説明

呼吸マスクのシール力を調整する方法および装置

マスクアセンブリは、膨張可能なブラダ(101)を有するマスクを含む。膨張可能なブラダ(101)の内部の圧力は、送られる治療圧力よりも高く設定することができる。圧力のオフセットは一定であってもよく、または、その範囲の治療圧力全体にわたって変化してもよい。したがって、マスクと患者との間の接触シールを維持するのに必要な力を低減することができ、それにより、患者にとってより快適で、患者への順応性を増大させるシステムが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願に係る発明は、呼吸マスクのシール力を調整する方法および装置に関する。
【0002】
本出願は、2004年11月10日に出願した米国特許出願第60/626,487号明細書の利益を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、
【0003】
連邦政府の支援による研究または開発に関する陳述は無い。
【背景技術】
【0004】
閉塞型睡眠時無呼吸、中枢型睡眠時無呼吸、および呼吸不全を含む様々な症状に、非侵襲的陽圧換気療法が使用されている。呼吸不全において、適切な治療法の最も一般的な形態は、吸気中には高圧(通常15〜25cmHO)を供給し、呼気中には低圧(通常およそ5cmHO)を供給する、バイレベル治療法である。中枢型睡眠時無呼吸に対しては、先進的な治療法は、多くの時間をおよそ5〜10cmHOで費やすが、時折20cmHOまで増加するというように、振幅が絶えず調整される複雑な圧力の波形が送られる、適応型サーボ換気である。閉塞型睡眠時無呼吸に対しては、先進的な装置は、夜間にもマスクの圧力を変化させる。
【0005】
どの場合にも、使用される最高圧力に対してシールするように、マスクを十分に固定しなければならない。例えば、シールされる面積が80cmの典型的な顔マスクを考えてみる。
【0006】
例えば、使用される最高圧力が25cmHOである場合には、接触面積が約80cmの典型的な顔マスクにおいて、ストラップの全張力は25×80=2000グラム重(gF)を超えていなければならない(実際のマスクでは、顔に精確にフィットしない可能性があり、シールするようにマスクおよび皮膚を変形させるために、さらに高い力を必要とする。この追加の適合力については後述する。)。例を続けると、発生する最低圧力が5cmHOである場合、この最低圧力でシールするには、わずか5×80=400gFのストラップ全張力しか必要とされない。したがって、この例では、マスクが最高圧力でシールされる場合、最低圧力では2000−400=1600gFの過剰な力が加えられる。呼吸の60%が最低圧力である典型的な呼吸サイクルでは、呼吸サイクルの60%の間、この1600gFの過剰な力が顔の骨格構造を覆う皮膚に加えられる。夜間の非常に短い間だけしか最高圧力が必要とされない適応型サーボ換気装置の場合、夜の大部分の間、過剰な力が加えられる。
【0007】
この過剰な力は相当な不快感を招き、例えば鼻梁の上に、実際に皮膚の損傷を引き起こすことも珍しくない。
【0008】
この過剰な力を低減するための様々な方法が提案されている。それらはすべて、マスクおよびヘッドギアの弾性要素に機械的な動作をし、したがって、マスクの治療圧力が増加するにつれて、マスクをよりきつく引っ張り、また、マスク圧力が減少するにつれてマスクを解放する。このような方法は、上部ストラップのブラダ(空気枕)、または後部ストラップと後頭部の間のブラダを含み(例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれている、2003年11月6日出願のMichael Berthon−Jonesらの発明者に対するPCT出願PCT/AU03/01471号明細書を参照)、あるいは、マスク自体の本体内にあるベローを含む(例えば、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれている、2003年9月5日出願の特許文献3および米国特許出願第10/655,622号明細書を参照)。これらの手法は、圧力が上昇するときのヘッドギア、マスク構造体、ならびに顔面および項部の組織の湾曲に対抗するのに必要なエネルギーを提供するための、変化する治療ガス圧力自体に由来する外部のエネルギー源を供給する。
【0009】
呼吸マスクの不快感を低減し、シールを改善する別の方法は、シール要素として準トロイダル形状の空気が満たされた閉鎖ブラダを使用することである。従来の麻酔用の顔マスクは、比較的厚い壁を持ち、順応性のない、準トロイダル形状の空気が満たされた閉鎖ブラダを有している。このような厚い壁のブラダを患者の顔面にフィットするように変形させるには、大きな力が必要である。これは麻酔のかかった患者には許容できるが、就寝中の患者には許容できない。大幅に改良された準トロイダル形状の閉鎖ブラダは、全体が参照により本明細書に組み込まれている、2004年4月30日出願のPCT出願PCT/AU2004/00563号明細書に教示されているように、皮膚との接触領域では、非常に薄い壁を有し順応性があるが、他の領域では、厚さが徐々に増加し、剛性を有するフレームによって支持されている。皮膚接触領域が薄壁で順応性があることの具体的な利点は、正中に向かう圧力を鼻骨にかけることであり、一方、他の従来技術は、一般に後方に向かう圧力しか供給せず、それにより、目の中への漏洩が生じ、または鼻梁に過剰な力がかかってしまい、あるいはその両方が生じてしまう。このような改良型のブラダは、変化するマスクの治療圧力からエネルギーを得る前述のいずれかの方法と有利に組み合わせることができる。そのような薄壁ブラダの第1の欠点は、非常に薄い壁からの空気の漏洩および/または拡散のために、夜の間にゆっくりとしぼむ傾向があることである。第2の欠点は、薄壁ブラダそれ自体に、変化するマスクの治療圧力からエネルギーを得る機構を持たず、したがって、治療圧力が上昇するときのヘッドギア、マスク構造体、ならびに顔面および項部の組織の湾曲に対抗するのに必要なエネルギーを供給できないことである。
【特許文献1】米国特許第6,772,760号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、上述の従来技術によるマスクの潜在的な欠点に対処する必要が生じてきた。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一態様は、非常に薄壁の準トロイダル形状のブラダを有する皮膚接触シール要素を備えるマスクに適用することができる方法および対応する装置に関する。このブラダの圧力は調整することができ、それにより、その下にある皮膚に加えられるシール圧力を調整することができる。
【0012】
本発明のさらなる態様は、ブラダ、例えば中空の準トロイダル形状のブラダを含むシール要素を備えるマスクを、ある範囲の治療圧力全体にわたって患者の顔面に快適にシールさせる方法/装置に関する。
【0013】
本発明の一実施形態は、マスクを任意のいずれかの治療圧力で快適にシールするように選択した正のオフセット量、例えば正の一定オフセット量だけ瞬間の治療圧力を超える圧力に、ブラダを加圧することを含む。
【0014】
オフセット正圧はいくつかの形態で提供することができる。例えば、オフセット正圧は、おもり式のピストンまたはばね式のピストン、バルーンの反動圧力、低インピーダンスポンプ(例えば遠心ファンまたは軸流ファン)、低インピーダンスバイバスを備えた高インピーダンスポンプ(例えば、ばね負荷型のブローオフバルブおよび/またはウォータトラップ型のブローオフバルブ)、ならびに/あるいは、おもり式のピストンもしくはばね式のピストン、および/またはバルーンの少なくとも1つを、高インピーダンスポンプおよび/または調整可能なシャント(例えば、バルブ、ばね負荷型のブローオフバルブ、および/またはウォータトラップ型のブローオフバルブ)と並列させることによって提供することができる。
【0015】
別の実施形態は、シール要素に膨張可能なブラダを設けること、および、治療圧力が増大するにつれて増加する所定の量だけ、瞬間の治療圧力を超える圧力にブラダを加圧することを含む。ブラダの圧力は、マスクの治療圧力のアフィン関数であってもよい。
【0016】
これらおよび他の様態/実施形態は、以下の好ましい実施形態の詳細な説明で説明され、あるいはそれにより明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態によるマスクシステム10を示している。マスクシステム10は、例えば剛性を有する白色のポリウレタン製外側シェル20などのフレームに保持された、例えば半透明のシリコーン製マスククッションなどのマスククッション15を含む。このシステムの他の多数の例示的要素の名称が図1に示されている。マスク15とシェル20の組立体は、例えば上部ヘッドストラップ30、下部ヘッドストラップ35、および/または中央ヘッドストラップ40などの一以上のストラップを含むヘッドギア25を使用して、患者の顔面に対して保持されている。
【0018】
図1Aは、ストラップの交差部の部分背面図である。この例では、各下部ストラップが中央(上部)ストラップ40に対して約110°の角度をなしている。下部ストラップ35にかかる張力の方がずっと高く、上部ストラップ30にかかる張力の方がずっと低くなるように、この角度が選択されている。角度がさらに大きいと、上部ストラップに張力がかかりすぎることになり、マスクを眉の縁の側に引っ張り上げて痛みを生じさせてしまい、また、目の中に漏れてしまう。角度がさらに小さいと、上部ストラップにかかる張力が低くなりすぎることになり、マスクが鼻の両側にめり込んで痛みが生じてしまう。
【0019】
5本のストラップはすべて、2つの調整機構を有することが好ましい。第1に、ストラップは、幅の狭いポリウレタン製のバンドを通過するが、これは摩擦嵌合をもたらして、一時的な調整を可能にする。第2に、ストラップは、スナップをホールパンチで開けた穴に押し込むことにより、永久的に定位置に保持される。2つの試作品が作られたが、1つはたくさんの穴をあらかじめ開けたもので、もう1つは正しい場所に穴を1つだけ開けたものである。前者は、エンドユーザが自宅で装着するのにより適している。後者は、一度正しく設定してしまうと動かすことができないので、訓練を受けたスタッフによる店頭での装着に、より適している。
【0020】
加えて、下部ストラップは非常に高精度の微調整を可能にするために、±1cmの移動距離を持つねじ調整部を有している。
【0021】
下部ストラップは、フックに引っ掛けたループを含んだ非常に簡易な迅速脱着機構を有している。これは使い方が簡単で、頑強で、良好に機能する。
【0022】
ストラップをフィットさせるには、患者は、ストラップは取り付けずに、マスクを押し付けた状態で、マスクを片手で定位置に保持する必要がある。このマスクは、従来のマスクよりも顔面のずっと高い位置に装着されることに留意されたく、クッションの上部が眉と鼻の間の溝に押し当てられることを確認されたい。既存のマスクの場合のように、クッションの上部が鼻梁自体に接するようにマスクを配置するのは正しくない。
【0023】
額パッドが額に押し当てられているのを確認したら、次いで、額パッド用カンチレバーの調整ねじを、鼻梁の最上部における漏洩が無くなるまで調整する必要がある。この調整は、鼻梁の最上部のためだけのものであり、頬骨、または鼻の両側のためのものではない。この段階では、患者は、マスクの縁部のシェルを選択的に押すことにより、その他すべての漏洩をコントロールしている必要がある。
【0024】
マスクを定位置に保持しシールしたら、“Y”状(図1A参照)の地点が、後頭部の真下の、首の筋肉のできるだけ高い位置にフィットするように、上部ストラップをセットする必要がある。次いで、患者がマスクからほとんど手を放せるようになるまで、下部ストラップを締める必要がある。次いで、額パッドが、眉に対してきつすぎずに軽く引っ張られて保持されるように、残りの2本の中央ストラップを締める。
【0025】
その後、患者がマスクから完全に手を放せるようになるまで、下部ストラップをさらに締める必要がある。この時点で、各ストラップに例えば40mmの余分を残して、ストラップの余分な長さを切断する必要がある。
【0026】
ストラップの端部の位置に、サインペンで印をつけてもよい。ヘッドギアを取り外す。ストラップの端部が印をつけた地点にあるのを確認した上で、ベルトリベット穴パンチを使用して、各ストラップの端部の近くに穴を開ける。スナップを穴に挿入してもよい。
【0027】
下部ストラップねじ調整部の最終調整をするために、患者が通常の就寝姿勢をとる必要がある場合がある。
【0028】
図2は、ヘッドギア25がない図1のクッションおよびシェルの拡大側面図を示している。ブラダの管腔と連通するポート45に注目されたい。図3Bは、図2のシリコーン製クッション15の縦断面を示しており、皮膚との接触領域では非常に薄く、他の場所では徐々に厚みが増す壁を有する、準トロイダル形状のブラダを示している。クッション15の、眉、鼻梁、(下の前歯を覆う)下唇、および顎に接触する領域に、印がつけられている。図3C、3D、および3Eは、それぞれ、鼻の側部、鼻孔の領域、および頬の領域におけるブラダの断面図である。ブラダの管腔と外部との間に連通し、管腔内の圧力を外部から制御することができる、ポート45に注目されたい。
【0029】
クッションは、鼻梁よりもむしろ、鼻の真上の額に押し当てられ、その上部が眉と鼻の間の溝に押し当てられる。ブラダの壁は、皮膚に接触する場所では比較的柔らかいが、シェルと結合する場所ではずっと厚くなるように、厚さが徐々に増していく。シェルは、起こりうるブラダの横方向の移動を抑えるために、皮膚の表面からわずか約5mm離れたところに配置される。使用中は、患者の頬および顎がブラダの下側の部分を押し、それがブラダの圧力を上昇させ、それによりブラダが鼻の両側に対して内側に膨らむ。
【0030】
図3B〜3Eの(a)で印された領域は、ブラダを外側に突き出させるマスクの圧力に抵抗するために、外側の壁が徐々に厚みを増していること示している。鼻梁および顎では、鼻梁および顎が過剰な圧力を受けずにクッションに収まることができるように、徐々に厚みが増し始めるのは、他の場所よりもずっと外側からになっている。
【0031】
(b)におけるフランジは、例えば、全体が参照により本明細書に組み込まれている、2004年4月30日出願のPCT出願PCT/AU2004/00563号明細書に記載されているような、剛性を有する外側シェルにクッションを固定するためのものである。(a)と(b)との間の領域は定位置にしっかりと保持され、空気圧がかかっても外側に曲がらないことが好ましい。
【0032】
鼻の長い側の断面図である図3Cでは、皮膚との接触領域(点線)が、後側ではなく中央内側に押し付ける。この場合も、この領域は、製造の可能な限り薄く、例えば0.35mm以下にする必要がある。図3Dは、患者の鼻孔の領域の断面図である。
【0033】
(a)で印された領域は、目の前方にあり、患者に触れてはいない。高いマスク圧力でブラダが横方向に突き出ようとするのに対して側壁が抵抗できるように、徐々に厚みが増しているのを示している。
【0034】
再び図2を参照して、クッション15の前方下側の表面から突き出るように示されている小さいシリコーン製ポート45に注目されたい。ポート45は、ブラダ42と連通している。特に適切なマスクを、ショア硬度Aスケールで25のデュロメータ硬さを有するシリコーンを使用して作成することができ、ブラダ42の壁の皮膚との接触領域は、最大でも0.5mmの厚さとする必要がある。
【0035】
試験の目的では、ポート45(図2)をTコネクタ(図示せず)に接続し、Tコネクタの一方のアームを圧力変換器に接続し、もう一方のアームを大きいシリンジに接続した。マスク自体を、5cmHOから25cmHOまで5cmHOごとに段階的に増加して変化する治療圧力に加圧した。圧力は、通常は空気送出管を介して、加圧した気体をエルボ50に送る、従来型のブロワによって生み出した。
【0036】
各治療圧力において、マスクがちょうどシールされるまで、ポート45に、シリンジを使用して空気が加えられ、または抜かれた。ぴったりとシールするためには、どの場合でも、ブラダのポートの圧力をマスクの治療圧力よりも約5cmHO高くするのが好ましいことがすぐに明らかとなった。したがって、5cmHOの治療圧力では、マスクは10cmHOのブラダ圧力でシールし、25cmHOの治療圧力では、マスクは30cmHOのブラダ圧力でシールした。ブラダ圧力を治療圧力よりも3cmHOしか高く設定しなかった場合、動的不安定性の可能性が増大した。これは、マスクを素早く振動させ、または皮膚の上をゆっくりと這わせ、それと共に空気の漏洩を生じさせ、不快感を招きかねない。
【0037】
ブラダ圧力を治療圧力よりも8cmHO高く設定した場合、本体全体の動きのために、シールはいくらか強くなるが、やや快適さが劣ることになりうる。治療圧力よりも10cmHO高いと、シールはそれ以上改善されず、不快感が際立って強くなった。
【0038】
試験中、図1に示した形状の伸張性のないポリプロピレン製ヘッドギアを有するマスクを着用している被験者が、マスク内の空気と連通しその空気と同様の圧力になるように、自分の口を開け、さらに、頬および唇の筋肉を弛緩させた場合、頬および唇は、歯から離れてマスクのクッションの方へ外側に膨らむことがさらに観察された。これは、マスクの頬と下唇の部分のシールをさらに改善した。
【0039】
さらに、マスクの治療圧力を5cmHOにして、10cmHOのブラダ圧力を実現するようにブラダの体積を設定し、次いで、口を空気で満たし頬を外側に膨らませたままの状態で治療圧力を25cmHOに増大させると、ブラダ圧力は、自動的にほぼ30cmHOにまで増大し、したがって、シールを維持するのに十分なブラダ圧力が鼻梁の側部に生じた。残念ながら、マスクを着用した被験者が、寝ている間は筋肉組織の弛緩のために、この有用な操作を無意識に行うことが期待できるかもしれないものの、たいていの被験者は、起きている間は同様の操作ができないようであり、または、できたとしても、すぐに忘れてしまい、最低圧力を除いてすべての圧力でシールは失敗した。
【0040】
今説明した実験では、マスク内の空気の体積を、シリンジを押し込むことよって制御していることに注目されたい。逆に、本発明の好ましい実施形態によると、制御されるのは、ブラダ内の空気の圧力である。したがって、本発明の実施形態において、頬を膨らませることはシールには役立つが、ブラダ内の圧力を変えるわけではない。
【0041】
マスクの治療圧力が上昇するにつれ、ヘッドギアのストラップはいくらか伸びようとし、また、首の後側の皮下組織にめり込もうとする。また、顔面の脂肪組織がいくらか圧縮され、ブラダが径方向に変形する。これらの作用はすべて、治療圧力が増大するにつれて、シールを維持するために追加の空気をブラダに入れることを必要とする。したがって、ブラダの壁の有限の順応性を克服するためには、治療圧力に対して決定される、シールに必要な最小ブラダ圧力のグラフが、実際上、1(unity)よりも大きい傾きを持たなくてはならない。これは、特に肥満の被験者の場合や、比較的伸張性のあるヘッドギアのストラップを使用した場合や、あるいは、ぴったりと合わず、正しく配置されない、または順応性がより低いブラダの壁の場合に特に当てはまる。
【0042】
図4は、図1〜図3Eのマスクなどのマスクの概略断面図であり、外部空気接続部を示している。クッション100は、ブラダ、例えば準トロイダル形状の薄壁ブラダ101を含んでいる。主空気入口ホース102、すなわち典型的には長さ2メートル、標準的な直径19mmの換気ホースが、制御可能な圧力で機械的な換気装置(ブロワ)、または類似の呼吸に適した気体の供給源(矩形部103として非常に概略的に図示されている)への接続を提供している。患者の排気は、排気ベント104を介して行われる。マスクのポート105によってマスクの圧力の測定が可能となる。あるいは、主空気入口ホース102のインピーダンスが大きくない通常の場合、マスク圧力の近似値を、換気装置103により近い場所にあるポート106から便宜的に求めてもよい。図2および図3Eのポート45に相当するポート107があり、ブラダ101と連通している。
【0043】
図5は本発明の一実施形態の全体像を示している。固定正圧差の制御可能な供給源108により、低圧ポート109と高圧ポート110の間に、調整可能な固定圧力勾配が維持される。低圧ポート109は、ホース111を介して、図4に示したようなマスク100のポート105に接続されている。高圧ポート110は、ホース112を介してマスクのポート107に接続されている。ポート105は、マスク本体の治療用呼吸ガスの圧力と連通しており、ポート107は、準トロイダル形状の薄壁ブラダ101と連通している。
【0044】
最も簡易な概念形態では、供給源108は低インピーダンスのポンプであり、その一例は、0〜10cmHOの範囲で調整でき、通常5cmHOに設定されるゼロ流量時の圧力勾配を生じさせる、高速の遠心ファンまたは軸流ファンである。バイレベル換気装置または持続的気道陽圧(CPAP)装置で一般に見られる、直径がおよそ8cm程度であり、およそ0〜20,000RPM程度の回転数で動作するタイプの遠心ファンが最適であるが、現適用例では、必要とされる流量がずっと少なく、したがって、なされるべき空気の仕事がずっと少ないので、より小さいモータを使用することができる。
【0045】
流量がゼロに近い条件で、供給源108が、ポート110をポート109よりも5cmHO高く維持するように設定された場合、準環状体ブラダ101の圧力が、マスク圧力よりもおよそ5cmHO高く維持され、上述のタイプの典型的なマスクでは、マスク圧力の広範囲にわたる快適なシールが維持される。
【0046】
例えば、換気装置103が、吸気圧力Pi=25cmHO、および呼気圧力Pe=5cmHOの、バイレベルまたは方形波の圧力プロファイルを送るように設定されている、非常に典型的な場合を考えてみる。そのような設定は、中度から重度の脊柱後側弯症を患う患者にとって、日常の自宅治療時の就寝中に適切である。吸気中のブラダ101内の圧力は、およそ25+5=30cmHOであり、呼気中のブラダ101内の圧力は、およそ5+5=10cmHOである。
【0047】
一般に、吸気圧力をPi、呼気圧力をPe、シールに必要とされる余分な圧力を5cmHO、吸気の持続時間をTi、呼気の持続時間をTeとすると、平均の皮膚接触圧力は次式で表される。
Pskin=((Pi+5)Ti+(Pe+5)Te)/(Ti+Te)
【0048】
これは、呼吸の持続時間の40%の間持続する通常の吸気では、皮膚にかかる平均圧力が、0.4×30+(1−0.4)×10=18cmHOであることを意味する。逆に、ブラダが、吸気中にシールするのに十分な、30cmHOの固定圧力にまで常に膨張しているとすると、サイクル全体を通して、皮膚に対する平均圧力が30cmHOであることになる。したがって、この例においては、本発明は、平均皮膚圧力を(30−18)/30=40%減少させることができる。
【0049】
非常に剛性を有するヘッドギアのストラップ、すなわち、伸張性のないヘッドストラップでさえも、吸気中にマスクおよびブラダの圧力が増加するにつれて、マスクのストラップの張力が増大し、ストラップが首の後側の組織を圧迫することに注意されたい。ブラダは、被験者の肥満度により、体積がおよそ5〜20mL程度増加して、組織の圧迫を補償し、したがってシールが維持される。呼気中は、逆のことが起きる。ブラダの圧力および体積のサイクルが、ニューマティックワーク(pneumatic work)を行う。ブラダの体積の変化をdV、ブラダの圧力の変化を(Pi+5)−(Pe+5)=Pi−Peとすると、なされる仕事量はdV(Pi−Pe)である。これはまさにポート105を流れる気体になされる仕事量であり、したがって、エネルギーは、供給源108ではなく換気装置によって供給されることに留意されたい。
【0050】
図6は、代替構成を示しており、ホース111は、低圧ポート109をポート106に接続する。ポート106は、都合のよい地点、例えば換気装置103の近くで、主空気送出ホース102と連通している。この構成は、約2メートルの標準的な直径19mmの呼吸空気ホースから成る、主空気送出ホース102の典型的な場合に特に申し分ない構成である。その理由は、ポート106における圧力が、ポート107における圧力よりも、吸気の初期の方が呼気の初期よりも高いある量だけ、わずかに高いからである。これは、流量dVの間のホース111および112の抵抗損失を克服する助けとなる。
【0051】
図7は、ニューマティックワークのためのエネルギーを、すべて換気装置によって供給することができることを利用した、固定正圧供給源108の別の受動的な実施形態を示している。シリンダ401中のピストン400は、低圧ポート109と高圧ポート110との間に圧力差を生み出すように、圧縮ばね402によって下方に押される。好ましくは、ピストンは回転シール403を有する。この実施形態では、ピストンが広ければ広いほど、また、ばねが長ければ長いほど、結果として生ずる圧力の差がより安定したものとなる。この非常に簡易な実施形態の欠点は、システム、特にブラダ101の少量の漏洩により、システムを時々リセットする必要があることである。壁の厚さが0.5mmの典型的なシリコーン製ブラダは、その全体積約70mLを約4時間で漏洩する可能性がある。断面積がおよそ500cm程度で移動距離が1cmのピストンならば、500mlを供給し、これは、他の漏洩がない場合には、一晩には十分すぎるものである。
【0052】
図8は、図7の実施形態の変形例を示している。プレート420が、ボックス422内のテフロン(登録商標)製のガイド421上を自在に摺動する。ボックス422には、緊密シールリッド423がボルト424で固定されている。プレートは、金属被覆された薄壁を有する、したがって非常に順応性のあるマイラー(登録商標)製のサック425を押す。サック425は、ボックス422の壁を貫通する管を介して高圧ポート110に接続されている。低圧ポート109は、ボックス422の、サック425の外側の領域と連通する。おもり428が、プレート420を下方に押し、それにより、低圧ポート109と高圧ポート110の間に圧力差が生じる。サック425が金属被覆されているので、サックの壁を通る空気の損失が低減される。サック425がプレート420と接触する面積が200cmであり、おもり428が1000gである場合、109と110の間には5cmHOの圧力差が生じ、望ましい。500mlの全体積を供給するには、プレート420の移動距離は2.5cmとなる。
【0053】
図9は、固定正圧供給源108のまた別の実施形態を示している。エラストマー製のバルーン500が、シリンダ501内に吊り下げられている。バルーンの内部は、通路502を介して高圧ポート110と連通している。部分的に膨張したバルーンの弾性反動により、低圧ポート109と高圧ポート110との間に調整可能な圧力差が生じる。バルーン500は、ポート503を介して時々補充され、それ以外の場合は、ポート503はキャップ504によって閉鎖されている。
【0054】
図10は、固定正圧供給源108のさらに別の実施形態を示しており、入口ポート601および出口ポート602を有する、ボックス600として概略的に示されている、商用電源周波数のソレノイドによって作動するダイヤフラム型高インピーダンスポンプが、調整可能なシャントバルブ601を有して設けられている。シャントバルブ601を通ってポンプ600により生み出された空気の流れが、低圧ポート109と高圧ポート110との間に圧力差を生じさせる。使用の際は、マスクを着用し、換気装置を始動させ、マスクをシールさせるのに十分な圧力差に達するまでシャントバルブを開放または閉鎖する。圧力差をさらに精確に制御するために、シャントバルブ601をばね負荷型のブローオフバルブに置き換えることができる。ウォータトラップ型のブローオフバルブ(入口パイプを、シールされたジャーの水の表面よりも例えば5cm下に配置し、出口パイプを水より上方の領域から取り出すもの)も使用することができる。
【0055】
図11は、調整可能な差圧供給源108のさらに別の実施形態を示しており、シリンダ501内のバルーン500が、ダイヤフラムポンプ600および調整可能なシャント抵抗バルブ601と並列に配置されている。調整可能なシャント抵抗バルブ601を通るダイヤフラム型ポンプ600からの空気の流れは、低圧ポート109と高圧ポート110との間に調整可能な圧力差を生じさせる。シリンダ501内のエラストマー製バルーン500は、高周波数で109と110の間に低インピーダンス経路をもたらし、それにより、ポンプの動作によって引き起こされる高周波数の振動を除去し、さらに、圧力差を呼吸速度に一定に保つ助けとなる。
【0056】
説明した実施形態の中で、最も申し分のないものは、低インピーダンスの遠心ファン、または、バルーン、シャント、および高インピーダンスのポンプを含み、この2つのどちらを選ぶかは、費用および利便性のみによる。
【0057】
上述のように、ブラダ圧力をマスクの治療圧力よりもわずかに速く上昇させることが最適である。例えば、ある特定の患者とマスクとの組み合わせでは、マスクは、ブラダ圧力が8cmHOの場合は、5cmHOの治療圧力でシールすることができ、その差は3cmHOであるが、25cmHOの治療圧力であれば、33cmHOのブラダ圧力が必要となる可能性があり、その差は8cmHOである。一般に、ブラダのオフセット正圧は、用途により、1〜10cmHOの範囲またはそれ以上とすることができる。したがって、ブラダの圧力Pbladderとマスクの治療圧力Ptherapeuticとの間の固定圧力差の改善は、次式で表される。
bladder=K+Ktherapeutic
【0058】
上式で、所与の特定の例では、傾きK=1.25であり、切片K=1.75cmHOである。
【0059】
全く一般的には、制御可能な圧力供給源、圧力変換器、および適切なコントローラを使用して、ブラダ圧力を、マスク圧力の所望の関数に設定することができる。
【0060】
圧力変換器は、瞬間のマスク圧力を測定し、マスク圧力信号を生成する。場合によっては、この信号は、呼吸に適した治療用気体をマスクに供給する主換気装置から、すでに直接入手可能でありうる。マスク圧力信号は、次いで、コントローラ、例えばマイクロコントローラ、線形化増幅器、調整可能なゲインおよびオフセットを有する演算増幅器などに送られ、その出力が所望のブラダ圧力信号となる。ブラダ圧力信号は、次いで制御可能な圧力供給源に送られる。例えば、制御可能な圧力供給源は、ブラダ圧力信号を入力として受け、所望の圧力を生み出すのに必要なモータ速度を発生させる、適切な開ループコントローラを有するモータ駆動型ファンであってもよい。あるいは、制御可能な圧力供給源は、所望の圧力信号を、第2の圧力変換器を使用して測定された実際のブラダ圧力と比較する、閉ループコントローラであってもよい。
【0061】
差圧変換器を使用するサーボ制御ファンを、以下のように固定オフセットを加えたマスク圧力と等しいブラダ圧力を生み出すように構成することができる。ブラダ圧力が、差圧変換器の(+)入力部に接続される。マスク圧力が、差圧変換器の(−)入力部に接続される。すると、圧力変換器は、ブラダ圧力とマスク圧力の差に等しい信号を生成する。この信号が今度はサーボ増幅器の(−)入力部に供給され、所望の圧力オフセット信号(例えば5cmHO)が(+)入力部に供給される。サーボ増幅器の出力はファンのモータに供給される。
【0062】
図12は、図1に示したマスク組立体と類似したマスク組立体200を患者に使用した透視図である。主な違いの1つは、マスク組立体200は、顎ストラップ210および一以上の支持部215を含む顎ストラップ組立体205を有することである。
【0063】
図13は、マスク組立体200の、顎ストラップ組立体205を明瞭に示した、部分底面図である。図13では、ストラップ210は、シェル220からわずかに引き離されており、それにより、支持部215が見えている。支持部は、シェル220に固定してまたは選択的に取り付けることができる。顎ストラップは、3つの非常に明確な目的を果たしている。第1に、ストラップは、例えば、レム睡眠中に、口が受動的に開いてマスクから外に落ちてしまうのを阻止する助けとなる。第2に、口がマスク圧力またはそれに近い圧力の空気で満たされているとき、口の底がピストンの働きをし、顎に下向きの力を生じさせてしまう。マスク圧力が高いと、この下向きの力はかなりのものとなりうる。顎ストラップは、口の中の空気の圧力により顎が下方に動くのを阻止する助けとなる。第3に、顎ストラップの反力が、マスクを下向きに引っ張る。これがマスクを鼻骨の方へ下向きに押す助けとなり、したがってシールの助けとなる。使用者は、マスクの上部に取り付けられているヘッドギア25の上部ストラップを締める、または緩めることによって、この効果を調節することができる。上部ストラップ、マスクの剛性を有するシェル、および顎ストラップの全体の幾何学的形状の効果は、概ね垂直な力を顎に生じさせ、それにより、後方への成分を加えずに、顎が下がるのを阻止することである。一方、耳の上部を通過する従来型の顎ストラップは、顎にかかる力に対する大きな後方への成分を生じさせ(F(prior art))、これは、顎を安定させるには機械的に不十分で、顎関節を傷つけると共に、咽頭気道を閉塞するおそれがある。いくつかの従来技術によるマスクは、顎用の固定された内蔵型の支持部を含んでおり、本明細書で説明した顎ストラップと同じ利益をもたらす。しかしながら、本発明の諸実施形態では、顎の位置を快適に調整できるように、例えばVelcro(商標)または類似のマジックテープ(登録商標)状のテープを用いることによって、顎ストラップを調整できることが好ましい。
【0064】
本発明を、呼吸不全や、中枢型睡眠時無呼吸などのための高レベルの非侵襲的換気補助について説明してきた。しかし、本発明は、例えば、ほこりっぽいまたは汚染された工業的環境、作業場、および航空宇宙関係の用途といった、非常に精確にシールするマスクが必要となるいかなる場合にも使用することができる。
【0065】
本発明を、現時点で最も実用的で好ましい実施形態と思われるものに関連して説明してきたが、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨および範囲に含まれる様々な変更形態および均等の構成を包含するものであることを理解されたい。また、上述の様々な実施形態を、他の実施形態と合わせて実施してもよく、例えば、ある実施形態の態様を別の実施形態の態様と組み合わせて、さらなる別の実施形態を実現してもよい。さらに、本発明は閉塞型睡眠時無呼吸(OSA)を患う患者に特に適用されるが、他の病気(例えば、うっ血性心不全、糖尿病、病的肥満、脳卒中、肥満症治療手術など)を患う患者も、上記の教示から利益を得ることができることを理解されたい。さらに、上記の教示は、医療以外の用途で、患者にも患者でない人にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態によるマスクシステムを示す図である。
【図1A】患者の後頭部におけるストラップの交差部の部分背面図である。
【図2】ヘッドギアがない図1のクッションおよびシェルの拡大図である。
【図3B】薄壁の準トロイダル形状のブラダを示す、図2のシリコーン製クッションの様々な部分の断面図である。
【図3C】薄壁の準トロイダル形状のブラダを示す、図2のシリコーン製クッションの様々な部分の断面図である。
【図3D】薄壁の準トロイダル形状のブラダを示す、図2のシリコーン製クッションの様々な部分の断面図である。
【図3E】ブラダの管腔にアクセスするポートを示した断面図である。
【図4】本発明の一実施形態による、マスクの組立体、空気送出管、およびブロワを示した概略図である。
【図5】本発明の一実施形態による、クッションブラダに供給されるオフセット正圧の供給源の概略図である。
【図6】本発明の一実施形態による代替圧力供給源の構成を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態による固定正圧供給源を示す図である。
【図8】本発明のさらに別の実施形態による固定圧力供給源を示す図である。
【図9】本発明の別の実施形態による固定圧力供給源を示す図である。
【図10】固定正圧供給源のさらなる実施形態を示す図である。
【図11】本発明のさらなる実施形態による調整可能な差圧供給源を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態による顎ストラップ組立体を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態による顎ストラップ組立体を示す図である。
【図14】本発明の一実施形態による顎ストラップ組立体を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
10 マスクシステム
15 マスククッション
20 外側シェル
25 ヘッドギア
30 上部ヘッドストラップ
35 下部ヘッドストラップ
40 中央ヘッドストラップ
42 ブラダ
45 ポート
50 エルボ
100 クッション、マスク
101 ブラダ
102 主空気入口ホース、主空気送出ホース
103 換気装置
104 排気ベント
106 ポート
107 ポート
108 制御可能な供給源
109 低圧ポート
110 高圧ポート
111 ホース
112 ホース
200 マスク組立体
205 顎ストラップ組立体
210 顎ストラップ
215 支持部
220 シェル
400 ピストン
401 シリンダ
402 圧縮ばね
403 回転シール
420 プレート
421 ガイド
422 ボックス
423 緊密シールリッド
424 ボルト
425 サック
428 おもり
500 バルーン
501 シリンダ
502 通路
503 ポート
504 キャップ
600 ダイヤフラム型高インピーダンスポンプ
601 入口ポート
602 出口ポート
601 シャントバルブ、シャント抵抗バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インターフェースを患者に対してシールする方法であって、
前記患者インターフェースに膨張可能なブラダを設けるステップと、
前記患者インターフェースをいかなる治療圧力でも快適にシールするように選択された正の量だけ瞬間の治療圧力を超える圧力に、前記ブラダを加圧するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記正の量は、治療圧力の全範囲にわたって一定の量であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膨張可能なブラダを中空の準トロイダル形状のブラダの形に形成するステップをさらに含むことを特徴とする、請求項1または2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
患者を治療する方法であって、
マスクに、ブラダを含むシール要素を設けるステップと、
前記ブラダを所定のブラダ圧力に加圧するステップと、
前記ブラダ圧力を、治療圧力の範囲に従って調整するステップであって、前記マスクの一部分を前記患者の顔面に対して順応的にシールするステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
前記ブラダ圧力は、所定の正の量だけ治療圧力からオフセットしていることを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記正のオフセット量は、前記治療圧力の範囲全体にわたって一定の量であることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記正のオフセット量は、治療圧力が増大するにつれて増加することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
患者インターフェースによって患者に加えられるシール力を調整する方法であって、
シール要素に膨張可能なブラダを設けるステップと、
治療圧力が増大するにつれて増加する所定の量だけ瞬間の治療圧力を超える圧力にブラダを加圧するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記ブラダの圧力を、マスクの治療圧力のアフィン関数とすることができることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
治療圧力を患者に送るブロワと、
前記治療圧力よりも高く、よって前記患者と前記患者インターフェースとの間のシールを維持するオフセット正圧下にある膨張可能な要素を含む患者インターフェースと、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項11】
おもり式のピストンまたはばね式のピストンをさらに備えることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
バルーンをさらに備え、前記オフセット正圧が、該バルーンの反動圧力から得られることを特徴とする、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
低インピーダンスポンプをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記低インピーダンスポンプは、遠心ファンおよび/または軸流ファンの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項13に記載の装置。
【請求項15】
低インピーダンスバイパスを備えた高インピーダンスポンプをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記低インピーダンスバイパスは、ばね負荷型のブローオフバルブおよび/またはウォータトラップ型のブローオフバルブの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項15に記載の装置。
【請求項17】
高インピーダンスポンプおよび/または調整可能なシャントと並列された、おもり式のピストンおよび/またはばね式のピストンまたはバルーンの少なくとも1つをさらに備えることを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記調整可能なシャントは、バルブ、ばね負荷型のブローオフバルブ、および/またはウォータトラップ型のブローオフバルブの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記オフセット正圧は、前記治療圧力の全範囲にわたって一定であることを特徴とする請求項10から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記オフセット正圧は、前記治療圧力が変化するにつれて変化することを特徴とする請求項10から18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
前記オフセット正圧は、約1〜10cmHOであることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
マスクと、
該マスクに設けられたヘッドギアと、
該マスクの下側部分に設けられ、使用中に、概ね患者の頭の最上部に向かう力を生み出すように構成された顎ストラップアセンブリと、
を備えることを特徴とするマスクアセンブリ。
【請求項23】
前記マスクは、シェルと、前記顎ストラップアセンブリの顎ストラップを支持する少なくとも1つの支持部とを含むことを特徴とする請求項22に記載のマスクアセンブリ。
【請求項24】
フレームと、
該フレームに設けられ、治療圧力を受ける鼻部のチャンバを形成するクッションと、
該クッションと関連するとともに前記治療圧力よりも高いブラダ圧力を受けるブラダとを備えることを特徴とするマスクアセンブリ。
【請求項25】
前記ブラダ圧力は、前記治療圧力よりも高い固定された量であることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記固定された量は、が約5cmHOであることを特徴とする請求項25に記載の装置。
【請求項27】
前記ブラダは、前記治療圧力の変化と共に前記ブラダ圧力が様々に変化するように構成されていることを特徴とする請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記ブラダ圧力は、約1〜10cmHOの範囲にあることを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記ブラダ圧力は、約3〜8cmHOの範囲にあることを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記ブラダ圧力は、前記治療圧力に依存していることを特徴とする請求項24に記載の装置。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2008−519617(P2008−519617A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540453(P2007−540453)
【出願日】平成17年11月9日(2005.11.9)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001711
【国際公開番号】WO2006/050559
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(500046450)レスメド リミテッド (192)