説明

商品データ処理装置とそのプログラム

【課題】
特定時間後の時刻表を印字する。
【解決手段】
商品識別子を入力する識別子入力手段と、時間を計時する計時手段と、前記識別子入力手段により入力された商品識別子が特定商品かを検知する検知手段と、前記検知手段により特定商品であると検知すると、前記計時手段が計時する時間と所定の時間情報を記憶する所定時間記憶部の時間情報とから、基準時間を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した基準時間をもとに、時刻表情報を記憶する時刻表情報記憶部から時刻表情報を取得し、時刻表を出力する出力手段と、を有することを特徴とする商品データ処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態はPOS端末などの商品データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばPOS端末などにて列車の時刻表を印字するサービスが行われている(例えば特許文献1)。これにより、顧客は列車の時刻を知ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−348495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特定時間後の時刻表を印字することはできない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで上記課題を解決するため、本発明の実施形態では次のような手段を講じている。商品識別子を入力する識別子入力手段と、時間を計時する計時手段と、前記識別子入力手段により入力された商品識別子が特定商品かを検知する検知手段と、前記検知手段により特定商品であると検知すると、前記計時手段が計時する時間と所定の時間情報を記憶する所定時間記憶部の時間情報とから、基準時間を取得する取得手段と、前記取得手段により取得した基準時間をもとに、時刻表情報を記憶する時刻表情報記憶部から時刻表情報を取得し、時刻表を出力する出力手段と、を有することを特徴とする商品データ処理装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明の一実施形態のPOS端末のブロック図
【図2】本発明の一実施形態のPLUファイルの構成を示す説明図
【図3】本発明の一実施形態の取引ファイルの構成を示す説明図
【図4】本発明の一実施形態の時刻表情報ファイルの構成を示す説明図
【図5】本発明の一実施形態の時間ファイルの構成を示す説明図
【図6】本発明の一実施形態の商品データ処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に本発明の実施の形態の一例を図面を用いて説明する。なお、本実施の形態では商品データ処理装置の一例としてPOS端末を例に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は本実施例で使用するPOS端末50のブロック図である。このPOS端末50には、演算装置・制御装置としてのCPU1を設ける。このCPU1には、アドレスバス、データバスなどのバスライン2を介して、ROM3(Read Only Memory)、RAM4(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)コントローラー5、キーボードコントローラー7、客用表示コントローラー9、店用表示コントローラー11、プリンタコントローラー13、タイマー15、I/O(Input/Output)ポート16を接続する。前述した、これらの各コントローラーには、HDD6、キーボード8、客用表示器10、店用表示器12、プリンタ14を接続する。また、前記I/Oポート16には、図示しないモードスイッチとドロワを接続する。
【0009】
前記ROM3には、前記CPU1によって読み出されて当該CPU1を様々な機能として働かせるプログラムや当該プログラムによるデータ処理の対象となる固定的なデータを格納する。前記RAM4には、プログラムによるデータ処理の作業領域となるワークエリアなどの様々なメモリエリアが動的に形成する。
【0010】
前記HDDコントローラー5は、前記CPU1などからの指令に応じて前記HDD6の所定領域に記憶されているデータやプログラムなどを読出し、この読出したデータやプログラムなどを前記バスライン2に送出したり、前記バスライン2から受取ったデータやプログラムなどを前記HDD6の所定領域に記憶したり、前記HDD6に対するデータなどの読み書きの制御を行う。
【0011】
前記キーボードコントローラー7は、前記キーボード8からの入力信号を処理し、操作されたキーに対応するキーコードなどを前記バスライン2に送出するものである。このキーボードコントローラー7に接続されているキーボード8は、テンキー、PLUキー、小計キー、預/現計キー、などを設ける。
【0012】
前記客用表示コントローラー9は、顧客に対して取引結果などを表示する客用表示器10を制御し、前記CPU1などからの指令に応じて前記バスライン2から受取ったデータなどに基づく情報を客用表示器10の画面に表示する。同様に、前記店用表示コントローラー11は、キャッシャに対して取引結果などを表示する店用表示器12の画面表示を制御する。
【0013】
前記プリンタコントローラー13は、用紙に所定の情報を印字する印字ヘッドや所定情報が印字された用紙を切断するカッターなどを備えたプリンタ14を制御する。このプリンタコントローラー13によって制御されるプリンタ14は、ロール状に巻かれた状態で納められている長尺紙を印字用紙として使用し、その引き出された長尺紙の端から順に印字ヘッドで印字を行うものである。この印字部で印字される情報は、前記CPU1などからの指令に応じて前記バスライン2から受取ったデータなどに基づくものである。
【0014】
前記I/Oポート16は、接続されているモードスイッチから入力された信号に基づいて所定のデータを前記バスラインに出力したり、前記CPU1からの指令などに応じて接続されているドロワに起動信号を出力する。また、前記モードスイッチは、「登録」、「点検」、「精算」、などの電子キャッシュレジスタにおける各種業務モードの何れかのモードへと切り替えるための切替えスイッチで、鍵を用いて切替え操作をする。
【0015】
また、前記HDD6にはPLUファイル20と、取引ファイル21と、時刻表情報ファイル22と、時間ファイル23と、を記憶する。
【0016】
前記PLUファイル20には商品に関する情報を記憶する。より詳細には図2に示すように商品の識別子であるPLUコードに対応して、商品名、単価、フラグを、それぞれPLUコードエリア2001と商品名エリア2002と単価エリア2003とフラグエリア2004とに記憶する。フラグエリア2004に記憶するフラグは、レシートに電車の時刻表を印字する商品か否かのフラグである。本実施例ではフラグが1のときが時刻表をレシートに印字し、0のときはレシートに印字しないものとする。
【0017】
前記取引ファイル21は一取引における商品の買上情報に関して記憶する。これは図3に示すように、PLUコードに対応して、商品名、単価、買上点数、フラグを、それぞれPLUコードエリア2101と商品名エリア2102と単価エリア2103と買上点数エリア2104とフラグエリア2105とに記憶する。フラグエリア2105に記憶するフラグは、レシートに時刻表を印字する商品か否かのフラグである。また、この単価と買上点数の合計である小計金額を小計金額エリア2106に記憶する。PLUコード、商品名、単価、フラグは、前記PLUファイルから取得する。
【0018】
前記時刻表情報ファイル22は、時刻表情報として電車の時刻表を記憶する。これは図4が示すように、文字列からなり電車の方面を記憶する方面エリア2201と、当該方面に対応する所定時間の時刻表情報を記憶する時刻表情報エリア2202とからなる。この時刻表情報エリア2202に記憶する時刻表の時間は、イベントが終了する可能性の高い時間の時刻表情報を記憶する。本実施例では宴会が終了する可能性の高い時間である20時から電車の最終発進時刻である24時までの電車の時刻表情報を記憶する。また、本実施例では、一つの方面を例に挙げるが、上りと下りの二つの方面を記憶してもよい。
【0019】
前記時間ファイル23は、印字時間エリア2301と加算時間エリア2302からなる。この印字時間エリア2301に記憶する時間は時刻表をレシートに印字するか否かの指標の一つである。前記タイマー15の時間がこの印字時間エリア2301に記憶される時間内であり、かつ前記取引ファイル21の前記フラグエリア2105に1を記憶する場合、レシートに時刻表を印字する。また、加算時間エリア2302は、レシートに時刻表を印字するときに、現在の時間に加算する時間である。現在の時間に加算することにより、宴会などのイベントが終了するであろう時間を算出する。
【0020】
しかして、以上のようなハードウェア構成、ファイル構成からなる前記POS端末50において、前記CPU1は、その動作モードとして「登録」業務が選択されているとき、予め設定されているプログラムに基づいて、図6に示す商品データ処理を実行する。
【0021】
まず、S(ステップ)1として、前記PLUキーが押下され、対応するPLUコードが入力され、続いて個数が入力される(S2)。入力されたPLUコードと個数は前記RAM4のワークエリアに一時記憶する。そして、前記S1にて入力されたPLUコードを、前記PLUファイル20のPLUコードエリア2001から検索する。そして、該当するPLUコードを発見すると、該当するPLUコードに対応する商品名、単価、フラグを、それぞれ前記商品名エリア2002、前記単価エリア2003、前記フラグエリア2004から前記RAM4のワークエリアに一時記憶する。そして、前記取引ファイル21の前記PLUコードエリア2101には前記PLUコードエリア2001のPLUコードを、前記商品名エリア2102には前記商品名エリア2002の商品名を、前記単価エリア2103には前記単価エリア2001の単価を、前記買上点数エリア2104には前記S2にて入力し前記RAM4に記憶された買上点数を、前記フラグエリア2105には前記フラグエリア2004のフラグを、それぞれ前記RAM4の所定のエリアから読み出して記憶する(S3)。
【0022】
続いて前記小計キーが押下され、前記小計キーのキー信号が入力されたか否かを判定する(S4)。前記小計キーのキー信号が入力されないと判定すると(S4のNo)、前記S1に戻りPLUコードが入力される。一方、前記小計キーのキー信号が入力されたと判定すると(S4のYes)、前記テンキーを押下して顧客から預かった金額を入力する。そして、前記預/現計キーを押下することにより、精算処理を行う(S5)。このS5の精算処理が完了すると、前記取引ファイル21に記憶される情報から、レシートデータを作成し、レシートを発行する(S6)。
【0023】
前記S6にてレシートを発行すると、続いて前記タイマー15の時間が、前記時間ファイル23の印字時間エリア2301に記憶される時間内か否かを判定する(S7)。時間内ではないと判定すると(S7のNo)、処理を終了する。一方、時間内であると判定すると(S7のYes)、前記取引ファイル21のフラグエリア2105をチェックする(S8)。
【0024】
前記取引ファイル21のフラグエリア2105が全て0であるなら(S8のNo)、処理を終了する。一方、 前記取引ファイル21のフラグエリア2105に1が記憶されるなら(S8のYes)、前記時間ファイル23の加算時間エリア2302に記憶される時間を読出し、前記タイマー15が計時する時間に加算する。この加算により算出された時間が基準時間である。そして、算出した時間以後の時刻表情報を前記時刻表情報ファイル22から読み出して、レシートに印字する。またこのとき、前記時刻表情報ファイル22から前記方面エリア2201に記憶する方面情報も読み出して、印字する(S9)。
【0025】
以上により、本実施例では特定の商品を購入したときに、時刻表が印字されるので顧客が必要なときに時刻表を入手できる。
【0026】
また、本実施例では特定の商品を購入すると、一定時間後の時刻表をレシートに印字する。これにより、例えば宴会前に酔いを防止又は緩和するための商品をスーパーなどで購入した場合、所定時間後(例えば宴会終了の予想時間)の時刻表をレシートに印字するので、顧客にとって利便性のある時刻表が提供される。
【0027】
また、本実施例では時刻表情報やPLUファイルなどはPOS端末に記憶されていたが、外部のサーバに記憶させ、必要なときに問合せを行い入手してもよい。
【0028】
また、本実施例では、基準時間以後の時刻表を印字するとしたが、基準時間近傍の時刻表を印字してもよい。この場合、例えば、前記時間ファイル23に新たに一定時間後どれだけの幅を持たせて時刻表を印字するかの近傍時間エリアを設ける。そして、前記タイマー15が17時を計時し、印字時間エリア2301には17時から22時まで、加算時間エリア2302には3時間を記憶し、近傍時間エリアには30分を記憶する。このとき、時刻表を印字する商品を購入した場合、20時の前後30分の時刻表をレシートに印字するようにしてもよい。
【0029】
また、本実施例ではレシートに時刻表の印字を行ったが、例えば電子マネーなどで決済を行うときに合わせて、携帯端末などの外部端末に時刻情報を出力してもよい。また、顧客の端末を識別する手段(メールアドレスを予め登録する)で、支払後に外部端末に出力してもよい。
【0030】
また、本実施例ではレシートに時刻表を印字するか否かはPLUファイルに記憶されたフラグで行ったが、例えば二次元コードなどに時刻表を印字するか否かの情報を記憶させてもよい。
【0031】
また、本実施例では前記時刻表エリアから出力する時刻表は、対象となる時刻を抽出したが、例えば外部サーバに時刻表が記憶されている場合などにおいて、一旦全ての時刻情報をRAMに記憶した後に所定の時刻情報を抽出してもよい。
【0032】
また、本実施例では所定時間以後の時間をレシートに出力するが、所定時間後の時間帯の時刻表をレシートに印字してもよい。この場合、例えば、前記タイマー15が17時30分を計時し、印字時間エリア2301には17時から22時まで、加算時間エリア2302には3時間後を記憶する。このとき、時刻表を印字する商品を購入した場合、17時30分に3時間を加算し、20時30分とし、20時の時刻表をレシートに出力するようにしてもよい。
【0033】
また、本実施例では、基準となる時間を加算して求めたが、POS端末がタイマーをもう一つ備え、どちらか一方の時間を基準時間としてもよい。
【0034】
また、本実施例では、基準となる時間を加算して求めたが、加算以外の方法でもよい。例えば、乗算を用いることも考えられる。
【0035】
また、本実施例では、電車の時刻情報を例にあげたが、これ以外に適用することも当然に考えられる。例えば、遊園地のアトラクションや船の時間など、特定の商品を購入した後に、一定時間後の時間情報を出力するものへの適用は当然に考えられる。
【0036】
また本実施例では商品の購入を例に挙げて説明したが、役務を受けた場合にも適用は可能である。役務とは、遊園地でのアトラクションサービスや、クリーニング店などのサービスが考えられる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0038】
20 PLUファイル
21 取引ファイル
22 時刻情報ファイル
23 時間ファイル
50 POS端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品識別子を入力する識別子入力手段と、
時間を計時する計時手段と、
前記識別子入力手段により入力された商品識別子が特定商品かを検知する検知手段と、
前記検知手段により特定商品であると検知すると、前記計時手段が計時する時間と所定の時間情報を記憶する所定時間記憶部の時間情報とから、基準時間を取得する取得手段と、
前記取得手段により取得した基準時間をもとに、時刻表情報を記憶する時刻表情報記憶部から時刻表情報を取得し、時刻表を出力する出力手段と、
を有することを特徴とする商品データ処理装置。
【請求項2】
前記出力手段は、前記時刻表情報記憶部から、前記取得手段により取得した基準時間より後の時刻表情報を取得して、時刻を出力することを特徴とする請求項1に記載の商品データ処理装置。
【請求項3】
前記出力手段は、一定の時間を記憶する一定時間記憶部から一定時間を取得し、前記取得手段により求められた基準時間の前後前記一定時間の時刻表情報を、時刻表情報を記憶する時刻表情報記憶部より取得して出力することを特徴とする請求項1に記載の商品データ処理装置
【請求項4】
計時手段が計時する時間が所定の時間内かを検知する時間検知手段と、
前記取得手段は、前記時間検知手段により所定の時間内であると検知され、かつ前記検知手段により特定商品の識別子の入力が検知されたならば、基準時間の取得を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の商品データ処理装置。
【請求項5】
商品識別子を入力する識別子入力手段と、
時間を計時する計時手段と、
前記識別子入力手段により入力された商品識別子が特定商品かを検知する検知手段と、
前記検知手段により特定商品であると検知すると、前記計時手段が計時する時間と所定時間を記憶する記憶部の時間情報とから、基準となる時間帯を取得する時間帯取得手段と、
前記時間帯取得手段により取得した時間帯の時刻表情報を、時刻表情報を記憶する時刻表情報記憶部から取得し、出力する出力手段と、
を有することを特徴とする商品データ処理装置。
【請求項6】
コンピュータに、
商品識別子を入力する識別子入力機能と、
時間を計時する計時機能と、
前記識別子入力手段により入力された商品識別子が特定商品かを検知する検知機能と、
前記検知手段により特定商品であると検知すると、前記計時手段が計時する時間と所定時間を記憶する所定時間記憶部の時間情報とから、基準時間を取得する取得機能と、
前記取得手段により取得した基準時間をもとに、時刻表情報を記憶する時刻表情報記憶部から時刻表情報を取得し、時刻表を出力する出力機能と、
を実現させるための商品データ処理装置のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−3371(P2012−3371A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−135828(P2010−135828)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】