説明

唇洗浄用ブラシ

【課題】本発明は、微振動する刷掃部材を有し、唇表面の皮剥けや荒れを改善することができるとともに、マッサージ効果により唇の血行促進を高めることができる唇洗浄用ブラシの提供を目的とする。
【解決手段】本発明は、唇表面を清掃する唇洗浄用ブラシであって、唇表面の余分な皮剥けを防止し、血行を改善するための少なくとも1つの刷掃部材2と、この刷掃部材2を装着自在かつ微振動可能な振動付与機構を備えたハンドル部3とを具備してなり、前記振動付与機構がモーター6の出力軸に装着された偏心錘7を具備する機構であって、前記刷掃部材2へ付与する振動数が前記モーターの6000〜18000回転/分に伴う偏心錘7からの振動数によることを特徴とする唇洗浄用ブラシ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微振動する刷掃部材を有し、唇の表面を清掃する唇洗浄用ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
生体の皮膚の表面に医療用や化粧用の物質を付与し、この物質を皮膚表面からの吸収により生体内部組織へ浸透させる場合、その吸収を阻害する要因として皮膚の老廃物や老化角質が表面バリアとなる現象が知られている。このため、皮膚の表面バリアをピーリング(剥離)する方法や装置が知られているが、中でも唇は皮膚組織が極めて薄く、敏感な部位であるがために、特別な配慮が必要となる。
例えば、皮膚が極めて薄い唇を傷付けることなく滑らかにする効果を持たせるために、平均粒子径を50〜200μmとした結晶セルロースを化粧料全量に対して0.5〜30重量%含有させることにより、適度な粘度を確保しつつ十分なスクラブ効果を発揮させた唇用の化粧料が知られている。(特許文献1参照)
しかし、この特許文献1に記載された技術は、ハンドマッサージで唇の老廃物を除去する方法であるために、唇表面に対する均一な加圧が困難であり、均一かつ精密なピーリングは困難であった。
【0003】
そこで他の手段を考慮すると、電気的な振動を洗浄に利用したブラシや装置が種々考案されている。(特許文献2、3参照)
特許文献2に記載された技術は、洗顔用の電導フェイスブラシであり、顔面のような微細な凹凸のある表面を洗浄する場合、手動による操作では動作速度に限界があることと、皮膚をブラシで強く擦り付けると皮膚の角質を痛めることがあることに鑑み、開発されている。特許文献3に記載された技術は、皮膚表面をピーリングするために平均粒径を1000nm未満の研磨粒子としたピーリング剤を供給した研磨パッドをグリップ部の先端側に備えたハンディタイプのピーリング装置を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−031525号公報
【特許文献2】特開2003−102551号公報
【特許文献3】特開2004−277325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記特許文献2、3に記載された技術は、いずれも顔や腕の皮膚用であって、これらの技術を唇の洗浄用として用いると、唇の組織を傷付けてしまうおそれがある。
即ち、従来の技術では、唇の皺の溝の汚れを洗浄し、唇の皮剥けや荒れた唇の表面状態を改善するとともに、マッサージ効果により唇の血行促進を高める技術や器具について開発されていないのが現状であった。
【0006】
本発明は、微振動する刷掃部材を有し、敏感な唇表面の皮剥けや荒れを改善することができるとともに、マッサージ効果により唇の血行促進をなすことができる唇洗浄用ブラシの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有する。
本発明の唇洗浄ブラシは、唇表面を清掃する唇洗浄用ブラシであって、唇表面の余分な皮剥けを防止し、血行を改善するための少なくとも1つの刷掃部材と、この刷掃部材を装着自在かつ微振動可能な振動付与機構を備えたハンドル部とを具備してなり、
前記振動付与機構がモーターの出力軸に装着された偏心錘を具備する機構であって、前記刷掃部材へ付与する振動数が前記モーターの6000〜18000回転/分に伴う偏心錘からの振動数によることを特徴とする唇洗浄用ブラシ。
【0008】
本発明の唇洗浄ブラシは、前記少なくとも1つの刷掃部材は、軟質樹脂からなる突起部を1つ以上備えたことを特徴とする。
本発明の唇洗浄ブラシは、前記振動付与機構が、電源とモーターと偏芯錘とを具備してなることを特徴とする。
本発明の唇洗浄ブラシは、直径4mil以下のフィラメントからなる毛束を1つ以上片面に備え、軟質樹脂からなる突起部を1つ以上を他面に備えた刷掃部材を有してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の唇洗浄用ブラシによれば、振動付与部材から好適な振動数が付与されて振動させている刷掃部材を唇に当てることにより、敏感な唇の組織を傷付けることなく唇の皺の溝の汚れを洗浄することができ、唇の皮剥けや荒れた唇の表面状態を改善できるとともに、好適な振動数に伴うマッサージ効果により唇の血行を促進することができる唇洗浄用ブラシを提供することができる。
刷掃部材へ付与する振動数がモーターの6000〜18000回転/分に伴う偏心錘からの振動数によるものであるので、敏感な唇の組織を傷付けることなく唇の皺の溝の汚れを洗浄することができ、上述の効果を確実に奏し得る。
【0010】
前記刷掃部材が、直径4mil以下のフィラメントからなる毛束を有する構成、あるいは、軟質樹脂からなる突起部を備えたものであるならば、敏感な唇の組織を傷付けることなく唇の皺の溝の汚れを洗浄する上で有利となる。
前記刷掃部材が一面側に毛束を備え他面側に軟質樹脂の突起部を備えた構成であるならば、一面側の毛束を用いて刷掃する状態と他面側の突起部を用いて刷掃する状態の切り替えが可能となり、使用者個人の唇の状態に応じ、好適な毛束あるいは好適な硬度の軟質樹脂の突起部を使い分けて使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の唇洗浄用ブラシの第1実施形態を示す図であり、図1(A)は内部構造を透視的に簡略して示すハンドル部に刷掃部材を取り付けた状態を示す模式図、図1(B)はハンドル部の側面図。
【図2】図1に示す唇洗浄ブラシに備えられる刷掃部材を示すもので、図2(A)は刷掃部材の第1実施形態の平面図、図2(B)は同形態の刷掃部材の側面図、図2(C)は刷掃部材の第2実施形態の側面図。
【図3】刷掃部材の第3実施形態を示すもので、図3(A)は第3実施形態の刷掃部材の平面図、図3(B)は第3実施形態の刷掃部材の側面図。
【図4】刷掃部材の第4実施形態を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る唇洗浄用ブラシの第1実施形態の構造を示すもので、図1(A)は本体部1と刷掃部材2からなる唇洗浄用ブラシAにおいて本体部1の内部構造を透視図とした状態の側面略図、図1(B)は同本体部1の側面図である。
本実施形態の唇洗浄用ブラシAの本体部1は、人手で把持可能な細筒型のハンドル部3の内部に、単三型の乾電池などの電源5と、この電源5からの電力の供給によって動作するモーター6と、このモーター6の出力軸に取り付けられた偏心錘7とが組み込まれた構造とされている。ハンドル部3においてモーター6と偏心錘7とから振動付与機構が構成される。
ハンドル部3の後端部は開口部3aとされ、この開口部にねじ込む形態のボトムキャップ8が着脱自在に設けられている。このボトムキャップ8の先端部側に前記ハンドル部3の開口部3aに挿入自在な筒部8aが形成され、この筒部8aの外周部に形成されたネジ部8bをハンドル部3の開口部3aの内周面に形成されたネジ部(図示略)に螺合することでボトムキャップ8がハンドル部3にねじ込みできるように構成されている。また、筒部8aの基端部外周にリング状の防水ゴム9が介装されていて、ボトムキャップ8をハンドル部3の開口部3aにねじ込み結合した状態において防水性を確保できるように構成されている。
【0013】
前記ハンドル部3の外側面には、モーター6の作動開始用のスイッチ10とモーター6の作動停止用のスイッチ11とが設けられている。なお、図面において電源5からモーター6に通電するための配線や回路は略しているが、ハンドル部3の内部側において電源5とモーター6との間にはスイッチ10、11の内部回路を経由する形態で配線や回路が形成されていてスイッチ10、11の操作によりモーター6の始動と停止が自由に出来るように構成されている。
【0014】
前記ハンドル部3の先端側は、若干先窄まり状に形成されているが、その先端部3bの中央に金属製の支持軸12が突出形成されている。また、ハンドル部3の先端側の内部空間に前記モーター6の出力軸に装着された偏心錘7が位置されていて、モーター6の出力軸を回転駆動することにより偏心錘7がハンドル部3の内部空間を回転移動し、この際に生じる回転力に応じた振動エネルギーを支持軸12に伝達できるように構成されている。
本実施形態の唇洗浄用ブラシAに適用するモーター6は、乾電池1本からの電圧により回転数6000〜18000回転/分程度の範囲の回転数を確保することができる小型の一般市販のものを用いることができる。また、振幅は、振幅0.3〜1mm程度の範囲とすることが好ましい。この目的に供するモーター6の一例として、1.5Vの電圧で9000回転/分の回転が可能なマブチモーター製RF−120JWA−6Z115(商品名)等を適用することができる。
【0015】
前記ハンドル部3の支持軸12に対し、刷掃部材2が着脱自在に装着されている。この刷掃部材2は、図2(A)に拡大して示すように前記支持軸12に対し着脱自在とするための中空部を有するパイプ状の装着ロッド2aと、この装着ロッド2aの先端側に一体的に形成された円形板(直径20mm程度の略円形板)状の刷掃体2bとからなり、この刷掃体2bの一面にポリエチレンテレフタレートなどの合成樹脂製の太さ3milの用毛を複数本植え込んでなる毛束13を所定の間隔で植設してなる刷掃部15が形成されている。
【0016】
この実施形態で、例えば、刷掃体2bに毛束13を植設した穴の径を1.2mmと設定し、穴数を28個、千鳥状に配置するとともに、毛束13を構成する用毛は毛先を丸め加工した長さ4.4mm程度のナイロン、ポリブチレンテレフタレート、トリポリメチレンテレフタレートなどからなるストレート用毛を用いることができる。
ここで用いる用毛が、4milより太くなると唇の皺の溝への侵入性が低下するだけでなく、必要以上に唇をピーリングすることにより唇組織を傷付けるおそれがあるので、上述したナイロンなどからなる材料製のストレート用毛を用いる場合は1mil以上、4mil以下の範囲、より好ましくは、2mil以上、4mil以下の太さ範囲が好ましい。(通常の歯ブラシ用の用毛太さは5mil以上)また、用毛の長さは、通常の歯ブラシ用の用毛より短い3.0〜8.0mm程度の範囲で適切な長さとすればよい。更に、刷掃体2bの形状は、唇に対する操作性を考慮し、略円形もしくは略横長形状とすることができ、植毛幅は唇に対して操作し易い範囲である10〜25mm程度とすることが好ましい。
【0017】
図1に示す唇洗浄用ブラシAを用いて唇の清掃を行うには、ハンドル部3の支持軸12に刷掃部材2の装着ロッド2aを挿入しておき、手動によりハンドル部3のスイッチ10を操作してモーター6の出力軸を回転駆動し、偏心錘7を回転駆動する。この偏心錘7の回転駆動によりハンドル部3の支持軸12が微振動し、この微振動が装着ロッド2aを介し刷掃部2bを微振動させる。この状態からハンドル部3を手で操作して毛束13を唇に押し当てることにより、毛束13による唇表面の清掃ができる。
ここで刷掃体2bに植毛されている毛束13を構成する用毛は、太さが3mil程度であり、通常の歯ブラシに適用される5〜8milの用毛より細く弾性も低いので、唇表面を傷付けることなく適度な力で刷掃し、唇表面の老廃物や老化角質などの除去を行うとともに唇をマッサージすることができる。即ち、唇表面組織を痛めることなく唇を清掃することができる。
本実施形態の唇洗浄用ブラシAにあっては、モーター6の回転数として、6000〜18000回転/分程度の好適な範囲を採用しており、この範囲の回転数の選択によって、唇表面を傷付けることなく適度な力で刷掃し、唇表面の老廃物や老化角質などの除去を行うとともに唇をマッサージすることができるとの効果を確実に奏することができる。
【0018】
図2(B)は本発明に係る唇洗浄用ブラシに適用する刷掃部材の第2実施形態を示すもので、この第2実施形態の刷掃部材20は、先の第1実施形態の刷掃部材2の構成と同等構成の装着ロッド2aと刷掃体2bを有するが、刷掃体2bに植毛している毛束16を構成する用毛を太さ4milのテーパー毛として刷掃部17が構成された点に特徴を有する。
用毛をテーパー毛とすることにより、細いテーパー毛が唇の皺の溝の奥まで確実に侵入して清掃ができるとともに、4mil以下のテーパー毛であるならば、上述の3mil以下のストレート用毛と同等、唇表面組織を痛めることなく唇を清掃することができる。このようにテーパー毛を用毛として用いる場合は、2mil以上、4mil以下の太さとすることが好ましい。
【0019】
図3は刷掃部材の第3実施形態を示すもので、この形態の刷掃部材30は先の形態の刷掃部材2の構成と同等構成の装着ロッド30aを有するが、刷掃体30bが横長の偏平状の楕円板からなり、刷掃体30bに千鳥状に3列の突起部33が合計13個埋め込まれて刷掃部35が構成されている点に特徴を有する。その他の構造は先の実施形態と同等である。
これらの突起部30は外径1.0mmの円錐状に形成され、エラストマー(スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリエステル系エラストマーなど:硬度10A〜70A程度、例えば40A程度)などの軟質樹脂からなり、高さは3mm程度に形成されている。これら突起部30の先端は、R0.2〜0.6程度の丸め加工が施されていることが好ましい。
本実施形態の刷掃部材30においても先の第1、第2実施形態の刷掃部材2、20と同様に使用することができ、同等の効果が得られる。
【0020】
図4は刷掃部材の第4実施形態を示すもので、この形態の刷掃部材40は先の形態の刷掃部材2の構成と同等構成の装着ロッド40aと刷掃体40bを有するが、刷掃体40bの一面側に植毛している毛束16を構成する用毛を先の第2実施形態のテーパ毛と同じ太さ4milのテーパー毛とするとともに、刷掃体40bの他側の面に先の第3実施形態の千鳥状に3列配置したものと同等の突起部33を植設した点に特徴を有する。
本実施形態の刷掃部材40においても先の第1、第2実施形態の刷掃部材2、20と同様に使用することができ、同等の効果が得られるが、本実施形態の刷掃部材40にあっては、一面側の毛束16を用いて刷掃する状態と他面側の突起部33を用いて刷掃する状態の切り替えが可能となり、使用者個人の唇の状態に応じ、好適な毛束あるいは好適な硬度の軟質樹脂の突起部33を使い分けて使用することができる。
なお、テーパー毛からなる毛束16において各テーパー毛の先端が細いので唇の皺の溝に侵入しやすく、清掃の面で特に優れ、軟質樹脂製の突起部33は先端が丸いので唇に対する当たりが柔らかくマッサージ効果に特に優れているので、両者の特徴的な機能を使い分けて使用することができる。
【実施例】
【0021】
「実施例1」
図2(A)、(B)に示す刷掃部材を用いて女性テスターに2週間連続使用する試験を行った。即ち、刷掃部材の刷掃部の直径は20mmの略円形であり、その円形状の刷掃部の一面に穴径1.2mmの植毛穴を28穴、千鳥状に配置した構造であり、6−12ナイロンからなる太さ3mil、毛丈4.5mmのストレート用毛を用いた構造の刷掃部材を試験に供した。この構成の刷掃部材を図1に示す9000回転/分で振幅0.5mmとなるモーターと偏心錘を内蔵した本体部に装着し、唇洗浄用ブラシ完成品として試験に供した。なお、本体部の仕様は、全長190mm、モーター:マブチモーターRF−J20WA−6Z115(商品名)を用い、電源は単4型アルカリ電池を用いた。
そして、使用前と使用後における血流量とa*値(唇の赤みの指標)と角層水分量を測定したところ、以下の表1の結果が得られた。
【0022】
【表1】

【0023】
表1において、血流量はNIHON KHODEN社製の「超音波血流計QFM−21」を用いて測定し、a*値は(株)マイセック製「ハンディ型簡易分光測色計 NF−333」を用いて測定し、水分量はアイ・ビイ・エス(株)製「皮表角層水分量測定装置」を用いて測定した。
上述の構造の唇洗浄ブラシを連用して2週間用いた結果、表1に示す如く唇の毛細血管の血流量増加が認められ、また唇の赤みの増加、唇の角層水分量増加も明らかになり、角層の状態も改善されていることを確認することができた。
【0024】
「実施例2」
実施例1において用いた唇洗浄用ブラシの毛束の用毛をポリブチレンテレフタレートからなるテーパ毛に代えて図2(C)に示す構造とした刷掃部材を用いて同等の試験を行った。この刷掃部材の用毛に適用したテーパ毛の直径は4.0milである。
この構成の刷掃部材を図1に示す9000回転/分で振幅0.5mmとなるモーターと偏心錘を内蔵した本体部に装着し、唇洗浄用ブラシ完成品として試験に供した。
そして、使用前と使用後における血流量とa*値(唇の赤みの指標)と角層水分量を測定したところ、以下の表2の結果が得られた。
【0025】
【表2】

【0026】
この実施例2の唇洗浄ブラシを用いたところ、先の実施例1と同様に、唇の毛細血管の血流量増加が認められ、また唇の赤みの増加、唇の角層水分量増加も明らかになり、角層の状態も改善されていることを確認できた。
【0027】
「実施例3」
実施例2において用いた唇洗浄用ブラシに代えて図3に示す構造とした刷掃部材を用いて同等の試験を行った。この刷掃部材においては用毛の代わりに、スチレン系エラストマー樹脂の「セプトン」(クラレ株式会社、登録商標)を用いた。この突起物の形状は底面が直径1mmの円錐形状で高さ3mmの突起物を刷掃部材の刷掃部に設けた13穴に植設した構造となっている。
この構成の刷掃部材を図1に示す9000回転/分で振幅0.5mmとなるモーターと偏心錘を内蔵した本体部に装着し、唇洗浄用ブラシ完成品として試験に供した。
そして、使用前と使用後における血流量とa*値(唇の赤みの指標)と角層水分量を測定したところ、以下の表3の結果が得られた。
【0028】
【表3】

【0029】
この唇洗浄ブラシを連用して2週間用いたところ、先の実施例1、2と同様に、唇の毛細血管の血流量増加が認められ、また唇の赤みの増加、唇の角層水分量増加も明らかになり、角層の状態も改善されていることを確認できた。
【0030】
「実施例4」
次に、本発明に係る唇洗浄用ブラシに適用するモーターと偏心錘の振動数及び用毛径についてさらに具体的に説明する。
実施例1、2及び比較例1〜3の唇洗浄ブラシを用い、女性パネル20名に唇をマッサージさせ、使用性(余分な角質が除去されている感じ、マッサージされている感じ)と為害性(唇の痛みの有無)について、以下の評価基準で判定した。
<余分な角質が除去されている感じ>
角質が除去されている感じを感じる人が15人以上:◎
角質が除去されている感じを感じる人が8〜14人以上:○
角質が除去されている感じを感じる人が5〜7人以下:△
角質が除去されている感じを感じる人が4名以下:×
<マッサージされている感じ>
マッサージされている感じがとても良いと答えた人が15人以上:◎
マッサージされている感じがとても良いと答えた人が8〜14人以上:○
マッサージされている感じがとても良いと答えた人が5〜7人以下:△
マッサージされている感じがとても良いと答えた人が4名以下:×
<唇の痛みの有無>
唇に痛みを感じると答えた人が12人以上:×
唇に痛みを感じると答えた人が11人以下:○
【0031】
【表4】

【0032】
上記表4の試験結果より、本発明の実施例に係る唇洗浄用ブラシは余分な角質が除去されている感触とマッサージされている感触に優れ、唇に対する痛みも無く、安全な唇洗浄ブラシであることが分かる。特に、細径の用毛により構成される刷掃部位は角質除去感に優れ、軟質樹脂より構成される刷掃部位はマッサージ感に優れることが分かる。
【符号の説明】
【0033】
A…唇洗浄用ブラシ、1…本体部、2…刷掃部材、2a…装着ロッド、2b…刷掃体、3…ハンドル部、5…電源、6…モーター(振動付与機構)、7…偏心錘(振動付与機構)、8…ボトムキャップ、8a…筒部、9…防水ゴム、10、11…スイッチ、12…支持軸、13…毛束、15…刷掃部、16…毛束、17…刷掃部、30…刷掃部材、30a…装着ロッド、30b…刷掃体、33…突起部、35…刷掃部、40…刷掃部材、40a…装着ロッド、40b…刷掃体。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
唇表面を清掃する唇洗浄用ブラシであって、唇表面の余分な皮剥けを防止し、血行を改善するための少なくとも1つの刷掃部材と、この刷掃部材を装着自在かつ微振動可能な振動付与機構を備えたハンドル部とを具備してなり、
前記振動付与機構がモーターの出力軸に装着された偏心錘を具備する機構であって、前記刷掃部材へ付与する振動数が前記モーターの6000〜18000回転/分に伴う偏心錘からの振動数によることを特徴とする唇洗浄用ブラシ。
【請求項2】
前記少なくとも1つの刷掃部材は、直径4mil以下のフィラメントからなる毛束を1つ以上備えたことを特徴とする請求項1に記載の唇洗浄用ブラシ。
【請求項3】
前記少なくとも1つの刷掃部材は、軟質樹脂からなる突起部を1つ以上備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の唇洗浄用ブラシ。
【請求項4】
直径4mil以下のフィラメントからなる毛束を1つ以上片面に備え、軟質樹脂からなる突起部を1つ以上を他面に備えた刷掃部材を有してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の唇洗浄用ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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