説明

呼吸器システム用コネクタ

【課題】本発明は、呼吸換気システムにおける患者インタフェースと1つまたは複数の流体用導管との間の流路を接続するための呼吸器用換気コネクタに関する。
【解決手段】コネクタは第1と第2の、相対向する部分本体を有し、これが合体して、第1のポートと、第2のポートと、第1のポートと第2のポートとの間の流体連通のための内部流路と、を有するコネクタ本体を画定する。各部分本体はそれぞれ第1と第2の部分差込口とを有し、これらは使用時には第1のポートの周りに直立した円周状の差込口構造を形成するように配置されている。差込口構造は、ポートの直径よりも大きな内径を有し、使用時にはチューブ状の流体導管をその差込口内部に受容して第1のポートと連通させるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は呼吸器システム用コネクタに関し、より具体的には、これに限定するものではないが、患者インタフェースと送流装置との間の流路の接続用コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸流または呼吸換気システムは一般的に、マスクなどの患者インタフェースへの流れを制御または管理する1つまたは複数の装置と、患者インタフェースとの往復の流路を提供する一連のダクトとを備えている。装置とその間に設けられた流れ接続部の特徴は、行われる換気の種類または方法に依存して変わる。
【0003】
図1に、持続的気道陽圧法(CPAP)システムのためのコネクタ2が示されている。このコネクタには、患者マスクへ接続するための第1の組のポート3と第2の組のポート4とがあり、第2の組のポート4はコネクタ2内の内部チャネルを介して第1の組のポート3と流体連通している。使用時にはチューブ端がポート4の差込口構造5の上に押し込まれ、チューブ(図示せず)を介してマスクと流体連通する。
【0004】
コネクタ2の内部構造が複雑なために、コネクタは2つの個別部品として製造されて、線6に沿う対向面で結合されるようになっている。しかし個々の部品を射出成形で製造すると、挿入口構造5の付近でそれぞれの部品が歪んでしまうことが多いことが分かった。この歪みは、部品の冷却時、特にモールド工具から部品のパーツを射出する際に発生する可能性がある。
【0005】
図2は、相対向する歪んだ部品パーツ上での差込口構造5同士の接続の様子を誇張して示したものである。部品パーツの変形ないしは精度の悪い成形が、部品の差込口半片同士の接合部6に裂け目7をもたらす可能性がある。
【0006】
このような製造欠陥によりコネクタ形成が妨げられない限り、発明者はチューブの接続時に圧縮力Aがチューブから差込口に掛かるようにした。これにより差込口内部に内部応力が生じ、変形した差込口半体の離間した端部同士が押し付けられる。圧縮力はチューブと差込口5がピタッとはまるために必要である。その後、この圧縮力は応力破壊を起こすのに十分な大きさであり、結果として使用中にコネクタの破損をもたらす可能性のあることが分かってきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
換気システムは生命を左右する状況で使用されることを考えると、システムが正しく機能することは極めて重要である。本発明の目的は、上記の問題を軽減したコネクタと、それに関わる呼吸器システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、患者インタフェースと呼吸器用換気システムにおける1つまたは複数の流体用導管との間の流路を接続するためのレスピレータ換気コネクタが提供され、このコネクタは、合体して第1のポートを有するコネクタ本体を画定する、相対向する第1と第2の部分本体とを備え、このコネクタ本体は、第2のポートと、第1と第2のポートとの間の流体連通のための内部流路とをさらに備え、ここで、一方の部分本体には第1の部分差込口が備えられ、もう一方の部分本体には第2の部分差込口が備えられて、使用時に第1のポートの周りに直立した円周状の差込口構造が形成されるように配置されており、この差込口構造は内径がポートの寸法よりも大きくて、使用時に第1のポートと連通するためにその差込口にチューブ状の流体用導管を受容可能となっている。
【0009】
内側にチューブを受容可能な、直立した円周状壁の配置により、チューブとコネクタの間の密閉を図るための圧縮力を必要とせず、従来技術において装置の故障を招く可能性のあった内部応力が回避される。差込口構造にチューブを収容することにより生じる力は、従来技術のコネクタよりも一般的に小さく、差込口へ圧力がかかるというよりも環状応力によって分散される。
【0010】
一実施形態において、第1と第2の部分本体のそれぞれは、部分ポート構造を備え、第1と第2の部分本体が接続されるとその部分ポート構造が組み合わされて第1のポートが画定される。
【0011】
一実施形態において、第1と第2の部分本体のそれぞれは、部分流路構造を備え、第1と第2の部分本体が接続されるとその部分流路構造が組み合わされてコネクタ本体の内部流路が画定される。
【0012】
第1と第2の部分本体は、それぞれ対向面を備え、そこに部分的な差込口構造、及び/又は部分的な流路構造が形成されている。したがって、第1と第2の部分本体を分離した部材としてモールドした後で接続することで、複雑な構造の接続された内部流路が形成可能である。
【0013】
差込口は、第1のポートの周りに配置された略チューブ状の直立した壁構造をしていてもよい。差込口は、終端壁すなわち停止構造によってポートから離間されていてもよい。第1のポートは終端壁内に形成されていてもよい。停止構造はチューブ末端を差込口内の所定の深さに正しく配置されるようにし、チューブとの接続が挿入力に依存しないようになっている。
【0014】
差込口は内径にほぼ等しい深さを持っていてもよい。差込口の深さと内径の比は1:2から2:1の間であってよい。
【0015】
差込口構造は第1の差込口構造を備えていてよい。
【0016】
コネクタ本体は、第1のポートに隣接するさらなるポートを画定するように成形されてもよい。それぞれの部分本体はさらなる部分差込口を備えてもよい。これは、使用時にさらなるポートの周りに直立した円周状の差込口構造を形成する。このさらなる差込口構造の内径はさらなるポートの寸法よりも大きく、使用時にさらなる差込口内にチューブ状の流体用導管を受容して、さらなるポートに連通できるようになっている。
【0017】
第1およびさらなる差込口はコネクタ本体の同じ面内に相隣接して配置されてもよい。第1とさらなる差込口は、共通の隣接壁部分を共有し、そこに接続されてもよい。このような二重の差込口構成は、製造時、及び/又は使用時における、第1とさらなる差込口との構造的な剛性を高めるのに役立つ。
【0018】
直立した円周状の差込口構造は、コネクタ本体に近い側の厚い壁から、差込口の開放端側の薄くなった部分へ向かってテーパのついた形状となっていてもよい。差込口構造の外壁は、実質的に円筒、つまりテーパのついていない形状であってもよい。
【0019】
第1と第2のコネクタの部分本体のそれぞれにある、対向する部分差込口によって、さらなる差込口が第1の差込口と同様に形成されてもよい。さらなるポートはコネクタ本体内部のさらなる内部流路と連通してもよい。第1のポート、差込口、及び/又は内部流路のいずれかの構造的特徴が、さらなるポート、差込口、及び/又は内部流路に適用されてもよい。
【0020】
コネクタ本体は、内部流路を介して第1のポートに連通するように構成された、第3のポートを備えていてもよい。第2のポートは第1の部分本体内に形成されてもよい。第1の部分本体は、第2のポートを画定する開口を有する外表面を画定するように成形されてもよい。第3のポートは第2の部分本体内に形成されてもよい。第2の部分本体は、その中に第3のポートを画定する外表面を有してもよい。
【0021】
コネクタ本体は、第4のポートである排気用ポートを備えるように成形されてもよい。コネクタ本体は、使用時に対応する排気用コネクタと連通するように配置された一対の排気用ポートを備えてもよい。
【0022】
第1と第2の部分本体は、部分本体の対向する面同士の間の界面で、中間面に接合されてもよい。第1及び/又はさらなるポート、及びそれに対応する差込口構造は、その中間面に関して実質的に対称的であってもよい。第2及び/又は第3のポートは、中間面の片側にあってもよい。第1の流路には接続部があって、そこで第1のポートが第2及び第3のポートの両方と連通してもよい。第2及び第3のポートは、コネクタ内の1つまたは複数の排気用流路の直径よりも小さい直径を有する別々の流路によって、第1のポートと連通してもよい。
【0023】
一実施形態において、第1および第2の反対部分は接着剤で相互に固定される。第1と第2の部分本体は、射出成型法で所要形状に形成されたプラスチック材料でできていてもよい。
【0024】
第1及び/又はさらなるポートは、例えば送流装置または制御装置などの、1つまたは複数の呼吸器用換気送流装置に繋がる流体導管に接続されるように配置されてもよい。第1のポートは、流体導管で第1のポートに接続された加湿装置を経由して、送流装置から流体を受け取ってもよい。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、第1の態様のコネクタと、差込口内部に位置する第1の流体導管とを備える呼吸器用換気コネクタアセンブリが提供される。
【0026】
第1の流体導管は、差込口構造内に位置する端部を備えてもよい。導管の端部は、第1のポートと差込口構造との間にあるコネクタ本体の終端壁すなわち停止構造に当接していてもよい。流体導管の内径は、第1のポートの直径と実質的に等しいかまたは小さくてよい。第1の導管の外表面は、差込口構造の内壁に接してもよい。接着剤を利用して第1の導管の外周表面を差込口構造に取り付けてもよい。
【0027】
アセンブリは、さらなる差込口構造内にあってさらなるポートと連通する、さらなる流体導管を備えてもよい。さらなる差込口構造中の第2、すなわちさらなる流体導管の配置は、第1の差込口構造中の第1の流体導管の配置と同一または同様であってよい。
【0028】
アセンブリは1つまたは複数の排気用ポートでコネクタに接続されている排気用コネクタを備えていてもよい。
【0029】
アセンブリは第2及び/又は第3のポートに接続された患者インタフェースを備えていてもよい。第2及び/又は第3のポートは、鼻腔流入用ポートを備えていてもよい。
【0030】
コネクタ及び/又はアセンブリは、例えばCPAPシステム内の新生児用呼吸器用途に好適な、乳児用流入コネクタを備えてもよい。
【0031】
本明細書における「差込口」という用語は、流体用装置または部品を結合しその間に流体が流れるようにするアダプタを備えるものと考えてよい。
本発明の実行可能な実施形態を添付の図面を参照して以下に詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】従来技術による呼吸器システム用コネクタの立体図である。
【図2】従来技術によるコネクタ用差込口の詳細図である。
【図3】本発明を利用可能な呼吸器システムの概略図である。
【図4】本発明の一実施形態によるコネクタの立体図である。
【図5】図4のコネクタの平面図である。
【図6】本発明の一実施形態によるコネクタの分解図である。
【図7】使用のために導管が接続された状態のコネクタを図5のA−A面で見た第1の断面図である。
【図8】コネクタを図5のB−B面から見た第2の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
先ず図3を参照すると、本発明によるコネクタを使用できる呼吸器システムが示されている。システム10は当技術分野においては、持続的気道陽圧法(CPAP)システムと呼ばれ、コネクタ14への空気流を加圧するための送流装置12を備えている。送流装置12による圧力は、使用中は実質的に一定であってよい。送流装置12からの流れは、導管16を通って加湿器18へ行き、それから導管20を経由してコネクタ14へ至る。
【0034】
流れはコネクタ14を通って患者インタフェース接合22へ流れて患者が吸入する。吐出された空気はコネクタ14を通って戻り、排気チューブ24を通過する。コネクタを介して導管26を患者インタフェースへ接続することにより、患者インタフェース接合22での圧力のモニタも行われる。
【0035】
図3に示す特定のシステムでは、乳児用のCPAP配送システムを可能とする。したがって、コネクタ14は20に沿った流れを分岐して2つの鼻腔流用ポートに流し、乳児に配送する。したがって、コネクタ14は1つの装置内に上記のすべての流路を収容するために複雑な形状となっている。詳細を以下に述べる。本発明を特定のCPAPシステムを参照して説明するが、本コネクタは、流れが複雑な内部流路を必要として、コネクタが2つ以上の部分本体で形成されて、組み立てた場合に部分本体同士の間の界面に差込口構造を有するような他の呼吸器流システムにも適用可能であることを理解されたい。
【0036】
次に図4〜6を参照すると、それぞれに差込口構造34と36を持つポート30と32を有する本体28を備えたコネクタ14が示されている。本体28は、ポート40と42を持つ患者インタフェース用接続部38も備えるように成形されている。
【0037】
本体は対向する2つの部分本体28Aと28Bとで形成され、それぞれが相手方の鏡像の形となっている。つまり本体28は、対向する本体の半分の部分28Aと28Bとの接合面44に関して実質的に対称形となっている。面44はコネクタの差込口構造34、36を2分割する。したがって、各部分本体28A、28Bは、差込口の半分の構造34A、36Aと34B、36Bとをそれぞれ備えるように成形されている。差込口の半分構造は実質的に半円筒形状をしており、コネクタ本体28から外方向に懸垂した、略円筒形の直立した差込口構造34、36を形成している。
【0038】
差込口構造34と36は直に隣接していて、共通の接合壁部分35を共有している。差込口構造34と36は、差込口に整列したフランジ構造46も有しており、これは部分本体28Aと28B内の対向するそれぞれのフランジ部46Aと46Bとで形成されている。部分本体の相フランジ面は、差込口付近の接合面44において部分本体28Aと28Bとの間に拡大された合体面を提供し、形成された後のコネクタの剛性向上にも役立つ可能性がある。フランジは実質的に差込口の軸方向になっている。
【0039】
ポート40、42は、直立した雄型コネクタ48、50の形態をした差込口構造として提供される。これは使用時には図8に示した鼻用アダプタ49−当分野では一般的に「プロング」と称されている−に接続されるように配置されている。しかし、鼻用プロングは取り付けられるアダプタまたはインタフェースの単なる一種であり、他の実施形態においては、マスク(図示せず)のような他のインタフェースが使用されてもよい。マスクは一般的には患者の少なくとも鼻の部分を覆って、使用時にそこを密閉するような形状となっている。
【0040】
プロング49は、使用時に加圧ガスを患者の鼻腔に供給するとともに、呼息時には戻り流を流れさせる。患者インタフェースの接続部分38は、基体とその周辺に側壁とを有し、側壁の間にコネクタ48と50が配置されている。鼻用アダプタ、及び/又は他のタイプのインタフェースはこの側壁の間に密接して配置できるように形成される。
【0041】
排気ダクト52は本体28に嵌合され、使用時に接続構造54を介して排気導管24に連通する流路を提供するように配置されている。
【0042】
図6および7からわかるように、部分本体28Aと28Bはその中に形成された内部流路を持っている。第1の流路56はそれぞれの部分本体28Aと28Bの中にある相対向する溝として形成されていて、本体の半分同士が面44で合わせられると完全な内部流路56が形成される。流路56はポート30から、流路がそれぞれのポート40と42に至る別々の流路に分岐する分岐部すなわちマニホールド58まで繋がる。
【0043】
流路60は、流路56に関して説明したのと同様に、部分本体28Aと28Bを組み立てることにより形成される。流路60はポート32から繋がって、反対側の端部である患者インタフェース部38のポート62で開放されている。ポート62は、患者インタフェース部38の差込口48と50の間に配置されていて、各部分本体28Aと28B内の対向する凹みで形成されている。
【0044】
流路60は、患者インタフェースと気道圧力監視ライン26との間の流体圧力の連通を可能とする。流路60内の流れはその他では、コネクタ14内の他の流路中の流れからは隔離されている。つまり、流路60はコネクタ14内の他の内部流路とは連通していない。コネクタ14のそのほかの内部流路は、患者の吸気、呼気を可能としており、以下で説明するようにコネクタ内部で相互接続されている。
【0045】
面44において各部分本体28Aと28B内の対向する部分的流路から形成された流路56と60の他に、図5においては、面44から離れた位置にある流路64と66も備えられている。このようにして流路64と66は、その全体がそれぞれ部分本体28Aと28Bの内部に画定されている。これらの流路は、鼻用ポート40、42と、排気ダクト52との間を連通する。これに関して、流路64と66はコネクタの外側に沿っていて、その間に形成されている内部流路56と60を間に挟んでいる。
【0046】
排気ダクト52はその中に分岐があり、流路64と66がコネクタ14から離れたところで結合して、1本の排気流となる。これに関しては、排気ダクト54には雄型のコネクタ端部を持つ離間した突起65があり、それが流路64と66の中に配置されて排気ダクトを本体28に取り付けられるようにする。
【0047】
図7からわかるように、共通ダクト68がそれぞれポート40、42から降りてきて、そこに流路56からの分岐ダクト58と排気流路66との両方が流入する。
【0048】
また、図6と7には、導管20と26が、それぞれ差込口34と36との間に形成する接続部が示されている。導管20と26は先の尖っていない可撓性チューブである。
【0049】
本体内部においてそれぞれ流路56と60に向けて開口しているポート30と32は、差込口34と36の直立した円周状壁によって囲まれている。差込口34と36の内径は開口30と32の寸法よりも大きく、開口部は、上から見て環状となった中間面70によって対応する差込口から離間されている。
【0050】
各ポート30と32の直径は、それぞれ導管20、26の内径と同じか、わずかに小さい。チューブ端が差込口34と36に挿入される。中間面70がチューブ20、26の端部に対して当接面として作用する。接着剤が、チューブと差込口構造との間の界面の周り、例えばチューブ端部の外周表面の周りに供給されて、チューブをそこに確実に保持する。
【0051】
次に図7と8を参照して、図3に示すシステム内に接続された後のコネクタ14の動作を説明する。
【0052】
吸気時には加圧ガスが送流装置12からチューブ20を経由してコネクタ14へ供給される。吸気時のコネクタへのガスの流れは矢印Bの方向である。流れはポート30でチューブ20からコネクタ14に入り、流路56を通って分岐58へ行き、そこで流路68に入る前に流れが分岐して矢印Cの方向に進む。そして、ポート40と42を経由して患者へと流れる。分岐58から流路68へ繋がる中間流路59(図8参照)は、流路66よりも幅または直径が小さいことに留意されたい。
【0053】
吸気及び呼気の間、患者インタフェースでの(すなわち患者マスク内での)静圧は流路60を介して測定される。
【0054】
呼気時には、患者からの流れは鼻腔アダプタ49とポート40、42を通って流路68へ流れる。吐出されたガスは流路68から矢印Dの方向に流れて流路64と66へ入る。吐出された息は、流路59が反対(吸気)方向に加圧されていて、かつまた流路64と66に比べて流路59の寸法が小さいために、中間流路59へは戻らない。したがって、流路59は呼気に対してはバイアスが掛けられていて、呼気はその代わりに流路64と66へ流れてゆく。呼気時は、チューブ20から中間流路59へ供給されたガスは、流路59を出るときに、優勢な呼気流によって矢印Dの方向へ向かう。したがって、チューブ20からの加圧ガス流が、流路64、66に沿って排気導管へ向かう呼息ガスの流れを支援する。
【0055】
患者からの流れと導管59からの流れが結合して流路64、66に沿って排気ダクト52に向かって流れ、矢印Eの方向に排気チューブ24を経由してコネクタ14から排出される。
【0056】
そうして、吸気、呼気のサイクルが反復される。
【0057】
コネクタ14の本体は、硬質プラスチック材料で形成される。これは透明であってよい。マスク及び鼻腔用アダプタは、シリコーン樹脂などの柔らかな弾性材料で作られる。導管20、26は、一般的には弾性高分子材料で形成される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者インタフェースと呼吸器システムにおける1つまたは複数の流体用導管との間の流路を接続するための呼吸器用コネクタであって、
前記コネクタは、合体して第1のポートを有するコネクタ本体を画定する、相対向する第1と第2の部分本体を備え、
前記コネクタ本体は、第2のポートと、前記第1と第2のポートとの間の流体連通のための内部流路と、をさらに備え
それぞれの部分本体には、それぞれ第1及び第2の部分差込口が備えられ、前記第1のポートの周りに差込口を形成するように配置されており、前記差込口は内側寸法が前記ポートの寸法よりも大きくなっていて使用時に前記差込口に流体用チューブ導管を受容可能となっている、コネクタ。
【請求項2】
前記第1と第2の部分本体のそれぞれは部分ポート構造を備え、前記第1と第2の部分本体が接続されると前記部分ポート構造が組み合わされて前記第1のポートが画定される、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第1と第2の部分本体のそれぞれは部分流路構造を備え、前記第1と第2の部分本体が接続されるとその部分流路構造が組み合わされて前記コネクタ本体の内部流路が画定される、請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記第1と第2の部分本体は接触面の各対向部分で結合し、前記差込口構造が前記接触面を横切る、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記差込口は、前記コネクタ本体から直立した概ね環状または管状の壁を備える、請求項1〜4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記差込口は前記第1のポートから停止構造分だけ離間している、請求項1〜5のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記差込口は深さと内径とを有し、その比は1:2〜2:1の間である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記コネクタ本体は、さらなるポートの周りに配置されたさらなる差込口を備え、前記第1と第2の対向する部分本体が合体して、前記コネクタ本体上に前記さらなるポートと差込口とを画定する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第1とさらなる差込口は、共通の中間壁部分を共有して直接隣接している、請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記差込口はテーパのついた内壁面を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記コネクタ本体は、前記内部流路を通じて前記第1のポートと連通する第3のポートを備え、前記内部流路は、前記第1のポートが前記第2と第3のポートの両方と流体連通するように分岐部を備えている、請求項1〜10のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記第2と第3のポートは、それぞれ前記第1と第2の部分本体に形成され、前記コネクタ本体の第1と第2の部分本体の間の接合面からは離間している、請求項11に記載のコネクタ。
【請求項13】
排気用ポートと排気用流路とをさらに備え、前記排気用流路は、前記第2のポートと前記排気用ポートとの間の流体連通のために前記第1または第2の部分本体に形成されている、請求項1〜12のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記第1のポートは、送流装置からのガス流を受けるための入り口ポートであり、前記第2のポートは患者インタフェースに繋がっている、請求項1〜13のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1項に記載の前記コネクタと、前記差込口内に配置された流体導管とを備える呼吸器用コネクタアセンブリ。
【請求項16】
前記流体導管の末端が、前記第1のポートと差込口との間にある前記コネクタ本体の停止構造に当接する、請求項15に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項17】
前記第1のポートの内径が、前記流体導管の内径以下である、請求項15または16に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項18】
前記第1の導管の外表面と前記差込口の内壁との間に接着剤を供給する、請求項15〜17のいずれか1項に記載のコネクタアセンブリ。
【請求項19】
請求項8に記載のコネクタと、前記第1およびさらなる差込口内部に位置する第1および第2の流体導管とを備える、呼吸器用コネクタアセンブリ。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか1項に記載のコネクタまたはコネクタアセンブリを備える、呼吸器用換気システム。
【請求項21】
前記コネクタの第1のポートへ流れを供給する送流装置と、及び/又は前記コネクタのさらなるポートとの流体連通するように配置された圧力モニタと、を備える、請求項20に記載の呼吸器システム。
【請求項22】
前記コネクタの第1のポートを通して供給される加圧ガスにより、吸息および呼息の両方において前記コネクタを通過する流れが支援される、請求項20または21に記載の呼吸器システム。
【請求項23】
前記システムは、乳児、及び/又はCPAP呼吸器システムを備える、請求項20、21または22に記載の呼吸器システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−187409(P2012−187409A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−55031(P2012−55031)
【出願日】平成24年3月12日(2012.3.12)
【出願人】(507289070)インターサージカル アクチェンゲゼルシャフト (4)