説明

品質工学の学習装置、および学習用プログラム

【課題】品質工学の制御因子に加えて誤差因子の存在と影響を学習させるための品質工学の学習装置を提供する。
【解決手段】球200を投てきすることで品質工学による設計方法を学習させる品質工学の学習装置1であって、基台10と、所定の発射位置から移動することで球を投てきする投てき板50と、投てき板50の移動を阻止する角ピン80と、投てき板50の発射位置を定める位置決め部材60とを備え、基台10の角度、投てき板50の投てき条件、角ピン80の位置、位置決め部材60の爪部61の位置の少なくとも何れか一つの条件を複数の水準で変えることで品質工学の制御因子を設定し、複数の水準に対して更なる可変を加えることで品質工学の誤差因子を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、品質工学の学習装置に係り、特に、品質工学による設計方法を学習させるための学習装置に関する。
【背景技術】
【0002】
設計者が各種機械装置などを設計するには、様々な設計条件を決定していくことが必要となる。設計が悪ければ量産工程や市場にて品質トラブルが多発してしまうが、設計が良ければ各種トラブルを最小限に抑えることが可能となる。このような設計条件を決定する方法として、品質工学の名称で知られている方法論を用いると良いことが知られている。しかし、品質工学は初心者にとっては難解であることから、特別な教育プログラムが組まれる場合が多く、中でも教材を使った実習が有効である。
【0003】
公報記載の従来技術の中で、ゲーム感覚で楽しみながら自然にQC(Quality Control:品質管理)活動の内容を学習させる機器が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。ここでは、QC教育用ゲーム機器のボールを転がせてマット上の設定領域内に停止させることを達成目標とし、その目標を達成する最適条件を見出すに到る実践的活動を経てQC手法やQCストーリ及びQC的ものの見方、考え方を実地に学習する。また、ボールの停止位置の平均値やばらつきを決める要因がボールにあたるハンマーの強さやボールとの接触点や角度、更にはボールとマットとの関係等多くあり、それらの総合結果としてボールの停止位置を決定することで、データに適度のばらつきを発生させている。
【0004】
【特許文献1】特開平5−257423号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、例えば可動するハンマーによって球を打って転がしマットに停止させたり、例えばセットした球を弾性力を使って跳ね飛ばす(投てきする)など、特定の物体の移動範囲を変える装置を使って品質工学を学習させることができる。しかしながら、従来の装置では、品質工学の制御因子(技術者が中心値や最適水準をコントロールできる因子)の理解を促すことに留まり、品質工学の学習装置としては十分なものとは言えなかった。
【0006】
即ち、例えば上記公報記載の球を転がして停止位置を測定する装置では、発射台に設けた貫通孔と、この貫通孔を連結する支持棒とを用いて制御因子を設定している。また、例えば弾性力を使って球を投てきする装置では、例えば、バネの強さや発射の角度を調整して制御因子を設定することも可能である。しかしながら、これらの設定だけでは、実際の機器装置の基本的な設計要素の認識だけに留まり、品質工学の一部である制御因子だけしか学習できなかった。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑み、品質工学の制御因子に加えて誤差因子の存在と影響を学習させるための品質工学の学習装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明が適用される品質工学の学習装置は、複数の部品を結合して構成され、特定の物体を移動させることで品質工学による設計方法を学習させる品質工学の学習装置であって、この複数の部品の何れかの部品に設けられ、特定の物体の移動範囲を変えるために寄与する条件を所定の幅で変えることで品質工学の制御因子を設定するための制御因子設定手段と、この制御因子設定手段により設定される制御因子について所定の幅に比べて小さな幅にて条件を変えることで品質工学の誤差因子を設定するための誤差因子設定手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
ここで、この誤差因子設定手段は、複数の部品のうち特定の部品の装着位置を変えることで誤差因子を設定することを特徴とすれば、本構成を採用しない場合に比べ、例えば装着方向を反転させて装着するなどの操作によって、品質工学の学習者に誤差因子の存在と影響を認識させることが可能となる。
【0010】
また、この誤差因子設定手段は、制御因子設定手段に用いられる部品を交換することで誤差因子の設定を可能とすることを特徴とすれば、例えば発射位置の設定等、例えば制御因子設定手段に用いられる部品毎に制御因子の設定状態を変えることで、本構成を採用しない場合に比べ、品質工学の学習者に対してより良好に誤差因子の存在と影響を認識させることが可能となる。
【0011】
更に、この制御因子設定手段は、所定数の水準に応じて複数の設定箇所を備え、誤差因子設定手段は、制御因子設定手段が備える設定箇所に、誤差設定のための調整箇所を備えていることを特徴とすれば、本構成を採用しない場合に比べ、制御因子と誤差因子との関係を品質工学の学習者により良く理解させることが可能となる。
【0012】
一方、本発明は、球などの物体を投てきすることで品質工学による設計方法を学習させる品質工学の学習装置であって、基台と、この基台に設けられ、所定の発射位置から移動することで物体を投てきする投てき部と、この投てき部の移動を阻止する阻止部と、この投てき部の発射位置を定める発射位置決定部材とを備え、基台の角度、投てき部の投てき条件、阻止部の位置、発射位置決定部材の位置の少なくとも何れか一つの条件を複数の水準で変えることで品質工学の制御因子を設定し、複数の水準に対して更なる可変を加えることで品質工学の誤差因子を設定することを特徴とすることができる。
【0013】
ここで、この投てき部の投てき条件は、投てき部の支点から物体を保持する位置までの腕の長さ、投てき部の移動力、投てき部の材質の少なくとも何れか一つの機械的条件であることを特徴とすることができる。
【0014】
更に、本発明は、複数の部品を結合して構成され特定の物体を移動させることで品質工学による設計方法を学習させる学習装置を用いて得られたデータについて、コンピュータにおける処理を実現させる学習用プログラムであって、この複数の部品の何れかの部品を制御因子とし、水準を変えた複数の制御因子について、これらを組み合わせた条件(例えば直交表の行など)ごとに、複数の制御因子の何れかについて誤差因子を設定した複数パターンの実験結果によるデータを入力機器から取得する機能と、取得したデータから、誤差因子がばらついたときのデータのばらつきに関する値をこの組み合わせた条件ごとに演算する機能と、演算して得られたばらつきに関する値に基づいて、制御因子毎の水準毎のばらつきに関する値を演算する機能とを実現させる。
【0015】
ここで、このコンピュータに、演算して得られた水準毎のばらつきに関する値を、制御因子の要因効果図として例えばディスプレイやプリンタにより印刷される媒体などに表示させる機能を更に実現させることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、品質工学の制御因子に加えて誤差因子を学習させるための品質工学の学習装置、または学習用プログラムを提供することができる。これによって、品質工学の学習者に対し、実際の機器装置の基本的な設計要素と、それらを構成するための例えば部品単位の誤差範囲までを認識させ、その影響を学習させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本実施の形態が適用される学習装置1の斜視図、図2は図1に示す学習装置1を更に詳述するために用いる外観構成図である。図1に示す斜視図は補助台(サブ・ベース)20が所定角度だけ傾けられた状態を示している。図2に示す外観構成図は補助台20が傾けられていない状態を示している。
【0018】
学習装置1は、装置全体を支える基台(ベース)10と、装置の投てき角度を変えるための補助台(サブ・ベース)20とを備えている。補助台20は、基台10に設けられた支点11を中心として図2のA方向に傾動可能であり、投てき作業を行うための機器全体の角度を変え、これらを支えている。角度が変えられた補助台20は、基台10に設けられた支柱12に対してネジ13と目盛側ネジ29とによって固定される。
【0019】
また、基台10には、補助台20の角度を設定するための角度表示板15が設けられている。角度表示板15には、補助台20の勾配をガイドする切り欠き16が設けられている。補助台20の目盛側ネジ29が切り欠き16に案内されることによって補助台20の勾配が制御される。また、角度表示板15には、0度、10度、20度、30度等の補助台20の角度を示す勾配目盛り15aと、この勾配目盛り15aの間に設けられ、小さな幅にて条件を変えるために勾配目盛り15aを細分化する細分勾配目盛り15bとが設けられている。品質工学の学習者は、勾配目盛り15aと細分勾配目盛り15bとによって角度を確認しながら基台10に補助台20を固定することができる。例えば、勾配目盛り15aを10と設定した場合、10を中心に例えば±1の誤差を設定できる。
【0020】
更に、基台10には、位置決め部材60(後述)を取り付けるストッパー基部17が設けられている。そして、このストッパー基部17は、位置決め部材60を揺動可能に支持する中心軸17aを有している。中心軸17aを取り外し、位置決め部材60を交換することが可能である。
【0021】
補助台20には、バネ40の長さを変えるバネ長さ設定台(バネ・ポスト・ベース)30が取り付けられる。このバネ長さ設定台30は、バネ40の一端を保持するバネ保持部31を備えており、固定ネジ32によって補助台20上に固定される。バネ40の長さを変えることで、投てき部の一つである投てき板50(後述)の移動力(回転力)を調整することができる。補助台20上には、スライド目盛り21が設けられている。バネ長さ設定台30は補助台20上を図2のB方向にスライド可能であり、品質工学の学習者は、スライド目盛り21によって位置を確認しながら補助台20上にバネ長さ設定台30を固定することができる。スライド目盛り21には、0、10、20、30等の大目盛りと、この大目盛りの前および/または後に、小さな幅にて条件を変えるための小目盛りとが設けられている。例えば、スライド目盛り21を10と設定した場合、10を中心に例えば±1の誤差を設定できる。
【0022】
また、学習装置1は、投てきを行う腕としての投てき板(プレート)50を有している。この投てき板50は、ヒンジ部材52の一端52bにて、ネジ53によって固定される。ヒンジ部材52は、回転軸52aを中心として回転可能であり、他端52cにバネ40が取り付けられる。そして、投てき板50には、投てきされる球200を配置するカップ54が蝶ネジ55によって固定される。尚、球200の代わりに、円筒形や立方体などの他の形状の物体を配置し、これを投てきすることも可能である。投てき板50には、複数箇所(本実施形態では3箇所)に長穴51(51a、51b、51c)が設けられている。この長穴51a、51b、51cによってカップ54が位置決めされて、投てき板50に固定される。投てき板50は、例えば樹脂部材で形成され、投てきに際して撓る(しなる)ように構成されている(図1参照)。投てき部の一つである投てき板50は、投てき部の支点(回転軸52a)から球200を保持する位置(長穴51(51a、51b、51c))までの腕の長さ、例えばバネ40の種類、バネ40の長さなどによって定められる投てき部の移動力、投てき部の材質などの機械的条件からなる投てき条件を決定して用いられる。
【0023】
カップ54に配置される球200としては、ピンポン球やゴム球などを用いることができる。そして、その表面に、織製の面ファスナーを貼り付けることが有効である。例えばフックとループとが1つの面に混在した織製の面ファスナーを球200の表面に貼り付けることで、投てきした球200をカーペットに貼り付けることができ、簡易かつ正確に、品質工学の学習者が投てき位置を特定することが可能となる。
【0024】
更に、学習装置1は、投てき前の投てき板50の位置を決める位置決め部材(ストッパー)60が設けられる。この位置決め部材60は、基台10のストッパー基部17に支持され、ストッパー基部17の中心軸17aを中心として図のC方向に揺動可能とされている。この位置決め部材60は、投てき板50の端部を引っかける複数(本実施形態では3つ)の爪部61(61a、61b、61c)を有している。また、品質工学の学習者の指が入るような大きさで形成された指入れ穴62が設けられている。爪部61a、61b、61cは、ヒンジ部材52に固定された投てき板50の回転軸52aを水平面とし、その角度が例えば0度、10度、20度等となる位置に形成されている。この爪部61(61a、61b、61c)は、バネ40の張力によって投てき力が保持された投てき板50を、投てき開始まで保持する機能を有している。爪部61(61a、61b、61c)のどの位置で保持するか、によって、投てき部の移動力が変わり、また、投てきに際して移動する投てき板50の移動量が変わる。
【0025】
ここで、本実施の形態では、位置決め部材60として複数の形状からなる部材を差し替え可能としている。図4(a)、(b)は、交換可能なものとして準備される位置決め部材60の例を示した図である。図4(a)に示す位置決め部材60と図4(b)に示す位置決め部材60(2)とは、その爪部61(61(2))の形状が異なっている。即ち、図4(a)に示す位置決め部材60の3つの爪部61a、61b、61cの各々に比べ、図4(b)に示す位置決め部材60(2)の爪部61(2)a、61(2)b、61(2)cは、爪先端がtだけ厚くなっている。tの厚さとしては、例えば3mm程度とすることができる。このように爪先端をtだけ厚くすることで、図2に示す位置決め部材60に代えて位置決め部材60(2)を用いた場合に、投てき前の投てき板50の位置(角度)を、3つの爪部(61a、61b、61cまたは61(2)a、61(2)b、61(2)c)によって設定される幅に比べて小さな幅にて条件を変えることができる。この例では、位置決め部材60(2)を用いると、3つの角度である0度、10度、20度について、位置決め部材60を用いた場合に比べて若干マイナス側に設定することが可能となる。
【0026】
また、学習装置1は、投てきに際して跳ね上がる投てき板50を止める停止プレート70を有している。この停止プレート70は、対向する2枚の板で構成され、ヒンジ部材52の回転軸52aを、この2枚の停止プレート70で支持している。2枚の停止プレート70の各々には、複数(本実施形態では3組)の略十字形状の角ピン用穴71(71a、71b、71c)が設けられている。3組の角ピン用穴71(71a、71b、71c)は、例えば水平面に対して図2に示すA面が約45度、約60度、約75度の角度となるように設けられている。1組の角ピン用穴71には、角ピン80が挿入される(図1参照)。この角ピン用穴71(71a、71b、71c)の図2に示すA面とB面とは約2mmの寸法差がある。角ピン80を2枚の停止プレート70の各々の角ピン用穴71(71a、71b、71c)に挿入することで、角ピン80を堅固に取り付けることができる。この角ピン80によって跳ね上がる投てき板50の回転を止めることが可能となる。
【0027】
図3は、角ピン用穴71a、71b、71cの何れかに挿入される角ピン80を示した斜視図である。角ピン80は、学習者が角ピン80の装着/脱着操作を行う際の持ち手となる持ち手部分81と、停止プレート70の角ピン用穴71a、71b、71cへの挿入操作が行われる先端側82を有している。また、角ピン用穴71(71a、71b、71c)のA面(図2参照)に位置決めされる第1面83(図3の裏側の面)と、突起状に面が形成され角ピン用穴71(71a、71b、71c)のB面(図2参照)に位置決めされる第2面84とを有している。第2面84の幅は角ピン用穴71(71a、71b、71c)のB面を形成する穴の長さと同じか短く、第2面84の突起の高さはA面とB面との高さの差(例えば2mm)と同じか若干、高くなっている。
【0028】
次に、学習装置1にて行われる投てき動作について説明する。
品質工学の学習者は、学習装置1を用いた実験に際し、最初に各種部材の調整を行う。この学習装置1は、品質工学における制御因子と誤差因子とを学習するのに適した装置として提供される。品質工学におけるパラメータ設計では、一般に、機能のばらつきに影響する要因を制御因子と誤差因子とに分けて分析する方法が採用される。
【0029】
ここで制御因子とは、設計に関係する要素であって技術者が自由に選択できる因子である。技術者の意志でその中心値や水準が決定できる変数であり、最適水準を定めて製品設計などに採用できる因子である。例えば、バネ40によって得られる力、腕(投てき板50)の長さ、投てき角度などは、機械装置を設計する技術者にとっては、良い条件を見出せばそこに設定できる因子である。このように、制御因子は、複数の部品の何れかの部品に対し、特定の物体の移動範囲を変えるために寄与する条件を所定の幅で変えることで設定することができる。
【0030】
一方、誤差因子とは、設計に関係する要素であるが技術者が自由に選択できない因子であり、目的とする特性を理想値からばらつかせる原因となる因子である。例えば、量産のために多くのバネ40を作ると、生産されたバネ40は、設定したバネ力ではなく多少の変化幅をもっている。腕(投てき板50)の長さにしても、投てき角度にしても、機構上の設定値は制御因子で決めるが、生産する一個一個の装置にてばらつきが生じてしまう。また、製品を出荷した後にユーザが使用する段階では、ユーザの都合で様々な使われ方がなされる。このようなばらつきは、品質工学の分野では誤差因子と呼ばれている。本実施の形態では、設定される制御因子についてこの制御因子を振るときの所定の幅に比べて小さな幅にて条件を変えることで品質工学の誤差因子を設定することができる。
【0031】
本実施の形態が適用される学習装置1は、球200を投てきするのに必要なバネ40の力、腕の長さ、投てきする角度などを可変できるようになっている。従って学習者は、制御因子としてこれらを、その何れかの値に設定することができる。更に、これら設計条件の量産時の一個一個のばらつきを考慮した設定をすることが可能である。これによって、誤差因子を意図的に現出させることができる。即ち、制御因子設定手段として、複数の部品の何れかの部品に設けられ、特定の物体の移動範囲を変えるために寄与する条件を所定の幅で変えることで品質工学の制御因子を設定する機能を有する。また、誤差因子設定手段として、この制御因子を設定する機能によって設定される所定の幅に比べて小さな幅にて条件を変えることで品質工学の誤差因子を設定する機能を有している。
【0032】
学習装置1にて、制御因子として以下の6つ(A〜F)を設定する。
1.制御因子A … 投てき板50の角度
2.制御因子B … カップ54の位置
3.制御因子C … 投てき板50の種類
4.制御因子D … バネ40の強さ
5.制御因子E … 角ピン80の位置
6.制御因子F … 補助台20の角度
【0033】
上記の制御因子について、各々複数の水準(例えば3つの水準)にて値が変わるように設定を行ない、その都度、投てき実験を行ってデータを取得する。
制御因子Aである「投てき板50の角度」は、位置決め部材60の3つの爪部61a、61b、61cのうち、投てき板50を引っかける爪部61を選択することで設定する。3つの水準として、引っかける爪部61の位置を0度である61a、10度である61b、20度である61cで変えると、バネ40の伸び量が変わり、投てきの強さが変わる。また、投てきに際して投てき板50の移動距離が変わり、球200の投てき条件が変わる。
【0034】
制御因子Bである「カップ54の位置」は、投てき板50に設けられた3つの長穴51a、51b、51cのうち、何れかの長穴51にカップ54を固定することで設定する。カップ54を固定する長穴51を変えると、投てき板50が回転する際の支点(回転軸52a)から球200(カップ54)までの距離が変わり、球200の投てき条件が変わる。尚、長穴51の長辺の一方に取り付けるか他方に取り付けるかは、誤差因子として作用する(後述)。
【0035】
制御因子Cである「投てき板50の種類」は、投てき板50の種類を変えることで設定可能とする。例えば、投てき板50として、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩ビ樹脂(ポリ塩化ビニル)の3種類を準備し、実験に際して交換して取り付ける。投てき板50の材質を変えると、投てき板50の撓る量を変えることが可能となり、投てき条件を変えることができる。
【0036】
制御因子Dである「バネ40の強さ」は、投てき板50に回転力を与えるバネ40の種類を変え、バネ定数の異なるバネ40を実験に際して交換して取り付けることで設定する。バネ40の種類を交換するとバネ力(バネ定数)を変えることができる。これによって投てき板50の回転力が変わり、投てき条件が変わっている。
尚、「バネ40の強さ」は、バネ長さ設定台30を移動させ、バネ40の長さを変えることによっても設定可能である。例えば、バネ40の長さを10mmずつ3水準で変化させることで、3水準のバネ力を設定することが可能となり、投てき条件を変えることができる。
【0037】
制御因子Eである「角ピン80の位置」は、停止プレート70の角ピン用穴71a、71b、71cに対して角ピン80の挿入位置を変えることで設定する。角ピン用穴71a、71b、71cの何れかに角ピン80を挿入することで、投てき動作中の投てき板50の停止位置(角度)を変えることが可能となり、投てき条件を変えることができる。
【0038】
制御因子Fである「補助台20の角度」は、基台10に設けられた支点11を中心として補助台20の角度を変えることで設定できる。設定は、例えば、0度、15度、30度の3水準、10度、20度などの2水準など、角度表示板15に設けられた勾配目盛り15aに合わせて補助台20の角度を変え、ネジ13と目盛側ネジ29とによって補助台20を固定することで行う。補助台20の角度を変えることで投てき角度が変わり、投てき条件が変わる。
【0039】
以上のようにして制御因子A〜Fを設定できるが、学習装置1では、これらの制御因子に加え、以下のような6つの誤差因子(α〜ζ)を設定可能としている。
1.誤差因子α … 投てき板50の角度
2.誤差因子β … カップ54の位置
3.誤差因子γ … バネ長さ設定台30の位置
4.誤差因子δ … 角ピン80の位置
5.誤差因子ε … 補助台20の角度
6.誤差因子ζ … 球200の種類
【0040】
誤差因子αである「投てき板50の角度」は、図4(a)に示す位置決め部材60と、図4(b)に示す位置決め部材60(2)とを交換することで設定する。前述のとおり、図4(a)に示す位置決め部材60の3つの爪部61a、61b、61cの各々に比べ、図4(b)に示す位置決め部材60(2)の爪部61(2)a、61(2)b、61(2)cは、爪先端の形状が異なり、爪先端がtだけ厚くなっている。位置決め部材60と位置決め部材60(2)との両者を交換して用いることで、各角度にて、ばらつきの上限と下限の2種類を考慮した設定ができる。
尚、1種類の位置決め部材60を用いる場合には、例えば図示しない嵌め込み式の部材などを準備し、この嵌め込み式の部材を爪部61の位置などに抜き差しすることで、誤差範囲を調整することも可能である。
【0041】
誤差因子βである「カップ54の位置」は、投てき板50に設けられた3つの長穴51a、51b、51cの各々にて、一方の端(例えば、回転軸52aから離れた側)と他方の端(例えば、回転軸52aに近い側)とを使い分けて固定することで設定できる。長穴51の一方の端と他方の端を利用してカップ54を固定することで、腕の長さについて、ばらつきの上限と下限の2種類を考慮した設定ができる。
【0042】
誤差因子γである「バネ長さ設定台30の位置」は、補助台20上のスライド目盛り21によって位置を確認しながら、バネ長さ設定台30を意図的にずらすことで設定する。例えば、制御因子としてバネ40の長さを10mmずつ3水準で変化させる場合には、例えば±2mm程度、水準位置からずらすことによって、ばらつきの上限と下限の2種類を考慮した設定ができる。また、「バネ長さ設定台30の位置」によって制御因子を設定せず、バネ40の種類を制御因子として変えている場合には、「バネ長さ設定台30の位置」を微調整(例えば±2mm程度)するだけで誤差因子を設定できる。
【0043】
誤差因子δである「角ピン80の位置」は、図3に示す第1面83と第2面84との何れを用いて投てき板50を停止させるか、によって設定する。より具体的には、2枚の停止プレート70に設けられた3組の角ピン用穴71(71a、71b、71c)の各々に対して、第1面83をA面(図2参照)に合わせて角ピン80を挿入するか、逆に反転させて第2面84をB面(図2参照)に合わせて角ピン80を挿入するか、によって設定する。前述のように、A面とB面とは約2mmの寸法差があることから、この差によって投てき板50の停止位置を変えることが可能となり、ばらつきを考慮した2種類の設定ができる。
【0044】
誤差因子εである「補助台20の角度」は、勾配目盛り15aを使用した制御因子Fの設定に対し、細分勾配目盛り15bを使って意図的に角度を若干ずらして設定する。例えば、勾配目盛り15aを10と設定した場合には、この10を中心に±1の誤差を設定する。
【0045】
誤差因子ζである「球200の種類」は、重いゴム球、軽いピンポン球などを選定する。品質工学においては、例えば、製品を出荷した後にユーザが使用する段階にて、ユーザの都合で様々な使われ方がなされる。本実施の形態では、球200の種類はユーザが選択すると考え誤差因子とする。
【0046】
以上のような制御因子と誤差因子とについて、実験計画の水準に合わせて、何れかの部材を設定する。設定が終了した後、球200をカップ54の上において投てきの準備が完了する。投てきを行う際に、学習者は、位置決め部材60の指入れ穴62に指を入れて、中心軸17aを中心として位置決め部材60を揺動させる。位置決め部材60の揺動により、投てき板50が爪部61(61aまたは61bまたは61c)から外れ、バネ40のバネ力、および投てき板50の撓り力によって、図2のD方向に投てき板50が勢いよく回転する。回転した投てき板50は、停止プレート70に挿入されている角ピン80に衝突して回転が止まる。この回転が止まることで投てき板50の弾性力によって投てき板50が更にD方向に撓り、球200が投げ出されて投てきが行われる。
【0047】
学習者は、球200の飛距離を測定し、制御因子と誤差因子とを加味した実験結果から、例えば要因効果図(後述)等を用いて最適条件を選定する。即ち、学習装置1は、バネ40で付勢され回転軸52aを中心にして自在に揺動する腕(投てき板50)から球が投てきされ、所定の飛距離が得られる。本実施の形態が適用される学習装置1は、このバネ40の力、腕(投てき板50)の長さ、投てきの角度などの制御因子からなる設計条件を様々に変えることができ、同時に前述の誤差因子を変えることも可能である。これらの実習を通じ、品質工学における制御因子と誤差因子を学習することができる。
【0048】
〔実験例〕
次に、学習装置1を用いた実験例を説明する。
【0049】
【表1】

この表1では、上述した制御因子A〜制御因子Fまでの6個の設計条件を、各々3通り(3水準)に変えている。
【0050】
更に、設計条件の中心値の周辺にて、通常の製造技術では避けられない値として、表2に示すような誤差因子を設定した。
【0051】
【表2】

ここでは、α〜δまでの4種類の誤差因子を挙げている。飛距離を上げる(飛ぶ条件である)誤差因子をN1、飛ばない方向に働く(飛ばない条件である)誤差因子をN2として一つにまとめた(誤差因子の調合)。ここで誤差因子の調合とは、一般に、出力を小さくする条件を重ねた水準と、出力を大きくする条件を重ねた水準にまとめる作業をいう。尚、球200の種類nも、上述のように誤差因子とする。
【0052】
次に、実験の計画立案である実験計画に際し、L18直交表に制御因子を割付けた。
図5は、L18の直交表に誤差因子を配置した実験配置と実験結果を示した表図である。図5に示す表図において、表1に示した制御因子A〜Fは、L18直交表の3〜8列に割付けられている。n1は球200としてピンポン球を用いた結果であり、n2は球200としてゴム球を用いた結果である。
【0053】
上記結果を受け、図5に示す直交表L18の1行から18行まで、即ち、水準を変えた複数の制御因子について、これらを組み合わせた条件ごとに、以下の計算を行った。
例えば1行目を例にとると、
・全変動ST = 全データの二乗和 = 93813
・一般平均の変動Sm =(データの和)^2 ÷ データ数 = 93330
・誤差分散=(ST−Sm)÷(データ数−1)= 160.9
・一般平均の効果(感度)= 10×log(m) = 43.7
・望目(ぼうもく)SN比 = 10×log(m) = 21.6
ここで、一般平均の効果は、飛距離の平均(m)の二乗を常用対数し、それを10倍した値であり、単位はデシベル(dB)である。
望目SN比(SN比)は、出力に対して目標値を最適とし、プラス、マイナスのどちらにばらついても望ましくない特性値であり、単位はdBである。このSN比は、安定性の度合いを測る尺度として、その比が高くなれば機能性が良くなる。
【0054】
図6は、図5に示す直交表の1行から18行まで、上記の計算結果を示した表図である。L18直交表の1行から18行について、感度(dB)とSN比とが図6のようにして算出される。
尚、本実施の形態ではSN比を特性値としたが、誤差因子のばらつきの程度を把握する指標として他の特性値を採用することも可能である。
【0055】
制御因子の要因効果は、制御因子の条件値ごとに、感度の平均、SN比の平均を求めてグラフに描くことで容易に把握することができる。
図7(a)、(b)は、図6に示す計算結果について、感度およびSN比の要因効果を示した要因効果図である。図7(a)は感度を示し、図7(b)はSN比を示している。縦軸は、感度の平均、SN比の平均を示している。1つの水準について測定結果として存在する6回ごとの平均が算出されてプロットされている。横軸は、L18直交表の1〜8列にて、各々の制御因子につき3水準の値が示されている。例えば3Aは、L18直交表の3列に割り振られた制御因子A「投てき板50の角度」であり、0度、10度、20度の3水準のうち、0度が最も感度が高く、SN比も高いことを示している。例えば7Eは、L18直交表の7列に割り振られた制御因子E「角ピン80の位置」であり、45度、60度、75度の3水準のうち、60度が最も感度が高く、SN比も高いことが理解できる。
【0056】
感度が高いということは飛距離が出ることを意味し、SN比が高いことはばらつきが少ないことを意味している。SN比は、内乱と外乱との影響を受け難いという指標である。従って、SN比の大きいものを選ぶことで誤差の影響が出にくいような制御因子を選ぶことができる。
【0057】
品質工学では、SN比を重視して制御因子の条件が設定される。図7(b)に示す結果から最適条件として、例えば、A1(制御因子A「投てき板50の角度」の0度)、E2(制御因子E「角ピン80の位置」の60度)、F1(制御因子F「角ピンの位置」の45度)を選択する。
次いで感度(飛距離の出る条件)を選定する。図7(a)に示す結果から、A1とD2(制御因子D「バネ強さ」の水準2)を選定する。尚、飛距離は、飛び過ぎても問題であるとし、必ずしも最大ではなく適度なものを選んでいる。
以上のようにして、好ましい制御因子の水準を選定する。
【0058】
その後、上記のようにして水準が選定された制御因子について、確認作業を行う。
ここでは、大きい要因効果を持っている因子の選定した水準について、その平均値を用い最適条件におけるSN比の推定値を算出する。即ち、
・選んだ条件におけるSN比の推定値
= A1の平均 + E2の平均 + F1の平均 − 2×全平均 = 34.6(dB)
・選んだ条件における感度の推定値
= A1の平均 + D2の平均 − 全平均 = 48.2(dB)
【0059】
その後、上記のようにして選ばれた最適条件にて、再度、装置の部品を結合し直し、確認実験を行う。確認実験は、最適条件の水準を選んだ1つの組み合わせだけについて、誤差因子を設定した4回のデータが取得される。この確認実験の結果から感度とSN比とを算出し、実験結果がほぼ再現されていれば、安定性が確認できる。
但し、実際の確認実験にて、再現ができない場合がある。そこで、比較のために同様の手順で最悪条件を選択して確認実験を行い、確認実験の差と、L18の実験結果からの推定値の差とを比較する方法が採用される場合がある。
これらの確認実験によって、選定された制御因子についての安定性を把握することが可能となる。
【0060】
次に、本実施の形態が適用される学習装置1を用いた実験結果を処理するコンピュータシステムについて説明する。
図8は、コンピュータシステム100の全体構成を示した機能ブロック図である。このコンピュータシステム100は、パーソナルコンピュータ(PC)等のコンピュータ(例えば学習装置1とは独立して動作するもの)にインストールされるプログラムにて実行される。ハードウェア資源としては、例えばパーソナルコンピュータのCPU、各種メモリ、ハードディスクなどの大容量記憶媒体、ディスプレイ、キーボードなどの入力デバイスが用いられる。そして、このプログラムによって処理されるデータは、ハードウェア資源である学習装置1にて得られたデータである。
【0061】
コンピュータシステム100は、キーボードやマウスなどの入力機器110、入力機器110より入力された実験計画、表示内容などの各種設定情報を取得する設定情報取得部120、設定情報取得部120により取得された設定情報を記憶する設定情報記憶部130を備えている。また、入力機器110より入力された実験結果などのデータを取得するデータ取得部140、データ取得部140により取得されたデータを記憶するデータ記憶部150を備えている。また、設定情報記憶部130に記憶されている設定情報に基づき、データ取得部140にて取得されたデータに演算処理を施す演算部160、設定情報に基づき演算部160による演算結果を表示情報に変換する表示制御部170を備えている。表示制御部170による表示情報は、ディスプレイ180に出力される。尚、設定情報取得部120、データ取得部140、演算部160、表示制御部170は、例えばパーソナルコンピュータの制御装置(CPU)にて、所定のプログラムによって実行される。
【0062】
次に、データの取得から表示情報生成までの処理について説明する。これらの処理は、コンピュータシステム100の制御装置にてなされるアプリケーションプログラムの実行により実現される。
図9は、データの取得から表示情報生成までの処理を示すフローチャートである。まず、例えばキーボードから入力されたデータがデータ取得部140にて取得され、演算部160では、例えばデータ取得部140から、またはデータ記憶部150から、制御因子が割り付けられた直交表の行ごとに、即ち、水準を変えた複数の制御因子についてこれらを組み合わせた条件ごとに、データを読み出す(ステップ101)。このデータとしては、例えば図5に示す飛距離のデータ(cm)であり、ディスプレイ180に表示された実験配置の欄(N1、N2の欄)に順次、入力されたものを採用する。この行ごとに取得されるデータは、行ごとに誤差因子を振って測定されたデータである。尚、直交表を使わずに、例えば多元配置(全ての組み合わせで実験する方法)を採用することも可能である。かかる場合であっても、水準を変えた複数の制御因子についてこれらを組み合わせた条件ごとにデータを読み出す作業が行われる。
【0063】
演算部160は、直交表の行ごとに、誤差因子を振って測定されたデータにつき、まず全変動ST(=Σ(データ) )を演算する(ステップ102)。次に、演算部160は、一般平均の変動Sm(=(データの和)/データ数)を演算する(ステップ103)。次いで、誤差分散(=(全変動−一般平均の変動)/(データ数−1))を演算する(ステップ104)。そして、感度である一般平均の効果(=10×log(m))を演算する(ステップ105)。次いで、SN比(10×log(m))を算出する(ステップ106)。
【0064】
ここで、以上の演算が最後の行までなされたか否かが判断される(ステップ107)。最後の行ではない場合には、ステップ101へ戻る。最後の行である場合には、その後のステップに示すように、演算して得られたばらつきに関する値に基づいて、制御因子毎の水準毎のばらつきに関する値の演算がなされる。ここでは、まず演算部160にて、制御因子の条件値ごとに、感度の平均、SN比の平均を求める(ステップ108)。そして表示制御部170は、列、水準ごとに平均値のグラフを書き(ステップ109)、列、水準ごとにSN比のグラフを書いて(ステップ110)、これらをディスプレイ180に表示する。表示結果は、例えば図7(a)、(b)のようになる。これによって、演算して得られた水準毎のばらつきに関する値が、制御因子の要因効果図としてディスプレイ180に表示される。尚、出力結果は、ディスプレイ180に表示する代わりに、またはこれに加えて、プリンタなどの印刷装置の媒体に直接、出力することも可能である。
【0065】
以上、詳述したように、本実施の形態が適用される学習装置1によれば、制御因子の設定のみならず、誤差因子である内乱を意図して設定でき、内乱がばらついても強い制御因子を認識させることができる。即ち、学習装置1では、投てき板の角度のばらつき、カップ位置のばらつき、バネ長さ設定台の位置のばらつき、角ピンの位置のばらつき等を、誤差因子として意図的に設定することができる。そして、得られた結果には、意図的に設定された内乱と、球200の種類である外乱とが含まれている。この結果を分析することで、設計に際して無視できない要因である誤差因子の存在を、設計者等に理解させることができる。例えば複写機などの画像形成装置では、ユーザが用いる用紙の種類、ユーザが用いる原稿の濃さ、製品のばらつき等が誤差因子となるが、本実施の形態によれば、設計者等に対して誤差因子の存在を認識させることが可能となり、品質工学に対する知識習得の良好な機会を提供することができる。尚、投てき法の長所としては、学習者が様々な形態の物体を選択でき、それら物体の違いをも因子としてデータを取ることが可能となる点が挙げられる。空中を移動させる間に他の因子、例えば風などの外乱を与えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施の形態が適用される学習装置の斜視図である。
【図2】学習装置を詳述するために用いる外観構成図である。
【図3】角ピン用穴に挿入される角ピンを示した斜視図である。
【図4】(a)、(b)は、交換可能なものとして準備される位置決め部材の例を示した図である。
【図5】L18の直交表に誤差因子を配置した実験配置と実験結果を示した表図である。
【図6】直交表の1行から18行までの計算結果を示した表図である。
【図7】(a)、(b)は、計算結果について感度およびSN比の要因効果を示した要因効果図である。
【図8】コンピュータシステムの全体構成を示した機能ブロック図である。
【図9】データの取得から表示情報生成までの処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
1…学習装置、10…基台(ベース)、20…補助台(サブ・ベース)、30…バネ長さ設定台(バネ・ポスト・ベース)、40…バネ、50…投てき板(プレート)、60…位置決め部材(ストッパー)、70…停止プレート、80…角ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を結合して構成され、特定の物体を移動させることで品質工学による設計方法を学習させる品質工学の学習装置であって、
前記複数の部品の何れかの部品に設けられ、前記特定の物体の移動範囲を変えるために寄与する条件を所定の幅で変えることで品質工学の制御因子を設定するための制御因子設定手段と、
前記制御因子設定手段により設定される前記制御因子について前記所定の幅に比べて小さな幅にて条件を変えることで品質工学の誤差因子を設定するための誤差因子設定手段と
を備えたことを特徴とする品質工学の学習装置。
【請求項2】
前記誤差因子設定手段は、前記複数の部品のうち特定の部品の装着位置を変えることで前記誤差因子を設定することを特徴とする請求項1記載の品質工学の学習装置。
【請求項3】
前記誤差因子設定手段は、前記制御因子設定手段に用いられる部品を交換することで前記誤差因子の設定を可能とすることを特徴とする請求項1記載の品質工学の学習装置。
【請求項4】
前記制御因子設定手段は、所定数の水準に応じて複数の設定箇所を備え、
前記誤差因子設定手段は、前記制御因子設定手段が備える前記設定箇所に、誤差設定のための調整箇所を備えていることを特徴とする請求項1記載の品質工学の学習装置。
【請求項5】
物体を投てきすることで品質工学による設計方法を学習させる品質工学の学習装置であって、
基台と、
前記基台に設けられ、所定の発射位置から移動することで物体を投てきする投てき部と、
前記投てき部の移動を阻止する阻止部と、
前記投てき部の前記発射位置を定める発射位置決定部材とを備え、
前記基台の角度、前記投てき部の投てき条件、前記阻止部の位置、前記発射位置決定部材の位置の少なくとも何れか一つの条件を複数の水準で変えることで品質工学の制御因子を設定し、当該複数の水準に対して更なる可変を加えることで品質工学の誤差因子を設定することを特徴とする品質工学の学習装置。
【請求項6】
前記投てき部の前記投てき条件は、当該投てき部の支点から物体を保持する位置までの腕の長さ、当該投てき部の移動力、当該投てき部の材質の少なくとも何れか一つの機械的条件であることを特徴とする請求項5記載の品質工学の学習装置。
【請求項7】
複数の部品を結合して構成され特定の物体を移動させることで品質工学による設計方法を学習させる学習装置を用いて得られたデータについて、コンピュータにおける処理を実現させる学習用プログラムであって、
前記複数の部品の何れかの部品を制御因子とし、水準を変えた複数の制御因子について、これらを組み合わせた条件ごとに、当該複数の制御因子の何れかについて誤差因子を設定した複数パターンの実験結果によるデータを入力機器から取得する機能と、
取得した前記データから、前記誤差因子がばらついたときのデータのばらつきに関する値を前記組み合わせた条件ごとに演算する機能と、
演算して得られた前記ばらつきに関する値に基づいて、前記制御因子毎の水準毎のばらつきに関する値を演算する機能と
を実現させる学習用プログラム。
【請求項8】
前記コンピュータに、
前記演算して得られた水準毎のばらつきに関する値を、前記制御因子の要因効果図として表示させる機能を更に実現させる請求項7記載の学習用プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−309968(P2008−309968A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156884(P2007−156884)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(591227686)富士ゼロックスエンジニアリング株式会社 (41)