスロット85により2つの部
材65および60を一緒にロックするように整列する。
【0038】
カム60は、開創器50およびカム60が第1の開創器のスロット91内に挿入される
とき、随行部材51aおよび51bがそれぞれスロット87およびスロット89を通って
挿入され、そして第1の開創器80内の2つの部材50および60とスライド可能に連結
するように、第2の開創器50の伸長するフィン58aと58bとの間に位置する。ハン
ドルロック40は、次いで、上記のように、第1の開創器80の上に位置する。次いで、
第1の開創器80が、ハウジング26およびカバープレート90のそれぞれリブ25aお
よび25b上に取り付けられ、そしてスライドスリーブ32とともにタブ30がその上に
係合する。次いで、ハンドル12およびレバー16が、上記のようにアセンブルされ、そ
してポスト21の回りに回動可能に取り付けられる。次いで、スプリング70が、この結
果、ハウジング26に対してハンドル12を付勢するように配置される。
【0039】
ここで図7−9に戻り、これはSULU100の内部稼動部材の展開図を示し、これは
、上記のように、ファスナー260を変形するために協同し、そして図24に示されるよ
うに、伏在静脈320を大動脈310に流体連結して固く固定する、第1の引込みスリー
ブ110と第2の引込みスリーブ120とを含む。
【0040】
より詳細に、そして図7−7Dで最も良く観察されるように、第1の引込みスリーブ1
10は、チューブ様ベース110aおよび弧状のスリーブキャップ110bを含み、これ
らは一緒に引込みスリーブ110を規定する。ベース110aは、その近位端に位置する
環状リップ112および対向する端部に位置する半環状のアンビル118aを含む。その
中に、細長いスリット182aを有するロッキングタブ116aが、リップ112とアン
ビル118aとの間に配置される。長手方向に伸長するスロット114aが、このリップ
112とロッキングタブ116aとの間に配置される。少なくとも1つのインターフェー
ス117aが、ベース110aから下方に垂れ下がり、スリーブキャップ110b上に配
置された対応する機械的インターフェース117bに機械的に係合する(図7)。好まし
くは、フランジ113aが、スロット114aの下に配置され、そしてスリーブキャップ
110b上に位置する対応するフランジ113bおよび113bに係合するのに十分
な寸法である。スロット114aは、以下により詳細に説明される、上部外科ファスナー
支持体130aから突き出るタブ138a(図13)を受け入れるに十分な寸法である。
【0041】
スリーブキャップ110bは、以下により詳細に説明される、低部外科ファスナー支持
体130bから突き出るタブ138bを受け入れるために、半環状のアンビル118b、
および一緒になってスロット114bを規定するフランジ113bおよび113b
ら構成される分岐近位端113を含む。スリーブキャップ110bはまた、ベース110
a上に配置された対応する機械的インターフェース117aと連結し、スリーブキャップ
110bをベース110aと係合する機械的インターフェース117bを含む。その中に
位置する細長いスリット182bを有するロッキングタブ116bが、近位端113とア
ンビル118bとの間に配置される。好ましくは、長軸方向に伸びる開口111bが、ロ
ッキングタブ116bの近位方向に配置され、そして図17および18で最も良く観察さ
れるように、ベース110a中の対応する開口111a(図7C)と、伏在静脈320が
それを通って受け入れられるように整列する。
【0042】
図2Aおよび7Dは、各々がその中に外科ファスナー260を支持する構成かつ寸法の
ファスナー支持チャネルまたはクレイドル119aの半環状アレイを含むアンビル118
aのより拡大した図を示す。スリーブキャップ110bもまた、ファスナー支持チャネル
119bを含み、これは、ベース110aおよびスリーブキャップ110bがアセンブル
されるとき、アンビル118aおよび118bの内表面の回りに環状アレイを形成するよ
うに整列される。アンビル118aおよび118bは、特定の目的に依存して、外科ファ
スナー260の異なるアレイを支持するように設計され得ることが考案される。好ましく
は、各チャネル119aおよび119bは、アンカー187aおよび187bにより分離
され(図7)、これは、第2の引込みスリーブ120の突出フィンガー124a、124
bを解除可能に保持する(図2A)。支持チャネル119aおよび119bは、各々、近
位端186a、186b、ならびに遠位端184aおよび184bを含み、それらは、そ
の目的が、外科器具10の操作に関して以下に説明される、半径方向にオフセットする様
式で、チャネル119aおよび119b内に外科ファスナー260を着座するために、互
いに半径方向にオフセットされている。好ましくは、各チャネル119aの遠位端184
aは、図13Aで最も良く観察されるように、外科ファスナー260の端部の弧状形状に
対応するように弧状である。遠位端184aを弧状にすることは、外科ファスナー260
を、図21−22を参照して以下に説明するように、第1の開創器80による第1の引込
みスリーブ110の引込みに際し、上方かつ近位方向に変形させることが予期される。
【0043】
図7−7Dはまた、一緒になって第2の引込みスリーブ120を規定する、上部カフ1
20a、低部カフ120bおよび外部キャップ128を含む第2の引込みスリーブ120
を示す。より詳細には、上部カフ120aは、1つの端部に半環状リップ122aを、そ
して対向する端部に複数の保持フィンガー124aを含む。上部カフ120aはまた、好
ましくは、第1の引込みスリーブ110aのスロット114aと整列する第1のスロット
101を含み、それを通る上部ファスナー支持体130bのタブ138aを受け入れる(
図20)。第2のスロット126aは、カフ120aがベース110aの上にスライド可
能に取り付けられるとき、ロッキングタブ116aを受け入れる。インターフェース12
9aは、低部カフ120b上に位置する対応するインターフェース129bに機械的に係
合する。
【0044】
低部カフ120bは、分岐近位端107を含み、これは、それを通る低部ファスナー支
持体130bのタブ138b、およびその対向する端部から伸びる複数の保持フィンガー
124bを受け入れるためのスロット108を規定するフランジ107bおよび107
を含む。スロット126bは、カフ120bがその上にスライド可能に取り付けられ
るとき、スリーブキャップ110bのロッキングタブ116bを受け入れるために、フラ
ンジ107b、107bとフィンガー124bとの間に配置される。長軸方向に伸び
る開口121bがスロット126bの近位方向に配置され、そして上部カフ120a中の
対応する開口121aと整列し、そしてまた第1の引込みスリーブ110の開口111a
および111bとも、図17および18最も良く観察されるように、伏在血管320がそ
れを通じて受け入れられ得るように整列する。
【0045】
半環状のカフキャップ128が低部カフ120bの上に配置され、そして半環状リップ
122aおよび122bが環状リップ122に対するように、上部カフ120aと機械的
に調和する。より詳細には、カフキャップ128は、カフキャップ128、上部カフ12
0aおよび低部カフ120bのすべてが第2の引込みスリーブ120の引込みに際し合体
して移動するように、上部カフ120a中に位置する対応する複数のノット123aと機
械的に係合する複数のつめ(detent)123bを含む。好ましくは、スリーブキャ
ップ128は、その遠位端が分岐してスロット109を形成し、これは、タブ138bを
受け入れる寸法である。
【0046】
認識され得るように、フィンガー124aおよび124bは、第2の引込みスリーブ1
20の引込みに際し移動し、発射後、外科ファスナー260を解除する。より詳細には、
そして図2Aおよび7Aに最も良く観察されるように、各フィンガー124aの遠位端は
フォーク形状であり、そしてファスナー支持チャネル119a内の外科ファスナー260
を保持する第1のプロング127a、および、アンカー187aと連結し、外科器具10
の操作に関してより詳細に説明される、第2の開創器50により解除されるまで(図22
Aおよび22B)、第1の引込みスリーブ110にフィンガー124aを解除可能にロッ
クする第2のプロング125aを含む。同様に、低部カフ120bの各フィンガー124
bは、同様の様式で稼動するプロング127bおよび125bを含む。
【0047】
先に記載のように、SULU100はまた、ファスナー支持体130を含み、これは、
上部支持体130aおよび低部支持体130bを有し、これは、アセンブルされるとき、
それらの個々の作動部材とともに、第1および第2の引込みスリーブ110および120
をそれぞれ内部に収容する上部支持体130aおよび低部支持体130bを有する。上部
支持体130aおよび低部支持体130bは各々、各々が遠位端135aおよび135b
から半径方向に突き出るブレース137aおよび137bのアレイをそれぞれ有する遠位
端135aおよび135bを含む。図2で最も良く示されるように、各ブレース137a
および137bは、チャネル119aまたは119bの1つ内に配置される外科ファスナ
ー260の上方に伸びる支持脚262を支持する。複数の半径方向に伸びるスロット13
9aおよび139bが、その中に外科ファスナー260を保持するため、そして各ファス
ナー260の所望されない側方移動を制限するため、各支持ブレース137a、137b
間に配置される。各外科ファスナー260は、スロット139a、139b内に、吻合後
、凸部263がブレース137a、137bから外側に突き出て、土台脚264と協同し
てLADおよび/または大動脈310に対して伏在静脈320を保持する(図21Bおよ
び24)ように配置されることが予期される。
【0048】
上部支持体および低部支持体130aおよび130bはまた、それぞれ、ヒンジ136
aおよび136bを含み、これは、SULU100がアセンブルされるとき、互いに対合
して係合し、開放位置(図23)から閉鎖位置(図2)まで支持体130aと130bと
の間の回転可能な移動を可能にする。好ましくは、ピン180が、この2つのヒンジ13
6aおよび136bを一緒に固定する(図6)。上部および下部支持体130aおよび1
30bは各々、図17および18で最も良く観察されるように、それを通って伏在静脈3
20を受け入れるために上記の開口121a、121b、111aおよび111bと整列
する長軸方向に伸びる開口133a(図23)および133bを含む。長軸方向に配向さ
れたスロット131aおよび131bは、第2の引込みスリーブ120のスロット126
aおよび126bに関して上記の記載の様式とかなり同じ様式で、ロッキングタブ116
aおよび116bを受け入れるために、上部および下部支持部材130aおよび130b
上の開口133aおよび133bとそれぞれ隣接して配置される。
【0049】
低部支持体130bは、上部ロッキングスリーブ140aと関連する対応する一対のフ
ランジ144aおよび144bをスライド可能に受け入れるために、開口133bの対向
する側面上に配置される一対のショルダー132aおよび132bを含む。より詳細には
、各フランジ144aおよび144bは、上部ロッキングスリーブ140aから遠位方向
に伸び、低部支持体130bのショルダー132aおよび132bを受け入れるために、
その中に、それぞれ、ノッチ149aおよび149bを規定する。
【0050】
上部ロッキングスリーブ140aは、その中に配置されるC字型クリップ146a(図
8)を含み、これは、第1の引込みスリーブ110のロッキングタブ116aのスリット
182aをスナップロックして係合するために、一対の対向するフック147aを有する
。低部ロッキングスリーブ140bは類似の様式で作動し、そして第1の引込みスリーブ
110のロッキングタブ116bのスリット182bをスナップロックして係合するため
に、一対の対向するフック147bを含む。上部ロッキングスリーブ140aはまた、図
17および18で最も良く観察されるように、それを通って伏在静脈320を受け入れる
ために上記の開口133a、133b、121a、121b、111aおよび111bと
整列する開口141aを含む。第2の引込みスリーブ120の引込みに際し、上部ロッキ
ングスリーブ140aがショルダー132bおよび134bに対して近位方向に移動し、
そしてショルダー132a、132bと脱係合し、これは、次に、上部支持体および下部
支持体130aおよび130bをピン180の回りに回動させ、そして伏在静脈320を
解除する(図21Eおよび23)。これは、以下に記載されるように、器具の操作に関し
てより詳細に説明される。
【0051】
SULU100はまた、付勢ポスト102を含み、これは、互いに対して固定された関係
で上部および低部支持体130aおよび130bを機械的に整列する。より詳細には、付
勢ポスト102は、近位端103および遠位端105を含み、そして上部および低部支持
体130aおよび130bのタブ138aおよび138bをそれぞれ受け入れるために、
それを通って配置される垂直に配向されたキャビティ106を有する。上記のように、タ
ブ138aおよび138bは、第1の引込みスリーブ110のスロット114a、114
bを、そして第2の引込みスリーブ120のスロット101、108および109を通過
し、そして図21Bで最も良く観察されるようにキャビティ106内で互いに機械的に整
列する。
【0052】
付勢ポスト102はまた、第1の引込みスリーブ110が第1の開創器80によって引
っ込まれた後、第1の引込みスリーブ110を退避位置に摩擦によりロックするために、
その外周縁に沿って配置されるテーパー状のスペーサー104を含む。より詳細には、S
ULU100がアセンブルされるとき、そして外科器具10を発射する前には、付勢ポス
ト102は、第1の引込みスリーブ110に対し、スペーサー104がリップ112に近
接するように配置される(図13)。第1の引込みスリーブ110の引込みの間、リップ
112は、スペーサー104上で押され、そして第1の引込みスリーブ110は退避位置
にロックされ、そしてはね返りが防がれる。以下により詳細に説明するように、退避位置
に第1の引込みスリーブ110をロックすることはまた、第1の引込みスリーブに対する
退避のために、第2の引込みスリーブ120を予備配置する(図22A)。
【0053】
図7E−7Iは、SULU100と組み合わせた使用のために設計されている保持リン
グまたはストラップ500の1つの実施形態を示す。この保持リング500は、SULU
100が発射され、そして外科ファスナー260が解除された後、2つの管腔血管310
と320との間の一致した吻合を維持するよう工夫されている。
【0054】
より詳細に、そして図7Eに最も良く示されるように、好ましくは、この保持リング5
00は、種々の管腔脈管と生物学的に適合する薄いシート様の半柔軟性の材料から構成さ
れる。保持リング500は、形状がほぼ環状であるが、例えば、卵型のように、SULU
100に配置されるとき、外科ファスナー260の特定の構造に依存してその他の形状の
寸法であり得る。保持リング500は、一連の交互するループ510および弧状部分52
0を含み、これらは、リング500から伸びる軸「A」の回りに半径方向に形成される。
各ループ510は、その中にアパーチャ512を規定し、これは、外科ファスナー260
の遠位端269を受け入れる寸法である。
【0055】
保持リング500の全体幅「W」は、ループ510の主直径「D」の半径寸法、および
弧状部分520がループ510の直径を超えて伸びる距離「E」の両方に依存するように
工夫されている。これらの寸法「D」および/または「E」のいずれかは、特定の目的に
依存して、リング500の全体幅「W」を変更するために変動され得るように工夫されて
いる。
【0056】
図7Fに最も良く示されるように、保持リング500は、SULU100のアンビル1
18a、118b上で、各外科ファスナー260の遠位端269がループ510の個々の
アパーチャ512を通って配置され、そして弧状部分520が各外科ファスナー260間
に配置されるように配置される。このリング500は、外科ファスナー260と軽い摩擦
適合または張力係合で保持され、SULU100の発射前の不慮の滑りを防ぐように工夫
されている。
【0057】
図7Gおよび7Hは、SULU100の発射後のリングおよび外科ファスナーの位置を
示す。認識され得るように、そして以下により詳細に説明されるように(すなわち、器具
10を装填すること、アンビル118a、118b上の静脈320の裏返し、および器具
10の発射に関して)、発射されるとき、外科ファスナー260の遠位端269は、SU
LU100の近位端に向かって後方に押される。変形の間同時に、遠位端269は、アパ
ーチャ512を通って、遠位端269が静脈320を突き通り、それによって静脈320
をリング500と外科ファスナー260の遠位端269と間に固定するように押される(
図7Hを参照のこと)。回動点265はまた、外科ファスナー260の形成を容易にし得
る浮き彫りまたは鋳造セクション261を含む寸法であり得るように工夫されている(図
7Nおよび7Sを参照のこと)。
【0058】
認識され得るように、このリング500は、静脈320がファスナー260の土台脚2
64に沿って滑ることを防ぐ。より詳細に、そして図7Hで最も良く観察されるように、
弧状部分520、これは、上記で述べたように、ループ510を超えて伸び、静脈320
の外表面に接し、そしてリング500をファスナー260の土台脚264に沿って移動す
ることを防ぐ。アパーチャ512の内周縁はまた、摩擦様材料でコーティングされ得、こ
れもまた土台脚264に対するリング500の滑りを制限し、これもまた、結果として、
静脈320のすべりを防ぐ。図7N−7Sに最もよく示されるように、ファスナー260
は、土台脚264の外表面を超えて伸びる隆起部268を含むように製造され得ることも
また工夫されている。好ましくは、隆起部268は、リング500に対して係合および/
または接し、リング500がファスナー260の土台脚264に沿って滑ることを防ぐよ
うな寸法である。あるいは、このファスナー260は、土台脚264に沿って鋳造表面(
図示せず)を含むような寸法であり得、これもまたリング500が滑ることを防ぐ。
【0059】
認識され得るように、ファスナー260に沿う静脈320の滑りを防ぐことは、図7I
の内部図に最も良く示されるように、管腔血管310と320との間の信頼性があり、か
つ一致した吻合を維持する。
【0060】
図7Jおよび7Kは、本開示に従う保持リング600の代替形態を示す。より詳細には
、保持リング600は、保持リング500の多くの特徴、すなわち、交互ループ610お
よび弧状部分620、および各ループ610に関連するアパーチャ612を含み、リング
600がアパーチャ612の内周縁に沿って配置されたスリット614を含むことが例外
である。スリット614は、SULU100の発射後、外科ファスナー260の土台脚2
64に対してリング600を押し込むことを可能にするように工夫されている。認識され
得るように、これはまた、静脈320が滑ることを防ぐ。
【0061】
図7Lおよび7Mは、保持リングの他の代替実施形態を示す。より詳細には、図7Lは
、SULU100が発射された後、真っ直ぐになる弧状部分を含む保持リング650の代
替実施形態を示す。リング650を真っ直ぐにすることは、リング650の総半径寸法を
拡大し、そして、その結果、SULU100が発射された後、外科ファスナー260の土
台脚264に対して、ループ660を摩擦適合係合させて保持するように工夫されている
。図7Mは、細いワイア様材料から製作される保持リング680の別の実施形態を示す。
【0062】
ここで、図5で最も良く観察されるように、アクチュエーターアセンブリ20内のSU
LU100の装填の詳細に戻り、親指タブ30は、スプリング38に対し、親指ガイド3
5を経由して近位方向に移動し、これは、次いで、スリーブ32および保護カバー95を
近位方向に移動し、キャリッジ86および88をむき出しにする。次いで、このSULU
100は、キャリッジ88内にリップ112を、そしてキャリッジ86内にリップ122
を配置することにより、アクチュエーターアセンブリ20内に装填される。図13に最も
良く示されるように、リップ122は、キャリッジ86の遠位端近傍に位置し、これは、
第2の開創器50の能動化に際し、リップ122を、そしてそれ故、第2の引込みスリー
ブ120を第1の引込みスリーブとは独立に移動することを可能にする。対照的に、キャ
リッジ88は、リップ112がキャリッジ88内にぴったり適合するように、キャリッジ
86より小さい寸法である。一旦SULUがキャリッジ86および88内に位置すると、
親指タブ30が解除し、そしてスプリング38は、リップ112および122上でスリー
ブ32および保護カバー95を遠位に付勢し、アクチュエーターアセンブリ20内にSU
LU100をロックする。
【0063】
図33−37Bは、本開示に従う外科器具の別の実施形態を示し、そして本明細書では
、一般に、外科器具1000と称される。より詳細には、外科器具1000は、外科器具
100と同じか、または類似の原理に沿って本質的に作動し、そこでは、同じ参照番号が
類似または同一の部材を識別し、器具1000は、一般に、より生物工学的な様式で作動
するように設計されていることが例外である。その他の特徴もまた明瞭である。図1に示
される先に記載の実施形態のハンドル12と、図33−37Bに示されるハンドル101
2との間の主要な差異は、器具の能動化のために必要な低減された発射力または能動力で
ある。より詳細には、より低い発射力は、(回転するカム機構60の代わりに)総発射力
または能動力を低減する、代替のリンク機構1060を用いることにより達成される。リ
ンク機構1060は、スプリング1055と協同する、リンク1061、1062および
1063を含み、以下により詳細に説明するように、外科ファスナー260を変形し、そ
して変形後にファスナーを解除させることの両方を行う。それを考慮して、ハンドル10
12は、器具10のハンドル12より小さい寸法およびより軽い重量であり得る。
【0064】
示されるように、好ましくは、ハンドル1012は、ツーパーツハンドルとして構成さ
れ、これは、ユーザーにとってハンドルの使用および取り扱いを容易にする。より詳細に
は、ハンドル1012aは、ハウジング1090(または図37Aおよび37Bのツーパ
ーツハウジング1090aおよび1090b)とともに、第1の予備発射位置または開放
位置から、第2の閉鎖またはフラッシュ位置にピボット1019の回りを回動する。認識
され得るように、これは、器具1000の発射運動である。好ましくは、低部ハンドル1
012bは、ハウジング1090の対向する端部上に位置し、そしてフィンガーレスト1
013を含み、器具1000の取り扱いおよび使用を容易にする。
【0065】
器具1000の増大した生物工学的特徴は、同様の器具10とは異なる。より詳細には
、グリップ表面、例えば、グリップリブ1021(図33)、ハンドレスト1023(図
33)ならびにフィンガーレスト1013および1027(図34)を含めることを、ハ
ウジング1090に沿った種々の位置に配置し得、器具1000の取り扱いを容易にする
。さらに、これらのグリップ領域(リブ1021、ハンドレスト1023ならびにフィン
ガーレスト1013および1027)はまた、器具を発射するとき、ユーザーに、増大し
た生物工学的「感覚」を提供する。例えば、一旦、大動脈切開中に挿入されると、この器
具は、種々のグリップ表面に沿って取り扱われ得、いずれかの手でハンドル1012の能
動化を容易にする。
【0066】
ハウジング1090は、例えば、スプライン様形状、グリップパッド、ハンドレスト、
さらなるフィンガーレストなどの、その他の生物工学的に有利な特徴または設計を含むよ
うに設計され、器具1000の取り扱い、使用および/または審美的アピールを改善し得
る。例えば、フランジ1011および/またはフィンガーレスト1027のような、その
他の特徴もまた、ハンドル1012a、1012b上に取り込み得、発射の間に器具を安
定化する。
【0067】
図33−35に最も良く示されるように、ハンドル1012aの下側面上の突出タブ1
014が、器具10のロッキングフランジ14に対して類似の様式で作動する。より詳細
には、タブ1014は、ハウジング1090中に配置された対応する機械的インターフェ
ース1042に係合する。このハンドル1012aの初期の下方移動は、ピボット101
9の回りにこのリンク機構を回動し、これが、器具10に関して上記に記載したのと類似
の様式で、ファスナー260の変形を引き起こす。より詳細には、リンク機構1060が
リンク1019の回りを回動するとき、リンク1061、1062および1063のアセ
ンブリが、ほぼ水平に真っ直ぐまたは完全に伸びた位置に回動し、これは、外科ファスナ
ー260の変形(器具10に関して上記に記載したのと同じかまたはほぼ類似の様式で)
およびスプリング1055の圧縮の両方を引き起こす。
【0068】
ハンドル1012aの連続した下方移動は、リンク1061および1063を、水平の
真っ直ぐまたは完全に伸びた位置から屈曲させ、これは、スプリング1055の付勢をな
くし、これは、次に、器具10に関して上記に記載したのと類似の様式で外科ファスナー
260の解除を引き起こす。タブ1014の移動は、カム60の第2の段階と類似の様式
でリンク1060の移動を制御する(すなわち、ハンドル1012aの発射ストロークの
終わりに向かう移動の間にスプリング1055を付勢し、そしてファスナー260を解除
する)。より詳細には、タブ1014の所定の角度を有する面1015が、スライド10
42を後方にカム移動させ、これは、発射後、ファスナー260を解除するためにSUL
U100と協同する。
【0069】
図34に最も良く示されるように、スプリング装填ロックアウト機構1101が含めら
れ得る。好ましくは、このロックアウト1101は、ハウジング1090内に配置され、
ハンドル1012aが、親指タブ1030が完全に前方にない場合、すなわち、SULU
100が発射のために器具1000上にロックされない場合に作動することを防ぐ。認識
され得るように、これは、SULU100がハウジング1090上に適切に着座しない場
合ハンドル1012の偶発的な発射を防ぐ。
【0070】
図36Aおよび36Bは、器具1000上に装填されたときのSULU100の正面斜
視図を示す。図37Aおよび37Bは、器具1000のハウジング1090の内部稼動部
材の展開図を示す。
【0071】
使用においては、そして図17−24に示されるように、外科器具10(または上記の
ように図33−37Bに示されるような器具1000)は、血管吻合の実行を容易にし、
そして血管の手動縫合の必要性をなくすか、および/または最小にする。本明細書に記載
の方法および使用法は、鼓動する心臓に対して実施される血管吻合に関して志向されてい
る。しかし、現在開示される外科器具10はまた、本開示の範囲から逸脱することなく、
その他の管状または管腔本体構造の吻合を実施する際に用いられ得る。例えば、外科器具
10は、心臓を停止することなく、正中胸骨切除術またはその他の大きな切開を用いる、
従来の開放CABG手順で用いられ得る。あるいは、この胸郭「ウィンドウ」手順を用い
、心臓への接近を達成し得る。この「ウィンドウ」アプローチは、より小さな切開および
肋骨のより少ない転置を含み、そしてそれ故、患者にとって外傷性がより少ない。このア
プローチには、従来の外科技法を用いて、切開の位置を測定し、胸部腔に接近する。
【0072】
心臓への接近を得るために、切開が作成された後、外科開創器アセンブリを用いて、図
25に示されるような切開の部位で肋骨を分離し得る。詳細には、ベース410を患者の
胸部上に配置し、中央開口が、手術部位上に配置されているベースにより規定される。開
創器アセンブリ430を、種々の位置でベース410に取り付ける。各開創器アセンブリ
430は、肋骨または胸骨のいずれかをそれと係合させるフックを有するブレードを含む
。この開創器アセンブリは、胸部腔中に十分に大きな開口が規定され、心臓への直接接近
が提供されるまで、肋骨に取り付けられ、そしてそれを開創する。例えば、胸骨および第
4および第5肋骨が離れて分割されてウィンドウを生成する。肋骨を広げるおよび/また
は胸骨から離れて個々の肋骨を選択的に切断するその他の形態もまた、特定の手順のため
に利用され得る。
【0073】
一旦、心臓への所望の接近が達成されると、移植片血管、例えば、伏在静脈320が脚
から切開および採集され、そして血管の自由端部がむき出される。次いで、閉塞された冠
状動脈、例えば、LAD310が、伏在静脈320移植片を受け入れるために調製される
。心臓は、心膜を通過する牽引縫合糸によるか、または外科スタッフにより保持されるか
開創器アセンブリベースのようなベースに固定された配向でクランプされることにより保
持される心臓操作器具を用いた操作によるかのいずれかにより、所望の配向に位置決めさ
れる。大動脈310を通る血流は、心肺バイパスおよび心臓周囲冷却により制限され得る
。あるいは、制動器具を大動脈310上に直接適用し得、血流を制限し、そして大動脈3
10近傍の心臓の動きを低減する。
【0074】
あるいは、現在の開示はまた、制動器具、例えば、上記のような交差クランプまたは部
分的閉塞クランプを経由して、管腔構造310を通る血流を制限することなく血管吻合を
生成するための新規な方法を提供する。より詳細には、2つの特定のクランピング技法が
広く知られそして用いられている。1つのクランピング技法は、管腔構造310を完全に
交差クランプすることを含み、心臓を停止させながら抹消吻合を縫う。次いで、心臓を再
スタートさせ、そして基部吻合を、部分的閉塞クランプを利用して縫う。この手順は、H
arlan、StarrおよびHarwinによるThe Manual of Car
diac Surgery 第2版に記載され、そして特定の左側移植片において記載す
る。その他の技法は、基部および末梢吻合を縫いながら、大動脈を完全に交差クランプす
ることを含む。
【0075】
その他の一般に知られた技法は、心肺バイパスの使用ないに、冠状動脈バイパス移植を
実施することを含む。より詳細には、この技法は、末梢または基部吻合安定化のための機
械的におよび/または真空のいずれかで支援される器具、例えば、Tyco Healt
hCare Groupの部門、United States Surgicalおよび
Heartport、Inc.により共同所有されるPrecision−OpTM器具
を利用することを含む。これらの技法もまた、The Manual of Cardi
ac Surgery 第2版に記載されている。
【0076】
対照的に、現在の開示はまた、任意の前記制動器具の利用なしに、血管吻合を生成する
新規な方法に関する。この方法は、図27−30の概略図に示されている。より詳細には
、現在の開示は、血管吻合を生成する方法に関し、この方法は、第1の管腔構造、例えば
、大動脈310中に吻合を生成する工程;この吻合を被覆し、大動脈切開を通る血流を停
止する工程;それに関連する、第2の管腔構造、例えば、静脈320を有する吻合デバイ
スを大動脈切開中に挿入する工程;およびこの吻合デバイスを作動させ、上記第1管腔構
造と第2の管腔構造との間の吻合を生成する工程を包含する。
【0077】
上記大動脈切開を被覆するために、ユーザーの指、外科器具、または、恐らく別の物体
が採用され、血流を停止し得ることが考案されている。さらに、この吻合は、本明細書に
記載および/または参照された実施形態の1つを利用することにより形成され得る。大動
脈切開は、第1の管腔構造310中に、メス、トロカール、穿孔デバイスおよび/または
当該分野で公知の任意のその他の器具を用いて作製され得る。例えば、大動脈穴あけ器と
して知られる1つのそのようなデバイスが、大動脈切除を生成することにおける使用に用
いられ得、そして図31−32Bに示されている。
【0078】
大動脈穴あけ器800は、左および右ハウジング810aおよび810bをそれぞれ含
み、それは、機械的に係合するとき、以下にさらに詳細に記載される大動脈穴あけ器80
0の内部稼動部材を収容するための、完全なキャビティ813を形成する。この2つのハ
ウジング810aおよび810bは、各ハウジング810a、810bに沿って、種々の
位置で配置される機械的インターフェース840により係合されるように工夫されている
。例えば、ハウジング810aは、第1の機械的インターフェース、例えば、スロット8
40aを含み得、これは、ハウジング810b上の対応するもどり止めまたはタブ840
bと係合する。多くの機械的インターフェースを、使い捨てユニットとの使用のために永
久的、または再使用可能な器具との使用のために選択的のいずれかで、2つのハウジング
の半分810a、810bを接続するために用いられ得ることが工夫されている。一旦、
アセンブルされると、このハウジング810a、810bの2つの近位端は、その能動化
の間に、各プランジャー812、822を付勢する共通フランジ814を形成する。
【0079】
アセンブルされた器具を示す、図31で最も良く示されるように、大動脈穴あけ器80
0は、それぞれ、切断アセンブリ830および貫通ニードル820である、2つのプラン
ジャー様アクチュエーター812および822を含む。この2つのプランジャー812お
よび822は、それぞれ、ユーザーにより独立して作動可能であり、そして互いに対して
この切断アセンブリ830および貫通ニードル820を移動し、大動脈壁、例えば、管腔
構造310中に吻合を生成する。
【0080】
より詳細に、そして図32Aおよび32Bに最も良く示されるように、ユーザーによる
フランジ814a、814bに対するプランジャー822の遠位移動は、軸「A」に沿っ
てニードル820をむき出し、そして、ユーザーにより挿入されるとき、大動脈壁310
を貫通する。好ましくは、もどりスプリング845は、プランジャー822と、フランジ
814に対する軸「A」に沿うニードル820の遠位移動が、フランジ814に対してス
プリング845を付勢するように関連する。このプランジャー822はまた、このプラン
ジャー822に固定する遠位端および近位端(図示せず)にスプライン843を有する細
長いスリーブ841を含む。スプライン843は、以下に記載されるように、プランジャ
ー812の移動の間に、ニードル820に対する切断アセンブリ830の回転移動を容易
にすることが工夫されている。
【0081】
プランジャー822はまた、フランジ様近位端827を含み、これは、ユーザーによる
プランジャー822の容易な能動化を可能にする。キャップ848がスリーブ841に固
定され、そして穴あけ器800の操作に関して以下により詳細に説明するように、プラン
ジャー812が能動化されるとき、スプリング835を付勢するスカートまたはショルダ
ー部分849を含む。
【0082】
好ましくは、ニードル820は、かかり(barb)823を含み、これは、スプリン
グ845のもどりに際し、ニードル820が、大動脈壁310に対して伸張したままであ
るように、大動脈壁310の側面を捕捉するような寸法である。かかり823を大動脈壁
310に対して伸張したままに維持する目的は、穴あけ器800の操作に関して以下によ
り詳細に記載される。例えば、真空、水力、磁力など、大動脈壁310に対してニードル
820を伸張して保持するためにその他の機構または方法が用いられ得るように工夫され
ている。
【0083】
上記のように、プランジャー812は、切断アセンブリ830を作動し、これは、大動
脈壁310に吻合を生成する。プランジャー812は、もどりスプリング835と、ユー
ザーによるプランジャー812の容易な能動化を可能にするような寸法であるフランジ様
近位端816を載せる遠位端815を有する細長い本体818を含む。図32Bで最も良
く観察されるように、細長い本体818は、その中にキャビティ817を規定し、これは
、対応するピニオンギアアセンブリ831とかみ合う細長いラック855を収容し、軸「
A」に沿うプランジャーの直線移動を、切断アセンブリ830の回転移動に変換する。切
断アセンブリ830はまた、その遠位端に歯状の先端部832を有し、そしてその近位端
834で係合するギアアセンブリ831を有する環状のナイフチューブ833を含む。例
えば、歯状でない先端部および/または角度のある/傾斜した先端部であるその他の形態
の環状ナイフ833もまた意図される。このギアアセンブリ831は、軸「A」の横断方
向に位置するピニオンギア842を含み、これは、その1つの側面に複数の歯839(図
32B)を有し、これは、切断チューブ833の近位端834に配置されるギア836と
かみ合いかつ係合する、その対向する側面上のラック855および傾斜ギア847(図3
2A)とかみ合いかつ係合する。認識され得るように、ラック855に沿うピニオンギア
842の移動は、ギア836を回転し、これは、ナイフチューブ833を回転させる。
【0084】
アセンブリの間、ナイフチューブ833は、プランジャー本体818を通じ、もどりス
プリング835を通じ、プランジャー822を通じ、キャップ848を通じ、そしてスリ
ーブ841の上を、ナイフチューブ833の歯状の先端部832が、スプライン843お
よびニードル820を取り囲むように供給される。ナイフチューブ830の近位端834
およびギアアセンブリ831は、キャビティ817内に、ギアアセンブリ831がラック
855を係合するように配置される(図32Aを参照のこと)。位置決めポスト844を
用いて、ギアアセンブリ831およびラック855の適切な係合を確実にする。もどりス
プリング835は、スプリングキャップ848のショルダー849と、プランジャー81
2の遠位端815との間に、プランジャー812の前方直線移動がショルダー849に対
してスプリング835を付勢するように配置される。
【0085】
認識され得るように、軸「A」に沿ったプランジャー812の直線移動は、フランジ8
14に対してラック855を移動し、これは、次に、ピニオンギア842を、そしてそれ
故、切断アセンブリ830をニードル820の回りを矢印「R」の方向に回転する。上記
のように、これは、スプリング835を、ショルダー849に対して、プランジャー81
2上の圧力の開放が、プランジャー812をその初期の予備能動化位置にもどすように付
勢する。特定の目的に依存して、プランジャー812上の圧力の開放もまた、ナイフチュ
ーブ830の回転を逆にすることも予期される。あるいは、特定の目的に依存して、クラ
ッチ、ニュートラルギアまたはその他の機構(示さない)が、単一方向にナイフチューブ
830の回転を制限するために採用され得ることもまた工夫されている。
【0086】
大動脈切開は、管腔構造310に以下の様式で生成される:器具がユーザーの手にシリ
ンジ様様式で保持される。プランジャー822を能動化、すなわち押し下げ、これは、ニ
ードル820のかかり823を軸「A」に沿ってナイフチューブ830の内部からむき出
す。次いで、ユーザーは、組織310をむき出したニードル820とかかり823で突き
刺す。プランジャー822を次いで解除し、そしてもどりスプリング845が、かかり8
23上に張力を提供し、歯状の先端部832に対して組織310中でニードル820を保
持する。次いで、プランジャー812を押し下げ、これは、フランジ814に対してラッ
ク855を移動させ、ギアアセンブリ831を上記の様式で回転させる。ユーザーがプラ
ンジャー812を軸「A」に沿って遠位方向に押し下げるとき、環状のナイフチューブ8
33が歯状の先端部832を、ニードル820の回りに回転し、組織310を切断する。
一旦、組織が周辺組織310から抜かれると、かかり823は、大動脈壁310に対する
張力を失い、そしてもどりスプリング845は、ニードル820を引込め、そして組織は
、環状のナイフチューブ833中のキャビティ860中に入る。次いで、ユーザーは、プ
ランジャー812を解放し、再使用のために、穴あけ器800を能動化前の形態にもどす
。穴あけ器800は、穴あけ器800が再利用されることを防ぐ、ロックアウト機構(示
さず)を備え得ることが意図される。
【0087】
ここで、外科器具10の操作の詳細にもどり、そして特に、図17−24中に詳述され
るように、SULU100の操作は、一旦、伏在静脈320が採集されると、ユーザーは
、自由端部322をSULUの開口133中に挿入し、そして外科フックまたはグラスパ
ーにより、SULU100の遠位端に向かって引く。次いで、ユーザーは、伏在静脈32
0を、SULU100のアンビル118a、118b上で、伏在静脈320の自由端部3
22が、外科ファスナー260の端部269により保持されるように裏返す。伏在静脈3
20の裏返しは、グラスパーを用いることによるような、任意の適切な公知器具および/
または技法により達成され得る。
【0088】
好ましくは、伏在静脈320の残りの部分は、器具10から離れて配置され、図18に
示されるように、大動脈310中への伏在静脈320の挿入を容易にする。次いで、ユー
ザーは、SULU100の端部を、大動脈中の切開中に、複数のファスナー260の各々
の遠位端269および伏在静脈320の裏返った端部部分322が切開312中およびそ
れを通って十分挿入されるように(図19および20)挿入する。図20の拡大図で最も
よく観察されるように、各外科ファスナー260の支持脚262、凸部263およびプロ
ング267は、切開312の外側に残る。ここで、器具は発射のためにセットされる。
【0089】
図21−22は器具10の発射シークエンス、すなわち、ハンドル12がユーザーによ
り押し下げられるときを示す。図21および21Aに最も良く示されるように、ハンドル
12が参照矢印「A」の方向に下方に押し下げられるとき、レバー16は、ハンドルロッ
ク40およびカム60の両方を同時に移動させる。より詳細には、ハンドル12の下方移
動は、レバー16のフランジ14aおよび14bが、ハンドルロック40のフランジ42
aおよび42bをスプリング45に対して参照矢印「B」の方向に遠位方向にかりたてる
ようにする(図21)。同時に、ハンドル12は、レバー16の凹部17がノブ66を付
勢するようにし、これは、次に、図21Aで最も良く観察されるように、カム60が下方
かつ近位方向に屈曲するようにする。好ましくは、レバー16中の凹部17は、凹部内の
ノブ66の特異的移動を制御するような寸法であり、これは、次に、カム60の全体の移
動を制御する。カム60の下方かつ近位方向移動は、カム随行部材51aおよび51bが
、それぞれ、スロット64および62の第1のカムステージ64aおよび62a内を移動
するようにし、これは、次に、第1の開創器80および保護カバー95を参照矢印Bの方
向に近位方向に移動させる。
【0090】
図21で最も良く観察されるように、スロット64おび62内のカム随行部材51aお
よび51bの移動の結果開創器80が近位方向に移動するとき、スロット85は、近位方
向に、それがピン54に接するまで移動する。好ましくは、スロット85がピン54に接
するとき、カム60は、ピン54の回りを、カム随行部材51aおよび51bがより近位
方向に移動して、それぞれ、カムスロット64および62の第2のカムステージ64bお
よび62bに係合するようにより下方にかりたてられる。
【0091】
上記のように、第1の開創器80は、第1の引込みスリーブ110を引込め(図21)
、これは、次に、図21Bおよび21Dに示されるように、外科ファスナー260を変形
させる。より詳細に、そして図21Bに最も良く示されるように、第1の開創器80の近
位方向移動は、第1の引込みスリーブ110および第2の引込みスリーブ120の両方を
、付勢ポスト102に対して近位方向に、付勢ポスト102が細長いストップ65の端部
69に接するまで移動する。結果として、アンビル118aおよび118bは、外科ファ
スナー260の遠位端269を、それぞれ、止め金137aおよび137bに向かって上
方かつ近位方向に変形する。すなわち、弧様の遠位端184aおよび184bは、第1の
引込みスリーブ110の引込みに際し、外科ファスナー260を、上方かつ近位方向に変
形させる。同時に、図22Aで最も良く観察されるように、大動脈310は、わずかに近
位方向にかりたてられ、そして伸長プロング267が貫通して大動脈310を適所に保持
する。
【0092】
支持チャネル119aおよび119bの対向する端部186a、186bおよび184
a、184bの半径方向のオフセット配向は、それぞれ、外科ファスナー260の対向す
る端部267および269を、図21Dに最も良く示されるように、互いに対して角度∀
で変形させることが予測される。これは、端部269を止め金137aおよび137bの
近位方向に変形させる。好ましくは、止め金137aおよび137bは、テーパー状の断
面を有し、外科ファスナー260の端部269を、変形の間に、端部267から半径方向
に変形させる。
【0093】
図21Cは、第1の開創器80が第1および第2の引込みスリーブ110および120
をそれぞれ引込めた後に、付勢ポスト102のスペーサー104の得られる位置を示す。
より詳細には、スペーサー104は、第1の引込みスリーブ110を第2の引込みスリー
ブ120に対して摩擦によりロックし、そして第1の引込みスリーブ110が発射後はね
返ることを防ぐ。
【0094】
図21Eは、第1の引込みスリーブ110の移動の結果として、ロッキングスリーブ1
40aの近位方向移動を示す。より詳細には、第1の引込みスリーブ110が近位方向に
引込むとき、ロッキングタブ116aが、支持体130aのスロット131a内で引込み
、そして参照矢印「C」として見られる近位方向にロッキングスリーブ140aを付勢す
る。支持体130aに対するロッキングスリーブ140aの近位方向移動は、フランジ1
42aおよび144aを、支持体130bのショルダー132bおよび134bからそれ
ぞれ脱係合し、これは、次に、互いから、支持体130aおよび130bのロックをはず
し、図21Eおよび23で最も良く示されるように、支持部材130a、130bの回転
移動を可能にする。
【0095】
ハンドル12の連続した下方移動は、第2の開創器50の近位方向移動およびハンドル
ロック40のハンドル12との係合の両方を生じる。より詳細に、そして図22に最も良
く示されるように、ユーザーがハンドル12を下方の方向に移動し続けるとき、フランジ
14aおよび14bは、対応するフランジ42aおよび42bをクリアーし、そしてスプ
リング45は、ハンドルロック40を参照矢印「D」の方向に近位方向に付勢し、ハンド
ル12を適所にロックする。同時に、カム60は、ピン54の回りを、カムスロット64
および62の第2のステージ64aおよび62a
が、カム随行部材51aおよび51bの移動に影響する点まで回転する。より詳細には、
カム60が下方に押されるとき、カムスロット62の第2のステージ62aは、カム随行
部材51bを近位方向に移動し、これは、次に、第2の開創器50を近位方向に移動する
。カムスロット64の第2のステージ64aは、ほぼ垂直方向に配向し、そして、結果と
して、カム随行部材51aは、ハンドル12の連続した下方移動に際し垂直に移動する。
開創器50のスロット57は、第2の開創器50を、カム随行部材51aに対して近位方
向にスライドさせる。
【0096】
上記のように、第2の開創器50は、図22Aの参照矢印「E」により示されるように
、第1の引込みスリーブ110に対してキャリッジ86内の第2の引込みスリーブ120
の鍵様端部53を移動する。第2の引込みスリーブ120の近位方向移動は、フィンガー
124a、124bのプロング127aおよび127bをそれぞれ引込め、これは、図2
2Bの参照矢印「E」により示されるように、外科ファスナー260を解放する。
【0097】
外科器具10および/またはSULU100は、SULUからの外科ファスナー260
の一致しかつ機転のきく解放を確実にするように操作される必要があり得るように工夫さ
れている。例えば、ハンドル12の能動化の後および/またはそれと同時に、本明細書に
記載される現在開示された方法は、外科ファスナー260に対して外科器具10またはS
ULU100を操作し、その解除、例えば、回転または軸「A」に対して軸がずれる操作
(図5を参照のこと)、垂直操作、水平操作、回動操作および/またはこれらの前記した
操作の動きの、任意の同時または連続的な組み合わせを容易にする工程を包含する。
【0098】
さらに、外科器具10またはSULU100は、さらなるアクチベーター、レバー、ハ
ンドル、回動部材、連結など(示さず)を含むように操作され得、これらは、その能動化
に際し、上記の様式の1つで、外科ファスナー260に対して外科器具10および/また
はSULU100を操作し、外科ファスナー260の一致しかつ機転のきく解放を確実に
する。
【0099】
上記のように、スリーブ110が引込められた後、ロックングスリーブ140aは、近
位方向に移動し、2つの支持体130aおよび130bが図23に示されるように互いか
ら離れて回動するようにし、SULU内から伏在静脈320を解除させ、それによって、
図24に示されるような血管吻合を完成する。
【0100】
図26Aは、外科ファスナーのステープルパターンの概略図を示し、これは、図1−2
6に関して上記の器具の能動化に際し形成される。より詳細には、この外科ファスナーは
、SULUを通じて伸びる長手方向軸「A」(図5)に対して通常様式でファスナー支持
体止め金137a、137bにより支持される。その他の外科ファスナーステープルパタ
ーン、例えば、軸「A」に対して、らせん、接線方向または斜め、が利用され得、血管間
の止血を達成することが工夫されている。図26B。例えば、上記のパターンの1つで外
科ファスナー260を配列することは、より多くの外科ファスナー260を同じ空間的考
慮内で採用することを可能にし、これは、血管間のより一致および/または信頼性ある止
血を達成し得る。
【0101】
本明細書に示される実施形態について種々の改変がなされ得ることが理解される。例え
ば、この器具は、その他の血管および管腔組織について吻合を実施するサイズであり得る
。さらに、器具10の種々の内部部材が特別の機械的インターフェースにより係合されて
示されるが、その他のタイプの機械的インターフェースが採用され得、同じまたは類似の
目的、例えば、スナップ適合、舌状部および溝、プレス適合などを達成する。従って、上
記の記載は、制限するものと解釈されるべきではなく、好適な実施形態の単なる例示であ
る。当業者は、本明細書に添付の請求項の範囲および思想内でその他の改変を考案し得る


【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図7G】
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【図7H】
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【図7I】
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【図7J】
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【図7K】
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【図7L】
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【図7M】
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【図7N】
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【図7O】
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【図7P】
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【図7Q】
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【図7R】
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【図7S】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図13A】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図21A】
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【図21B】
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【図21C】
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【図21D】
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【図21E】
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【図22】
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【図22A】
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【図22B】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32A】
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【図32B】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37−1】
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【図37−2】
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【公開番号】特開2011−172950(P2011−172950A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87797(P2011−87797)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【分割の表示】特願2008−52741(P2008−52741)の分割
【原出願日】平成14年1月8日(2002.1.8)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】