和音演奏支援具
【課題】音楽用として普及しているコードネームを、三味線系の和楽器に使いやすくし、ギター系弦楽器やキーボード系鍵盤楽器においても複雑な和音にコード表を対応させる。
【解決手段】和音演奏支援具はコードネームを表に加工して記載した「シート」、「シート」からコードネームに該当する運指位置を読み取る「カーソル」、「カーソル」で読み取った運指位置を記録する「記録媒体」の3つからなる。特殊コードや分数コード(オンコード)、テンションコードにも対応し高音から低音まで従来のコードブック以上にコードネームによる楽器の運指を幅広くカバーする。
【解決手段】和音演奏支援具はコードネームを表に加工して記載した「シート」、「シート」からコードネームに該当する運指位置を読み取る「カーソル」、「カーソル」で読み取った運指位置を記録する「記録媒体」の3つからなる。特殊コードや分数コード(オンコード)、テンションコードにも対応し高音から低音まで従来のコードブック以上にコードネームによる楽器の運指を幅広くカバーする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弦楽器、鍵盤楽器の和音の構成音が一目瞭然にわかる演奏支援具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、三味線系楽器は、高さの違う二つ以上の音が同時に響いて合成された音(和音)をほとんど用いず、一音ずつ爪弾く楽器であったため、コード表が一般的には存在せず、和音を使う演奏は困難であった。
【0003】
またギター系楽器と鍵盤系楽器については、従来のコード表ではすべての和音の掲載をすると量が膨大になるため掲載せず使用頻度の高い基本的和音を中心に掲載している例が多く、コード表にない複雑な和音が楽譜に書かれている場合、これを演奏するためには似た和音で誤魔化すか、コード理論を学び、コードの意味する音をひとつひとつ拾い出すという、手間のかかる作業をするかを強いられ、どちらを選んでも不満が残った。
【0004】
また、さらに、従来の和音早見表は和音の構成音を表示するだけのものであったり、弦楽器の指板状、または鍵盤楽器の鍵盤状のどちらか一方だけを表示するものであったりでしかなかった。
【0005】
楽器を和音演奏しようとする際、複雑な和音にも対応可能でしかも弦楽器の指板状、鍵盤楽器の鍵盤状に表示する和音早見表があれば楽に、作曲者の意図したとおりの音で演奏出来、大変便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004‐157303号公報
【特許文献2】特開2010‐217851号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「FreeStyleSanshin PLAYGUIDE/フリースタイルサンシンプレイガイド」 作成 株式会社アソビバ(2010年発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
三味線系楽器たとえば、沖縄の三線は、従来、和音をほとんど用いず、一音ずつ爪弾く楽器であった。
このため、沖縄の三線は、コード表が一般的には存在せず、一般に普及しているコードネームが演奏に使われず、工工四(クンクンシー)と呼ばれる専用の楽譜を使用するためコードネームで記載された楽譜では演奏出来なかった。なお、工工四ではちんだみ(調弦)が最も一般的な本調子と言われるCFCのとき、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ♭・ド・レ・ミ・ファ・ソ・・・の各音に、合・乙・老・四・上・中・尺・工・五・六・七・八・・・が対応する。(図3 図4)
【0009】
コード構成音を示す従来の早見表はあったが、従来の早見表では工工四での表示はなされず、その押さえ位置もわからなかった。
【0010】
通常のコード表はすべての和音の掲載をすると量が膨大になるため掲載せず不十分なので掲載されていないコードがあると演奏に困る。
【0011】
三線では同時に3音までしか出せないため4音以上の和音への対応が難しかった。
【0012】
本発明は、コード表が不十分なために和音演奏が困難な楽器での和音演奏が簡単にできるように支援する演奏支援具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、コードネームの示す和音を表示したシートと、このシートから楽器の運指位置を読み取るカーソルと、からなることを特徴とする和音演奏支援具である。
【0014】
請求項2の発明は、コードネームの示す和音を表示した前記シートが、前記カーソルでの読み取りを前提に、作成した、M(メジャー)、m(マイナー)、7(セブンス)、といった様々なコードの型ごとに、AからGまでのすべてのキーをまとめて、ひとつの楽器の指押さえ部を模した勘所図、指板図または鍵盤図の形に、コードの構成音を表示したものを、コードの型ごとに作成して、表にまとめてあり、ひとつひとつのコードの型ごとに、そのコードに含まれる音名を、鍵盤楽器は1列に、弦楽器は弦の本数だけの行を使って、音階を横に並べた表に表示してあり、表の形が、対象楽器の種類により異なり、表の寸法はこれを読み取る前記カーソルと寸法を合わせてあり、同じ音は同じ色やパターンを使って統一的に表示され、コードのルート音を必須音として、和音の響きの決め手になる音を準必須音として、コード理論に基づいて選択し、色やパターンにより明示した、通常よく使うコードだけでなく、特殊コードやテンションコードも掲載可能で、テンションコードはテンションの部分だけ掲載も可能な、コードの構成音表示やコード構成音以外の主な音の音名やコードの型の読み方を表示することを特徴とする請求項1記載の和音演奏支援具である。
【0015】
請求項3の発明は、前記シートから楽器の運指位置を読み取るための前記カーソルが、前記シートに重ねても必要な箇所は下の状態が見えるようになっており、前記シートに重ねることにより、勘所図、指板図または鍵盤図にコードの構成音の位置が表示されるようになっている、前記カーソル上に分数コード (オンコード)の分母部分の音を表示することが出来る、対象楽器によって形状の異なる、請求項1または請求項2記載の和音演奏支援具である。
【0016】
請求項4の発明は、記載された図の中に数個の印をつける事で和音の押え位置が記録できるように作成された、書き込み式の勘所図、指板図または鍵盤図が多数並んだもので、ひとつの和音につきひとつの勘所図、指板図または鍵盤図を使い、前記カーソルにて前記シートから読み取った和音の押える箇所を記録する、楽器用の記録媒体である。
【発明の効果】
【0017】
コードネームの示す和音をカーソルで読み取れるように表示したシートと、このシートから楽器の運指位置を読み取る、前記カーソルと、によって、コード表の作成にコード理論の知識が不要となり、誰でも楽に和音を使う演奏に取り組む事が出来るようになる。
【0018】
本発明により工工四を学んだ者がコードネームで記載された楽曲を三線で容易に演奏することが出来る。
【0019】
本発明によりコード演奏が容易になり、三線では工工四だけではなく市販の楽譜を使えるようになり、扱える音楽のジャンルが広がる。
他の三味線系楽器についても同様である。
【0020】
本発明は、音の多いコードからいくつかの音を省略する必要が出てきた場合でも、必須音と準必須音がわかるようになるため、雰囲気を損なうことなく簡単に和音を簡略化出来る。これは、ギター系楽器や鍵盤系楽器についても同様である。
【0021】
さらに、三味線系楽器以外でフレットを有するドレミ音階の弦楽器であるギター系、ドレミ音階の鍵盤系、その他の楽器へも応用が利くためこれらの楽器にとってはコード表にないコードを探したり、コード表に掲載されているコードであっても異なる押え方を発見するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1(a)】は三線用シート全体の一例を示す図
【図1(b)】は三線用シート全体の一例を示す図
【図2】は三線用シートに含まれるひとつのコードの型の例を示す図
【図3】は三線用カーソルの一例を示す図
【図4】は三線用の記録媒体の一例を示す図
【図5】は三線用の記録媒体の記載例を示す図。ノートは記録媒体の呼称例。
【図6(a)】はギター用のシート全体の一例を示す図
【図6(b)】はギター用のシート全体の一例を示す図
【図6(c)】はギター用のシート全体の一例を示す図
【図7】はギター用シートに含まれるひとつのコードの型の例を示す図
【図8】はギター用カーソルの一例を示す図
【図9】はギター用の記録媒体の一例を示す図
【図10(a)】は鍵盤用のシート全体の一例を示す図
【図10(b)】は鍵盤用のシート全体の一例を示す図
【図11】は鍵盤用シートに含まれるひとつのコードの型の例を示す図
【図12】は鍵盤用カーソルの一例を示す図
【図13】は鍵盤用の記録媒体の一例を示す図
【図14】は鍵盤用カーソルの読み取り例を示す図
【図15】はギター用カーソルの読み取り例を示す図
【図16】は三線用シートの見方の説明を示す図
【図17】は三線用カーソルでの読み取り例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態として第一の実施例および第二、第三の実施例を図1〜17に基づいて説明する。
【実施例1】
【0024】
図10(a)(b)、および図11に示すのは、この和音演奏支援具の鍵盤楽器用のシートで、図10(a)(b)が全体図で、(図11)が、このシートに含まれるコードの型の一例である。(図10)は、カーソルで読み取るために音をマトリックス状に配置したコードネームを、図11を一例とするコードの型をひとつの単位として並べて記載したものである。図10、図11は(1)においてコードネームの型の名称を、上段に表記を、下段に読み方を記載したものである。(13)は、そのコードの型に関する補足情報を表示する欄である。図10、図11の白抜きでキーと表記した行(2)にはカーソルの窓、(図12の7)で選択するべきそのコードのキーが表示されている。シート上には必須音(3)としてルート音を、準必須音(4)としてその和音の響きの決め手になる音をコード理論に基づいて選択し、色分けして明示している。例えば、必須音(3)該当箇所を赤色、準必須音(4)該当箇所を黄色の塗りつぶしで表示する。シートには図10の(5)を一例とする特殊なコード(−5、+5)や、図10の(6)を一例とするテンションコード(‐9、+9、11、+11、13、+13、−13)を掲載しているが、これらを入れても図10のシートは、ほぼA4サイズ程度の用紙2枚程度以内に納まる。
【0025】
このシートにカーソル(図12)を当ててコードを読み取る。カーソルには定規状の板の透明な部分に窓(7)と押さえる位置の表示に使う鍵盤図(11)、があり、カーソルの窓の部分をシート(図10)のコードネーム上の「キー」欄の知りたいキーに合わせるとカーソル上の鍵盤図にコードに該当する音が色分けされて表示される。コードを押える箇所は複数あり、同じ音(オクターブ違いは同じとする)は同じ色で、そのすべてが表示されるので、ここから押さえやすいものを選んでこの和音演奏支援具の記録媒体(図13)に書き取る。
【0026】
例えば、C7というコードの場合、セブンスコードなので図11を使い、キー欄のCの位置に図12の窓(7)を合わせると鍵盤を模したカーソル(12)上に赤色で塗りつぶされた必須音ドと、黄色で塗りつぶされた準必須音シ♭がその他のコード構成音とともに表示される。(図14)これを記録媒体(図13)に書き取る。
【0027】
表示された音の記録に使う記録媒体(図13)には、右に鍵盤図(16)と左に枠(14)が多数並べてある。この鍵盤図の左側の枠(14)にはコード名を書いておき、カーソルで読み取ったコードを書き取るときには右側の鍵盤図の押える位置にマルをつけるだけで簡単に自分だけのコード表が出来上がる。
【0028】
コードによっては音が4つ以上示されるものもあるが、押えにくい場合は一部の音を省略することも出来る。シートでは一例としてその際省略すべきでない必須音を赤で、準必須音を黄で表示しているので、この2色を含むように音を選択することで、雰囲気を損なうことなく簡単に和音を簡略化出来る。しかし、どうしても押さえにくい場合は赤や黄で示す音であっても省略することはいたしかたない。
【0029】
この和音演奏支援具は、低音を指定した分数コード (オンコード)にも対応するため、カーソル(図12の8)または記録媒体(図13の12)に鍵盤図に沿って分数コードの分母の音が記載されているが、記載は8か12のどちらか一方でよい。コードネームが分数コードである場合は、ここ(図12の8)または(図13の12)に指し示された音から分母の音を選択することが出来る。
【0030】
また、高音を指定したテンションコードについてもシートの(図10bの6)以降に記載されているので、通常のコードを読み取ったのち、テンションを読み取る、という2段階を踏むことで、テンションコードもカバー出来る。テンションコードは高い音を選択するのが望ましいが押えにくい場合もあるため選択肢はいくつかあり、好みで選択しても構わない。
【0031】
こうして記録媒体(図13)上には読み取ったコードネームの一覧表が出来上がる。
記録媒体(図13)は普通紙、加除式用紙、付箋紙状用紙といった紙媒体のみならず、データファイル等、様々な形態が考えられる。
【実施例2】
【0032】
図6(a)(b)(c)および図7に示すのは、この和音演奏支援具のギター用のシートで、図6(a)(b)(c)が全体図で、(図7)が、このシートに含まれるコードの型の一例である。(図6)は、カーソルで読み取るために音をマトリックス状に配置したコードネームを、図7を一例とするコードの型をひとつの単位として並べて記載したものである。図6、図7は(1)においてコードネームの型の名称を、上段に表記を、下段に読み方を記載したものである。(13)は、そのコードの型に関する補足情報を表示する欄である。図6、図7の白抜きでキーと表記した行(2)にはカーソルの窓、図8の(7)で選択するべきそのコードのキーが表示されている。シート上には必須音(3)としてルート音を、準必須音(4)としてその和音の響きの決め手になる音をコード理論に基づいて選択し、色分けして明示している。例えば、必須音(3)該当箇所を赤色、準必須音(4)該当箇所を黄色の塗りつぶしで表示する。シートには図6bの(5)を一例とする特殊なコード(−5、+5)や、図6cの(6)を一例とするテンションコード(‐9、+9、11、+11、13、+13、−13)を掲載しているが、これらを入れても図6のシートは、ほぼA4サイズ程度の用紙2〜3枚に納まる。
【0033】
このシートにカーソル(図8)を当ててコードを読み取る。カーソルには定規状の板の透明な部分に窓(7)とギターで弦を押さえるポジションの表示に使う指板図(10)、があり、カーソルの窓(7)の部分をシートのコードネーム上の「キー」欄の知りたいキーに合わせるとカーソル上の指板図(10)にコードに該当する音が色分けされて表示される。コードを押える箇所は複数あり、同じ音(オクターブ違いは同じとする)は同じ色で、そのすべてが表示されるので、ここから押さえやすいものを選んでこの和音演奏支援具の記録媒体(図9)に書き取る。
【0034】
例えば、CM7というコードの場合、メジャーセブンスコードなので図7を使い、キー欄のCの位置に図8の窓(7)を合わせると指板を模したカーソル(10)上に赤色で塗りつぶされた必須音ドと、黄色で塗りつぶされた準必須音シがその他のコード構成音とともに表示される。(図15)これを記録媒体(図9)に書き取る。
【0035】
表示された音の記録に使う記録媒体(図9)には、右に指板図(16)と左に枠(14)が多数並べてある。指板図の中の○は開放弦を示す。弦の位置関係は見やすく演奏者の視点で横向きに配置してある。この指板図の左側の枠(14)にはコード名を書いておき、カーソルで読み取ったコードを書き取るときには右側の指板図の押える位置にマルをつけるだけで簡単に自分だけのコード表が出来上がる。
【0036】
コードによっては音が4つ以上示されるものもあるが、押えにくい場合は一部の音を省略することも出来る。シートでは一例としてその際省略すべきでない必須音を赤で、準必須音を黄で表示しているので、この2色を含むように音を選択することで、雰囲気を損なうことなく簡単に和音を簡略化出来る。しかし、どうしても押さえにくい場合は赤や黄で示す音であっても省略することはいたしかたない。
【0037】
この和音演奏支援具は、低音を指定した分数コード (オンコード)にも対応するため、カーソル(図8の8)または記録媒体(図9の12)に6弦に沿って分数コードの分母の音が記載されているが、記載は8か12のどちらか一方でよい。コードネームが分数コードである場合は、ここ(図8の8)または(図9の12)に指し示された音から分母の音を選択することが出来る。
【0038】
また、高音を指定したテンションコードについてもシートの(図6cの6)以降に記載されているので、通常のコードを読み取ったのち、テンションを読み取る、という2段階を踏むことで、テンションコードもカバー出来る。テンションコードは高い音を選択するのが望ましいが押えにくい場合もあるため選択肢はいくつかあり、好みで選択しても構わない。
【0039】
こうして記録媒体(図9)上には読み取ったコードネームの一覧表が出来上がる。
記録媒体(図9)は普通紙、加除式用紙、付箋紙状用紙といった紙媒体のみならず、データファイル等、様々な形態が考えられる。
【実施例3】
【0040】
図1(a)(b)および図2に示すのは、この和音演奏支援具の三線用のシートで、図1(a)(b)が全体図で、(図2)が、このシートに含まれるコードの型の一例である。(図1)は、カーソルで読み取るために音をマトリックス状に配置したコードネームを、図2を一例とするコードの型をひとつの単位として並べて記載したものである。図1、図2は(1)においてコードネームの型の名称を、上段に表記を、下段に読み方を記載したものである。(13)は、そのコードの型に関する補足情報を表示する欄である。図1、図2の白抜きでキーと表記した行(2)にはカーソルの窓、図3の(7)で選択するべきそのコードのキーが表示されている。シート上には必須音(3)としてルート音を、準必須音(4)としてその和音の響きの決め手になる音をコード理論に基づいて選択し、色分けして明示している。例えば、必須音(3)該当箇所を赤色、準必須音(4)該当箇所を黄色の塗りつぶしで表示する。シートには図1bの(5)を一例とする特殊なコード(−5、+5)や、図1bの(6)を一例とするテンションコード(‐9、+9、11、+11、13、+13、−13)を掲載しているが、これらを入れても図1のシートは、ほぼA4サイズ程度の用紙2枚に納まるので、硬質クリアケースの両面に入れれば1枚の下敷となり手軽に扱える。
【0041】
このシートにカーソル(図3)を当ててコードを読み取る。カーソルには定規状の板の透明な部分に窓(7)と三線で弦を押さえるポジションの表示に使う勘所図(9)、があり、カーソルの窓の部分をシートのコードネーム上の「キー」欄の知りたいキーに合わせるとカーソル上の勘所図にコードに該当する音が色分けされて表示される。コードを押える箇所は複数あり、同じ音(オクターブ違いは同じとする)は同じ色で、そのすべてが表示されるので、ここから押さえやすいものを選んでこの和音演奏支援具の記録媒体(図4)に書き取る。
【0042】
表示された音の記録に使う記録媒体(図4)には、右に勘所図(15)と左側に枠(14)が多数並べてある。勘所図の左側で囲みの付いていない工、四、合、は開放弦。弦の位置関係は見やすく演奏者の視点で横向きに配置してある。この勘所図の左側の枠にはコード名を書いておき、カーソルで読み取ったコードを書き取るときには右側(15)の勘所図に押える位置にマルをつけるだけで簡単に自分だけのコード表が出来上がる。記載例は図5である。ただし、図5のノートは説明用に記録媒体に付けた呼称例である。
【0043】
例えば、B♭/Cというコードの場合、記録媒体(図4の14)にはB♭/Cと書く(図5)。(図16)で分子がメジャーコードなので図1を使い、キー欄のB♭の位置に図3の窓(7)を合わせると勘所図を模したカーソル(9)上に赤色で塗りつぶされた必須音ドと、黄色で塗りつぶされた準必須音ミがその他のコード構成音とともに表示される(図16・17)。
また、このコードの分母の部分はCである。分母はベース音を指定しているので、低音でCの音を選択したい。そこでカーソル(図3)の下部のonと書かれているところの右側に並んだコード名のCの欄を見ると、上に指示棒が伸びて合と下尺を指している。これがCの音を指している。ベース音は低い方がいいので合を選択することで男弦は合と決定するので記録媒体の合のところにマルをつける(図5)。分数コードでなければこの作業は不要。あとは図17より赤色の必須音と黄色の準必須音とを選択すれば、女弦が五、中弦が尺と決定するので、これを記録媒体(図4の15)に書き取る。書き取ったものが図5である。
【0044】
コードによっては音が4つ以上示されるものもあるが、3音しか鳴らせない三線等は一部の音を省略する。シートでは一例としてその際省略すべきでない必須音を赤で、準必須音を黄で表示しているので、この2色を含むように音を選択することで、雰囲気を損なうことなく簡単に和音を簡略化出来る。しかし、どうしても押さえにくい場合は赤や黄で示す音であっても省略することはいたしかたない。
【0045】
この和音演奏支援具は、低音を指定した分数コード (オンコード)にも対応するため、カーソル(図3)には分数コードの分母の音が記載されている(8)。Cならば合または下尺、Fならば四または下老、という具合に1弦と2弦とで各1箇所ずつ指し示してある。コードネームが分数コードである場合は、ここに指し示された音から分母の音を選択することが出来る。低い音を選択するのが望ましいが押えにくい場合もあるため選択肢は2音あり、好みで選択しても構わない。
【0046】
また、高音を指定したテンションコードについてもシートの(図1bの6)以降に記載されているので、通常のコードを読み取ったのち、テンションを読み取る、という2段階を踏むことで、テンションコードもカバー出来る。テンションコードは高い音を選択するのが望ましいが押えにくい場合もあるため選択肢はいくつかあり、好みで選択しても構わない。
【0047】
こうして記録媒体(図4)上には読み取ったコードネームの一覧表が出来上がる。
記録媒体(図4)は普通紙、加除式用紙、付箋紙状用紙といった紙媒体のみならず、データファイル等、様々な形態が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
弦楽器、鍵盤楽器等の和音演奏可能な楽器の表現力の拡張、また、音楽学習者のための和音教材として利用可能性がある。
【符号の説明】
【0049】
1 シート コードの型の名称。上段が表記、下段が読み方。
2 シート コードのキー
3 シート 必須音の表示 一例として赤で表示
4 シート 準必須音の表示 一例として黄で表示
5 シート 特殊なコードの一例
6 シート テンションコードの一例
7 カーソル 窓
8 カーソル オンコード表示
9 カーソル 勘所図
10 カーソル 指板図
11 カーソル 鍵盤図
12 記録媒体 オンコード表示(省略可)
13 シート 補足情報を記載するための参考欄
14 記録媒体 枠
15 記録媒体 勘所図
16 記録媒体 指板図
17 記録媒体 鍵盤図
【技術分野】
【0001】
本発明は、弦楽器、鍵盤楽器の和音の構成音が一目瞭然にわかる演奏支援具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、三味線系楽器は、高さの違う二つ以上の音が同時に響いて合成された音(和音)をほとんど用いず、一音ずつ爪弾く楽器であったため、コード表が一般的には存在せず、和音を使う演奏は困難であった。
【0003】
またギター系楽器と鍵盤系楽器については、従来のコード表ではすべての和音の掲載をすると量が膨大になるため掲載せず使用頻度の高い基本的和音を中心に掲載している例が多く、コード表にない複雑な和音が楽譜に書かれている場合、これを演奏するためには似た和音で誤魔化すか、コード理論を学び、コードの意味する音をひとつひとつ拾い出すという、手間のかかる作業をするかを強いられ、どちらを選んでも不満が残った。
【0004】
また、さらに、従来の和音早見表は和音の構成音を表示するだけのものであったり、弦楽器の指板状、または鍵盤楽器の鍵盤状のどちらか一方だけを表示するものであったりでしかなかった。
【0005】
楽器を和音演奏しようとする際、複雑な和音にも対応可能でしかも弦楽器の指板状、鍵盤楽器の鍵盤状に表示する和音早見表があれば楽に、作曲者の意図したとおりの音で演奏出来、大変便利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004‐157303号公報
【特許文献2】特開2010‐217851号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「FreeStyleSanshin PLAYGUIDE/フリースタイルサンシンプレイガイド」 作成 株式会社アソビバ(2010年発行)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
三味線系楽器たとえば、沖縄の三線は、従来、和音をほとんど用いず、一音ずつ爪弾く楽器であった。
このため、沖縄の三線は、コード表が一般的には存在せず、一般に普及しているコードネームが演奏に使われず、工工四(クンクンシー)と呼ばれる専用の楽譜を使用するためコードネームで記載された楽譜では演奏出来なかった。なお、工工四ではちんだみ(調弦)が最も一般的な本調子と言われるCFCのとき、ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ♭・ド・レ・ミ・ファ・ソ・・・の各音に、合・乙・老・四・上・中・尺・工・五・六・七・八・・・が対応する。(図3 図4)
【0009】
コード構成音を示す従来の早見表はあったが、従来の早見表では工工四での表示はなされず、その押さえ位置もわからなかった。
【0010】
通常のコード表はすべての和音の掲載をすると量が膨大になるため掲載せず不十分なので掲載されていないコードがあると演奏に困る。
【0011】
三線では同時に3音までしか出せないため4音以上の和音への対応が難しかった。
【0012】
本発明は、コード表が不十分なために和音演奏が困難な楽器での和音演奏が簡単にできるように支援する演奏支援具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、コードネームの示す和音を表示したシートと、このシートから楽器の運指位置を読み取るカーソルと、からなることを特徴とする和音演奏支援具である。
【0014】
請求項2の発明は、コードネームの示す和音を表示した前記シートが、前記カーソルでの読み取りを前提に、作成した、M(メジャー)、m(マイナー)、7(セブンス)、といった様々なコードの型ごとに、AからGまでのすべてのキーをまとめて、ひとつの楽器の指押さえ部を模した勘所図、指板図または鍵盤図の形に、コードの構成音を表示したものを、コードの型ごとに作成して、表にまとめてあり、ひとつひとつのコードの型ごとに、そのコードに含まれる音名を、鍵盤楽器は1列に、弦楽器は弦の本数だけの行を使って、音階を横に並べた表に表示してあり、表の形が、対象楽器の種類により異なり、表の寸法はこれを読み取る前記カーソルと寸法を合わせてあり、同じ音は同じ色やパターンを使って統一的に表示され、コードのルート音を必須音として、和音の響きの決め手になる音を準必須音として、コード理論に基づいて選択し、色やパターンにより明示した、通常よく使うコードだけでなく、特殊コードやテンションコードも掲載可能で、テンションコードはテンションの部分だけ掲載も可能な、コードの構成音表示やコード構成音以外の主な音の音名やコードの型の読み方を表示することを特徴とする請求項1記載の和音演奏支援具である。
【0015】
請求項3の発明は、前記シートから楽器の運指位置を読み取るための前記カーソルが、前記シートに重ねても必要な箇所は下の状態が見えるようになっており、前記シートに重ねることにより、勘所図、指板図または鍵盤図にコードの構成音の位置が表示されるようになっている、前記カーソル上に分数コード (オンコード)の分母部分の音を表示することが出来る、対象楽器によって形状の異なる、請求項1または請求項2記載の和音演奏支援具である。
【0016】
請求項4の発明は、記載された図の中に数個の印をつける事で和音の押え位置が記録できるように作成された、書き込み式の勘所図、指板図または鍵盤図が多数並んだもので、ひとつの和音につきひとつの勘所図、指板図または鍵盤図を使い、前記カーソルにて前記シートから読み取った和音の押える箇所を記録する、楽器用の記録媒体である。
【発明の効果】
【0017】
コードネームの示す和音をカーソルで読み取れるように表示したシートと、このシートから楽器の運指位置を読み取る、前記カーソルと、によって、コード表の作成にコード理論の知識が不要となり、誰でも楽に和音を使う演奏に取り組む事が出来るようになる。
【0018】
本発明により工工四を学んだ者がコードネームで記載された楽曲を三線で容易に演奏することが出来る。
【0019】
本発明によりコード演奏が容易になり、三線では工工四だけではなく市販の楽譜を使えるようになり、扱える音楽のジャンルが広がる。
他の三味線系楽器についても同様である。
【0020】
本発明は、音の多いコードからいくつかの音を省略する必要が出てきた場合でも、必須音と準必須音がわかるようになるため、雰囲気を損なうことなく簡単に和音を簡略化出来る。これは、ギター系楽器や鍵盤系楽器についても同様である。
【0021】
さらに、三味線系楽器以外でフレットを有するドレミ音階の弦楽器であるギター系、ドレミ音階の鍵盤系、その他の楽器へも応用が利くためこれらの楽器にとってはコード表にないコードを探したり、コード表に掲載されているコードであっても異なる押え方を発見するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1(a)】は三線用シート全体の一例を示す図
【図1(b)】は三線用シート全体の一例を示す図
【図2】は三線用シートに含まれるひとつのコードの型の例を示す図
【図3】は三線用カーソルの一例を示す図
【図4】は三線用の記録媒体の一例を示す図
【図5】は三線用の記録媒体の記載例を示す図。ノートは記録媒体の呼称例。
【図6(a)】はギター用のシート全体の一例を示す図
【図6(b)】はギター用のシート全体の一例を示す図
【図6(c)】はギター用のシート全体の一例を示す図
【図7】はギター用シートに含まれるひとつのコードの型の例を示す図
【図8】はギター用カーソルの一例を示す図
【図9】はギター用の記録媒体の一例を示す図
【図10(a)】は鍵盤用のシート全体の一例を示す図
【図10(b)】は鍵盤用のシート全体の一例を示す図
【図11】は鍵盤用シートに含まれるひとつのコードの型の例を示す図
【図12】は鍵盤用カーソルの一例を示す図
【図13】は鍵盤用の記録媒体の一例を示す図
【図14】は鍵盤用カーソルの読み取り例を示す図
【図15】はギター用カーソルの読み取り例を示す図
【図16】は三線用シートの見方の説明を示す図
【図17】は三線用カーソルでの読み取り例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態として第一の実施例および第二、第三の実施例を図1〜17に基づいて説明する。
【実施例1】
【0024】
図10(a)(b)、および図11に示すのは、この和音演奏支援具の鍵盤楽器用のシートで、図10(a)(b)が全体図で、(図11)が、このシートに含まれるコードの型の一例である。(図10)は、カーソルで読み取るために音をマトリックス状に配置したコードネームを、図11を一例とするコードの型をひとつの単位として並べて記載したものである。図10、図11は(1)においてコードネームの型の名称を、上段に表記を、下段に読み方を記載したものである。(13)は、そのコードの型に関する補足情報を表示する欄である。図10、図11の白抜きでキーと表記した行(2)にはカーソルの窓、(図12の7)で選択するべきそのコードのキーが表示されている。シート上には必須音(3)としてルート音を、準必須音(4)としてその和音の響きの決め手になる音をコード理論に基づいて選択し、色分けして明示している。例えば、必須音(3)該当箇所を赤色、準必須音(4)該当箇所を黄色の塗りつぶしで表示する。シートには図10の(5)を一例とする特殊なコード(−5、+5)や、図10の(6)を一例とするテンションコード(‐9、+9、11、+11、13、+13、−13)を掲載しているが、これらを入れても図10のシートは、ほぼA4サイズ程度の用紙2枚程度以内に納まる。
【0025】
このシートにカーソル(図12)を当ててコードを読み取る。カーソルには定規状の板の透明な部分に窓(7)と押さえる位置の表示に使う鍵盤図(11)、があり、カーソルの窓の部分をシート(図10)のコードネーム上の「キー」欄の知りたいキーに合わせるとカーソル上の鍵盤図にコードに該当する音が色分けされて表示される。コードを押える箇所は複数あり、同じ音(オクターブ違いは同じとする)は同じ色で、そのすべてが表示されるので、ここから押さえやすいものを選んでこの和音演奏支援具の記録媒体(図13)に書き取る。
【0026】
例えば、C7というコードの場合、セブンスコードなので図11を使い、キー欄のCの位置に図12の窓(7)を合わせると鍵盤を模したカーソル(12)上に赤色で塗りつぶされた必須音ドと、黄色で塗りつぶされた準必須音シ♭がその他のコード構成音とともに表示される。(図14)これを記録媒体(図13)に書き取る。
【0027】
表示された音の記録に使う記録媒体(図13)には、右に鍵盤図(16)と左に枠(14)が多数並べてある。この鍵盤図の左側の枠(14)にはコード名を書いておき、カーソルで読み取ったコードを書き取るときには右側の鍵盤図の押える位置にマルをつけるだけで簡単に自分だけのコード表が出来上がる。
【0028】
コードによっては音が4つ以上示されるものもあるが、押えにくい場合は一部の音を省略することも出来る。シートでは一例としてその際省略すべきでない必須音を赤で、準必須音を黄で表示しているので、この2色を含むように音を選択することで、雰囲気を損なうことなく簡単に和音を簡略化出来る。しかし、どうしても押さえにくい場合は赤や黄で示す音であっても省略することはいたしかたない。
【0029】
この和音演奏支援具は、低音を指定した分数コード (オンコード)にも対応するため、カーソル(図12の8)または記録媒体(図13の12)に鍵盤図に沿って分数コードの分母の音が記載されているが、記載は8か12のどちらか一方でよい。コードネームが分数コードである場合は、ここ(図12の8)または(図13の12)に指し示された音から分母の音を選択することが出来る。
【0030】
また、高音を指定したテンションコードについてもシートの(図10bの6)以降に記載されているので、通常のコードを読み取ったのち、テンションを読み取る、という2段階を踏むことで、テンションコードもカバー出来る。テンションコードは高い音を選択するのが望ましいが押えにくい場合もあるため選択肢はいくつかあり、好みで選択しても構わない。
【0031】
こうして記録媒体(図13)上には読み取ったコードネームの一覧表が出来上がる。
記録媒体(図13)は普通紙、加除式用紙、付箋紙状用紙といった紙媒体のみならず、データファイル等、様々な形態が考えられる。
【実施例2】
【0032】
図6(a)(b)(c)および図7に示すのは、この和音演奏支援具のギター用のシートで、図6(a)(b)(c)が全体図で、(図7)が、このシートに含まれるコードの型の一例である。(図6)は、カーソルで読み取るために音をマトリックス状に配置したコードネームを、図7を一例とするコードの型をひとつの単位として並べて記載したものである。図6、図7は(1)においてコードネームの型の名称を、上段に表記を、下段に読み方を記載したものである。(13)は、そのコードの型に関する補足情報を表示する欄である。図6、図7の白抜きでキーと表記した行(2)にはカーソルの窓、図8の(7)で選択するべきそのコードのキーが表示されている。シート上には必須音(3)としてルート音を、準必須音(4)としてその和音の響きの決め手になる音をコード理論に基づいて選択し、色分けして明示している。例えば、必須音(3)該当箇所を赤色、準必須音(4)該当箇所を黄色の塗りつぶしで表示する。シートには図6bの(5)を一例とする特殊なコード(−5、+5)や、図6cの(6)を一例とするテンションコード(‐9、+9、11、+11、13、+13、−13)を掲載しているが、これらを入れても図6のシートは、ほぼA4サイズ程度の用紙2〜3枚に納まる。
【0033】
このシートにカーソル(図8)を当ててコードを読み取る。カーソルには定規状の板の透明な部分に窓(7)とギターで弦を押さえるポジションの表示に使う指板図(10)、があり、カーソルの窓(7)の部分をシートのコードネーム上の「キー」欄の知りたいキーに合わせるとカーソル上の指板図(10)にコードに該当する音が色分けされて表示される。コードを押える箇所は複数あり、同じ音(オクターブ違いは同じとする)は同じ色で、そのすべてが表示されるので、ここから押さえやすいものを選んでこの和音演奏支援具の記録媒体(図9)に書き取る。
【0034】
例えば、CM7というコードの場合、メジャーセブンスコードなので図7を使い、キー欄のCの位置に図8の窓(7)を合わせると指板を模したカーソル(10)上に赤色で塗りつぶされた必須音ドと、黄色で塗りつぶされた準必須音シがその他のコード構成音とともに表示される。(図15)これを記録媒体(図9)に書き取る。
【0035】
表示された音の記録に使う記録媒体(図9)には、右に指板図(16)と左に枠(14)が多数並べてある。指板図の中の○は開放弦を示す。弦の位置関係は見やすく演奏者の視点で横向きに配置してある。この指板図の左側の枠(14)にはコード名を書いておき、カーソルで読み取ったコードを書き取るときには右側の指板図の押える位置にマルをつけるだけで簡単に自分だけのコード表が出来上がる。
【0036】
コードによっては音が4つ以上示されるものもあるが、押えにくい場合は一部の音を省略することも出来る。シートでは一例としてその際省略すべきでない必須音を赤で、準必須音を黄で表示しているので、この2色を含むように音を選択することで、雰囲気を損なうことなく簡単に和音を簡略化出来る。しかし、どうしても押さえにくい場合は赤や黄で示す音であっても省略することはいたしかたない。
【0037】
この和音演奏支援具は、低音を指定した分数コード (オンコード)にも対応するため、カーソル(図8の8)または記録媒体(図9の12)に6弦に沿って分数コードの分母の音が記載されているが、記載は8か12のどちらか一方でよい。コードネームが分数コードである場合は、ここ(図8の8)または(図9の12)に指し示された音から分母の音を選択することが出来る。
【0038】
また、高音を指定したテンションコードについてもシートの(図6cの6)以降に記載されているので、通常のコードを読み取ったのち、テンションを読み取る、という2段階を踏むことで、テンションコードもカバー出来る。テンションコードは高い音を選択するのが望ましいが押えにくい場合もあるため選択肢はいくつかあり、好みで選択しても構わない。
【0039】
こうして記録媒体(図9)上には読み取ったコードネームの一覧表が出来上がる。
記録媒体(図9)は普通紙、加除式用紙、付箋紙状用紙といった紙媒体のみならず、データファイル等、様々な形態が考えられる。
【実施例3】
【0040】
図1(a)(b)および図2に示すのは、この和音演奏支援具の三線用のシートで、図1(a)(b)が全体図で、(図2)が、このシートに含まれるコードの型の一例である。(図1)は、カーソルで読み取るために音をマトリックス状に配置したコードネームを、図2を一例とするコードの型をひとつの単位として並べて記載したものである。図1、図2は(1)においてコードネームの型の名称を、上段に表記を、下段に読み方を記載したものである。(13)は、そのコードの型に関する補足情報を表示する欄である。図1、図2の白抜きでキーと表記した行(2)にはカーソルの窓、図3の(7)で選択するべきそのコードのキーが表示されている。シート上には必須音(3)としてルート音を、準必須音(4)としてその和音の響きの決め手になる音をコード理論に基づいて選択し、色分けして明示している。例えば、必須音(3)該当箇所を赤色、準必須音(4)該当箇所を黄色の塗りつぶしで表示する。シートには図1bの(5)を一例とする特殊なコード(−5、+5)や、図1bの(6)を一例とするテンションコード(‐9、+9、11、+11、13、+13、−13)を掲載しているが、これらを入れても図1のシートは、ほぼA4サイズ程度の用紙2枚に納まるので、硬質クリアケースの両面に入れれば1枚の下敷となり手軽に扱える。
【0041】
このシートにカーソル(図3)を当ててコードを読み取る。カーソルには定規状の板の透明な部分に窓(7)と三線で弦を押さえるポジションの表示に使う勘所図(9)、があり、カーソルの窓の部分をシートのコードネーム上の「キー」欄の知りたいキーに合わせるとカーソル上の勘所図にコードに該当する音が色分けされて表示される。コードを押える箇所は複数あり、同じ音(オクターブ違いは同じとする)は同じ色で、そのすべてが表示されるので、ここから押さえやすいものを選んでこの和音演奏支援具の記録媒体(図4)に書き取る。
【0042】
表示された音の記録に使う記録媒体(図4)には、右に勘所図(15)と左側に枠(14)が多数並べてある。勘所図の左側で囲みの付いていない工、四、合、は開放弦。弦の位置関係は見やすく演奏者の視点で横向きに配置してある。この勘所図の左側の枠にはコード名を書いておき、カーソルで読み取ったコードを書き取るときには右側(15)の勘所図に押える位置にマルをつけるだけで簡単に自分だけのコード表が出来上がる。記載例は図5である。ただし、図5のノートは説明用に記録媒体に付けた呼称例である。
【0043】
例えば、B♭/Cというコードの場合、記録媒体(図4の14)にはB♭/Cと書く(図5)。(図16)で分子がメジャーコードなので図1を使い、キー欄のB♭の位置に図3の窓(7)を合わせると勘所図を模したカーソル(9)上に赤色で塗りつぶされた必須音ドと、黄色で塗りつぶされた準必須音ミがその他のコード構成音とともに表示される(図16・17)。
また、このコードの分母の部分はCである。分母はベース音を指定しているので、低音でCの音を選択したい。そこでカーソル(図3)の下部のonと書かれているところの右側に並んだコード名のCの欄を見ると、上に指示棒が伸びて合と下尺を指している。これがCの音を指している。ベース音は低い方がいいので合を選択することで男弦は合と決定するので記録媒体の合のところにマルをつける(図5)。分数コードでなければこの作業は不要。あとは図17より赤色の必須音と黄色の準必須音とを選択すれば、女弦が五、中弦が尺と決定するので、これを記録媒体(図4の15)に書き取る。書き取ったものが図5である。
【0044】
コードによっては音が4つ以上示されるものもあるが、3音しか鳴らせない三線等は一部の音を省略する。シートでは一例としてその際省略すべきでない必須音を赤で、準必須音を黄で表示しているので、この2色を含むように音を選択することで、雰囲気を損なうことなく簡単に和音を簡略化出来る。しかし、どうしても押さえにくい場合は赤や黄で示す音であっても省略することはいたしかたない。
【0045】
この和音演奏支援具は、低音を指定した分数コード (オンコード)にも対応するため、カーソル(図3)には分数コードの分母の音が記載されている(8)。Cならば合または下尺、Fならば四または下老、という具合に1弦と2弦とで各1箇所ずつ指し示してある。コードネームが分数コードである場合は、ここに指し示された音から分母の音を選択することが出来る。低い音を選択するのが望ましいが押えにくい場合もあるため選択肢は2音あり、好みで選択しても構わない。
【0046】
また、高音を指定したテンションコードについてもシートの(図1bの6)以降に記載されているので、通常のコードを読み取ったのち、テンションを読み取る、という2段階を踏むことで、テンションコードもカバー出来る。テンションコードは高い音を選択するのが望ましいが押えにくい場合もあるため選択肢はいくつかあり、好みで選択しても構わない。
【0047】
こうして記録媒体(図4)上には読み取ったコードネームの一覧表が出来上がる。
記録媒体(図4)は普通紙、加除式用紙、付箋紙状用紙といった紙媒体のみならず、データファイル等、様々な形態が考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
弦楽器、鍵盤楽器等の和音演奏可能な楽器の表現力の拡張、また、音楽学習者のための和音教材として利用可能性がある。
【符号の説明】
【0049】
1 シート コードの型の名称。上段が表記、下段が読み方。
2 シート コードのキー
3 シート 必須音の表示 一例として赤で表示
4 シート 準必須音の表示 一例として黄で表示
5 シート 特殊なコードの一例
6 シート テンションコードの一例
7 カーソル 窓
8 カーソル オンコード表示
9 カーソル 勘所図
10 カーソル 指板図
11 カーソル 鍵盤図
12 記録媒体 オンコード表示(省略可)
13 シート 補足情報を記載するための参考欄
14 記録媒体 枠
15 記録媒体 勘所図
16 記録媒体 指板図
17 記録媒体 鍵盤図
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コードネームの示す和音を表示したシートと、このシートから楽器の運指位置を読み取るカーソルと、からなることを特徴とする和音演奏支援具。
【請求項2】
コードネームの示す和音を表示した前記シートが、前記カーソルでの読み取りを前提に、作成した、M(メジャー)、m(マイナー)、7(セブンス)、といった様々なコードの型ごとに、AからGまでのすべてのキーをまとめて、ひとつの楽器の指押さえ部を模した勘所図、指板図または鍵盤図の形に、コードの構成音を表示したものを、コードの型ごとに作成して、表にまとめてあり、ひとつひとつのコードの型ごとに、そのコードに含まれる音名を、鍵盤楽器は1列に、弦楽器は弦の本数だけの行を使って、音階を横に並べた表に表示してあり、表の形が、対象楽器の種類により異なり、表の寸法はこれを読み取る前記カーソルと寸法を合わせてあり、同じ音は同じ色やパターンを使って統一的に表示され、コードのルート音を必須音として、和音の響きの決め手になる音を準必須音として、コード理論に基づいて選択し、色やパターンにより明示した、通常よく使うコードだけでなく、特殊コードやテンションコードも掲載可能で、テンションコードはテンションの部分だけ掲載も可能な、コードの構成音表示やコード構成音以外の主な音の音名やコードの型の読み方を表示することを特徴とする請求項1記載の和音演奏支援具。
【請求項3】
前記シートから楽器の運指位置を読み取るための前記カーソルが、前記シートに重ねても必要な箇所は下の状態が見えるようになっており、前記シートに重ねることにより、勘所図、指板図または鍵盤図にコードの構成音の位置が表示されるようになっている、前記カーソル上に分数コード (オンコード)の分母部分の音を表示することが出来る、対象楽器によって形状の異なる、請求項1または請求項2記載の和音演奏支援具。
【請求項4】
記載された図の中に数個の印をつける事で和音の押え位置が記録できるように作成された、書き込み式の勘所図、指板図または鍵盤図が多数並んだもので、ひとつの和音につきひとつの勘所図、指板図または鍵盤図を使い、前記カーソルにて前記シートから読み取った和音の押える箇所を記録する、楽器用の記録媒体。
【請求項1】
コードネームの示す和音を表示したシートと、このシートから楽器の運指位置を読み取るカーソルと、からなることを特徴とする和音演奏支援具。
【請求項2】
コードネームの示す和音を表示した前記シートが、前記カーソルでの読み取りを前提に、作成した、M(メジャー)、m(マイナー)、7(セブンス)、といった様々なコードの型ごとに、AからGまでのすべてのキーをまとめて、ひとつの楽器の指押さえ部を模した勘所図、指板図または鍵盤図の形に、コードの構成音を表示したものを、コードの型ごとに作成して、表にまとめてあり、ひとつひとつのコードの型ごとに、そのコードに含まれる音名を、鍵盤楽器は1列に、弦楽器は弦の本数だけの行を使って、音階を横に並べた表に表示してあり、表の形が、対象楽器の種類により異なり、表の寸法はこれを読み取る前記カーソルと寸法を合わせてあり、同じ音は同じ色やパターンを使って統一的に表示され、コードのルート音を必須音として、和音の響きの決め手になる音を準必須音として、コード理論に基づいて選択し、色やパターンにより明示した、通常よく使うコードだけでなく、特殊コードやテンションコードも掲載可能で、テンションコードはテンションの部分だけ掲載も可能な、コードの構成音表示やコード構成音以外の主な音の音名やコードの型の読み方を表示することを特徴とする請求項1記載の和音演奏支援具。
【請求項3】
前記シートから楽器の運指位置を読み取るための前記カーソルが、前記シートに重ねても必要な箇所は下の状態が見えるようになっており、前記シートに重ねることにより、勘所図、指板図または鍵盤図にコードの構成音の位置が表示されるようになっている、前記カーソル上に分数コード (オンコード)の分母部分の音を表示することが出来る、対象楽器によって形状の異なる、請求項1または請求項2記載の和音演奏支援具。
【請求項4】
記載された図の中に数個の印をつける事で和音の押え位置が記録できるように作成された、書き込み式の勘所図、指板図または鍵盤図が多数並んだもので、ひとつの和音につきひとつの勘所図、指板図または鍵盤図を使い、前記カーソルにて前記シートから読み取った和音の押える箇所を記録する、楽器用の記録媒体。
【図1(a)】
【図1(b)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図6(c)】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図1(b)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図6(c)】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10(a)】
【図10(b)】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−159582(P2012−159582A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17797(P2011−17797)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(711001022)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(711001022)
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