説明

和菓子

【課題】 炊き上げた餅米を味付けした餡部を、包皮部により包餡してなる和菓子を提供すること。
【解決手段】 和菓子は、餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、餡部は、炊き上げた餅米を砂糖で味付けした。このようにして、炊き上げた餅米を砂糖で味付けしたものを餡部として使用しているため、餅米に砂糖の甘みを良好にしみ込ませることができると共に、炊き上げた餅米の粘りけにより、漉し餡とは異なる意外性と心地よい食感とを得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炊き上げた餅米を味付けした餡部を、包皮部により包餡してなる和菓子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、餡部を包皮部により包餡してなる和菓子の一形態として、餡部として、食べられる適度な大きさに加工した魚卵の加工品を使用したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−131081号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記した和菓子では、餡部として魚卵の加工品を使用しているために、日持ちが悪いという不具合がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明では、餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、餡部は、炊き上げた餅米を砂糖で味付けしたものであることを特徴とする和菓子を提供するものである。
【0005】
また、本発明は、以下の構成にも特徴を有する。
【0006】
(1)餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、餡部は、炊き上げた餅米を魚卵の漬け汁中に浸漬して味付けしたものであること。
【0007】
(2)餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、餡部は、炊き上げた餅米をみそで味付けしたものであること。
【0008】
(3)餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、包皮部は、包皮生地に魚卵の漬け汁を混練したものであること。
【0009】
(4)餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、包皮部は、包皮生地にみそ汁を混練したものであること。
【0010】
(5)上記(1)の餡部を、上記(3)の包皮部により包餡したものであること。
【0011】
(6)上記(2)の餡部を、上記(4)の包皮部により包餡したものであること。
【0012】
ここで、魚卵としては、例えば、たらこを使用することができる。
【発明の効果】
【0013】
(1)請求項1記載の本発明に係る和菓子は、餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、餡部は、炊き上げた餅米を砂糖で味付けしたものである。
【0014】
このようにして、炊き上げた餅米を砂糖で味付けしたものを餡部として使用しているため、餅米に砂糖の甘みを良好にしみ込ませることができると共に、炊き上げた餅米の粘りけにより、漉し餡とは異なる意外性と心地よい食感とを得ることができる。
【0015】
(2)請求項2記載の本発明に係る和菓子は、餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、餡部は、炊き上げた餅米を魚卵の漬け汁中に浸漬して味付けしたものである。
【0016】
このようにして、炊き上げた餅米を魚卵の漬け汁中に浸漬して味付けしたものを餡部として使用しているため、餅米に魚卵のエキスを良好にしみ込ませることができて、魚卵のエキスを和菓子として賞味することができる。
【0017】
しかも、餅米に魚卵のエキスを良好にしみ込ませているため、和菓子の日持ちも良好に保持させることができる。
【0018】
(3)請求項3記載の本発明に係る和菓子は、餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、餡部は、炊き上げた餅米をみそで味付けしたものである。
【0019】
このようにして、炊き上げた餅米をみそで味付けしたものを餡部として使用しているため、餅米にみその味を良好にしみ込ませることができると共に、炊き上げた餅米の粘りけとみその味により、漉し餡とは異なる意外性と心地よい食感とを得ることができる。
【0020】
(4)請求項4記載の本発明に係る和菓子は、餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、包皮部は、包皮生地に魚卵の漬け汁を混練したものである。
【0021】
このようにして、包皮生地に魚卵の漬け汁を混練したものを包皮部として使用しているため、包皮生地に魚卵のエキスを良好にしみ込ませることができて、魚卵のエキスを和菓子として賞味することができる。
【0022】
しかも、包皮生地に魚卵の味を良好にしみ込ませているため、和菓子の日持ちも良好に保持させることができる。
【0023】
(5)請求項5記載の本発明に係る和菓子は、餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、包皮部は、包皮生地にみそ汁を混練したものである。
【0024】
このようにして、包皮生地にみそ汁を混練したものを包皮部として使用しているため、意外性はあるものの、一般的に好まれるみその味を和菓子として賞味することができる。
【0025】
(6)請求項6記載の本発明に係る和菓子は、請求項2記載の餡部を、請求項4記載の包皮部により包餡したものである。
【0026】
このようにして、炊き上げえた餅米を魚卵の漬け汁中に浸漬して味付けした餡部を、包皮生地に魚卵の漬け汁を混練した包皮部により包餡しているため、魚卵のエキスを和菓子として包皮部と餡部の両方から賞味することができる。
【0027】
しかも、餡部と包皮生地にそれぞれ魚卵のエキスを良好にしみ込ませているため、和菓子の日持ちも良好に保持させることができる。
【0028】
(7)請求項7記載の本発明に係る和菓子は、請求項3記載の餡部を、請求項5記載の包皮部により包餡したものである。
【0029】
このようにして、炊き上げた餅米をみそで味付けした餡部を、包皮生地にみそ汁を混練した包皮部により包餡しているため、みその味を和菓子として包皮部と餡部の両方から賞味することができる。
【0030】
しかも、餡部と包皮生地にそれぞれみその味を良好にしみ込ませているため、意外性はあるものの、一般的に好まれるみその味を和菓子として賞味することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下に、本発明に係る和菓子の実施の形態として、第1〜第3実施形態について説明する。
〔第1実施形態〕
第1実施形態としての和菓子は、餡部を包皮部により包餡すると共に、餡部は、炊き上げた餅米を砂糖で味付けしたものを使用している。
【0032】
ここで、餡部の配合割合は表1に示す通りであり、また、包皮部の配合割合は表2に示す通りである。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

また、餡部に配合する砂糖の最も好ましい数量は1450重量部であり、また、包皮部に配合する水の最も好ましい数量は340重量部である。
【0035】
次に、上記した和菓子の製造方法について説明すると、餡部と包皮部とを順次製造し、又は、それぞれ平行して製造し、その後、餡部を包皮部により包餡する。
【0036】
ここで、餡部の製造は、以下の順序で行う。なお、原材料の配合割合は表1に示す通りであり、個々の配合量は所定量という。
(1)餅米を洗米して炊く。
(2)所定量の砂糖と豆乳と水を、所定の容器内に配合して沸騰するまで加熱することにより調味液を作る。
(3)調味液が沸騰したところで、この調味液の中に炊き上がった所定量の餅米を入れて、ブツブツ沸騰するまで撹拌する。
(4)調味液に混ぜ込んだ餅米を、さらに5分前後、撹拌しながら煮詰める。
(5)火を止めて、調味液に混ぜ込んだ餅米を冷ましてから餡部として使用する。
【0037】
また、包皮部の製造は、以下の順序で行う。なお、原材料の配合割合は表2に示す通りであり、個々の配合量は所定量という。
(1)容器内にて所定量の粉末山芋と砂糖を良く撹拌する。
(2)上記容器内に所定量の水を注ぎ入れて、木杓子で良く撹拌する。
(3)米の粉とイスハタを篩いに通してほぐした後、上記容器内に入れて良くかき混ぜる。
(4)一定時間(例えば、30分)ねかせる。
(5)上記のようにして製造した餡部と包皮部は、作業台上にて手で包餡するか、又は、包餡機械にて包餡する。
(6)包餡した状態にて約10分前後、110℃の温度にて蒸して仕上げる。
〔第2実施形態〕
第2実施形態としての和菓子は、餡部を包皮部により包餡すると共に、餡部は、炊き上げた餅米を魚卵の漬け汁中に浸漬して味付けしたものを使用すると共に、包皮部は、包皮生地に魚卵の漬け汁を混練したものを使用している。
【0038】
ここで、餡部の配合割合は表3に示す通りであり、また、包皮部の配合割合は表4に示す通りである。
【0039】
【表3】

【0040】
【表4】

また、餡部に配合する魚卵の漬け汁の最も好ましい数量は800重量部であり、また、豆乳の最も好ましい数量は700重量部であり、また、包皮部に配合する魚卵の漬け汁の最も好ましい数量は600重量部である。
【0041】
そして、魚卵の漬け汁の配合割合は、表5に示す通りである。
【0042】
【表5】

次に、上記した和菓子の製造方法について説明すると、餡部と包皮部とを順次製造し、又は、それぞれ平行して製造し、その後、餡部を包皮部により包餡する。
【0043】
ここで、餡部の製造は、以下の順序で行う。なお、原材料の配合割合は表3に示す通りであり、個々の配合量は所定量という。
(1)餅米を洗米して炊く。
(2)所定量の砂糖と魚卵の漬け汁と豆乳を、所定の容器内に配合して沸騰するまで加熱することにより調味液を作る。
(3)調味液が沸騰したところで、この調味液の中に炊き上がった所定量の餅米を入れて、ブツブツ沸騰するまで撹拌する。
(4)調味液に混ぜ込んだ餅米を、さらに5分前後、撹拌しながら煮詰める。
(5)火を止めて、調味液に混ぜ込んだ餅米を冷ましてから餡部として使用する。
【0044】
また、包皮部の製造は、以下の順序で行う。ここで、原材料の配合割合は表4に示す通りであり、個々の配合量は所定量という。
(1)所定量の砂糖に所定量の魚卵の漬け汁をかけて混ぜ合わせ、さらに、所定量の水飴を加えてかき混ぜる。
(2)所定量の薄力粉と脱脂粉乳とイスハタと寒天改良剤とを混合して、篩いに通して塊のない状態にしておく。
(3)色素である赤色106号と黄色4号を混ぜ合わせて、(1)でかき混ぜた砂糖等に入れ、良くかき混ぜて砂糖等を着色する。
(4)(3)において着色した砂糖等に、(2)において篩いに通した薄力粉等をゆっくりかき混ぜて、混合したところで、一定時間(例えば、30分)ねかせる。
(5)上記のようにして製造した餡部と包皮部は、作業台上にて手で包餡するか、又は、包餡機械にて包餡する。
【0045】
この際、餡部と包皮部は、両方が魚卵の漬け汁を含有しているが、餡部と包皮部のいずれか一方だけに魚卵の漬け汁を含有させたものを製造して、包餡することもできる。
(6)包餡した状態にて約10分前後、110℃の温度にて蒸して仕上げる。
【0046】
又は、包餡した状態にて上火180℃、下火80℃の温度で、18分間〜20分間焼成して仕上げる。
【0047】
また、魚卵の漬け汁の製造は、以下の順序で行う。ここで、原材料の配合割合は表5に示す通りであり、個々の配合量は所定量という。
(1)所定量の日本酒を沸騰させ、弱火で5分間加熱することにより、アルコール分をとばす。
(2)上記(1)のアルコール分をとばした日本酒を冷却し、その日本酒の中に所定量の昆布を入れてから30分間〜40分間ねかせる。(3)上記(2)の昆布を入れた日本酒を火にかけて沸騰させ、その後、所定量の鰹節を入れて、弱火で1分間加熱する。
(4)上記(3)の日本酒を目の細かいザルで漉して、液が熱いうちに所定量の唐辛子を加える。
(5)上記(4)で得られた溶液を密封容器に入れて冷ます。
(6)上記(5)で冷ました溶液に魚卵を浸けて、冷蔵庫内にて0℃〜5℃の温度に保持したまま、1週間漬け込む。
(7)一週間後、漬け汁だけを取り出して使用する。
【0048】
また、魚卵の漬け汁は、以下のようにして製造することもできる。
【0049】
すなわち、下記の表6に示す配合割合で、唐辛子と砂糖を加えた調味液に魚卵を浸けて、冷蔵庫内にて0℃〜5℃の温度に保持したまま、1週間漬け込み、一週間後、漬け汁だけを取り出して使用することもできる。
【0050】
【表6】

ここで、調味液としては、例えば、日清食材株式会社製の「明太液 H−V」(商品名)を使用することができる。
〔第3実施形態〕
第3実施形態としての和菓子は、餡部を包皮部により包餡すると共に、餡部は、炊き上げた餅米をみそで味付けしたものを使用すると共に、包皮部は、包皮生地にみそ汁を混練したものを使用している。
【0051】
ここで、餡部の配合割合は表7に示す通りであり、また、包皮部の配合割合は表8に示す通りである。
【0052】
【表7】

【0053】
【表8】

また、餡部に配合するみその最も好ましい数量は500重量部であり、また、砂糖の最も好ましい数量は1450重量部であり、また、包皮部に配合するみそ汁の最も好ましい数量は600重量部である。
【0054】
そして、みそ汁の配合割合は、表9に示す通りである。
【0055】
【表9】

次に、上記した和菓子の製造方法について説明すると、餡部と包皮部とを順次製造し、又は、それぞれ平行して製造し、その後、餡部を包皮部により包餡する。
【0056】
ここで、餡部の製造は、以下の順序で行う。なお、原材料の配合割合は表7に示す通りであり、個々の配合量は所定量という。
(1)餅米を洗米して炊く。
(2)所定量の砂糖と豆乳と水を、所定の容器内に配合して沸騰するまで加熱する。
(3)約60℃位になったら、所定量のみそをざるに入れて、上記(2)の容器内にてみそを木杓子により漉すことにより調味液を作る。
(3)調味液が沸騰したところで、この調味液の中に炊き上がった所定量の餅米を入れて、ブツブツ沸騰するまで撹拌する。
(4)調味液に混ぜ込んだ餅米を、さらに5分前後、撹拌しながら煮詰める。
(5)火を止めて、調味液に混ぜ込んだ餅米を冷ましてから餡部として使用する。
【0057】
また、包皮部の製造は、以下の順序で行う。ここで、原材料の配合割合は表4に示す通りであり、個々の配合量は所定量という。
(1)所定量の砂糖に所定量のみそ汁をかけて混ぜ合わせ、さらに、所定量の水飴を加えてかき混ぜる。
(2)所定量の薄力粉と脱脂粉乳とイスハタと寒天改良剤とを混合して、篩いに通して塊のない状態にしておく。
(3)色素である赤色106号と黄色4号を混ぜ合わせて、(1)でかき混ぜた砂糖等に入れ、良くかき混ぜて砂糖等を着色する。
(4)(3)において着色した砂糖等に、(2)において篩いに通した薄力粉等をゆっくりかき混ぜて、混合したところで、一定時間(例えば、30分)ねかせる。
(5)上記のようにして製造した餡部と包皮部は、作業台上にて手で包餡するか、又は、包餡機械にて包餡する。
【0058】
この際、餡部がみそを含有しているものを製造すると共に、包皮部がみそ汁を含有しているものを製造して包餡しているが、餡部がみそを含有しているものを製造すると共に、包皮部がみそ汁を含有していないものを製造して包餡することも、また、餡部がみそを含有していないものを製造すると共に、包皮部がみそ汁を含有しているものを製造して包餡することもできる。
(6)包餡した状態にて約10分前後、110℃の温度にて蒸して仕上げる。
【0059】
又は、包餡した状態にて上火180℃、下火80℃の温度で、18分間〜20分間焼成して仕上げる。
【0060】
また、みそ汁の製造は、以下の順序で行う。ここで、原材料の配合割合は表9に示す通りであり、個々の配合量は所定量という。
(1)所定の容器内に水と昆布といりこと鰹節を入れて沸騰させる。
(2)上記(1)の容器内の液を、別の容器にザルを通してだし汁だけを移す。
(3)所定量のみそをザルに入れて、上記(2)のだし汁の中で木杓子で漉す。
(4)上記(3)のみそ汁を冷ましてから使用する。
【0061】
次に、上記した本発明に係る第1〜第3実施形態について、それぞれ行った実施例を説明する。
〔実施例1〕
実施例1として、餡部に配合する砂糖の数量を1450重量部に設定して餡部を製造すると共に、包皮部に配合する水の数量を340重量部に設定して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0062】
そして、実施例1で製造した和菓子をそれぞれ100個用意し、100人のパネラーによる試食試験を行った。
【0063】
その結果、炊き上げた餅米に粘りけがあることから、心地よい食感が得られた、という好意的な感想を述べたパネラーが92人いた。
〔実施例2〕
実施例2として、餡部に配合する魚卵としてのたらこの漬け汁の数量を700重量部に設定して餡部を製造すると共に、包皮部に配合する魚卵としてのたらこの漬け汁の数量を500重量部に設定して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0064】
また、比較例1として、餡部に配合するたらこの漬け汁に代えて700重量部の水を配合して餡部を製造すると共に、包皮部に配合するたらこの漬け汁に代えて500重量部の水を配合して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0065】
そして、実施例2及び比較例1で製造した和菓子をそれぞれ100個用意し、100人のパネラーによる試食試験を行った。
【0066】
その結果、実施例2では甘辛いたらこのエキスがじんわりと味わえるのに対して、比較例1では当然のことながらたらこのエキスの味がせず、食味に有意の差が認められた。
〔実施例3〕
実施例3として、餡部に配合するたらこの漬け汁の数量を800重量部に設定して餡部を製造すると共に、包皮部に配合するたらこの漬け汁の数量を600重量部に設定して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0067】
また、比較例2として、餡部に配合するたらこの漬け汁に代えて800重量部の水を配合して餡部を製造すると共に、包皮部に配合するたらこの漬け汁に代えて600重量部の水を配合して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0068】
そして、実施例3及び比較例2で製造した和菓子をそれぞれ100個用意し、100人のパネラーによる試食試験を行った。
【0069】
その結果、実施例3と比較例2とでは、実施例2と比較例1の場合と同様に、たらこのエキスの味の有無という有意の差が認められた以外に、実施例1の和菓子よりも実施例2の和菓子の方が、たらこのエキスの味がより明確に味わえて好ましいという結果がでた。
〔実施例4〕
実施例4として、餡部に配合するたらこの漬け汁の数量を900重量部に設定して餡部を製造すると共に、包皮部に配合するたらこの漬け汁の数量を700重量部に設定して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0070】
また、比較例3として、餡部に配合するたらこの漬け汁に代えて900重量部の水を配合して餡部を製造すると共に、包皮部に配合するたらこの漬け汁に代えて700重量部の水を配合して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0071】
そして、実施例4及び比較例3で製造した和菓子をそれぞれ100個用意し、100人のパネラーによる試食試験を行った。
【0072】
その結果、実施例4と比較例3とでは、実施例2,3と比較例1,2の場合と同様に、たらこのエキスの味の有無という有意の差が認められた以外に、実施例4の和菓子では、実施例3の和菓子に比べて、たらこのエキスの味が強く、比較的には実施例3の和菓子の方が好ましいという結果がでた。
〔実施例5〕
実施例5として、餡部に配合するたらこの漬け汁の数量を600重量部に設定して餡部を製造すると共に、包皮部に配合するたらこの漬け汁の数量を400重量部に設定して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0073】
そして、実施例5で製造した和菓子を100個用意し、100人のパネラーによる試食試験を行った。
【0074】
その結果、実施例5では、実施例2に比べて、たらこのエキスの味が薄く感じられて、少し物足りないという感想が多かった。
〔実施例6〕
実施例6として、餡部に配合するたらこの漬け汁の数量を1000重量部に設定して餡部を製造すると共に、包皮部に配合するたらこの漬け汁の数量を800重量部に設定して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0075】
そして、実施例6で製造した和菓子を100個用意し、100人のパネラーによる試食試験を行った。
【0076】
その結果、実施例6では、実施例4に比べて、たらこのエキスの味が濃く感じられて、少しひつこいと感じるパネラーが多かった。
【0077】
以上のことから、餡部に配合するたらこの漬け汁の好ましい数量は約700〜約900重量部で、最も好ましい数量は約800重量部であり、また、包皮部に配合するたらこの漬け汁の好ましい数量は約500〜約700重量部で、最も好ましい数量は約600重量部であることがわかった。
〔実施例7〕
実施例7として、餡部に配合するみその数量を400重量部に設定して餡部を製造すると共に、包皮部に配合するみそ汁の数量を500重量部に設定して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0078】
また、比較例4として、餡部にみそを配合することなく餡部を製造すると共に、包皮部にみそ汁を配合することなく包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して、実施例1の和菓子を製造した。
【0079】
そして、実施例7及び比較例4で製造した和菓子をそれぞれ100個用意し、100人のパネラーによる試食試験を行った。
【0080】
その結果、実施例7では、うっすらと甘いみその味が味わえるのに対して、比較例4では当然のことながらみその味がせず、実施例7の方が好ましい味と答えたパネラーが過半数(62人)であった。
〔実施例8〕
実施例8として、餡部に配合するみその数量を500重量部に設定して餡部を製造すると共に、包皮部に配合するみそ汁の数量を600重量部に設定して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0081】
また、比較例5として、餡部にみそを配合することなく餡部を製造すると共に、包皮部にみそ汁を配合することなく包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0082】
そして、実施例8及び比較例5で製造した和菓子をそれぞれ100個用意し、100人のパネラーによる試食試験を行った。
【0083】
その結果、実施例8と比較例5とでは、実施例7と比較例4の場合と同様に、うっすらと甘いみその味の有無という有意の差が認められ、実施例8の方が比較例5よりも好ましい味と答えたパネラーが過半数(84人)であった以外に、実施例7の和菓子よりも実施例8の和菓子の方が、みその味がより明確に味わえて好ましいという結果がでた。
〔実施例9〕
実施例9として、餡部に配合するみその数量を600重量部に設定して餡部を製造すると共に、包皮部に配合するみそ汁の数量を700重量部に設定して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0084】
また、比較例6として、餡部にみそを配合することなく餡部を製造すると共に、包皮部にみそ汁を配合することなく包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0085】
そして、実施例9及び比較例6で製造した和菓子をそれぞれ100個用意し、100人のパネラーによる試食試験を行った。
【0086】
その結果、実施例9と比較例6とでは、実施例8と比較例5の場合と同様に、うっすらと甘いみその味の有無という有意の差が認められ、実施例9の方が比較例6よりも好ましい味と答えたパネラーが過半数(68人)であった以外に、実施例9の和菓子よりも実施例8の和菓子の方が、みその味がより明確に味わえて好ましいという結果がでた。
〔実施例10〕
実施例10として、餡部に配合するみその数量を350重量部に設定して餡部を製造すると共に、包皮部に配合するみそ汁の数量を450重量部に設定して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0087】
そして、実施例10で製造した和菓子を100個用意し、100人のパネラーによる試食試験を行った。
【0088】
その結果、実施例10では、実施例7に比べて、みその味が薄く感じられて、少し物足りないという感想が多かった。
〔実施例11〕
実施例11として、餡部に配合するみその数量を650重量部に設定して餡部を製造すると共に、包皮部に配合するみそ汁の数量を750重量部に設定して包皮部を製造し、同包皮部により上記餡部を包餡して和菓子を製造した。
【0089】
そして、実施例11で製造した和菓子を100個用意し、100人のパネラーによる試食試験を行った。
【0090】
その結果、実施例11では、実施例9に比べて、みその味が濃すぎると感じるパネラーが多かった。
【0091】
以上のことから、餡部に配合するみその好ましい数量は約400〜約600重量部で、最も好ましい数量は約500重量部であり、また、包皮部に配合するみそ汁の好ましい数量は約500〜約700重量部で、最も好ましい数量は約600重量部であることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、餡部は、炊き上げた餅米を砂糖で味付けしたものであることを特徴とする和菓子。
【請求項2】
餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、餡部は、炊き上げた餅米を魚卵の漬け汁中に浸漬して味付けしたものであることを特徴とする和菓子。
【請求項3】
餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、餡部は、炊き上げた餅米をみそで味付けしたものであることを特徴とする和菓子。
【請求項4】
餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、包皮部は、包皮生地に魚卵の漬け汁を混練したものであることを特徴とする和菓子。
【請求項5】
餡部を包皮部により包餡してなる和菓子において、包皮部は、包皮生地にみそ汁を混練したものであることを特徴とする和菓子。
【請求項6】
請求項2記載の餡部を、請求項4記載の包皮部により包餡したものであることを特徴とする和菓子。
【請求項7】
請求項3記載の餡部を、請求項5記載の包皮部により包餡したものであることを特徴とする和菓子。

【公開番号】特開2006−340697(P2006−340697A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−171618(P2005−171618)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(505219554)
【Fターム(参考)】