説明

呼吸確認システム、呼吸確認方法、プログラム

【課題】利用者に呼吸量の推移を確認させることを可能にする。
【解決手段】呼吸確認システムは、映像提示装置2と音響提示装置3との少なくとも一方に、利用者の呼吸の状態変化を示す呼吸情報を提示する。提示される呼吸情報は、複数個の種図形が分散と収束とを行う間の形状変化として制御されるか、音像の位置変化として制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に呼吸量の推移を確認させる呼吸確認システム、呼吸確認システムに用いる呼吸確認方法、呼吸確認システムに用いるプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、利用者の呼吸を整えるように誘導することにより、利用者をリラックス状態やリフレッシュ状態に誘導する装置が提案されている(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献1に記載された装置では、利用者の光環境や音環境を制御することにより利用者の呼吸を誘導し、呼吸を統制することによって、リラックス状態に誘導している。特許文献1には、利用者の呼吸運動のフィードバックを行わずに呼吸誘導を可能とするために、呼吸の周期や呼気の時間の範囲を規定し、当該範囲内で呼吸を誘導するための感覚刺激装置を作動させることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2では、利用者をリラックス状態に誘導した後にリフレッシュ状態に誘導することを目的とし、光源の明暗に合わせて呼吸を統制してリラックス状態に誘導し、その後、明暗の1サイクルにおける最大輝度と最小輝度との平均値を時間経過とともに増加させることによりリフレッシュ状態に誘導する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−336357号公報
【特許文献2】特開2002−336358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、利用者に呼吸量の推移を確認させることを可能にした呼吸確認システムを提供することを目的とし、さらに、呼吸確認システムに用いる呼吸確認方法、および呼吸確認システムに用いるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る呼吸確認システムは、利用者の呼吸の状態変化を示す呼吸情報を提示する呼吸情報提示手段と、提示される前記呼吸情報を、複数個の種図形が分散と収束とを行う間の形状変化として制御する手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る呼吸確認システムは、利用者の呼吸の状態変化を示す呼吸情報を提示する呼吸情報提示手段と、提示される前記呼吸情報を、音像の位置変化として制御する手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
この呼吸確認システムにおいて、前記利用者の呼吸を検出する呼吸センサをさらに備えることが好ましい。
【0010】
本発明に係る呼吸確認方法は、呼吸センサにより利用者の呼吸を検出する工程と、前記呼吸センサにより検出された呼吸の状態変化を示す呼吸情報を、呼吸情報提示手段に提示される複数個の種図形が分散と収束とを行う間の形状変化として表す工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る呼吸確認方法は、呼吸センサにより利用者の呼吸を検出する工程と、前記呼吸センサにより検出された呼吸の状態変化を示す呼吸情報を、呼吸情報提示手段に提示される音像の位置変化として表す工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明に係るプログラムは、利用者の呼吸の状態変化を示す呼吸情報を呼吸情報提示手段に提示する機能と、提示される前記呼吸情報を、複数個の種図形が分散と収束とを行う間の形状変化として制御する機能とを、コンピュータにより実現することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るプログラムは、利用者の呼吸の状態変化を示す呼吸情報を呼吸情報提示手段に提示する機能と、提示される前記呼吸情報を、音像の位置変化として制御する機能とを、コンピュータにより実現することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の構成によれば、利用者に提示する呼吸情報を、複数個の種図形が分散と収束とを行う間の形状変化あるいは音像の位置変化として制御することにより、利用者に呼吸量の推移を確認させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上の斜視図である。
【図3】同上に用いる誘導図形の変化パターン例を示す動作説明図である。
【図4】同上において呼吸状態の情報を提示方法の考え方を示す図である。
【図5】同上に用いる誘導図形の他の変化パターン例を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態で説明する呼吸確認システムは、図2に示すように、利用者が個室の環境において用いるものであり、以下では当該個室をリフレッシュルームRmと呼ぶ。リフレッシュルームRmには、利用者が着座する椅子1と、椅子1の少なくとも前方に映像を提示する映像提示装置2と、リフレッシュルームRmに音環境を提供する音響提示装置3とが配置される。さらに、リフレッシュルームRmには、室内の光環境を形成するために照明装置4も設けられる。映像提示装置2と音響提示装置3と照明装置4とは、後述するように、呼吸の状態変化を呼吸情報として利用者に提示する呼吸情報提示手段としての機能を有している。
【0017】
椅子1は、利用者が楽な姿勢で着座することができるようにリクライニング機能を備えていることが望ましく、また着座した利用者を包み込むように適度のクッション性を備えることが望ましい。椅子1には、図1に示すように、利用者の呼吸を検出する呼吸センサ5が付設される。呼吸センサ5のほかに、利用者の着座を検出する着座センサ6、利用者の心拍あるいは脈拍を検出する拍動センサ7などを椅子1に付設してもよい。
【0018】
呼吸センサ5としては、利用者の腹部に巻き付けるベルトを備え、腹部の膨張と収縮とを加速度センサあるいは圧力センサで検出するものを用いているが、利用者の呼気の期間(以下、「呼気期間」という)と、吸気の期間(以下、「吸気期間」という)とが分離可能である出力の得られる構成であれば、どのような呼吸センサ5を用いてもよい。たとえば、利用者の腹部に赤外線によるモアレ縞を投影し、モアレ縞をTVカメラで撮像することにより、モアレ縞の変化パターンから腹部の膨張と収縮とを検出することにより、利用者の呼吸を非接触で検出する呼吸センサを用いることも可能である。
【0019】
なお、拍動センサ7についても利用者に装着のわずらわしさを感じさせないために、椅子1の内部に圧力センサからなる拍動センサ7を配置し、椅子1に着座した利用者の拍動を検出するようにしてもよい。
【0020】
呼吸センサ5の出力は、センサ処理部11に入力される。センサ処理部11では、呼吸センサ5の出力を用いて、呼気期間か吸気期間かを判断する。
【0021】
呼気期間と吸気期間との判断には、呼吸センサ5の出力として加速度センサの出力を用いる場合には、収縮方向(たとえば、正とする)と膨張方向(たとえば、負とする)との期間をそれぞれ呼気期間と吸気期間とに対応付ける。ただし、加速度センサの出力には体動などによるノイズが含まれるから、正負2段階のしきい値を設定しておき、呼気期間は加速度センサの出力が正のしきい値を超え、負のしきい値を下回るまでの期間とし、吸気期間は加速度センサの出力が負のしきい値を下回り、正のしきい値を超えるまでの期間とする。
【0022】
なお、しきい値を設定したことにより、検出した呼気期間および吸気期間と、実際の呼気期間および吸気期間との間に時間差が生じるから、検出した呼気期間および吸気期間には補正が必要である。本実施形態では、時間差を略一定とみなし、検出した呼気期間および吸気期間を、この時間差に相当する一定時間だけシフトさせている。
【0023】
また、呼気期間と吸気期間との判断には、センサ処理部11において呼吸センサ5の出力を所定の時間間隔(たとえば、0.1s)でサンプリングし、サンプリング値に基づいて腹部の膨張の程度を推算してもよい。すなわち、上記時間間隔で検出した腹部の膨張の程度を表す数値の移動平均を求め、移動平均が正の期間を呼気期間、移動平均が負の期間を吸気期間としてもよい。
【0024】
なお、移動平均は、時系列データx1,x2,x3,…に対して、たとえば、(x1+x2+x3)/3、(x2+x3+x4)/3を用いるものとする。すなわち、平均するデータのすべてを新たなデータとするのではなく、データを1個ずつシフトさせた平均を用いる。ただし、何個のデータの平均を用いるかは適宜に選択する。
【0025】
映像提示装置2は、椅子1に着座した利用者に視認可能な映像を提示する画面8を備えている。画面8の大きさや形状は、利用者の視野の全体に映像を展開することができ、利用者に没入感をもたらすように設定される。したがって、画面8は平面状とすることが可能であるが、利用者から見て凹面状とするのが望ましい。ただし、水平方向において凹面であればよく、上下方向においては曲面としなくてもよい。要するに、円筒の壁面における内側面の形状になる。
【0026】
画面8が平面状である場合には、プラズマディスプレイや液晶ディスプレイのようなフラットパネルディスプレイを用いることができるが、画面8を凹面状とする場合には、リフレッシュルームRmの壁面を透過型のスクリーンとし、リフレッシュルームRmの外に配置したプロジェクタからスクリーンに映像を投影する構成を採用する。また、シート状に形成されたELディスプレイのように可撓性を持たせることが可能である場合には、この種のディスプレイを映像提示装置2として用いることができる。
【0027】
映像提示装置2が提示する映像は、映像内容提供部12により与えられる。映像内容提供部12が提供する映像の具体例は後述する。
【0028】
音響提示装置3としては、椅子1の周囲を囲むようにリフレッシュルームRmの天井面、床面、壁面に配置した複数個(図2に示す例では8個)のスピーカ9を用いている。具体的には、前後左右上下の任意の位置に音像を形成することができるように、8個のスピーカ9のうち4個を利用者の前方に配置し、残りの4個を利用者の後方の壁面の四隅に配置している。前方に配置した4個のスピーカ9は、映像提示装置2の画面8に提示される映像を妨げないように、床面と天井面とに左右2個ずつ配置される。また、上述したスピーカ9とともに用いて背景音を出力するスピーカ9を設けてもよい。背景音は、上述したスピーカ9から出力する音に混合して出力することも可能である。
【0029】
音響提示装置3が提示する音は、音響内容提供部13により与えられる。音響内容提供部13が提示する音の具体例は後述する。
【0030】
照明装置4は、リフレッシュルームRmの全体照明を行うために天井付近に配置された全体灯21と、椅子1の周囲のみを照明するスポット灯22と、椅子1の側方に配置され利用者の呼吸周期を誘導するように光出力を時間経過に伴って変化させるリズム灯23とを備える。リズム灯23の発光色としては、気分を落ち着かせる効果があると言われている青色ないし水色を用いている。全体灯21とスポット灯22とリズム灯23とは、それぞれ調光器(図示せず)に接続されている。したがって、照明制御部14から調光器に調光信号を与えることにより、全体灯21とスポット灯22とリズム灯23との光出力をそれぞれ制御することが可能になっている。
【0031】
上述したセンサ処理部11と映像内容提供部12と音響内容提供部13と照明制御部14とは、パーソナルコンピュータに必要なハードウェアを付加し、後述する動作を可能にするデータおよびプログラムを与えることにより実現される。
【0032】
以下では、呼吸センサ5の出力に基づいてセンサ処理部11が検出した呼気期間および吸気期間を、映像内容提供部12と音響内容提供部13と照明制御部14との動作に関連付ける技術について説明する。センサ処理部11により検出した呼気期間と吸気期間とを、映像内容提供部12と音響内容提供部13と照明制御部14との動作に関連付ける処理は誘導制御部10が行う。
【0033】
ここで、照明制御部14は、全体灯21やスポット灯22については、呼気期間や吸気期間とは無関係に制御する。すなわち、照明制御部14は、利用者がリフレッシュルームRmに入退室する際に全体灯21を点灯させて室内を照明し、椅子1に着座したことが着座センサ6により検出されると全体灯21の光出力を低減させることにより利用者の周囲を暗くする。
【0034】
また、スポット灯22は、利用者の周辺のみを照明したり、利用者が椅子1に着座しているときに利用者の手元周辺のみを照明したりする目的で用いる。スポット灯22により利用者の周辺のみを照明すれば、利用者の近辺と利用者から離れた壁面との明暗差を大きくして、リフレッシュルームRmの壁面を目立たせないようにすることができる。
【0035】
ところで、誘導制御部10では、センサ処理部11により検出された呼気期間と吸気期間とのうち呼気期間の継続時間に対して目標(目標時間)を設定し、当該目標時間を利用者に達成させるように映像内容提供部12、音響内容提供部13、照明制御部14に指示を与える。すなわち、呼気期間と吸気期間との両方について呼吸を誘導するのではなく、息を吐くときの継続時間にのみ着目して呼吸を誘導する。このため、センサ処理部11は呼気期間の開始時点を検出し、呼気期間の目標(目標時間)を与える。吸気期間はたとえば3〜5s程度であり、呼気期間の目標時間の最大値はたとえば6〜9s程度に設定する。
【0036】
ここに、利用者に呼気期間と吸気期間との両方を意識させると、利用者が緊張し交感神経が優位になることがあるが、呼気期間にのみ意識を持たせることで利用者に緊張感を与えず副交感神経を優位にした状態で、中枢神経を賦活させることが可能になる。このような事例は、ヨガや座禅などの呼吸法として知られている。
【0037】
つまり、呼気期間のみを所定時間に誘導する目標を提示し吸気期間は制限しないから、利用者にとって呼吸の制約が少なくなり、利用者は、呼気の長さにのみ意識を集中すればよく息苦しくない楽な呼吸をしながらも所望の呼吸状態に誘導されることになる。
【0038】
このように、呼気量のみを所定量に誘導するが吸気量は制限しないから、利用者にとって呼吸の制約が少なくなり、利用者は、呼気量にのみ意識を集中すればよく息苦しくない楽な呼吸をしながらも所望の呼吸状態に誘導されることになる。また、呼吸の時間ではなく呼気量に着目しているから、利用者は息苦しくないように呼吸をすることができ、無理のない呼吸をしている間に定められた呼吸状態に誘導されることになる。
【0039】
誘導制御部10は、利用者が椅子1に着座すると呼吸を誘導する動作を開始する。つまり、着座センサ6により椅子1への着座が検出され、規定時間が経過すると動作を開始する。あるいはまた、椅子1に操作部(図示せず)を付設しておき着座後に操作部が操作されると動作を開始する構成を採用してもよい。
【0040】
誘導制御部10は、動作を開始すると、利用者をリラックス状態(副交感神経が優位、さらには脳波におけるα波が発現する状態のうち中枢神経が非活性である状態)に誘導する映像および音の提示を映像内容提供部12および音響内容提供部13に指示する。映像内容提供部12が提供する映像としては、自然風景を見せると利用者をリラックス状態に移行させやすくなるという知見に基づいて、たとえば宇宙、海底、森林などを想起させる映像としている。この種の映像は、副交感神経を優位にし、かつ中枢神経を非活性化することが知られている。また、映像として三次元映像を用いることにより、画面8が凹面であることとあいまって立体感を与えている。さらに、立体感を高めるための意味性のないコンピュータグラフィックス画像を合成してもよい。
【0041】
誘導制御部10は、全体灯21、スポット灯22、リズム灯23のうちの少なくとも一部の光色について、映像内容提供部12が提供する映像の内容に合わせて調節する。たとえば、宇宙や海底の映像であれば照明光を青色とし、森林の映像であれば照明光を緑色とする。
【0042】
映像は、静止映像を定位置に表示することが可能であるが、静止映像について画面8に表示される領域を変化させることにより画面8上で移動する映像を生成すると利用者に移動感を与えてリラックス状態への誘導効果が高まる。映像の移動方向は左右方向とし、利用者から見て毎秒1〜5度程度の角度変化が生じるように映像を移動させる。さらに移動感を付与するには、2種類の映像を重ね合わせて表示し、一方の映像を利用者から見て右向きに移動し、他方の映像を利用者から見て左向きに移動するように表示するとよい。たとえば、宇宙を想起させる映像であれば、星雲や近くの星は右向きに移動し、遠くの星は左向きに移動させるのである。なお、映像を移動させる方向は上下方向としてもよい。
【0043】
一方、音響内容提供部13が提供する音としては、いわゆるヒーリング音楽や自然界に存在する1/fノイズを含む静かな音(せせらぎや葉擦れの音など)などを用いる。この種の音は、副交感神経を優位にし、かつ中枢神経を非活性化すると考えられている。この音は、後述する呼吸の誘導の際にも背景音としてスピーカ9からの出力を継続する。背景音となる音は基本的には背景音を出力する専用のスピーカ9からのみ出力させる。ただし、背景音用のスピーカ9ではない他のスピーカ9から背景音を出力する場合には、背景音については各スピーカ9に与える音声信号の増幅率を一定に保つようにする。
【0044】
誘導制御部10では、自律神経機能について副交感神経を優位にし中枢神経を非活性化するために、映像内容提供部12および音響内容提供部13に上述の動作を規定時間行わせる。この動作は、利用者をリラックス状態に導く動作であるから、以下では、この動作を「リラックスモード」の動作と呼ぶ。
【0045】
リラックスモードの動作を行うことによって、椅子1に着座した利用者はリラックス状態に誘導され、心拍数や血圧が低下する。したがって、リラックスモードの動作は時間により規定する(つまり、リラックスモードを規定時間で終了する)ほか、拍動センサ7により拍動を監視し、心拍数(あるいは脈拍数)のトレンドによりリラックス状態を判断し、リラックス状態に移行した時点でリラックスモードの動作を終了させてもよい。あるいはまた、呼吸センサ3の出力に基づいてセンサ処理部11で検出される呼気期間の長さあるいは呼吸数を計測し、呼気期間が規定した長さに達すると、リラックスモードの動作を終了させることも可能である。
【0046】
リラックスモードを終了する他の条件としては、拍動センサ7によりリラックス状態を監視するとともに、制限時間を設定しておき、制限時間内にリラックス状態に達したと推定される場合に、制限時間の満了時にリラックスモードの動作を終了するようにしてもよい。この場合、制限時間内にリラックス状態に達しなければ、利用者はリフレッシュルームRmの利用前に高い緊張状態にあったと考えられるので、映像や音を変更するなど条件を変えてリラックスモードを継続する。
【0047】
リラックスモードの動作が終了すると、誘導制御部10は、呼吸を誘導する動作に移行する。以下では、この動作を「呼吸誘導モード」の動作と呼ぶ。呼吸誘導モードの動作では、自律神経機能について副交感神経を優位にした状態を維持するが、呼吸を誘導することにより中枢神経を活性化させる。つまり、リフレッシュ状態(脳波におけるα波(8〜13Hz)のうち速い成分(10〜13Hz)であるα波が発現し、中枢神経が活性である状態)あるいは集中状態と言われている状態に誘導する。
【0048】
映像内容提供部12は、呼吸誘導モードでは、呼吸センサ5により検出される利用者の呼吸に合わせて形が変化する誘導図形Im(図3参照)を指標として生成し、映像提示装置2の画面8に表示されているリラックスモードで用いた映像に重ねて誘導図形Imを表示する。
【0049】
図3に示す誘導図形Imは、微小体積である多数個の立方体状の種図形Isの集合として構成されている(図3では説明を簡単にするために、映像を二次元で表し種図形Isを正方形状に記載している)。図3は時間経過に伴う種図形Isの位置の変化を示しており、左上端から下に向かって時間が経過し、左列の下端に達した後に中央列の上端から下に向かって時間が経過し、中央列の下端に達した後に右列の上端から下に向かって時間が経過する。
【0050】
図示例では、種図形Isが二次元格子(図示例は、格子の縦横比を1:1とした正方格子であるが格子の縦横比は適宜に設定してよい。なお、実際の映像では三次元格子になる)の格子点上に配列された状態から、吸気期間が検出されると誘導図形Imが膨張し、種図形Isが分散して種図形Isの間の距離が大きくなる(左列参照)。種図形Isが分散したときには、種図形Isは整列せずに乱雑ないし無秩序に配置される。その後、呼気期間が開始されると種図形Isが収束を開始し、呼気期間の目標時間として規定された期間が終了した時点で種図形Isが元の二次元格子の格子点上に配列される(中央列)。このように種図形Isが秩序ある配列となった状態を誘導図形Imが完成した状態という。
【0051】
目標時間として規定された期間が終了する前に利用者の吸気期間が開始された場合には、種図形Isが二次元格子の格子点上に整列しないから、誘導図形Imが完成した状態に達する前に種図形Isが再び分散し、利用者は呼気期間が目標時間として規定された期間に達しなかったことを認識する。一方、目標時間として規定された期間が終了した後にも利用者の呼気期間が継続している場合には、誘導図形Imが完成した状態が継続し(右列)、次に吸気期間が開始されると種図形Isは再び分散を開始する(右下)。
【0052】
呼気期間の目標時間は、利用者の自律神経機能や中枢神経の状態によって異なり、また利用者ごとの個人差によっても異なる。したがって、リラックスモードの期間における呼吸センサ5の出力から得られる呼気期間に基づいて呼吸誘導モードの開始当初の目標時間を設定するのが望ましい。呼気期間の目標時間は、呼吸誘導モードの期間において徐々に長くする。ただし、呼気期間の目標時間には上限が設定される。呼気期間の目標時間の上限についても、呼吸誘導モードの開始当初の目標時間と同様に、リラックスモードの期間に計測した呼気期間に基づいて決定するのが望ましい。
【0053】
呼吸誘導モードの期間において、呼気期間の目標時間は、誘導図形Imが完成することを条件として徐々に延長される。すなわち、呼気期間の目標時間は複数段階に設定され、目標時間が到達すべき最終値が規定される。最終値はリラックスモードの期間において呼吸センサ5の出力から求めた利用者の呼吸機能に基づいて設定するのが望ましいが、あらかじめ規定された複数の値から適宜に選択してもよい。
【0054】
本実施形態では、呼気期間の目標時間がある値に設定されているときに誘導図形Imが複数回(たとえば、3回)連続して完成したときに、呼気期間の目標時間を規定した割合(たとえば、20%)あるいは規定した時間(たとえば、1秒)だけ延長し、呼気期間の目標時間が最終値に達するまで、この手順を繰り返すようにしてある。ただし、定められた時間内に目標時間の最終値に達しなければ呼吸誘導モードを終了する。
【0055】
なお、呼気期間の目標時間にポイントを規定しておき、誘導図形Imが完成したときに目標時間に応じて規定したポイントを加算し、呼吸誘導モードの終了時に合計ポイントを画面8に表示するようにしてもよい。このようなポイントを表示すれば、所望の呼吸状態の修得の程度を利用者に客観的に認識させることができるから、呼吸状態を習得することへの動機付けになる。
【0056】
上述の動作では、利用者が誘導図形Imを完成させるには、利用者が呼気期間を目標時間よりも長くするように意識して呼吸を整えればよく、誘導図形Imを完成させたときの満足感を期待して(あるいは、誘導図形Imを完成させようとする欲求により)息を吐く時間を長くしていると、意識しないうちに呼気期間が目標時間の最終値に誘導されることになる。
【0057】
また、種図形Isの分散と収束とは利用者の呼吸に合わせて行われるから、呼気期間が目標時間に達しない場合でも誘導図形Imが完成した状態にならないだけであって、誘導図形Imに呼気期間を合わせるという利用者の意識を途切れさせることなく継続して使用させることができる。また、呼気期間にのみ目標時間を与えており、吸気期間は利用者の自由であって、呼気期間を長くするために息を多く吐いたとしても吸気期間には必要量の空気を吸うことができるから、呼気期間と吸気期間との両方に目標時間を規定する場合に比較すると無理のない呼吸が可能である。
【0058】
上述の動作からわかるように、誘導制御部10は、映像内容提供部12、音響内容提供部13、照明制御部14を通して、呼吸情報提示手段(映像提示装置2、音響提示装置3、照明装置4)に呼吸の状態変化を示す呼吸情報とともに、目標時間の達成を併せて提示することにより利用者の呼吸をあらかじめ定めた呼吸状態に誘導する誘導制御手段として機能する。また、指標として誘導図形Imを用い、呼吸センサ5で検出した利用者の呼吸情報を示す誘導図形Imを構成する種図形Isの収束と分散とにより表現し、かつあらかじめ定めた呼吸状態に誘導するための目標を達成したことを、指標である誘導図形Imの完成(つまり、指標が規定の状態になること)で表しているから、利用者は誘導図形Imの変化を見て自身の呼吸の状態変化を確認し、かつ目標を達成するように呼気期間を整えるだけで、定められた呼吸状態に誘導される。
【0059】
ところで、呼吸誘導モードでは、音響内容提供部13と照明制御部14とは、誘導図形Imの分散と収束とに同期して制御される。具体的には、呼吸誘導モードにおいて、音響内容提供部13は呼吸音に似せた音をスピーカ9から出力させ、照明制御部14はリズム灯23の光出力を変化させる。言い換えると、これらの音や光は呼吸の状態変化と呼吸の時間と量との少なくとも一方に関する目標(つまり、あらかじめ定めた呼吸状態に誘導する目標)を達成することとを併せて提示する指標として機能する。
【0060】
音響内容提供部13が提供する音は、ホワイトノイズを加工することにより呼気音と吸気音とに似せた音を生成し(ホワイトノイズのフィルタリングを行い、呼気音と吸気音との周波数特性を変化させ、たとえば、呼気音は吸気音よりも高い周波数成分を含むようにする)、呼気期間の開始を起点として呼気音に似せた音をスピーカ9から出力させ、また吸気期間の開始を起点として吸気音に似せた音をスピーカ9から出力させる。ここで、音像の位置を移動させると、呼吸に対する利用者の没入感をより高めて呼吸を誘導する効果を高めることができる。
【0061】
たとえば、吸気期間において前方から後方に向かって音像が移動するようにし、呼気期間においては後方から前方に向かって音像が移動するように、前後のスピーカ9の音量(音声信号の増幅率)を調節する。上述のように音像を前後に移動させることによって、息を吸うときには空気を引き込む感覚を利用者に与え、息を吐くときには空気を送り出す感覚を利用者に与えることができる。したがって、呼気期間が目標時間に達したことは、音像が利用者の後方から前方に移動して、後方から聞こえていた音が前方から聞こえるようになることとすればよい。あるいはまた、呼気期間が目標時間に達したときに、別の音(たとえば、「ポロロン」という音)を出力するようにしてもよい。このように特定音や音像の特定位置が、呼吸に関する目標を達成したことを指標が規定の状態になることによって表すことになる。
【0062】
さらに、音像が利用者の後方に位置するときには左右方向における音像の幅を広げ、音像が利用者の前方に位置するときには左右方向における音像の幅を狭めるようにしてもよい。このような制御は、スピーカ9の配置(前方のスピーカ9の左右間隔を後方のスピーカ9の左右間隔よりも狭める配置)により実現することができるが、スピーカ9に入力する音声信号の位相を制御することにより実現してもよい。
【0063】
なお、音響内容提供部13が提供する音を、呼気音や吸気音に似せた音とすることは必須ではなく、呼気期間と吸気期間との開始を示すような音であってもよい。ただし、呼気音や吸気音に似せた音を用いると、利用者に違和感を抱かせることなく意識を集中させることができるから、覚醒効果を高めることができると考えられる。
【0064】
また、照明制御部14は、吸気期間においては時間の経過に伴ってリズム灯23の光出力を増加させ、呼気期間においては時間の経過に伴ってリズム灯23の光出力を低下させる。したがって、呼吸によって肺が膨らんだり縮んだりする感覚を光量変化によって演出することができ、利用者に没入感を与えて呼吸に集中させることができる。
【0065】
ここに、リズム灯23だけではなく、全体灯21やスポット灯22についてもリズム灯23に同期させて光出力を調節してもよい。また、映像内容提供部12により映像提示装置2の画面8に表示される画像についても、リズム灯23の光出力の変化に合わせて輝度を変化させるようにしてもよい。このような照明を用いて呼気期間で目標を達成したことを提示する場合は、室内が明るい状態から暗くなることとしてもよい。さらに、音響提示装置3による音像の移動に伴って照明装置4による配光を変化させるようにしてもよい。たとえば、全体灯21を多灯で構成したり、可動式のスポット灯22を用いたりすることにより、最大照度となる位置を音像の位置に対応付けるようにしてもよい。すなわち、光量や光色や発光位置を指標に用い、これらの指標が特定の状態になることによって目標を達成したことを示すことが可能になる。
【0066】
音響や照明により目標を達成したことを提示する場合に、上述した技術では、呼気期間が目標時間に達したことを利用者に明確に知覚させることはできないから、呼気期間が目標時間に達したことを利用者に知らせるために、呼気期間において呼吸音とは別に目標時間に達したことを知らせる音を付加したり、目標時間に達したときに全体灯21、スポット灯22、リズム灯23の少なくとも1個の点灯状態(光色も含む)を変化させるか別途の表示灯を点灯させたりしてもよい。
【0067】
上述の動作により、定められた呼吸状態に誘導する指標を利用者に提示するとともに、当該指標により利用者の呼吸情報を示すことになる。この機能により、利用者にとっては呼吸を単に意識するのではなく、呼吸情報が視覚や聴覚に明示的に知覚され、結果的に呼吸を目標の状態に到達させる意思を誘発しやすくなる。言い換えると、呼吸の知覚と呼吸の誘導とがシームレスに行われることにより、利用者の呼吸情報(呼吸の状態変化)を無理なく無意識的に目標とする状態に誘導することが可能になる。
【0068】
以上のように、利用者の呼吸の状態変化と呼吸の時間と量との少なくとも一方に関する目標とを利用者にシームレスに提示することができる。利用者は自身の呼吸量の推移を指標の変化により確認しながら指標が規定の状態になるように呼吸を整えるだけで、あらかじめ定められた呼吸状態に誘導されることになる。
【0069】
すなわち、指標の変化は利用者の呼吸の状態変化を表しているから、利用者は指標の変化に合わせることを意識する必要がなく、指標が変化して規定の状態に達したときに目標が達成されているか否かを確認するだけで、定められた呼吸状態に誘導される。言い換えると、指標の変化を確認しながら指標を規定の状態にしようと意識して呼吸を行うだけで目標の呼吸状態に誘導され、小さい達成感により脳に喜びを与えて活性化しながら、所望の呼吸状態に無理なく誘導することが可能になる。
【0070】
刺激する知覚の種類や具体的な内容とは無関係に、吸気期間と呼気期間とにおいて刺激を与える情報の変化として上述した動作を表すと、図4のように考えることができる。図4では、主として呼気を表現する情報Aと、主として吸気を表現する情報Bとを示してあり、吸気期間の開始時点では情報Aのみを提示し、吸気期間においては時間の経過に伴って情報Bの比率を高めている。また、呼気期間の開始時点では情報Bのみを提示し、呼気期間においては時間の経過に伴って情報Aの比率を高めている。
【0071】
上述した例であれば、情報Aは、たとえば誘導図形Imにおいて種図形Isが整列した状態に相当し、情報Bは、たとえば誘導図形Imにおいて種図形Isがもっとも分散した状態に相当する。このように、吸気期間と呼気期間とを同種類の刺激による異なる情報A、Bとして表現し、吸気期間と呼気期間とを示す情報に連続性を持たせることができる。なお、図4においては呼気期間の目標時間が経過した後に、次の吸気期間が開始されるまでの間は、情報Bと情報Aとの比率を変化させないようにしている。この動作は、図3における右列のように種図形Isの位置が変化しない状態に相当する。
【0072】
図4の動作例では、呼気期間の終了時点が吸気期間の開始時点になっているが、目標時間の後に呼気期間が継続していると、呼気期間から吸気期間への移行の際に、情報Aが変化しない状態がしばらく継続した後に変化が開始されるから、不連続感を与える場合がある。すなわち、図3を参照すればわかるように、呼気期間において目標時間に達する前には種図形Isを収束する方向に移動させており、呼気期間において目標時間に達した後には種図形Isが移動しなくなり、誘導図形Imの形状が変形しない状態が継続する。また、このとき、音響や照明についても目標時間に達した後には変化させていない。このように、変化が停止する期間が継続することにより不連続感が生じるのである。
【0073】
不連続感を抑制するには、目標時間に達した時点から情報Aの変化を開始する動作を採用することができる。ただし、この動作では、呼気期間であるにもかかわらず吸気期間の動作に移行するから、目標時間に達した後に呼気期間が長く継続していると、利用者に違和感を与える場合がある。
【0074】
そこで、呼気期間において目標時間に達した後には、吸気期間の開始時点までの間に誘導図形Imの形状をさらに変形させるのが望ましい。たとえば、呼気期間において目標時間に達した後の期間には、図5の右列に示すように、時間の経過に伴って種図形Isの左右の幅寸法を小さくするとともに種図形Isの左右の間隔を小さくするように誘導図形Imを変化させる。また、この変形に加えて時間の経過に伴って輝度を低下させてもよい。あるいはまた、目標時間に達した後には完成した誘導図形Imの上部と下部とを時間の経過に伴って捻れるように変形させたり、誘導図形Imの上下方向の中間部を時間の経過に伴ってくびれるように変形させたりしてもよい。
【0075】
いずれの場合も、目標時間の達成後にも誘導図形Imの変形が止まらないようにし、しかも目標時間に達する前と達した後とでは変形の規則を異ならせることにより、目標時間に達したことを利用者に気付かせることが可能になる。なお、誘導図形Imの形状(全体の形と種図形Isの動き)を変化させるほか、種図形Isの色を変化させる(白→黄→緑など)構成を採用してもよい。
【0076】
上述の例では、呼吸センサ5の出力を用いてセンサ処理部11において吸気期間と呼気期間とを検出し、呼気期間の目標時間を呼気期間の継続時間により規定しているが、センサ処理部11において呼気期間の呼気量を検出し、呼気期間の目標を呼気期間における呼気量の目標量により規定してもよい。また、呼気量が目標量に達したか否かは上述の動作例と同様にして利用者に提示すればよい。
【0077】
さらに、呼気量は時間の経過に伴って変化するから、呼気量の変化を示すように映像、音、照明を制御してもよい。たとえば、映像であれば、図5に示した目標時間に達した後における誘導図形Imの変形パターンと同様に時間の経過に伴って誘導図形Imを縮ませるように変形させ(つまり、肺内の空気量の減少を誘導図形Imに対応付け)、呼気量が目標量に達した時点で誘導図形Imを消せばよい。
【0078】
音であれば、呼気期間において呼気量の増加とともに音量を徐々に低減し(つまり、肺内の空気量の減少を音量に対応付け)、呼気量が目標量に達した時点で音を消せばよい。また、照明であれば、複数の照明器具を配置しておき、呼気期間において呼気量の増加とともに光出力を徐々に低減し、呼気量が目標量に達した時点で一部の照明を消灯させればよい。あるいはまた、混色などによって発光色を変化させることができる照明を用い、呼気期間において呼気量の増加とともに光色を徐々に変化させ、呼気量が目標量に達した時点で特定の光色になるように制御する。
【0079】
以上説明したように、利用者がリフレッシュルームRmの椅子1に着座し、リラックスモードの動作が開始されると、利用者は自律神経機能について副交感神経が優位でありかつ中枢神経が非活性であるリラックス状態に誘導される。その後、呼吸を整える呼吸誘導モードでの動作が開始され、映像、音、照明により利用者の呼気期間が目標時間に達するように誘導されることで、利用者は自律神経機能について副交感神経が優位でありかつ中枢神経が活性である集中状態に誘導される。したがって、リフレッシュルームRmを利用した後には、利用者は脳機能が覚醒することになる。
【0080】
指標として誘導図形による映像を提示する場合、視覚的な指標を与えることにより利用者は覚醒した状態で呼吸が誘導されることになる。その結果、誘導する呼吸状態をヨガや座禅などの呼吸法における深い呼吸とすれば、中枢神経が活性である状態(いわゆる、集中状態ないしリフレッシュ状態)に誘導することが可能になる。
【0081】
また、指標として音を提示する場合、聴覚的な指標を与えることにより利用者が閉眼の状態であっても所望の呼吸状態に誘導することが可能になる。その結果、睡眠の際の呼吸の誘導や自己催眠の際の呼吸の誘導が可能になる。
【0082】
指標として光を提示する場合、指標として誘導図形による映像を提示する場合に比較すると弱い刺激になり、利用者に緊張感を与えずに定めた呼吸状態に誘導することが可能になる。
【0083】
また、利用者をリラックス状態に誘導した後に集中状態に誘導していることにより、交感神経が優位であるストレス状態から呼吸を誘導する場合よりもストレスを低減させて呼吸の誘導を開始することで、短時間で集中状態へ到達することができると考えられる。したがって、交感神経が優位になり記憶や思考に関する脳機能に低下が見られるときに、リフレッシュルームRmを利用することによって短時間で集中状態に誘導して記憶や思考に関する脳機能を活性化することが可能になる。
【0084】
なお、リラックスモードにおいて制限時間を設定しているのと同様に、呼吸誘導モードにおいても制限時間を設定し、制限時間内に呼気期間が目標時間に達していない場合には、制限時間の満了とともに呼吸誘導モードも終了する。
【0085】
上述の構成例では、リフレッシュルームRmにおいて利用者が着座する椅子1を配置しているが、椅子1に代えてベッドを用いてもよい。また、上述した構成例では、椅子1を囲むようにスピーカ9を配置することにより、リフレッシュルームRmの任意の位置に音像を形成することを可能にしているが、椅子1の前方にのみスピーカ9を配置し、スピーカ9に与える音響信号の位相や周波数特性を制御することによって、音像の位置を擬似的に制御する構成を採用することも可能である。この技術を採用すれば、スピーカ9の台数を低減させることができ、リフレッシュルームRmを小型化することが可能になる。あるいはまた、椅子1にスピーカ9を配置することにより、スピーカ9の配置スペースを省スペース化することが可能である。
【0086】
誘導図形Imに関しては、微小な種図形Isを用いて構成するもののほか、紐状などの他の形状の種図形Isを用いて構成することも可能である。また、画像に歪みがある状態や焦点がずれている状態を種図形Isが分散している状態と同様に扱い、画像に歪みがない状態や焦点が合っている状態を誘導図形Imが完成した状態として扱うようにしてもよい。
【0087】
呼吸誘導モードにおいて呼吸情報を利用者に示すための呼吸情報提示手段として、視覚的手段(映像提示装置2の画面8、照明装置4の全体灯21、スポット灯22、リズム灯23)と、音響的手段(音響提示装置3のスピーカ9)とを例示したが、目と耳以外の感覚器に刺激を与える呼吸情報提示手段を構成することも可能である。たとえば、温度変化を利用したり、皮膚への接触を利用したりしてもよい。温度変化を利用する場合には、温風と冷風との送風装置を設けておき、呼気期間と吸気期間とにおいて送風温度を変化させればよい。また、皮膚への接触を利用する場合には、呼気期間と吸気期間とにおいて接触圧を変化させたり、接触部位の温度を変化させたりすればよい。
【符号の説明】
【0088】
2 映像提示装置(呼吸情報提示手段)
3 音響提示装置(呼吸情報提示手段)
4 照明装置(呼吸情報提示手段)
5 呼吸センサ
10 誘導制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の呼吸の状態変化を示す呼吸情報を提示する呼吸情報提示手段と、
提示される前記呼吸情報を、複数個の種図形が分散と収束とを行う間の形状変化として制御する手段とを備える
ことを特徴とする呼吸確認システム。
【請求項2】
利用者の呼吸の状態変化を示す呼吸情報を提示する呼吸情報提示手段と、
提示される前記呼吸情報を、音像の位置変化として制御する手段とを備える
ことを特徴とする呼吸確認システム。
【請求項3】
前記利用者の呼吸を検出する呼吸センサをさらに備えることを特徴とする請求項1又は2記載の呼吸確認システム。
【請求項4】
呼吸センサにより利用者の呼吸を検出する工程と、
前記呼吸センサにより検出された呼吸の状態変化を示す呼吸情報を、呼吸情報提示手段に提示される複数個の種図形が分散と収束とを行う間の形状変化として表す工程とを含む
ことを特徴とする呼吸確認方法。
【請求項5】
呼吸センサにより利用者の呼吸を検出する工程と、
前記呼吸センサにより検出された呼吸の状態変化を示す呼吸情報を、呼吸情報提示手段に提示される音像の位置変化として表す工程とを含む
ことを特徴とする呼吸確認方法。
【請求項6】
利用者の呼吸の状態変化を示す呼吸情報を呼吸情報提示手段に提示する機能と、
提示される前記呼吸情報を、複数個の種図形が分散と収束とを行う間の形状変化として制御する機能とを、コンピュータにより実現することを特徴とするプログラム。
【請求項7】
利用者の呼吸の状態変化を示す呼吸情報を呼吸情報提示手段に提示する機能と、
提示される前記呼吸情報を、音像の位置変化として制御する機能とを、コンピュータにより実現することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−228540(P2012−228540A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−160759(P2012−160759)
【出願日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【分割の表示】特願2008−277495(P2008−277495)の分割
【原出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】