説明

哺乳類のサイトカイン様ポリペプチド−10

【課題】治療のための新規なサイトカイン様ポリペプチド、並びに前記ポリペプチドを含む治療に有効な医薬品組成物を提供する。
【解決手段】Zcyto10と呼ばれる、新規な哺乳類のサイトカイン様ポリペプチド、前記ポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、及び前記ポリペプチドに特異的に結合する抗体、並びに前記抗体に結合する抗イディオタイプ抗体。創傷治癒の助長、及び血小板の増殖の刺激に有効な、精製されたZcyto10ポリペプチドを含んで成る医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
技術の背景
多細胞生物の細胞の増殖及び分化はホルモン及びポリペプチドの増殖因子によって調節されている。これら拡散可能な分子は、細胞に互いに連絡を取らせ、並びに細胞や器官を形成させ、及び傷ついた組織の修復及び再生をさせる。ホルモン及び増殖因子の例は、ステロイドホルモン(例えばエストロゲン、テストステロン)、副甲状腺ホルモン、卵胞刺激ホルモン、インターロイキン類、血小板由来増殖因子(PDGF)、上皮増殖因子(EGF)、顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)、エリスロポエチン(EPO)及びカルシトニンを含む。
【0002】
ホルモン及び増殖因子はタンパク質に結合することによって細胞代謝に影響する。タンパク質は細胞内のシグナル伝達経路、例えばセカンドメッセンジャー系に結びつく膜内在性タンパク質でありうる。他のタンパク質のクラスは可溶性分子である。
特に興味深いものはサイトカイン類、すなわち細胞の増殖及び/又は分化を助長する分子である。サイトカイン類の例は、赤血球の発生を刺激する、エリスロポエチン;巨核球系の細胞の発生を刺激する、トロンボポエチン(TPO);及び好中球の発生を刺激する、顆粒球−コロニー刺激因子;を含む。
【0003】
これらのサイトカイン類は貧血に苦しむ又は癌のための化学療法を受ける患者における、正常な血球レベルの回復において有用である。これらサイトカイン類の明らかにされたin vivo活性は、他のサイトカイン類、サイトカインアゴニスト、及びサイトカインアンタゴニストの非常に大きな臨床上の可能性及び必要性を例示している。
【発明の概要】
【0004】
発明の要約
本発明は、新規ポリペプチド並びに関連の組成物及び方法を提供することによりこの必要性を述べる。一つの観点において、本発明は、Zcyto10と名付けられた、哺乳類の4アルファヘリックスサイトカインをコードする単離されたポリヌクレオチドを提供する。ヒトZcyto10ポリペプチドは配列番号1及び配列番号2において示した様に開始Metを有する176アミノ酸の配列を含んで成る。アミノ残基1〜24はシグナル配列であり、そして成熟Zcyto10ポリペプチドは残基25のロイシンから、アミノ酸残基176のグルタミン酸残基までを含んで成るアミノ酸配列によって表され、これは配列番号12でも定義される。本発明の別の態様は配列番号3及び4の配列によって定義される。配列番号4のポリペプチドは151アミノ酸残基を含んで成り、ここでアミノ酸1〜24はシグナル配列を含んで成り、そして成熟配列はアミノ酸残基25のロイシンから、アミノ酸151のグルタミン酸までを含んで成り、これは配列番号13でも定義される。他の活性変異体は配列番号2のアミノ酸残基33のシステインから、アミノ酸残基176までを含んで成る。この変異体は、配列番号26によっても定義される。
【0005】
マウスZcyto10も配列番号18及び19によって定義された様な176アミノ酸残基を含んで成るポリペプチドである。マウスZcyto10は、配列番号19のアミノ酸残基1のメチオニンから、アミノ酸残基24のグリシンまで伸長したそしてアミノ酸残基24を含むシグナル配列を有する。このように、成熟マウスZcyto10は配列番号19のアミノ酸残基25のロイシンから、アミノ酸残基176のロイシンまで伸長し、そして伸長はアミノ酸残基176のロイシンを含み、これは配列番号20によっても定義される。別の活性変異体は配列番号19のアミノ酸33のシステインからアミノ酸176まで伸長すると信じられている。この変異体は配列番号25によっても定義される。追加の態様において、更に本ポリペプチドは親和性タグを含んで成る。
【0006】
マウスZcyto10の変異体は配列番号33及び34によって定義される。この変異体は長さが154アミノ酸残基であり、そして配列番号34のアミノ酸残基1のメチオニンから、アミノ酸残基24のグリシンまで(このアミノ酸残基も含む)伸長するシグナル配列を有する。この様に、本成熟配列は配列番号34のアミノ酸残基25のロイシンからアミノ酸残基154のロイシンを含めて、そこまで伸長する。本成熟配列は配列番号35によっても定義される。
【0007】
本発明の第二の観点において、(a)転写プロモーター;(b)Zcyto10ポリペプチドをコードするDNA部分;及び(c)転写ターミネーターを含んで成る発現ベクターが提供され、ここで前記プロモーター、DNA部分、及びターミネーターは作用可能に結合している。
本発明の第三の観点において、上文で開示した発現ベクターが導入された培養真核又は原核細胞の提供があり、ここで前述の細胞は本DNA部分によってコードされたポリペプチドを発現する。
【0008】
本発明の更なる観点において、ペプチド結合によって連結された、第一の部分及び第二の部分から本質的に成るキメラポリペプチドが提供される。本キメラポリペプチドの第一の部分は、(a)配列番号2において示したZcyto10;(b)配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34及び35の対立変異体;並びに(c)上記(a)又は(b)に対して少なくとも90%同一であるタンパク質ポリペプチドから本質的に成る。本キメラポリペプチドの第二の部分は、別のポリペプチド、例えば親和性タグから本質的に成る。一つの態様において、前記親和性タグは免疫グロブリンFcポリペプチドである。また本発明は、キメラポリペプチドをコードする発現ベクター及び本キメラポリペプチドを製造するためにトランスフェクションされた宿主細胞を提供する。
【0009】
本発明の追加の観点において、上文で開示したZcyto10ポリペプチドに特異的に結合する抗体、そして更に、抗体をZcyto10ポリペプチドに中和する抗イディオタイプ抗体が提供される。
本発明の別の観点において、医薬として許容される賦形剤と組み合わせた、精製されたZcyto10ポリペプチドを含んで成る医薬組成物の提供がある。この様な組成物は、不適当な細胞増殖、細胞分化若しくはサイトカイン産生によって特徴づけられる症状の予防又は治療において細胞増殖、細胞分化若しくはサイトカイン産生の調節に有用であり、更にこれは以下で議論されている。更に具体的に、Zcyto10ポリペプチドは、細胞性免疫応答の阻害によって自己免疫疾患の治療において有用でありうる。Zcyto10治療に従う自己免疫疾患は、IDDM、多発性硬化症、変形関節炎などを含む。また、本発明のZcyto10ポリペプチドは癌細胞の成長又は増殖の阻害において有用でありうる。
【0010】
本発明のZcyto10ポリペプチドはまた微生物又はウイルスの感染との戦いを改善するために免疫系を刺激しうる。特に、Zcyto10は個体による血小板の産生を増進するために全身系に投与されうる。更に、本発明のZcyto10は気管特異的又は気管気管支特異的適用において、例えば気管気管支の上皮若しくは同様に根底にある細胞の保持又は創傷治療において、粘液の産生又は粘膜繊毛の汚物の除去の制御において、又は喘息、気管支炎若しくは気管気管支路の他の病気の治療において使用されうる。これはまた、創傷治癒を高め、そして罹患組織の再生を助長する事ができ、これは歯根の病気の治療において特に有用であろう。更に、Zcyto10ポリペプチドは一般に皮膚の状態、例えば乾癬、湿疹及び乾燥肌を治療しうる。
【0011】
本発明の追加の態様は、上述のアミノ酸配列を有するZcyto10ポリペプチドのエピトープ担持部分のアミノ酸配列を有するペプチド又はポリペプチドに関する。本発明のZcyto10ポリペプチドのエピトープ担持部分のアミノ酸配列を有するペプチド又はポリペプチドは少なくとも9、好ましくは少なくとも15そして更に好ましくは少なくとも30〜50のアミノ酸を有するポリペプチドの部分を含むが、しかし上述した本発明のポリペプチドの全アミノ酸配列を含めてのあらゆる長さのエピトープ担持ペプチドも本発明に含まれる。別のポリペプチド又は担体分子に融合されるあらゆるこれらのポリペプチドも請求される。この様なエピトープ変異体は配列番号25〜32を含むが、これに限定されない。Zcyto10のこれらエピトープ担持部分から製造される抗体は、細胞培養培地からのZcyto10の精製において使用されうる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下の詳細な説明及び添付図に言及で明らかになるだろう。
発明の詳細な説明
ここで引用された全ての参考文献の教示は、引用により、それらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0013】
詳細に本発明を記載する前に、以下の語を定義することはこれを理解するのに役立ちうる:
“親和性タグ”の語は、ここでは第二ポリペプチドの精製若しくは検出を提供するために、又は第二ポリペプチドを基質に付着させるための部位を提供するために、第二ポリペプチドに接着されうるポリペプチド部分を表すために使用される。主に、それらの抗体若しくは他の特異的な結合剤が入手可能である、あらゆるペプチド又はタンパク質は親和性タグとして使用されうる。親和性タグはポリヒスチジンの集合、プロテインA、Nilsson et al., EMBO J. 4 : 1075 (1985) ; Nilsson et al., Methods Enzymol. 198 : 3 (1991) 、グルタチオンSトランスフェラーゼ、Smith and Johnson, Gene 67 : 31 (1988), Glu-Glu 親和性タグ、Grussenmeyer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82 : 7952-4 (1985)、サブスタンスP、フラッグTMペプチド、Hopp et al., Biotechnology 6 : 1204-1210 (1988) 、ストレプトアビジン結合ペプチド、又は他の抗原性エピトープ若しくは結合ドメインを含む。一般に、Ford et al., Protein Expression and Purification 2 : 95-107 (1991)を参照にせよ。親和性タグをコードするDNAは商業上の提供者(例えばPharmacia Biotech, Piscataway, NJ)から入手可能である。
【0014】
“対立遺伝子変異体”の語は、ここでは同一の遺伝子座を占める遺伝子の2又はそれより多くのあらゆる択一型を表すために使用される。対立遺伝子変異体は変異を通して自然に発生し、そして集団の中に表現型の多形性を引き起こしうる。遺伝子変異は表立たない事があり(コードしたポリペプチドにおける無変化)、又は変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしうる。対立遺伝子変異体の語は、ここでは遺伝子の対立遺伝子変異体によってコードされたタンパク質を表すためにも使用される。
【0015】
“アミノ末端”及び“カルボキシル末端”の語は、ここではポリペプチド内の位置を表すために使用される。本文脈が許す場合、これらの語は近接又は相対的位置を表すために、ポリペプチドの特定の配列又は部分に関して使用される。例えば、ポリペプチド内の関連配列にカルボキシル末端が配置されたある配列は、関連配列のカルボキシル末端に近接して位置するが、しかし必ずしもポリペプチドの完全なカルボキシル末端に存在するわけではない。
【0016】
“相補体/抗相補体対”は適当な条件下で非共有的に会合した、安定な対を形成する、同一でない部分を表す。例えば、ビオチンとアビジン(又はストレプトアビジン)は相補体/抗相補体対の基本的な一員である。他の典型的な相補体/抗相補体対は受容体/リガンド対、抗体/抗原(又はハプテン又はエピトープ)対、センス/アンチセンスポリヌクレオチド対などを含む。相補体/抗相補体対の続く解離が望まれる場合、相補体/抗相補体対は、好ましくは109 -1以下の結合親和性を有する。
【0017】
“ポリヌクレオチド分子の相補鎖”の語は、関連配列と比較して相補的塩基配列及び逆の配向を有するポリヌクレオチド分子である。例えば、配列5’ATGCACGGG3’は5’CCCGTGCAT3’に相補的である。
“コンティグ”の語は、別のポリヌクレオチドに対して同一な又は相補的な配列の近接するストレッチを有するポリヌクレオチドを表す。近接する配列とは、与えられたポリヌクレオチドの配列のストレッチを、それらの全長内又はそのポリヌクレオチドに沿うか、“オーバーラップ”することと言われる。例えば、ポリヌクレオチド配列5’−ATGGCTTAGCTT−3’に対する象徴的なコンティグはTAGCTTgagtct−3’及び3’−gtcgacTACCGA−5’である。
【0018】
“縮重ヌクレオチド配列”の語は、1又は複数の縮重コドンを含むヌクレオチドの配列を含む(ポリペプチドをコードする関連のポリヌクレオチド分子との比較として)。縮重コドンはヌクレオチドの異なるトリプレットを含むが、同一のアミノ酸残基をコードしている(すなわちGAU及びGACトリプレット各々はAspをコードしている)。
【0019】
“発現ベクター”の語は、その転写を提供する付加的な部分へと作用可能に結合した、注目のポリペプチドをコードする部分を含む、直鎖状又は環状のDNA分子を表すために使用される。その様な付加的な部分はプロモーター及びターミネーター配列を含み、そして1又は複数の複製開始起点、1又は複数の選択マーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナルなども含みうる。発現ベクターは、普通、プラスミド又はウイルスDNA由来であり、又、両方の因子を含みうる。
【0020】
ポリヌクレオチドに適用されるときの、“単離された”の語は、ポリヌクレオチドがその自然遺伝的環境から取り出され、そしてこのように他の外来又は不所望のコーディング配列を含まず、そして遺伝子操作されたタンパク質製造系における使用のために適当な形態であることを表している。その様な単離された分子は、それらの自然環境から分離されて、そしてcDNA及びゲノムクローンを含むものである。本発明の単離DNA分子は、それらが通常関連している他の遺伝子を含まないが、自然の5’及び3’の非翻訳領域、例えばプロモーター及びターミネーターを含みうる。関連領域の同定は、当業者にとって明らかである(例、Dynan and Tijan, Nature 316 : 774-78 (1985) を参照)。
【0021】
“単離された”ポリペプチド又はタンパク質は、その自然環境とは別の条件において、例えば血液及び動物組織から離れて発見されるポリペプチド又はタンパク質である。好ましい形態において単離されたポリペプチドは、他のポリペプチド、特に他の動物由来のポリペプチドを実質上含まない。ポリペプチドを高度に精製した形態、すなわち95%純度以上、更に好ましくは99%純度以上で提供する事が好ましい。この文脈において使用されるとき、“単離された”の語は、択一的物理的形態、例えば二量体又は択一的にグリコシル化された若しくは誘導体にされた形態における同一ポリペプチドの存在を排除しない。
【0022】
DNA部分に関するとき、“作用可能に結合”の語は、その部分が、それらの意図する目的のために、調和してそれらが機能出来るように配置されている事を示し、例えば転写はプロモーターにおいて開始し、そしてコード部分を通り、ターミネーターまで進む。
“オーソログ”の語は、異なる種からのポリペプチド又はタンパク質の機能的な対応物である、ある種から得られたポリペプチド又はタンパク質を表す。オーソログの中の配列の差異は種分化の結果である。
【0023】
“パラログ”は、1つの生物体によって作られた別個の、しかし構造的に関連するタンパク質である。パラログは遺伝子の重複を通して生じると考えられている。例えばαグロブリン、βグロブリン、及びミオグロブリンは、それぞれのパラログである。
“ポリヌクレオチド”は5’から3’の末端まで読まれるデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド塩基の一本又は二本鎖のポリマーである。ポリヌクレオチドはRNA及びDNAを含み、そして自然源からの単離、in vitroでの合成、又は自然及び合成分子の組み合わせからの製造が出来る。ポリヌクレオチドの大きさは塩基対(“bp”と省略)、ヌクレオチド(“nt”)、又はキロベース(“kb”)の様に表される。本文脈が許す場合、後者の二つの語は、一本鎖又は二本鎖であるポリヌクレオチドを記述しうる。それらの語が二本鎖分子に適用されるとき、それらは全長を表すために使用され、そして“塩基対”の語に等しいと考えられる。二本鎖ポリヌクレオチドの二つの鎖がわずかに長さが異なることがあること、及びその末端を酵素的な開裂の結果、ずれていること;このように二本鎖ポリヌクレオチド分子内の全てのヌクレオチドが対になりえないこと;は当業者によって認識されるであろう。その様な不対末端は普通、長さにおいて20ntを超えない。
【0024】
“ポリペプチド”は自然に又は合成的に作られたペプチド結合によって結びついたアミノ酸残基のポリマーである。約10アミノ酸残基より少ないポリペプチドは、一般に“ペプチド”として言及される。
“プロモーター”の語は、ここではRNAポリメラーゼと転写の開始点との結合を提供するDNA配列を含む遺伝子の部分を表すために、当業者が認識する意味のために使用される。プロモーター配列は常にではないが一般に、遺伝子の非コード領域において見られる。
【0025】
“タンパク質”は、1つ又は複数のポリペプチド鎖を含んで成る高分子である。タンパク質は、非タンパク質成分、例えば炭水化物基も含みうる。炭水化物及び他の非タンパク質性置換基はタンパク質を産生する細胞によりタンパク質に加えられることができ、そして細胞型によって変わるであろう。タンパク質は、ここでは、それらのアミノ酸主鎖構造の語において定義され;置換基、例えば炭水化物基は一般に特定されていないが、それにもかかわらず存在しうる。
【0026】
“受容体”の語は、生物活性分子(すなわちリガンド)に結合し、そして細胞に対してリガンドの効果を媒介する、細胞結合タンパク質を表す。膜結合受容体は、細胞外受容体結合ドメイン及びシグナル伝達に典型的に関係する細胞内エフェクタードメインを含んで成るマルチドメイン構造によって特徴づけられている。受容体へのリガンドの結合は受容体における形態の変化を生じさせ、細胞内のエフェクタードメインと他の分子との間の相互作用を引き起こす。この相互作用は今度は、細胞の代謝における変化を導く。受容体−リガンド相互作用に関連する代謝事象は遺伝子転写、リン酸化、脱リン酸化、サイクリックAMP産生の増進、細胞質カルシウムの流動化、膜脂質の流動化、細胞接着、イノシトール脂質の加水分解及びリン脂質の加水分解を含む。普通、受容体は膜結合しており、サイトゾル又は核に存在し;単量体(例えば甲状腺刺激ホルモン受容体、ベータアドレナリン受容体)又は多量体(例えば、PDGF受容体、成長ホルモン受容体、IL−3受容体、GM−CSF受容体、G−CSF受容体、エリスロポエチン受容体及びIL−6受容体)でありうる。
【0027】
“分泌シグナル配列”の語は、これが合成される細胞の分泌経路を通じ、より大きなポリペプチドへと向ける、より大きなポリペプチドの構成要素としてのポリペプチド(“分泌ペプチド”)をコードするDNA配列を表す。前記のより大きなポリペプチドは一般に分泌経路を通過する輸送の間に分泌ペプチドを除去される。
【0028】
“スプライス変異体”の語は、ここでは遺伝子から転写されたRNAの択一型を表すために使用される。スプライス変異は転写されたRNA分子内の、又はあまり一般的でないが別々に転写されたRNA分子の間の択一的スプライシング(alternative splicing)された部位の使用を通して自然に生じ、そして同一遺伝子から転写されたいくつかのmRNAを生じうる。スプライス変異体は変化したアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードしうる。スプライス変異体の語は、ここでは遺伝子から転写されたmRNAのスプライス変異体によってコードされたタンパク質を表すためにも使用される。
【0029】
不正確な分析方法(例えばゲル電気泳動)によって決定された分子量及び分子の長さはおおよその値であると考えられる。その様な値が“約(about )”又は“およそ(aproximately)”として表されるとき、Xの述べる値は±10%正確であると考えられる。
本Zcyto10のヘリックスDにおいて保存されたアミノ酸は、ファミリーの新たなメンバーを同定するための道具として用いる事が出来る。ヘリックスDはIL−10のヘリックスDと約32%の同一性を有する最も高度に保存されたものである。例えば逆転写−複製連鎖反応(RT−PCR)は、様々な組織源又は細胞系から得られたRNAから保存されたものをコードする配列〔上述のドメイン、領域又はモチーフ〕を増幅するために使用されうる。特にZcyto10配列から設計された高度に縮合しているプライマーは、この目的のために有用である。
【0030】
本発明の好ましい態様において、単離されたポリヌクレオチドは、ストリンジェントな条件下、配列番号1,3,18,33又はこれらに相補的な配列の類似な大きさの領域にハイブリダイズしうる。普通、ストリンジェントな条件は限定したイオン強度及びpHで、特定の配列のための熱融点(Tm )より約5℃低くなるよう選択される。前記Tm は、標的の配列の50%が一致したプローブに完全にハイブリダイゼーションする温度(限定したイオン強度及びpHのもと)である。典型的なストリンジェントな条件は、前記塩濃度がpH7において約0.02m又はそれ以下であり、そして前記温度が少なくとも約60℃である条件である。前述した様に、本発明の単離されたポリヌクレオチドはDNA及びRNAを含む。DNA及びRNAの単離方法は、当業界で公知である。全RNAはグアニジンHCl抽出、続くCsCl勾配内での遠心による単離を用いる事によって調製しうる〔Chirgwin et al., Biochemistry 18 : 52-94, (1979)〕。ポリ(A)+ RNAはAviv and Leder, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 69 : 1408-1412 (1972)の方法を用いて全RNAから調製される。相補的DNA(cDNA)は公知の方法を用いてポリ(A)+ RNAから調製される。そしてZcyto10ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、例えばハイブリダイゼーション又はPCRによって同定及び単離される。
【0031】
更に、本発明のポリヌクレオチドはDNA合成器を用いて合成されうる。現在、選択される方法はホスホラミダイト法である。化学的に合成された二本鎖DNAが、遺伝子又は遺伝子断片の合成の様な適用のために必要とされるならば、各々の相補鎖は別々に製造される。短かい遺伝子(60〜80bp)の製造は技術的に簡単な仕事であり、そして相補鎖の合成及びそしてそれらのアニーリングによって達成しうる。しかしながら、化学的DNA合成の間の各サイクルの結合効率が100%であるのはまれなので長い遺伝子(300bp以上)の製造のための、特別な戦略に頼る必要がある。この問題を克服するために、合成遺伝子(二本鎖)は、長さが20〜100ヌクレオチドである一本鎖断片からの標準単位で会合される。Glick, Bernard R. and Jack J. Pasternak, Molecular Biotechnology, Principles & Applications of Recombinant DNA, (ASM Press, Washington, D.C. 1994), Itakura, K. et al. Synthesis and use of synthetic oligonucleotides. Annu. Rev. Biochem. 53 : 323-356 (1984), and Climie, S. et al. Chemical synthesis of the thymidylate synthase gene. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87 : 633-637 (1990)を参照。
【0032】
当業者は配列番号1,2,3及び4において開示された配列がヒトの二つの対立遺伝子を表し、そして配列番号18,19,33及び34がマウスの二つの対立遺伝子を表す事を認識するであろう。これら配列の追加の対立変異体は、標準的な手順に従い、異なる個体からのcDNA又は遺伝子ライブラリーを探索する事によってクローン化されうる。配列番号1に示されるDNA配列の対立遺伝子変異体は、サイレント変異を含む変異及びアミノ酸配列の変化をもたらす変異、例えば配列番号2の対立変異体を含めて本発明の範囲内である。択一的スプライシングされたmRNA由来のcDNAは、Zcyto10ポリペプチドの特性を保持し、本発明の範囲内に含まれ、その様なcDNA及びmRNAによってコードされるポリペプチドも同様である。これら配列の対立変異体及びスプライス変異体は、当業界で知られた標準的な手順に従って、異なる個体又は組織からのcDNA又は遺伝子ライブラリーを探索することによってクローン化されうる。
【0033】
本発明は更に、他の種由来のタンパク質及びポリヌクレオチドの対応物(“種オーソログ”)を提供する。特に興味深いものは、マウス、ブタ、ヒツジ、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、及び他の霊長類を含む哺乳類由来のZcyto10ポリペプチドである。ヒトZcyto10タンパク質の種オーソログは従来のクローニング技術と組み合わせた本発明によって提供される情報及び組成物を用いてクローン化されうる。例えば、cDNAは本タンパク質を発現する組織又は細胞型から得られるmRNAを用いてクローン化されうる。mRNAの適当な供給源は、ここに開示された本配列から設計されたプローブを用いたノーザンブロットの解析によって同定されうる。そして、ライブラリーは、ポジティブな組織又は細胞系のmRNAから調製される。そして、タンパク質をコードしているcDNAは様々な方法、例えば完全若しくは部分的ヒト又はマウスのcDNAを用いた、あるいは開示された本配列を基にした1又は複数の縮重プローブの集合を用いた解析によって単離される。cDNAはここで開示された本配列から設計されたプライマーを用いる、複製連鎖反応、又はPCR(Mullis et al. U.S. Patent No. 4,683,202 )を使用する事によってもクローン化されうる。追加の方法において、前記のcDNAライブラリーは宿主細胞を形質転換又はトランスフェクションするために使用することができ、そして注目の本cDNAの発現は本タンパク質に対する抗体を用いて検出されうる。類似の技術もゲノムクローンの前記単離に適用されうる。使用及び請求されている様に、“配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34及び35によって定義されているポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチド”の語は、これらポリペプチドの全ての対立遺伝子変異体及び種オーソログを含む。
【0034】
また本発明は配列番号2の前記タンパク質ポリペプチド及びその種オーソログに、本質的に同一である単離されたタンパク質ポリペプチドを提供する。“単離された”とは、その自然環境とは別の条件において、例えば血液及び動物組織から分離されて見出されたタンパク質又はポリペプチドを意味する。好ましい形態において、単離されたタンパク質は他のポリペプチド、特に他の動物由来のポリペプチドを本質的に含まない。本ポリペプチドを高度に精製した形態、すなわち95%以上の純度、更に好ましくは99%以上の純度で提供する事が好ましい。“本質的に同一”の語は、ここでは配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34及び35に示された配列、又はそれらの種オーソログの配列において50%、好ましくは60%、更に好ましくは少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドを表すために使用される。その様なポリペプチドは更に好ましくは、配列番号2、若しくはその種オルトログに対して少なくとも90%同一し、そして更に好ましくは95%又はそれ以上同一である。パーセント配列同一性は従来の方法によって決定される。例えば、Altschul et al., Bull. Math. Bio. 48 : 603-616 (1986) and Henikoff and Henikoff, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89 : 10915-10919 (1992) を参照。簡単に言えば、10のギャップオープニングペナルティ(gap opening penalty )、1のギャップエクステンションペナルティ(gap extension penalty )、及び表1(アミノ酸は標準的な一文字表記によって示されている)に示す様なHenikoff and Henikoff (前述)の行列に得点をつける“blossom 62”を用いて、配列得点を最適化するために二つのアミノ酸を並べる。そして%同一は:
同一な一致の全数
─────────────────────────── ×100
〔長い方の配列の長さ+2つの配列を並べるために長い方の
配列に導入されたギャップの数〕
の様に計算される。
【0035】
【表1】

【0036】
ポリヌクレオチド分子の配列同一性は上文で開示された様な割合を用いた類似の方法によって決定される。
変異体Zcyto10ポリペプチド又は本質的に同一のポリペプチド及びタンパク質は、1又は複数の置換、欠失又は付加を有することによって特徴づけられる。これらの変化は、好ましくは、保存型アミノ酸置換(表2参照)並びにタンパク質又はポリペプチドのフォールディング若しくは活性に重大に影響を与えない他の置換;典型的に1〜約30アミノ酸のわずかな欠失;及びアミノ又はカルボキシル末端のわずかな伸長、例えばアミノ末端のメチオニン残基、約20〜25残基までの小さなリンカーペプチド、あるいは精製を容易にするわずかな伸長(親和性タグ)、例えばポリヒスチジントラクト、プロテインA、Nilsson et al., EMBO J. 4 : 1075 (1985) ; Nilsson et al., Methods Enzymol. 198 : 3 (1991) 、グルタチオンSトランスフェラーゼ、Smith and Johnson, Gene 67 : 31 (1988)、又は他の抗原性エピトープ若しくは結合ドメインによる伸長;の様なわずかなものである。一般に、Ford et al., Protein Expression and Purification 2 : 95-107 (1991)を参照。親和性タグは商業上の提供者(例えばPharmacia Biotech, Piscataway, NJ)から入手可能である。
【0037】
【表2】

【0038】
本発明は更に、様々な他のポリペプチド融合体(及び1又は複数のポリペプチド融合体を含んで成る関連した多量体タンパク質)を提供する。例えば、Zcyto10ポリペプチドはU.S.Patents Nos 5,155,027及び5,567,584に開示されている様な二量体化タンパク質への融合体として調製されうる。この事について好ましい二量体化タンパク質は免疫グロブリンの不変領域ドメインを含む。免疫グリブリン−Zcyto10ポリペプチド融合体は(様々な多量体Zcyto10類似体を製造するために)、遺伝子操作された細胞において発現しうる。補足的なドメインは、Zcyto10ポリペプチドを特定の細胞、組織、又は巨大分子(例えばコラーゲン)に集中させるためにZcyto10ポリペプチドに融合されうる。例えば、Zcyto10ポリペプチド又はタンパク質は、標的細胞の表面上の受容体に本質的に結合するリガンドへポリペプチドを融合することによってあらかじめ決定された細胞型に対して標的化されうる。この方法において、ポリペプチド及びタンパク質は、治療又は診断目的のために標的化されうる。Zcyto10ポリペプチドは2又はそれより多くの部分、例えば精製のための親和性タグ及び標的ドメインに融合されうる。ポリペプチド融合体は、特にドメイン間の、1又は複数の開裂部位も含みうる。Tuan et al., Connective Tissue Research 34 : 1-9 (1996) を参照。
【0039】
本発明のタンパク質は、非天然由来アミノ酸残基も含んで成ることができる。非天然由来アミノ酸は、制限無しで、トランス−3−メチルプロリン、2,4−メタノプロリン、シス−4−ヒドロキシプロリン、トランス−4−ヒドロキシプロリン、N−メチルグリシン、アロ−トレオニン、メチルトレオニン、ヒドロキシエチルシステイン、ヒドロキシエチルホモシステイン、ニトログルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、チアゾリジンカルボキシル酸、デヒドロプロリン、3−及び4−メチルプロリン、3,3−ジメチルプロリン、tert−ロイシン、ノルバリン、2−アザフェニルアラニン、3−アザフェニルアラニン、4−アザフェニルアラニン、並びに4−フルオロフェニルアラニンである。非天然由来アミノ酸残基をタンパク質に組込むためのいくつかの方法が当業界において知られている。例えば、in vitro系を適用することができ、ここではナンセンス変異が化学的にアミノアシル化されたサプレッサーtRNAを用いて抑圧される。アミノ酸及びアミノアシル化tRNAを合成するための方法は当業界で知られている。本発明のポリペプチドにおける必須のアミノ酸は、当業界で知られた方法、例えば部位特異的組み換え又はアラニンスキャニング組み換え〔Cunningham and Wells, Science 244 : 1081-1085 (1989)〕;Bass et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88 : 4498-4502 (1991) に従って同定されうる。後者の技術において、ただ1つのアラニン変異が分子内の全ての残基において導入され、そしてその結果として生じた変異分子は、分子の活性に重要であるアミノ酸残基を同定するために、生物学的活性(例えばリガンド結合及びシグナル伝達)の試験がなされる。リガンド−タンパク質相互作用の部位は核磁気共鳴、結晶学又は光親和性標識の様な技術によって決定された結晶構造の解析によっても決定されうる。例えばde Vos et al., Science 255 : 306-312 (1992) ; Smith et al., J. Mol. Biol. 224 : 899-904 (1992) ; Wlodaver et al., FEBS Lett. 309 : 59-64 (1992) を参照。前記必須のアミノ酸の同定は、関連したタンパク質との相同性の解析からも推論されうる。
【0040】
多重アミノ酸置換はReidhaar-Olson及びSauer, Science 241 : 53-57 (1988) 又はBowie 及びSauer Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 : 2152-2156 (1989)によって開示された変異誘発スクリーニングの知られている方法を用いて製造及び試験されうる。簡略に言えば、これらの著者は、ポリペプチド内の2又はそれより多くの位置を同時に無作為化し、機能的なポリペプチドを選択し、そして各々の位置における許容出来る置換のスペクトルを決定するために変異誘発が行われたポリペプチドをシークエンスするための方法を開示している。使用されうる他の方法は、ファージの公開(例えば、Lowman et al., Biochem. 30 : 10832-10837 (1991) ; Ladner et al., U.S. 特許 No. 5,223,409 ; Huse, WIPO Publication WO 92/06204)及び部位特異的組み換え、Derbyshire et al., Gene 46 : 145 (1986) ; Ner et al., DNA 7 : 127 (1988)も含む。
【0041】
上文に開示された様な変異誘発法は、宿主細胞内のクローン化され、変異誘発化されたタンパク質の活性を検出するために高処理量(high−through put)スクリーニング法と組み合わされる。これについての好ましいアッセイは、以下に記載される細胞増殖スクリーニング及びバイオセンサーを基にしたリガンド結合アッセイを含む。活性タンパク質又はそれらの部分(例えばリガンド結合フラグメント)をコードする変異誘発されたDNA分子は、宿主細胞から回収されることができ、そして直ちに現代的な装置を用いてシークエンスされることができる。これらの方法は注目のポリペプチド内の重要な個々のアミノ酸残基の素早い決定を与え、そして未知の構造のポリペプチドに適用されうる。
【0042】
上で論じた方法を用いる、当業者は、配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34及び35又はそれらの対立遺伝子変異体と本質的に同一である様々なポリペプチドを製造することができ、そして野生型タンパク質の特性を保持する事ができる。ここで表現及び使用した後記の語の様に、“配列番号2によって定義された様なポリペプチドは本ポリペプチドの全ての対立遺伝子変異体及び種オーソログを含む。
【0043】
全長タンパク質、タンパク質フラグメント(例えばリガンド結合フラグメント)、及び融合ポリペプチドを含む、本発明のタンパク質ポリペプチドは、従来の技術に従って遺伝子操作された宿主細胞から製造されうる。適当な宿主細胞は外来DNAを用いて形質転換又はトランスフェクションされる事ができ、培養物の中で成育される事ができ、そして微生物、菌類の細胞及び、培養高等真核細胞を含みうる。真核細胞、特に多細胞生物の培養細胞が好まれる。クローン化されたDNA分子を扱うための、及び外来DNAを様々な宿主細胞に導入するための方法はSambrook et al., Molecular Cloning : A Labotatory Manual, 2nd ed. (Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY, 1989) 、及びAusubel et al., ibidによって開示されている。
【0044】
本発明のポリヌクレオチド、通常cDNA配列は上述のポリペプチドをコードする。本発明のポリペプチドをコードするDNA配列は、一連のコドン、コドンによってコードされる本ポリペプチドの各アミノ酸残基及び3つのヌクレオチドを含んで成る各コドンを含んで成る。前記アミノ酸残基は以下の様にそれら各々のコドンによってコードされる。
【0045】
アラニン(Ala)はGCA,GCC,GCG又はGCTによってコードされ;
システイン(Cys)はTGC又はTGTによってコードされ;
アスパラギン酸(Asp)はGAC又はGATによってコードされ;
グルタミン酸(Glu)はGAA又はGAGによってコードされ;
フェニルアラニン(Phe)はTTC又はTTTによってコードされ;
グリシン(Gly)はGGA,GGC,GGG又はGGTによってコードされ;
ヒスチジン(His)はCAC又はCATによってコードされ;
イソロイシン(Ile)はATA,ATC又はATTによってコードされ;
リジン(Lys)はAAA又はAAGによってコードされ;
ロイシン(Leu)はTTA,TTG,CTA,CTC,CTG又はCTTによってコードされ;
メチオニン(Met)はATGによってコードされ;
アスパラギン(Asn)AAC又はAATによってコードされ;
プロリン(Pro)はCCA,CCC,CCG又はCCTによってコードされ;
グルタミン(Gln)はCAA又はCAGによってコードされ;
アルギニン(Arg)はAGA,AGG,CGA,CGC,CGG又はCGTによってコードされ;
セリン(Ser)はAGC,AGT,TCA,TCC,TCG又はTCTによってコードされ;
トレオニン(Thr)はACA,ACC,ACG又はACTによってコードされ;
バリン(Val)はGTA,GTC,GTG又はGTTによってコードされ;
トリプトファン(Trp)はTGGによってコードされ;そして チロシン(Tyr)はTAC又はTATによってコードされる。
【0046】
cDNAが上述した様に請求される場合、請求されたものは、前記センス鎖、前記アンチセンス鎖両方、及びそれらがそれぞれの水素結合によってアニールしている、両センス及びアンチセンス鎖を有する二本鎖の様な前記DNAであると考えられ、それは本発明に従って認識されうる。本発明のポリペプチドをコードするメッセンジャーRNA(mRNA)も請求され、そしてこのmRNAは上述したcDNAによってコードされる。メッセンジャーRNAは、各チミンヌクレオチド(T)がウラシルヌクレオチド(U)によって置換されている場合を除き、上述した様な同一のコドンを用いてポリヌクレオチドをコードするであろう。
【0047】
通常、Zcyto10ポリペプチドをコードするDNA配列は発現ベクター内に、その発現にとって必要とされる、一般に転写プロモーター及びターミネーターを含む他の遺伝的な因子と作用可能に結合している。前記ベクターは一般に1又は複数の選択マーカー及び1又は複数の複製起点も含み、けれども当業者は、確かな系において選択マーカーが別のベクターから提供されうること、外来DNAの複製が宿主細胞遺伝子への組込みによって提供されうることを認識している。プロモーター、ターミネーター、選択マーカー、ベクター及び他の因子の選択は、業界の通常の熟練のレベルにおけるありふれた設計上の問題である。多くのその様な因子は前記文献に記載されており、そして商業上の提供者を通して入手可能である。
【0048】
Zcyto10ポリペプチドを宿主細胞の分泌系路に向けるために、分泌シグナル配列(リーダー配列、プレプロ配列又はプレ配列としても知られている)は前記発現ベクター内において提供される。分泌シグナル配列は本タンパク質のそれ、又は別の分泌タンパク質(例えばt−PA)由来、又はde novo合成されたものでありえる。分泌シグナル配列はZcyto10 DNA配列に正確なリーディングフレームで組込まれる。分泌シグナル配列は一般に注目の本ポリペプチドをコードするDNA配列の5’位に位置するが、いくらかのシグナル配列は注目の本DNA配列における別の場所に位置しうる(例えばWelch et al., U.S. Patent No. 5,037,743 ; Holland et al., U.S. Patent No. 5,143,830 を参照)。
【0049】
外来DNAを哺乳類の宿主細胞に導入する方法は、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション、Wigler et al., Cell 14 : 725 (1978) ; Corsaro and Pearson, Somatic Cell Genetics 7 : 603, 1981 : Graham and Van der Eb, Virology 52 : 456 (1973)、エレクトロポレーション、Neumann et al., EMBO J. 1 : 841-845 (1982), DEAE−デキストラン媒介トランスフェクション、Ausubel et al., eds., Current Protocols in Molecular Biology, (John Wiley and Sons, Inc., NY, 1987) 、及びリポソーム媒介トランスフェクション、Hawley-Nelson et al., Focus 15 : 73 (1993) ; Ciccarone et al., Focus 15 : 80 (1993) を含む。培養哺乳類細胞における組換えポリペプチドの前記製造は、例えばLevinson et al., U.S. Patent No. 4,713,339 ; Hagen et al., U.S. Patent No. 4,784,950 ; Palmiter et al., U.S. Patent No. 4,579,821 ; 及びRingold, U.S. Patent No. 4,656,134によって開示されている。適当な培養哺乳類細胞はCOS−1(ATCC No. CRL 1650),COS−7(ATCC No. CRL 1651),BHK(ATCC No. CRL 1632),BHK 570(ATCC No. CRL 10314) ,293〔ATCC No. CRL 1573 ; Graham et al., J. Gen. Virol. 36 : 59-72 (1977) 及びチャイニーズハムスターの卵巣の(例えばCHO-K1 ; ATCC No. CCL 61) の細胞系を含む。追加の適当な細胞系は、公共の保管所、例えばAmerican Type Culture Collection, Rockville, Maryland から入手可能である。通常、強力な転写プロモーター、例えばSV40又はサイトメガロウィルス由来のプロモーターが好まれる。例えばU.S.Patent No.4,956,288を参照。他の適当なプロモーターメタロチオネイン遺伝子由来のそれ(U.S.Patent No.4,579,821及び4,601,978)及びアデノウィルス主要後期プロモーターを含む。
【0050】
薬剤選択は普通、外来DNAが挿入された培養哺乳類細胞を選択するために使用される。その様な細胞は、通常“形質転換体”として言及される。選択的試薬の存在下培養され、そしてそれらの子孫に注目の本遺伝子を譲渡することが出来る様な細胞は“安定形質転換体”として言及される。好ましい選択マーカーは、抗生物質ネオマイシンに耐性なものをコードする遺伝子である。選択はネオマイシン型の薬剤、例えばG−418などの存在下行われる。選択系は本遺伝子の発現レベルを増大させるためにも使用する事ができ、これは“増幅”として言及される工程である。増幅は、低濃度の選択的薬剤の存在下で形質転換体を培養し、そして次に前記の導入された遺伝子の本製品を高濃度及び製造する細胞を選択するために選択的試薬の量を増やすことによって行われる。好ましい増幅可能な選択マーカーは、ジヒドロ葉酸レダクターゼであり、メトトレキサートに対する耐性を与える。他の薬剤耐性遺伝子(例えばハイグロマイシン耐性、多能薬剤耐性、ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ)も使用されうる。変化した表現型を導入する他のマーカー、例えば緑色蛍光タンパク質、又はCD4,CD8,MHCのクラスI、胎盤アルカリホスファターゼの様な膜表面タンパク質が、FACSソーティング又はマグネットビーズ分離技術などの手段によってトランスフェクションした細胞を、トランスフェクションされていない細胞から分類するために使用されうる。多能薬剤耐性、ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ)も使用されうる。変化した表現型を導入する代替マーカー、例えば緑色蛍光タンパク質、又はCD4,CD8,MHCのクラスI、胎盤アルカリホスファターゼの様な膜表面タンパク質が、FACSソーティング又はマグネットビーズ分離技術などの手段によってトランスフェクションした細胞を、トランスフェクションされていない細胞から分類するために使用されうる。
【0051】
昆虫細胞、植物細胞及びニワトリ細胞を含む、他の高等真核細胞も、宿主として使用することができる。昆虫細胞の形質転換及びその中の外来ポリペプチドの製造はGuarino et al., U.S. Patent No. 5,162,222 ; Bang et al., U.S. Patent No. 4,775,624;及びWIPO publication WO 94/06463によって開示されている。植物細胞における遺伝子を発現させるためのベクターとしてのアグロバクテリウム・リゾジェネス(Agrobacterium rhizogenes)の使用はSinkar et al., J. Biosci. (Bangalore) 11 : 47-58 (1987).によって論評されてきた。昆虫細胞は、一般に Autographa califonica nuclear polyhedrosis virus (AcNPV) 由来の組換えバキュロウィルスを用いて感染させられることができる。King, L.A. and Possee, R.D., The Baculovirus Expression System : A Laboratory Guide (Chapman & Hall, London) ; O'Reilly, D.R. et al., Baculovirus Expression Vectors : A Laboratory Manual (University Press., New York, Oxford, 1994);及びRichardson, C.D., Ed., Baculovirus Expression Protocols. Methods in Molecular Biology, (Humana Press, Totowa, NJ, 1995) を参照。組換えZcyto10バキュロウィルス製造の第二の方法は、Luckow, V.A, et al., J Virol 67 : 4566-79 1993) によって記載されたトランスポゾンを基にした系を用いる。トランスファーベクターを用いるこの系は、Bac−to−BacTMキット(Life Technologies, Rockville, MD) において販売される。この系は本Zcyto10ポリペプチドをコードするDNAをバキュロウィルスに移すためのTn7トランスポゾンを含むトランスファーベクター、pFast BaclTM(Life Technologies )を使用し、これはE.coliにおける“バクミド”と称される大きなプラスミドを維持している。Hill-Perkins, M.S. and Possee, R.D., J Gen Virol 71 : 971-6, (1990) ; Bonning, B.C. et al., J Gen Virol 75 : 1551-6 (1994);及び、Chazenbalk, G.D., and Rapoport, B., J Biol Chem 270 : 1543-9 (1995) を参照。更に、トランスファーベクターは本発見Zcyto10ポリペプチドのC又はN末端におけるエピトープタグ、例えばGlu−Gluエピトープタグ、Grussenmeyer, T. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. 82 : 7952-4 (1985)をコードするDNAとのイン−フレイム融合を含みうる。当業界において知られた技術を使用することで、Zcyto10を含むトランスファーベクターはE.coliを形質転換し、そして組換えバキュロウィルスを暗示する割り込まれたlacZ遺伝子を含むバクミドがスクリーニングされる。前記組換えバキュロウィルスゲノムを含むバクミドDNAは一般の技術を用いて単離され、そして夜盗蛾(Spodoptera frugiperda )細胞、例えばSf9細胞に感染するために使用される。Zcyto10を発現する組換えウィルスがそれに続いて製造される。組換えウィルスのストックは当業界で使用される方法によって作られる。
【0052】
前記組換えウィルスは宿主細胞、典型的にアワヨウトウ、夜盗蛾由来の細胞系に感染させるために使用される。通常Glick and Pasternak, Molecular Biotechnology : Principles and Applications of Recombinant DNA, ASM Press, Washington, D.C. (1994) を参照。別の適当な細胞系はTrichoplusiani由来のHigh FIveOTM細胞系(Invitrogen)である(U.S. Patent No. 5,300,435)。商業的に入手可能な無血清培地が前記細胞を成育及び維持するために使用される。適当な培地は、Sf9細胞のためにSf900TM(Life Technologies )又はESF 921TM(Expression Systems)であり;そしてT.ni細胞のためにExcell 0405TM(JRH Bioscience, Lenxa, KS )又はExpress FiveOTMである。前記細胞はおよそ2〜5×105 細胞の接種密度から1〜2×106 細胞の密度まで成育され、このとき、組換えウィルスのストックが、0〜10、更に典型的には3付近の感染多重度で加えられる。一般的に使用される手法は入手可能な研究手引き書(King, L.A. and Possee, R.D., ibid. ; O'Reilly, D.R. et al., ibid. ; Richardson, C.D., ibid.)に記載されている。続く、上清由来のZcyto10ポリペプチドの精製は以下に記載される方法を用いて達成されうる。
【0053】
酵母細胞、及び特にサッカロマイセス(Saccharomyces )属の細胞を含む真菌の細胞も本発明の範囲内で使用される事ができ、例えばタンパク質フラグメント又はポリペプチド融合体の製造のためである。外来遺伝子での酵母細胞の形質転換及びそれに由来する組換えポリペプチドの製造のための方法は、例えばKawasaki, U.S. Patent No. 4,599,311 ; Kawasaki et al., U.S. Patent No. 4,931,373 ; Brake, U.S. Patent No. 4,870,008 ; Welch et al., U.S. Patent No. 5,037,743 ;及びMurray et al., U.S. Patent No. 4,845,075に開示されている。形質転換細胞は選択マーカー、通常薬剤耐性又は特定の栄養素(例えばロイシン)の欠如において成育する能力によって決定される表現型によって選択される。酵母における使用のための好ましいベクター系はKawasaki et al. (U.S. Patent No. 4,931,373) によって開示されたPOT1ベクターであり、これはグルコース含有媒地内での成育によって形質転換細胞を選択する。酵母における使用のための適当なプロモーター及びターミネーターは、グルコース分解酵素遺伝子(例えばKawasaki, U.S. Patent No. 4,599,311 ; Kingsman et al., U.S. Patent No. 4,615,974;及びBitter, U.S. Patent No. 4,977,092 を参照)及びアルコールデヒドロゲナーゼ遺伝子由来のものを含む。U.S. Patents Nos. 4,990,446 ; 5,063,154 ; 5,139,936 及び4,661,454 も参照。ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、シゾサッカロマイセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe )、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロマイセス・フラギリス(Kluiveromyces fragilis)、ウスチラゴ・マイディス(Ustilago maydis )、ピキア・パストリス(Pichia pastoris )、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolia )、ピキア・グイルレルモンジイ(Pichia guillermordii)及びカンジダ・マルトサ(Candida maltosa )を含む、他の酵母のための形質転換系は当業界で知られている。例えば、Gleeson et al., J. Gen. Microbiol. 132 : 3459-3465 (1986) 及びCregg, U.S. Patent No. 4,882,279を参照。アスペルギルス細胞はMcKnight et al., U.S. Patent No. 4,935,349の方法に従って使用されうる。アクレモニウム・クリソゲナム(Acremonium chrysogenum)を形質転換するための方法はSumino et al., U.S. Patent No. 5,162,228によって開示されている。ニューロスポラ(Neurospora)を形質転換するための方法はLambowitz, U.S. Patent No. 4,486,533に開示されている。
【0054】
組換えタンパク質の前記製造のための宿主細胞としてのピキア・メタノリカの使用はWIPO Publications WO 97/17450, WO 97/17451, WO 98/02536 、及びWO 98/02565 において開示されている。P.メタノリカの形質転換における使用のためのDNA分子は、通常二本鎖、環状プラスミドとして調製され、これは好ましくは形質転換の前に直鎖化される。P.メタノリカにポリペプチド製造のため、前記プラスミドにおけるプロモーター及びターミネーターがP.メタノリカ遺伝子のもの、例えばP.メタノリカのアルコール利用遺伝子(AUG1又はAUG2)のそれである事が好ましい。他の有用なプロモーターはジヒドロキシアセトンシンターゼ(DHAS)、ギ酸デヒドロゲナーゼ(FMD)、及びカタラーゼ(CAT)の遺伝子のものを含む。宿主クロモソームへの前記DNAの組込みを容易にするために、宿主DNA配列により両末端をフランキングされた前記プラスミドの発現部分の全てを有することが好ましい。ピキア・メタノリカにおける使用のために好まれる選択マーカーはP.メタノリカ ADE2遺伝子であり、これはホスフォリボシル−5−アミノイミダゾールカルボキシラーゼ(AIRC;EC4.1.1.21)をコードし、これはade2宿主細胞をアデニンの存在下で成育させる。メタノールの使用を最小化する事が望ましい、大規模な工業工程のために、両メタノール利用遺伝子(AUG1及びAUG2)が欠失された宿主細胞を使用する事が好ましい。分泌タンパク質の製造のために、液胞プロテアーゼ遺伝子(PEP4及びPRB1)欠損宿主細胞が好まれる。エレクトロポレーションが、注目のポリペプチドをコードするDNAを含むプラスミドを、P.メタノリカ細胞への導入を容易にするために使用される。指数関数的に減少する、2.5〜4.5KV/cm、好ましくは約3.75KV/cmの電界強度、及び1〜40ミリ秒、更に好ましくは約20ミリ秒の時定数(τ)を有するパルス電気的電界を用いるエレクトロポレーションによってP.メタノリカ細胞を形質転換する事が好ましい。
【0055】
微生物のエスケリッチャ・コリ(Escherichia coli) 、バチルス(Bacillus)及び他の属の菌株を含む、原核宿主細胞も、本発明における有用な宿主細胞である。これらの宿主の形質転換及びそれらの中でのクローン化された外来DNA配列の発現のための技術は当業界で公知である(例えばShambrook et al., ibid. 参照)。微生物、例えばE.coliにおいてZcyto10ポリペプチドを発現させる際、本ポリペプチドは細胞質、典型的に不溶性顆粒の様なものの中に保たれ、又は微生物の分泌配列によって、ペリプラスム空間に、向けられうる。前者の事例において、前記細胞は溶解され、そして前記顆粒は回収され、及び、例えばグアニジンイソチオシアネート又は尿素によって変性される。そして変性ポリペプチドは、変性剤を希釈する事によって、例えば尿素並びに還元及び酸化グルタチオンの組合わせの溶液に対する透析によって、続く平衡塩溶液に対する透析によってリフォールディング並びに二量体化される。後者の事例において、前記ポリペプチドは、ペリプラスム空間の内容物を放出するために細胞を破壊する事によって(例えば超音波又は浸透圧ショックによって)、そして本タンパク質を回収する事によって、それにより変性及びリフォールディングの必要性を回避することによって、ペリプラスム空間から可溶性及び機能的な形態で回収されうる。
【0056】
形質転換又はトランスフェクションされた宿主細胞は従来の方法に従って、栄養素及び選択された宿主細胞の成育に要求される他の成分を含む培養培地内で培養される。定義された培地及び複合培地を含む、様々な適当な培地は当業界で知られており、そして一般的に炭素供給源、窒素供給源、必須アミノ酸、ビタミン及びミネラルを含む。培地は要求された場合、増殖因子又は血清の様な成分も含みうる。前記の成長培地は、通常、例えば選択マーカーが発現ベクターに運ばれること又は宿主細胞へと共感染させられる事によって補完される、薬剤耐性又は必須栄養素における欠損によって外来的に加えられたDNAを含む細胞を選択する。P.メタノリカ細胞は、炭素、窒素及び追跡栄養素の適切な供給源を含んで成る培地において、約25℃〜35℃の温度で培養される。液体培養は、従来の手段、例えば小フラスコの震盪又は酵素の散布によって十分な通気を提供する。P.メタノリカの好ましい培養培地はYEDD(2%D−グルコース、2% BactoTMペプトン(Difco Laboratories, Detroit, MI )、1% BactoTM酵母抽出物(Difco Laboratories) 、0.004%アデニン及び0.006%L−ロイシン)である。
【0057】
本発明の1つの観点において、新規タンパク質が培養細胞によって製造され、そして前記細胞は天然の受容体、並びに天然のリガンドのアゴニスト及びアンタゴニストを含む受容体又は本タンパク質のための受容体をスクリーニングするために使用される。
タンパク質単離:
本発明のポリペプチドを80%以上の純度、更に好ましくは90%以上の純度、より更に好ましくは95%以上の純度に精製することは好ましく、そして特に好ましいのは高分子、特に他のタンパク質及び核酸の汚染に関して99.9%よりかなり純粋で、並びに感染及び発熱因子を含まない、医薬的に純粋な状態である。好ましくは、精製ポリペプチドは他のポリペプチド、特に他の動物由来のポリペプチドを本質的に含まない。
【0058】
発現された組換えポリペプチド(又はキメラポリペプチド)は分画及び/又は従来の精製方法及び手段を用いて精製されうる。硫酸アンモニウム沈澱及び酸又はカオトロピックな抽出は試料の分画に使用されうる。例示的な精製段階はハイドロキシアパタイト、サイズ排除、FPLC及び逆層高速液体クロマトグラフィーを含みうる。適当な陰イオン交換体はデキストラン、アガロース、セルロース、ポリアクリルアミド、特にシリカなどに由来するものを含む。PEI,DEAE,QAE及びQの派生物は好ましく、DEAE Fast−Flowセファロース(Pharmacia, Piscataway, NJ ) を用いる事が特に好ましい。例示的なクロマトグラフィー媒体は、フェニル、ブチル、又はオクチル基を用いて派生するこれらの媒体、例えばフェニル−セファロースFF(Pharmacia )、トーヨーパールブチル650(Toso Haas, Montgomeryville, PA) 、オクチルセファロース(Pharmacia )など;又はポリアクリルレジン、例えばAmberchrom CG71(Toso Haas )などを含む。適当な固体支持体は、それらが使用されうる条件下で不溶性であるガラスビーズ、シリカを基にしたレジン、セルロースレジン、アガロースビーズ、架橋アガロースビーズ、ポリスチレンビーズ、架橋ポリアクリルアミドレジンなどを含む。これらの支持体は、アミノ基、カルボキシル基、スルフヒドリル基、ヒドロキシル基及び/又は炭水化物部分によってタンパク質の吸着を行う反応基を用いて改良されうる。化合作用の例は、臭化シアン活性化、N−ヒドロキシスクシンイミド活性化、エポキシド活性化、スルフヒドリル活性化、ヒドラジド活性化、並びにカルボジイミド化合作用のためのカルボキシル及びアミノ派生物を含む。これらの及び他の固体媒体は当業界で公知であり及び広く使われており、そして商業上の提供者から入手可能である。受容体ポリペプチドを支持媒体に結合させるための方法は当業界で公知である。特定の方法の選択はありふれた計画の問題であり、そして前記の選ばれた支持体によって一部が決定される。例えばAffinity Chromatography : Principles & Methods (Pharmacia LKB Biotechnology, Uppsala, Sweden, 1988) を参照。
【0059】
本発明のポリペプチドは、それらの特性の活用によって単離されうる。例えば固定化金属イオン吸着(IMAC)クロマトグラフィーはヒスチジンに富むタンパク質を精製するために使用されうる。簡単に言えば、ゲルがキレートを形成するために二価の金属イオンで最初にチャージされる(E. Sulkowski, Trends in Biochem. 3 : 1-7 (1985) 。ヒスチジンに富むタンパク質は、使用した金属イオンに依存する、異なる親和性でこの母体に吸着され、競争的な溶出、pHの低下、又は強いキレート剤によって溶出されうる。精製の他の方法はレクチン親和性クロマトグラフィー及びイオン交換クロマトグラフィー{Methods in Enzymol., Vol. 182,“Guide to Protein Purification ”, M. Deutscher, (ed.), pp. 529-539 (Acad. Press, San Diego, 1990) }によるグリコシル化されたタンパク質の精製を含む。択一的に、注目のポリペプチドの融合体及び親和性タグ(例えばポリヒスチジン、マルトース結合タンパク質、免疫グロブリン部分)は、精製を容易にするために作製されうる。
【0060】
使用
本発明のポリペプチドは4ヘリックス含有サイトカインの構造的な特性を有する。タンパク質は通常その溶解性及びシグナルを出し、そして細胞増殖を調節するために細胞表面受容体を経由して働く能力によってサイトカインとして特徴づけられる。サイトカイン類は、システインに富んだ二量体(例えばインスリン、PDGF)、ベータ3つ葉折りたたみ(例えばFGF,IL−1)、及び全てのアルファ4ヘリックスバンドルを含む、いくつかの三次構造的折りたたみ分類に分かれる。後者は、特異な上−上−下−下(up-up-down-down )トポロジーにおいてA,B,C及びDと標識された4つのヘリックスによって特徴づけられており、ここで二つのオーバーハンドループがヘリックスA及びB並びにヘリックスC及びDに結びついている。例えば、Manavalan et al., Journal of Protein Chemistry 11 (3) : 321-31, (1992)を参照。4ヘリックスバンドルサイトカイン類は時々、短鎖(例えばIL−4,IL−2,GM−CSF)及び長鎖(例えばTPO、成長ホルモン、レプチン、IL−10)に更に再分され、ここで後者は通常より長いA及びDヘリックス並びにオーバーハンドループを提示する。今後、我々は“サイトカイン”の語を“4ヘリックスバンドルサイトカイン”と同義に使用する。Zcyto10のヘリックスAはアミノ酸残基35のイソロイシンからアミノ酸残基49のイソロイシンまでを含み、これは配列番号14によっても定義され;ヘリックスBはアミノ酸残基91のロイシンからアミノ酸残基105のトレオニンまでを含み、これは配列番号15によっても定義され;ヘリックスCはアミノ酸残基112のロイシンからアミノ酸残基126のシステインまでを含み、これは配列番号16によっても定義され;ヘリックスDはアミノ酸残基158のバリンからアミノ酸残基172のメチオニンまでを含み、これは配列番号17によっても定義される。
【0061】
ヒトZcyto10はCys33とCys126との間の分子内ジスルフィド結合を有している。他の4システインCys80,Cys132,Cys81及びCys134は、Cys80−Cys132及びCys81−Cys134の並びにおいて2つの分子内ジスルフィド結合を形成すると予測されている。Zcyto10の構造的な安定性に重要である事が予測されている残基はCys33,Cys126,Cys80,Cys132,Cys81及びCys134を含む。これら残基のいずれか1つのあらゆる他の残基への変異はZcyto10の機能を不活性化する事が予期される。
【0062】
Zcyto10の構造的な安定性は4つのアルファヘリックス上の埋もれた疎水性面の維持にも依存する。残基Ile42,Phe46,Ile49,Leu91,val94,Phe95,Tyr98,Leu112,Phe116,Ile119,Leu123,Val158,Leu162,Leu165,Leu168,Leu169及びMet172は、本タンパク質の中心に埋もれると予測されており、そしてそれらが変化するならば、本置換アミノ酸残基は疎水性アミノ酸でなければならない。
【0063】
Zcyto10の細胞表面受容体への結合に関わると予期される残基はヘリックスAとBとの間のオーバーハンドループ上のAsp57、並びにヘリックスDの表面にさらされると予測される電荷を有する残基、Lys160及びGlu164である。本タンパク質の表面上の、ループAB及びヘリックスDの領域上は、残基Ile62,Leu71,Ile167、及びTrp171を含んで成る疎水性表面の一部である。これらの残基は細胞表面受容体上の疎水性表面の一部と相互作用しうる。
【0064】
本発明のヒトZcyto10ポリペプチドはインターロイキン10(IL−10)に対して約28%の同一性を有する。マウスZcyto10ポリペプチドはヒトIL−10に対しておよそ24%の同一性、及びマウスIL−10に対して約27%の同一性を有する。ヒトZcyto10ポリペプチドはマウスZcyto10ポリペプチドとおよそ76%の同一性を有する。
【0065】
マウスZcyto10のヘリックスAは配列番号19のアミノ酸残基35のイソロイシンからアミノ酸残基50のアルギニンまでを含み、これは配列番号21によっても定義される。マウスZcyto10のヘリックスBは、配列番号19のアミノ酸残基91のロイシンからアミノ酸残基105のトレオニンまでを含み、これは配列番号22によっても定義される。マウスZcyto10のヘリックスCは、配列番号19のアミノ酸残基112のロイシンからアミノ酸残基126のシステインまでを含み、これは配列番号23によっても定義される。マウスZcyto10のヘリックスDは配列番号19のアミノ酸残基158のバリンからアミノ酸残基172のメチオニンまでを含み、これは配列番号24によっても定義される。
【0066】
IL−10は他のサイトカイン類の産生を阻害するサイトカインであり、活性Bリンパ球の増殖及び分化を誘導し、HIV−1の複製を阻害し、及びガンマインターフェロンへの拮抗作用を示す。IL−10は、180°回転と関連のある2つのアルファヘリックスのポリペプチド領域から形成される二量体として存在するらしい。例えばZdanov et al., Structure : 3 (6) : 591-601 (1996) を参照。IL−10はTh1 T細胞応答を調節する能力がある活性化Th2 T細胞、B細胞、角化細胞及び単球/マクロファージの産物であると報告されてきた。その様な調節はTh1 T細胞によるサイトカイン合成の阻害によって達成されうる。例えば、Hus et al., Int. Immunol. 4 : 563 (1992) and D'Andrea et al., J. Exp. Med. 178 : 1042 (1992)を参照。IL−10は、ナチュラルキラー細胞及び単球/マクロファージによるサイトカイン合成を阻害するとも報告されてきた。例えば、上述したHus et al.及び Fiorentino et al., J. Immunol. 146 : 3444 (1991) を参照。更に、IL−10はインスリン依存真性糖尿病に関する防御的な作用を有することが明らかになってきた。
【0067】
この新規DNAに対応するmRNAの組織分布の解析において、単一の転写物が約1.2kbの位置に確認された。ClontechのMutiple Tissue Northernsを用いて、本ヒト転写物が気管、胎盤、精巣、皮膚、唾液腺、前立腺、甲状腺において存在し、そしてそれらほど発現が見られない胃及び膵臓において明らかとなった。Zcyto10は以下のマウスの組織:腎臓、骨格筋、唾液腺、肝臓及び皮膚において発現した。
【0068】
前記Zcyto10発現の組織特異性はZcyto10が気管及び唾液腺、胃、膵臓及び筋肉における増殖及び/又は維持因子でありえる事;及び局所的な免疫応答において重要でありえる事を示唆する。又、クロモソーム1q32.2上の本Zcyto10遺伝子の位置はZcyto10が増殖/分化因子である事あるいはIL−10の様に免疫応答の制御において重要である事を示している。
【0069】
本発明はまた、診断上の適用において使用が明らかになるであろう試薬を提供する。本Zcyto10のDNA若しくはRNA又はそのサブシークエンスを含んで成るプローブは、本Zcyto10遺伝子がクロモソーム上に存在するか又は変異が起きたかを決定するために使用されうる。
本発明は重要な治療的価値を有する試薬も提供する。本Zcyto10ポリペプチドに対して結合親和性を有するとして定義された化合物と供に本Zcyto10ポリペプチド(自然に発生したもの又は組換え体)、その断片、抗体及びその抗イディオタイプ抗体は、異常な増殖、例えば癌の様な症状、又は変性の症状若しくは免疫性の変化を含む、生理学又は発育と関連する症状の治療に有用であるべきである。
【0070】
本Zcyto10ポリペプチドに対する抗体は精製され、そして次に患者に投与されうる。これらの試薬は、治療的な使用のため付加的な活性の又は不活性の成分と、例えば生理学的に無害の安定化剤及び補形薬に沿う医薬として許容の担体又は希釈剤と組合わせられる事ができる。これらの組合わせは滅菌濾過され、そして、投薬容器中での凍結乾燥又は安定な水性製剤中での保存による様な投薬形態に据えられうる。また、本発明は、抗体、その結合断片又は相補体結合ではない形態を含む前記抗体の一本鎖抗体の使用を予期する。
【0071】
効果的な治療のために必要な試薬の量は、投与の手段、標的部位、患者の生理学的状態、及び投与された他の薬物を含む、多くの異なる因子に依存する。この様に、治療投薬量は安全性及び効きめを最も効果的にするために力価が測定されるべきである。典型的にin vitroで使用される投薬量は、これら試薬のin vivo投与に有用な量における有用な手引きを提供しうる。特に疾病の治療のための効果的な投薬量の動物検査は更なる人間の投薬量の予測的な指示を与える。投薬方法は経口、静脈、腹膜、筋内、経皮又はネブライザー若しくはアトマイザーによる噴霧形態における肺又は気管への投与を含む。医薬として許容の担体は水、塩水、少しだけ名前を挙げた緩衝液を含む。投薬量の範囲は、通常1日当たり、体重のキログラム当たり1μg〜1000μgと予期される。しかしながら、投薬量の多い又は少ないは当業界における通常の熟練を有する医療の医者によって決定されうる。製薬調製及び投薬量の範囲の完璧な議論のために、 Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., (Mack Publishing Co., Easton, Penn., 1996)、及びGoodman and Gilman's : The Pharmacological Bases of Therapeutics, 9th Ed. (Pergamon Press 1996)を参照にすること。
【0072】
核酸を基にした治療的処理
哺乳類が変異又は欠失Zcyto10遺伝子を有するならば、本Zcyto10ポリペプチドは前記哺乳類の細胞に導入されうる。1つの態様において、Zcyto10ポリペプチドをコードする遺伝子はウィルスベクターにおいてin vivoに導入される。その様なベクターは弱毒又は欠損DNAウィルス、例えば単純ヘルペスウィルス(HSV)、パピローマウィルス、エプスタインバーウィルス(EBV)、アデノウィルス、アデノ随伴ウィルスなどの限定されていないものを除いたものを含む。完全に又はほぼ完全にウィルス遺伝子を欠く、欠損ウィルスが好まれる。欠損ウィルスは、細胞に導入された後の感染性は無い。欠損ウィルスベクターの使用は、他の細胞に感染する心配無しに、特定の制限された領域における細胞への投与を許す。特定のベクターの例は、制限されていないものを除き、欠損ヘルペスウィルス1(HSV1)ベクター〔Kaplitt et al., Molec. Cell. Neurosci., 2 : 320-330 (1991)〕、弱毒アデノウィルスベクター、例えばStratford-Perricaudet et al., J. Clin. Invest., 90 : 626-630 (1992) によって記述されたベクター、及び欠損弱毒アデノ随伴ウィルスベクター〔Samulski et al., J. Virol., 61 : 3096-3101 (1987) ; Samulski et al. J. Virol., 63 : 3822-3828 (1989)〕を含む。
【0073】
別の態様において、前記遺伝子はレトロウィルスベクター、例えばAnderson et al., U.S. Patent No. 5,399,346 ; Mann et al., Cell, 33 : 153 (1983) ; Temin et al., U.S. Patent No. 4,650,764 ; Temin et al., U.S. Patent No. 4,980,289 ; Markowitz et al., J. Virol., 62 : 1120 (1988) ; Temin et al., U.S. Patent No. 5,124,263 ; International Patent Publication No. WO 95/07358, published March 16, 1995 by Dougherty et al. ; and Blood, 82 : 845 (1993) において記載されているものに導入されうる。択一的に、前記ベクターは、リポソームを用いる、リポフェクチンによってin vivoに導入されうる。合成陽イオン脂質は、マーカー〔Felgner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84 : 7413-7417 (1987) ; Mackey et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85 : 8027-8031 (1988)を参照〕をコードしている遺伝子のin vivoトランスフェクションのためのリポソームを調製するために使用されうる。in vivoで特定の器官に外来遺伝子を導入するためのリポフェクチンの前記使用は、明らかな実施の有利性を有する。特定の細胞へのリポソームの分子標的化は利益の1つの領域を表す。特定の細胞への直接のトランスフェクションが利益の1つの領域を表すことは明らかである。特定の細胞型への直接のトランスフェクションは、細胞の異質性を有する組織、例えば膵臓、肝臓、腎臓及び脳において特に有利であろう事は明らかである。脂質は標的化の目的のために他の分子と化学的に結合させられる事が出来る。標的化されたペプチド、例えばホルモン又は神経伝達物質、及びタンパク質、例えば抗体、又は非ペプチド分子は、化学的に脂質と結合させられる事が出来る。これらリポソームもアトマイザー又はネブライザーにより肺又は気管へ噴霧形態で投与されうる。
【0074】
身体から前記細胞を取り除くこと及び裸のDNAプラスミドとして前記ベクターを導入すること及び次に身体に前記形質転換細胞を再移植することは可能である。遺伝子治療のための裸のDNAベクターは、当業界で知られた手段、例えばトランスフェクション、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、形質導入、細胞融合、DEAEデキストラン、リン酸カルシウム沈澱、遺伝子銃の使用又はDNAベクター輸送体の使用〔参照:例えばWu et al., J. Biol. Chem., 267 : 963-967 (1992) ; Wu et al., J. Biol. Chem., 263 : 14621-14624 (1988) 〕によって所望の宿主細胞に導入されうる。
【0075】
Zcyto10ポリペプチドは、Zcyto10ポリペプチドに本質的に結合する抗体を調製するためにも使用されうる。これらの抗体は次に、抗イディオタイプ抗体を製造するために使用されうる。ここで使用した様に、“抗体”の語は遺伝的に操作された抗体を含むポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、それらの抗原結合フラグメント、例えばF(ab’)2 及びFabフラグメントなどを含む。抗体は、それらが107 /Mよりも大きい又は等しいKaでZcyto10ポリペプチドに結合していれば、本質的に結合していると定義される。モノクローナル抗体の親和性は当業者によってたやすく決定されうる(例えば前記のScatcherd を参照)。
【0076】
ポリクローナル及びモノクローナル抗体の製造方法は当業界で公知である(例えばSambrook et al., Molecular Cloning : A Laboratory Manual, Second Edition (Cold Spring Harbor, NY, 1989) を参照とし;及びHurrell, J.G.R., Ed., Monoclonal Hybridoma Antibodies : Techniques and Applications (CRC Press, Inc., Boca Raton, FL, 1982) は参考文献によってこの中に組み込まれている。
【0077】
当業者に明らかであるように、ポリクローナル抗体は様々な温血動物、例えば、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、ウサギ、マウスから生じうる。Zcyto10ポリペプチドの免疫原性は、アジュバント、例えばフロイント完全又は不完全アジュバントの使用を通して増大しうる。当業者に知られた様々なアッセイが、Zcyto10ポリペプチドに本質的に結合する抗体を検出するために使用されうる。例示的なアッセイが詳細にAntibodies : A Laboratory Manual, Harlow and Lane (Eds.), (Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988) において記載されている。その様なアッセイの代表的な例は:協同免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ、ラジオ免疫沈降、固相酵素免疫アッセイ(ELISA )、ドットブロットアッセイ阻害又は競争アッセイ、及びサンドイッチアッセイを含む。
【0078】
Zcyto10に対する抗体は、可溶性タンパク質ポリペプチド、そしてリガンドの結合並びにin vitro及びin vivoのシグナル伝達を妨害するアンタゴニストの循環レベルを決定するための診断上のアッセイにおいて、親和性精製のため、本タンパク質を発現する細胞にタグをするために使用されうる。
【0079】
本発明の他の観点において、医薬として許容の賦形剤と一緒の精製されたZcyto10ポリペプチドを含んで成る医薬組成物の提供がある。その様な組成物は、本発明又は、ここで更に議論された様な、不適切な細胞増殖、細胞分化若しくはサイトカイン産生によって特徴づけられる症状の治療において細胞増殖、細胞分化又はサイトカイン産生の調節のために使用されうる。更に本発明のZcyto10ポリペプチドは、気管特異的又は気管気管支特異的な適用、例えば気管気管支上皮又は同じ様に横たわる細胞の維持又は創傷治癒において、粘液産生若しくは粘膜繊毛のゴミの除去において又は喘息、気管支炎又は気管気管支系の他の病気において使用されうる。Zcyto10ポリペプチドは本Zcyto10ポリペプチドの安定性に依存して、Zcyto10−Fcコンストラクトで使用されるのと同一の投薬量から100倍以上の投薬量の間に位置する投薬量において投与されるであろう。Zcyto10の治療的な投薬量は5〜5000μg/kg/day に及ぶ。
【0080】
本発明のZcyto10ポリペプチドは唾液腺及び気管において高度に発現し、そしてウェスタンブロット解析によって唾液において見出された。前記の唾液腺は異なる生物学的機能を有する多くのタンパク質を合成及び分泌する。その様なタンパク質は口腔の催滑(例えばムチン及びプロリンに富んだタンパク質)、再鉱化(例えばスタテリン及びイオン性プロリンに富んだタンパク質)及び消化(例えばアミラーゼ、リパーゼ及びプロテアーゼ)を容易にし、そして抗菌性(例えばプロリンに富んだタンパク質、リゾチーム、ヒスタチン及びラクトペルオキシダーゼ)、粘膜の清潔さの維持(例えばムチン)能力を提供する。更に、唾液は唾液腺で合成された増殖因子の豊富な供給源である。例えば、唾液は上皮増殖因子(EGF)、神経増殖因子(NGF)、トランスフォーミング増殖因子アルファ(TGF−α)、トランスフォーミング増殖因子ベータ(TGF−β)、インスリン、インスリン様増殖因子I及びII(IGF−I及びIGF−II)並びに繊維芽細胞増殖因子を含むことが知られている。例えば、Zelles et al., J. Dental. Res. 74 (12) : 1826-32, 1995を参照。唾液腺での増殖因子の合成はアンドロゲン依存であること、並びに口腔及び胃腸系の健康に必要であることが信じられている。
【0081】
この様に、Zcyto10ポリペプチド、それらのアゴニスト又はアンタゴニストは、胃腸系若しくは口腔の再生において、治療的に有用でありうる。本発明のZcyto10ポリペプチド、アゴニスト、アンタゴニストにおけるこの能力のこの在り様を変えるために、その様なZcyto10ポリペプチド、アゴニスト、アンタゴニストは当業界で知られた手法に従い澱粉を消化するそれらの能力に関して評価される。Zcyto10ポリペプチド、それらのアゴニスト又はアンタゴニストは喘息及び気管気管支系の他の病気、例えば気管支炎などの治療において、Th1及びTh2リンパ球の相互制御、他の炎症性細胞、例えばエオシン好性白血球、肥満細胞、好塩基球、好中球及びマクロファージの成長、分化並びにサイトカイン産生の制御における介入によって有用でありうる。Zcyto10ポリペプチド、それらのアゴニスト又はアンタゴニストは気管気管支系において筋肉の緊張も調節しうる。
【0082】
Zcyto10ポリペプチドは、軟膏又はクリームに据えられた際、多くの皮膚の状態、例えば湿疹、乾癬若しくは通常における乾燥肌又は皮膚の注意に関する様な症状の治療も、組織的にか局所的にかのどちらかで使用されうる。又、本Zcyto10ポリペプチドは、病気又は寝たきりの年配者において筋肉の萎縮を治療するために筋肉に直接注射されうる。
【0083】
放射線ハイブリッドマッピングは、哺乳類クロモソームの高解像、隣接マップの作成のために開発された体細胞遺伝技術である〔Cox et al., Science 250 : 245-250 (1990)〕。遺伝子の配列の部分的又は全ての知識が、クロモソームの放射線ハイブリッドマッピングパネルとの使用に適当なPCRプライマーの設計を与える。全てのヒトゲノムを覆う商業的に入手可能な放射線ハイブリッドマッピングパネル、例えばスタンフォードG3パネル及びGene−Bridge 4RHパネル(Research Genetics, Inc., Huntsville, AL )が利用可能である。これらのパネルは注目の領域において、素速い、PCRを基にした、クロモソームの位置推定、そして遺伝子、タグの付いた配列の部位(Sequence-taqqed sites, STSs )、並びに非多型及び多型のマーカーの注文を可能にする。これは、新規に発見された注目の遺伝子と以前に位置づけられたマーカーとの間の比例の物理的な距離を直接設定することを含む。遺伝子の位置の正確な知識は;1)配列が存在しているコンティグの部分であるかの決定及び様々な形態、例えばYAC−,BAC−又はcDNAクローンにおける付加的に覆われている遺伝的な配列の獲得、2)同一のクロムソーム領域への結合を示す遺伝する病気の、可能な候補遺伝子の提供、及び3)特定の遺伝子がどの様な機能を有しうるかを決定するのを助けるのに有益でありうる、相互関係モデルのための生物体、例えばマウス;を含む多くの方法において有用でありうる。
【0084】
本結果は、本Zcyto10遺伝子がWICGR放射線ハイブリッドマップ上でヒトクロモソーム1連鎖グループの始まりから889.26cR 3000に位置する事を示した。近位及び遠位の骨格マーカーは、それぞれD1S504及びWI−9641(D1S 2427)である。サラウンドマーカーの使用は、本Zcyto10遺伝子を、組込みLDBクロモソーム1マップ上の1q32.2領域に位置づけた(The Genetic Location Database, University of Southhampton, WWW server:http://cedar.genetics.soton.ac.uk/public html/)。多くの遺伝子がクロモソーム1の1q32.2に位置づけられてきた。特に、この領域における変異は、時に口蓋裂に関係する下唇の奇形に関係の、van der Woude症候群を引き起こすことが明らかにされた。この様に、唾液腺で発現する本Zcyto10遺伝子は、この症状の遺伝治療においても使用されうる。哺乳類が変異又は欠失のZcyto10遺伝子を有するならば、本Zcyto10遺伝子は哺乳類の細胞に導入されうる。
【0085】
本発明の別の観点は、配列番号1,3,18及び33に記載されているポリヌクレオチドの部分に相補的であるアンチセンスポリヌクレオチド組成物を含む。その様な合成アンチセンスオリゴヌクレオチドはZcyto10ポリペプチドをコードするmRNAに結合するために及びその様なmRNAの翻訳を妨害するために設計される。その様なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞培養において又は患者においてZcyto10ポリペプチドをコードする遺伝子の発現を妨害するのに有用である。
【0086】
本発明は診断上の適用における使用を見出す試薬も提供する。例えば、Zcyto10のDNA又はRNA又はそれらのサブシークエンスを含んで成る、Zcyto10のプローブはZcyto10遺伝子がクロモソーム1に存在するか又は変異が発生したかどうかを決定するために使用されうる。本Zcyto10の遺伝子座における検出可能なクロモソーム1の異常型は異数性、遺伝子コピー数変化、挿入、欠失、変化した及び再編成した制限部位に限定されていないものを除いて含んでいる。その様な異常型は、分子遺伝技術、例えば制限フラグメント長多型(RFLP)解析、PCR技術を適用する短縦列反復配列(STR)解析、及び当業者に知られた他の遺伝連鎖解析〔Sambrook et al., ibid. ; Ausubel, et al., ibid. ; Marian, A.J., Chest, 108 : 255-265, (1995)〕を適用することによる本発明のポリヌクレオチドを使用することで検出されうる。
【0087】
当業者は、配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34及び35において開示された配列がヒト並びにマウスZcyto10の遺伝子及びポリペプチドの1つの対立遺伝子を表すこと、そして対立遺伝子変異及びオルタネイティブスプライシングが起こることが予期される事を認識するだろう。対立遺伝子変異体は、標準的な方法に従い、異なる個体からのcDNA又は遺伝子ライブラリーを探索することによってクローン化されうる。サイレント突然変異及びアミノ酸配列の変化を引き起こす変異を包有するこれらを含む、配列番号1,3,18及び33に示された配列の対立遺伝子変異体は本発明の範囲内である。
【0088】
Zcyto10の本配列は、配列番号1の位置706,813,855及び906で3’の非翻訳領域における7つのメッセージ不安定モチーフを有する。シクロヘキシミドを用いたZcyto10を発現する細胞の処理は、このメッセージ不安定を軽減しうる。Shaw, G. et al., Cell 46 : 659-667 (1986) を参照。更に、ATに富む前記3’非翻訳領域は、メッセージ安定を更に助長するために遺伝的に変化又は除去されうる。
【0089】
創傷治癒助長のためのZcyto10の使用
例4のデータは、Zcyto10が創傷治癒において役割を果たす事を示している。この様にZcyto10は創傷治癒を助長することで創傷又は火傷に適用されうる。Zcyto10は個体のkg体重当たり1〜100μgの投薬量において組織的に投与されうる。Zcyto10は膏薬又は軟膏のグラムに対して1ng〜1mgのZcyto10を含む膏薬又は軟膏によっても創傷に適用されうる。 Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., (Mack Publishing Co., Easton, Penn., 1996 )を参照。Zcyto10は創傷が治癒するまで1日1回を基準として清潔にした創傷に広げられるべきである。
【0090】
血小板数を増加させるためのZcyto10の使用
例7において以下に示されるように、我々はZcyto10が血小板数を増加させるためにも使用されうることを発見した。これは化学療法又は放射線治療のために血小板減少を経験する癌患者に特に重要である。本Zcyto10は医薬として許容の賦形剤と一緒に治療的に投与されうる。
【0091】
本発明は更に、続く非制限的な例によって例示される。
例1
Zcyto10のクローニング
zcyto10×1(より長い形態)及びzcyto10×2の全長配列は、3’RACE(登録商標)を用いて及び生じた2つのフラグメントをシークエンスにかけ(配列番号10及び11)、そしてその3’レースフラグメント由来の重複配列と配列番号5において示されたコンピューターによるest配列を供に人工的にスプライシングする事によって解明された。
【0092】
オリゴ、zc15907(配列番号6)はzcyto10の推定のメチオニンのまさしく上流(5’)の領域に設計されている。更に下流の、別のオリゴ、zc15906(配列番号7)はシグナル配列開裂部位のまさしく上流の領域に設計されている。これらのオリゴはヒト気管マラソンcDNA上で3’RACE反応において使用された。マラソンcDNAは、マラソンcDNA増幅キット(Clontech, Palo Alto, CA )を用いて製品説明書に従い、Clontechから購入したヒト気管mRNAで開始して製造された。本PCR反応は温度サイクルのパラメーターにおけるいくつかの修正を有するマラソンcDNA増幅キットにおける製品説明書に従い行われた。一次PCR反応において使用されたサイクルの前記パラメーターは:
94℃ 1分 30秒 1回
94℃ 15秒 68℃ 1分 30回
72℃ 7分 1回
であつた。
【0093】
ネストPCR反応において使用されたサイクルのパラメーターは:
94℃ 1分 30秒 1回、94℃ 15秒 68℃ 1分 20秒、30回 72℃ 7分 1回であった。
生じた反応産物は1.2%アガロースゲル(Gibco agarose )上にかけられ、そして2つの主なバンドが見られ、約80bp離れていた。前記バンドは切り出され、そして製品説明書に従ってQIATEXレジン(Qiagen) を用いてゲル精製された。これらのフラグメントは次に、zcyto10の全長配列が識別されるよう、シークエンスにかけられた。
【0094】
例2
ノーザンブロット解析
ヒト多重組織ブロットI,II,III 、及びRNAマスタードットブロットが、zcyto10の組織分布を決定するために探索された。配列番号9の、45マーのアンチセンスオリゴがest配列(配列番号5,100〜145塩基対)を用いて設計され、そしてプローブとして使用された。
【0095】
15pmの配列番号9がT4ポリヌクレオチドキナーゼ(Gibco-BRL )を用いて32Pで末端標識された。標識反2μlの5Xフォワードキナーゼ反応緩衝液(Gibco-BRL )、1μlのT4キナーゼ、15pmの配列番号9、1μlの6000Ci/mmol 32Pガンマ−ATP(Amersham)及び計10μlになるまで加えた水を含んだ。本反応は37℃で30分インキュベートされた。非導入の放射活性はNucTrapプローブ精製カラム(Stratagene)で除去された。多重組織ノーザン及びヒトRNAマスターブロット(Clontech)は、1mgのサーモンの精子DNA及び0.3mgのヒトcot1DNA(Gibco-BRL )を含む10mlのExpress Hyb(Clontech)中で3時間50℃でプレハイブリダイゼーションされ、前記の両者は3分間煮沸し、2分間氷冷し、そしてExpress Hybに加えられた。ハイブリダイゼーションは50℃で一晩行われた。一次洗浄条件は以下の:2倍SSC,0.1%SDSを室温で40分間、複数回の洗浄溶液交換して、次に1×SSC,0.1%SDSを64℃(Tm −10)で30分間の様であった。次にフィルターを2日間フィルムに露光した。
【0096】
ノーザンブロット上でのzcyto10の発現は、気管における約1.2kbのバンド、胃におけるかすかな1.5kbのバンド及び膵臓における両大きさの更にかすかなバンドを明らかにした。本ドットブロットは、気管、唾液腺、胎盤、精巣、皮膚、前立腺、副腎腺及び甲状腺におけるzcyto10の存在を示した。
マウスにおいては、腎臓、骨格筋、唾液腺、肝臓及び皮膚において発見された。
【0097】
例3
Zcyto10のクロモソームの割当て及び配置
Zcyto10は商業的に入手可能な“スタンフォードG3放射線ハイブリッドマッピングパネル”(Research Genetics, Inc., Huntsville, AL )の版を用いてクロモソーム7に位置づけられた。前記“スタンフォードG3放射線ハイブリッドマッピングパネル”は前記の全ヒトゲノムのよう放射線ハイブリッドクローンのそれぞれに由来するPCR可能なDNA、更にコントロールDNA(前記RMドナー及び前期A3受容者)を含む。公的に利用可能なWWWサーバー(http://shgc-www.stanford.edn) はマーカーのクロモソームの位置を与える。
【0098】
“スタンフォード放射線ハイブリッドマッピングパネル”でのZcyto10の位置づけのため、20μlの反応がPCR可能な96穴マイクロタイタープレート(Stratagene, La Jolla, CA) 内に設置され、そして“Robo Cycler Gradient 96 ”サーマルサイクラー(Stratagene) において使用された。本85PCR反応のそれぞれは2μlの10×Klen Taq PCR反応緩衝液(CLONTECH Laboratories, Inc., Palo Alto, CA) 、1.6μlのdNTP混合物(各2.5mM,PERKIN-ELMER, Foster City, CA)、1μlのセンスプライマー、配列番号6の5’ATT CCT AGC TCC TGT GGT CTC CAG 3’、1μlのアンチセンスプライマー、(配列番号8)5’TCC CAA ATT GAG TGT CTT CAG T 3’、2μlの“Redi Load ”(Research Genetics, Inc., Huntsville, AL)、0.4μlの50×Advantage Klen Taq Polymerase Mix(Clontech Laboratories, Inc.)、25ngの個々のハイブリッドクローン又はコントロール由来のDNA及びXμlのddH2 Oから成る。本反応液は等量のミネラルオイルで重層され、そして密閉される。本PCRサイクルの条件は以下の:最初の1サイクル95℃での5分間の変性、35サイクルの95℃での1分間の変性66℃での1分間のアニーリング及び72℃での1.5分間の伸長、続いて最後の1サイクル72℃での7分間の伸長の様であった。本反応液は2%アガロースゲル(Life Technologies, Gaithersburg, MD )上の電気泳動によって分離された。
【0099】
本結果は、Zcyto10の骨格マーカーSHGC−36215への結合が10以上のLODスコアを有し、そして前記マーカーから14.67cR 10000の距離である事を示した。サラウンドマーカーの使用は、Zcyto10を組込みLDBクロモソーム1マップ上の1q32.2に位置づけた(The Genetic Location Database, University of Southhampton, WWW server : http://cedar.genetics.soton.ac.uk/public html/)。
【0100】
例4
創傷治癒助長のためのZcyto10の使用
標準の成体雌バルブ/Cマウスが本発明において用いられた。それらは、本研究の間、任意に動物飼育施設に12時間の昼−夜サイクルで収容され、水及び研究室のネズミの餌が与えられた。それらは手術の日から別々に閉じ込められた。
【0101】
手術の日、前記動物は、滅菌(0.2μ濾過のリン酸緩衝液塩水(PBS)中の104mg/kgのケトアミン(Vetalar, Aveco Inc., Ft. Dodge, IA) と7mg/kgのキシラジン(Rompun, Mobey Corp., Shawnec, KS) で腹膜内注射によって麻酔された。背中の体毛は刈られ、そしてその皮膚はNAIR(登録商標)(Carter-Wallence, New York, NY)で除毛され、そして水で洗浄された。100%アロエベラゲルを、NAIR(登録商標)処理のアルカリ火傷を打ち消すために適用し、そして前記動物を、皮膚及び周囲の下毛が乾くまで水循環加熱パッド上に置いた。
【0102】
前記動物は次に、メトファン(Pittman Moore, Mundelein, NJ) で麻酔され、そして70%エタノールでふいた背を除毛した。各0.5平方cmの4つの切除が胸脚の脊椎のレベルで、脊椎旁の面を超え皮膚及び筋肉層から作られた。前記創傷及び除毛皮膚の周囲は、粘着性の、半透性の閉塞作用の包帯、BIOCLUSIVE(登録商標)(Johnson & Johnson, Arlington, TX)で覆われた。切除の切断縁は、後のふさぎパラメーターの評価のため、BIOCLUSIVE(登録商標)から酢酸透明度まで追跡された。
【0103】
異なる時間点(7,15及び24時間)におけるコントロールの皮膚及び創傷皮膚はQiagen RNeasy Midiキットを用いて処理された。簡単に、皮膚(コントロール及び創傷面)は検量され、そして適当な用量の溶解緩衝液(RLT)中でホモジェナイズされた。前記溶解物は組織のカスを除くために遠心され、そして等量の70%エタノールを溶解物に加え;良く混合され、そしてカラムに載せられた。前記試料を5分遠心し、そして3.8mlのRM1緩衝液1回、次にRPEで2回(各2.5ml)で洗浄した。全RNAをRNase無しの水で溶出した。前記皮膚試料の発現レベルをリアルタイムPCR(Perkin Elmer ABI Prism 7700 Sequerce Detector )を用いて測定した。
【0104】
本実験は無鋳型コントロール、スタンダード及び皮膚試料の組合わせで設計された。マウス腎臓全RNAが標準曲線のために使用された。皮膚全RNA(25ng)の3つの組合わせが本実験7時間(コントロール及び創傷);15時間(コントロール及び創傷)、24時間(コントロール及び創傷)において使用された。各試料は、前記7700配列検出器上でOne Step RT−PCRによって3回同じ事が行われた。配列番号36の順プライマー、配列番号37の逆プライマー、及びPerkin ElmerのTaq Manプローブ(ZC−7−FAM)の一団が本実験において使用された。本One Step RT−PCRの条件は以下:(RT段階)48℃で30分間、(RCR段階の40サイクル)95℃で10分間、95℃で15秒間、60℃で1分間の様であった。
【0105】
7時間及び15時間におけるコントロール皮膚試料内のZcyto10の発現レベルは、それぞれ2.46ng/ml及び2.61ng/mlに匹敵した。24時間におけるコントロール皮膚試料の、Zcyto10の発現レベルはゼロであった。7時間における創傷皮膚由来のZcyto10の発現レベルは5.17ng/ml(コントロール試料のそれと比べて2倍以上増)であった。15時間における創傷皮膚由来のZcyto10の発現レベルは14.45ng/ml(コントロール試料のそれと比べて5.5倍増)であった。24時間における創傷皮膚由来のZcyto10の発現レベルは5.89ng/mlであった。ネガティブコントロール(酵母tRNA)を含む繰り返しの実験も、類似の傾向を与え、そして酵母tRNAの結果はほぼゼロであった。本結果は増幅が真実及びマウス特異である事を示唆した。
【0106】
これらのデータは、創傷組織由来のZcyto10の発現レベルが前記コントロール試料と比較して上昇し、そしてそれが時間の後、増加及び減少するので、Zcyto10が創傷の修復において役割を果たすことを示唆した。この様に、Zcyto10は創傷治癒を助長するために創傷に適用されうる。
例5
トランスジェニックマウス Zcyto10をアルブミン又はメタロチオニンのプロモーターのどちらかの下で発現する、トランスジェニックマウスが製造された。出生時、前記マウスのいくつかは、光沢のある外見を有し、そして動きが限定されていた。これらマウスの皮膚は堅くそしてしわがよっており、いくつかは下唇上に髭様体毛も有していた。鼻孔及び口の部分、四肢及び尾は腫れていた。
【0107】
アルブミンプロモーターが使用された、あるトランスジェニックマウスは3日目まで生き延び、そして激しく発育が阻害された。耳の発育が無く、そして指の発育が減少した。全ての動物は、それらが1,2又は3日目で死にかけているとき、犠牲にされた。尾及び肝臓の試料は集められ、そしてそれらはパラフィン中の10%ホルマリン内に自然位で固定され、そして3マイクロメーターで切断され、そしてH&Eで染色された。この表現型の全てのマウスはトランスジェニックマウスであり、Zcytoの低い又は高い発現を有した。
【0108】
有意な変化は皮膚を除く主な前記組織において確認されなかった。本zcyto10を発現している仔マウスの皮膚、特にZcyto10の高発現レベルを有するマウスのそれらは、非発現の仔マウスより厚い傾向であった。これら仔マウスにおける顆粒層は非発現の仔マウスと比較して厚みが減少する傾向であり、一方、有棘層は増大した細胞層及び/又は増大した細胞の直径のためにより厚かった。
【0109】
表皮における前記変化に加えて、Zcyto10の媒介発現を有するあるマウスは、ムチン様の物質によって局所的に、適度に広がった。
例6
細胞培養培地からのZcyto10の精製
CHO細胞によって製造されたZcyto10は、陽イオン交換クロマトグラフィー及びサイズ排除クロマトグラフィーを含める二つの段階の方法を用いて細胞培養培地から単離された。
A.陽イオン交換クロマトグラフィー使用した材料共有結合したスルフォプロプル(SP)基を有するTOYOPEALイオン交換レジンである。SP−650M陽イオン交換レジンを詰めた、直径(D)2.2cm×高さ(H)6cmのカラム(AMICQN) 。
【0110】
プラスミドを含むZcyto10でトランスフェクションされた乳児ハムスター腎臓(BHK)細胞からの15リットルの培養培地を回収した。前記培養培地のpHを2N HClで調整した。上述の詰まったカラムを50mMの、pH5.0の酢酸ナトリウムで平衡化した。培養培地を約8ml/分で20カラム量(cV)/時間の速さでカラムに載せた。載せ終わったとき、カラムをpH5.0の50mM NaAcの10cVで洗浄した。カラム内の前記材料は、次にpH5.0の50mM NaAcにおいて、20cVのNaCl勾配で溶出された。NaCl勾配は0〜0.5M NaClの範囲内であった。これは培養培地における材料を15リットルから170mlにまで濃縮した。
【0111】
生じた170mlの採収物はスピン5000カットオフ遠心濃縮器(Millipore, Inc. Bedford, MA )を用いて約5mlに更に濃縮された。
B.サイズ排除(S−100)ゲル濾過段階
使用した材料
カラム1.6cm(直径)×93cm(高さ)
S−100ゲル(Pharmacia, Piscataway, NJ)
前記の5mlの採収物を更にS−100ゲルを含む上述のカラムに載せた。本カラムを、カラムのpHを約7.0に移行させるために5×リン酸緩衝液塩水で平衡化した。Zcyto10を1.5ml/分の流速で、1×PBSを使用することによって汚染物から単離した。画分は2ml増加分で回収された。溶出を開始した後約90分で、本Zcyto10ポリペプチドは52〜64の画分に到着し、これはドデシル硫酸ナトリウム(SDS)ポリアクリルアミドゲル電気泳動をクーマシーブルーで染色して決定された。本ゲルは約14kDa の予想された分子量の位置に1つのバンドを明らかにした。
【0112】
例7
マウスZcyto10のクローニング
MARATHONTMAP1アダプターに付着する配列番号38と、AP2MARATHONTMアダプターに付着するネスト化された配列番号39の5’MARATHON RACETM(Clontech, Palo Alto, CA )のプライマーセット、MARATHON RACETMAP1アダプターに付着する配列番号40と、MARATHON RACETMアダプターに付着する配列番号41の3’MARATHON RACETMのプライマーセットのPCRプライマー並びに5’及び3’レースがマウス皮膚MARATHON RACETMcDNAで行われた。いくつかのフラグメントはこれらの反応由来であり、そしてゲル精製され、シークエンスされ、前記マウスzcyto10の全長コード配列、更にいくつかの5’及び3’のUTR配列の解明が認められた。2つのマウスZcyto10対立変異体、すなわち配列番号18及び19並びに配列番号33及び34が発見された。本クローンはプライマー配列番号42及び43を用いてPCRによって増幅された。
【0113】
例8
Zcyto10のノーマルマウスへのアデノウィルス投与
Zcyto10をZcyto10遺伝子を含むアデノウィルスによって投与した。以下に記述する様なマウスの3つの群があった。前記アデノウィルスを(58Bl/6の雌及び雄のマウスに静脈注射した。全てのマウスは、犠牲になる前に3日間、彼らの飲み水中のブロモデオキシウリジン(BrdU)を受け取った。これは組織学的方法による細胞増殖の検出を行わせた。測定したパラメーターは、体重変化、完璧な血球計算、血清の化学作用、組織学、臓器重量及びBrduによる細胞増殖を含んだ。
実験設定
群1 Zcyto10×1(配列番号18)/pAC−CMV/AdV
1×10" 粒子/投薬量
(21日目で雌9匹、雄9匹が犠牲)
(11日目で雌2匹、雄2匹が犠牲)
全数=22匹のマウス
群2 無効なCMV/AdVコントロール
1×10" 粒子/投薬量
(21日目で雌10匹、雄10匹が犠牲)
(11日目で雌2匹、雄2匹が犠牲)
全数=24匹のマウス
群3 無処理
(雌5匹、雄5匹)
全数=10匹
結果
最も印象を残す前記効果は、空のアデノウィルスコントロールと比較してZcyto10−アデノウィルスで処理した雄及び雌のマウスにおいて、血小板数における有意な増大が確認された事であった。これは雄のマウスにおける赤血球容積率の減少並びに脾臓及び肝臓重量の増加によって果たされる。胸腺重量も雄において減少した。対照的に、Zcyto10−アデノウィルス処理した雌のマウスは、空のウィルスコントロールと比較して増加したリンパ球及び好中球から本質的に成る、有意に増加した白血球数を示した。
【0114】
これらの結果は造血がZcyto10処理に影響され、しかし両性別に影響される増加した血小板数を除き、他の効果が性別特異的であることを示した。
雌のグルコース濃度は、有意でない変化を示した前記の雄のそれらに対して、処理された群においてより低かった。
血液尿素窒素(BUN)は処理された群の雄及び雌両方においてより高かった。
【0115】
雌のアルカリホスファターゼは、有意でない変化を示した雄に対してより高かった。
前記血小板数は処理された群の雄及び雌両方においてより高かった。
雌の全白血球数は、有意でない変化を示した雄に対して処理された群においてより高かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34及び35から成る群から選択される1又は複数のポリペプチドに少なくとも90%同一であるポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド。
【請求項2】
前記ポリヌクレオチドが配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34及び35から成る群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする請求項1の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項3】
前記ポリヌクレオチドが配列番号1,3,18及び33から成る群から選択される請求項1の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項4】
配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34及び35から成る群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのエピトープ担持部分のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記ポリヌクレオチドが配列番号14,15,16,17,21,22,23,24,27,28,29,30,31及び32から成る群から選択されるポリペプチドをコードする請求項4の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項6】
前記ポリヌクレオチドが配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34及び35から成る群から選択される1又は複数のポリペプチドに少なくとも80%同一であるポリペプチドをコードする請求項4の単離されたポリヌクレオチド。
【請求項7】
配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34及び35から成る群から選択される1又は複数のポリペプチドに少なくとも90%同一である単離されたポリペプチド。
【請求項8】
前記ポリペプチドが配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34及び35から成る群から選択される請求項7の単離されたポリペプチド。
【請求項9】
配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34及び35から成る群から選択されるアミノ酸配列を有するポリペプチドのエピトープ担持部分のアミノ酸配列を有するポリペプチド。
【請求項10】
前記ポリペプチドが配列番号14,15,16,17,21,22,23,24,27,28,29,30,31及び32から成る群から選択される請求項9のポリペプチド。
【請求項11】
前記ポリペプチドが配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34及び35から成る群から選択されるポリペプチドに少なくとも80%同一である請求項9のポリペプチド。
【請求項12】
配列番号2,4,12,13,19,20,25,26,34,35,14,15,16,17,21,22,23,24,27,28,29,30,31及び32から成る群から選択されるポリペプチドに選択的に結合する抗体。
【請求項13】
請求項12の抗体に結合する抗イディオタイプ抗体。

【公開番号】特開2010−187698(P2010−187698A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−105084(P2010−105084)
【出願日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【分割の表示】特願2000−522245(P2000−522245)の分割
【原出願日】平成10年11月25日(1998.11.25)
【出願人】(500049831)ザイモジェネティクス,インコーポレイティド (37)
【Fターム(参考)】