説明

商品包装袋吊り下げフック体

【課題】 製造が容易で量産化に適し、使用材料も可及的に少量化が可能な構造とした吊り下げ展示用商品の包装袋の吊り下げ用フック体を提供する。
【解決手段】 上半部に商品吊り下げ桿への引っ掛け用フック部1を、下半部の本体部2に商品包装袋の小孔への係止部3を備えた合成樹脂製の単体成形品で、係止部3が、背面24側に向かう傾斜部23を介して下方に連接させた垂下軸21と、その下端部22から所定の空間9,9を隔てて斜め上方に突出させた左右一対の弾性脚4,4と、これらの上端部を、垂下軸21の背面24との間に微小間隙8を隔てて略平行に形成させた係止突起5,5と、これらの係止突起5,5と垂下軸21の下端部22との間に、本体部2の表面25側に向けて突出させた柱状部6,6と、これら両柱状部6,6の表面25側部分から左右方向に向けて連接された操作突起7,7とを備えている構造としたもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば靴下や手袋・ハンカチーフその他の比較的小形で軽量な商品を内装し封緘した後の包装袋を吊り下げ展示できる形態とするために、当該包装袋そのものの上端近くの片面に予め形成してあるフック体取付用の小穴に対して、後付け作業によってフック体を取り付けて、商品包装袋を吊り下げ展示用の袋として使用することができるようにしたフック体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、小物商品の販売に際して、商品包装袋を吊り下げ展示するために使用されるフック体は、各種各様のものが開発されて使用されている。
【0003】
このような小物商品吊り下げ用に使用されるフック体の多くは、例えば後記特許文献1及び2に見られるように、小物商品を包装した袋の開口部上に、厚紙を下向き開放形に二つ折りにしたトップカードをステープラ止めし、このトップカードの頂部中央部分に予め形成してあるフック体取り付け用の開口に対して、フック体における水平方向支持部を差し込んで、この開口内に差し込んだ支持部を復元力によって水平方向に復元させ、カード外部の平行部との間でカード開口部の両横部分を挟み込ませて固定するようにしたものが知られている。
【0004】
しかしながら、これらの小物商品包装袋の上部にトップカードを連結して吊り下げるようにした商品袋の吊り下げ手段にあっては、トップカードを必要とし、商品包装袋の上方部分にトップカードを取り付けるための相当幅の空間部分、即ち、商品包装のためには必要性のない空間部分を必要とするものとなっている。
【0005】
そこで、本出願人はこのようなトップカードを必要とすることなく、商品包装袋の上方部分に、商品包装のためには直接必要のない無用な空間部分を設けておく必要性がなく、包装袋の上方部分に商品吊り下げ用のフック体を直接取り付ける手段とその手段に適した商品吊り下げ用のフック体を開発し既に出願している。その技術内容は、既に公開されており下記特許文献3に見られるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平1−30130号公報
【特許文献2】実公平2−23847号公報
【特許文献3】特開2009−106324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献3に記載の本出願人が開発した商品吊り下げフック体にあっては、トップカードを不用とし、トップカードの取り付けに必要となっていた空間部分を必要としない新しい包装形態とした吊り下げ展示用商品の包装袋を吊り下げるために使用する吊り下げフック体であって、自動包装機等によって商品を先行包装した状態の商品包装袋に対し、後作業で取り付けできるという顕著な利点を有するフック体である。しかしながら、構造上において最軽量化されたものとは言い難く、大量生産するには必ずしも最適構造のものとは言い得ないものであることが分かるに至った。
【0008】
そこで、出願人は該先行開発製品が有する課題を分析し、この先行技術の吊り下げフック体が有する未解決であった課題を解決し、製造が容易で量産化に適し、使用材料も可及的に少量化が可能な構造とした吊り下げ展示用商品包装袋の吊り下げフック体を開発するに至り、ここに提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
該課題を解決するために講じた本発明にいう請求項1に記載の商品包装袋吊り下げフック体の構成を、実施例を示す図面に使用した共通の符号を用いて説明すると、上半部に商品吊り下げ桿への引っ掛け用フック部1を備え、下半部の本体部2に商品包装袋の小孔への係止部3を備えた合成樹脂製の単体成形品であって、当該係止部3が、本体部2から下方に向けて、かつ背面24側に向かう傾斜部23を介して連接させた垂下軸21と、該垂下軸21の下端部22から、該垂下軸21の側面との間に所定の空間9,9を隔てて斜め上方に向かって突出させた左右一対の弾性脚4,4と、これら両弾性脚4,4の上端部において、前記垂下軸21の背面24との間に微小間隙8を隔てて同背面24と略平行に形成された係止突起5,5と、これらの係止突起5,5と前記垂下軸21の下端部22との間において、本体部2の表面25側に向けて突出させた柱状部6,6と、これら両柱状部6,6の表面25側部分から左右方向に向けて連接された操作突起7,7とを備え、前記弾性脚4,4と係止突起5,5とが商品包装袋の小孔から内部に挿入されて、前記柱状部6,6を回転軸として回動可能に商品包装袋の小孔に装着される構造としたものである。
【0010】
また、請求項2に記載の構成は、前記請求項1に記載の商品包装袋吊り下げフック体に従属する構成であって、商品吊り下げ桿への引っ掛け用フック部1を、吊り下げ桿通過用通路11を備えたCの字形状とし、該フック部1の内周縁に沿ってその片面に補強リブ13を一体的に形成してある構造としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明にいうところの商品包装袋吊り下げフック体は、包装袋の小孔への係止部の構造を、本体部から下方に向けて連接させた垂下軸と、その下端部から、該垂下軸の側面との間に所定の空間を隔てて斜め上方に向かって突出する左右一対の弾性脚を連接し、これらの上端部を、垂下軸の背面との間に微小間隙を隔てて略平行に形成させた係止突起とし、これらの係止突起と垂下軸下端部との間に、本体部の表面側に向けて突出させた柱状部を形成するとともに、これらの柱状部の表面側部分から左右方向に向けて操作突起を連接形成してあるものとすることによって、弾性脚と係止突起とを商品包装袋の小孔から内部に挿入させて小孔の上下で袋の内面に接当させ、柱状部を回転軸として商品包装袋の小孔に回転可能に装着させる構造としてあることによって、包装袋の小孔への装着時に、操作突起を摘んで左右の弾性脚どうしの横幅を縮めながら小孔に挿入させることができるので、装着が容易迅速にでき、小孔の上部で左右の係止突起を、小孔の下部で垂下軸の下端近く部分と左右の弾性脚とを、包装袋の内面に接当させて安定よく確実に包装袋に装着させておくことができるという顕著な効果を有する。
【0012】
しかも、製造に当たっては、複雑な割り金型を必要とすることなく、表面側金型と背面側金型との2面金型で製造することが可能となり、製造が容易で量産化に適し、各部の厚さを薄く形成できるので、使用材料を可及的に少量化できるという効果も同時に有するものである。
【0013】
請求項2に記載の商品包装袋吊り下げフック体は、商品吊り下げ桿への引っ掛け用フック部を、吊り下げ桿通過用通路を除くフック部の内周縁部に沿って補強リブを一体的に形成した構成としてあるので、このリブ形成部以外のフック部のほぼ全体を吊り下げ強度に支障の生じない範囲内で可能な限りの薄さに形成することができ、この点でもフック体全体の使用材料を少量化できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】フック体を示す正面図。
【図2】同図の左側面図。
【図3】同図の右側面図。
【図4】同図の背面図
【図5】同図の背面側から見た斜視図。
【図6】包装袋の未使用状態を示す正面図。
【図7】包装袋への装着状態を説明する正面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明にいうフック体の成形素材としては、成形が可能な樹脂であればよく特に限定するものではない。敢えて例示しておくと、石油精製系の合成樹脂素材の場合は、例えばポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン系の樹脂や、ポリエステル系の樹脂で成形することができる。しかしながら、本願発明にいうところのフック体は、全体として小さいものであるため、分別廃棄されることは少なく、そのままゴミとして廃棄されることが多いと思われるので、回収されてそのまま埋め立て地等に投棄されても、容易に分解されて自然に還る性質を備えたカーボンニュートラル系の生分解性樹脂を使用するのが好ましい。
【0016】
また、フック体自体は高い強度を必要とするものではないので、成形樹脂素材としてはバージン樹脂にこだわることなく、回収樹脂製品のフレーク材やペレットのような再生樹脂素材を利用して成形することができる。
【実施例】
【0017】
以下、本発明の主たる実施例について図面と共に説明する。この実施例に示すフック体の構造は、図1乃至図5に見られる通りのものである。
【0018】
而して、該実施例に示したフック体Fは、ポリプロピレン樹脂を用いて射出成形した単一成形品である。このフック体Fは、正面側の形状を示した図1において、右斜め下部分に、図外の商品吊り下げ桿への引っ掛け用通路11を有する開口10を備えた左右逆C字形としたフック部1が上半部に形成され、同図において下半部に本体部2が連なり、この本体部2の下部に包装袋への係止部3が形成されている。
【0019】
この係止部3は、図2に示したように、本体部2から背面24側に向かって屈曲させた傾斜部23を介して下方に伸びる垂下軸21を有し、図1のように、この垂下軸21の下端部22から、該垂下軸21の側面との間に所定の空間9,9を隔てるようにして、斜め上方に向かって左右一対の弾性脚4,4を左右対称形に突出連接させてある。また、これら左右の弾性脚4,4の上端部を、その表面側と前記垂下軸21の背面24との間に、図2及び図3に示したように微小間隙8を隔てた状態にして両面を略平行に形成した係止突起5,5に形成してある。
【0020】
また、これら左右の弾性脚4,4には、これらの係止突起5,5と垂下軸21の下端部22との中間部に、本体部2の表面25側に向けて肉厚状に突出させた柱状部6,6を形成し、これら両柱状部6,6の表面側部分のそれぞれから左右方向に向けて突出させた操作突起7,7を連接形成してある。このようにして形成したフック体Fの構造は、図5に斜視形状を示してある。
【0021】
なお、図1において、フック部1の通路11の下側に示した符号12は、商品吊り下げ桿への引っ掛け展示状態のときに、下側からの押し上げ接触によって商品が吊り下げ桿から外れて容易に滑り落ちるのを防止するための落下止め突起である。また、同図1に示した符号13は、フック部1を可及的に薄く形成することによって低下する強度を補うための補強リブである。
【0022】
該実施例に示したフック体Fの大きさについて参考までに例示しておくと、次の寸法として実施することができる。図1における上下長さ≠38mm、フック部1の左右方向の外寸≠17mm、同内寸≠10mm、厚さ≠1mm、補強リブ13の厚さ≠0.5mm、図2に示した係止突起5と垂下軸21との対向面間の微小間隙≠0.5mm、弾性脚4の厚さ≠1mm、弾性脚4の表面に形成した柱状部の厚さ≠1.5mm、柱状部の表面側に連接した操作突起の厚さ≠0.5mmとしてある。再言するが、この寸法は、例示であって、フック体Fの大きさを限定するための数値ではない。
【0023】
以上のような構造とした本実施例に示したフック体Fを装着して使用する包装袋Pは、図6に示したように、上部に開口部oを備え表裏壁の長さを長短に違えて形成した薄膜製の袋であって、この包装袋Pには、図7のように吊り下げ商品gを先行して内装した後、図6において後ろ側に示した長尺側の壁aを開口部oの上を覆って短尺側の壁bの上に折り返して、予め塗布させてある接着剤cにより短尺側壁bの表面上に接着させて封緘状態とする。このようにして、吊り下げ商品gを内装した展示用商品Gの包装体を形成する。
【0024】
この展示用商品包装袋Pには、図6に示した長尺側壁aの折り返し状態で上端近となる箇所に直径約6mmまたは約5mmの小孔hを予め形成してある。より詳しくは、この小孔hは、実質的には長尺側壁aの前記開口部oよりも上部箇所で、短尺側壁bの表面上に折り返して封緘状態としたとき、図7のように、フック体Fのフック部1を包装袋Pの上縁から上方に突出させることが可能な箇所に形成してある。
【0025】
この小孔hに対して、操作突起7,7を指先で摘んで弾性脚4,4を下端部22から孔内に挿入すると同時に左右の係止突起5,5を近接させて孔内に挿入させる。この状態で指先を離すことによって、前記柱状部6,6の外周を小孔hの周縁に接当させ、同柱状部6,6を回転軸として回動できるように商品包装袋Pの小孔hに装着させる。
【0026】
この小孔hへの装着状態で、小孔hの上縁部分が前記左右の係止突起5,5と、垂下軸21との間の微小間隙8に挟み込まれた状態で、左右の係止突起5,5と、垂下軸21の下端部22及びその近く部分と、左右の弾性脚4,4とによって、小孔h近くの長尺側壁aの内面に接当してフック体Fの外れ移動を防止する。
【0027】
このように包装袋Pの小孔hに対して、フック体Fの全体が回転できるように装着させる。ことによって、通常の包装状態や箱詰め状態では、図7に実線で示したように、フック体Fの全体が包装袋Pの平面内に存在するようにしておき、平積み展示に際してはこの状態のまま展示し、図外の商品吊り下げ桿にフック部1を係止させて吊り下げ展示する場合には、図7に鎖線で示したように、フック体Fを矢印方向に回転させて、フック部1を包装袋Pの上側に突出させた状態として吊り下げ展示する。
【0028】
以上本発明の代表例と思われる実施例について図示説明したが、本発明にいうところのフック体は、これらの実施例に記載したもののみに限定されるものではなく、本発明にいう構成要件を備え、本発明にいう目的を達成し、本発明にいう効果を有する範囲内において適宜に改変して実施することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明にいうところのフック体は、商品を透明袋のような包装袋に対して自動包装機等を利用して先行包装した包装袋に対して、後付け作業で取り付けることができるという利点を有し、袋への装着状態では、袋の平面積内に位置させておき、袋の吊り下げ展示時に際しては、フック部分を包装袋の平面から外側に突出させて吊り下げ姿勢に変更して使用することができる利点を有しているので、大いに利用されると思われる。
【符号の説明】
【0030】
1 フック部
10 開口
11 通路
12 落下止め突起
13 補強リブ
2 本体部
21 垂下軸
22 下端部
23 傾斜部
24 背面
25 表面
3 係止部
4 弾性脚部
5 係止突起
6 柱状部
7 操作突起
8 微小間隙
9 空間
F フック体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上半部に商品吊り下げ桿への引っ掛け用フック部(1)を備え、下半部の本体部(2)に商品包装袋の小孔への係止部(3)を備えた合成樹脂製の単体成形品であって、
当該係止部(3)が、
本体部(2)から下方に向けて、かつ背面(24)側に向かう傾斜部(23)を介して連接させた垂下軸(21)と、
該垂下軸(21)の下端部(22)から、該垂下軸(21)の側面との間に所定の空間(9,9)を隔てて斜め上方に向かって突出させた左右一対の弾性脚(4,4)と、
これら両弾性脚(4,4)の上端部において、前記垂下軸(21)の背面(24)との間に微小間隙(8)を隔てて同背面(24)と略平行に形成された係止突起(5,5)と、
これらの係止突起(5,5)と前記垂下軸(21)の下端部(22)との間において、本体部(2)の表面(25)側に向けて突出させた柱状部(6,6)と、
これら両柱状部(6,6)の表面(25)側部分から左右方向に向けて連接された操作突起(7,7)とを備え、
前記弾性脚(4,4)と係止突起(5,5)とが商品包装袋の小孔から内部に挿入されて、前記柱状部(6,6)を回転軸として回動可能に商品包装袋の小孔に装着される構造としてある
商品包装袋吊り下げフック体。
【請求項2】
商品吊り下げ桿への引っ掛け用フック部(1)を、吊り下げ桿通過用通路(11)を備えたCの字形状とし、該フック部(1)の内周縁に沿ってその片面に補強リブ(13)を一体的に形成してある請求項1に記載の商品包装袋吊り下げフック体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−5530(P2012−5530A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141757(P2010−141757)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(390027915)ナックス株式会社 (8)
【Fターム(参考)】