説明

商品取引リスク管理システム

【課題】
取引量が決定していない取引を商品の販売者が検討する場合、どのくらいの市場単価の変動リスクを引き取っているのか把握し、そのリスク量に見合った適正な基本料金を算出すること。
【解決手段】
生産設備情報101と市場単価履歴情報201と顧客消費履歴情報251と市場環境履歴情報301と取引情報を保持または入力し、商品の市場単価の確率分布を計算する市場リスク算出部401と、市場単価と消費量との関係モデルを特定する消費量変動リスク算出部501と、市場単価と取引量の関係モデルを特定する取引量変動リスク算出部601と当該取引における期待収益と収益の変動幅と適正な基本料金算出する取引リスク算出部701と、従量料金と取引量の上限値を入力し、取引リスク算出部の計算結果を表示する入出力部901を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、市場で売買される商品の取引における収益変動リスクを制御する商品取引リスク管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
市場で売買される商品の単価は、市場の需要と供給の関係によって決まるため、商品を製品として製造あるいは、他社から調達して市場で売る販売者の収益は、市場単価に大きく左右される。また、販売者が市場を経由せずに直接顧客に商品を販売する場合でも、その取引単価は市場単価が反映される。よって、販売者の収益は、市場単価が変動するリスクにさらされている。ここで、市場で商品を取引する場合、その単価は商品1単位当たりいくらというように、一般的に従量単価であるが、電力やガスなどエネルギーの取引などでは顧客と直接取引を行う場合、さまざまな理由から、一般的に従量単価と基本料金の2種類の料金で構成される。即ち、ある期間において、ある一定の基本料金を支払えば、その契約期間内は市場単価に関係なくその契約で決められた従量単価でその商品の取引を行う。このとき、取引量は契約で決められた上限の範囲内で購入する側が自由に決める。例えば、一般家庭は、従量料金と基本料金と契約電力の契約に従って電力会社から電気を買っており、契約電力の範囲内で自由に電気を使い、使った分だけ従量料金を支払う。この取引における代金は従量料金と取引量の積と基本料金であるが、商品の売り手の収入は、取引量の影響を受ける。また、市場単価より安い従量単価で契約した場合は、逆ザヤとなり収益の機会を逸していることに他ならない。
【0003】
商品取引のリスク管理における従来技術としては、電力取引に関して特許文献1の発電設備運用支援システムがあげられる。このシステムは、発電設備の発電コスト,電力需要予測値、および、電力取引市場単価予測値の確率分布を入力として、発電設備の最適運転条件を算出、最適性が損なわれるリスクを収益変動の確率分布の形で算出するシステムである。
【0004】
商品取引における単価決定における従来技術としては、特許文献2の単価決定装置があげられる。この単価決定装置は、製造コストと原材料の市場単価と顧客の需要パターンと確率分布よりコストの観点から損失を被る確率をある一定値以下に抑えたときの最低許容単価を算出する装置である。この装置では、取引の電力単価と比較して取引の電力単価が高ければ取引し、低ければ取引しないという基準となる単価を算出する。
【0005】
【特許文献1】特開2005−4435号公報
【特許文献2】特開2004−171180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
市場から当該取引と同じ商品を購入できる場合、取引成立時点で取引量が決定していない取引において商品を調達する購入者は、取引の契約期間中当該取引の従量単価と市場の従量単価を比較して安い方の商品を購入する。購入者は、当該取引を結ぶことにより、市場の単価が高くなっても、当該取引の契約量の範囲なら当該取引の従量単価で商品を買うことが出来る。即ち、逆の立場である商品の販売者は購入者がさらされている市場単価の変動リスクを引き取っていることになる。そして、市場単価の変動リスクを引き取った対価として、基本料金を受け取っているという解釈が成り立つ。よって、取引量が決定していない取引を商品の販売者が検討する場合、どのくらいの単価変動のリスクを引き取っているのか把握する必要がある。
【0007】
特許文献1の発電設備運用システムでは、電力取引所の電力の従量単価と発電単価を比較して、発電プラントの最適運転を算出、統合リスク値を算出しているが、顧客との直接取引に関して適切な取引料金を算出する機能は有していない。また、各取引におけるリスクを算出する機能も有していない。従って、個別の取引に関する適正単価やリスクを算出することができない。
【0008】
特許文献2の単価決定装置では、基本料金を算出する機能はない。また、顧客が取引所から商品を調達できる場合は需要分布を考慮することに加えて、取引所での調達量を考慮する必要があるが、これを反映した需要算出方法にはなっていない。また、従量単価と基本料金を分けて適切な単価を算出する機能は備えていない。さらに、取引のリスクを算出する機能を備えていない。
【0009】
本発明の課題は、取引量が決定していない取引を商品の販売者が検討する場合、どのくらいの市場単価の変動リスクを引き取っているのか把握し、そのリスク量に見合った適正な基本料金を算出することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
生産設備情報と市場単価履歴情報と顧客消費履歴情報と市場環境履歴情報と取引情報を保持または入力し、商品の市場単価の確率分布を計算する市場リスク算出部と、市場単価と消費量との関係モデルを特定する消費量変動リスク算出部と、市場単価と取引量の関係モデルを特定する取引量変動リスク算出部と当該取引における期待収益と収益の変動幅と適正な基本料金算出する取引リスク算出部と、従量料金と取引量の上限値を入力し、取引リスク算出部の計算結果を表示する入出力部を備える商品取引リスク管理システムにより解決することが出来る。
【発明の効果】
【0011】
上記手段により、取引量が決定していない取引において、当該取引によって、商品の購入者から販売者に移る市場単価変動リスクの量を定量的に計測して、リスクを引き受けることの対価としての適正な基本料金を算出することができる。さらに、販売者の収益の期待値と確率分布を算出できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の実施形態を説明する。図1は本発明である商品リスク管理システムの構成の例を示した図である。商品リスク管理システムは、生産設備情報101と市場単価履歴情報201と顧客消費履歴情報301と市場環境履歴情報251と取引情報801を有し、市場単価履歴情報201と市場環境履歴情報251から市場単価の確率分布を算出する市場リスク算出部401と顧客消費履歴情報301と市場環境履歴情報
251から顧客の消費量の確率分布を算出し、市場単価履歴情報201と顧客消費履歴情報301と市場環境履歴情報251から市場単価と消費量の関係モデルを特定する消費量変動リスク算出部501と市場リスク算出部401が算出した市場単価の確率分布および消費量変動リスク算出部501が算出した消費量の確率分布および市場単価と消費量の関係モデルから、取引量の期待値と確率分布を算出し、市場単価と取引量の関係モデルを特定する取引量変動リスク算出部601と生産設備情報101と取引情報801と消費量変動リスク算出部501と取引量変動リスク算出部601の結果と入出力部901で入力された従量単価と取引量の上限値から、取引によって商品購入者から販売者に移った市場単価変動リスクとその対価となる基本料金と販売者の収益の期待値と確率分布と当該取引と取引をあわせた販売者の総収益と期待値と確率分布および、当該取引が新たに加わる前と後との差を算出する取引リスク算出部701と取引リスク算出部の計算結果を表示する入出力部901で構成される。
【0013】
図2は生産設備情報のうち生産設備稼働スケジュールの例を示した図である。生産設備の稼動スケジュールは当該取引の商品を販売する販売業者の生産設備の稼動可能スケジュールであり、各日付と各設備毎に最大生産できる稼動率または数量などが記載されている。生産設備情報は、稼動スケジュールの他に生産コストに関して、製品を1単位製造するために必要な変動コストと固定費の情報が含まれであり、コンピュータのメモリー上やハードディスクなどの媒体に記録されたデータである。例えば、電力を発電する場合、発電する電力Pに対して、その燃料費は下記のような2次式で表すことができる。
【0014】
C= (αP2+βP+γ)f (式1)
ここで、α,β,γは定数、fは燃料単価であり、生産設備情報101として上記を表すための各係数が含まれている。ここで、必要な取引量が生産能力を超えてしまった場合は、市場単価や予め決められた単価で市場から製品を調達して転売する。生産設備情報
101は必要に応じて毎日更新されるか、本システムにおいて、リスクや基本料金の算出が行われる前に更新される。
【0015】
図3は市場単価履歴情報の例を示した図である。市場単価履歴201は、燃料や材料,製品の日々の単価であり、電力市場において、電力受け渡し当日に実際の市場購入量が落札量を超えた場合のペナルティ単価も含まれる。この情報はコンピュータのメモリー上やハードディスクなどの媒体に記録されたデータである。例えば、電力取引所で取引される電力単価は、消費する時間によって値段が分けられているので、AM1時からPM24時までの単価がそれそれ日々記録されている。これらのデータは必要に応じて毎日更新されるか、本システムにおいて、リスクや基本料金の算出が行われる前に更新される。
【0016】
図4は、市場環境履歴情報251の例を示した図である。市場環境情報は、最高気温や最低気温など市場を取り巻く自然環境やGDP(国内総生産)や失業率など経済指標を表すデータで日々、または、毎月,毎年毎に記載されたデータで、必ずしも、図4のようなひとつの表ではなく、日別,月別,年別に記録されている。コンピュータのメモリー上やハードディスクなどの媒体に記録されたデータである。
【0017】
図5は、顧客消費履歴情報の例を示した図である。顧客消費履歴301は、当該取引あるいは、すでに約定した取引の消費量、または、過去、あるいは、入手可能な顧客の消費履歴で、取引相手または、取引相手が販売している需要家あるいは施設ごとに記録されており、コンピュータのメモリー上やハードディスクなどの媒体に記録されたデータである。製品が電力などのように消費する時間によって単価が異なる製品は、日時単位に消費量が記録されている。さらに、当該情報には、実際の消費量と対応する予測値または、実際の消費量と予測値の誤差が含まれる。
【0018】
図6は取引情報の例を示した図である。取引ごとに基本料金,取引の上限である契約量,契約期間が少なくとも記載されている。また、図7は取引と需要家の対応表の例を表した情報で、取引と顧客消費履歴情報301を結びつけるための情報であり取引情報に含まれており、コンピュータのメモリー上やハードディスクなどの媒体に記録されたデータである。
【0019】
図8は市場単価の確率分布ヒストグラムの例を示した図である。横軸が単価、縦軸が確率となる。各棒の長さが市場単価の各単価となる確率を表し、例えば、市場単価が1000円/kl以上2000円/kl未満である確率を長さによって示している。棒の長さが長いほど、その単価となる確率が高くなる。ここで、各単価となる確率は、市場単価の履歴から、その単価になった数を全体の数で割ることにより求める。市場リスク算出部401では、この方法で各データの確率分布を計算する。この場合、各単価に季節性がある場合は、各月ごとにあるいは季節ごとに確率分布を求める。トレンドがある場合は、年毎に期待値を求め、各年と期待値の関係を関数で近似して、確率分布に増減分を調整する。
【0020】
図9は2次元の確率分布を表で表した例である。第一行が第一変量の区間、第一列が第二変量の区間に対応し、2行2列目以降の各欄に対応する第一変量と第二変量となる確率が記されている。例えば、電力市場単価と消費量の2次元の確率分布では、市場単価履歴情報201と顧客消費情報301から消費量と消費したときの時間における市場単価を結びつけてペアとし、各欄に該当するペアの数を数え上げ、全ペアの数で割ることで2次元確率分布を計算することができる。ここで、取引量には上限値があるので消費量も上限値を超えることがない。したがって、消費量の最大値は取引量の上限値となる。
【0021】
市場単価及び、取引量に市場環境履歴情報の項目が影響を与えると認められた場合、たとえば、消費量が温度に依存する場合は、10℃から15℃といった区間に区切られた温度ごとに2変量の関係モデルと温度の確率分布を市場リスク算出部401または、消費量変動算出部501で算出する。
【0022】
図10は取引量の確率分布を示した図である。製品の購入者は、より安い製品を購入する。したがって、契約時点で単価だけ決まっていて取引量が決まっていない取引では、購入者は契約単価と市場単価のうち安い方を選択するので、市場単価が安い単価帯で推移する場合は、図10のように取引量が0になる確率が高くなる。一方、市場単価が高い単価帯で推移した場合は、取引量が0になる確率は低くなる。市場単価と取引量の関係は図9で説明した2次元の確率分布表で表すことが出来る。これが、2変量の関係モデルに相当する。また、この2変数のうち、少なくとも一方に季節性がある場合、履歴の日付により、月ごとに分類して各月の2変量の関係モデルを作る。さらに、トレンドがある場合は、履歴の日付により年ごとに分類して、各年の2変量それぞれの期待値を求めて、1年における期待値の増分もしくは減少分だけ各月の2変量の値を調整して、関係モデルを構築する。さらに、分布が時間の関数に比例して拡散する場合は、例えば、株価の変化は時間の平方根に比例して標準偏差が大きくなるといわれているが、この場合は時間の関数に従って対応する確率の値を保持したまま、トレンドを考慮した期待値を中心として確率分布の区間の幅を広げる。この関係モデルは、2変量が正規分布に従う場合は、2変量の期待値と分散および2変量の相関で表すこともできる。
【0023】
契約時点で予め取引量が決められていない取引の取引量と市場単価の関係モデルは、取引単価と顧客の消費量と市場単価の関係モデルから求める。即ち、2次元確率分布から、取引単価が市場単価より安いときの値はそのまま採用、高いときは取引量の値を0として、取引量が0となる部分の顧客の消費量と市場単価の関係モデルの確率を集計することにより得られる。これらの一連の計算は、消費量リスク算出部501において、顧客の消費量と市場単価の関係モデルが算出されたのち、取引量変動リスク算出部601において算出される。
【0024】
販売者の収入は取引単価と取引量の積なので、市場単価と取引量の関係モデルより、各取引単価と取引量とその確率の積の合計から、当該取引における販売者の期待収入を求める。この計算は取引リスク算出部701で行われる。各季節または月で構成されている場合は、その月や季節ごとに期待値を計算して合計する。また、電力のように時間帯によって関係モデルが異なる場合も、同様に時間帯ごとに期待値を計算して合計、曜日や休日によって場合わけが必要な場合も、同様となる。トレンドや拡散が時間の関数に比例する場合は、期間に応じて調整された関係モデルでそれぞれの将来期間の期待値を計算する。また、取引をしなかった場合の収入は市場単価と消費量の積となるので同様にして市場単価と消費量の関係モデルから期待値を求める。このとき、市場単価と取引量の関係モデルにて確率が0になっている市場単価と取引量の組に対応する市場単価と消費量の組は計算対象から除外して計算し、取引したときの収入の期待値から、この結果を引いた差が当該取引によって製品の購入者から販売者へ移ったリスクとなる。
【0025】
市場のように、電力の受け渡しの前日までしか市場取引のできない場合かつ不足の際にペナルティ料金が加算される場合、電力消費量が販売者の市場調達量を超えた際、不足分を当該取引の販売者から調達する。このとき、ペナルティを払うリスクが当該取引の購入者から、販売者へ移る。このリスクを計算するために、消費量変動算出部501において、顧客消費履歴情報301の予測値と実際の消費量の差から予測誤差分布を計算する。さらに、取引リスク算出部701にて市場単価履歴情報のペナルティ料金と当該取引の電力単価の差と予測誤差分布のそれぞれの確率を掛け合わせて合計することにより、ペナルティ料金を払うリスク量がどれくらい削減したかを計算する。さらに、製造設備が瞬時に起動することができず、前日に購入者が市場から調達するか販売者から調達するかを通告する場合は、市場から調達する確率を市場単価と取引量の関係モデルから求めて、ペナルティ料金にその確率を掛けた値をペナルティ料金を支払うリスク量とする。
【0026】
本発明で求めている適正な基本料金とは、市場から電力を調達した場合の市場単価が高くなるリスクとペナルティ料金を支払うリスクの削減量に相当する料金である。
【0027】
各既存の取引についての市場単価と取引量の関係モデルは、当該取引と同様に市場単価履歴情報201,市場環境情報251,顧客消費履歴情報301より求めることが出来るが、関係モデルを合わせることは出来ないので、トレンドや拡散を考慮したあと、各市場単価における取引量の分布を正規分布で近似し、さらに、301の顧客消費履歴情報から相関を計算して、各市場単価帯における全取引量の合計の確率分布を作成することにより、市場単価と全取引量との関係モデルを算出することができる。必要な取引量を生産するためのコストは、生産設備情報101に格納された式1など費用関数と市場単価履歴情報201に記録されている燃料単価をもとに求めることができる。市場単価と全取引量との関係モデルを利用することによりコストの期待値を求めることができる。また、各取引の収入の期待値からコストの期待値を引くことにより収益の期待値を求めることができる。さらに、それぞれの取引の取引量と市場単価の関係モデルの確率と各取引間の相関にしたがって、ランダムに市場単価と取引量のペアを発生させて、そのペアでの収益を繰り返し計算すれば、収益の分布を求めることができる。
【0028】
本発明の実施の形態としては、プログラムによりコンピュータを上記実施例に記載された手段として機能させても良い。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明における商品取引リスク管理システムの構成の例。
【図2】生産設備情報の例。
【図3】市場単価履歴情報の例。
【図4】市場環境履歴情報の例。
【図5】顧客消費履歴情報の例。
【図6】取引情報の例。
【図7】取引と需要家の対応表の例。
【図8】市場単価の確率分布のヒストグラムの例。
【図9】2次元の確率分布の例。
【図10】取引量の確率分布のヒストグラムの例。
【符号の説明】
【0030】
101…生産設備情報、201…市場単価履歴情報、251…市場環境情報、301…顧客消費履歴情報、401…市場リスク算出部、501…消費量変動リスク算出部、601…取引量変動リスク算出部、701…取引リスク算出部、801…取引情報、901…入出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あらかじめ商品の数量が決まっていない取引に関する取引リスクを算出するシステムであって、対象商品の市場単価履歴情報と顧客消費履歴情報から市場単価と消費量の関係モデルを算出する消費量変動リスク算出部と、前記消費量変動リスク算出部で算出した市場単価と消費量の関係モデルと入出力部から入力された商品の従量単価と取引量の上限値をもとに当該取引における期待収入と収入の確率分布および取引を利用せずに市場で調達した場合に顧客が支払うであろう代金の期待値と確率分布を算出する取引リスク算出部と、前記取引リスク算出部が算出した代金の期待値と確率分布を表示する表示部を備えることを特徴とする商品取引リスク管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の商品取引リスク管理システムであって、前記消費量変動リスク算出部で算出された市場単価と消費量との関係モデルとユーザが入力した商品の従量単価と取引量の上限値をもとに当該取引における市場単価と取引量の関係モデルを算出する取引量変動リスク算出部と前記取引量変動リスク算出部で算出された市場単価と取引量との関係モデルと前記消費変動リスク算出部で算出された市場単価と消費量との関係モデルと前記入出力部から入力された商品の従量単価と取引量の上限値をもとに当該取引の期待収入と収入の確率分布および適正な基本料金を算出する取引リスク算出部を備えることを特徴とする商品取引リスク管理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の商品取引リスク管理システムであって、生産コスト関数,生産計画,固定費を含む生産設備情報と商品を生産するために必要な材料や燃料の市場単価履歴情報から各単価の確率分布を算出する市場リスク算出部と、前記消費変動リスク算出部で算出された市場単価と消費量との関係モデルと入力された商品の従量単価と取引量の上限値をもとに当該取引の期待損益と確率分布を算出する取引リスク算出部を備えることを特徴とする商品取引リスク管理システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載の商品取引リスク管理システムであって、前記市場単価の履歴に加え、市場での取引量と気温,湿度,経済指標などの履歴である市場環境履歴情報から、各市場環境データの項目と市場単価の関係を表現した関数を特定し、これらの関数を用いて市場単価の確率分布を算出する市場リスク算出部と、前記顧客消費履歴情報と前記市場環境履歴情報から、各市場環境履歴情報の項目と消費量の関係を表現した関係モデルを特定し、これらの関数を用いて消費量の確率分布を算出する消費量変動リスク算出部を備えることを特徴とする商品取引リスク管理システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の商品取引リスク管理システムであって、すでに成立した取引の契約内容である取引情報と生産コスト関数,前記生産設備情報と前記市場単価履歴情報と、前記取引量変動リスク算出部で計算された取引量の確率分布と入力された商品の従量単価と取引量の上限値をもとに、当該取引と既存の取引すべてについての期待収益と収益の確率分布および当該取引が加わる前と後の期待収益および確率分布の変化量を計算する取引リスク算出部を備えることを特徴とする商品取引リスク管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−18202(P2007−18202A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198211(P2005−198211)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)