説明

吻合複合材ガスケット

【課題】吻合される腸または他の管状器官の管腔を長期にわたって開いたままに維持することを援助する環状外科用構造体を提供すること。
【解決手段】吻合手順において、隣接する腸管切断部の間に沈着するための構造体100であって、構造体は、第1の材料の少なくとも1つの内側リング102;および第2の材料の中央リング104を備え、第1の材料および第2の材料は、接着剤、封止剤および医薬のうちの少なくとも1つからなる創傷処置材料を含み、ここで、第1の材料は、第2の材料と異なる、構造体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(技術分野)
本開示は、ガスケットに関し、そしてより詳細には、種々の身体構造を吻合する場合に漏出、出血および/または狭窄の発生率を減少させるために、ステープルデバイスと併せて使用するための複合材ガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連分野の背景)
ステープルは、種々の身体構造(例えば、腸または気管支)を連結または吻合する場合、縫合を置き換えるために従来から使用されている。これらのステープルを適用するために使用される外科用ステープルデバイスは、一般的に患者中の組織の長いセグメントを同時に切断かつシールするために設計され、従ってこのような手順の時間およびリスクを大いに減少させる。
【0003】
直線状外科用ステープルデバイスまたは環状外科用ステープルデバイスは、外科医によって使用され、身体組織のセグメントを一緒に連結する目的および/または吻合の作製のために、1つ以上の直線状列の外科用ファスナー(例えば、ステープルまたは2要素から構成されるファスナー)を身体組織に連続的または同時に適用する。直線状外科用ステープルデバイスは、一般的に、一対のジョーまたはフィンガー様構造体を備え、これらの構造体の間に連結されるべき身体組織が配置される。外科用ステープルデバイスが作動する場合および/または「発射される」場合、発射バーは、長軸方向に移動し、上記ジョーの一方においてステープルデバイス部材を接触させる。そして外科用ステープルは、身体組織を通って、反対のジョーにおけるアンビルの中に/アンビルに対して押し出され、それによって身体組織を押しよせて、ステープルを閉じる。ナイフの刃は、ステープルの列/線の間を切断するように提供され得る。このような外科用ステープルデバイスの例は、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載され、これらの各々の全体は、本明細書中に参考として援用される。
【0004】
外科用ステープルの使用に加えて、生物学的な組織接着剤が、組織修復および吻合の作製のために開発されてきた。一般的に、生物学的接着剤は、分離した組織を一緒に結合させて治癒プロセスを助け、組織強度を増強する。このような接着剤は、縫合およびステープルで留める代わりに、例えば、組織の修復または吻合の作製のための外科手順において使用され得る。
【0005】
一般的に、吻合の形成に続いて、別個の器具またはデバイスが使用されて吻合の外面に生物学的封止剤を適用する。代表的に、別個の工程において、この生物学的封止剤は、噴霧、ブラッシング、塗布、これらの任意の組み合わせ、または当業者によって企図される任意の他の方法によって、吻合の外面に適用される。この生物学的封止剤は、吻合からの漏出の発生を減少および/または停止させるように作用する。
【0006】
適切な生体適合性接着剤を適用することは、患者および外科医に一様に多くの利点を提供する。これらの利点は、例えば、使用されるステープルの数の減少を可能にすること、処置される組織を即座にシールすること、吻合を強化すること、ならびに血管からの出血、組織連結を通じた漏出および狭窄の発生率を減少させることである。さらに、生体適合性接着剤の使用は、異物による身体反応および瘢痕を最小化する傾向がある。
【0007】
環状外科用ステープルデバイスは、一般的に、複数(代表的には、2つ)の環状列のステープルを備える環状ステープルカートリッジアセンブリ、上記環状カートリッジアセンブリと作動可能に結合したアンビルアセンブリ、およびステープルの列の内部に配置された環状刃を備える。このような環状外科用ステープルデバイスの例は、Robertsonらの特許文献4および特許文献5に記載されており、これらの各々の全体は、本明細書中に参考として援用される。
【0008】
一般に、端々吻合ステープラーは、代表的に、患者の腸または他の管状器官の接近した切断部にステープルのアレイを配置する。結果として生じる吻合は、多数の「B」字型に成形されたステープルを含む腸の反転された切断部を含み、接近した腸の切断部の間に確実な結合を維持する。
【0009】
大部分の手順では、ステープルを患者の組織と直接接触させながら、むき出しのステープルを使用することは、一般的に受容可能である。組織の一体化は、通常、治癒が生じる前にステープルが組織から飛び出ることおよびシールを損なうことを防ぐことに役立つ。しかし、いくつかの外科手術において、外科用支持体(例えば、メッシュ)が、直線状ステープルデバイスと組み合わせて外科医によって使用され、患者内部の組織欠損(特に、腹壁、胸壁、横隔膜、および身体の他の筋腱膜領域に生じる組織欠損)をつなぎ、修復し、そして/または補強する。適切な外科用支持体の例は、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10および特許文献11に開示され、これらの各々の全体は、本明細書中に参考として援用される。
【0010】
ステープルが、外科的支持体(すなわち、補強材料)を利用する外科的手順において適用される場合、上記ステープルの脚部は、代表的に、アンビルジョーと遭遇する前にカートリッジジョーから外科的支持体の層を通って、そして患者の組織を通って通過する。代替的な手順において、上記ステープルの脚部は、代表的に、アンビルジョーと遭遇する前にカートリッジジョーから上記外科用支持体の第1の層を通って、次いで患者の組織を通って最後に外科用支持体の第2の層を通って通過する。所定の位置のステープルを使用して、ステープルで留められた組織は、外科用支持体の層の間にクランプされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,354,628号明細書
【特許文献2】米国特許第5,014,899号明細書
【特許文献3】米国特許第5,040,715号明細書
【特許文献4】米国特許第5,799,857号明細書
【特許文献5】米国特許第5,915,616号明細書
【特許文献6】米国特許第3,054,406号明細書
【特許文献7】米国特許第3,124,136号明細書
【特許文献8】米国特許第4,347,847号明細書
【特許文献9】米国特許第4,655,221号明細書
【特許文献10】米国特許第4,838,884号明細書
【特許文献11】米国特許第5,002,551号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記に記載された外科用支持体が、直線状外科用ステープルデバイスと併せて使用される一方、環状外科用ステープルデバイスまたは円形外科用ステープルデバイス(例えば、United States Surgical、a Division of Tyco Health−Care Group、LP、Norwalk、CTから利用可能なModel「EEATM」器具のような端々吻合ステープラーおよびGreenらの米国特許第5,392,979号に開示される)と併せて使用するための環状支持体構造体についての必要性が存在する。
【0013】
任意の端々腸吻合の1つの起こり得る副作用は、やがて狭窄を起こすその傾向であって、このことは、やがて管腔の直径を減少させ得る。従って、端々吻合、環状吻合、もしくは円形吻合またはステープルデバイスと組み合わせて作用し、吻合される腸または他の管状器官の管腔を長期にわたって開いたままに維持することを援助する環状外科用構造体についての必要性が存在する。連結された組織切断部の間からの漏出に対して、吻合された腸または他の身体器官をシールするために機能するガスケットについての必要性もまた、存在する。
【0014】
任意の端々ステープルデバイス、環状ステープルデバイス、または円形ステープルデバイスと組み合わせて、患者が苦しむ外傷を小さくし、漏出の発生を減少させ、出血の発生を減少させ、隣接する身体組織の間に比較的強い結合を作製するように働く環状支持体構造体についての必要性もまた存在する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
(要旨)
本開示は、吻合手順において隣接する腸管切断部の間に配置するための構造体および/またはガスケットを提供する。この構造体は、少なくとも、1つの第1の材料の内側リング、および第2の材料の中間リングを所有する。上記第1の材料および第2の材料は、接着剤、封止剤および/または医薬のうちの少なくとも1つからなる創傷処置材料を含む。上記第1の材料は、第2の材料と異なる。
【0016】
環状構造体は、上記創傷処置材料で含漬され得る。好ましくは、この環状構造体は、メッシュ様材料である。この環状構造体は生体吸収性であり得ることが想定される。
【0017】
1つの実施形態において、上記構造体は、外側リングをさらに含み、ここでこの構造体の外側リングは、グリコリド、グリコール酸、ラクチド、乳酸、p−ジオキサノン、e−カプロラクトン、トリメチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つのモノマー、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらのブレンドを含む。外側リングをさらに備える構造体であって、ここでこの構造体の外側リングは、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ジオキサノン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される第2の材料と組み合わせて編んだポリグリコール酸ヤーンのメッシュを含む構造体が想定される。
【0018】
別の実施形態において、上記構造体の中央リングは、グリコリド、グリコール酸、ラクチド、乳酸、p−ジオキサノン、e−カプロラクトン、トリメチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つのモノマー、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらのブレンドを含む。
【0019】
さらに別の実施形態において、上記内側リングは、グリコリド、グリコール酸、ラクチド、乳酸、p−ジオキサノン、e−カプロラクトン、トリメチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つのモノマー、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらのブレンドを含む。
【0020】
1つの実施形態において、上記構造体は、非吸収性であり得る。上記構造体の外側リングは、ポリブトエステル(polybuther)、ポリエーテルエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリビニリデン、ステンレス鋼、およびチタンからなる群より選択される少なくとも1つの非吸収性材料を含み得ることが想定される。上記構造体の中央リングは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ステンレス鋼、およびチタンからなる群より選択される少なくとも1つの非吸収性材料を含み得ることがさらに想定される。前記構造体の内側リングが、ポリオレフィン、ナイロン、および絹からなる群より選択される少なくとも1つの非吸収性材料を含み得ることがなおさらに想定される。
【0021】
1つの実施形態において、上記構造体は、非吸収性材料と吸収性材料との両方の複合材を含む外側リングをさらに備える。上記構造体の中央リングは、非吸収性材料と吸収性材料との両方の複合材を含み得ることが想定される。上記構造体の内側リングは、非吸収性材料と吸収性材料との両方の複合材を含むことがさらに想定される。
【0022】
1つの実施形態において、上記構造体の内側リングは、上記内側リングの長さに沿って形成される少なくとも1つのギャップを備える。
【0023】
上記創傷処置材料は、ヒドロゲルを含有する少なくとも1種の接着剤を含み得る。この創傷処置材料は、フィブリン封止剤、コラーゲンベースの封止剤、および合成ポリエチレングリコールベースのヒドロゲル封止剤からなる群より選択される少なくとも1種の封止剤を含み得る。上記創傷処置材料は、抗菌剤、鎮痛剤、解熱剤、麻酔剤、鎮痙剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、心臓血管薬、診断剤、交感神経作用剤、コリン作用剤、抗ムスカリン剤、抗痙攣剤、ホルモン、増殖因子、筋弛緩剤、アドレナリン作用性ニューロン遮断剤、抗腫瘍剤、免疫原性因子、免疫抑制剤、胃腸薬、利尿剤、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類、酵素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の医薬を含み得ることが想定される。
【0024】
1つの実施形態において、上記構造体は、第1の層および第2の層を備え得る。上記構造体の第1の層は、2要素から構成される創傷処置材料の第1の要素を含み、そして上記構造体の第2の層は、上記2要素から構成される創傷処置材料の第2の要素を含むことが想定される。
【0025】
上記内側リングは、非生体吸収性材料を含み得、そして上記中央リングは、生体吸収性材料を含み得る。
【0026】
本開示はまた、隣接する腸管切断部の間に構造体を配置するための方法を提供する。この方法は、円形外科用吻合デバイスを最初に提供する工程を要する。上記円形外科用吻合デバイスは、アンビル部材と第1の軸とを備えるアンビルアセンブリ、管状本体部分中に作動可能に配置された環状ナイフおよび上記環状ナイフの半径方向内向きに配置された第2の軸とを備える環状本体部分を備え、上記アンビルアセンブリの第1の軸は、上記管状本体の第2の軸に選択的に装着可能である。本開示の方法を実施する際に、このアンビルアセンブリは、第1の腸管切断部に挿入され、上記管状本体部分は、第2の腸管切断部分に挿入され、そして少なくとも、内側リングおよび中央リングを備える構造体は、上記第1の腸管切断部と上記第2の腸管切断部との間に配置される。このアンビルアセンブリと管状本体部分とは、次いで互いに接近され、上記構造体は、この第1の腸管切断部とこの第2の腸管切断部との間に配置され、上記第1の腸管切断部の端部分、上記構造体、および上記第2の腸管切断部の端部分は、この円形吻合デバイスのアンビル部材と管状本体部分との間に配置される。次いで、この外科用吻合デバイスは、発射されて、上記環状ナイフの半径方向内向きに配置された第1の腸管切断部および第2の腸管切断部の部分を切断し、そしてこの構造体に対して、第1の腸管切断部および第2の腸管切断部の部分は、上記環状ナイフの半径方向外向きに配置される。
【0027】
上記方法は、上記アンビルアセンブリを管状本体部分に接近させる工程の前に、そのアンビルアセンブリの第1の軸を管状本体部分の第2の軸に装着する工程をさらに包含し得る。この方法に従って、上記構造体は、その構造体中に形成されたアパーチャを備え得る。従って、本方法は、上記アンビルアセンブリの第1の軸を管状本体部分の第2の軸に装着する工程の前に、上記アンビルアセンブリの第1の軸および管状本体部分の第2の軸のうちの一方を上記構造体のアパーチャに挿入する工程をさらに包含し得る。
【0028】
上記構造体は、生体吸収性であってもよく、非吸収性であってもよいことが想定される。好ましくは、この構造体は、少なくとも1つの非吸収性材料と組み合わせた少なくとも1つの生体吸収性材料の複合材を含む。この構造体は、メッシュ様材料であり得ることが想定される。
【0029】
上記管状本体部分は、円形構造中に複数の外科用ステープルを保有することが想定される。この外科用ステープルは、上記環状ナイフの半径方向外向きに配置され、ここで上記吻合デバイスを発射する際に、この複数のステープルは、第1の腸管切断部、上記構造体、次いで第2の腸管切断部を貫通する。上記外科用吻合デバイスを発射する工程は、好ましくは、上記管状本体部分から、上記第2の腸管切断部を貫いて、上記構造体を貫いて、上記第1の腸管切断部を貫いて、そして上記アンビル部材に対して、複数のステープルを駆動する工程を包含する。
【0030】
上記構造体は、第1の層および第2の層を備えることが想定される。好ましくは、上記構造体の第1の層は、2要素から構成される創傷処置材料の第1の要素を含み、そして上記構造体の第2の層は、2要素から構成される創傷処置材料の第2の要素を含む。
【0031】
上記構造体は、2要素から構成される創傷処置材料の第1の要素を含み、そして、この方法は、その2要素から構成される創傷処置材料の第2の要素を上記構造体に適用する工程をさらに包含する。
【0032】
上記構造体は、2要素から構成される接着剤の第1の要素を含み、そして、接着剤材料を分散させる工程は、その2要素から構成される接着剤の第2の要素を、上記接近させる工程の前に支持体構造体に適用する工程を包含し得る。
【0033】
上記中央リングは、生体吸収性材料を含み、そして上記内側リングは、非生体吸収性材料を含むことが想定される。上記環状ナイフは、次いで、前記生体吸収性材料から前記非吸収性材料を切断し得る。このナイフは、上記第1の腸管切断部と第2の腸管切断部との間に非吸収性材料の部分が残るように前記構造体を切断し得る。
【0034】
上記非吸収性材料は、上記生体吸収性材料を少なくとも部分的に吸収する際に、上記本体から通過されるように整えられ得ることが、想定される。
【0035】
従って、本発明は、以下を提供する:
(項目1)
吻合手順において、隣接する腸管切断部の間に沈着するための構造体であって、該構造体は、
第1の材料の少なくとも1つの内側リング;および
第2の材料の中央リング
を備え、該第1の材料および該第2の材料は、接着剤、封止剤および医薬のうちの少なくとも1つからなる創傷処置材料を含み、ここで、該第1の材料は、該第2の材料と異なる、構造体。
(項目2)
前記構造体が、前記創傷処置材料に含浸されている、項目1に記載の構造体。
(項目3)
前記構造体が、メッシュ様材料である、項目1に記載の構造体。
(項目4)
前記構造体が、生体吸収性である、項目1に記載の構造体。
(項目5)
項目4に記載の構造体であって、該構造体は、外側リングをさらに備え、ここで該構造体の外側リングは、グリコリド、グリコール酸、ラクチド、乳酸、p−ジオキサノン、e−カプロラクトン、トリメチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つのモノマー、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらのブレンドを含む、構造体。
(項目6)
項目4に記載の構造体であって、該構造体は、外側リングをさらに備え、ここで該構造体の外側リングは、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ジオキサノン、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される第2の材料と組み合わせて編んだポリグリコール酸ヤーンのメッシュを含む、構造体。
(項目7)
前記構造体の中央リングが、グリコリド、グリコール酸、ラクチド、乳酸、p−ジオキサノン、e−カプロラクトン、トリメチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つのモノマー、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらのブレンドを含む、項目4に記載の構造体。
(項目8)
前記構造体の内側リングが、グリコリド、グリコール酸、ラクチド、乳酸、p−ジオキサノン、e−カプロラクトン、トリメチレンカーボネートからなる群より選択される少なくとも1つのモノマー、それらのホモポリマー、それらのコポリマー、およびそれらのブレンドを含む、項目4に記載の構造体。
(項目9)
前記構造体が、非吸収性である、項目1に記載の構造体。
(項目10)
前記構造体の外側リングが、ポリブテール(polybuther)、ポリエーテルエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリビニリデン、ステンレス鋼、およびチタンからなる群より選択される少なくとも1つの非吸収性材料を含む、項目9に記載の構造体。
(項目11)
前記構造体の中央リングが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリビニリデン、ステンレス鋼、およびチタンからなる群より選択される少なくとも1つの非吸収性材料を含む、項目9に記載の構造体。
(項目12)
前記構造体の内側リングが、ポリオレフィン、ナイロン、および絹からなる群より選択される少なくとも1つの非吸収性材料を含む、項目8に記載の構造体。
(項目13)
非吸収性材料と吸収性材料との両方の複合材を含む外側リングをさらに備える、項目1に記載の構造体。
(項目14)
前記構造体の中央リングが、非吸収性材料と吸収性材料との両方の複合材を含む、項目1に記載の構造体。
(項目15)
前記構造体の内側リングが、非吸収性材料と吸収性材料との両方の複合材を含む、項目8に記載の構造体。
(項目16)
前記構造体の内側リングが、該内側リングの長さに沿って形成される少なくとも1つのギャップをさらに備える、項目8に記載の構造体。
(項目17)
前記創傷治療材料が、ヒドロゲルを含有する少なくとも1種の接着剤を含む、項目1に記載の構造体。
(項目18)
前記創傷処置材料が、フィブリン封止剤、コラーゲンベースの封止剤、および合成ポリエチレングリコールベースのヒドロゲル封止剤からなる群より選択される少なくとも1種の封止剤を含む、項目1に記載の構造体。
(項目19)
前記創傷処置材料が、抗菌剤、鎮痛剤、解熱剤、麻酔剤、鎮痙剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、心臓血管薬、診断剤、交感神経作用剤、コリン作用剤、抗ムスカリン剤、抗痙攣剤、ホルモン、増殖因子、筋弛緩剤、アドレナリン作用性ニューロン遮断剤、抗腫瘍剤、免疫原性因子、免疫抑制剤、胃腸薬、利尿剤、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類、酵素およびこれらの組み合わせからなる群より選択される少なくとも1種の医薬を含む、項目1に記載の構造体。
(項目20)
前記構造体が、第1の層および第2の層を備える、項目1に記載の構造体。
(項目21)
前記構造体の第1の層が、2要素から構成される創傷処置材料の第1の要素を含み、そして該構造体の第2の層が、該2要素から構成される創傷処置材料の第2の要素を含む、項目20に記載の構造体。
(項目22)
前記内部リングが、非生体吸収性材料を含み、そして前記中央リングが、生体吸収性材料を含む、項目1に記載の構造体。
(項目23)
隣接する腸管切断部の間に構造体を配置する方法であって、該方法は、以下の工程を包含する方法:
円形外科用吻合デバイスを提供する工程であって、該円形外科用吻合デバイスは、
アンビル部材と第1の軸とを備えるアンビルアセンブリ;および
管状本体部分中に作動可能に配置された環状ナイフと該環状ナイフの半径方向内向きに配置された第2の軸とを備える環状本体部分
を備え、該アンビルアセンブリの第1の軸は、該管状本体の第2の軸に選択的に装着可能である、工程;
該アンビルアセンブリを第1の腸管切断部に挿入する工程;
該管状本体部分を第2の腸管切断部分に挿入する工程;
少なくとも1つの内側リングおよび中央リングを備える構造体を、該第1の腸管切断部と該第2の腸管切断部との間に配置する工程であって、該構造物は、接着剤、封止剤、および医薬のうちの少なくとも1つからなる創傷処置材料を保有する、工程;
該アンビルアセンブリと管状本体部分とを互いに接近させて、該第1の腸管切断部の端部分、該構造体、および該第2の腸管切断部の端部分を、該アンビル部材と該管状本体部分との間に配置するようにする工程であって、該構造体は、該第1の腸管切断部と該第2の腸管切断部との間に配置される、工程;ならびに
該外科用吻合デバイスを発射して、該環状ナイフの半径方向内向きに配置された該第1の腸管切断部および該第2の腸管切断部の部分を切断し、そして該構造体に対して、該環状ナイフの半径方向外向きに該第1の腸管切断部および該第2の腸管切断部の部分を押す工程。
(項目24)
前記アンビルアセンブリを前記管状本体部分に接近させる工程の前に、該アンビルアセンブリの第1軸を該管状本体部分の第2の軸に装着する工程をさらに包含する、項目23に記載の方法。
(項目25)
項目24に記載の方法であって、ここで:
前記構造体は、該構造体中に形成されたアパーチャを備え;そして
前記アンビルアセンブリの第1の軸を前記管状本体部分の第2の軸に装着する工程の前に、該アンビルアセンブリの第1の軸および該管状本体部分の第2の軸の一方を該構造体のアパーチャに挿入する工程をさらに包含する、方法。
(項目26)
前記構造体が、生体吸収性である、項目24に記載の方法。
(項目27)
前記構造体が、非吸収性である、項目24に記載の方法。
(項目28)
前記構造体が、少なくとも1つの非吸収性材料と組み合わせた少なくとも1つの生体吸収性材料の複合材を含む、項目24に記載の方法。
(項目29)
前記構造体が、メッシュ様材料である、項目24に記載の方法。
(項目30)
項目24に記載の方法であって、ここで前記管状本体部分は、円形構造中に複数の外科用ステープルを保有し、該外科用ステープルは、前記環状ナイフの半径方向外向きに配置され、ここで前記吻合デバイスを発射する際に、該複数のステープルは、第1の腸管切断部、前記構造体、次いで第2の腸管切断部を貫通する、方法。
(項目31)
項目30に記載の方法であって、ここで前記外科用吻合デバイスを発射する工程が、前記第2の腸管切断部を貫いて、前記構造体を貫いて、前記管状本体部分から、前記第1の腸管切断部を貫いて、そして前記アンビル部材に対して、前記複数のステープルを駆動する工程を包含する、方法。
(項目32)
前記構造体が、第1の層および第2の層を備える、項目24に記載の方法。
(項目33)
前記構造体の第1の層が、2要素から構成される創傷処置材料の第1の要素を含み、そして該構造体の第2の層が、該2要素から構成される創傷処置材料の第2の要素を含む、項目32に記載の方法。
(項目34)
項目24に記載の方法であって、ここで前記構造体は、2要素から構成される創傷処置材料の第1の要素を含み、そして、該2要素から構成される創傷処置材料の第2の要素を該構造体に適用する工程をさらに包含する、方法。
(項目35)
項目34に記載の方法であって、ここで前記構造体は、2要素から構成される接着剤の第1の要素を含み、そして、該2要素から構成される接着剤の第2の要素を、前記接近させる工程の前に支持体構造体に適用する工程を包含する、接着剤材料を分散させる工程をさらに包含する、方法。
(項目36)
前記中央リングが、生体吸収性材料を含み、そして前記内側リングが、非生体吸収性材料を含む、項目28に記載の方法。
(項目37)
前記環状ナイフが、前記生体吸収性材料から前記非吸収性材料を切断する、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記ナイフが、前記第1の腸管切断部と前記第2の腸管切断部との間に非吸収性材料の部分が残るように前記構造体を切断する、項目36に記載の方法。
(項目39)
前記非吸収性材料が、前記生体吸収性材料を少なくとも部分的に吸収する際に、前記本体から通過されるように整えられる、項目38に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本明細書中に援用され、かつ本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示の実施形態を示し、上記に与えられる開示の一般的説明と以下に与えられる実施形態の詳細な説明とを合わせて、本開示の原理を説明するために役立つ。
【0037】
【図1】図1は、例示的な環状外科用ステープルデバイスの斜視図である。
【図2】図2は、本開示の実施形態に従う円形吻合構造体の斜視図であり、図1の環状外科用ステープルデバイスで使用するためのものである。
【図2A】図2Aは、図2の2A−2Aを切り取った場合の、図2の円形吻合構造体の断面図である。
【図3】図3は、本開示の別の実施形態に従う円形吻合構造体の上面図であり、図1の環状外科用ステープルデバイスで使用するためのものである。
【図4】図4は、図2の2A−2Aを切り取った場合の、本開示の代替的実施形態に従う円形吻合構造体の断面図であり、図1の環状外科用ステープルデバイスで使用するためのものである。
【図5】図5は、本開示の別の実施形態に従う円形吻合構造体の斜視図であり、図1の環状外科用ステープルデバイスで使用するためのものである。
【図6】図6は、図5の円形吻合構造体の側面正面図であり、図1の環状外科用ステープルデバイス上での位置を示す。
【図7】図7は、患者の腸管領域の斜視図であり、図1の環状ステープルデバイスのアンビルロッド上に図2、図3および図4の円形吻合構造体を配置する方法を示す。
【図8】図8は、図7の腸管領域の模式的斜視図であり、環状ステープルデバイスに取り付けられたアンビルロッドを示し、アンビルロッドの間に配置された図2、図3、および図4の円形吻合構造体を備える。
【発明を実施するための形態】
【0038】
(実施形態の詳細な説明)
ここに開示される円形吻合構造体の実施形態は、本明細書中で円形吻合ガスケットとも称され、ここで図面を参照して詳細に記載される。図面において、同様の参照番号は、類似または同一の要素を同一視する。本明細書中で使用される場合、および慣用的に、用語「遠位」は、使用者から遠い部分をいい、一方用語「近位」は、使用者に対して近い部分をいう。
【0039】
最初に図1を参照すると、本明細書中で開示される円形吻合構造体で使用するための環状外科用ステープルデバイスは、一般的に10と名付けられる。外科用ステープルデバイス10は、少なくとも1つの回転可能な作動ハンドル部材14を有するハンドルアセンブリ12、および前進部材16を備える。ハンドル部材12から伸長して、その長さに沿った曲線状形状を有するように構築され得る管状本体部分20が提供される。本体部分20は、ステープルカートリッジアセンブリ22で終わり、ステープルカートリッジアセンブリは、ステープル受入れスロット36の一対の環状アレイを備え、ステープル受入れスロット36の一対の環状アレイは、ステープル受入れスロット36の各々1つずつに配置されるステープル(示さず)を有する。ステープルカートリッジアセンブリ22を遠位方向に配置するために、アンビルアセンブリ30をステープルデバイス10の遠位端部分に除去可能に接続するために、アンビル部材と、アンビル部材26と作動可能に結合する軸28とを備えるアンビルアセンブリ30が提供される。
【0040】
ステープルカートリッジアセンブリ22は、管状本体部分20の遠位端に固定して接続され得るか、または管状本体部分20の遠位端の内部に同軸上に適合するように構成され得る。代表的には、ステープルカートリッジアセンブリ22は、ほぼ尖端切断型円錐形状を有する近位部分および周縁に間隔をあけたフィンガー(示さず)の2つの同軸リングを規定する遠位部分を備えるステープルプッシャー(示さず)を備え、この同軸リングのうちの各々1つずつは、それぞれのステープル受入れスロット36の内部で受け入れられる。
【0041】
代表的には、実質的に開口カップの形態のナイフ(示さず)は、その開口カップのリムがナイフの縁を規定しており、このナイフは、ステープルカートリッジアセンブリ22の内部に配置されて、ステープルプッシャー(示さず)の遠位表面に取り付けられる。上記ナイフの縁は、ステープルの環状アレイの対の半径方向内向きに配置される。従って、使用する際に上記ステープルプッシャーが前進する場合、このナイフもまた軸方向外向きに前進する。
【0042】
Violaらの米国特許第5,915,616号を参照し得、環状ステープルデバイス10の詳細な議論のために、この内容の全体は本明細書中に参考として援用される。
【0043】
ここで図2および図3を参照すると、本開示の実施形態に従う吻合構造体は、一般に構造体100と名付けられる。構造体100は、内側リング102、中央リング104、および外側リング106を備える。実質的に中心に位置するアパーチャ108は、内側リング102の内側の円周によって規定され、構造体100を貫いて形成される。
【0044】
1つの実施形態において、構造体100は、構造体100がステープルデバイス10に作動可能に結合される場合、以下により詳細に記載されるように、外側リング106がステープルカートリッジアセンブリ22のステープル保持ポケット36(図1を参照のこと)を超えて半径方向に伸長するような大きさにされる。さらに、構造体100のアパーチャ108は、アパーチャ108を通ってアンビルアセンブリ30の軸28を少なくとも受入れるような大きさにされる。別の実施形態において、外側リング106と内側リング102との間の距離は、ステープルカートリッジアセンブリ22の組織接触表面24(図1を参照のこと)の幅と実質的に等しい。
【0045】
図3に示されるように、円形吻合構造体100は、少なくとも2つの同軸リングを備える。図2および図3に示されるように、3つのリング構造体が利用される場合、構造体100は、内側リング102、中央リング104および外側リング106を備える。2つのリング構造体が利用される場合(示さず)、構造体100は、中央リング104および外側リング106を備える。この実施形態において、内側リング102は、なくなっている、そして/またはさもなければ任意である。
【0046】
いくつかの実施形態において、内側リング102は、非吸収性材料から作製され得ることが予測される。この非吸収性材料としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)、ナイロン、および絹を含む合成材料と天然材料との両方が挙げられるが、これらに限定されない。内側リング102はまた、吸収性材料製であり得、この吸収性材料としては、グリコリド、グリコール酸、ラクチド、乳酸、p−ジオキサノン、e−カプロラクトンおよびトリメチレンカーボネートからなる群より選択される1つ以上のモノマーから得られるホモポリマー、コポリマーまたはブレンドが挙げられる。いくつかの実施形態において、内側リング102は、非吸収性材料と吸収性材料との両方の複合材であり得る。
【0047】
図3を参照すると、1つの実施形態において、上記内側リング102は、患者の身体からの内側リング108の通過を促進するのを助けるため、およびアンビルアセンブリ30の軸28をアパーチャ108へ導入しやすくするのを助けるために、内側リング102の内部および/または内側リング102に沿って形成された1つ以上のギャップ114を有し得る。
【0048】
構造体100の中央リング104は、好ましくは、接着剤、封止剤、および/または他の医薬に含漬された外科用グレード、生体適合性非吸収性(すなわち、永久的)のメッシュもしくは材料または生体適合性吸収性(すなわち、非永久的)のメッシュもしくは材料から作製され得るか、あるいはこれらを備え得ることが予測される。本明細書中で使用される場合、「メッシュ」は、織った材料、編んだ材料、および編組材料を含む。さらに、不織材料(例えば、フェルト)が使用され得る。例えば、中央リング104は、DuPont de Nemours & Co.により所有されている登録商標である、「TEFLON(登録商標)」から作製され得る。中央リング104は、生体適合性のポリマーフォーム、フェルト、ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、ゼラチン、布地など、または他の任意の生体適合性材料から作製され得ることがさらに想定される。
【0049】
中央リング104のために使用され得る非吸収性材料は、ポリブトエステル(polybutester)、ポリエーテルエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンなどのようなポリマーから作製される材料が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、利用され得る非吸収性材料としては、ステンレス鋼、チタンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
構造体100の中央リング104のために使用される生体吸収性材料としては、グリコリド、グリコール酸、ラクチド、乳酸、p−ジオキサノン、e−カプロラクトンおよびトリメチレンカーボネートからなる群より選択される1つ以上のモノマーから得られるホモポリマー、コポリマー、またはブレンドから作製される材料が挙げられるが、これらに限定されない。他の生体吸収性材料としては、ポリグリコール酸(PGA)およびポリ乳酸(PLA)が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、中央リング104は、生体吸収性のフェルト、ePTEF、ゼラチまたは他の任意の生体吸収性材料から作製され得る。1つの特定の有用な実施形態において、ポリグリコール酸(PGA)ヤーンは、本開示の円形吻合構造体の中央リング104として使用され得る。適切なヤーンとしては、United States Surgical、a Division of Tyco Health−Care Group、LP、Norwalk、CT.によるDEXONTMとしてメッシュ形態で販売されているヤーンが挙げられる。
【0051】
1つの特定の有用な実施形態において、図2Aに示されるように、中央リング104は、吸収性ヤーン110が大部分と非吸収性ヤーン112(例えば、絹、綿、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなど)が小部分とから作製される複合材材料から作製され得る。いくつかの場合において、組織の反応性を増強することによって組織増殖を増加させるための非吸収性ヤーンの小部分を含むことは、有利であり得る。絹、綿およびナイロンのような材料は、FDAによって非吸収性材料と分類されるが、このような材料は、吸収性材料よりもかなりゆっくりした速度で身体内で最終的には分解される。
【0052】
内側リング102と同様に、いくつかの実施形態において、中央リング104は、非吸収性材料と吸収性材料との両方の複合材であり得る。
【0053】
外側リング106は、中央リング104または内側リング102を形成する際に使用するために、上記に記載の非吸収性材料または吸収性材料から同様に作製され得る。いくつかの実施形態において、外側リング106はまた、DEXONTMメッシュのような編んだメッシュと吸収性合成ワックスまたは合成封止剤とを組み合わせた吸収性材料の複合材から作製され得る。例えば、この吸収性材料は、グリコリド、ラクチド、トリメチレンカーボネート、ジオキサノンなどのような短鎖ポリマーおよびそれらの任意の組み合わせから作製され得る。
【0054】
さらなる実施形態において、上記構造体は、中央リングおよび内側リングを有し、少なくとも2つの異なる材料が組み入れられている。上記内側リングは、非生体吸収性材料から形成されるのに対して、上記中央リングは、生体吸収性材料から形成され、好ましくは隣接する組織切断部の間にシールを形成するために圧縮されるように配置される圧縮性材料である。この内側リングは、好ましくは、上記ステープルデバイスの円形ナイフによって少なくとも部分的に除去および/または身体から消え去るように配置される。
【0055】
上述のとおり、いくつかの実施形態において、非吸収性材料の小部分はまた、内側リング102、外側リング106、またはその両方に組み入れられ得る。
【0056】
さらに別の実施形態において、図4および図5に示されるように、中央リング104は、上層104aおよび下層104bを備える、複合材材料のサンドイッチから作製され得る。好ましくは、層104a、104bは、吸収性ヤーンと非吸収性ヤーンとの両方から作製された編んだメッシュであり得、層104a、104bを互いに固定するために、中間層として封止剤を備え得る。上記中央リングの上層104aおよび下層104bを接着させるために利用され得る封止剤は、当業者に公知であり、ヒドロゲル、フィブリンベースの封止剤、トロンビンベースの封止剤、コラーゲンベースの封止剤、および合成ポリマー封止剤(ポリアルキレンオキシド(例えば、ポリエチレングリコール、ポリジオキサノン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン)をベースとした封止剤を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。1つの特定の有用な実施形態において、中央リング104の上層104aおよび下層104bを接着させるために利用される封止剤は、水と接触した後に膨潤する吸収性封止剤(例えば、ヒドロゲル)であり、この封止剤は、「定位置構成」封止剤に類似している。
【0057】
さらに別の実施形態において、上記中央リング104を形成するために利用される多層複合材メッシュは、膨潤する吸収性封止剤に前もって含漬(すなわち、コーティング)され得る。
【0058】
1つの実施形態において、構造体100の中央リング104は、好ましくは接着剤、封止剤、および/または他の医薬(すなわち、創傷処置材料)に含漬された生体吸収性材料から作製され得る。従って、使用する場合、構造体100の封止剤成分は、組織から生じ得るいずれの出血も遅らせるために機能し、構造体100の接着剤成分は、接近させた組織を一緒に固定するのに役立つように機能し、そして構造体100の生体吸収性は、所定の時間量の後、構造体100の少なくとも一部分が身体に吸収されることを可能にする。例えば、構造体100は、構造体100が身体に吸収される前に、十分に吻合が治癒するために、約2〜3週間の間その体の定位置にとどまり得る。
【0059】
利用される場合、上記接着剤は、生体適合性接着剤であるべきであり、組織接触を確実にする接着剤、紫外(UV)線に曝露すると硬化する接着剤、互いに単離されるように維持される2要素から構成されるシステムであり、かつ互いと接触させると硬化する接着剤、感圧性である接着剤、これらの任意の組み合わせである接着剤、または任意の他の公知で適切な接着剤が挙げられるが、これらに限定されない。1つの実施形態において、約10秒〜約15秒の硬化時間を有する接着剤が使用され得ることが予測される。別の実施形態において、約30秒の硬化時間を有する接着剤が使用され得ることが予測される。
【0060】
構造体100の中央リング104は、前もって硬化された接着剤または封止剤に含漬され得ることが想定される。前もって硬化された封止剤または接着剤は、身体組織の水分および/または熱と反応し、それによってこの封止剤または接着剤のシーリング特性および/または接着特性を活性化する。従って、1つの実施形態において、上記前もって硬化された封止剤または接着剤は、ヒドロゲルなどであり得る。
【0061】
上記接着剤は、単独で、または1つ以上の他の創傷処置材料と組み合わせて利用され得ることが想定される。外科用器具、特に外科用ステープル(これは、組織を修復し、本明細書中の吻合複合材構造体で吻合を作製するために利用される)において、またはこの器具によって使用または適用され得る、他の外科用の生体適合性創傷処置材料は、器官、組織または構造体に接着するか、またはこれらを保持する機能を有する接着剤;流体漏出を防ぐための封止剤;出血を停止または防ぐ止血剤;および医薬が挙げられる。
【0062】
使用され得るさらなる接着剤の例としては、タンパク質由来のアルデヒドベースの接着剤材料(例えば、市販のアルブミン/グルタルアルデヒド材料(Cryolife,Inc.による商業名BioGlueTM)、およびシアノアクリレートベースの材料(Tyco Healthcare Group,LPおよびEthicon Endosurgery,Inc.によりそれぞれ、商業名IndermilTM、およびDerma BondTMで販売される)である。使用され得る封止剤の例は、フィブリン封止剤ならびにコラーゲンベースの組織封止剤および合成ポリマーベースの組織封止剤が挙げられる。市販の封止剤の例は、合成ポリエチレングリコールベースのヒドロゲル材料(Cohesion TechnologiesおよびBaxter International,Inc.による商業名CoSealTMで販売される)である。
【0063】
使用され得る止血剤材料の例は、フィブリンベース、コラーゲンベース、酸化型再生セルロースベース、およびゼラチンベースの局所的止血剤が挙げられる。市販の止血剤材料の例は、フィブリノーゲン−トロンビン組み合わせ材料(Tyco Healthcare Group,LPにより商業名CoStasislTMで、およびBaxter International,Inc.によりTisseeTMで販売される)である。本明細書中の止血剤としてはまた、収斂薬(例えば、硫酸アルミニウム)および血液凝固薬が挙げられる。
【0064】
本明細書中で使用される場合、用語「医薬」は、その最も広範な意味で使用され、臨床的な用途を有する任意の物質または物質の混合物を包含する。結果的に、医薬は、それ自体が薬理学的活性(例えば、色素)を有していても、有していなくてもよい。あるいは、医薬は、治療的効果または予防的効果を提供する任意の因子、組織増殖、細胞増殖、細胞分化に影響するかまたは関与する化合物、免疫応答のような生物学的作用を引き起こし得る化合物であり得るか、あるいは、医薬は、1つ以上の生物学的プロセスにおいて任意の他の役割を果たし得る。
【0065】
本開示に従って利用され得る医薬の分類の例としては、抗菌剤、鎮痛剤、解熱剤、麻酔剤、鎮痙剤、抗ヒスタミン剤、抗炎症剤、心臓血管薬、診断剤、交感神経作用剤、コリン作用剤、抗ムスカリン剤、抗痙攣剤、ホルモン、増殖因子、筋弛緩剤、アドレナリン作用性ニューロン遮断剤、抗腫瘍剤、免疫原性因子、免疫抑制剤、胃腸薬、利尿剤、ステロイド、脂質、リポ多糖類、多糖類、および酵素が挙げられる。医薬の組み合わせが使用され得ることもまた意図される。
【0066】
本開示の円形吻合構造体において医薬として含まれ得る適切な抗菌因子としては、トリクロサン(2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルとしてもまた公知)、クロルヘキシジンおよびその塩(クロルヘキシジンアセテート、クロルヘキシジングルコネート、クロルヘキシジンヒドロクロリドおよびクロルヘキシジンスルフェートを含む)、銀およびその塩(酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、ヨウ素酸銀、ヨウ化銀、乳酸銀、ラウリン酸銀、硝酸銀、酸化銀、パルミチン酸銀、銀タンパク質、およびスルファジアジン銀を含む)、ポリミキシン、テトラサイクリン、アミノグリコシド(例えば、トブラマイシンおよびゲンタマイシン)、リファンピシン、バシトラシン、ネオマイシン、クロラムフェニコール、ミコナゾール、キノロン(例えば、オキソリン酸、ノルフロキサシン、ナリジクス酸、ペフロキサシン、エノキサシンおよびシプロフロキサシン)、ペニシリン(例えば、オキサシリンおよびピペラシリン)、ノノキシノール9、フシジン酸、セファロスポリンおよびこれらの組み合わせが挙げられる。さらに、抗菌タンパク質および抗菌ペプチド(例えば、ウシラクトフェリンおよびラクトフェリシンB)は、本開示の円形吻合構造体において医薬として含まれ得る。
【0067】
本開示の円形吻合構造体において備えられ得る他の医薬としては、局所麻酔剤;非ステロイド性避妊剤;副交感神経作用剤;精神治療剤;精神安定剤;鎮静睡眠剤;ステロイド類;スルホンアミド;交感神経作用剤;ワクチン;ビタミン;抗マラリア薬;抗片頭痛剤;抗パーキンソン因子(例えば、L−ドーパ);抗痙攣剤;抗コリン作用剤(例えば、オキシブチニン);気管支拡張薬;心臓血管剤(例えば、冠状血管拡張薬およびニトログリセリン);アルカロイド;鎮痛剤;麻酔薬(例えば、コデイン、ジヒドロコデイン、メペリジン、モルヒネなど);非麻酔薬(例えば、サリチル酸、アスピリン、アセトアミノフェン、d−プロポキシフェンなど);オピオイドレセプターアンタゴニスト(例えば、ナルトレキソンおよびナロキソン);抗癌剤;抗痙攣薬;制吐薬;抗ヒスタミン剤;抗炎症剤(例えば、ホルモン剤、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、非ホルモン剤、アロプリノール、インドメタシン、フェニルブタゾンなど);プロスタグランジンおよび細胞毒性薬;エストロゲン;抗菌性剤;抗生物質;抗真菌剤;抗ウイルス剤;抗凝固剤;鎮痙性剤;抗うつ薬;抗ヒスタミン剤;ならびに免疫性因子が挙げられる。
【0068】
本開示の円形吻合構造体において備えられ得る適切な医薬の他の例としては、ウイルスおよび細胞、ペプチド、ポリペプチドおよびタンパク質、アナログ、ムテイン、ならびにこれらの活性化フラグメント;(例えば、免疫グロブリン、抗体、サイトカイン(例えば、リンフォカイン、モノカイン、ケモカイン)、血液凝固因子、造血因子、インターロイキン(IL−2、IL−3、IL−4、IL−6)、インターフェロン(例えば、β−IFN、α−IFNおよびβ−IFNなど)、エリスロポエチン、ヌクレアーゼ、腫瘍壊死因子、コロニー刺激因子(例えば、GCSF、GM−CSF、MCSF)、インスリン、抗腫瘍因子および腫瘍抑制因子、血液タンパク質、ゴナドトロピン(例えば、FSH、LH、CGなど)、ホルモンおよびホルモンアナログ(例えば、成長ホルモン)、ワクチン(例えば、腫瘍性抗原、細菌性抗原およびウイルス性抗原);ソマトスタチン;抗原;血液凝固因子;増殖因子(例えば、神経成長因子、インスリン様増殖因子);タンパク質インヒビター、タンパク質アントゴニスト、およびタンパク質アゴニスト;核酸(例えば、アンチセンスの分子、DNAおよびRNA);オリゴヌクレオチド;ならびにリボザイムが挙げられる。
【0069】
本開示の円形吻合構造体において、単一の医薬が利用されてもよいし、代替的な実施形態においては、本開示の円形吻合構造体において、医薬の任意の組み合わせが利用されてもよい。
【0070】
上記医薬は、構造体100の表面に配置され得るか、または構造体100の中に含漬され得る。この医薬は、1種以上の医学的および/または外科的に有用な物質(例えば、薬物、酵素、増殖因子、ペプチド、タンパク質、色素、診断剤もしくは造血因子、または狭窄を防ぐために使用される任意の他の医薬品)を含み得る。
【0071】
1つの実施形態において、構造体100の中央リング104は、2要素から構成される接着剤の第1の成分に含漬さ得れ、ステープルカートリッジアセンブリ22のステープル受入れスロット36中に保持されているステープルは、上記2要素から構成される接着剤の第2の成分(例えば、反応物質)でコーティングされ得ることが予測される。この様式において、上記接着剤の第1の成分は、上記ステープルが、外科用ステープルデバイス10の発射シーケンスの間、構造体100の中央リング104を貫通して捕捉する場合に活性化され、そして上記接着剤の2種の成分は互いに接着する。
【0072】
図3に示されるように、構造体100は、生体吸収性材料もしくは非吸収性材料の均質な配列または生体吸収性材料および/もしくは非吸収性材料の非均な配列を備える、単一の層になった中央リング104を備え得る。
【0073】
図4および図5を参照して上に議論したとおり、構造体100は、第1の層、フィルム、またはウェーハ104a、および第2の層、フィルムまたはウェーハ104bによって示されるような少なくとも二重の層になった中央リング104を備え得る。この実施形態において、各層104a、104bは、生体吸収性材料および/もしくは非吸収性材料の均質な配列または非均質な配列を備え得る。図5に示されるように、各層104a、104bは、外科的手順の前に互いに分離されていてもよいことが想定される。
【0074】
下により詳細に記載されるように、構造体100の第1の層104aは、吻合されるべき第1の組織の表面に対して、吻合されるべき第2の組織に並べて配置され得、そして、構造体100の第2の層104bは、吻合されるべき第2の組織の表面に対して、吻合されるべき第1の組織に並べて配置され得る。この様式において、第1の組織と第2の組織とが互いに接触するようになる場合、構造体100の第1の層104aと第2の層104bとは、互いに接触するようになり、そして混合および/または反応が可能になる。例えば、構造体100の第1の層104aは、2要素から構成される接着剤または封止剤の第1の成分を含み得る一方、構造体100の第2の層104bは、2要素から構成される接着剤または封止剤の第2の成分を含み得る。従って、使用する際に第1の層104aと第2の層104bとが互いに接触するようになる場合、上記2要素から構成される接着剤または封止剤の第1の成分および第2の成分もまた接触および混合するようになり、それによって接着剤または封止剤を形成する。
【0075】
第1の層104aおよび第2の層104bは、互いに接触する際および/または流体(例えば、水、生理食塩水、血液、活性化流体など)と接触する際に活性化される生体吸収性のフィルム様膜として作製され得る。破壊もしくは破断される仕切り、または破壊もしくは破断されるバリア(示さず)が、第1の層104aと第2の層104bとの間の偶発的な接触および/または早まった接触を防ぐために、第1の層104aと第2の層104bとの間に配置され得ることが想定される。第1の層104aおよび第2の層104bの各々は、その上面または下面の少なくとも一方に除去可能に配置されたライナー(示さず)を備え得ることがさらに想定される。これらの任意の実施形態において、第1の層104aと第2の層104bとが互いに接触する前に、上記仕切りおよび/またはライナーは、接着剤の活性化を起こすために除去されなければならない。
【0076】
構造体100の中央リング104は、隣接する層の組織が接近する場合に活性化される感圧性接着剤に含漬され得ることが、さらに想定される。適切な感圧性接着剤は当業者に公知であって、例えば、アクリル酸ポリマー、メタクリル酸ポリマーが挙げられる。いくつかの実施形態において、この感圧性接着剤は、メタクリル酸アルキル(アルキル基において1個〜約10個の炭素原子を含有するメタクリル酸アルキルが挙げられるが、これらに限定されない)であり得る。適切なメタクリル酸アルキルの代表例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸イソへプチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸n−ノニル、メタクリル酸n−デシル、メタクリル酸イソヘキシル、メタクリル酸2−エチルオクチル、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、ならびに前述のものの混合物および組み合わせが挙げられる。代表的には、上記メタクリル酸アルキルは、メタクリル酸イソオクチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸イソボルニル、および/またはメタクリル酸メチルであり得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、上記感圧性接着剤は、以下からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を有する、1種以上のメタクリル酸モノマーと共重合体化された上記に記載されたメタクリル酸アルキルを含むコポリマーであり得る:カルボン酸、カルボン酸エステル、ヒドロキシル、無水物、エポキシ、チオール、イソシアネート、スルホンアミド、尿素、カーバメート、カルボキサミド、アミン、アンモニウム、オキシ、オキソ、ニトロ、窒素、硫黄、ホスフェート、ホスホネート、シアノ、これらの組み合わせなど。単独または少なくとも1つの官能基を有するメタクリル酸モノマーとして組み合わせて使用され得る具体的材料の代表例としては、以下が挙げられる;メタクリル酸、マレイン酸、酢酸ビニル、ヒドロキシル基に約2個〜約4個の炭素原子を含有するメタクリル酸ヒドロキシアルキル、メタクリルアミド、アルキル基に1個〜8個の炭素原子を有するアルキル置換メタクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド、各々のアルキル基に1個または2個の炭素原子を独立に有するジアルキルメタクリルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルラクタム、N−ビニルバレロラクタム、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニル−2−ピロリドン、メタクリル酸グリシジル、アルコキシ基に1個〜4個の炭素原子を含有するメタクリル酸アルコキシ、メタクリル酸2−エトキシエチル、メタクリル酸2,2−エトキシエトキシエチル、メタクリル酸フルフリル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、モノメタクリル酸プロピレングリコール、メタクリル酸ポリエチレングリコール、メタクリル酸ポリエチレングリコールメチルエーテル、メタクリル酸ポリエチレンオキシドメチルエーテル、ジ(低級)アルキルアミノプロピルメタクリルアミド(ここで、低級とは、1個〜4個の炭素原子を有するアルキル部分を意味する)、メタクリロニトリル、これらの組み合わせなど。代表的には、少なくとも1つの官能基を有する共重合可能なモノマーとしては、アクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリルアミド、アクリル酸グリセリル、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2,2−エトキシエトキシエチル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、酢酸ビニル、および/またはアクリル酸が挙げられ得る。前述のアルキル基のいずれも、直鎖状であっても、分岐状であっても、環状であってもよい。
【0078】
図6に示されるように、使用される場合、構造体100は、アパーチャ108がアパーチャを通ってアンビルアセンブリ30の軸28を受入れるように配置され得、そして少なくともアパーチャ108は、カートリッジアセンブリ22のステープル受入れスロット36(図1を参照のこと)に実質的に軸方向に位置合わせされるように配置される。
【0079】
ここで図7および図8を参照すると、吻合手順において外科用ステープルデバイス10および取り外し可能なアンビルアセンブリ30を使用した腸管切断部66および68の連結の達成を説明する。この吻合手順は、代表的に、最小限に浸潤性の外科技術(腹腔鏡手段および腹腔鏡器具を含む)を使用して行われる。図7で示される手順の要点において、罹患した腸管切断部は、前もって除去されていて、アンビルアセンブリ30は、外科的切開を通じてか、または経肛門のいずれかで手術部位に適用され、そして腸管切断部68内部に配置される。そして、外科用ステープルデバイス10の管状本体部分20は、腸管切断部66に経肛門で挿入される。腸管切断部66および68はまた、それぞれの構成要素(例えば、アンビルアセンブリ30の軸28、および管状本体部分20の遠位端)の周りに従来の手段(例えば、財布のひも状の縫合糸「P」)によって一時的に固定されることが示される(例えば、図8を参照のこと)。
【0080】
1つの方法に従って、図8に示されるように、所望される場合または外科的手順が必要とされる場合、円形吻合構造体100は、アンビルアセンブリ30を管状本体部分20の遠位端に結合する前に、アンビルアセンブリ30の軸28上に配置され得る。構造体100をアンビルアセンブリ30の軸28上に配置した後、外科医は、軸28の近位端が外科用ステープルデバイス10の管状本体部分20の遠位端に挿入されるまで、アンビルアセンブリ30を操作する。ここで管状本体部分20の遠位端内の取り付け用構造体(示さず)は、軸28と係合して取り付けを達成する。
【0081】
その後、アンビルアセンブリ30および管状本体部分20は、腸管切断部66、68を近づけるよう接近させ、その間に円形吻合構造体100を捕捉する。次いで、外科用ステープルデバイス10は、発射され、それによって腸管切断部66、68を互いにステープルで留め、組織の一部分を切断し、そして構造体100がナイフの半径方向内向きに配置され、吻合を完了する。次いで、構造体100は、構造体100中に含漬された接着剤を放出し、それによって腸管切断部66および68を互いに接着させる。
【0082】
構造体100は、各々が2要素から構成される接着剤組成物の1つの要素を含む第1の層104aおよび第2の層104bを有し、この構造体が使用される場合において、第1の層104aおよび第2の層104bは、上記外科用ステープルデバイスの接近および発射が起こるまで、互いに分離および/または単離されて維持される。従って、使用される場合、第1の層104aおよび第2の層104bのうちの一方は、腸管切断部68の表面に対してアンビルアセンブリ30の軸28上に配置され得るが、第1の層104aおよび第2の層104bのもう一方は、腸管切断部66の表面に対して配置されることが想定される。ピン(示さず)が管状本体部分20の遠位端から遠位方向に伸長して腸管切断部66を通って貫通し得ることが想定される。この様式において、第1の層104aおよび第2の層104bのそのもう一方は、腸管切断部66を通って伸長するピン上にピンで固定され得る。
【0083】
あるいは、各々が2要素から構成される接着剤組成物の1つの要素を含む第1の層104aおよび第2の層104bを有する構造体100が使用される場合、各々の層104a、104bは、第1の層104aおよび第2の層104bが互いに分離および/または単離されて維持されるために、破断ライナーまたは取り外し可能なライナーが提供され得ることが想定される。従って、第1の層104aおよび第2の層104bの両方が、アンビルアセンブリ30の軸28上に配置され得る。
【0084】
各々が2要素から構成される接着剤組成物の第1の要素を含む第1の層104aおよび第2の層104bを有する構造体100が使用される場合、上記接着剤組成物は、第1の層104aおよび第2の層104bが互いに接触するようになると活性化され得る。
【0085】
前述から、本開示の円形吻合構造体は、その吻合を強化して出血、漏出、および狭窄の発生率を減少させるために機能することが認識される。本開示の円形吻合構造体は、多くの他の適用において利用され得、腸吻合または気管支吻合だけに限定されないこともまた認識される。
【0086】
上記に記載される円形吻合構造体の各々は、標的の手術部位における吻合の形成を増強するように構成される。いくつかの実施形態において、上記円形吻合構造体はまた、上記手術部位に接着剤を送達するために使用され得る。送達されるべき接着剤の量は、部位特異的である。従って、異なる大きさ(例えば、異なる厚さまたは異なる体積)の円形吻合構造体は、この構造体の中に異なる体積または量の接着剤を保持することが考慮される。この様式において、特定の必要性および特定の外科用手順に依存して、外科医は、構造体の中に必要とされる体積もしくは量の接着剤および/または所望の体積もしくは量の接着剤を含む円形吻合構造体を選択し得る。
【0087】
(摘要)
本開示は、吻合手順において、隣接する腸管切断部の間に配置するための構造体および/またはガスケットを提供する。この構造体は、少なくとも、第1の材料の内側リング、および第2の材料の中央リングを保有する。この第1の材料および第2の材料は、接着剤、封止剤および/または医薬のうちの少なくとも1つからなる創傷処置材料を含む。この第1の材料は、第2の材料と異なる。
【0088】
いくつかの特定の形態の円形吻合構造体が説明され記載されているが、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく種々の改変が行われ得ることもまた明らかである。例えば、上記に記載の円形吻合構造体のいずれかを接続するために使用される紫外光で活性化される接着剤が想定され、そしてこれは本開示の範囲内である。使用時、外科用ステープルデバイス10の発射の前または発射後のいずれかに、上記円形吻合構造体は、UV光で照射され、それによってその接着剤を活性化する。
【0089】
本明細書中で記載される各々の円形吻合構造体は、環状外科用吻合デバイスと共に使用され得ることがさらに予測される。この構造体は、組織を一緒に固定するためのいずれのステープルも備えないが、この構造体は、組織に接近し、組織を接着し、そして切断し得る。
【0090】
従って、本開示の円形吻合構造体の形態、詳細および適用の種々の変化は、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなくされ得ることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
図2に示される円形吻合構造体。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−66097(P2012−66097A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241733(P2011−241733)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【分割の表示】特願2006−58743(P2006−58743)の分割
【原出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】