説明

商品包装体における盗難防止装置

【課題】ブリスターパックを構成する商品包装体の盗難防止装置を提供する。
【解決手段】盗難防止装置は、商品包装体60に掛け渡される索条66と、防犯タグ24を設けた緊締装置1を有する。索条66に設けた上部固定具64と下部固定具65は、上縁部60aと下縁部60cを抱持する。索条66は、上側タスキ部79を上部固定具64と両側縁部60b,60bを掛け渡し、下側タスキ部80を下部固定具65と両側縁部60b,60bを掛け渡し、商品包装体60の裏面上で連結部81により連結し、側タスキ部79と下側タスキ部80の一方から商品包装体60の裏面上を延びる自由端部82を緊締装置1により緊締する。緊締装置1は、緊締手段5をロックする施錠手段を設けており、解錠キーで解錠したとき緊締手段5がアンロックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブリスターパックを構成する商品包装体に関して、万引き等の窃盗者により商品包装体が店外に持ち出されることを防止すると共に、店内において商品包装体から商品が抜き取られることを防止するための盗難防止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、種々の小売店等において、展示商品の盗難を防止するため、各商品に防犯タグが貼着されている。そこで、窃盗者が防犯タグを貼着したまま商品を店外に持ち出そうとすると、出入口ゲートに設置された検知装置が警報を発し、盗難を防止する。
【0003】
しかしながら、通常、このような防犯タグは、粘着剤により商品に貼着されており剥離可能であるから、店外に持ち出す前に商品から剥離して廃棄されてしまうと、盗難防止の効果がない。
【0004】
そこで、防犯タグをケーシングの内部に設け、該ケーシングに設けたワイヤーを商品包装体に巻掛け固定することが望ましく、本出願人は、先に、このような盗難防止装置を特願2010−129983号(以下、「先願装置」という。)により提案したところである。
【0005】
先願装置は、商品又は商品のパッケージにワイヤーを十文字等に掛け渡し、ワイヤーを緊締することによりケーシングを強固に固着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許開2002−74529号公報
【特許文献2】特許開2002−304676号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、ブリスターパックを構成する商品包装体は、商品収納室を形成する凸状成形部を設けた包装シートを台紙等のプレートに配置し、上縁部と両側縁部と下縁部の部分で包装シートとプレートを相互に重ね合わせると共に、適所をステープラー(ホッチキス)等の固着具で固着している。このため、このような商品包装体に先願装置を使用すると、ワイヤーを十文字状に掛け渡して強く緊締したとき、プレートを含む商品包装体の全体が反り返るように大きく変形してしまい美観を損なうという問題がある。
【0008】
しかも、ワイヤーを十文字状に掛け渡す場合、ワイヤーを緊締しても、商品包装体は、細いワイヤーが掛けられていない大部分の個所を露出しているから、治具等を差し込むことによりプレートと包装シートを相互に離反させることが可能である。このため、窃盗者が商品包装体から内部の商品を抜き取り、商品だけを店外に持ち出す場合には、盗難防止の効果がない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決したものであり、その手段として構成したところは、プレートの表面に包装シートを重ね合わせて固着したブリスターパックを構成する商品包装体に取付けられる盗難防止装置であり、前記商品包装体の上縁部を抱持する上部固定具と、前記商品包装体の下縁部を抱持する下部固定具と、前記上部固定具と下部固定具の間に張設される索条と、前記商品包装体の裏面に位置して索条を弛緩自在に緊締する緊締装置と、該緊締装置に設けられた防犯タグとから構成され、前記索条は、上部固定具に摺動自在に挿通されると共に該上部固定具から商品包装体の表面上で両側縁部に向けて延びると共に、該両側縁部で折返され、商品包装体の裏面上で緊締装置に向けて延びる上側タスキ部と;下部固定具に摺動自在に挿通されると共に該下部固定具から商品包装体の表面上で両側縁部に向けて延びると共に、該両側縁部で折返され、商品包装体の裏面上で緊締装置に向けて延びる下側タスキ部と;商品包装体の裏面上で前記上側タスキ部と下側タスキ部を連結する連結部と;前記上側タスキ部と下側タスキ部の一方から商品包装体の裏面上を延びる自由端部とを備えており、前記緊締装置は、前記自由端部を引き寄せることにより索条を緊締する緊締手段と、索条を緊締した状態で緊締手段をロックする施錠手段を設け、該施錠手段を解錠キーにより解錠したとき前記緊締手段をアンロックするように構成されて成る点にある。
【0010】
このように、緊締手段により索条を緊締すると、防犯タグを設けた緊締装置が商品包装体に強固に取付けられ、窃盗者が不正に緊締装置を商品包装体から取外すことを困難とする。そして、索条を緊締した状態で、上部固定具と下部固定具が商品包装体の上縁部と下縁部を強固に抱持し、しかも、索条の上側タスキ部と下側タスキ部が商品包装体の両側縁部を強固に抱持する。従って、商品包装体は、上部固定具と下部固定具により、上縁部と下縁部に位置するプレートと包装シートを相互離反不能に抱持され、窃盗者による商品の抜き取りを確実に防止する。しかも、商品包装体は、索条の上側タスキ部と下側タスキ部により、両側縁部の2個所においてプレートと包装シートを相互離反不能に抱持され、窃盗者による商品の抜き取りを確実に防止する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態において、前記緊締装置は、商品包装体の裏面に沿う翼片を設けると共に、該翼片を貫通する中継孔を開設しており、前記索条の連結部を前記中継孔に挿通している。これにより、索条を緊締すると、緊締装置が商品包装体の裏面に好適に密接される。
【0012】
また、前記翼片を貫通するガイド孔を開設し、前記索条の自由端部を前記ガイド孔に挿通することが好ましい。これにより、ガイド孔に案内された索条の自由端部を緊締手段により好適に引き寄せ緊締することが可能となる。
【0013】
前記緊締装置は、緊締手段により索条を緊締したとき商品包装体の裏面に当接される収納部を設け、該収納部に防犯タグを収納することが好ましい。これにより、窃盗者が防犯タグを取外すことが困難となる。
【0014】
好ましくは、前記緊締装置は、防犯タグを備えるケーシングと、該ケーシングの駆動室に設けられた回転自在なローターと、前記駆動室内でローターと同行回転するラチェットホイールと、前記ケーシングの外部からローターを回転可能とする操作手段とを備え、索条の自由端部をローターにより巻取り緊締するように構成され、前記駆動室に連通する案内路を形成するシリンダーを前記ケーシングに連設すると共に、前記ラチェットホイールに近接する作動位置P1と離隔する遊休位置P2との間で進退移動自在なスライダーを前記案内路に内装し、前記スライダーは、作動位置P1に保持された状態で、ラチェットホイールのラチェット歯に進退自在に噛合し、該ラチェットホイールの正転は許すが逆転を許さないラチェット爪を設けており、前記シリンダーとスライダーの間に施錠手段を設け、該施錠手段は、前記スライダーを作動位置P1に前進した状態で該スライダーを後退不能に施錠すると共に、前記スライダーの解錠路に解錠キーを挿入したとき該スライダーを遊休位置P2に後退可能に解錠するように構成されている。
【0015】
このように索条をケーシングの内部に巻取る構成とすることにより、商品包装体の見栄えを損なうことがない。しかも、ケーシングに連設したシリンダーにスライダーを作動位置P1と遊休位置P2の間で進退移動自在に挿入し、スライダーに設けたラチェット爪をケーシングに内装したラチェットホイールに係脱自在に噛合させることにより、ラチェット機構の作動と解除を選択することが可能となるように構成しているので、商品包装体に対して、索条の巻取りによる盗難防止装置の取付け作業と、索条の繰り出しによる盗難防止装置の取外し作業とが、スライダーの位置を変更するだけで、簡単容易に行うことができる。そして、シリンダーとスライダーの間に設けた施錠手段により、スライダーを作動位置P1で後退不能に施錠ロックし、解錠キーで施錠を解錠するだけで、スライダーを遊休位置P2に移動することが可能となるので、構造が簡単であると共に、施錠と解錠の作業を容易に行うことができる。
【0016】
この際、前記スライダーは、プラスチックにより一体成形され、先端に可撓性ヒンジを介してラチェット爪を延設し、スライダーを作動位置P1に保持した状態でラチェットホイールを正転したとき、ラチェット爪が前記可撓性ヒンジの撓み弾性によりラチェット歯に対して進退自在となるように構成されている。
【0017】
このようにスライダーをプラスチックで一体成形し、可撓性ヒンジにより進退自在とされたラチェット爪を形成することにより、部品点数が少なく、組立容易な構造とすることにより、安価に提供することが可能となり、しかも、スライダーの進退移動を繰り返しても故障のおそれがなく、耐用性に優れた装置を提供できるものとなる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の本発明によれば、緊締手段5により索条66を緊締すると、防犯タグ24を設けた緊締装置1が商品包装体60に強固に取付けられ、窃盗者が不正に緊締装置1を商品包装体60から取外すことを困難とする。そして、索条66を緊締した状態で、上部固定具64と下部固定具65が商品包装体60の上縁部60aと下縁部60cを強固に抱持し、しかも、索条66の上側タスキ部79と下側タスキ部80が商品包装体60の両側縁部60b,60bを強固に抱持する。従って、商品包装体60は、上部固定具64と下部固定具65により、上縁部60aと下縁部60cに位置するプレート63と包装シート62の重なり部分を相互離反不能に抱持され、窃盗者による商品の抜き取りを確実に防止する。しかも、商品包装体60は、索条66の上側タスキ部79と下側タスキ部80により、両側縁部60bの2個所においてプレート63と包装シート62の重なり部分を相互離反不能に抱持され、窃盗者による商品の抜き取りを確実に防止する。
【0019】
請求項2に記載の本発明によれば、前記緊締装置1は、商品包装体60の裏面に沿う翼片22を設けると共に、該翼片22を貫通するに中継孔23aを開設し、前記索条66の連結部81を前記中継孔23aに挿通しているので、索条66を緊締すると、緊締装置1を商品包装体60の裏面に好適に密接させることができる。
【0020】
請求項3に記載の本発明によれば、前記翼片22を貫通するにガイド孔23bを開設し、前記索条66の自由端部82を前記ガイド孔23bに挿通しているので、ガイド孔23bに案内された索条66の自由端部82を緊締手段5により好適に引き寄せ緊締することができる。
【0021】
請求項4に記載の本発明によれば、緊締装置1は、緊締手段5により索条66を緊締したとき商品包装体60の裏面に当接される収納部25を設け、該収納部25に防犯タグ24を収納しているので、窃盗者が防犯タグ24を取外すことは困難であり、防犯効果を確実にする。
【0022】
請求項5に記載の本発明によれば、索条66をケーシング3の内部に巻取る構成であるから、商品包装体60の見栄えを損なうことがない。しかも、ケーシング3に連設したシリンダー32にスライダー33を作動位置P1と遊休位置P2の間で進退移動自在に挿入し、スライダー33に設けたラチェット爪36をケーシング3に内装したラチェットホイール30に係脱自在に噛合させることにより、ラチェット機構の作動と解除を選択することが可能となるように構成しているので、商品包装体60に対して、索条66の巻取りによる盗難防止装置の取付け作業と、索条66の繰り出しによる盗難防止装置の取外し作業とが、スライダー33の位置を変更するだけで、簡単容易に行うことができる。そして、シリンダー32とスライダー33の間に設けた施錠手段42により、スライダー33を作動位置P1で後退不能に施錠ロックし、解錠キー2で施錠を解錠するだけで、スライダー33を遊休位置P2に移動することが可能となるので、構造が簡単であると共に、施錠と解錠の作業を容易に行うことができる。
【0023】
請求項6に記載の本発明によれば、スライダー33は、プラスチックにより一体成形され、先端に可撓性ヒンジ38を介してラチェット爪36を延設し、スライダー33を作動位置P1に保持した状態でラチェットホイール30を正転したとき、ラチェット爪36が前記可撓性ヒンジ38の撓み弾性によりラチェット歯35に対して進退自在となるように構成されており、このようにスライダー33をプラスチックで一体成形し、可撓性ヒンジ38により進退自在とされたラチェット爪36を形成することにより、部品点数が少なく、組立容易な構造とすることにより、安価に提供することが可能となり、しかも、スライダー33の進退移動を繰り返しても故障のおそれがなく、耐用性に優れた装置の提供が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ブリスターパックを構成する商品包装体の1例を示す斜視図である。
【図2】本発明の1実施形態に係る盗難防止装置を商品包装体に取付けた状態に関して、表面側から見た斜視図である。
【図3】本発明の1実施形態に係る盗難防止装置を商品包装体に取付けた状態に関して、一対の固定具と索条と緊締装置の配置状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の1実施形態に係る盗難防止装置を商品包装体に取付けた状態に関して、表面側から見た立面図である。
【図5】本発明の1実施形態に係る盗難防止装置を商品包装体に取付けた状態に関して、裏面側から見た立面図である。
【図6】盗難防止装置を商品包装体から取外す方法を示す斜視図である。
【図7】本発明の盗難防止装置を構成する緊締装置の1実施形態を示す斜視図である。
【図8】緊締装置を分解状態で示す斜視図である。
【図9】緊締装置におけるケーシングの裏面を示す斜視図である。
【図10】緊締装置の内部構造を示しており、(A)は縦断面図、(B)は横断面図である。
【図11】緊締装置におけるケーシングとラチェットホイールとスライダーの関係を部分的に断面で示す斜視図である。
【図12】緊締装置におけるスライダーと解錠キーを示す斜視図である。
【図13】緊締装置に関して、シリンダーに挿入されたスライダーを遊休位置から作動位置まで前進させたときの作用を示しており、(A)は遊休位置にある状態を示す縦断面図、(B)は中途位置まで前進させた状態を示す縦断面図、(C)は作動位置まで前進させた状態を示す縦断面図である。
【図14】緊締装置に関して、スライダーを解錠キーにより作動位置から遊休位置まで後退させるときの作用を示しており、(A)は解錠キーを挿入する前の状態を示す縦断面図、(B)は解錠キーを挿入することにより施錠手段を解錠させた状態を示す縦断面図、(C)は解錠キーを引き抜き方向に移動することによりスライダーを遊休位置まで後退させた状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0026】
図1に示すように、商品包装体60は、ブリスターパックを構成しており、商品収納室を形成する凸状成形部61を設けた包装シート62を台紙等のプレート63に配置し、包装シート62とプレート63の上縁部62a、63aと両側縁部62b、63bと下縁部62c、63cを相互に重ね合わせると共に、適所をステープラー(ホッチキス)等の固着具(図示省略)で固着することにより、陳列展示可能な商品包装体として提供される。
【0027】
前記プレート63は、包装される商品に関する種々の情報等を印刷表示している。図示実施形態の場合、包装シート62は、透明又は半透明等のプラスチックシートにより凸状成形部61を成形されると共に、両側縁部62b、62bの折返レール62d、62dと、下縁部62cの折返レール62eを成形されている。従って、凸状成形部61に商品(図示省略)を入れた状態で、包装シート62の上縁部62aの近傍からプレート63の両側縁部63b、63bを折返レール62b、62bの間に挿入し、該折返レール62b、62bに沿ってプレート63をスライドすることにより、プレート63の下縁部63cを折返レール62eに嵌入し、その後、適所をステープラー等の固着具で固着すれば、包装シート62とプレート63が分離不能に結合される。この際、包装シート62の上縁部62aの近傍と、プレート63の上縁部63aの近傍には、それぞれ吊下孔62f、63fが開設されており、相互に合致させられる。
【0028】
従って、商品包装体60は、図2に示すように、上縁部60aと両側縁部60bと下縁部60cにおいて包装シート62とプレート63を重ね合わせられており、上縁部60aの近傍に前記吊下孔62f、63fを合致させた吊下孔60fを備えている。
【0029】
図2ないし図5に示すように、盗難防止装置は、前記商品包装体60の上縁部60aを抱持する上部固定具64と、下縁部60cを抱持する下部固定具65と、前記上部固定具64と下部固定具65の間に張設される索条66と、商品包装体60の裏面に位置して前記索条66を弛緩自在に緊締する緊締装置1と、該緊締装置1に設けられた防犯タグ24とから構成されている。
【0030】
上部固定具64は、プラスチックにより断面ほぼU形に形成され、商品包装体60の上縁部60aを挿入する溝67を形成すると共に、上縁部60aの表面と裏面に添設される表板68と裏板79を備え、表裏板68、79を貫通して前記吊下孔60fに連通する開口孔79を開設している。前記表板68の両側縁には、商品包装体60の上下方向に延びる通孔を有する表側ガイド71、71が設けられ、前記裏板69の両側縁には、商品包装体60の上下方向に延びる通孔を有する裏側ガイド72、72が設けられている。更に、上部固定具64の上端部に延設した舌片73には、表裏に向けて貫通するスリット74が形成されている。
【0031】
下部固定具65は、プラスチックにより断面ほぼU形に形成され、商品包装体60の下縁部60cを挿入する溝75を形成すると共に、下縁部60cの表面と裏面に添設される表板76と裏板77を備え、裏板77には、商品包装体60の横幅方向に延びる通孔を有するガイド78が設けられている。
【0032】
索条66は、コードや、紐や、ワイヤー等のフレキシブルな線状材から成り、緊締装置1から1本の索条66をループ状に延出すると共に、該索条66に上部固定具64と下部固定具65を挿通させた状態で、商品包装体60に架け渡され、上側タスキ部79、79と、下側タスキ部80、80と、連結部81、81と、緊締装置1の内部に延びる自由端部82、82を構成している。
【0033】
上側タスキ部79、79と連結部81、81は上部固定具64を介して折返され連結されており、上側タスキ部79、79は、上部固定具64のスリット74から上側ガイド71、71に摺動自在に挿通され、該上部固定具64から商品包装体60の表面上で両側縁部60b、60bに向けて延びると共に、該両側縁部60b、60bで折返され、商品包装体60の裏面上で緊締装置1に向けて延びる。
【0034】
下側タスキ部80、80は、下部固定具65のガイド78に摺動自在に挿通され、該下部固定具65から商品包装体60の表面上で両側縁部60b、60bに向けて延びると共に、該両側縁部60b、60bで折返され、商品包装体60の裏面上で緊締装置1に向けて延びる。
【0035】
連結部81、81は、商品包装体60の裏面上で上側タスキ部79、79と下側タスキ部80、80を連結する。
【0036】
自由端部82、82は、上側タスキ部79、79又は下側タスキ部80、80の一方の両端に設けられ、商品包装体60の裏面側で緊締装置1に導かれている。
【0037】
緊締装置1は、前記自由端部82、82を引き寄せることにより索条を緊締する緊締手段5と、索条66を緊締した状態で緊締手段83をロックする施錠手段42を設けており、施錠手段42を解除キー2により解錠したとき前記緊締手段5をアンロックするように構成されている。
【0038】
緊締装置1と下部固定具65は、一体的に結合されており、図例の場合、緊締装置1のシリンダー32と下部固定具65の裏板77をプラスチックにより一体成形するか、或いは、固着具を介して固着している。しかしながら、緊締装置1と下部固定具65を相互に分離した構成としていても、索条66を緊締することにより、緊締装置1を商品包装体60の裏面に圧接できるものであれば良い。
【0039】
図示実施形態の場合、後述するようなウインチにより緊締装置1を構成しているが、本発明の緊締装置1は、索条66の自由端部82、82を引き寄せることにより緊締することが可能なものであれば良く、ウインチに限定されるものではない。
【0040】
好ましい実施形態において、緊締装置1は、図3に示すように、商品包装体60の裏面に沿う翼片22、22を設け、該翼片22を貫通する中継孔23aとガイド孔23bを設けている。中継孔23a、23aは、索条66の連結部81、81を挿通させ、ガイド孔23b、23bは、索条66の自由端部82、82を挿通させている。
【0041】
このように商品包装体60の上縁部60aと下縁部60cに上部固定具64と下部固定具65を配置し、索条66を掛け渡した状態で、緊締手段1により索条66の自由端部82、82を引き寄せて緊締すると、防犯タグ24を設けた緊締装置1が商品包装体60の裏面に強固に取付けられ、窃盗者が不正に緊締装置1を商品包装体60から取外すことを困難とする。緊締装置1は、索条66の自由端部82、82を引き寄せ、翼片22の中継孔23aに連結部81、81を挿通しているので、商品包装体60の裏面に好適に密接される。
【0042】
この際、図示実施形態の場合、緊締装置1は、後述するように商品包装体60の裏面に収納部25に防犯タグ24を収納し、該収納部25を蓋26により施蓋している。従って、索条66を緊締した状態で蓋26が商品包装体1の裏面に圧接されているので、窃盗者が緊締装置1から防犯タグ24を取外すことは不可能である。
【0043】
このように盗難防止装置を取付けた状態で、商品を包装した商品包装体60は、上部の吊下孔60fを介して陳列ロッド等に吊下げた状態で展示販売される。尚、この際、吊下孔60fが上部固定具64の開口孔70により補強されるという利点がある。
【0044】
索条66が緊締されている結果、商品包装体60の上縁部60aと下縁部60cは、上部固定具64と下部固定具65により強固に抱持されている。従って、上縁部60aと下縁部60cの個所において、包装シート62の上縁部62aとプレート63の上縁部63aを引き離すことは不可能であり、窃盗者が商品を抜き取ることはできない。
【0045】
また、商品包装体60の両側縁部60b、60bは、緊締された索条66の上側タスキ部79、79と下側タスキ部80、80により強固に抱持されている。従って、両側縁部60b、60bの個所において、包装シート62の側縁部62bとプレート63の側縁部63bを引き離すことは不可能であり、窃盗者が商品を抜き取ることはできない。
【0046】
顧客が商品を購入する場合は、盗難防止装置を取付けたままの状態で商品包装体60をレジカウンターに持参すれば良い。店員が解除キー2により緊締装置1のロックを解除すると、緊締装置1から索条66の自由端部82、82を繰り出すことが可能になるので、図6に示すように、上部固定具64と下部固定具65を商品包装体60から引き離すことにより、盗難防止装置を簡単に取外すことができる。従って、盗難防止装置を取外した状態で商品包装体60を顧客に引き渡され、取外した盗難防止装置は、繰り返して別の商品包装体に取付けられる。
【0047】
図7は、緊締装置1と、解錠キー2を示している。緊締装置1は、図7ないし図11に示すように、それぞれプラスチックにより形成されたケーシング3と、該ケーシング3の駆動室4に設けられる回転自在なローター5aと後述するようなローター5aの正転R1は許すが逆転R2を許さないラチェット機構を含む緊締手段5により構成されている。前記索条66は、自由端部82、82の延長端をローター5aの周方向に巻取り自在に連結されている。
【0048】
前記ラチェット機構は、後述するように、施錠手段を備えたスライダーにより作動状態と解除状態を選択的に設定可能とされており、従って、ラチェット機構を解除することによりローター5aの逆転R2を可能としたときは、索条66の自由端部82、82をローター5aから繰り出し自在とする。
【0049】
前記ケーシング3は、ほぼ矩形の支持板10から筒壁11を立設することにより上部開口状の駆動室4を形成し、該駆動室4の底壁から支持軸12を立設しており、該支持軸12にローター5aを回転自在に軸支する。
【0050】
前記ローター5aは、筒状の駆動軸13の下端に下輪14を設けると共に上端に上輪15を設け、前記駆動軸13の周方向に等間隔をあけて連結片16を備えており、前記駆動軸13を前記支持軸12に回転自在に外挿することにより駆動室4に収容され、前記上輪15により前記駆動室4の上部開口を塞ぐように構成されている。尚、図例の場合、筒壁11の上部開口縁にリング部材17を嵌着することにより、上輪15の周縁上部を覆うように構成している。
【0051】
索条66の自由端部82、82は、筒壁11の周方向に間隔をあけて貫設された挿通孔18を介して該自由端部82、82の延長端82aを駆動室4に導かれ、該延長端をローター5aの連結片16の孔に挿通すると共に、該挿通端に抜止め具19をカシメ固着することにより抜止め状に連結固定される。
【0052】
前記ローター5aの上輪15は、上面に径方向に延びる摘み片20を設けることにより、ケーシング3の外部からローター5aを回転自在とする操作手段21を構成している。従って、ユーザが指先を摘み片20に係止してローター5aを正転R1させることにより、索条66の自由端部82、82を駆動軸13の周囲に巻取り、これにより、上述のように索条66を商品包装体60に掛け渡した状態で緊締することができる。
【0053】
図9に示すように、前記ケーシング3は、底面に防犯タグ24を格納している。図示実施形態の場合、支持板10の裏面に皿状の収納部25を形成し、該収納部25を開閉自在に閉鎖する板状の蓋26が薄肉ヒンジ27を介して支持板10に一体に形成されている。蓋26は、薄肉ヒンジ27により図示矢印のように回動自在とされ、収納部25に防犯タグ24を収納した状態で蓋26を閉じると、蓋26の自由端に設けた嵌着片28がケーシング3の底面の被嵌着部29に着脱自在に嵌着される。
【0054】
ケーシング3の底面が開放された状態では、指先で前記嵌着片28を被嵌着部29から離脱させることにより蓋26を開けることができるが、上述のように、索条66を緊締した状態で、緊締装置1は、ケーシング3の底面を商品包装体60に圧接するので、不正者が防犯タグ24を抜き取ることは不可能とされる。
【0055】
前記ローター5aの下輪14は、ラチェットホイール30を構成し、駆動室4の底壁に近接した状態で配置される。ラチェットホイール30は、ローター5aの下輪14と別に構成しても良いが、このように下輪14と兼用することにより、該下輪14と上輪15の間に広い巻取り空間を形成することができる。
【0056】
ラチェット機構を構成するため、図10及び図11に示すように、ケーシング3は、駆動室4に連通する案内路31を形成するシリンダー32を連設しており、前記ラチェットホイール30に近接する作動位置P1と離隔する遊休位置P2との間で進退移動自在なスライダー33を前記案内路31に内装している。
【0057】
前記スライダー33は、作動位置P1に保持された状態で、駆動室4と案内路31の連通部34に臨むラチェットホイール30のラチェット歯35に噛合するラチェット爪36を備えている。ラチェット爪36は、スライダー33の先端からほぼL形に延設された可撓性のアーム37に設けられており、該アーム37の可撓性ヒンジ38の撓み弾性によりラチェット歯35に対して進退自在に構成されている。従って、ラチェットホイール30の正転R1に関しては、ラチェット爪36を好適に後退させながら該正転R1を可能とするが、ラチェットホイール30の逆転R2に関しては、ラチェット爪36をラチェット歯35に噛合させることにより該逆転R2を不可能とする。
【0058】
これにより、スライダー33を作動位置P1に保持した状態で、前記ラチェット爪36がラチェット歯35に進退自在に噛合し、ラチェットホイール30の正転R1は許すが逆転R2を許さないワンウエイ機構としてのラチェット機構が構成される。
【0059】
従って、スライダー33を作動位置P1に保持させた状態で、ローター5aを正転R1することにより、索条66を巻取りながら商品包装体60に緊締させ、緊締状態を保持することができる。そして、スライダー33を遊休位置P2に移動させると、前記ラチェット機構が解除され、ローター5aが自由に回転し、逆転R2を可能にするので、該ローター5aに巻取られた索条66の自由端部82、82を繰り出すことができる。例えば、商品包装体60を緊締した索条66を弛めて取外す際は、スライダー33を作動位置P1から遊休位置P2に移動させ、上述のように上部固定具64と下部固定具65を引っ張るだけで、ローター5aから索条66の自由端部82、82が繰り出され、緊締状態を解くことができる。
【0060】
上述のように、ラチェットホイール30がローター5aの下輪14を兼用しているため、索条66の自由端部82、82を駆動軸13に巻取る際、該索条がラチェットホイール30のラチェット歯31に咬み込まれるおそれがあるので、図11に示すように、前記連通部34を除く駆動室4の円周上に位置して、ラチェットホイール30の周面に近接すると共に該周面の円周に沿って延びる保護壁39が形成されている。図例の場合、駆動室4の底壁に支持軸12と同心円を描く環状リブ40が突設され、これによりラチェットホイール30の摩擦抵抗を軽減しており、該駆動室4の底壁の内周縁に沿って支持軸12と同心円を描くように筒壁11の内側を分厚く形成することにより前記保護壁39を設けている。従って、ラチェット歯35の先端と保護壁39の内面との間にはほとんど隙間がなく、索条を咬み込むことはない。尚、保護壁39の上方領域は、筒壁11の肉厚を薄くすることにより、前記保護壁39よりも大径とされた巻取り室が形成され、索条の巻取り容量を可及的大きくするように構成されている。
【0061】
前記保護壁39は、前記連通部34に臨む部分において分断されている。このため、スライダー33のアーム37は、ラチェット爪36の上部から先端方向に向けて延びる庇状の保護板41を設けている。スライダー33を作動位置P1に保持させることにより前記ラチェット機構を作動状態としたとき、前記保護板41は、連通部34に臨むラチェット歯35とラチェット爪36の上方を覆い、その間に索条が咬み込むことを防止する。
【0062】
前記シリンダー32とスライダー33の間には施錠手段42が設けられ、該施錠手段42は、スライダー33を作動位置P1に前進した状態で該スライダー33を後退不能に施錠すると共に、スライダー33の解錠路43に解錠キー2を挿入したとき該スライダー33を遊休位置P2に後退可能に解錠するように構成されている。
【0063】
前記施錠手段42は、シリンダー32に固設された施錠爪44と、スライダー33に設けられて施錠方向Fと解錠方向Bに揺動自在とされた施錠アーム45により構成されている。前記施錠アーム45は、前記施錠爪44に係止される係止孔46を設け、前記施錠方向Fに弾発付勢されると共に、解錠方向Bから磁着可能な鉄板等から成る磁性片47を設けている。これに対して、前記施錠爪44は、スライダー33を遊休位置P2から作動位置P1に向けて前進させたとき、施錠アーム45の先端を前記解錠方向Bに押動させるガイド面48と、前記施錠アーム45の先端がガイド面48を乗り越えたとき前記係止孔46に係止する爪部49と、該爪部49からスライダー33の前進方向に突出する掛け止め部50を形成している。
【0064】
図10に示すように、シリンダー32の側壁32aとスライダー33の側壁33aの相互には、スライダー33の進退移動範囲を規制する長孔51と突起52が設けられており、これにより、スライダー33は、後退した遊休位置P2から前進した作動位置P1と、更に、該作動位置P1から前記掛け止め部50の突出量に相当して前進したアンロック位置P3との間で進退移動可能とされる。
【0065】
上記のようにケーシング3の底面に防犯タグ24を格納し、該ケーシング3に内装したローター5aに索条66の自由端部82、82を巻取り自在に連結し、シリンダー32にスライダー33を挿入した状態で、緊締装置1が提供される。これに対して、解錠キー2は、図12に示すように、ホルダ53から突設された永久磁石を備えたロッド部54を設けており、前記ロッド部54は、スライダー33の鍵孔部55から解錠路43に挿入されるように構成されている。この際、解錠キー2のロッド部54の断面形状と鍵孔部55の形状は、単純な円形や矩形ではなく、異形とするのが好ましく、図例の場合は三角形としたものを示しているが、五角形や星形のような複雑な形状とすることができる。後述するように、ロッド部54を解錠路43に挿入したとき、該ロッド部54の先端を当接させる受部56がスライダー33の解錠路43の奥端に設けられている。
【0066】
防犯タグ24を格納した緊締装置1を商品包装体60に取付けるときは、予め、スライダー33を遊休位置P2に位置させ、ラチェット機構を解除した状態で、ローター5aを逆転R2させることにより、索条66を繰り出して長く延ばし、その後、スライダー33を作動位置P1まで前進させることにより、施錠手段42を施錠し、ラチェット機構を作動状態とする。そして、この状態から、上述のようにケーシング3の底面を商品包装体60の裏面に添設すると共に、上部固定具64と下部固定具65を商品包装体60の上縁部60aと下縁部60cに取付け、索条66の上側タスキ部79、79と下側タスキ部80、80を商品包装体60に掛け渡した状態で、操作手段21を介してローター5aを正転R1することにより索条66を緊締させれば良い。
【0067】
反対に、盗難防止装置を商品包装体60から取外すときは、スライダー33の鍵孔部55から解錠路43に対して解錠キー2のロッド部54を挿入することにより、後述のように施錠手段42を解錠し、解錠キー2に磁着したスライダー33を遊休位置P2まで移動させる。これにより、ラチェット機構が解除され、ローター5aが自由に逆転R2するので、ケーシング3から自由端部82、82を繰り出すことにより索条66を弛め、これにより盗難防止装置を商品包装体60から取外し可能とする。
【0068】
(スライダーの施錠方法)
上述のように、本発明の盗難防止装置に設けた緊締装置1は、ラチェット機構を作動させることにより、不正者が索条66を弛めることができないように構成している。そこで、ラチェット機構を作動させるためのスライダー33の作用に関して、スライダー33を遊休位置P2から前進させ、作動位置P1に保持させるまでの作用を図13に基づいて説明する。
【0069】
図13(A)は、スライダー33が遊休位置P2で停止した状態を示しており、突起52が長孔51の後端に当接し、スライダー33をシリンダー32から引き抜き不能な状態で保持している。スライダー33のラチェット爪36はラチェットホイール30のラチェット歯35から遠ざかり、従って、ラチェット機構は解除されている。
【0070】
図13(B)に示すように、指先等でスライダー33の尾端を押すことにより遊休位置P2から前進させると、施錠アーム45の先端が施錠爪44のガイド面48に沿って摺動することにより押動され、該施錠アーム45の先端が施錠爪44を乗り越えるまでスライダー33を前進させる。
【0071】
スライダー33は、前進により作動位置P1に到達するとラチェット爪36をラチェットホイール30のラチェット歯35に噛合するが、可撓性ヒンジ38を撓ませることにより、更に作動位置P1を超えたアンロック位置P3まで前進させられる。スライダー33がアンロック位置P3まで前進すると、突起52が長孔51の前端に当接することにより前進を阻止する。このとき、施錠アーム45の先端は掛け止め部50を乗り越え、該掛け止め部50を含む施錠爪44の全体を係止孔46に対面させるので、弾発された施錠アーム45が上述の施錠方向Fに向けて揺動し、係止孔46に施錠爪44を挿入させる。
【0072】
そこで、指先からスライダー33を放すと、撓み変形された可撓性ヒンジ38の復元力により、図13(C)に示すように、スライダー33は、アンロック位置P3から作動位置P1まで後退し、係止孔46の前縁を施錠爪44に係止することにより、抜止め状に施錠された状態を保持する。この状態で、施錠アーム45の先端が掛け止め部50に係止されているので、不正者が解錠路43に永久磁石を挿入しても、施錠アーム45が解錠方向Bに揺動することはない。同様に、解錠路43に針金等を挿入することにより施錠アーム45を揺動させようとしても、施錠アーム45が解錠方向Bに揺動することはない。
【0073】
(スライダーの解錠方法)
緊締装置1は、商品を購入した正当な顧客がレジカウンターで支払いを行う際、店員が解錠キー2を用いてラチェット機構を解除することにより、索条66を弛め、商品包装体60から取外し可能とするように構成している。そこで、ラチェット機構を解除するためのスライダー33の作用に関して、スライダー33を作動位置P1から遊休位置P2に移動させるまでの作用を図14に基づいて説明する。
【0074】
図14(A)は、スライダー33が作動位置P1に保持された状態を示しており、スライダー33のラチェット爪36がラチェットホイール30のラチェット歯35に噛合している。
【0075】
この状態から、図14(B)に示すように、解錠キー2のロッド部54を解錠路43に挿入し、該ロッド部54の先端を受部56に当接すると、該ロッド部54の永久磁石が施錠アーム45の磁性片47を磁着するので、施錠アーム45は解錠方向Bに揺動しようとする。しかしながら、この状態では、掛け止め部50により施錠アーム44の揺動が阻止されている。そこで、図14(B)に示すように、ロッド部54を強く押し込むことにより、可撓性ヒンジ38の撓みを介してスライダー33をアンロック位置P3まで前進させると、掛け止め部50の係止が解かれるので、施錠アーム45が解錠方向Bに揺動し、施錠手段42の施錠を解錠し、スライダー33を後退移動可能とする。
【0076】
そこで、解錠キー2を後退方向に移動させると、前記磁性片47がロッド部54の永久磁石に磁着されているので、スライダー33がロッド部54に追従して移動し、図14(C)に示すように、スライダー33を遊休位置P2まで移動させる。この状態で、突起52が長孔51の後端に当接し、スライダー33の後退移動を阻止するストッパーとして機能するので、ロッド部54を解錠路43から引き抜くことができる。このように、解錠キー2を引き抜いた後も、スライダー33は、シリンダー32の案内路31の内部に残置され、該シリンダー32から分離することはない。従って、再び盗難防止装置を別の商品に取付けて使用するために、ラチェット機構を作動状態にする際は、図13に示したように、スライダー33をシリンダー32に押し込むだけで足りる。
【符号の説明】
【0077】
1 緊締装置
2 解錠キー
3 ケーシング
4 駆動室
5 緊締手段
5a ローター
22 翼片
23a 中継孔
23b ガイド孔
24 防犯タグ
25 収納部
26 蓋
30 ラチェットホイール
42 施錠手段
43 解錠路
44 施錠爪
45 施錠アーム
46 係止孔
47 磁性片
60 商品包装体
60a 上縁部
60b 側縁部
60c 下縁部
60f 吊下孔
61 凸状成形部
62 包装シート
63 プレート
64 上部固定具
65 下部固定具
66 索条
67 上部固定具の溝
68 表板
69 裏板
70 開口孔
71 表側ガイド
72 裏側ガイド
73 舌片
74 スリット
75 下部固定具の溝
76 表板
77 裏板
78 ガイド
79 上側タスキ部
80 下側タスキ部
81 連結部
82 自由端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレート(63)の表面に包装シート(62)を重ね合わせて固着したブリスターパックを構成する商品包装体(60)に取付けられる盗難防止装置であり、
前記商品包装体(60)の上縁部(60a)を抱持する上部固定具(64)と、前記商品包装体(60)の下縁部(60c)を抱持する下部固定具(65)と、前記上部固定具(64)と下部固定具(65)の間に張設される索条(66)と、前記商品包装体(60)の裏面に位置して索条(66)を弛緩自在に緊締する緊締装置(1)と、該緊締装置(1)に設けられた防犯タグ(24)とから構成され、
前記索条(66)は、上部固定具(64)に摺動自在に挿通されると共に該上部固定具(64)から商品包装体(60)の表面上で両側縁部(60b,60b)に向けて延びると共に、該両側縁部(60b,60b)で折返され、商品包装体(60)の裏面上で緊締装置(1)に向けて延びる上側タスキ部(79)と;
下部固定具(65)に摺動自在に挿通されると共に該下部固定具(65)から商品包装体(60)の表面上で両側縁部(60b,60b)に向けて延びると共に、該両側縁部(60b,60b)で折返され、商品包装体(60)の裏面上で緊締装置(1)に向けて延びる下側タスキ部(80)と;
商品包装体(60)の裏面上で前記上側タスキ部(79)と下側タスキ部(80)を連結する連結部(81)と;
前記上側タスキ部(79)と下側タスキ部(80)の一方から商品包装体(60)の裏面上を延びる自由端部(82)とを備えており、
前記緊締装置(1)は、前記自由端部(82,82)を引き寄せることにより索条(66)を緊締する緊締手段(5)と、索条を緊締した状態で緊締手段(5)をロックする施錠手段(42)を設け、該施錠手段(42)を解錠キー(2)により解錠したとき前記緊締手段(5)をアンロックするように構成されて成ることを特徴とする商品包装体における盗難防止装置。
【請求項2】
前記緊締装置(1)は、商品包装体の裏面に沿う翼片(22)を設けると共に、該翼片を貫通する中継孔(23a)を開設しており、前記索条(66)の連結部(81)を前記中継孔(23a)に挿通して成ることを特徴とする請求項1に記載の商品包装体における盗難防止装置。
【請求項3】
前記緊締装置(1)は、商品包装体の裏面に沿う翼片(22)を設けると共に、該翼片(22)を貫通するガイド孔(23b)を開設しており、前記索条(66)の自由端部(82)を前記ガイド孔(23b)に挿通して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の商品包装体における盗難防止装置。
【請求項4】
前記緊締装置(1)は、緊締手段(5)により索条を緊締したとき商品包装体の裏面に当接される収納部(25)を設けており、該収納部に防犯タグ(24)を収納して成ることを特徴とする請求項1、2又は3に記載の商品包装体における盗難防止装置。
【請求項5】
前記緊締装置(1)は、防犯タグ(24)を備えるケーシング(3)と、該ケーシングの駆動室(4)に設けられた回転自在なローター(5a)と、前記駆動室内でローターと同行回転するラチェットホイール(30)と、前記ケーシングの外部からローターを回転可能とする操作手段(21)とを備え、索条の自由端部をローター(5a)により巻取り緊締するように構成され、
前記駆動室(4)に連通する案内路(31)を形成するシリンダー(32)を前記ケーシング(3)に連設すると共に、前記ラチェットホイール(30)に近接する作動位置(P1)と離隔する遊休位置(P2)との間で進退移動自在なスライダー(33)を前記案内路(31)に内装し、
前記スライダー(33)は、作動位置(P1)に保持された状態で、ラチェットホイールのラチェット歯(35)に進退自在に噛合し、該ラチェットホイールの正転は許すが逆転を許さないラチェット爪(36)を設けており、
前記シリンダー(32)とスライダー(33)の間に施錠手段(42)を設け、該施錠手段(42)は、前記スライダー(33)を作動位置(P1)に前進した状態で該スライダーを後退不能に施錠すると共に、前記スライダー(33)の解錠路(43)に解錠キー(2)を挿入したとき該スライダーを遊休位置(P2)に後退可能に解錠するように構成されて成ることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載の商品包装体における盗難防止装置。
【請求項6】
前記スライダー(33)は、プラスチックにより一体成形され、先端に可撓性ヒンジ(38)を介してラチェット爪(36)を延設しており、スライダー(33)を作動位置(P1)に保持した状態でラチェットホイール(30)を正転したとき、ラチェット爪(36)が前記可撓性ヒンジ(38)の撓み弾性によりラチェット歯(35)に対して進退自在となるように構成して成ることを特徴とする請求項5に記載の商品包装体における盗難防止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−38140(P2012−38140A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178541(P2010−178541)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(392025238)株式会社サンエイ (43)
【Fターム(参考)】