説明

呼吸マスク

呼吸マスク(10,10a,10b,10c)は、気体供給源に接続される基板(14,14a,14b,14c)と、基板(14,14a,14b,14c)に固定されかつ基板(14,14a,14b,14c)との間全体に流体密封構造を形成する袋体(52,52a,52b,52c)とを通常備え、袋体(52,52a,52b,52c)は、流動化媒体を収容する少なくとも1つの内部空洞(74,74a,74b,74c)を基板(14,14a,14b,14c)と共に形成し、袋体(52,52a,52b,52c)に流動化媒体を充填して、弾性緩衝体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【優先権主張】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)の規定により、2005年11月15日に出願された米国仮出願第60/736,709号の優先権を主張し、参照することにより、前記米国仮出願の内容を本明細書の一部とする。
【技術分野】
【0002】
本発明は、要約すると、気体流供給装置、特に、呼吸マスクを利用して患者に気体を供給する気体流供給装置に関連する。
【背景技術】
【0003】
気体流供給装置は、被験者(患者又は使用者)の気道に気体流を供給するのに使用される。医療分野の気体流量供給装置の例には、患者の呼吸を換気若しくは補充する換気装置又は人工呼吸器と、高い気体圧力で患者の気道に気体流を供給して閉塞性睡眠時無呼吸症(OSA)等の医療疾患を治療する圧力支援装置とが含まれる。例示するものに限定されないが、圧力支援装置には、多数の呼吸周期にわたり患者の気道に一定の陽圧を供給する持続気道陽圧(CPAP)装置と、患者に供給する気体流の圧力を変更できる可変圧力装置とが含まれる。
【0004】
可変圧力気体供給装置は、患者に供給される基本圧力又は圧力特性を患者の監視状態に基いて変更できる自動滴定(タイトレーション)装置を含む。他の可変圧力気体供給装置は、呼吸周期間に気体流の圧力を変更するものである。可変圧力気体供給装置には、比例補助換気(PAV[登録商標])装置、比例気道陽圧(PPAP)装置、シーフレックス(C-Flex[トレードマーク]、呼気時に呼吸気体圧力を低下して違和感を軽減する機能)装置、バイフレックス(Bi-Flex[登録商標]、吸気時及び呼気時に呼吸気体圧力をそれぞれ上昇し、低下して違和感を軽減する機能)装置及びペンシルベニア州ピッツバーグに所在のレスピロニクス社が製造・販売しているバイパップ(BiPAP[登録商標])装置が含まれる。バイパップ装置は、患者に供給する圧力を患者の呼吸周期に応じて変化させて、呼気間に供給される圧力よりも高い圧力を吸気間に供給する2段階圧力支援装置である。
【0005】
通常の気体流供給装置は、患者に供給される気体流を発生する圧力/流量発生装置と、患者に気体流を搬送する搬送装置とを備える。後者の搬送装置は、圧力/流量発生装置に接続される第1の端部と、患者界面体を通じて患者の気道に連結される第2の端部とを有する可撓性導管を通常備える。患者回路とも称する可撓性導管は、気体流供給装置の動作時に圧力発生装置からの気体流を搬送する。鼻マスク、口マスク又は鼻/口マスクにより通常形成される患者界面装置は、患者回路から患者の気道に気体流を案内する導管の第2の端部に連結される。
【0006】
着用者の顔面に接触して膨張可能な縁当(リム)又はカフ(折り返し)を利用する患者界面体は、周知である。通常加圧空気を使用して所望の圧力に前記縁当が膨張されるが、縁当は、尚弾力性を維持するので、着用者の顔面に正確に縁当を適合させることができる。このように、マスクと着用者の顔面との間に所望の密封接触構造が得られる。
【0007】
膨張可能な縁当は、膨張可能な「内管」型構造を通常有する。単一フィルムを折畳(皺)加工し又はブロー成形工程若しくはスラッシュ成形(スラッシュモールド法)工程により膨張可能な縁当が通常製造される。どの工程を使用して膨張可能な縁当を形成しても、得られる樹脂成型材料の周縁部を封鎖して離隔内部空間を形成する特殊な手段(例えば接着手段又は溶接手段)が通常必要である。縁当を膨張させた後も離隔内部空間内に空気を保持する特殊な密封装置(例えば、米国特許第3,695,264号公報)を設けなければならず、マスクの総費用も増大する。最後に、通常、まず縁当を膨張して密封装置を作動しなければならないので、得られるマスクが常に使用準備状態にあるとは限らない別の不都合がある。
【0008】
一定の使用準備状態に縁当を維持する(例えば充填物質により緊張密封状態又は弾力性密封状態に維持する)ゲル又は液体等の非気体性「充填」物質を縁当内に設ける呼吸マスクは、周知である。しかしながら、閉鎖装置を単に省略したこの形式の構造又は縁当は、前記患者界面装置と同一の製造欠陥を有する。最後に、従来より加硫で製造される呼吸マスク用の膨張不能な縁当は、比較的高価であった。種々の形式のマスク縁当形態を各々開示する特許公報を以下説明する。
【0009】
下記特許文献1は、全体的に内側に湾曲して患者の鼻梁に適合する初期の吸入麻酔マスクを開示する。下記特許文献2は、樹脂材料により形成される密封手段として硬質で気密の支持殻と患者との間に配置される「フランジ」を有する支持殻を備える鼻吸入器を開示する。下記特許文献3は、約言すると、軟質ゴムから形成される二重殻マスクを開示する。下記特許文献4、5、6及び7は、要約すると、比較的硬質の材料で形成される密封フランジを有するマスクを開示する。前記特許に開示されるマスクに顔面への押圧力を加えると、フランジに対向する皮膚と筋肉の反力により、着用者の顔面とフランジとの間の密封性能が増加するが、着用者の不快感が増加する傾向がある。下記特許文献8は、膨張弁を有する膨張カフ型マスクを開示する。
【0010】
下記特許文献9は、膨張可能な縁当を有する最新版マスクを開示する。この米国特許が開示するマスクは、フェイスプレート(面体)と、フェイスプレートに取り付けられる含気式緩衝縁当とを備える。下記特許文献10は、マスクと着用者の顔面との間の密封性を向上するフランジを設けた可撓性透明樹脂殻を備える酸素マスクを開示する。下記特許文献11は、二重管腔構造を有する膨張可能な縁当を開示する。下記特許文献12は、着用者の鼻に当接する堅いゴム製発泡材料のみを有する鼻吸入器を開示する。下記特許文献13は、膨張可能な縁当を有するマスクと協働する掃気マスクを開示する。下記特許文献14は、膨張可能な縁当の膨張弁を全般的に示す弁組立体を開示する。下記特許文献15は、バルーンの空気圧力で膨張する膨張可能な縁当を有する持続気道陽圧(CPAP)装置を開示する。
【0011】
下記特許文献16は、鼻梁領域に配置される膨張弁を有する膨張可能な縁当式マスクを開示する。下記特許文献17は、鼻梁の真上に延伸して配置される支持殻又は支持台の延伸部を有し、延伸部により、使用時に麻酔医又は看護士の単数又は複数の指を支持する膨張可能な縁当式マスクを開示す。
【0012】
下記特許文献18は、特に心肺蘇生術(CPR)に使用され、非使用時に薄い形状に折畳める膨張可能な縁当式マスクを開示する。
【0013】
下記特許文献19は、大別して周縁縁当又はフランジを有するフェイスプレートと、フェイスプレートのフランジに固着又は固定される空気充填縁当とを備える膨張可能な縁当を設けたマスクを開示する。下記特許文献20は、膨張可能な縁当を有し下記特許文献21に開示されるマスクとほぼ同様のマスクと、縁当のフランジ側に肉厚壁を有しかつ縁当の患者側に肉薄壁を有する膨張可能な縁当を形成する方法とを開示する。最後に、下記特許文献22は、2つの環状空洞部により緩衝縁当を形成する面体又は鼻マスクを開示する。空気膨張される各環状空洞部は、外部空気供給源により継続的に加圧される。
【特許文献1】米国特許第790,057号公報
【特許文献2】米国特許第1,206,045号公報
【特許文献3】米国特許第2,313,999号公報
【特許文献4】米国特許第2,535,938号公報
【特許文献5】米国特許第2,625,155号公報
【特許文献6】米国特許第2,765,788号公報
【特許文献7】米国特許第3,042,035号公報
【特許文献8】米国特許第2,875,757号公報
【特許文献9】米国特許第4,062,357号公報
【特許文献10】米国特許第4,201,205号公報
【特許文献11】米国特許第4,347,205号公報
【特許文献12】米国特許第4,803,981号公報
【特許文献13】米国特許第4,807,617号公報
【特許文献14】米国特許第4,913,401号公報
【特許文献15】米国特許第4,971,051号公報
【特許文献16】米国意匠特許第D293,613号公報
【特許文献17】米国意匠特許第D323,908号公報
【特許文献18】米国特許第5,121,745号公報
【特許文献19】米国特許第5,738,094号公報
【特許文献20】米国特許第6,408,853号
【特許文献21】米国特許第5,738,852号公報
【特許文献22】米国特許第6,834,650号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
前記呼吸マスクを考慮すると、マスク構成部品を容易に製造してマスクを容易に組立られる改良型呼吸マスクが広範囲に必要である。また、容易に装着と調整を行えて着用者に快適な呼吸マスクも必要である。更に、気密特性を向上し、容易に膨張しかつ収縮し、所望の膨張圧力を確立しかつ維持できる膨張可能な接触縁当又は緩衝体を有する呼吸マスクが特に必要である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の呼吸マスクは、気体供給源に接続される基板(ベースプレート)と、基板に固定されかつ基板との間全体に流体密封構造(気密構造又は液密構造)を形成する袋体(ブラダー)とを通常備え、基板に流動化媒体を収容する少なくとも1つの内部空洞を形成し、袋体に流動化媒体を充填して、弾性緩衝体が形成される。流動化媒体は、例えば空気等の気体、鉱油若しくは食塩水等の液体、ゲル等のその他の材料又は気体、液体若しくは固体媒体の何かの組み合わせである。袋体に充填される流動化媒体として気体媒体を使用するとき、呼吸マスクは、気体充填緩衝体を備える。この実施の形態では、内部空洞に接続される逃し弁により、内部空洞の圧力を調整しかつ内部空洞の圧力を制限して、呼吸マスクの着用者の快適性を向上することが一般に有利である。
【0016】
本発明の別の実施の形態は、呼吸マスクに使用する袋体に関連する。袋体は、ほぼU字状断面に形成される単一本体を通常備える。袋体本体は、ほぼU字状断面の不規則な壁厚を通常備える。袋体本体は、ほぼU字状断面を形成する基礎部と、緩衝部とを備える。基礎部は、袋体を呼吸マスクの基板に接続する対向フランジを備える。基礎部は、緩衝部より厚い壁厚を有する。袋体本体は、呼吸マスクの基板から延伸する額延伸部を包囲する。更に、袋体本体は、袋体本体内に複数の内部空洞を形成する少なくとも1つの内部仕切板を備える。
【0017】
本発明の別の実施の形態は、呼吸マスクの組立方法に関連する。この組立方法は、気体供給源に接続される基板を準備する工程と、基板に接続される膨張袋体を準備する工程と、膨張袋体を基板に取り付けて基板との間全体に流体密封構造を形成する工程と、流動化媒体を収容する少なくとも1つの内部空洞を基板に形成し、流動化媒体を袋体に充填して弾性緩衝体を形成する工程とを通常含む。
【0018】
基板に袋体を固定する工程は、保持部材を使用して、袋体を基板に固定しかつ基板との間全体に流体密封構造を形成する工程を含む。また、組立方法は、保持部材を基板に機械的に接続又は接着して、基板に保持部材を取り付ける工程を含む。袋体は、ほぼU字状断面を形成する単一本体を備える。袋体本体は、ほぼU字状断面を形成する基底部及び緩衝部を備え、袋体を基板に取り付ける工程は、保持部材と基板との間に基礎部の少なくとも一部を挟持して、保持部材と基板との間全体に流体密封構造を形成する工程を含む。
【0019】
他の実施の形態では、呼吸マスクは、複数の係合孔(スロット)が形成される軌道を形成する係止溝と、係止溝に係合されるフック(ラッチ装置)とを有する基板を通常備える。フックは、第1の接続部材と第2の接続部材により接続される両側部を有するフック本体を通常備える。中央開口が形成される第2の接続部材は、少なくとも部分的に弾性変形可能である。フックは、中央開口内に配置される係合軸を更に備え、係合軸は、第1の接続部材に係合される第1の端部と、中央開口から突出しかつ係止溝の係合孔の1つに係合される第2の端部とを有する。動作時に、接続部材の両側部の少なくとも一方に係合軸に向う力が加わるとき、係合軸の第2の端部の方向に第2の接続部材が通常変形して、係合孔との係合から第2の端部が解除される。
【0020】
接続部材の両側部に摘み(指摘み)面が形成される。更に、第3の接続部材は、接続部材の両側部を接続し、帯紐(ストラップ)を挿通する間隙が第1の接続部材に形成される。第2の接続部材は、中央開口に形成される弾性変形可能な先端部を備える。更に、フック本体及び係合軸は、例えば樹脂材料により一体に形成され又は例えば樹脂材料から個別の部材として形成される。係合軸の第2の端部は、球関節(玉継手)を備える。球関節は、係合孔に取り付けられる爪(取付片)を備える。
【0021】
他の実施の形態では、呼吸マスクは、複数の係合孔が形成される係止溝を有する基板と、係止溝に係合されるフックとを通常備える。フックは、第1の接続部材及び第2の接続部材により接続される両側部を有するフック本体を通常備える。中央開口が形成される第2の接続部材は、係止溝と接触する弾力変形可能部を備える。フックは、中央開口内に配置される係合軸を更に備え、係合軸は、第1の接続部材に係合される第1の端部と、中央開口から突出しかつ係止溝内の係合孔の1つに係合される第2の端部とを有する。動作時に、係合軸とほぼ同軸又は平行な方向への力がフック本体に加わるとき、第1の接続部材の方向に第2の接続部材が通常変形して、中央開口から係合軸の第2の端部が更に突出して、係合孔との係合から第2の端部が解除される。
【0022】
本実施の形態では、第3の接続部材が両側部を接続し、帯紐を収容する間隙が第1の接続部材に形成される。第2の接続部材は、中央開口が形成される弾力変形可能な先端部を備える。更に、フック本体及び係合軸は、例えば樹脂材料により一体に形成され又は例えば樹脂材料から個別の部材として形成される。係合軸の第2の端部は、球関節(玉継手)を備える。球関節は、係合孔に取り付ける爪(取付片)を備える。
【0023】
参照符号により各図の対応する部分を示す添付図面に関する以下の説明、特許請求の範囲及び本明細書の全構成部分により、本発明の前記目的及び他の目的、特徴及び特性、構造の関連要素の操作法及び機能、部品の組み合わせ並びに製造経済性は、明らかとなろう。しかしながら、図面は、図示及び説明のみを目的とし、発明の範囲を制限するものではないことは、明確に理解できよう。別途明記しない限り、明細書及び特許請求の範囲に使用する用語「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」の単数形は、複数の対象を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、説明を目的として、単語「上部(up)」、「下部(down)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「前部(forward)」、「後部(rearward)」、「遠位(distal)」、「近位(proximal)」、「内部(inner)」、「外部(outer)」及び同様の方向を示す用語が使用される場合、本発明の実施の形態に関連して、添付図面により方向が定められる。しかしながら、本発明は、特に反対することを明記する場合を除き、多くの他の変更及び実施の形態を想定することは、理解されよう。添付図面に明示しかつ本明細書に詳記する特定の装置及び実施の形態は、単に本発明の例示的な実施の形態に過ぎず、明細書全体を通じて同様の部分を同様の参照符号で示すことは、理解されよう。
【0025】
図1〜図10は、本発明の呼吸マスク10の実施の形態を示す。着用者の口及び鼻を被覆して着用者の気道流路を被覆する大きさ及び形状に全体的に形成される呼吸マスク10を口鼻呼吸マスクと説明することができる。本明細書に示す他の実施の形態は、着用者の鼻と鼻に連絡する気道流路とを被覆する大きさ及び形状に全体的に形成される鼻マスクのみに適する。更に、必要に応じて着用者の口のみを被覆する呼吸マスク10の構成も、本発明の範囲に含まれる。麻酔薬又は酸素を含む空気流を患者に供給する医療用途又は医療処置に呼吸マスク10を使用でき又は睡眠無呼吸症等の睡眠障害の治療に使用される持続気道陽圧(CPAP)装置等の専門的な医療治療装置に呼吸マスク10を接続することができる。呼吸マスク10は、全体的に剛性のある支持体又は基体12と、基体12に接続される膨張可能な縁当又は膨張緩衝体50とを全体的に備える。通常、図4に示す保持部材100を介して膨張可能な縁当(「縁当」と略称する)50を基体12に取り付けて、縁当50と基体12との間にほぼ流体を密封する流体密封構造を形成することができる。
【0026】
基体12は、縁当50を支持する全体的に剛性のある構造体である。保持部材100を介して基体12に縁当50が通常機械的に固定されるが、保持部材100を基体12に永久的に接着する他の手段により、基体12に縁当50を固定してもよい。超音波溶接又は化学溶解により保持部材100を基体12に永久的に接着する技術も接着手段に含まれるが、本発明を限定するものではない。全体的に剛性のある構造体である基体12にある程度の弾性湾曲部を形成してもよい。呼吸マスク10の全体的に口鼻を被覆する形状に形成される基体12をホース又は導管等の外部装置に連結し、外部装置は、麻酔薬を含む空気流供給源、酸素供給源、持続気道陽圧装置及び同様の装置に呼吸マスク10を接続する。
【0027】
基体12は、全体的に基板14に形成され、基板14は、通常、着用者の口と鼻(例えば口鼻気道流路)を被覆する大きさと形状を有する面板形状に全体的に形成される単一部材である。図4及び図5に示すように、基板14は、外向面、即ち外面16と、縁当50を固定する内面18とを有する。周縁に延伸する内側環状リップ又はリム20と、外側環状リップ又はリム22が通常内面18に形成され、内側環状リム20と、外側環状リム22は、内面18から外側に突出しかつ下記に詳記するように、縁当50の内側基礎領域と外側基礎領域とを保持する内壁及び外壁として作用する。
【0028】
本明細書では、基板14に形成される球根状の口鼻被覆部又は口鼻被覆領域24を「被覆部24」と略称する。基板14の外面16から外側に突出する被覆部24は、少なくとも着用者の口と鼻を収容しかつ被覆する大きさと形状に通常形成される。被覆部24から外側に向かい放射状かつ環状に形成されて周縁に延伸する取付フランジ26が更に基板14に形成される。縁当50と取付フランジ26との間全体に流体密封構造を形成する方法で、縁当50は、基板14の内面18の取付フランジ26に取り付けられかつ固定される。内側リム20と外側リム22は、基板14の内面18の取付フランジ26の内側境界部と外側境界部を形成する。取付フランジ26は、縁当50に対する固有の支持構造となる。
【0029】
前記のように、基板14は、例えば樹脂成形工程間に一体に同時形成される被覆部24と取付フランジ26を通常有する単一部材である。しかしながら、所望により、被覆部24と取付フランジ26とを別々の部材とし、医療マスク分野の慣例手段により一体に接合して、基板14を形成してもよい。ポリカーボネート又は他の同様の剛性若しくは半剛性プラスチック等の樹脂材料から、基板14を通常形成し又は樹脂成型するが、アルミニウム又は適切な医療品質のステンレス鋼等の金属により構成してもよい。
【0030】
図1〜図5に示すように、取付フランジ26の頂端から延伸する額延伸部28が基板14に任意に設けられる。図示のように、額延伸部28は、基板14の一部として一体に通常形成されるが、特に基板14と取付フランジ26に取り付ける別構造体として設けてもよい。縁当50の主本体領域又は主本体部を支持する取付フランジ26とほぼ同様の方法により、額延伸部28は、膨張額緩衝体80を支持する。下記に詳記するように、縁当50は、縁当50の一部として通常形成される額緩衝体80を有する単一構造体又は単一部材である。しかしながら、縁当50の一部の主本体領域とは別の構造体として額緩衝体80を容易に設けて、本明細書中で別の参照符号を付して、額緩衝体80を取り付ける部材と基板14の支持体とを識別してもよい。従って、本明細書の目的に対して、参照符号「80」により額緩衝体を縁当50から分離して示すが、用語「膨張可能な縁当」は、全体として額緩衝体80を含むものとする。
【0031】
同様に、機械式留め具等の適切な手段により、取付フランジ26に取り付ける別個の構造体として構成できる額延伸部28を、全体的に取付フランジ26の一部と考えることができる。縁当50の主本体部と取付フランジ26との接続法と同様に、額延伸部28に額緩衝体80を固定して、額緩衝体80と額延伸部28との間全体に流体密封構造を形成することができる。特に、保持部材100を介して縁当50の主本体部を取付フランジ26に固定する方法と同様に、額緩衝体80は、額保持部材120を介して額延伸部28に通常固定される。保持部材100及び額保持部材120の具体的な構造を以下説明する。
【0032】
図5に示すように、取付フランジ26の外側リム22は、額延伸部28の外縁周囲にも通常延伸して、額延伸部28の外周壁又は外周リムを形成し、額延伸部28に額緩衝体80を取り付けるとき、外側リム22は、額緩衝体80の外側基礎領域又は外側基礎部に固定される。従って、外側リム22は、基板14の全外縁周囲にほぼ連続的に形成される。しかしながら、取付フランジ26と額延伸部28との間に形成されて、縁当50の主本体部と額緩衝体80とを全体的に接続する接続部材又は接続構造体となる開放接続通路29を残して、外側リム22を形成するが、この点は、下記に説明する。
【0033】
通常大きい中央開口30が被覆部24に形成される。中央開口30は、基板14を形成する樹脂成形工程間に被覆部24に形成し又は別法として、基板14の樹脂成形後に被覆部24を切除して形成することができる。呼吸マスク10を他の装置に取り付ける主接合位置又は装着位置に中央開口30が設けられる。従って、麻酔薬を含む空気流を供給する供給導管、呼吸マスク10に接続される酸素供給源導管、又は持続気道陽圧(CPAP)装置に取り付けられる陽圧空気供給導管が中央開口30に接続される。また、外部装置からの供給導管の接続に使用する取付装置を中央開口30に取り付けてもよい。前記取付装置の例は、図26について後述する90度エルボ管である。
【0034】
被覆部24は、全体的に人顔面の口鼻形状に適合して形成されるほぼ凹状の内部空洞又は溝32を基板14の内面18に形成する。溝32の周縁に外縁を形成する取付フランジ26と協働して、凹部32は、全体的に着用者の鼻と口を収容する形状に形成される。従って、基板14の内面18の取付フランジ26に固定され又は取り付けられる縁当50の主本体部は、鼻梁をほぼ包囲しかつ着用者の頬に沿い更に着用者の下唇の下方に延伸して、縁当50は、その連続的な周縁に沿って着用者の顔面に接触しかつ係合される。図1及び図5に示すように、呼吸マスク10に使用できる他の装置に接続する単数又は複数の多目的開口34が被覆部24に形成される。点線で示す多目的開口34は、栄養管等の装置を取り付ける任意の開口である。更に、凹部32と外部装置との間に流体接続ラインを形成する突出導管36を被覆部24に設けることができる。突出導管36は、通常取り付ける装置に帰還圧力を付与し又は圧力を監視する圧力検出口として役に立つ。
【0035】
前記のように、被覆部24の周辺部に延伸する取付フランジ26は、縁当50を支持する。下記の通り、一実施の形態の縁当50は、縁当50を膨張し又は縁当50に充填される流動化媒体を別々に充填する分離した複数の膨張「空洞」又は「ポケット」に分割される。この目的で、縁当50に形成される複数の空洞/ポケットの各々に対し、少なくとも1つの膨張/収縮開口38が取付フランジ26に典型的に形成される。空洞/ポケット内への流動化媒体の流入を許容して典型的には、空洞/ポケットから流動化媒体を回収する弁等の装置又は構造体が膨張/収縮開口38に取り付けられる。本明細書では、膨張/収縮開口38を以下「膨張開口38」と略称するが、膨張開口38が収縮機能又は流動化媒体「排出」機能もまた発揮することは、明らかある。
【0036】
また、図4に示すように、複数の機械式爪(取付片)108を収容する単一又は複数の爪収容開口40が通常取付フランジ26に形成され、下記の通り、複数の爪108は、基板14及び特に取付フランジ26に縁当50を固定するのに使用される保持リム100に取り付けられる。下記の通り、保持部材100は、爪開口40に係合される複数の機械式取付爪108を通常備え、保持部材100と取付フランジ26との間を圧縮状態に保持しつつ縁当50の少なくとも一部に機械式取付爪108が固定される。しかしながら、保持部材100と取付フランジ26との機械的係合を永久的な前記接着技術に変更できることは理解できよう。図4に示すように、取付開口40は、機械式爪108を包囲しかつ保護する隆起爪縁42を基板14の外面16に通常備える。図5に示すように、額保持部材120に接続される機械式爪を取り付ける複数の爪開口40は、額延伸部28にも形成される。下記の通り、額保持部材120は、保持部材100と同様の機械式爪構造を有する。額延伸部28の爪開口40と前記機械式爪構造との係合により、本明細書で説明するように、額緩衝体80は、全体として流体密封構造で額延伸部28に固定される。図4に示すように、ほぼ楕円形の隆起リップ又はリム43は、基板14の外面16とそれに対応する額延伸部28の外側に通常形成され、隆起リップ又はリム43は、額保持部材120に設けられる機械式爪を係合するリム構造又はリップ構造を形成するが、この点を以下に詳述する。
【0037】
基板14及び特に、取付フランジ26は、呼吸マスク10に取付帯紐(図示せず)を固定する取付構造体を通常備える。取付帯紐を使用して、着用者の顔面に呼吸マスク10が固定される。一般に、着用者の頭部周辺に延伸される取付帯紐は、例えばフックループ(マジックテープ[登録商標])型の締着具等により接合される。別法として、基板14の両側に固定される端部を有する単一の弾性帯紐を使用して、着用者の顔面に呼吸マスク10を固定してもよい。図4に示すように、基板14の帯紐取付構造体は、基板14の対向下部に配置されてフック160が移動する軌道を形成する一対の係止溝44を備え、係止溝44は、基板14の外面16から外側かつ外周方向に延伸する。係止溝44は、取付フランジ26の一部として基板14の外面16に通常形成される。係止溝44は、例えば成形工程間に基板14の一部として基板14と一体に通常ほぼ円弧状に形成される構造体である。図1に示すように、係止溝44を使用して、複数のフック160をそれぞれ支持し、フック160は、取付帯紐又は単一の取付帯紐の両端部を挿通しかつ支持する。図16に示すように、細長くかつ円弧状の調整孔45が係止溝44に通常形成され、調整孔45は、調整孔45の両側部に設けられかつフック160の突出構造体を収容する複数の係合孔46を備え、突出構造体は、係止溝44の解放可能な所定の位置にフック160を固定する。図16に示すように、係合孔46は、調整孔45に向かって先細(テーパ)状又は湾曲する(例えば円弧状の)面Sを各々有する複数の隣合う接触部材47間に形成される。係止溝44は、基板14の下側部に沿って全体的に配置され、フック160に挿通される帯紐は、着用者の両下頬領域に沿って着用者の頭部周辺に延伸する。
【0038】
最後に、図4に示すように、前記膨張開口38と通常同一の別の膨張/収縮開口48が額延伸部28に設けられる。本明細書で説明するように、膨張/収縮開口48は、額緩衝体80に取り付けられる膨張「空洞」又は「ポケット」の膨張に使用される弁又は同様の構造体を支持する。膨張開口48は、額緩衝体80の収縮機能又は流動化媒体「除去」機能も有し、本明細書では、前記「膨張開口38」に整合して、全般的に「膨張開口48」と指称する。
【0039】
通常、縁当50を基体12に固定し又は取り付けて、縁当50と基体12との間、詳細には、縁当50と基板14の取付フランジ26との間全体に流体密封構造が形成される。縁当50は、便宜上「袋体52」と以下に略称する単一の袋状構造体又は部材52を通常備え、主本体部54と縁当50の額緩衝体80を形成する。前記のように、用語「膨張可能な縁当」は、保持部材100により取付フランジ26に接続される主本体部54と、額保持部材120により額延伸部28に接続される額緩衝体80との両方を含む。袋体52は、凝固時に弾力性を有する材料から射出成形により通常形成され、袋体52に流動化媒体を導入すると、袋体52は、拡張する。形成時に、袋体52は、薄膜材料により形成される単一構造体又は単一本体である。射出成形される袋体52に適切な材料の例は、シリコーン、熱可塑性樹脂エラストマ、ポリウレタン、加硫ゴム及び他の同様の材料を含む。
【0040】
図4に示すように、袋体52には、係合側部56と、緩衝側部58とが通常形成され、係合側部56は、保持部材100及び額保持部材120に接続され、緩衝側部58は、着用者の顔面に接触する接触面を形成する袋体52の外向き側部である。主本体部54を通る横断面と、袋体52の額緩衝体80を通る主本体部54に類似の横断面とは、主本体部54と額緩衝体80の各々がほぼU字状断面であることを示す。図8に示すように、主本体部54のU字状断面は、基礎部又は基礎領域60と、緩衝部又は緩衝領域62とによりほぼ形成され、基礎部又は基礎領域60は、保持部材100に係合する構造体を有し、緩衝部又は緩衝領域62は、袋体52の緩衝側部58の主面領域を形成する。基礎部60は、主本体部54のU字状断面のほぼ底部三分の一から底部半分に形成される。図8に示すように、内側に突出しほぼU字型の2つのフランジ64が通常基礎部60に形成される。各フランジ64は、上方に延伸し又は直立するリップ又はリム66を備え、保持部材100の対応するリップ構造体に係合する溝68がリップ又はリム66に形成されるが、この点は後述する。
【0041】
各図に示す袋体52の様々な断面から理解できるように、主本体部54及び額緩衝体80は、典型的な不均一な壁厚を有する。主本体部54の基礎部60は、全体的に緩衝部62より厚い壁厚を有する。薄膜材料から単一部材に袋体52を形成するので、基礎部60と緩衝部62との間に明確な境界線がない。しかしながら、説明したように、主本体部54のU字状断面の約三分の一から半分に基礎部60を形成することができる。基礎部60から全体的に袋体52の膜壁厚を先細りに又は狭めて形成して、主本体部54の緩衝部62を形成し、先細り壁厚移行領域を参照符号70として図10に示す。
【0042】
袋体52の不均一な壁厚には、複数の利点がある。膨張可能な縁当50に流動化媒体を導入するとき、袋体52の不均一な壁厚により、基礎部60と主本体部54の緩衝部62とを異なる速度で膨張させ、膨張可能な縁当50の膨張を制御できる。詳細には、変化しかつ不均一な袋体52の壁厚により、縁当50の膨張量及び膨張方向を制御して、縁当50に流動化媒体を導入するとき、緩衝部62でより大きい膨張を発生すると共に、袋体52の主本体部54の基礎部60でより小さい膨張を発生させることができる。これにより、縁当50の緩衝側部58が係合側部56より膨張して、緩衝側部58が着用者の顔面の形状に確実に適合する。一般的に、袋体52の可変膨張特性により、着用者の顔面に対応する形状に縁当50を膨張させて、着用者の顔面に対し有効な密封構造を形成できる。従って、袋体52の可変膨張特性により、着用者の皮膚に対する呼吸マスク10の密封特性を向上すると共に、着用者の鼻及び口の周辺部で呼吸マスク10の密封特性を向上することができる。
【0043】
更に、袋体52は、主本体部54内に配置される単一又は複数の内壁又は内部仕切72を備え、袋体52の主本体部54と内部仕切72との間に複数の内部ポケット72が形成される。内部仕切72は、流動化媒体を個別に充填する複数の異なる部分に袋体52を仕切るか又は分離する。内部仕切72により、異なる部分に異なる流動化媒体を使用できる。例えば、一部をより高い弾性領域とし、他部をより高い可撓性領域とする利点がある。各部の圧力を変更し又は異なる機械的特性の流動化媒体を利用して、これを達成できる。別法として、複数の内部ポケット間又は複数の内側区域74間の流体接続部となる小孔、穿孔又は絞弁等の圧力均一化構造体76を内部仕切72に設けてもよい。流動化媒体を袋体52内に導入するとき、圧力均一化構造体76により、一方の内部ポケット74から隣の内部ポケット74に流動化媒体が移動することができる。従って、圧力均一化構造体76を省略すると、各内部ポケット74内の圧力が互いに分離し、保持部材100に袋体52を接合し、保持部材100を取付フランジ26に取り付けて、「閉鎖された」内部ポケット74を所望の異なる圧力レベルに個別に加圧することができる。
【0044】
図8に示すように、袋体52は、更に密封フラップ78を通常備え、密封フラップ78は、袋体52の射出成形工程間に主本体部54の一部として通常一体形成される。図5に示すように、密封フラップ78は、基板14の被覆部24に形成される凹部32に向かい緩衝部62から延伸するほぼ薄膜材料により形成される。袋体52の主本体部54の緩衝部62周辺から周囲に通常延伸する密封フラップ78は、鼻の両側部に沿いかつ着用者の口周辺で着用者の鼻梁周辺で着用者の皮膚に通常接触して、呼吸マスク10の密封特性を向上することができる。密封フラップ78は、袋体52に設けられる任意の構造体である。
【0045】
前述のように、額延伸部28、額緩衝体80及び額保持部材120は、通常、呼吸マスク10の任意の構成部材である。主に呼吸マスク10の着用者の快適レベルを増進するために主として設けられる前記構成部材を省略してもよい。また、前記のように、取付フランジ26及び独立する額緩衝体80に取り付け又は接続される額延伸部28とは別の構造体として前記構成部材を容易に設けることができ、額保持部材120により額延伸部に固定し又は取り付けることができる。従って、前記のように、取付フランジ26及び袋体52の主本体部54とは別の構造体としてそれぞれ容易に前記構成部材を設けられるので、本明細書では、額延伸部28と額緩衝体80の特徴部を別個の参照符号で示す。
【0046】
図4に示すように、袋体52の主本体部54から分離する個別の額内部ポケット82が額緩衝体80に形成される。前記内部ポケット又は内側部分74と構造上ほぼ同様の額内部ポケット82は、基板14の取付フランジ26から延伸する額延伸部28のほぼ楕円形状に整合する形状を有する。額緩衝体80は、薄くかつ非膨張の接続部材84により、袋体52の主本体部54に通常接続される。額緩衝体80は、主本体部54が保持部材100に係合する係合構造と類似のかつ額保持部材120に係合する係合構造を有する。特に、前記係合構造は、主本体部54の基礎部60に設けられる係合構造にほぼ類似する。従って、額緩衝体80は、主本体部54の基礎部60及び緩衝部62に対しほぼ類似の額基礎部88及び額緩衝部又は額緩衝領域90を通常備える。また、額基礎部88は、額緩衝体80のU字状断面のほぼ底部三分の一から底部半分に形成される。しかしながら、額基礎部88は、図9に示すように、単一で内側に突出しかつ環状に延伸するほぼU字状のフランジ92を備える。フランジ92は、上方に延伸し又は直立するリップ又はリム94を備え、リップ94は、額保持部材120の対応するリップ構造体に係合する溝96を形成するが、この点は、後述する。
【0047】
主本体部54のU字状断面と同様のU字状断面を備える額緩衝体80は、額基礎部88と額緩衝部90を形成する同様に不均一な壁厚を有する。基礎部60及び緩衝部62と同様に、額基礎部88は、通常額緩衝部90より厚い壁厚を有する。図9に示すように、額基礎部88の壁厚をほぼ先細りにし又は狭めて、額緩衝部90を形成し、先細りにし又は狭められる壁厚の移行地域98により、額基礎部88と額緩衝部90とが接続される。従って、額緩衝体80は、袋体52の主本体部54の前記膨張特性に類似する膨張特性を有する。
【0048】
呼吸マスク10の本実施の形態では、多部品構造体、特に2ピース構造体として保持部材100を示す。図4に示すように、保持部材100は、袋体52に形成される内部ポケット74の数に対応して通常分割される。保持部材100は、図1〜図10に示す袋体52内の内部仕切72に形成される2つの内部ポケット74に対応する第1の保持部材102及び第2の保持部材104を通常備える。追加の内部仕切72により更に袋体52を分割してもよく、所望により袋体52に形成される追加の内部ポケット74の数に応じて更に保持部材100を分割してもよい。第1及び第2の保持部材102,104には、膨張/収縮開口106が各々形成され、各膨張/収縮開口106は、基板14の取付フランジ26の各膨張開口38にほぼ合致する。対応又は合致する膨張開口38,106は、通常、協働して膨張/収縮弁を支持するが、この点は、後述する。膨張/収縮開口106は、全般的に「膨張開口106」と略称し、膨張開口38に使用する用語を適用する。
【0049】
図4に示すように、第1の保持部材102と第2の保持部材104は、それらの各側面から延伸する複数の取付片108を更に各々備え、各取付片108は、基板14の取付フランジ26に形成される対応する取付開口40に係合して、取付フランジ26に第1の保持部材102と第2の保持部材104を固定する。取付片108は、如何なる形状にも形成できるが、望ましい実施の形態としてほぼ矢印形状の取付片108を示す。図13A及び図13Bに示すように、各取付片108は、半矢印状頭部112を各々有する一対の突起110により、通常形成される。使用時に、取付開口40に取付片108を挿入できるように、一対の突起110が互いに接近する方向に屈曲して偏向され、その後、突起110が自身の弾力で外側に戻され弾性初期の位置に復帰して、各取付開口40周辺で延伸する隆起リム42に係合する。突起110は、弾力的に外側に屈曲するので、突起頭部112は、各取付開口40周辺の隆起リム42に係合して、取付開口40からの取付片108の脱落を阻止する。
【0050】
保持部材100の取付片108が基板14の取付フランジ26の取付開口40に係合する複数の変形例を図13A及び図13Bに明示する。図13A及び図13Bに示すように、各取付開口40周辺の隆起リム42は、取付開口40の周辺部から外側に突出する。接続時に、突起110の半矢印状の突起頭部112は、隆起リム42ではなく隆起リム42の根本部で取付開口40の周辺部のみに係合する。この構造により、隆起リム42は、取付開口40の周辺部に係合する突起頭部112の係合部周辺の防護壁として作用し、突起頭部112と取付開口40との不正係合解除操作をを防止することができる。図13Bに示すように、所望により、各隆起リム42に中央交差部材113を形成してもよい。取付開口40の周辺部に突起頭部112を係合するとき、交差部材113は、事実上突起110の突起頭部112の間に配置される。この結果、取付開口40に取付片108を挿入して取付開口40の周辺部に突起頭部112を係合すると、交差部材113は、互いに接近する方向への一対の突起頭部112の偏向又は屈曲を阻止するので、取付開口40からの取付片108の離脱を防止できる。突起頭部112を取付開口40の周辺部に係合させたとき、不正係合解除操作を防止する他の構造の交差部材113を設けてもよい。
【0051】
また、図1〜図10に示すように、第1保持部材102と第2の保持部材104の内側縁部と外側縁部に沿って、それぞれ周縁内側リップ又はリム114と、周縁外側リップ又はリム114が形成される。周縁内側リップ114と周縁外側リップ116は、袋体52の主本体部54の基礎部60に形成される対向フランジ64の直立リップ66に形成される溝68(図8)に取り付けられ又は嵌合される。図8に示すように、袋体52の主本体部54の基礎部60に形成される対向フランジ64の各リップ66を収容する内側溝118と外側溝118が周縁内側リップ114と周縁外側リップ116の各々に形成される。取付開口40周辺から延伸する周囲隆起リム42に取付片108が係合するので、袋体52の主本体部54の基礎部60に形成される一対の対向フランジ64全体に圧縮力を加えて、袋体52の主本体部54と取付フランジ26との間の全体に流体密封構造を形成することができる。取付片108と取付開口40との間に形成される係合構造と、後に対向フランジ64の保持部材100により加えられる圧縮力とについては、呼吸マスク10を組み立てる組立工程の説明と同時に、後に更に詳細に説明する。保持部材100、特に、第1の保持部材102と第2の保持部材104は、ポリカーボネート等の剛性のある樹脂材料により形成される。基板14と同様に、保持部材100も、医療用部品の使用に適する品質のアルミニウム又はステンレス鋼等の他の適切な材料により形成される。
【0052】
図4及び図5に示しかつ前記のように、別々の取付構造体として通常設けられる額保持部材120は、基板14の取付フランジ26から延伸する額延伸部28に額緩衝体80を取り付けるのに特に適する。額保持部材120を額延伸部28に全体的に係合し、袋体52の額緩衝体80の額基礎部88に形成される内側突出フランジ又は延伸フランジ92に圧縮力を加えて、額緩衝体80と額延伸部28との間全体に流体密封構造を形成できる。図5に示すように、額保持部材120は、板状本体122を通常備え、額延伸部28の単一の膨張開口48にほぼ合致する位置に配置される1つの膨張/収縮開口126が通常板状本体122に形成される。取付フランジ26に膨張開口38を形成し、保持部材100を構成する第1の保持部材102と第2の保持部材104に膨張開口106を形成し、取付フランジ26の膨張開口38と保持部材100の膨張開口106とが実質的に整合するように、整合する膨張開口48と126は、全体的に膨張/収縮弁を支持する。本明細書では、膨張/収縮開口126を膨張開口126と統一して略称する。
【0053】
図4に示すように、保持部材100と同様に、額保持部材120は、額保持部材120の底部側から延伸する複数の取付片128を備え、取付片128は、基板14の取付フランジ26から延伸する額延伸部28に形成される取付開口40に係合され、額延伸部28に額保持部材120が固定される。取付片128は、如何なる形状でもよいが、取付片108の二重突起構造ではなく、半矢印状頭部132を有する単一突起130に形成される。取付片128の突起130は、取付片108の突起110とほぼ同様の方法で動作し、額延伸部28の取付開口40に取付片128を挿入するとき偏向又は屈曲し、その後、自身の弾性により、突起130は、弾力で反発して実質的に初期の形状に復帰する。突起130が弾力でほぼ初期の形状に復帰するので、突起頭部132は、基板14の外面16から突出する隆起リップ又はリム43に重なって係止し、額延伸部28の外側は、額延伸部28との係合状態に額保持部材120を保持する。突起130の突起頭部132と隆起リム43との係合により、額延伸部28の取付開口40からの取付片128の離脱を防止することができる。
【0054】
図4に示すように、額保持部材120は、隣接する2つの内側リップ又はリム134と外側リップ又はリム136を更に備え、外側リップ136は、額保持部材120の外縁に沿って通常形成される。取付片128は、内側リップ134から延伸して通常形成され、図9に示すように、内側リップ134は、外側リップ136より突出して僅かに長い全長で形成され、外側リップ136より大きく延伸して額保持部材120から外側に突出する。額延伸部28に額保持部材120を接続するとき、内側リップ134は、額延伸部28の内側に通常接触する。袋体52の額緩衝体80の額基礎部88に内側延伸フランジ92が形成され、内側延伸フランジ92に直立リップ又はリム94が形成され、直立リップ又はリム94により形成される溝96に周縁外側リップ136が嵌合される。袋体52の額緩衝体80の額基礎部88の内側延伸フランジ92に形成される対応する直立リップ94を収容する溝138が内側リップ134と周縁外側リップ136との間に形成される。額延伸部28の隆起リム43に取付片128が係合して、内側延伸フランジ92に圧縮力が加えられると、額緩衝体80と額延伸部28との間全体に流体密封構造が形成されるが、この点を以下更に詳記する。ポリカーボネート等の剛性のある樹脂材料又は基板14及び保持部材100に関連して前記他の何らかの材料により額保持部材120が形成される。
【0055】
図4は、保持部材100と額保持部材120に生ずる複数の別の特徴を示す。保持部材100は、膨張開口106とその周辺部で延伸する隆起円筒140を備え、額保持部材120は、膨張開口126と、その周辺部で延伸する隆起円筒140を通常備える。隆起円筒140は、保持部材100と額保持部材120から十分に通常隆起し、取付フランジ26及び額延伸部28に形成される対応する膨張開口38,48にそれぞれ嵌合される。特に、取付フランジ26と額延伸部28に保持部材100と額保持部材120をそれぞれ接合するときに、膨張開口38,48に隆起円筒140を嵌合して、呼吸マスク10を容易に組み立てることができる。前記のように、図4に示す保持部材100を複数の異なる片に分割できる。平面で見てほぼU字状に形成される第1の保持部材102は、各端部に重着片142を備える。重着片142は、第2の保持部材104の端部に形成される対応する収容凹部144に嵌合されて、第1の保持部材102と第2の保持部材104とが重複係止される。第1の保持部材102と第2の保持部材104を図5のように重合して連続的に配置すると、袋体52の主本体部54の内部形状と実質的に一致する保持部材100の形状になる。
【0056】
呼吸マスク10の前記構成部品と共に、呼吸マスク10の全般的な組立法を図1〜図10について以下説明する。呼吸マスク10の組立法は、保持部材100と額保持部材120に袋体52を取り付ける装着工程に始まり多くの工程を含む。詳細には、袋体52の主本体部54は、保持部材100に取り付けられ、額緩衝体80は、額保持部材120に取り付けられる。その後、取付フランジ26と基板14の額延伸部28とに取り付けた構成部品をそれぞれ固定する。組立工程では、袋体52の主本体部54により形成されるほぼU字状断面部に保持部材100が挿入される。保持部材100の底部側から突出する取付片108は、主本体部54から外側に向けて配置される。主本体部54に保持部材100を挿入するとき、基礎部60に形成される対向フランジ64は、保持部材100周辺を包囲し、対向フランジ64の直立リップ66は、保持部材100の内側周縁リップ114と外側周縁リップ116により形成される内側溝118と外側溝118内に係合される。また、保持部材100の内側周縁リップ114と外側周縁リップ116は、対向フランジ64の直立リップ66により形成される溝68内に同様に係合され、保持部材100と袋体52の主本体部54との間に重複係止相互係合連結構造を形成する。
【0057】
次に、袋体52の主本体部54を保持部材100に定法で接合する状態で、袋体52の主本体部54内の内部仕切72により形成される単一又は複数の内部ポケット74を保持部材100により包囲し、単一又は複数の封止された内部空洞146を袋体52に形成する(図8)。袋体52の主本体部54により内部空洞146を全体的に包囲し又は形成し、袋体52の主本体部54により保持部材100の側部を包囲する。袋体52の主本体部54の内部仕切72の数は、内部空洞146の数を決定する。図示のように、保持部材100は、多部品構造であり、前記工程により、保持部材100の各部品を構成する第1の保持部材102と第2の保持部材104を袋体102の主本体部54に別々に接合することもできる。
【0058】
全体的に前記接合手順と同様の手順により、額保持部材120は、額緩衝体80に接合される。特に、内部ポケット82から外側に延伸する取付片128と共に、額保持部材120は、額緩衝体80に形成される額内部ポケット82内に挿入される。図4に示すように、袋体52の額緩衝体80の額基礎部88に形成される内側延伸フランジ92は、額保持部材120の周辺部を包囲し、内側延伸フランジ92の直立リム94は、内側リップ134と額保持部材120の周縁外側リップ136との間に形成される外側溝138内に嵌合される。この結果、額保持部材120の周縁外側リップ136は、内側延伸フランジ92の直立リム94に形成される溝96内に実質的に嵌合され、額保持部材120と額緩衝体80との間に重複係止相互係合連結構造を形成する。額緩衝体80を額保持部材120に接合する状態で、額保持部材120により額内部ポケット82を包囲して、包囲された額内部空洞148が形成される。図9に示すように、額内部空洞148は、額緩衝体80により包囲され、額保持部材120の側部は、額内部ポケット82内に配置される。
【0059】
図4に示すように、袋体52の主本体部54に保持部材100を接合しかつ袋体52の額緩衝体80に額保持部材120を接合する状態で、この組合せ部品構造体を基板14に固定することができる。取付フランジ26の対応する取付開口40内に取付片108を挿入して、部品構造体は、基板14に通常取り付けられる。図13A及び図13Bに示すように、対応する取付開口40に取付片108を挿入するとき、複数の取付片108の突起110は、互いに接近する方向(例えば内側)に弾力をもて屈曲する。突起110の突起頭部112を互いに接近する方向に移動させて、取付フランジ26の各取付開口40に取付片108を挿通させることができる。取付開口40内に突起頭部112を挿通させると、自由端の突起110が自身の弾力で外側に移動して初期の位置に復帰し、片開口40周辺で延伸する各隆起リム42の根本部にある取付開口40の周辺部に突起頭部112が係合し、その後、隆起リム42は、取付開口40からの取付片108の離脱を防止する。
【0060】
継続する同様の工程により、基板14の額延伸部28に額保持部材120と額緩衝体80が固定される。額保持部材120の取付片128は、額延伸部28の対応する片開口40内に嵌合される。額延伸部28の対応する取付開口40に取付片128を嵌合するとき、単一突起130が弾力をもって偏向・屈曲するので、取付開口40に突起頭部132を挿通できる。突起頭部132が取付開口40を通過すると、自由端の突起130が自身の弾力により初期の形状に復帰する。このため、突起頭部132は、額延伸部28の隆起リップ43に重複係止され、額保持部材120は、額延伸部28との係止状態に固定される。突起頭部132が隆起楕円形リップ43に係止するので、額延伸部28の取付開口40からの取付片128の離脱を防止することができる。
【0061】
前記のように、取付フランジ26の対応する取付開口40に取付片108を挿入し、その後、各取付開口40周辺の隆起リム42に取付片108を係止すると、袋体52の主本体部54の基礎部60に形成される対向フランジ64に圧縮力が加えられる。対向フランジ64は、保持リム100と取付フランジ26との間に挟持される。対向フランジ64に加えられる保持圧縮力により、対向フランジ64が変形して、対向フランジ64と基板14の取付フランジ26との間全体に流体密封構造が形成される。特に、対向フランジ64に加えられる保持圧縮力により、対向フランジ64の直立リム66が変形され、保持部材100の内側溝118及び外側溝118のあらゆる空隙が直立リム66により充填される。同様に、保持圧縮力により、保持部材100の内側周縁リップ114と外側周縁リップ116は、対向フランジ64の直立リム66に形成される内側溝68と外側溝68内に十分に係合されかつ内側溝68と外側溝68内に押圧される。袋体52を構成する材料の変形可能特性に加えて、対向フランジ64と取付フランジ26、内側溝118及び外側溝118と直立リム66並びに内側周縁リップ114及び外側周縁リップ116と内側溝68及び外側溝68との各重複相互加圧係止構造により、袋体52の主本体部54と基板14の取付フランジ26との間全体に流体密封構造が形成される。
【0062】
同様に、袋体52の額緩衝体80と基板14の取付フランジ26から延伸する額延伸部28との間全体に流体密封構造が形成される。前記のように、額延伸部28の対応する取付開口40内に取付片128を挿入し、その後、額延伸部28の外側の隆起リップ43に突起頭部132を係合して、袋体52の額緩衝体80の額基礎部88に形成される内側延伸フランジ92に圧縮力を加えることができる。このとき、額保持部材120と額延伸部28との間にフランジ92が挟持される。内側延伸フランジ92に加えられる保持圧縮力により、内側延伸フランジ92を変形して、内側延伸フランジ92と額延伸部28との間全体に流体密封構造を形成することができる。特に、保持圧縮力により、内側延伸フランジ92の直立リップ94を変形して、額保持部材120の内側リップ134と周縁外側リップ136との間に形成される溝138のあらゆる空隙を直立リップ94により充填する。同様に、保持圧縮力により、額保持部材120の周縁外側リップ136を直立リップ94に形成される溝96内に十分に係合して、内側延伸フランジ92上に周縁外側リップ136を押圧することができる。袋体52を構成する材料の変形可能特性に加えて、重複相互加圧係止構造により、袋体52の額緩衝体80と基板14の取付フランジ26から延伸する額延伸部28との間全体に流体密封構造が形成される。
【0063】
前記のように、基板14は、膨張開口38を備え、保持部材100は、膨張開口38に合致する位置に配置される膨張開口106を備える。同様に、額延伸部28は、膨張開口48を備え、額保持部材120は、膨張開口48に合致する位置に配置される膨張開口126を備える。保持部材100と額保持部材120を基板14に接合するとき、図4に示すように、膨張開口106,126に接続される隆起円筒140は、取付フランジ26と額延伸部28の対応する膨張開口38,48内に挿通される。保持部材100と額保持部材120を基板14に固定すれば、基板14の各膨張開口38,48に膨張弁150を挿入することができる。膨張弁150は、膨張開口38,48内に嵌合されて、更に保持部材100の膨張開口106と額保持部材120の膨張開口126にそれぞれ係合される。このとき、摩擦嵌合接続又は医療用品質接着剤等の他の適当な手段を利用して、連続する膨張開口38と106及び48と126に膨張弁150を固定することができる。
【0064】
図1〜図10に示す本実施の形態の呼吸マスク10では、通常、双方向弁である膨張弁150は、呼吸マスク10の内部空洞146,148への流動化媒体の導入を許容し、後に、呼吸マスク10から取り外される。最も確実に入手できる流動化媒体は、空気であるが、本発明では、空気への限定を意図しない。流動化媒体に他の気体を使用してもよい。また、流動化媒体は、例えば鉱油若しくは食塩水等の液体、ゲル等の固形物、又は気体、液体若しくは固形媒体の何れかの組み合わせでもよい。更に、流動化媒体として例えば粉末状固形物を固体状態で供給することをも想定する。空気等の気体流動化媒体の処理に適する膨張弁150用の膨張/収縮弁又は双方向性弁の例は、本特許出願人のレスピロニクス社が製造しかつハントケ名義の米国特許第4,913,401号に開示されるが、前記米国特許の全内容を、参照することにより本明細書の一部とする。膨張弁150は、同一の開口又は孔を通じて、内部空洞146,148内に流動化媒体を流入させかつ内部空洞146,148から流動化媒体を流出させることができる。気体流動化媒体を使用するとき、膨張弁150を通じて各内部空洞146,148に異なる膨張圧力を加えられるので、各着用者に合致して呼吸マスク10を注文生産することができる。
【0065】
図11及び図12に示す呼吸マスクの他の実施の形態では、文字「a」を付加する同一の参照符号で同様の部分を示す。本実施の形態は、前記呼吸マスク10と実質的に同一であるが、単一の保持部材100a又は保持「リング」100aを備える。呼吸マスク10aと呼吸マスク10との第1の相違点は、袋体52aの主本体部54aの構造に関連する。袋体52aの主本体部54aは、内部仕切72なしで形成される。この結果、袋体52a、特に、袋体52aの主本体部54aには、連続して環状に延伸する単一の内部ポケット74aが形成される。袋体52aの主本体部54aに単一の内部ポケット74aを形成するので、袋体52aの内部空洞74aの数により保持部材100aを分割する必要がなく、保持部材100aは、単一の環状構造体又は環状部材として設けられる。また、図11に示すように、基板14aの取付フランジ26aの単一の膨張開口38aに合致する単一の膨張開口106aが保持部材100aに形成される。しかしながら、多数の対応する又は合致する膨張開口38a,106aを更に設けてもよい。前記のほか、呼吸マスク10aは、前記呼吸マスク10とほぼ同一であり、呼吸マスク10に関連する前記構造体及び組立体の説明を呼吸マスク10a全体に適用できる。単一の膨張弁150aのみが呼吸マスク10aに必要であることが当業者に明白であろう。
【0066】
図14a〜図15に示す他の実施の形態では、文字「b」を付加する同一の参照符号で同様の部分を示す。呼吸マスク10bでは、複数の内部仕切72b間に延伸する「上部」内ポケット74bを設けずに袋体52bの主本体部54bが形成される。本実施の形態では、図14Aに示すように、複数の内部仕切72b間に延伸する単一のフラップ部材又は膜構造体152が袋体52bの一部として形成される。フラップ部材152は、袋体52bに形成される上部内ポケット74bの代替品となり、袋体52bのU字状断面が上部内ポケット74bにより形成される。従って、複数の内部仕切72b間に延伸するフラップ部材152は、着用者の鼻全体を包囲する薄型フラップ材料を形成すると共に、主本体部54bの「下部」内ポケット74bは、複数の内部仕切72bからほぼ始まり、着用者の顔面の適切な位置に呼吸マスク10bを装着するとき、着用者の口周辺に延伸する連続内部ポケット74bを形成する。図14a及び図14bに示すように、フラップ部材152に密封フラップ78bを設けてもよい。
【0067】
着用者の顔面の適所に呼吸マスク10aを装着するとき、内部仕切72bは、ほぼ着用者の頬骨上又は着用者の頬骨の僅かに下方に通常配置されるので、フラップ部材152は、着用者の鼻の側部に沿って内部仕切72bから延伸し、着用者の鼻の鼻梁を被覆する。図15の破線で示すように、基板14bの一部を除去して、上部内ポケット74bに「切欠」領域を形成してもよい。これにより、呼吸マスク10bは、長手方向のより小さい外形となる。図15の破線でも示すように、取付フランジ26bの内部リム20bから額延伸部28bを直接延伸させてもよい。額延伸部28bは、額緩衝体80bを通常支持する。図14Aに示すように、額緩衝体80bを主本体54bに接合してもよい。別法として、図15に示すように、主本体54bから額緩衝体80bを分離させてもよい。
【0068】
概要であるが、フラップ部材152は、通常、袋体52bの主本体部54bの約頂部三分の一に形成される薄膜材料であり、具体的には、呼吸マスク10bの着用者の鼻を実質的に被覆する大きさに形成される。前記の方法で形成される袋体52bの主本体部54bの底部約三分の二は、前記のように、特に保持部材100bにより基板14b及び取付フランジ26bに固定される。「頂部」又は第1の保持部材102b(図示せず)を省略して、取付フランジ26に袋体52bの主本体部54bを固定する「底部」又は第2の保持部材104bのみを保持部材100bに設けてもよい。図15及び図16に示すように、取付フランジ26bの内部リム20b又は基板14の被覆部24に通常直接固定されるフラップ部材152の内縁は、基板14との間に流体密封構造を形成する。図14Aに示すように、密封フラップ78bは、着用者に接触するフラップ部材152の外縁から延伸して形成される。所望により、フラップ部材152から密封フラップ78bを省略してもよい。更に、第2の保持部材104bの端部で収容凹部144bに係合する取付構造体153が内部仕切72bに形成され、第2の保持部材104bを使用して基板14bの取付フランジ26bに袋体52bを固定すると、袋体52bと取付フランジ26bとの間全体に流体密封構造が形成される。
【0069】
図16〜図20に示すように、呼吸マスク10,10a,10bは、取付帯紐(図示せず)により、着用者の顔面に各々固定される。前記のように、取付帯紐は、呼吸マスク10,10a,10bに取付帯紐を固定するフック160に捲回される。取付帯紐を使用して、着用者の顔面に呼吸マスク10,10a,10bが固定される。着用者の頭部周辺に通常捲回される取付帯紐は、例えばフックループ型接続具により接合される。別法として、フック160により基板14に固定される端部を有する単一の弾性帯紐を使用して、着用者の顔面に呼吸マスク10,10a,10bを固定してもよい。
【0070】
国際公開第00/078383号公報に記載されるカム式フック、同時出願係属中の米国特許出願第10/629,366号(本発明の譲受人に譲渡されかつ参照することにより米国出願の内容を本明細書の一部とする)に開示されるボール及びソケット式フック、又は本明細書に説明する新規なフック160等の種々のフックを使用して、マスクに取付帯紐を固定することができる。
【0071】
呼吸マスク10についてフック160の詳細を便宜上下記に説明するが、呼吸マスク10の僅かな変更に過ぎない呼吸マスク10a,10bにも同様に説明を適用できよう。また、袋体の有無に係らず種々の患者界面体に本明細書に開示する独特のフックを使用できることは、当業者には十分理解できよう。例えば、本発明の趣旨又は範囲から逸脱せずに、呼吸マスクと同様に、鼻カニューレにフックを使用できる。
【0072】
図16〜図18にフック160の第1の実施の形態を示す。前記のように、取付フランジ26の一部として基板14の外面16に形成される係止溝44にフック160が係合される。フック160の支持に使用される係止溝44は、基板14に一体形成されるほぼ円弧状の構造体である。図16に示すように、係止溝44は、円弧状又は湾曲状の調整孔45を備え、調整孔45にフック160の突出構造体を収容する複数の係合孔46が調整孔45の両側に形成され、係止溝44内の所定の位置にフック160を着脱可能に固定することができる。係止溝44は、ほぼ基板14の下側部に沿って配置され、フック160に取り付けられる帯紐は、着用者の両下頬領域に沿い着用者の頭部周辺に捲回される。係止溝44に配置される複数の接触部材47間でかつ細長い円弧状調整孔45の両側に係合孔46が形成される。
【0073】
同様に、フック本体162と、これに取り付けられる係合軸164とを備える二部品構成部材として各フック160が通常構成される。図16に示すように、フック本体162は、複数の接続部材170により通常接続される両側部又は対向側壁166,168を有する通常単一構造体である。接続部材170は、第1の接続部材172と、第1の接続部材172から離間して配置される第2の接続部材174とを通常備え、第1接続部材172と第2の接続部材174の各々は、両側部166,168間に延伸する。また、両側部166,168間に接続される第3の接続部材176にU字状先端部177が設けられ、U字状先端部177に形成される中央開口178に係合軸164が挿通される。下記の通り、第3の接続部材176は、係合軸164を通過する中央軸線Aに沿って通常変形可能である。また、第3の接続部材176の先端部177の両側部及び中央開口178に摘み180が形成され、自分自身又は他人の顔面に呼吸マスク10を装着する人は、摘みを握持することができる。摘み180を把持して、呼吸マスク10の使用者が第2の接続部材174に向って第3の接続部材176を押圧すると、舌片198が収容開口196に係止する係合軸164を中央開口178を通じて外側に延伸させることができる。離間して配置される第1の接続部材172と第2の接続部材174との間に帯紐収容開口182が形成される。帯紐収容開口182に取付帯紐の端部を挿通し、その後、例えば取付帯紐の端部を戻して輪に結んで取付帯紐に固定することにより、帯紐開口182に取付帯紐を固定できる。
【0074】
図17に示すように、係合軸164は、第2の接続部材174に係合される第1の端部、即ち取付端部184と、第2の端部186とを有する。第1の端部184と第2の端部186は、軸体188により接続される。係止溝44の係合孔46に係合される従属係合突起192を備える球状移動止め190が第2の端部186に形成される。前記のように、細長い円弧状の調整孔45が各係止溝44に形成され、調整孔45の両側に係合孔46が設けられる。図16に示すように、各係止溝44の一端に設けられる円形挿入開口194に球状移動止め190が収容される。球状移動止め190の両下側に従属係合突起192が設けられ、本明細書で説明する着脱可能な方法で、従属係合突起192が係合孔46に整合され嵌合される。例えば第1の端部184に形成される弾力をもって偏向可能な複数の舌片198により、第2の接続部材174に形成される収容開口196に係合軸164の第1の端部184が固定される。弾性変形可能な舌片198が収容開口196に係止するので、通常係合軸164に対するフック本体162の軸回転が可能になり、第1の接続部材172と第2の接続部材174との間に形成される帯紐開口182に取り付けられる固定帯紐の方向を調整することができる。
【0075】
呼吸マスク10の使用者は、下方への圧力を摘み180に加えて、係止溝44にフック160を取り付けることができる。下方圧力により、第2の接続部材174に向って第3の接続部材176が押圧されるので、舌片198が収容開口196に係止する係合軸164は、第3の接続部材176の先端部177の中央開口178から更に突出される。係合軸164の突出運動により、中央開口178から延伸され露出される軸部188の長さが増加する。その後、係合軸164の球状移動止め190は、係止溝44の一端に形成されるボール型開口194に挿入される。従属係合突起192と調整孔45とがほぼ同一線上に配置される方向に球状移動止め190を向けて、球状移動止め190及び従属係合突起192をボール型開口194内に挿通できる。調整孔45内に係合軸164を挿入すると、球状移動止め190の従属係合突起192が調整孔45の2つの対向係合孔46に係合する位置に係合軸164を回転できる間隙が形成される。前記間隙を形成するため、呼吸マスク10の使用者が摘み180に下方への圧力を更に加えて、第3の接続部材176の中央開口178から係合軸164を更に外側に延伸させ、選択された対向係合孔46の上方に従属係合突起192を配置できる。その後、フック本体162を回転して、調整孔45内で係合軸164を回転する。係合軸164が回転するとき、選択された係合孔46に従属係合突起192が整合するまで、球状移動止め190及び従属係合突起192を回転することができる。その後、使用者が摘み180への圧力を解除すると、第3の接続部材176を自身の弾力により実質的に初期の位置に復帰することができる。このとき、第3の接続部材176の先端部177が係止溝44の外面に接触し、第3の接続部材176の中央開口178内に係合軸164が軸方向に引込む。この係合軸164の収縮運動により、球状移動止め190の従属係合突起192が係止溝44の係合孔46に係合し、係止溝44の特定の位置にフック本体162を固定することができる。
【0076】
第3の接続部材176の先端部177は、偏向される板ばねと同様の原理で動作して、係止溝44のフック160の位置を調整でき、圧縮される摘み180の圧力を開放すると、係止溝44に対してフック160の位置を固定できる。更に、係止溝44の外面に接触する状態の第3の接続部材176の先端部177により、係止溝44の外面に押圧力が加えられ、使用者が再び摘み180に下方への押圧力を加えるまで、係合孔46からの従属係合突起192の分離が阻止される。係止溝44の異なる位置にフック160を移動するとき、使用者は、再び下方への圧力を摘み180に加えて、再び中央開口178から係合軸164を外側に突出させることにより、接触部材47の湾曲接触面Sとの接触から球状移動止め190が解除され、従属係合突起192が係合孔46から離間し、フック本体162の操作により、調整孔45の異なる位置に係合軸164を移動することができる。係止溝44の所望の位置に係合軸164を配置して、摘み180への圧力を解除すると、新たな一対の係合孔46に従属係合突起192が係止され、新たに係合する係合孔46付近で球状移動止め190が接触部材47に係合する。第3の接続部材176の先端部177は、再び係止溝44の外面に接触して、係止溝44に押圧力を加えるので、接触部材47からの球状移動止め190の離脱特に、係合孔46からの従属係合突起192の離脱を阻止することができる。
【0077】
図19及び図20に示すフックの別の実施の形態では、文字「a」を付加する同一の参照符号で同様の箇所を示す。本実施の形態では、フック160aは、本明細書で説明する呼吸マスク10,10a,10bの何れかの実施の形態に使用できるが、便宜上呼吸マスク10に適用する例を以下説明する。図19に示すように、フック160aは、フック本体162aと、フック本体162aに係合される係合軸164aとを備える2ピースフックとして通常構成される。フック本体162aは、通常、複数の接続部材170aにより接続される両側部、即ち対向側壁166a,168aを有する単一構造体である。接続部材170aは、第1の接続部材172aと、第1の接続部材172aから離間して配置される第2の接続部材174aとを通常備え、両側部166aと168aとの間に第1の接続部材172aと第2の接続部材174aが延伸する。また、両側部166aと168aとの間に第3の接続部材176aが接続され、係合軸164aを挿通する中央開口178aが第3の接続部材176aの先端177aに形成される。前記帯紐開口182と同様に、互いに離間して配置される第1の接続部材172aと第2の接続部材174aとの間に帯紐収容開口182aが形成される。
【0078】
本実施の形態のフック160aでは、第3の接続部材176aによりフック本体162aの両側部166a,168aが形成される。図19及び図20に示すように、第3の接続部材176aの両側部166a,168aは、係合軸164aを配置する中央軸Aに向かって全体的に内側に傾斜され、第3の接続部材176aの両側部166a,168aに印加される内側押圧力を中央軸Aに向けて偏向することができる。また、典型的には、第3の接続部材176aを変形させて、第3の接続部材176aの両側部166a,168bを中央軸Aに対して偏向させることができる。第3の接続部材176の先端部177と同様に、中央軸Aに沿って軸方向に変形する先端部177aが第3の接続部材176aに設けられる。図19に示すように、本実施の形態のフック160aでは、両側部166a,168aに形成される摘み180aが第3の接続部材176aに設けられ、呼吸マスク10の使用者が摘み180aを握持して、係止溝44に対するフック160aの位置を調整することができる。摘み180aを把持して、呼吸マスク10の使用者が、第3の接続部材176aの両側部166a,168aに押圧力を加えて、両側部166a,168aを互いに接近する方向に内側に屈折・変形させることができる。一定角度傾斜する両側部166a,168aに内側「締付」力を加えると、第2の接続部材174aに向かって第3の接続部材176aの先端部177aが凹み又は移動し、先端部177aの中央開口178aを通じて係合軸164aが更に長く突出する。
【0079】
図20に示すように、係合軸164aは、第2の接続部材174aに係合する第1の端部184aと、第2の端部186aとを有する。前記方法により、係合軸164aの第1の端部184aと第2の端部186aは、連結軸188aにより接続される。本実施の形態のフック160aの傾斜球状移動止め190aが第2の端部186aに形成される。傾斜球状移動止め190aは、係止溝44の係合孔46に係合する従属係合突起192aを備える。傾斜球状移動止め190aを球状移動止め190と同様の球状構造体に置換してもよい。傾斜球状移動止め190aの両下側部に従属係合突起192aが設けられ、着脱可能な前記方法により、係合孔46に従属係合突起192aが整合嵌合する。弾性偏向可能に第1の端部184aに形成される舌片198aにより、係合軸164aの第1の端部184aは、前記とほぼ同一の方法で第2の接続部材174aに形成される収容開口196a内に固定され、係合軸164aに対してフック本体162aも回転することができる。
【0080】
呼吸マスク10の使用者は、係止溝44にフック160aを取り付けて、摘み180aに内側「押圧(締付」力を加えることができる。この内側押圧力により、第3の接続部材176aの傾斜する両側部166a,168aが互いに接近する方向に移動し、同時に、第2の接続部材174aに向かい先端部177aが押圧される。その後、第3の接続部材176aの先端部177aの中央開口178aから係合軸164aが更に長く延伸し露出する。先端部177aの押下げ運動により、中央開口178aから露出する軸部188aの全長を増大することができる。その後、係止溝44の一端に形成されるボール型(又は同様の形状を有する)開口194に係合軸164aの傾斜球状移動止め190aが挿入される。通常、調整孔45とをほぼ同一線上に配置される従属係合突起192aに対し傾斜球状移動止め190aを整合して配置し、傾斜球状移動止め190aと従属係合突起192aを開口194内に挿通できる。従属係合突起192aを調整孔45内に挿入した後、第3の接続部材16aの両側部166a,168aに「押圧」力を加えると、対向係合孔46と先端部177aとの間に再び付加的な間隙を形成することができる。これにより、調整孔45の両側部に配置される対向する2つの係合孔46に傾斜球状移動止め190aの従属係合突起192aが係合する位置にフック本体162aと係合軸164aを回転することができる。その後、使用者が摘み180aへの押圧力を解除すると、自身の弾力により第3の接続部材176aをほぼ初期の位置に復帰することができる。このとき、第3の接続部材176aの先端部177aが係止溝44の外面に接触し、第3の接続部材176aの弾力により、第3の接続部材176aの先端部177aの中央開口178a内に係合軸164aが軸方向に引込められる。係合軸164aの収縮運動により、傾斜球状移動止め190aの従属係合突起192aが係止溝44の係合孔46に係合して、係止溝44の特定の位置にフック本体162aが固定される。
【0081】
係止溝44の外面に接触する状態にある第3の接続部材176aの先端部177aは、第3の接続部材176aの弾力により、係止溝44の外面に反発力を加えるので、使用者が再び摘み180aに「押圧」力を加えるまで、係合孔46からの従属係合突起192aの離脱を阻止することができる。係止溝44の異なる位置にフック本体162aを移動するとき、使用者は、再び内側「押圧」力を摘み180aに加えて、再び第3の接続部材176aの先端部177aの中央開口178aから係合軸164aを更に露出させる。この動作により、傾斜球状移動止め190aと接触部材47との接触が解除され、係合孔46から従属係合突起192aが開放される。その後、フック本体162aと係合軸164aを調整孔45の異なる位置に移動できる。係止溝44の所望の位置に係合軸164aを配置して、摘み180から「押圧」力を除去すると、新たな一対の対向係合孔46に従属係合突起192aが係合され、新たに係合される係合孔46付近で傾斜球状移動止め190aが接触部材47に係合される。第3の接続部材176aの先端部177aは、再び係止溝44の外面に接触して係止溝44に反発力を加え、係合孔46からの従属係合突起192aの離脱を阻止する。本明細書で説明する特定の呼吸マスクについてフック160,160aを説明するが、本発明の趣旨又は範囲から逸脱せずに、他の多くの呼吸マスクにフック160,160aを使用できることが当業者に理解されよう。
【0082】
図21〜図29に示す他の実施の形態では、文字「c」を付加する同一の参照符号で同様の部分を示す。呼吸マスク10cにより着用者の鼻気道流路のみを被覆する点で、本実施の形態の呼吸マスク10cは、本明細書の前記実施の形態と相違する。従って、人の鼻を包囲する大きさと形状で呼吸マスク10cが形成される。呼吸マスク10cは、前記呼吸マスク10と全体的に同一の構成部材を備える。従って、図23に示すように、呼吸マスク10cは、全体的に剛性のある支持構造体又は基体12cと、基体12cに取り付けられる膨張可能な縁当又は緩衝体50cとを通常備える。保持部材100c(図26)により基体12cに膨張可能な縁当50cを取り付けて、縁当50cと基体12cとの間全体に流体密封構造を形成することができる。
【0083】
前記基体12と全体的に同様の構成を有する基体12cは、外表面又は外面16cと、縁当50cを固定する内面18cとを有する基板14cを備える。基体12cの内面18cに通常形成される内側環状(周縁延伸)リップ又はリム20cと外側環状(周縁延伸)リップ又はリム22cは、内面18cから外部に突出して、縁当50cの内側基礎領域と外側基礎領域を固定する内側壁及び外側壁として作用する。鼻全体を被覆する呼吸マスク10cの形状に形成される基体12cにホース又は導管等の外部装置が接続され、外部装置は、例えば、麻酔薬を含む空気流、酸素供給源又は持続気道陽圧装置に呼吸マスク10cを接続する。
【0084】
基板14cの外側部16cから外側に突出する球状の鼻被覆部24cが基板14cに形成され、着用者の鼻を収容しかつ被覆する大きさと構造に鼻被覆部24c全体を形成して、呼吸マスク10cにより着用者の鼻気道流路を包囲することができる。被覆部24cの周囲に放射状に配置される取付フランジ26cが基板14cに形成される。取付フランジ26に縁当50を取り付ける前記方法とほぼ同一の方法により、基板14cの内面18cに形成される取付フランジ26cに縁当50cを固定することができる。特に、「環状」保持部材100cを使用して、取付フランジ26cに縁当50cを固定し、縁当50cと取付フランジ26cとの間全体に流体密封構造を形成することができる。単一基板14cの一部として被覆部24cと取付フランジ26cを通常一体形成するが、前記のように、個別の部材でもよい。本明細書中に説明する材料と同一の材料で基板14cを形成できる。
【0085】
また、取付フランジ26cの頂端から延伸する額延伸部28cが通常基板14cに設けられる。しかしながら、呼吸マスク10cに単数又は複数の固定帯紐を取り付ける取付構造体として額延伸部28cを使用して、固定帯紐により着用者の顔面に呼吸マスク10cを固定できる。本明細書に説明する前記方法により、基板14cの一部として通常額延伸部28cを一体形成するが、基板14cに取り付ける別構造体として設けてもよい。図21及び図22に示すように、呼吸マスク10cに単数又は複数の取付帯紐又は固定帯紐を取り付ける2つの縦方向孔200が額延伸部28cに形成され、本明細書に説明する前記方法により、縦方向孔200を使用して、着用者の顔面に呼吸マスク10cを取り付けることができる。額延伸部29cは、前記額緩衝体80と同様の額緩衝構造体を支持する。
【0086】
大きい中央開口30cが通常被覆部24cに形成される。また、呼吸マスク10cと他の装置とを接続する主界面位置又は適応部として中央開口30cが設けられる。従って、酸素及び/若しくは麻酔薬を含む空気流を呼吸マスク10に供給する供給導管又は持続気道陽圧装置に接続される陽空気圧供給導管が中央開口30cに接続される。また、供給導管への接続に使用する導管又は取付装置を中央開口30cに取り付けてもよい。前記取付装置の例は、図示の90度エルボ管202である。被覆部24cは、人顔面の鼻を包囲する形状の基板14cの内面18cに凹状内部空洞又は凹部32cを全体的に形成する。従って、基板14cの取付フランジ26cに固定される縁当50cにより、着用者の鼻のほぼ周辺部全体が包囲される。また、図23に示すように、保持部材100cの側部から延伸する取付片108cを収容する単数又は複数のタブ収容開口40cが取付フランジ26cに形成される。取付片108cと取付開口40cとの係合構造は、本明細書中に説明する前記係合構造とほぼ同一である。
【0087】
縁当50cを膨張及び収縮する変形構造を有する呼吸マスク10cを図26に示す。図26に示すように、入口/出口開口204と弁開口206が呼吸マスク10cの取付フランジ26cに形成される。流動化媒体を縁当50cに導入するのに使用される入口/出口弁208が弁開口206に取り付けられる。図27に示すように、縁当50cは、単一の内部空洞146cを通常備え、取付フランジ26cに設けられる2つの開口、即ち、入口/出口開口204及び弁開口206は、十分な量の流動化媒体を縁当50cに供給しかつ縁当50cから排出することができる。本明細書では、入口/出口弁208を更に詳細に説明する。多数の内部空洞146を有する呼吸マスク10の前記構造を呼吸マスク10cに適用することができる。
【0088】
前記呼吸マスク10aと同様に、流動化媒体を充填して縁当50cを膨張又は充填する単一の連続内部空洞又はポケット74cが呼吸マスク10cに通常設けられる。呼吸マスク10aと同様に、呼吸マスク10cは、通常内部仕切72なしで形成される主本体部54cを有する袋体52cを備える。この結果、袋体52c、特に、袋体52cの主本体部54cには、単一かつ連続して環状に延伸する内部ポケット74c(図26)が形成される。従って、袋体52cは、袋体52aの前記構造とほぼ同一の構造に形成されるが、鼻被覆緩衝体に適する大きさと形状を有する。また、図21〜図29の様々な断面図から明らかなように、主本体部54cの基礎部60cは、緩衝部62cより厚い壁厚を有するが、呼吸マスク10cの複数の基礎部60c間に若干の先細り領域が設けられる。
【0089】
袋体52cは、「環状」保持部材100cを介して基板14の取付フランジ26cに通常係合される。袋体52cの主本体部54cに単一の内部ポケット74cを通常設けるので、保持部材100cは、単一の環体構造又は環体部材として分割されずに設けられる。また、図23に示すように、入口/出口開口204と基板14の取付フランジ26cの弁開口206に合致する2つの開口、即ち、入口/出口開口210と弁開口212が保持部材100cに形成される。基板14に保持部材100cを取り付けるとき、取付フランジ26cの入口/出口開口204を通じて延伸する延伸円筒部214が入口/出口開口210に設けられる。
【0090】
呼吸マスク10cの組立方法は、呼吸マスク10の前記組立工程とほぼ同様であるが、入口/出口弁208に関する複数の変更点がある。まず、袋体52cに保持部材100cを接合する前に、保持部材100cに入口/出口弁208が取り付けられる。入口/出口弁208は、プラグ部材216とハウジング部218を通常備える2ピース弁構造体である。図24に示すように、プラグ部材216は、本体部220の両側部に2つの横方向孔222が形成される本体部220を通常備える。プラグ部材216は、弾性変形可能な円錐形状部226により本体部220に接続される末端片224を更に備える。プラグ部材216は、通常、本体部220、末端片224及び円錐形状部226を一体にモールド成型される樹脂材料の単一構造体である。通常、プラグ部材216は、プラグ部材216、特に、円錐形一部226に機械的ばねにと同様の弾性を付与するシリコーン又は熱可塑性樹脂エラストマ等の弾性材料により形成される。従って、円錐形状部226の代わりに、プラグ部材216に取り付けられる金属ばねを有する硬質樹脂材料を成型して、プラグ部材216を形成してもよい。
【0091】
円錐形状部226は、本体部220に軸方向の力が加わるとき、軸方向に円錐形状部226が変形する細い断面を通常有する。袋体52cに収容又は挿入される保持部材100cの「内」側部にハウジング部218が固定される。ハウジング部218は、係合溝228を形成する薄壁ハウジング構造を有し、組立時に、袋体52cに取り付けられる「内」側部又は保持部材100cから延伸する隆起U字状リップ又はリム230が係合溝228に取り付けられる。摩擦嵌合/スナップ嵌合又は適切な医療用品質の接着剤を使用して隆起リップ230は、係合溝228に係合固定される。プラグ部216の末端片224を収容する開口232(図25)が更にハウジング部218に形成される。摩擦嵌合法/スナップ嵌合法により、ハウジング部218の開口232に末端片224が係合される。
【0092】
図28に示すように、係合溝228により保持部材100cの隆起リップ230にハウジング部218を接合して、保持部材100cに入口/出口弁208が取り付けられる。その後、保持部材100cの弁開口212にプラグ部材216が挿入され、ハウジング218の対応する係合開口232に末端片224が挿入される。入口/出口弁208は、保持部材100c上に支持され、保持部材100cは、袋体52cに接合される。袋体52cの内部ポケット74cに収容される入口/出口弁208のハウジング部218と共に、袋体52cに形成されるほぼU字状断面部に保持部材100cを装着して、袋体52cに保持部材100cを接合することができる。取付片108cは、袋体52cから外側に向って保持部材100cから突出する。図26に示すように、袋体52cに保持部材100cを挿入するとき、対向フランジ64cは、保持部材100cの周辺を包囲し、保持部材100cの内側周縁リップ114cと外側周縁リップ116cにより形成される溝118cに対向フランジ64cの直立リップ66cが係合する。また、フランジ64cの直立リップ66cに形成される溝68cに保持部材100cの内側周縁リップ114cと外側周縁リップ116cを同様に係合して、本明細書の前記方法で、袋体52cの保持部材100cと主本体部54cとが重複係止される。本明細書の前記方法により、保持部材100cに袋体52cを接合した部品構造体を基板14cの取付フランジ26cに一体に接合して、呼吸マスク10cの組立体を完成できる。
【0093】
図29A及び図29Bに示すように、膨張/収縮弁208の操作により、保持部材100c及びハウジング部218の入口/開口210から延伸する円筒部214に形成される入口/出口通路234を選択的に遮断することができる。図29Aに示す膨張/収縮弁208の閉弁位置では、図29A及び図29Bに断面を示さないが、本体部220は、袋体52c及び基板14cにより形成される内部空洞146c内に流入する流動化媒体流(矢印で示す)を遮断する。取付フランジ26cと保持部材100cとの間で中間空洞236に横方向孔222が形成され、膨張/収縮弁208の閉弁位置では、本体部220により流動化媒体の流入を遮断できる。図29Bに示す膨張/収縮弁208の開弁位置では、流動化媒体は、内部空洞146cに流入しかつ内部空洞146cから流出できる。本体部220に矢印Xの方向の圧力を加えると、膨張/収縮弁208が開弁する。軸方向圧力により、円錐形状部226が軸方向に圧縮され、本体部220の横方向孔222が入口/出口通路234に整合する。その後、流動化媒体は、内部空洞146cに流入し、更に、入口/出口通路232を通じて内部空洞146cから流出する。入口/出口通路234により比較的大きい流路と本体部220の比較的大きい横方向孔222とを形成するので、膨張/収縮弁208は、完全に気体の流動化媒体に加えて、鉱油、食塩水、高粘着性ゲル等の液体流動化媒体又は液体/気体の組み合わせ流動化媒体の充填/排出に適する。例えば粉末状等の固形流動化媒体も同様に使用できる。本体部220から軸方向圧力を解除すると、円錐形状部226は、自身の弾性によりほぼ初期状態に復帰して、本体部220の横方向孔222は、入口/出口通路232に整合しない状態になる。図29A及び図29Bに示すように、保持部材100cの入口/出口開口212から延伸する円筒部214は、基板14の外面16から外側に十分に延伸し、ホース等の流動化媒体用の供給導管を円筒部214に接続できる。膨張弁150の代わりに、本明細書で説明する呼吸マスク10,10a,10bの何れかに入口/出口弁208の構造を適用できる。
【0094】
更に、本明細書で説明する呼吸マスク10,10a,10bの何れかの実施の形態による縁当50に気体流動化媒体を充填するとき、取付フランジ26と保持部材100を通じて延伸する逃し弁(図示せず)を設けて、逃し弁により内部空洞146の過膨張を防止し、所望により各内部空洞146内での膨張圧力を最大限界値を設定することができる。膨張弁150に代えて又は膨張弁150の一部として、各内部空洞146に前記逃し弁を通常設けてもよい。
【0095】
最後に、図13A及び図13Bについて説明した取付片108の別の実施の形態を図13C及び図13Dに示す。図13Cに示すように、基板14の取付フランジ26の取付開口40に係合されるほぼ円錐形で単一の突起頭部112aが取付片108aに設けられる。突起頭部112aを開口40内に挿入するとき、取付開口40を密封する密封フラップ238が突起頭部112aに更に設けられる。図13Cに示すように、取付開口40から延伸する単一又は複数の溝又は間隙240を取付フランジ26に形成して、取付フランジ26に十分な撓みを付与し、呼吸マスク10の組立時に、取付開口40に突起頭部112aを挿通できる。図13Dに示す取付片108bの更なる変形例は、取付フランジ26の取付開口40に係合するほぼ円錐形突起頭部112bを有する。図13Dに示す取付フランジ26は、図13A及び図13Bに示す隆起タブリム42内に設けられる追加隆起タブリム242に突起頭部112bが係合される。また、図13Dに示すように、取付開口40から延伸する単一又は複数の溝又は間隙240を取付フランジ26に形成して、取付フランジ26に十分な撓みを与え、呼吸マスク10の組立時に、追加隆起タブリム242を自身の弾性で拡張させて、取付開口40に突起頭部112bを挿通・嵌合できる。隆起タブリム42に密封プラグ244を挿入して、取付開口40を更に密封することができる。所望により、突起頭部112b及びタブリム242に密封プラグ244をスナップ嵌合してもよい。
【0096】
現在最も実用的かつ好適と思われる実施の形態を図示して詳記したが、前記記載は単に説明の便宜に過ぎず、本発明を開示した実施の形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内に該当すると共に、特許請求の範囲と同趣旨の変更態様並びに同等の装置を包含すること企図する。更に、本発明の範囲から逸脱することなく、一実施の形態の特徴を他の実施の形態の何れかの特徴に組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明による呼吸マスクの口鼻実施の形態の正面斜視図
【図2】図1の呼吸マスクの第2の背面斜視図
【図3】図1の呼吸マスクの斜視図
【図4】図1の呼吸マスクの分解斜視図
【図5】図1の呼吸マスクの第2の分解斜視図
【図6】図1の呼吸マスクの膨張緩衝体を形成する袋体の背面図
【図7】図6に示す袋体の斜視図
【図8】図1の呼吸マスクを示す図1の8−8線に沿う断面図
【図9】図1の呼吸マスクを示す図1の9−9線に沿う断面図
【図10】図1の呼吸マスクの追加の特徴を示す図1の10−10線に沿う第2の断面図
【図11】図1の呼吸マスクの他の実施の形態の分解斜視図
【図12】袋体とマスクの保持部材のみを示す図11の呼吸マスクの分解斜視図
【図13A】図1の呼吸マスクの基板と保持部材との機械的取付装置を示す部分断面斜視図
【図13B】機械的取付装置の別の実施の形態を示す部分断面斜視図
【図13C】機械的取付装置の他の実施の形態を示す部分断面斜視図
【図13D】機械的取付装置の実施の形態を示す部分断面斜視図
【図14a】呼吸マスクの更なる実施の形態に使用する取付額緩衝体を有する膨張可能な縁当の背面図
【図14b】膨張可能な縁当を示す図14aの14b−14b線に沿う部分断面斜視図
【図15】図1の呼吸マスクの実施の形態を示す分解斜視図
【図16】マスクに取り付けられる帯紐を固定するフックを示す図1の呼吸マスクの部分斜視図
【図17】呼吸マスクから取り外したフックを示す図16のフックの分解斜視図
【図18】呼吸マスクに接続されるフックを有する図16の呼吸マスクの一部を示す斜視図
【図19】他の実施の形態によるフックの斜視図
【図20】図19のフックの断面図
【図21】呼吸マスクの鼻を被覆する実施の形態の斜視図
【図22】マスクの着用者に接触させる側から見た図21の呼吸マスクの斜視図
【図23】マスクの側面から見た図21の呼吸マスクの斜視図
【図24】図21の呼吸マスクの保持部材と膨張/収縮弁の分解斜視図
【図25】図24に示す膨張/収縮弁の分解斜視図
【図26】図23とは反対側から見た膨張/収縮弁を取り付けた図21の呼吸マスクの分解斜視図
【図27】図21の呼吸マスクを示す図22の27−27線に沿う断面図
【図28】図21の呼吸マスクの部分断面側面図
【図29A】マスクの閉鎖位置の膨張/収縮弁を示す図21の呼吸マスクの部分断面図
【図29B】開放位置の膨張/収縮弁を示す図29Aの呼吸マスクの部分断面図
【符号の説明】
【0098】
(10,10a,10b,10c)・・呼吸マスク、 (14,14a,14b,14c)・・基板、 (28,28a,28b,28c)・・額延伸部、 (52,52a,52b,52c)・・袋体、 (60,60a,60b,60c)・・基礎部、 (62,62a,62b,62c)・・緩衝部、 (72,72b)・・内部仕切、 (74,74a,74b,74c)・・内部空洞、 (78,78b)・・密封フラップ、 (100,100a,100b,100c)・・保持部材、 (120,120a,120b,120c)・・額保持部材、 (150,150a,208)・・弁、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体供給源に接続される基板(14,14a,14b,14c)と、
基板(14,14a,14b,14c)に固定されかつ基板(14,14a,14b,14c)との間全体に流体密封構造を形成する袋体(52,52a,52b,52c)とを備え、
袋体(52,52a,52b,52c)は、流動化媒体を収容する少なくとも1つの内部空洞を基板(14,14a,14b,14c)と共に形成し、
袋体(52,52a,52b,52c)に流動化媒体を充填して、弾性緩衝体を形成することを特徴とする呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項2】
袋体(52,52a,52b,52c)は、基礎部(60,60a,60b,60c)と、緩衝部(62,62a,62b,62c)とを有しかつほぼU字状断面に形成される単一の本体を備え、
基礎部(60,60a,60b,60c)は、緩衝部(62,62a,62b,62c)より厚い壁厚を有する請求項1に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項3】
保持部材により基板に袋体を固定した請求項1に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項4】
基板に保持部材を機械的に係合又は接着した請求項3に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項5】
基板(14,14a,14b,14c)及び袋体(52,52a,52b,52c)により形成される内部空洞(74,74a,74b,74c)の数に応じて、保持部材(100,100a,100b,100c)を分割した請求項3に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項6】
袋体(52,52a,52b,52c)は、基礎部(60,60a,60b,60c)と、緩衝部(62,62a,62b,62c)とを有しかつほぼU字状断面に形成される単一の本体を備え、
保持部材(100,100a,100b,100c)と基板(14,14a,14b,14c)との間に基礎部(60,60a,60b,60c)の少なくとも一部を挟持し、保持部材(100,100a,100b,100c)と基板(14,14a,14b,14c)との間全体に流体密封構造を形成する請求項3に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項7】
袋体(52,52a,52b,52c)は、基礎部(60,60a,60b,60c)と、緩衝部(62,62a,62b,62c)とを有しかつほぼU字状断面に形成される単一の本体を備え、
基礎部(60,60a,60b,60c)の少なくとも一部を基板(14,14a,14b,14c)に固定し、基礎部(60,60a,60b,60c)と基板(14,14a,14b,14c)との間全体に流体密封構造を形成する請求項1に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項8】
袋体(52,52b)に少なくとも1つの内部仕切を設けて、基板(14,14b)に複数の内部空洞(74,74b)を形成した請求項1に記載の呼吸マスク(10,10b)。
【請求項9】
少なくとも1つの内部仕切(72,72b)は、複数の内部空洞(74,74b)間の流体を連絡する請求項8に記載の呼吸マスク(10,10b)。
【請求項10】
不規則な壁厚を袋体(52,52a,52b,52c)に設けた請求項1に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項11】
基板(14,14a,14b,14c)に額延伸部(28,28a,28b,28c)を設け、
額延伸部(28,28a,28b,28c)を包囲して、袋体(52,52a,52b,52c)を形成した請求項1に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項12】
額保持部材(120,120a,120b,120c)により、額延伸部(28,28a,28b,28c)に袋体(52,52a,52b,52c)を固定した請求項11に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項13】
少なくとも1つの内部空洞(74,74a,74c)に接続されかつ少なくとも1つの内部空洞(74,74a,74c)に流動化媒体を充填する弁(150,150a,208)を更に設けた請求項1に記載の呼吸マスク(10,10a,10c)。
【請求項14】
マスク着用者の皮膚を密封する密封フラップ(78,78b)を袋体(52,52a,52b,52c)に設けた請求項1に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項15】
気体供給源に接続される基板(14,14a,14b,14c)と、
保持部材(100,100a,100b,100c)と、
保持部材(100,100a,100b,100c)により、基板(14,14a,14b,14c)に固定される袋体(52,52a,52b,52c)とを備え、
保持部材(100,100a,100b,100c)は、基板(14,14a,14b,14c)に袋体(52,52a,52b,52c)を固定して、袋体(52,52a,52b,52c)と基板(14,14a,14b,14c)との間全体に流体密封構造を形成し、
袋体(52,52a,52b,52c)は、流動化媒体を収容する少なくとも1つの内部空洞(74,74a,74b,74c)を基板(14,14a,14b,14c)と共に形成し、
袋体(52,52a,52b,52c)に流動化媒体を充填して、弾性緩衝体を形成することを特徴とする呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項16】
基板(14,14a,14b,14c)に保持部材(100,100a,100b,100c)を機械的に係合又は接着した請求項15に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項17】
袋体(52,52a,52b,52c)は、基礎部(60,60a,60b,60c)と、緩衝部(62,62a,62b,62c)とを有しかつほぼU字状断面に形成される単一の本体を備え、
基礎部(60,60a,60b,60c)は、緩衝部(62,62a,62b,62c)より厚い壁厚を有する請求項15に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項18】
袋体(52,52a,52b,52c)は、基礎部(60,60a,60b,60c)と、緩衝部(62,62a,62b,62c)とを有しかつほぼU字状断面に形成される単一の本体を備え、
保持部材(100,100a,100b,100c)と基板(14,14a,14b,14c)との間に基礎部(60,60a,60b,60c)の少なくとも一部を挟持し、保持部材(100,100a,100b,100c)と基板(14,14a,14b,14c)との間全体に流体密封構造を形成する請求項15に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項19】
袋体(52,52a,52b,52c)に少なくとも1つの内部仕切を設けて、基板(14,14a,14b,14c)に複数の内部空洞(74,74a,74b,74c)を形成する請求項15に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項20】
基板(14,14a,14b,14c)に額延伸部(28,28a,28b,28c)を設け、
額延伸部(28,28a,28b,28c)を包囲して、袋体(52,52a,52b,52c)を形成した請求項15に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項21】
不規則な壁厚を袋体(52,52a,52b,52c)に設けた請求項15に記載の呼吸マスク(10,10a,10b,10c)。
【請求項22】
基板(14,14a,14b)に少なくとも1つの係止溝(44,44a,44b)を更に設け、
呼吸マスク(10,10a,10b)は、係止溝(44,44a,44b)に係合する少なくとも1つのフック(160,160a)を更に備え、フック(160,160a)は、フック本体(162,162a)と、係合軸(164,164a)とを備え、
フック本体(162,162a)は、係合軸(164,164a)を付勢して、少なくとも1つの係合孔(46,46a,46b)に係合させる請求項15に記載の呼吸マスク(10,10a,10b)。
【請求項23】
ほぼU字状断面に形成される単一の袋体本体を備え、
袋体本体(54,54a,54b,54c)は、ほぼU字状断面の不規則な壁厚を有することを特徴とする呼吸マスク(10,10a10b,10c)の袋体(52,52a,52b,52c)。
【請求項24】
袋体本体(54,54a,54b,54c)は、ほぼU字状断面に形成される基礎部(60,60a,60b,60c)と、緩衝部(62,62a,62b,62c)とを備え、
基礎部(60,60a,60b,60c)は、呼吸マスク(10,10a,10b,10c)の基板(14,14a,14b,14c)に袋体(52,52a,52b,52c)を取り付ける対向フランジ(64,64a,64b,64c)を備える請求項23に記載の袋体(52,52a,52b,52c)。
【請求項25】
基礎部(60,60a,60b,60c)は、緩衝部(62,62a,62b,62c)より厚い壁厚を有する請求項24に記載の袋体(52,52a,52b,52c)。
【請求項26】
呼吸マスクの基板(14,14a,14b,14c)から延伸する額延伸部(28,28a,28b,28c)を袋体本体(54,54a,54b,54c)により包囲した請求項24に記載の袋体(52,52a,52b,52c)。
【請求項27】
袋体本体(54,54b)に少なくとも1つの内部仕切(72,72b)を設けて、袋体本体(54,54b)に複数の内部空洞(74,74b)を形成した請求項23に記載の袋体(52,52a,52b,52c)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29A】
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【図29B】
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【公表番号】特表2009−515672(P2009−515672A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541462(P2008−541462)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【国際出願番号】PCT/US2006/060907
【国際公開番号】WO2007/059504
【国際公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【出願人】(505338497)アールアイシー・インベストメンツ・エルエルシー (81)