説明

呼制御プログラムおよび呼制御装置

【課題】 データを分散化させつつ、未使用チャネルを利用して発信端末または着信端末への情報の配信を可能とする呼制御プログラムおよび呼制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の端末の接続を制御するコンピュータ1を、コンピュータ1が、発信端末3の使用可能チャネルと着信端末4の使用可能チャネルとの差異に応じて、未使用チャネルの有無を判断する未使用チャネル判断手段と、コンピュータ1が、未使用チャネルを発信端末3および着信端末4以外の第三の端末5に接続する未使用チャネル接続手段として機能させることにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼制御プログラムおよび呼制御装置に係り、特に複数の端末の接続を制御する呼制御プログラムおよび呼制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットが普及する中、電話網の一部はIPネットワークへ移行しつつある。近年、IPネットワークを用いたIP電話サービスは低価格で提供されるようになり、急速に広まっている。また、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)、CATV(Cable Television)、FTTH(Fiber To The Home)等によるアクセス回線のブロードバンド化も進んでいる為、インフラは大容量のデータを扱えるように整備されつつある。したがって、TV電話やコンテンツ配信等のマルチメディアサービスは今後も伸びていくと予想される。
【0003】
一方、インターネットにおける広告配信サービスには、バナー広告,メールマガジン広告など、様々なものが存在している。その中でもTV電話を利用したマルチメディア広告配信サービスは、注目度が大きい。
【0004】
この理由は、TV電話が普及したとしても、通信相手がTV電話機能を備えていない端末である場合、通信相手がボイスポータルである場合、又はTV電話機能を備えた端末であるが顔を見せたくない場合など、TV電話機能を備えた端末を使用しているにも関わらず、映像機能を利用できない又は利用したくないといったケースが、さまざま存在するからである。
【0005】
例えば通信時に利用していない映像機能を広告受信に使用するマルチメディア広告配信サービスでは、通信料金の一部又は全部を広告配信主に負担させることで、結果として通信を行なうユーザも恩恵を享受でき、TV電話の利用促進にも繋がる可能性がある(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−201229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のマルチメディア広告配信サービスでは、通信時に利用していないチャネルがあると、そのチャネルから交換機に蓄積されている広告情報を配信する内容が開示されているが、広告情報の蓄積及び配信を行なう交換機の負担が大きいという問題があった。また、広告情報の蓄積及び配信を交換機でおこなうと、データが分散化されているIPネットワークにおいては制限となるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みなされたもので、データを分散化させつつ、未使用チャネルを利用して発信端末または着信端末への情報の配信を可能とする呼制御プログラムおよび呼制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、上記課題を解決するため、本発明は、複数の端末の接続を制御するコンピュータを、前記コンピュータが、発信端末の使用可能チャネルと着信端末の使用可能チャネルとの差異に応じて、未使用チャネルの有無を判断する未使用チャネル判断手段と、前記コンピュータが、前記未使用チャネルを前記発信端末および着信端末以外の第三の端末に接続する未使用チャネル接続手段として機能させる為の呼制御プログラムであることを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、複数の端末の接続を制御する呼制御装置であって、発信端末の使用可能チャネルと着信端末の使用可能チャネルとの差異に応じて、未使用チャネルの有無を判断する未使用チャネル判断手段と、前記未使用チャネルを前記発信端末および着信端末以外の第三の端末に接続する未使用チャネル接続手段とを有することを特徴とする。
【0010】
本発明では、発信端末の使用可能チャネルと着信端末の使用可能チャネルとの差異に応じて未使用チャネルの有無を判断し、その未使用チャネルを発信端末および着信端末以外の第三の端末に接続することができる。即ち、本発明では発信端末または着信端末へ配信する情報の蓄積及び配信処理を第三の端末で行なうことができる。
【0011】
なお、本発明は、上記課題を解決するため、呼制御方法,呼制御プログラムを記録した記録媒体としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
上述の如く、本発明によれば、データを分散化させつつ、未使用チャネルを利用して発信端末または着信端末への情報の配信を可能とする呼制御プログラムおよび呼制御装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための最良の形態を、以下の実施例に基づき図面を参照しつつ説明していく。本実施例では、発信端末および着信端末以外の第三の端末として広告配信業者の広告配信サーバを例に説明するが、発信端末または着信端末へ何らかの情報を配信する如何なる端末であってもよい。本実施例では、VoIP(Voice Over Internet Protocol)技術を使用したIP電話を例に説明するが、発信端末の使用可能チャネルと着信端末の使用可能チャネルとの差異に応じて未使用チャネルの有無を判断できれば、他の技術を使用した端末であってもよい。また、本実施例では未使用機能のチャネルが映像機能の場合について説明するが、未使用機能のチャネルが映像機能の場合に限定するものではない。
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明による呼制御システムの第1実施例の構成図である。図1の呼制御システムは、呼制御サーバ1,発信者の操作する発信端末3,着信者の操作する着信端末4及び広告配信業者の操作する広告配信サーバ5を含む構成である。
【0015】
発信端末3は、音声機能および映像機能を備えている。着信端末4は、音声機能を備えている。広告配信サーバ5は、映像機能を備えている。また、呼制御サーバ1は呼制御アプリケーション(呼制御APL)により複数の端末の接続を制御する。なお、呼制御アプリケーションは、例えば記録媒体から呼制御サーバ1にインストールされる。
【0016】
次に、図1の呼制御システムにおける処理手順を説明する。発信者が発信端末3を操作して着信者に電話をかけると、発信端末3はステップS1に進み、自機の備える機能(音声機能、映像機能)を表した機能情報を含む接続要求を呼制御サーバ1に送信する。
【0017】
ステップS2に進み、着信端末4は発信端末3からの接続要求を呼制御サーバ1経由で受信する。着信者が着信端末4を操作して発信者からの電話に出ると、着信端末4はステップS3に進み、自機の備える機能(音声機能)を表した機能情報を含む接続応答を呼制御サーバ1に送信する。
【0018】
ステップS4に進み、呼制御サーバ1の呼制御アプリケーション2はステップS3で受信した接続応答のメッセージを分析し、着信端末4の備える機能が音声機能のみであると判断する。ステップS5に進み、呼制御サーバ1は発信端末3の備える機能と着信端末4の備える機能とに差異がある為、広告配信サーバ5に接続要求を送信する。即ち、呼制御サーバ1は発信端末3の備える機能と着信端末4の備える機能との差異により遊休状態となる機能があると判断し、その機能を使用する為に、広告配信サーバ5に接続要求を送信している。
【0019】
ステップS6に進み、広告配信サーバ5は自機の備える機能(映像機能)を表した機能情報を含む接続応答を呼制御サーバ1に送信する。ステップS7に進み、呼制御サーバ1は着信端末4の備える機能(音声機能)と広告配信サーバ5が備える機能(映像機能)とを表した機能情報を含む接続応答を発信端末3に送信する。
【0020】
そして、ステップS8に進み、発信端末3は着信端末4との間で音声通信を行なうことにより、発信者と着信者との通話を実現する。発信端末3は、広告配信サーバ5との間で映像通信を行なうことにより、広告配信業者からの広告配信を実現する。広告配信サーバ5は、広告配信サービスに利用する広告情報を蓄積している。
【0021】
実施例1の呼制御システムでは、発信端末3の使用可能な機能と着信端末4の使用可能な機能との差異に応じて未使用機能のチャネル(未使用チャネル)を判断し、その未使用チャネルを広告配信サーバ5に接続することができる。また、実施例1の呼制御システムでは、配信する広告情報を呼制御サーバ1でなく、広告配信サーバ5に蓄積できる。
【0022】
したがって、実施例1の呼制御システムでは、発信端末3と着信端末4との間で音声通信を実現できると共に、未使用チャネルを利用して広告配信サーバ5からの広告配信を実現できる。
【実施例2】
【0023】
図2は、本発明による呼制御システムの第2実施例の構成図である。図2の呼制御システムは、複数の広告配信サーバ5a〜5cを含む構成である点が、第1実施例の呼制御システムの構成と異なっている。したがって、第2実施例の説明では第1実施例と同一部分について同一符号を付して適宜説明を省略する。なお、以下の説明では、広告配信サーバ5a〜5cの何れかを指す場合は、単に符号5を用いる。
【0024】
次に、図2の呼制御システムにおける処理手順について具体的に説明する。図3は、本発明による呼制御システムの処理手順を表す一例のシーケンス図である。図3は、IPネットワーク上でIP電話の発信や着信を制御するためのプロトコルとしてSIP(Session Initiation Protocol)を使用した例を示している。
【0025】
ステップS10〜S12に進み、発信端末3,着信端末4及び広告配信サーバ5は呼制御サーバ1に対して登録を行なう。発信者が発信端末3を操作して着信者に電話をかけると、発信端末3はステップS13に進み、自機の備える機能(音声機能、映像機能)を表した機能情報を含む接続要求のメッセージ10を呼制御サーバ1に送信する。
【0026】
ステップS14に進み、着信端末4は発信端末3からの接続要求のメッセージ10を呼制御サーバ1経由で受信する。ステップS15〜S17の処理により、発信端末3及び着信端末4は発信音または着信音を出力する。
【0027】
着信者が着信端末4を操作して発信者からの電話に出ると、着信端末4はステップS18に進み、自機の備える機能(音声機能)を表した機能情報を含む接続応答のメッセージ11を呼制御サーバ1に送信する。
【0028】
ステップS19に進み、呼制御サーバ1の呼制御アプリケーション2はステップS18で受信した接続応答のメッセージ11を分析し、着信端末4の備える機能が音声機能のみであると判断する。ステップS20に進み、呼制御サーバ1は発信端末3の備える機能と着信端末4の備える機能とに差異がある為、ユーザ/広告配信サーバ情報12を参照して広告配信サーバ5a〜5cから一の広告配信サーバ5を決定する。
【0029】
ユーザ/広告配信サーバ情報12は、発信者又は着信者となるユーザと広告配信サーバ5とを対応付けている。ユーザ/広告配信サーバ情報12は、呼制御サーバ1内に蓄積しておいても良いし、他の装置内に蓄積しておいてもよい。広告配信サーバ5を決定したあと、呼制御サーバ1はステップS21に進み、映像機能を表した機能情報を含む接続要求のメッセージ13を広告配信サーバ5に送信する。
【0030】
ステップS22,S23の処理により、広告配信サーバ5は自機の備える機能(映像機能)を表した機能情報を含む接続応答のメッセージ14を呼制御サーバ1に送信する。ステップS24に進み、呼制御サーバ1は着信端末4の備える機能(音声機能)と広告配信サーバ5が備える機能(映像機能)とを表した機能情報を含む接続応答のメッセージ15を発信端末3に送信する。
【0031】
ステップS25に進み、発信端末3は確認応答を呼制御サーバ1に送信する。ステップS26及びS27に進み、呼制御サーバ1は着信端末4及び広告配信サーバ5に確認応答を送信する。ステップS25〜S27の確認応答の後、ステップS28に進み、発信端末3は着信端末4との間で音声通信を行なうことにより、発信者と着信者との通話を実現する。発信端末3は、広告配信サーバ5との間で映像通信を行なうことにより、広告配信業者からの広告配信を実現する。広告配信サーバ5は、広告配信サービスに利用する広告情報を蓄積している。
【0032】
なお、図3のシーケンス図では音声通信と映像通信とを同時期に開始する例を示しているが、音声通信を開始したあとで、発信端末3と広告配信サーバ5との間で映像通信を行なう為の処理を行なうようにしてもよい。実施例2の呼制御システムでは、広告情報を複数の広告配信サーバ5a〜5cに分散して蓄積できるので、広告配信サーバ5a〜5cの負荷を軽減できる。
【実施例3】
【0033】
図4は、本発明による呼制御システムの第3実施例の構成図である。図4の呼制御システムは、発信者が事前登録しておいた嗜好情報20を使用する点で、実施例2の呼制御システムと異なっている。したがって、第3実施例の説明では第2実施例と同一部分について同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0034】
次に、図4の呼制御システムにおける処理手順について図3のシーケンス図を利用して説明する。ステップS10〜S19の処理は、図2の呼制御システムと同様である。ステップS20に進み、呼制御サーバ1は発信端末3の備える機能と着信端末4の備える機能とに差異がある為、嗜好情報20を参照して広告配信サーバ5a〜5cから一の広告配信サーバ5を決定する。
【0035】
呼制御サーバ1は、嗜好情報20を参照して広告配信サーバ5a〜5cから広告配信を行なう発信者又は着信者の嗜好と合致した広告情報を蓄積する一の広告配信サーバ5を決定する。なお、嗜好情報20は、発信者または着信者となるユーザの嗜好情報と広告配信サーバ5a〜5cが蓄積する広告情報の内容とを表す。嗜好情報20は呼制御サーバ1内に蓄積しておいても良いし、他の装置内に蓄積しておいてもよい。
【0036】
なお、広告配信サーバ5を決定したあとのステップS21〜S28の処理は、図2の呼制御システムと同様である。実施例3の呼制御システムでは、ユーザの嗜好に合致した内容の広告配信を行なうことができるので、広告配信による宣伝効果が向上する。
【実施例4】
【0037】
図5は、本発明による呼制御システムの第4実施例の構成図である。図5の呼制御システムは、接続先情報30を使用する点で、実施例2の呼制御システムと異なっている。したがって、第4実施例の説明では第2実施例と同一部分について同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0038】
次に、図5の呼制御システムにおける処理手順について図3のシーケンス図を利用して説明する。ステップS10〜S19の処理は、図2の呼制御システムと同様である。ステップS20に進み、呼制御サーバ1は発信端末3の備える機能と着信端末4の備える機能とに差異がある為、接続先情報30を参照して広告配信サーバ5a〜5cから一の広告配信サーバ5を決定する。
【0039】
呼制御サーバ1は、接続先情報30を参照して広告配信サーバ5a〜5cから接続先である着信端末4に関連する広告情報を蓄積する一の広告配信サーバ5を決定する。例えば接続先としては、航空会社のボイスポータル等が想定される。なお、接続先情報30は接続先の情報と広告配信サーバ5a〜5cが蓄積する広告情報の内容とを表す。接続先情報30は、呼制御サーバ1内に蓄積しておいても良いし、他の装置内に蓄積しておいてもよい。
【0040】
なお、広告配信サーバ5を決定したあとのステップS21〜S28の処理は、図2の呼制御システムと同様である。実施例4の呼制御システムでは、接続先に関連した内容の広告配信を行なうことができるので、広告配信による宣伝効果が向上する。
【実施例5】
【0041】
図6は、本発明による呼制御システムの第5実施例の構成図である。図6の呼制御システムは、広告配信サーバ5に接続する際、発信端末3又は着信端末4の電話番号以外の電話番号を使用する点で、実施例1〜4と異なっている。したがって、第5実施例の説明では実施例1〜4と同一部分について同一符号を付して適宜説明を省略する。
【0042】
次に、図6の呼制御システムにおける処理手順について具体的に説明する。図7は、本発明による呼制御システムの処理手順を表す他の一例のシーケンス図である。図7はIPネットワーク上でIP電話の発信や着信を制御するためのプロトコルとしてSIPを使用した例を示している。
【0043】
ステップS30〜S32に進み、発信端末3,着信端末4及び広告配信サーバ5は呼制御サーバ1に対して登録を行なう。発信者が発信端末3を操作して着信者に電話をかけると、発信端末3はステップS33に進み、自機の備える機能(音声機能、映像機能)を表した機能情報を含む接続要求のメッセージ40を呼制御サーバ1に送信する。
【0044】
ステップS34に進み、着信端末4は発信端末3からの接続要求のメッセージ40を呼制御サーバ1経由で受信する。ステップS35〜S37の処理により、発信端末3及び着信端末4は発信音または着信音を出力する。
【0045】
着信者が着信端末4を操作して発信者からの電話に出ると、着信端末4はステップS38に進み、自機の備える機能(音声機能)を表した機能情報を含む接続応答のメッセージを呼制御サーバ1に送信する。
【0046】
ステップS39に進み、呼制御サーバ1の呼制御アプリケーション2はステップS38で受信した接続応答のメッセージを分析し、着信端末4の備える機能が音声機能のみであると判断する。ステップS40に進み、呼制御サーバ1は発信端末3の備える機能と着信端末4の備える機能とに差異がある為、ユーザ/広告配信サーバ情報12を参照して広告配信サーバ5a〜5cから一の広告配信サーバ5を決定する。
【0047】
広告配信サーバ5を決定したあと、呼制御サーバ1はステップS41に進み、送信元アドレスを発信端末3のアドレスから第三のアドレスに書き換えて、映像機能を表した機能情報を含む接続要求のメッセージ42を広告配信サーバ5に送信する。
【0048】
具体的にメッセージ42では、送信元アドレスが、発信端末3を表す「From:sip:subA@xxx」から発信端末3以外を表す「From:sip:dummy@xxx」に書き換えられている。ステップS42,S43の処理により、広告配信サーバ5は自機の備える機能(映像機能)を表した機能情報を含む接続応答のメッセージを呼制御サーバ1に送信する。
【0049】
ステップS44に進み、呼制御サーバ1はステップS41で書き換えた送信元アドレスを第三のアドレスから元の発信端末3のアドレスに書き換えたあと、着信端末4の備える機能(音声機能)と広告配信サーバ5が備える機能(映像機能)とを表した機能情報を含む接続応答のメッセージ43を発信端末3に送信する。
【0050】
ステップS45に進み、発信端末3は確認応答を呼制御サーバ1に送信する。ステップS46及びS47に進み、呼制御サーバ1は着信端末4及び広告配信サーバ5に確認応答を送信する。ステップS45〜S47の確認応答の後、ステップS48に進み、発信端末3は着信端末4との間で音声通信を行なうことにより、発信者と着信者との通話を実現する。発信端末3は、広告配信サーバ5との間で映像通信を行なうことにより、広告配信業者からの広告配信を実現する。
【0051】
なお、図7のシーケンス図では音声通信と映像通信とを同時期に開始する例を示しているが、音声通信を開始したあとで、発信端末3と広告配信サーバ5との間で映像通信を行なう為の処理を行なうようにしてもよい。実施例5の呼制御システムでは、発信端末3又は着信端末4の電話番号又はIPアドレスを広告配信サーバ5に示すことなく広告配信を実現でき、発信者又は着信者の個人情報の漏洩を防ぐことができるので、セキュリティを強化できる。
【実施例6】
【0052】
図8は、本発明による呼制御システムの第6実施例の構成図である。図8の呼制御システムでは、発信端末3が音声機能を備え、着信端末4が音声機能および映像機能を備えている点が、実施例1〜5と異なっている。
【0053】
次に、図8の呼制御システムにおける処理手順について図7のシーケンス図を利用して説明する。ステップS30〜S32に進み、発信端末3,着信端末4及び広告配信サーバ5は呼制御サーバ1に対して登録を行なう。発信者が発信端末3を操作して着信者に電話をかけると、発信端末3はステップS33に進み、自機の備える機能(音声機能)を表した機能情報を含む接続要求のメッセージ40を呼制御サーバ1に送信する。
【0054】
ステップS34に進み、着信端末4は発信端末3からの接続要求のメッセージ40を呼制御サーバ1経由で受信する。ステップS35〜S37の処理により、発信端末3及び着信端末4は発信音または着信音を出力する。
【0055】
着信者が着信端末4を操作して発信者からの電話に出ると、着信端末4はステップS38に進み、自機の備える機能(音声機能、映像機能)を表した機能情報を含む接続応答のメッセージを呼制御サーバ1に送信する。
【0056】
ステップS39に進み、呼制御サーバ1の呼制御アプリケーション2はステップS38で受信した接続応答のメッセージを分析し、着信端末4の備える機能が音声機能及び映像機能であると判断する。ステップS40に進み、呼制御サーバ1は発信端末3の備える機能と着信端末4の備える機能とに差異がある為、ユーザ/広告配信サーバ情報12を参照して広告配信サーバ5a〜5cから一の広告配信サーバ5を決定する。
【0057】
広告配信サーバ5を決定したあと、呼制御サーバ1はステップS41に進み、映像機能を表した機能情報を含む接続要求のメッセージを広告配信サーバ5に送信する。ステップS42,S43の処理により、広告配信サーバ5は自機の備える機能(映像機能)を表した機能情報を含む接続応答のメッセージを呼制御サーバ1に送信する。
【0058】
ステップS44に進み、呼制御サーバ1は着信端末4の備える機能(音声機能)を表した機能情報を含む接続応答のメッセージ15を発信端末3に送信する。呼制御サーバ1は更に、発信端末3の備える機能(音声機能)と、広告配信サーバ5が備える機能(映像機能)とを表した機能情報を含む接続要求のメッセージを着信端末4に送信する。
【0059】
このとき、広告配信サーバ5は広告配信サーバ5を表すアドレスを発信端末3のアドレスに書き換えて、機能情報を含む接続要求のメッセージを着信端末4に送信する。
【0060】
ステップS45に進み、発信端末3は確認応答を呼制御サーバ1に送信する。ステップS46及びS47に進み、呼制御サーバ1は着信端末4及び広告配信サーバ5に確認応答を送信する。ステップS45〜S47の確認応答の後、ステップS48に進み、発信端末3は着信端末4との間で音声通信を行なうことにより、発信者と着信者との通話を実現する。着信端末4は、広告配信サーバ5との間で映像通信を行なうことにより、広告配信業者からの広告配信を実現する。
【0061】
実施例6の呼制御システムでは、広告配信サーバ5の電話番号又はIPアドレスを発信端末3又は着信端末4に示すことなく広告配信を実現でき、発信者又は着信者が広告情報を流しているように見せかけることもできる。
【0062】
以上のように、本発明による呼制御システムでは、発信端末3がTV電話で、着信端末4が通常の電話機である場合など、遊休状態となる映像機能のチャネルを第三の端末としての広告配信サーバ5に接続することで、未使用チャネルを使用した広告配信が実現可能である。なお、発信端末3及び着信端末4に配信する情報は広告情報に限ることなく、環境映像やBGMなどを配信することも可能である。
【0063】
本発明による呼制御システムでは、広告情報を呼制御サーバに蓄積させる必要が無いために、広告情報をネットワーク上に分散させて蓄積できる。したがって、本発明による呼制御システムは広告情報が大容量になったとしても柔軟に対応できる。また、本発明による呼制御システムは、広告情報が呼制御サーバ1から独立しているため、広告情報の追加及び削除が容易となる。さらに、本発明による呼制御システムは広告情報をネットワーク上に分散させて蓄積できるので、負荷を分散させることができる。
【0064】
この結果、本発明による呼制御システムは多くの広告情報を蓄積しておくことができるようになり、ユーザの嗜好や接続先に合った効果的な広告配信が可能となる。本発明による呼制御システムは、ユーザに対して通信料の低価格化、広告配信主に対して宣伝効果の向上というメリットを与えることができる。
【0065】
本発明は、以下に記載する付記のような構成が考えられる。
(付記1)
複数の端末の接続を制御するコンピュータを、
前記コンピュータが、発信端末の使用可能チャネルと着信端末の使用可能チャネルとの差異に応じて、未使用チャネルの有無を判断する未使用チャネル判断手段と、
前記コンピュータが、前記未使用チャネルを前記発信端末および着信端末以外の第三の端末に接続する未使用チャネル接続手段と
して機能させる為の呼制御プログラム。
(付記2)
前記未使用チャネル接続手段は、複数の前記第三の端末から選択した一の端末に前記未使用チャネルを接続することを特徴とする付記1記載の呼制御プログラム。
(付記3)
前記未使用チャネル制御手段は、前記発信端末または着信端末の操作者の嗜好情報に応じて、複数の前記第三の端末から一の端末を選択し、その一の端末に前記未使用チャネルを接続することを特徴とする付記1記載の呼制御プログラム。
(付記4)
前記未使用チャネル制御手段は、前記着信端末に応じて、複数の前記第三の端末から一の端末を選択し、その一の端末に前記未使用チャネルを接続することを特徴とする付記1記載の呼制御プログラム。
(付記5)
前記未使用チャネル接続手段は、前記発信端末および着信端末の識別番号を第三の識別番号に置換して前記未使用チャネルを前記第三の端末に接続することを特徴とする付記1乃至4何れか一項記載の呼制御プログラム。
(付記6)
前記未使用チャネル接続手段は、前記第三の端末の識別番号を前記発信端末または着信端末の識別番号に置換して前記未使用チャネルを前記第三の端末に接続することを特徴とする付記1乃至5何れか一項記載の呼制御プログラム。
(付記7)
複数の端末の接続を制御する呼制御装置であって、
発信端末の使用可能チャネルと着信端末の使用可能チャネルとの差異に応じて、未使用チャネルの有無を判断する未使用チャネル判断手段と、
前記未使用チャネルを前記発信端末および着信端末以外の第三の端末に接続する未使用チャネル接続手段と
を有することを特徴とする呼制御装置。
(付記8)
複数の端末の接続を制御する呼制御装置の呼制御方法であって、
発信端末の使用可能チャネルと着信端末の使用可能チャネルとの差異に応じて、未使用チャネルの有無を判断するステップと、
前記未使用チャネルを前記発信端末および着信端末以外の第三の端末に接続するステップと
を有することを特徴とする呼制御方法。
(付記9)
複数の端末の接続を制御するコンピュータを、
前記コンピュータが、発信端末の使用可能チャネルと着信端末の使用可能チャネルとの差異に応じて、未使用チャネルの有無を判断する未使用チャネル判断手段と、
前記コンピュータが、前記未使用チャネルを前記発信端末および着信端末以外の第三の端末に接続する未使用チャネル接続手段と
して機能させる為の呼制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【0066】
本発明は、具体的に開示された実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変形や変更が可能である。なお、特許請求の範囲に記載されている未使用チャネル判断手段は呼制御サーバ1が行なう例えばステップS19の処理に相当する。未使用チャネル接続手段は、呼制御サーバ1が行なう例えばステップS20の処理に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明による呼制御システムの第1実施例の構成図である。
【図2】本発明による呼制御システムの第2実施例の構成図である。
【図3】本発明による呼制御システムの処理手順を表す一例のシーケンス図である。
【図4】本発明による呼制御システムの第3実施例の構成図である。
【図5】本発明による呼制御システムの第4実施例の構成図である。
【図6】本発明による呼制御システムの第5実施例の構成図である。
【図7】本発明による呼制御システムの処理手順を表す他の一例のシーケンス図である。
【図8】本発明による呼制御システムの第6実施例の構成図である。
【符号の説明】
【0068】
1 呼制御サーバ
2 呼制御アプリケーション
3 発信端末
4 着信端末
5 広告配信サーバ
12 ユーザ/広告配信サーバ情報
20 嗜好情報
30 接続先情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末の接続を制御するコンピュータを、
前記コンピュータが、発信端末の使用可能チャネルと着信端末の使用可能チャネルとの差異に応じて、未使用チャネルの有無を判断する未使用チャネル判断手段と、
前記コンピュータが、前記未使用チャネルを前記発信端末および着信端末以外の第三の端末に接続する未使用チャネル接続手段と
して機能させる為の呼制御プログラム。
【請求項2】
前記未使用チャネル接続手段は、複数の前記第三の端末から選択した一の端末に前記未使用チャネルを接続することを特徴とする請求項1記載の呼制御プログラム。
【請求項3】
前記未使用チャネル制御手段は、前記発信端末または着信端末の操作者の嗜好情報に応じて、複数の前記第三の端末から一の端末を選択し、その一の端末に前記未使用チャネルを接続することを特徴とする請求項1記載の呼制御プログラム。
【請求項4】
前記未使用チャネル制御手段は、前記着信端末に応じて、複数の前記第三の端末から一の端末を選択し、その一の端末に前記未使用チャネルを接続することを特徴とする請求項1記載の呼制御プログラム。
【請求項5】
複数の端末の接続を制御する呼制御装置であって、
発信端末の使用可能チャネルと着信端末の使用可能チャネルとの差異に応じて、未使用チャネルの有無を判断する未使用チャネル判断手段と、
前記未使用チャネルを前記発信端末および着信端末以外の第三の端末に接続する未使用チャネル接続手段と
を有することを特徴とする呼制御装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2006−254102(P2006−254102A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−67897(P2005−67897)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】