説明

呈味賦与剤、香味料組成物及びこれらを含有する飲食物並びに飲食物の呈味改善方法

【課題】 呈味賦与効果を有し、かつ、呈味賦与剤由来の風味を有さず、素材の美味しさを引き立てるような和食用呈味賦与剤、およびそれを含有する香味料組成物の提供。
【解決手段】 アオサ、コンブ、ノリ、ヒトエグサ、ワカメなどの海藻を−25〜5℃の温度下でアルコール性溶媒で8〜96時間抽出し、ついで抽出液から溶媒を除去した海藻抽出物からなる呈味賦与剤及び該呈味賦与剤を含有することを特徴とする用香味料組成物並びに該呈味賦与剤を添加することを特徴とする飲食物の呈味改善方法。強い呈味感を賦与し、飲食物本来の風味を維持した美味しい飲食物製品を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲食物の呈味改善をするための、海藻抽出物からなる呈味賦与剤、該呈味賦与剤を含有する香味料組成物及びそれらを含有する飲食物並びに該呈味賦与剤を添加することを特徴とする飲食物の呈味改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海藻類は我が国において特に好まれる食材であり、そのまま生食したり、さまざまな加工品となり食卓を賑わせ、あるいは出汁として和食に欠かせない素材である。海藻類の風味賦与剤としての利用方法としては従来より多くの方法が知られており(例えば非特許文献1)、その他にも、ジメチル−β−プロピオテチン含有抽出物からなる香気成分前駆物質の製造方法(特許文献1)、亜臨界もしくは超臨界状態の炭酸ガスで抽出することを特徴とする海藻類フレーバーの製造方法(特許文献2)などが提案されている。しかしながら、海藻類フレーバーは強い呈味性を有するものではあるが、その独特の風味ゆえ汎用性に欠ける点も否めなかった。海藻風味を低減して呈味性を利用する方法としては、例えば分子量20万以上の成分を除去した海藻抽出物(特許文献3)、海藻抽出物を合成吸着剤と接触処理して臭気成分を除去した海藻抽出物(特許文献4)などが提案されているが、いずれも香気成分とともに呈味性分までも取り除かれる傾向にあり、十分なものであるとは言えなかった。
【0003】
一方、特定の風味を賦与せず、呈味性を賦与する素材としては、シャロット及び/又はオニオンをアルコール性溶媒で−20〜5℃において抽出することを特徴とする呈味賦与剤(特許文献5)が知られている。この素材は極微量で強い呈味性を賦与する効果的なものではあるが、シャロットやオニオンを使用しているため、特に和食の食材に使用するときはやや違和感を生ずるときもあり、更なる素材の開発が求められていた。
【特許文献1】特開昭63−222670号公報
【特許文献2】特開平2−235997号公報
【特許文献3】特開平3−172147号公報
【特許文献4】特開2003−144102号公報
【特許文献5】特開2002−186448号公報
【非特許文献1】特許庁公報 周知・慣用技術集(香料)第II部 食品用香料 750〜758頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、飲食物に強い呈味感を賦与し、かつ、呈味賦与剤由来の風味が邪魔にならない、汎用性のある呈味賦与剤が無いという点である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明者らは鋭意検討した結果、低温条件下アルコール性溶媒で抽出された海藻抽出物が、上記課題を解決することを見いだし本発明を完成させた。すなわち本発明は、海藻を−25℃〜5℃の温度条件下、アルコール性溶媒で抽出し、ついで抽出液から溶媒を除去した海藻抽出物からなる呈味賦与剤であり、詳しくは、海藻がアオサ、アカバギンナンソウ、アサクサノリ、アマクサノリ、アラメ、アントクメ、イワノリ、イタニグサ、ウシケノリ、オオウキモ、オオソゾ、オオツノリ、オゴノリ、キリンサイ、ジャイアントケルプ、スサビノリ、スジアオノリ、テングサ、ダルス、トサカノリ、ナガコンブ、ハバノリ、ヒジキ、ヒトエグサ、ヒバマタ、ヒラアオノリ、フノリ、ボウアオノリ、ホソメコンブ、ホンダワラ、マコンブ、マルバアオノリ、ミツイシコンブ、ミル、モズク、リシリコンブ、ワカメからなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物であることを特徴とする前記呈味賦与剤であり、更に詳しくは、アルコール性溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物、或いはこれらの水溶液であることを特徴とする前記呈味賦与剤であり、更に詳しくは、アルコール性溶媒が30〜95%(V/V%)のアルコール水溶液であることを特徴とする前記呈味賦与剤であり、更に詳しくは、抽出時間が8〜96時間であることを特徴とする前記呈味賦与剤であり、更に詳しくは、添加率が0.0001〜0.5質量%であることを特徴とする前記呈味賦与剤であり、また、前記呈味改善剤を含有することを特徴とする飲食物用香味料組成物であり、また、前記呈味賦与剤を含有することを特徴とする飲食物であり、また、前記飲食物用香味料組成物を含有することを特徴とする飲食物であり、また、前記呈味賦与剤を添加することを特徴とする飲食物の呈味改善方法であり、また、前記飲食物用香味料組成物を添加することを特徴とする飲食物の呈味改善方法である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の呈味賦与剤を用いることにより、飲食物に強い呈味感を賦与し、かつ、呈味賦与剤由来の風味が邪魔にならず、飲食物本来の風味を維持した美味しい飲食物製品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明で用いられる海藻は、海藻であれば特に限定されることはなくいずれのものも利用できるが、例えばアオサ、アカバギンナンソウ、アサクサノリ、アマクサノリ、アラメ、アントクメ、イワノリ、イタニグサ、ウシケノリ、オオウキモ、オオソゾ、オオツノリ、オゴノリ、キリンサイ、ジャイアントケルプ、スサビノリ、スジアオノリ、テングサ、ダルス、トサカノリ、ナガコンブ、ハバノリ、ヒジキ、ヒトエグサ、ヒバマタ、ヒラアオノリ、フノリ、ボウアオノリ、ホソメコンブ、ホンダワラ、マコンブ、マルバアオノリ、ミツイシコンブ、ミル、モズク、リシリコンブ、ワカメなどが例示され、好ましくはアオサ、アサクサノリ、アラメ、イワノリ、オゴノリ、スサビノリ、スジアオノリ、ハバノリ、ヒトエグサ、ヒラアオノリ、ボウアオノリ、マコンブ、マルバアオノリ、モズク、リシリコンブ、ワカメが用いられ、更に好ましくはアオサ、アサクサノリ、イワノリ、スジアオノリ、ハバノリ、ヒトエグサ、ヒラアオノリ、ボウアオノリ、マルバアオノリ、ワカメが選択される。上記海藻は単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの海藻は加熱されることなく生のまま細断され、速やかに冷却、抽出することが望ましいが、乾燥品を使用する場合は、細断後5℃以下の水中で戻し、次いでアルコール性溶媒抽出に供することもできる。
【0008】
本発明における抽出温度は−25℃〜5℃の範囲内であることが必要で、好ましくは−20℃〜5℃、更に好ましくは−15℃〜5℃、最も好ましくは−15℃〜3℃である。−25℃未満の場合は、抽出に長時間を要する場合があり、5℃を越えると海藻中の酵素反応が活発になり海藻自体の香味が強く出すぎる可能性がある。
【0009】
本発明で用いられるアルコール性溶媒は、分子内に一つ以上の水酸基をもち常温で液体であれば特に限定されるものではなく、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの1価のアルコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールが例示され、好ましくはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの1価のアルコールが用いられ、最も好ましくはエタノールが選択される。上記アルコール類は水溶液の形で使用することができ、好ましくは30〜95%(V/V%、以下同じ)水溶液、より好ましくは50〜90%の水溶液、最も好ましくは60〜85%の水溶液で用いられる。30%未満の場合は、溶媒が抽出中に凍ってしまう可能性があり、95%を越えた場合は抽出時間が長くなる傾向がある。
【0010】
本発明における抽出時間は任意に設定され、特に限定されるものではないが、好ましくは8〜96時間であり、より好ましくは24〜96時間であり、最も好ましくは48〜96時間である。8時間未満であれば抽出効率が低くなる可能性があり、96時間を越えて抽出に時間を費やすことは経済上好ましくない。
【0011】
本発明の抽出物からなる呈味賦与剤には更に食品添加物、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、苦味料、酸味料、乳化剤、強化剤、製造用剤及び香料などを添加して各種製剤として用いることもでき、香味料組成物として用いることが特に好ましい。本発明で用いることのできる香料としては、例えばアセト酢酸エチル、アセトフェノン、アニスアルデヒド、α−アミルシンナムサルデヒド、アントラニル酸メチル、イオノン、イソオイゲノール、イソ吉草酸イソアミル、イソ吉草酸エチル、イソチオシアン酸アリル、イソチオシアン酸3−ブテニル、イソチオシアン酸4−ペンテニル、イソチオシアン酸ベンジル、イソチオシアン酸3−メチルチオプロピル、イソチオシアネート類、インドール及びその誘導体、γ−ウンデカラクトン、エステル類、エチルバニリン、エーテル類、オイゲノール、オクタノール、オクタナール、オクタン酸エチル、ギ酸イソアミル、ギ酸ゲラニル、ギ酸シトロネリル、ケイ皮酸、ケイ皮酸エチル、ケイ皮酸メチル、ケトン類、ゲラニオール、酢酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸ゲラニル、酢酸シクロヘキシル、酢酸シトロネリル、酢酸シンナミル、酢酸テルピニル、酢酸フェネチル、酢酸ブチル、酢酸ベンジル、酢酸l−メンチル、酢酸リナリル、サリチル酸メチル、シクロヘキシルプロピオン酸アリル、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、1,8−シネオール、脂肪酸類、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、脂肪族高級炭化水素類、シンナミルアルコール、シンナムアルデヒド、チオエーテル類、チオール類、デカナール、デカノール、デカン酸エチル、テルピネオール、リモネン、ピネン、ミルセン、タピノーレン、テルペン系炭化水素類、γ−ノナラクトン、バニリン、パラメチルアセトフェノン、ヒドロキシシトロネラール、ヒドロキシシトロネラールジメチルアセタール、ピペロナール、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸エチル、フェノールエーテル類、フェノール類、フルフラール及びその誘導体、プロピオン酸、プロピオン酸イソアミル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ベンジル、ヘキサン酸、ヘキサン酸アリル、ヘキサン酸エチル、ヘプタン酸エチル、l−ペリラアルデヒド、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、芳香族アルコール類、芳香族アルデヒド類、d−ボルネオール、マルトール、N−メチルアントラニル酸メチル、メチルβ−ナフチルケトン、dl−メントール、l−メントール、酪酸、酪酸イソアミル、酪酸エチル、酪酸シクロヘキシル、酪酸ブチル、ラクトン類、リナロオール等の合成或いは天然由来の香料の他、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどシトラス系精油類、アップル、バナナ、グレープ、メロン、ピーチ、パイナップル、ストロベリーなどフルーツ系の精油或いは回収フレーバー、ミルク、クリーム、バター、チーズ、ヨーグルトなど乳系の抽出香料、緑茶、紅茶、コーヒー、ココアなど嗜好品系の回収フレーバー、ペパーミント、スペアミントなどミント系の精油、アサノミ、アサフェチダ、アジョワン、アニス、アンゼリカ、ウイキョウ、ウコン、オレガノ、オールスパイス、オレンジノピール、カショウ、カッシア、カモミール、カラシナ、カルダモン、カレーリーフ、カンゾウ、キャラウェー、クチナシ、クミン、クレソン、クローブ、ケシノミ、ケーパー、コショウ、ゴマ、コリアンダー、サッサフラス、サフラン、サボリー、サルビア、サンショウ、シナモン、シャロット、ジュニパーベリー、ショウガ、スターアニス、スペアミント、セイヨウワサビ、セロリー、ソーレル、タイム、タマネギ、タマリンド、タラゴン、チャイブ、ディル、トウガラシ、ナツメグ、ニガヨモギ、ニジェラ、ニンジン、ニンニク、バジル、パセリ、ハッカ、バニラ、パプリカ、ヒソップ、フェネグリーク、ペパーミント、ホースミント、ホースラディッシュ、マジョラム、ミョウガ、ラベンダー、リンデン、レモングラス、レモンバーム、ローズ、ローズマリー、ローレル、ワサビなどから得られる香辛料抽出物、アイスランドモス、アカヤジオウ、アケビ、アサ、アサフェチダ、アジアンタム、アジョワン、アズキ、アスパラサスリネアリス、アップルミント、アーティチョーク、アニス、アボカド、アマチャ、アマチャズル、アミガサユリ、アミリス、アーモンド、アリタソウ、アルカンナ、アルテミシア、アルニカ、アルファルファ、アロエ、アンゴスツラ、アンゴラウィード、アンズ、アンズタケ、アンゼリカ、アンバー、アンバーグリス、アンブレット、イカ、イカリソウ、イグサ、イースト、イタドリ、イチゴ、イチジク、イチョウ、イノコヅチ、イランイラン、イワオウギ、インペラトリア、インモルテル、ウィンターグリーン、ウォータークレス、ウコギ、ウコン、ウスバサイシン、ウッドラフ、ウニ、ウメ、ウーロンチャ、エゴマ、エノキダケ、エビ、エビスグサ、エリゲロン、エルダー、エレウテロコック、エレカンペン、エレミ、エンゴサク、エンジュ、エンダイブ、欧州アザミ、オウレン、オオバコ、オカゼリ、オキアミ、オーク、オークモス、オケラ、オスマンサス、オポポナックス、オミナエシ、オモダカ、オランダセンニチ、オリガナム、オリス、オリバナム、オリーブ、オールスパイス、オレンジ、オレンジフラワー、カイ、カイニンソウ、カカオ、カキ、カサイ、カシューナッツ、カスカラ、カスカリラ、カストリウム、カタクリ、カツオブシ、カッシー、カッシャフィスチュラ、カテキュ、カニ、カーネーション、カノコソウ、カモミル、カヤプテ、カラシ、カラスウリ、カラスビシャク、ガラナ、カラムス、ガランガ、カーラント、カリッサ、カリン、カルダモン、ガルバナム、カレー、カワミドリ、カンゾウ、ガンビア、カンラン、キウィーフルーツ、キカイガラタケ、キキョウ、キク、キクラゲ、キササゲ、ギシギシ、キダチアロエ、キナ、キハダ、キバナオウギ、ギボウシ、ギムネマシルベスタ、キャットニップ、キャラウェイ、キャロップ、キュウリ、キラヤ、キンミズヒキ、グァバ、グァヤク、クコ、クサスギカズラ、クサボケ、クズ、クスノキ、クスノハガシワ、グーズベリー、クチナシ、クベバ、クマコケモモ、グミ、クミン、グラウンドアイビー、クララ、クラリセージ、クランベリー、クリ、クルミ、クリーム、グレインオブパラダイス、クレタディタニー、グレープフルーツ、クローバー、クローブ、クロモジ、クロレラ、クワ、クワッシャ、ケイパー、ゲットウ、ケード、ケブラコ、ゲルマンダー、ケンチュール、ケンポナシ、ゲンノショウコ、コウジ、コウダケ、コウチャ、コウホネ、コカ、コガネバナ、コクトウ、コクルイ、ココナッツ、ゴシュユ、コショウ、コスタス、コストマリー、コパイパ、コーヒー、コブシ、ゴボウ、ゴマ、コーラ、コリアンダー、コルツフート、ゴールデンロッド、コロンボ、コンサイ、コンズランゴ、コンフリー、サイプレス、魚、サクラ、サクランボ、ザクロ、サケカス、ササ、ササクサ、サーチ、サッサフラス、サフラン、サポジラ、サボテン、サラシナショウマ、サルサパリラ、サルシファイ、サルノコシカケ、サンザシ、サンシュユ、サンショウ、サンタハーブ、サンダラック、サンダルウッド、サンダルレッド、シイタケ、ジェネ、シダー、シトラス、シトロネラ、シヌス、シベット、シマルーバ、シメジ、シャクヤク、ジャスミン、ジャノヒゲ、ジャボランジ、シャロット、シュクシャ、ジュニパーベリー、ショウガ、ショウユ、ショウユカス、ジョウリュウシュ、ショウロ、シロタモギタケ、ジンセン、シンナモン、酢、スイカ、スイセン、スギ、スターアニス、スターフルーツ、スチラックス、スッポン、スッポンタケ、ズドラベッツ、スネークルート、スパイクナード、スプルース、スペアミント、スベリヒユ、スローベリー、セイボリー、セキショウ、セージ、ゼドアリー、セネガ、ゼラニウム、セロリー、センキュウ、センタウリア、センゲン、セントジョーンズウォルト、センナ、ソース、ダイオウ、ダイズ、タイム、タケノコ、タコ、タデ、ダバナ、タマゴ、タマゴタケ、タマネギ、タマリンド、ダミアナ、タモギタケ、タラゴン、タラノキ、タンジー、タンジェリン、タンポポ、チェリモラ、チェリーローレル、チェリーワイルド、チガヤ、チコリ、チーズ、チチタケ、チャイブ、チャービル、チャンパカ、チュベローズ、チョウセンゴミシ、チラータ、ツクシ、ツケモノ、ツタ、ツバキ、ツユクサ、ツリガネニンジン、ツルドクダミ、ディアタング、ティスル、ディタニー、ディル、デーツ、テンダイウヤク、テンマ、トウガラシ、トウキ、ドウショクブツタンパクシツ、ドウショクブツユ、トウミツ、トウモロコシ、ドクダミ、トチュウ、ドッググラス、トマト、ドラゴンブラッド、ドリアン、トリュフ、トルーバルサム、トンカ、ナギナタコウジュ、ナシ、ナスターシャム、ナッツ、ナットウ、ナツメ、ナツメグ、ナデシコ、ナメコ、ナラタケ、ニアウリ、ニュウサンキンバイヨウエキ、ニンジン、ネズミモチ、ネットル、ネムノキ、ノットグラス、バイオレット、パイナップル、ハイビスカス、麦芽、ハコベ、バジル、ハス、ハスカップ、パースカップ、パセリ、バター、バターオイル、バターミルク、バーチ、ハチミツ、パチュリー、ハッカ、バックビーン、ハッコウシュ、ハッコウニュウ、ハッコウミエキ、パッションフルーツ、ハツタケ、バッファローベリー、ハトムギ、ハナスゲ、バナナ、バニラ、ハネーサックル、パパイヤ、バーベリー、ハマゴウ、ハマスゲ、ハマナス、ハマボウフウ、ハマメリス、バラ、パルマローザ、パンダナ、バンレイシ、ヒキオコシ、ヒシ、ピスタチオ、ヒソップ、ヒッコリー、ピーナッツ、ヒノキ、ヒバ、ピプシシワ、ヒメハギ、ヒヤシンス、ヒラタケ、ビワ、ビンロウ、フェイジョア、フェネグリーク、フェンネル、フジバカマ、フジモドキ、フスマ、フーゼルユ、プチグレイン、ブチュ、ブドウ、ブドウサケカス、フトモモ、ブナ、ブナハリタケ、ブラックキャラウェイ、ブラックベリー、プラム、ブリオニア、プリックリーアッシュ、プリムローズ、プルネラ、ブルーベリー、ブレッドフルーツ、ヘイ、ベイ、ヘーゼルナッツ、ベチバー、ベーテル、ベニバナ、ペニーロイヤル、ペパーミント、ヘビ、ペピーノ、ペプトン、ベルガモット、ベルガモットミント、ペルーバルサム、ベルベナ、ベロニカ、ベンゾイン、ボアドローズ、ホアハウンド、ホウ、ホウキタケ、ホウショウ、ボウフウ、ホエイ、ホオノキ、ホースミント、ホースラディッシュ、ボタン、ホップ、ポピー、ポプラ、ポポー、ホホバ、ホヤ、ボルドー、ボロニア、マイタケ、マグウォルト、マシュマロー、マジョラム、マスティック、マソイ、マタタビ、マチコ、マツ、マツオウジ、マッシュルーム、マツタケ、マツブサ、マツホド、マテチャ、マメ、マリーゴールド、マルバダイオウ、マルメロ、マレイン、マロー、マンゴー、マンゴスチン、ミカン、ミシマサイコ、ミソ、ミツマタ、ミツロウ、ミート、ミモザ、ミョウガ、ミルク、ミルテ、ミルフォイル、ミルラ、ミロバラン、ムギチャ、ムスク、ムラサキ、メスキート、メドウスィート、メハジキ、メープル、メリッサ、メリロット、メロン、モウセンゴケ、モニリアバイヨウエキ、モミノキ、モモ、モロヘイヤ、ヤクチ、ヤマモモ、ユーカリ、ユキノシタ、ユズ、ユッカ、ユリ、ヨウサイ、ヨロイグサ、ライオンズフート、ライチ、ライフエバーラスティングフラワー、ライム、ライラック、ラカンカ、ラカンショウ、ラズベリー、ラタニア、ラディッシュ、ラブダナム、ラベンダー、ラングウォルト、ラングモス、ランブータン、リキュール、リーク、リツェア、リナロエ、リュウガン、リョウフンソウ、リョクチャ、リンゴ、リンデン、リンドウ、ルー、ルリジサ、レセダ、レモン、レモングラス、レンギョウ、レンゲ、レンブ、ローズマリー、ロベージ、ローレル、ロンゴザ、ワサビ、ワタフジウツギ、ワームウッド、ワームシード、ワラビ、ワレモコウなどから得られる天然香料、カレー、シチュー、デミグラスソースなど調理食品からの抽出フレーバー等天然香料が例示され、適宜選択して使用される。香料の使用量は特に限定されるものではないが、一般的には海藻抽出物中、0.001〜99.9質量%、好ましくは50〜99質量%、最も好ましくは80
〜98質量%の含有率で用いられる。本発明の呈味改善剤及び該呈味改善剤を添加した香味料組成物の使用形態は、そのまま或いは希釈した状態、乳化状態、更には粉化した様々な製剤の形で用いることができる。
【0012】
本発明の呈味賦与剤で呈味が賦与される飲食物は、可食性のものであれば特に限定されることはないが、例えばお吸い物、スープなどの飲料、スナック類などの菓子、グラタンなどの酪農・油脂製品、ふりかけなどの調味料、魚肉加工品などの水産加工品、調理食品、冷凍食品などが例示され、特に和食の素材との相性が抜群である。本発明で得られる呈味賦与剤を飲食物に添加する場合、その添加率は対象となる飲食物に応じて任意に設定するものであるが、通常は0.0001〜1.0質量%、好ましくは0.0001〜0.5質量%、より好ましくは0.001〜0.5質量%、特に好ましくは0.001〜0.2質量%、最も好ましくは0.01〜0.2質量%で添加される。添加率が0.0001質量%未満であると呈味賦与効果が低くなる可能性があり、1.0質量%を越える場合は呈味賦与剤の風味が表に立ってくることがあり好ましくない場合がある。添加する時期は、飲食物が調製され、消費者が喫食するまでの任意の時期で可能であり、該飲食物の調製後加熱殺菌過程等において呈味改善効果を発揮させることもでき、或いは該飲食物の別添調味料として添付し、消費者が家庭で喫食直前に添加することにより呈味改善効果を発揮させることもできる。次に実施例を挙げ、更に詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
[実施例1]
乾燥アナアオサ50部(重量部、以下同じ)を細断し、−20℃の50%(V/V%、以下同じ)エタノール水溶液1,000部に投入し、−18℃±2℃で96時間浸漬抽出を行った。抽出終了後不溶物を濾別し、減圧濃縮を行うことにより、新鮮なアオサの風味をわずかに有する、薄緑色の海藻抽出物150部を得た(乾燥固形量4.5質量%)。
【0014】
[実施例2]
乾燥ヒトエグサ50部を細断し、−18℃の50%エタノール水溶液1,000部に投入し、−15℃±2℃で96時間浸漬抽出を行った。抽出終了後不溶物を濾別し、減圧濃縮を行うことにより、新鮮な海苔の香りを有する、緑色の海藻抽出物150部を得た(乾燥固形量0.5質量%)。
【0015】
[実施例3]
乾燥ワカメ50部を細断し、直ちに−15℃の50%エタノール水溶液1,000部に投入し、−12℃±2℃で96時間浸漬抽出を行った。抽出終了後不溶物を濾別し、減圧濃縮を行うことにより、ワカメ特有の風味を有する、黄橙色の海藻抽出物150部を得た(乾燥固形量5.5質量%)。
【0016】
[実施例4]
乾燥コンブ50部を細断し、直ちに−15℃の50%エタノール水溶液1,000部に投入し、−12℃±2℃で96時間浸漬抽出を行った。抽出終了後不溶物を濾別し、減圧濃縮を行うことにより、コンブ特有の風味を有する、薄黄色の海藻抽出物150部を得た(乾燥固形量11.7質量%)。
【0017】
[比較例1]
乾燥アナアオサ50部を細断し、温水1,000重量部に投入し、50〜65℃で30分間の浸漬抽出を行った。抽出終了後不溶物を濾別し、減圧濃縮を行うことにより、やや生臭さをともなった海藻の風味と磯の香りを有する、薄茶色の海藻抽出物150部を得た(乾燥固形量7.9質量%)。
【0018】
[比較例2]
乾燥ヒトエグサ50部を細断し、温水1,000重量部に投入し、50〜65℃で30分間の浸漬抽出を行った。抽出終了後不溶物を濾別し、減圧濃縮を行うことにより、やや蒸れた感じの、ほのかな海苔の香りを有する、薄茶褐色の海藻抽出物150部を得た(乾燥固形量4.1質量%)。
【0019】
[試験例1]
本発明の呈味賦与剤の効果を評価した。評価は、市販の緑茶飲料(株式会社伊藤園製)に、実施例1〜4のの呈味賦与剤を0.2質量%添加し、熟練したパネル10名により、無添加品をコントロールとして官能評価により行った。また、対照として、比較例1及び2の海藻抽出物についても行った。評価の基準は、風味の強さ、風味の良さとし、無添加品を4とする7段階評価(風味に優れる:7 〜 コントロール:4 〜 異味異臭がある:1 )とした。評価点の平均と風味のコメント(自由記述)を表1に示す。
【0020】
【表1】

【0021】
表1の結果から、比較例1及び2の海藻エキスは無添加品と比較して風味増強効果が認められるものの、力価が弱く感じたのに対し、本発明の海藻エキスは優れた風味増強効果のみを有していることが判る。
【0022】
[試験例2]
本発明の海藻エキスのわかめスープにおける効果を評価した。評価は、市販のわかめスープ(株式会社永谷園製)に、実施例1及び2の海藻抽出物を0.1質量%添加し、熟練したパネル10名により、無添加品をコントロールとして官能評価により行ったところ、いずれの実施例においても味の広がりとボリューム感がアップし、旨味増強の効果が見られた。
【0023】
[実施例5]
市販の粉末コーンスープ(株式会社ポッカコーポレーション製)に実施例2の海藻エキスを0.1質量%添加したところ、コーンの粒感と旨味が増強された美味しいコーンスープとなった。
【0024】
[参考例]
市販の粉末コーンスープ(株式会社ポッカコーポレーション製)に比較例1及び2の海藻エキスを0.1質量%添加したところ、力価は強くはないものの、旨味の増強と、調理感をともなったポタージュ様の美味しいコーンスープとなった。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の呈味賦与剤を用いることにより、飲食物に強い呈味感を賦与し、かつ、呈味賦与剤由来の風味が邪魔せず、飲食物本来の風味を維持した美味しい飲食物製品を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海藻を−25℃〜5℃の温度条件下、アルコール性溶媒で抽出し、ついで抽出液から溶媒を除去した海藻抽出物からなる呈味賦与剤。
【請求項2】
海藻がアオサ、アカバギンナンソウ、アサクサノリ、アマクサノリ、アラメ、アントクメ、イワノリ、イタニグサ、ウシケノリ、オオウキモ、オオソゾ、オオツノリ、オゴノリ、キリンサイ、ジャイアントケルプ、スサビノリ、スジアオノリ、テングサ、ダルス、トサカノリ、ナガコンブ、ハバノリ、ヒジキ、ヒトエグサ、ヒバマタ、ヒラアオノリ、フノリ、ボウアオノリ、ホソメコンブ、ホンダワラ、マコンブ、マルバアオノリ、ミツイシコンブ、ミル、モズク、リシリコンブ、ワカメから選ばれる1種又は2種以上からなることを特徴とする請求項1に記載の呈味賦与剤。
【請求項3】
アルコール性溶媒がメタノール、エタノール、プロパノール及びイソプロパノールからなる群から選ばれる1種又は2種以上の混合物、或いはこれらの水溶液であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の呈味賦与剤。
【請求項4】
アルコール性溶媒が30〜95%のアルコール水溶液であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載の呈味賦与剤。
【請求項5】
抽出時間が8〜96時間であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載の呈味賦与剤。
【請求項6】
添加率が0.0001〜0.5質量%であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかの項に記載の呈味賦与剤。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載の呈味賦与剤を含有することを特徴とする香味料組成物。
【請求項8】
請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載の呈味賦与剤を含有することを特徴とする飲食物。
【請求項9】
請求項7記載の香味料組成物を含有することを特徴とする飲食物。
【請求項10】
請求項1〜請求項6のいずれかの項に記載の呈味賦与剤を添加することを特徴とする飲食物の呈味改善方法。
【請求項11】
請求項7記載の香味料組成物を添加することを特徴とする飲食物の呈味改善方法。

【公開番号】特開2007−37476(P2007−37476A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−226185(P2005−226185)
【出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(591011410)小川香料株式会社 (173)
【Fターム(参考)】