説明

商品確認方法

本発明はその商品が真正な製造業者による真正商品であることを第三者が商品単品毎に確認できるようにする方法に関する。本方法においては、製造業者が商品単品毎に少なくとも1個の第1コードを割り振りその商品の本体又は包装に添着して参照用公開データベースに登録する。第三者は、商品の本体又はその包装から第1コードを読み取って入力することによりデータベースを参照する。データベースでは、入力された第1コードを商品単品毎に登録されている同種のコードそれぞれと比較することにより、後者の中に前者と同一のものがあるかどうか、前者と同一のものによる参照履歴があるかどうか、又はその双方を調べてその結果を出力する。これと似た従来公知の方法においては、その商品が真正商品であるのかそれとも偽造模造商品であるのかを十分に高い確率で確認することができなかった。本発明の目的はこの従来方法を更に発展させ、真正商品と偽造模造商品とを高い信頼性で識別できるようにすることにある。この目的を達成するため、その遮蔽物を除去しない限り第三者が第1コードの読取及び入力を行えないよう、除去可能型の遮蔽物で第1コードを隠すこととした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の「おいて」以前に記載の通り、その製品が真正な製造業者による真正商品であることを商品単品毎に第三者が確認できるようにする方法に関し、更には当該方法にて使用されるラベルに関する。
【背景技術】
【0002】
有名ブランド商品を製造業者から流通業者(輸出入業者、卸売業者及び小売業者)を経て末端使用者に届ける過程においては、個々の商品が本当にその有名ブランドの商品であるかどうかを各者が商品単品毎に識別及び確認できるようにすることが、求められている。こうした識別及び確認を行うことができれば、製造業者は、自分が製造した後様々な且つ別々な流通段階を経て転売され流通していく個々の商品について、その流通経路及び転売時点を正確且つ仔細に追跡することができ、従って例えば特定国向け商品が確かにその国でのみ販売されているかどうかを確認することができる。また、製造業者だけでなく流通業者や末端使用者からも、自分の手許にある商品が確かにその有名ブランド製造業者により製造された真正商品であるのか、それとも偽造模造商品即ち偽物であるのかを、判別できるようにすることが望まれている。
【0003】
このような理由から流通経路上での商品確認方法が様々に開発されており、それらの方法では事前コード割り振りというやり方が広く採用されている(特許文献1等参照)。事前コード割り振りとは、商品単品毎に別々のコード又は番号(本願では「コード」と総称)になるようランダムなコードを発生させて商品に割り振ることにより、偽造模造行為を難しくするやり方であり、こうしたコードを利用すれば同一名商品を商品単品毎に識別することができる。このやり方を採用する場合、製造業者は、割り振ったコードを商品の本体又は包装に添着(例えばそのコードが印刷されたラベルを添着)すると同時に、データベース上にあるリスト即ち割り振り済で有効なコード全てを網羅するためのリストにそのコードを登録し、その上でその商品を市場に投入する。このデータベースは、流通業者や末端使用者が質問等の形式でこのデータベースを参照することができるよう、インターネット経由等で参照可能な公開データベースとする。流通業者(販売者等)や末端使用者は、商品を入手した時点から直ちに、インターネット経由でこのデータベースを参照することができる。例えば、このデータベースにアクセスしてその商品のコード(例えば印刷されているコード)を入力することにより、そのデータベースにおけるそのコードの登録有無を示す応答や、そのコードと同一のコードによる参照履歴(参照履歴を保存しておくようにデータベースが構成されている場合)の有無を示す返答を、そのデータベースから判別結果として受け取ることができるため、流通業者や末端使用者は、この判別結果情報に基づきその商品が真正商品かどうかを判断することができる。特に、データベースから“あなたが入力したコードは本データベースに登録されていない”と知らされた場合、流通業者や末端使用者は、自分の手許にある商品が真正商品ではなく偽造模造商品であるということを、それ以上にない程はっきりと知ることができる。しかしながら、データベースから“あなたが入力したコードは本データベースに登録されているが以前に他の者が参照したことがある”と知らされた場合、流通過程で自分より先にその商品を入手した者がその商品について質問したことがあるのかもしれないし、その商品が真正商品の番号をコピーした偽造模造商品であるのかもしれない。そのため、流通業者や末端使用者は、自分の手許にある商品が真正商品であるのかそれとも偽造模造商品であるのかについて、判断に足る確証を得ることはできない。また、データベースから“あなたが入力したコードは本データベースに登録されており以前に誰も参照したことがないものである”と知らされた場合、流通業者や末端使用者は、自分の手許にある商品が真正商品であると一応は認めることができるが、その商品がコードごと真正商品をコピーしたものでありまだ真正商品については質問がされたことがないのかもしれないため、その商品が真正商品であるのかそれとも偽造模造商品であるのかについて、絶対的な確実さを以て判断を下すことはできない。
【0004】
本件技術分野における習熟者(いわゆる当業者)であれば特許文献2等から確認できるように、コードを知ることができるのを正当権限ユーザに限定するため、添着されているコードを隠す遮蔽物をデータキャリアに被せること、即ち遮蔽物を除去して(例えばスクラッチ層を剥がして)はじめてコードが分かるようにしておくことも可能であるが、特許文献2により開示されている除去可能型遮蔽物付きデータキャリアの使途は、無権限の他者からのPINコードを隠匿することに限られていた。
【0005】
特許文献3に係るシステムは、対象物の供給元が真正供給元であるかどうかをチェックするためのシステムである。このシステムにおいては、対象物に記しておいた少なくとも1個のマーキングをそのマーキングを認識可能な検知器により認識し、その真正供給元に固有且つ独自の性質との照合によりその認識結果を調べるようにしている。しかしながら、このシステムにも特許文献1に関して上述した如き欠点があり、偽造模造行為を排除しきることはできない。
【0006】
【特許文献1】国際公開第03/007252号パンフレット
【特許文献2】独国出願公開第19941362号明細書
【特許文献3】独国出願公開第19945760号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、流通業者等がコード質問をきちんと実行するというルールの下に従来の方法が運用されている限り、有名ブランド製造業者は商品流通経路の全体像を把握することができるが、流通業者や末端使用者に対し提供される判別結果情報は確実さという点では不十分であり、その情報に基づきその商品が真正商品であるのかそれとも偽造模造商品であるのかを確実に見分けることはできなかった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、真正商品と偽造模造商品とを十分な確実さを以て識別することができる確認方法及び当該方法で使用されるラベルを、請求項1及び4に記載の特徴的構成によって提供するものであり、他の請求項を含め各請求項に記載の構成にはそれぞれに利点がある。
【発明の効果】
【0009】
従来技術に係る方法と異なり、本発明に係る方法により提供される判別結果情報はこれといって不具合のない情報であり、ある商品単品が確かにある商品シリーズに属する真正商品であることをこの情報に基づき確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る方法は背景技術の欄に記載した方法を基礎とする方法である。
【0011】
本方法において採用する手順では、有名ブランド製造業者が、まず自分の品揃いにある商品について商品単品毎に専用のコード、例えば番号、文字等のようにデータ処理に適する各種の可視シンボルを連ねたコードを割り振り、割り振ったコードをその商品の本体又はより好ましくは包装に添着する。コード割り振りは適切なアルゴリズムが組み込まれたコンピュータ等によって行うことができ、その際コードを十分長く複雑なものにすれば、第三者が当てずっぽうでコードを当ててしまう確率をかなりの程度抑えることができる。また、コードを添着する形態としては、図示の如くコードを含む各種の情報が記されているラベルを商品の本体又は包装に添着する、という形態が望ましく、またラベル添着先は商品包装例えばその上面又は側面とするのが望ましい。更に望ましくは、商品包装を開けようとするとそのラベルが破損するよう商品包装の角の部分にラベルを添着する。
【0012】
図示されているように、このラベル1は、例えば、補助的安全手段として機能するホログラム部2、その有名ブランド製造業者の名称3、スキャナで読み取れる製品識別用バーコード4、並びに2個の(遮蔽物付き)コード5及び6を担持する構成とする。コード5は業者コード、コード6は末端使用者コードであり、商品が例えばスプレーガンであれば、末端使用者は塗装工であるからコード6は塗装工を示すコードになる。
【0013】
なお、以下の説明においては、業者コード5を第1コード、末端使用者コード6を第2コードと呼ぶこととする。
【0014】
本方法を実施する際も、従来技術を実施する際と同様に、インターネット等を介し有名ブランド商品単品毎に参照可能な公開データベースを有名ブランド製造業者の管理下におく。但し、このデータベースには、商品単品毎に割り振られた全てのコードを登録するようにする。即ち、第1コード及び第2コードを共に登録する。また、登録されているコードについての質問を受けたときは、データベースにおいては、それに対応してそのコードに係るフラグがセットされる。このフラグは対応するコードに参照履歴があることを示すフラグであり、フラグがセットされているコードと同じコードが参照されると、参照履歴があることを示す情報がデータベースから出力される。なお、このデータベースは、アクセスコード等の防備手段によりハッカーを退けるようにしておくのが望ましい。
【0015】
図示の通りコード5及び6は読み取りにくくしておく。というよりはむしろ、コード5及び6が隠れるよう遮蔽物により覆っておく。この遮蔽物は除去可能型の遮蔽物であり、例えば、従来から知られているスクラッチ層により実現することができる。スクラッチ層はプラスチックやゴムの如き物質により形成される層であり、この場合はコード5及び6を完全に覆うように形成する。片手で又は何らかの道具でこれをひっかけば、このスクラッチ層は剥がれて、コード5及び6を読み取れる状態となる。ひっかいて剥がすとスクラッチ層形成物質が失われるため、スクラッチ層を再現するのは容易でない。
【0016】
工場にて製造された後出荷される時点では、当該有名ブランド商品に付されたコード5及び6が遮蔽物により覆われいるため、コード5及び6を読みとることはできない。
【0017】
市場に出回った有名ブランド商品を入手するのは例えば流通業者である。業者は、商品を入手したことを以てその商品の第1コード(業者コード)5を露わにする権限を獲得する。この権限を獲得した業者は、その第1コード5を随意に入力してデータベースを参照することができる。第1コード5を入力した業者の許にデータベースから届くのは、次の三種類の返答のうち何れかである。
【0018】
一種類目は“あなたが入力した確認用コードは真正商品に割り当てられていないコードであるので、あなたの入力に間違いがなければ、その商品は偽造模造商品に違いない”という判別結果情報である。これは、先に説明した従来技術における返答のうち一つと同様の性格の返答であり、入力した第1コード5が真正商品コードリストに含まれておらず真正商品コードに詳しくない偽造模造者によって生成されたコードである場合に、この返答が返ってくる。入力した第1コード5に誤りがなければ、この場合はその商品が偽造模造商品であると判断するのが正しい。
【0019】
二種類目は“あなたが入力した確認用コードは真正商品に割り当てられているがこれまでに少なくとも1回は確認のため参照されたことがある;あなたの許に来る前にそのラベルの第1コード遮蔽物が既に剥がれていたのなら、その商品が真正商品である可能性があるので、第2コードにより確認できるかどうか試すことをお勧めする;そのラベルの第1コード遮蔽物を剥がしたのがあなたご自身であるのなら、その商品は偽造模造商品に違いない”という判別結果情報である。この場合、その商品が偽造模造商品である可能性が高いけれども、先に同じコードでデータベースを参照した者の手許にあった商品の方が偽造模造商品で自分の手許にある商品が真正商品である可能性もある。但し、真正なコードが付された真正商品なるものは1個しかないが、偽造模造コードが付された商品は全く同じものが何個かあることが多いので、自分の手許にある商品が真正商品である可能性はかなり低い。
【0020】
三種類目は“あなたが入力した確認用コードは真正商品に割り当てられているのでその商品は確率的にほぼ完全に真正商品である”という判別結果情報である。これは、その商品の第1コード5の遮蔽物を剥がしたのが自分自身でありその結果現れた第1コード5と同じコードによる参照がこれまでに行われていなかった場合に返ってくる返答であり、従ってこの場合はその商品が真正商品である確率がほぼ100%である。勿論、真正商品より先に偽造模造商品の方が市場に出回っていて真正商品コードによるデータベース参照がまだ行われていない、という可能性がないわけではない。従って自分の手許の商品が偽造模造商品である確率は0ではないが、それはかなり低い確率である。
【0021】
また、第1コード5と第2コード6は全く独立に機能するわけではない。先に二種類目の返答に関して説明したように、入力した第1コード5に対応する真正商品がありそのコードについて質問されたことがある場合、流通業者は、塗装工向けのコードであるはずの第2コード6によりデータベースを参照することによって、その商品の製造元を絶対的な確実さで以て判別することができる。もし流通業者がそれを行わなかった場合は、末端使用者が二種類のコード5及び6を使用して確認を行うことができる。
【0022】
末端使用者例えば塗装工による確認は第2コード6を用い同様にして行われる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係るラベルを詳細に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その商品が真正な製造業者による真正商品であることを商品単品毎に第三者が確認できるようにする方法であって、製造業者が商品単品毎に第1コードを割り振りその商品の本体又は包装に添着して参照用公開データベースに登録するステップと、第三者が商品の本体又はその包装から読み取った第1コードを入力して上記データベースを参照するステップと、入力された第1コードを上記データベースに商品単品毎に登録されている同種のコードそれぞれと比較することにより、後者の中に前者と同一のものがあるかどうか、前者と同一のものによる参照履歴があるかどうか、又はその双方を当該データベースにて判別するステップと、を有する方法において、その遮蔽物を除去しない限り第三者が第1コードの読取及び入力を実行できないよう、除去可能型の遮蔽物で第1コードを隠したことを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、上記遮蔽物がスクラッチ層であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の方法において、上記第1コードを商品確認コードとして使用する流通段階とは別の少なくとも1個の流通段階における商品確認コードとして製造業者が商品単品毎に少なくとも1個の追加コードを割り振りその商品の本体又は包装に添着して参照用公開データベースに登録するステップと、第三者が商品の本体又は包装から読み取った追加コードを入力してデータベースを参照するステップと、入力された追加コードを上記データベースに商品単品毎に登録されている同種のコードそれぞれと比較することにより、後者の中に前者と同一のものがあるかどうか、前者と同じものによる参照履歴があるかどうか、又はその双方を上記データベースにて判別するステップと、を有し、その遮蔽物を除去しない限り第三者が追加コードの読取及び入力を実行できないよう、除去可能型の遮蔽物で追加コードを隠したことを特徴とする方法。
【請求項4】
商品確認手段として添着先商品単品毎に割り振られた第1コードを担持しており商品単品の本体又は包装に添着されるラベルにおいて、除去可能型の遮蔽物によって第1コードを隠したことを特徴とするラベル。
【請求項5】
請求項4記載のラベルにおいて、添着先商品単品毎に割り振られた追加コードを担持しており、除去可能型の遮蔽物によって追加コードを隠したことを特徴とするラベル。
【請求項6】
請求項4又は5記載のラベルにおいて、上記遮蔽物がスクラッチ層であることを特徴とするラベル。

【図1】
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【公表番号】特表2007−506122(P2007−506122A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526525(P2006−526525)
【出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005381
【国際公開番号】WO2005/036504
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(303033406)サタ ファルプシュプリッツテクニック ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー (8)