説明

商品販売データ処理装置およびその制御プログラム

【課題】医薬品の客への受け渡しは専用のカウンタで行い、会計は別のレジで行う体系の店のレジでも使用が可能な薬事法対応の商品販売データ処理装置を提供する。
【解決手段】装置は、商品入力部を介して入力されたデータで特定される商品に割り当てられる当該商品の販売が可能な販売資格を示す商品区分を判別する。そして、判別された商品区分と販売員データ記憶部で記憶する販売員の販売資格とから、当該販売員による当該商品の販売が可能か否かを判断し、可能である場合には当該商品の販売データを処理し、不可能である場合には当該商品の販売データを処理しない。若しくは、判別された商品区分により当該商品の販売資格として所定の資格が必要なときにはオペレータに確認を求め、確認操作がなされたことに応じて当該商品の販売データを処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般用医薬品を販売する店舗向けの商品販売データ処理装置およびその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般用医薬品は、薬事法36条の3において第1類医薬品,第2類医薬品、第3類医薬品、指定2類医薬品等の各種リスク区分に分類されている。各リスク区分における規定は、販売に対応すべき専門家や情報提供に関して差異がある。すなわち、第1類医薬品は薬剤師でなければ販売することができない。また、第1類医薬品は販売時において文書による情報提供が義務付けられている。これに対し、第2類医薬品、第3類医薬品及び指定2類医薬品については薬剤師に加えて登録販売者も販売することができる。また情報提供が義務付けられておらず、購入者からの相談があった場合に情報提供を行う。
【0003】
そこで、上記のような薬事法に対応したPOS(Point Of Sales)端末等の商品販売データ処理装置として、第1類医薬品については販売員が薬剤師でないと売上登録できないように制限を持たせたものが知られている。
【0004】
ところで、ドラッグストアのように一般用医薬品を販売する店舗では、医薬品の受け渡しと会計を同じカウンタで行う販売形態と、医薬品の客への受け渡しは専用のカウンタで行い、会計は別のレジカウンタで行う販売形態とがある。前者の場合、第1類医薬品を購入する客に対しては、会計の際に薬剤師が医薬品について説明をする。一方、後者の場合は、専用カウンタで薬剤師が説明をすればよく、会計の際に説明をする必要はない。
【0005】
しかしながら、従来の薬事法対応の商品販売データ処理装置は、第1類医薬品については販売員が薬剤師でないと売上登録できないので、医薬品の客への受け渡しは専用のカウンタで行い、会計は別のレジで行う体系の店のレジでは使用できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−55482号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、医薬品の客への受け渡しは専用のカウンタで行い、会計は別のレジで行う体系の店のレジでも使用が可能な薬事法対応の商品販売データ処理装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一実施形態において、商品販売データ処理装置は、販売員データ記憶部と、商品入力部と、商品区分判別手段と、強制販売処理手段と、簡易販売処理手段とを備える。販売員データ記憶部は、オペレータである販売員が有する販売資格を記憶する。商品入力部は、客が購入する商品を特定可能なデータを入力する。商品区分判別手段は、商品入力部を介して入力されたデータで特定される商品に割り当てられる当該商品の販売が可能な販売資格を示す商品区分を判別する。強制販売処理手段は、商品区分判別手段により判別された商品区分と販売員データ記憶部で記憶する販売資格とから、当該販売員による当該商品の販売が可能か否かを判断し、可能である場合には当該商品の販売データを処理し、不可能である場合には当該商品の販売データを処理しない。簡易販売処理手段は、商品区分判別手段により判別された商品区分により当該商品の販売資格として所定の資格が必要なときにはオペレータに確認を求め、確認操作がなされたことに応じて当該商品の販売データを処理する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態であるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態において、ファイルサーバが管理する商品マスタファイルに蓄積される商品データレコードの要部構成図。
【図3】同実施形態において、ファイルサーバが管理する販売員マスタファイルに蓄積される販売員データレコードの要部構成図。
【図4】同実施形態において、POS端末のCPUが実行する登録業務処理の開始前の要部手順を示す流れ図。
【図5】同実施形態において、POS端末のCPUが実行する登録業務処理の開始後の要部手順を示す流れ図。
【図6】図5におけるステップST18の強制モードによる医薬品売上登録処理の手順を具体的に示す流れ図。
【図7】図5におけるステップST19の簡易モードによる医薬品売上登録処理の手順を具体的に示す流れ図。
【図8】同実施形態において、強制モード選択時における第1類医薬品登録時のポップアップ画面の一例を示す図。
【図9】同実施形態において、簡易モード選択時における第1類医薬品登録時のポップアップ画面の一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、薬事法対応の商品販売データ処理装置の一実施形態として、POS(Point Of Sales)端末に適用した場合を、図面を用いて説明する。
【0011】
なお、本実施形態のPOS端末は、医薬品の受け渡しと会計を同じカウンタで行う販売形態の店と、医薬品の客への受け渡しは専用のカウンタで行い、会計は別のレジカウンタで行う販売形態の店の両方で使い分けを可能とする。すなわち、一般用医薬品を含む商品の販売登録業務の処理モードとして「強制」モードと「簡易」モードとを設定する。そして、「強制」モードが選択された場合には、第1類医薬品については販売員が薬剤師でないと売上登録できないように制限する。一方、「簡易」モードが選択された場合には、上記のような制限を無効とする。
【0012】
図1は、POS端末10の要部構成を示す模式図である。POS端末10は、制御の中枢としてCPU11を搭載している。そして、このCPU11に対し、各種制御プログラムなどの固定的データを格納したROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ハードディスクドライブ(HDD)14、通信インターフェイス15、I/O(Input/Output)ポート16、キーボードコントローラ17、タッチパネルコントローラ18、表示コントローラ19、プリンタコントローラ20及びスキャナインターフェイス21を、例えばPCIバスなどのバスラインを介して接続している。
【0013】
さらに、POS端末10は、I/Oポート16にモードスイッチ22とドロワ23を接続し、キーボードコントローラ17にキーボード24を接続し、タッチパネルコントローラ18にタッチパネル25を接続し、表示コントローラ19に客用のディスプレイ26を接続し、プリンタコントローラ20にレシート印字用のプリンタ27を接続し、スキャナインターフェイス21にスキャナ28を接続している。
【0014】
モードスイッチ22は、「登録」,「精算」,「設定」等の種々の業務のなかからいずれか1業務を選択するためのものである。CPU11は、モードスイッチ22によって選択された業務のプログラムにしたがって各部を制御し、「登録」,「精算」,「設定」等の業務を実行する。因みに、「登録」とは、キーボード24,スキャナ28などの入力デバイスを介して入力される商品固有の商品コードに基づいて、当該コードで識別される商品の販売データを売上メモリに登録処理する業務である。ここに、キーボード24及びスキャナ28は、客が購入する商品を特定可能なデータを入力する商品入力部として機能する。
【0015】
ドロワ23は、釣銭準備金としての現金を収容するためのもので、I/Oポート16を介して出力される駆動信号により自動的に開放する。
【0016】
キーボード24は、数値を置数するための置数キーの他、乗算キー、小計キー、取消キー、現計キー、クレジットキー等の会計に必要なキーを配設したものである。現計キーは、現金支払いによる商取引の締めを宣言するためのキーであり、クレジットキーは、クレジット支払いによる商取引の締めを宣言するキーである。このような現計キーやクレジットキーを総称して締めキーという。
【0017】
タッチパネル25は、オペレータ用のディスプレイとして機能する。売上登録された商品の品名,価格や、1商取引の合計金額,釣銭額等を表示する。また、警告メッセージをポップアップ表示することも可能である。タッチパネル機能を持たない液晶ディスプレイ等をオペレータ用のディスプレイとしても良い。
【0018】
スキャナ28は、バーコードを光学的に読み取る。店舗で販売される商品には、その商品固有の商品コードがバーコード化されて付されており、スキャナ28は、このバーコードの読取りに供される。また、本実施形態では、販売員である店員が、それぞれ自らに割り当てられた固有の販売員コードをバーコード化したバーコードラベルを携帯しており、スキャナ28は、このラベルのバーコード読取りにも供される。なお、スキャナ28は、バーコード以外の光学読取り式コード、例えば二次元データコードを読み取るものであっても良い。
【0019】
POS端末10は、通信インターフェイス15に、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介してファイルサーバ30を接続する。ファイルサーバ30は、少なくとも商品マスタファイル31と販売員マスタファイル32を管理する。
【0020】
商品マスタファイル31は、図2に示すデータ構造の商品データレコード31Rを蓄積する。商品データレコード31Rは、前記商品コードに関連付けて、その商品コードで特定される商品の商品名、単価、カテゴリコード、リスク区分コード等のデータを記録する。カテゴリコードは、店舗で販売される各商品の分類(例えば日用品、医薬品、食品、化粧品等)を識別するもので、本実施形態では、医薬品のカテゴリコードを“99”とする。
【0021】
リスク区分コードは、一般用医薬品に対し、薬事法36条の3において分類される第1類医薬品,第2類医薬品,第3類医薬品,指定第2類医薬品等のリスク区分を識別するもので、本実施形態では、第1類医薬品のリスク区分コードを“1”、第2類医薬品のリスク区分コードを“2”、第3類医薬品のリスク区分コードを“3”、指定第2類医薬品のリスク区分コードを“4”とする。また、医薬品以外の商品については、リスク区分コードを“0”とする。
【0022】
販売員マスタファイル32は、図3に示すデータ構造の販売員データレコード32Rを蓄積する。販売員データレコード32Rは、前記販売員コードに関連付けて、その販売員コードで特定される販売員の氏名、権限コード等のデータを記録する。権限コードは、医薬品の販売に対する権限を識別するもので、本実施形態では、第1類医薬品を販売可能な薬剤師に対する権限コードを“2”、第1類医薬品を除く医薬品を販売可能な登録販売者に対する権限コードを“1”、医薬品の販売が不可能な一般の販売者に対する権限コードを“0”とする。
【0023】
かかる構成のPOS端末10は、RAM13に、前記売上メモリとしての記憶領域の他、モードフラグF1の記憶領域と、販売員データを記憶する販売員メモリ131としての記憶領域(販売員データ記憶部)とを少なくとも形成する。しかしてCPU11は、モードスイッチ22により「登録」業務が選択されると、ROM12に記憶された登録プログラムにしたがって、図4〜図7の流れ図に示す手順の登録業務処理を実行する。
【0024】
先ず、CPU11は、登録業務のモードとして「強制」モードと「簡易」モードのどちらを選択するかをユーザに促すためのモード選択画面をタッチパネル25に表示する(ST1)。この画面は、例えば「強制」と「簡易」の2つのボタン画像を表示する。CPU11は、タッチパネル25を介していずれか一方のボタン画像がタッチ入力されたならば、モードが選択有りと判断する(ST2)。ここで、「強制」ボタン画像がタッチ入力された場合には、「強制」モードが選択されたと判断し、「簡易」ボタン画像がタッチ入力された場合には、「簡易」モードが選択されたと判断する(ST3:モード選択手段)。
【0025】
「強制」モードが選択された場合、CPU11は、前記モードフラグF1を“0”に設定する(ST4)。これに対し、「簡易」モードが選択された場合には、前記モードフラグF1を“1”に設定する(ST5)。しかる後、CPU11は、客が購入する商品の販売データを売上メモリに登録するための登録業務を開始する。
【0026】
図5は、1客に対する登録業務の処理手順を示す流れ図である。CPU11は、販売員登録が行われるのを待機する(ST11)。スキャナ28によって販売員コードのバーコードがスキャニングされると、CPU11は販売員登録有と判定する(ST11のYES)。キーボード24のキー操作によって販売員コードが入力された場合も同様である。CPU11は、その販売員コードでファイルサーバ30に問合せを行う。
【0027】
問合せを受けたファイルサーバ30は、販売員マスタファイル32を検索して問合せのあった販売員コードを含む販売員データレコード32Rを呼び出し、問合せ元のPOS端末10に送信する。
【0028】
CPU11は、ファイルサーバ30から受信した販売員データレコード32Rの販売員氏名,権限コードなどの販売員データを販売員メモリ131に登録する(ST12)。
【0029】
なお、既に販売員メモリ131に販売員データが登録されている場合には、上記ステップST11とST12の処理を省略することかできる。
【0030】
CPU11は、商品が登録されるのを待機する(ST13)。スキャナ28によって商品コードのバーコードがスキャニングされると、CPU11は商品登録有と判定する(ST13のYES)。キーボード24のキー操作によって商品コードが入力された場合も同様である。CPU11は、その商品コードでファイルサーバ30に問合せを行う。
【0031】
問合せを受けたファイルサーバ30は、商品マスタファイル31を検索して問合せのあった商品コードを含む商品データレコード31Rを呼び出し、問合せ元のPOS端末10に送信する。
【0032】
CPU11は、ファイルサーバ30から受信した商品データレコード31Rを解析して、商品名,単価,カテゴリコード,リスク区分コードなどの商品データを取得する(ST14)。取得した商品データは、RAM13の一時バッファに一時的に記憶される。
【0033】
CPU11は、商品データ中のカテゴリコードを調べる(ST15)。そして、一般用医薬品以外のカテゴリコードがであった場合には(ST15のYES)、CPU11は、通常の商品売上登録処理を実行する(ST16)。すなわち、商品の販売点数を“1”とし、単価を販売金額として、商品コード、販売点数及び販売金額を含む商品販売データを売上メモリに登録処理する。
【0034】
一方、一般医薬品のカテゴリコード“99”であった場合には(ST15のNO)、モードフラグF1を調べる(ST17)。モードフラグF1が“0”であった場合には、CPU11は、「強制」モードによる医薬品の売上登録処理を実行する(ST18)。この処理の手順については、図6を用いて後述する。モードフラグF1が“1”であった場合には、CPU11は、「簡易」モードによる医薬品の売上登録処理を実行する(ST19)。この処理の手順については、図7を用いて後述する。
【0035】
ステップST16,ST18またはST19のいずれかの売上登録処理が終了すると、CPU11は、締めキーが入力されたか否か判断する(ST20)。締めキーが入力される前に(ST20のNO)、次の商品登録が行われた場合には(ST13のYES)、CPU11は、前記ステップST14〜ST20の処理を再度実行する。
【0036】
現計キー、クレジットキー等の締めキーが入力されたことを検知したならば(ST20のYES)、CPU11は、釣銭演算,トランザクションデータのHDDへの保存等の登録締め処理を実行する(ST21)。また、プリンタを駆動してレシートを発行する(ST22)。以上で、1商取引に対する登録業務処理を終了する。
【0037】
前記ST18の「強制」モードによる医薬品の売上登録処理手順について、図6の流れ図を用いて説明する。この処理が開始されると、CPU11は、一時バッファに記憶した商品データ中のリスク区分コードを調べる(ST31:商品区分判別手段)。そして、リスク区分コードに応じたポップアップ画面をタッチパネル25に表示させる(ST32)。例えば、リスク区分コードが“2”、つまり第2類医薬品であった場合には、第2類の一般用医薬品であること、お客様に尋ねられたら薬剤師または登録販売者が情報提供を行うことをオペレータに指示する画面を確定ボタン41とともにポップアップ表示する。リスク区分コードが“3”(第3類医薬品)や“4”(指定第2類医薬品)の場合も、ほぼ同様である。
【0038】
一方、リスク区分コードが“1”、つまり第1類医薬品であった場合には、図8に示すように、第1類の一般用医薬品であること、薬剤師がお客様に情報提供を行うことをオペレータに指示する画面40を確定ボタン41とともにポップアップ表示する。
【0039】
ポップアップ画面40が表示されたならば、CPU11は、リスク区分コードが“1”であったか否かを判別する(ST33)。リスク区分コードが“1”以外であった場合(ST33のNO)、CPU11は、販売員メモリ131に登録されている販売員データの権限コードを調べる(ST34)。そして、権限コードが“0”であるか否かを判断する(ST35)。
【0040】
権限コードが“0”以外の場合、つまりPOS端末10のオペレータが医薬品販売可能な薬剤師または登録販売者の場合には(ST35のNO)、CPU11は確定ボタン41がタッチされるのを待機する(ST36)。確定ボタン41がタッチされたならば(ST36のYES)、CPU11は、リスク区分に応じたポップアップ画面40を消去する(ST37)。また、一時メモリに記憶された商品データに基づいて一般用医薬品の販売データを売上メモリに登録処理する(ST38)。
【0041】
これに対し、権限コードが“0”の場合、つまりPOS端末10のオペレータが医薬品販売不可能な一般販売員の場合には(ST35のNO)、CPU11は、販売員登録が行われるのを待機する(ST41)。例えば、スキャナ28によって販売員コードのバーコードがスキャニングされると(ST41のYES)、CPU11は、その販売員コードでファイルサーバ30に問合せを行う。この問合せに応じて、ファイルサーバ30では、問合せのあった販売員コードを含む販売員データレコード32Rが問合せ元のPOS端末10に送信されるので、CPU11は、ファイルサーバ30から受信した販売員データレコード32Rの販売員データを販売員メモリ131に上書きする(ST42)。しかる後、CPU11は、ステップST33の処理に戻る。
【0042】
したがって、ステップST41の処理にて登録された販売員の権限コードが“0”以外であった場合、つまり薬剤師か登録販売者の販売員登録が行われた場合には、ステップST36の処理に進む。そして、確定ボタン41がタッチ入力されると、CPU11は、ポップアップ画面を消去する(ST37)。また、一般用医薬品の販売データを売上メモリに登録処理する(ST38)。
【0043】
一方、ステップST33の処理にてリスク区分コードが“1”であった場合(ST33のYES)、販売員メモリ131に登録されている販売員データの権限コードを調べる(ST39)。そして、権限コードが“2”であるか否かを判断する(ST40)。
【0044】
権限コードが“2”の場合、つまりPOS端末10のオペレータが第1類医薬品の情報提供が可能な薬剤師の場合には(ST40のYES)、CPU11は確定ボタン41がタッチされるのを待機する(ST36)。確定ボタン41がタッチされたならば(ST36のYES)、CPU11は、リスク区分に応じたポップアップ画面を消去する(ST37)。また、一時メモリに記憶された商品データに基づいて第1類医薬品の販売データを売上メモリに登録処理する(ST38)。
【0045】
これに対し、権限コードが“2”以外の場合、つまりPOS端末10のオペレータが第1類医薬品の情報提供ができない登録販売者または一般販売員の場合には(ST40のNO)、CPU11は、販売員登録が行われるのを待機する(ST41)。例えば、スキャナ28によって販売員コードのバーコードがスキャニングされると(ST41のYES)、CPU11は、その販売員コードでファイルサーバ30に問合せを行う。この問合せに応じて、ファイルサーバ30では、問合せのあった販売員コードを含む販売員データレコード32Rが問合せ元のPOS端末10に送信されるので、CPU11は、ファイルサーバ30から受信した販売員データレコード32Rの販売員データを販売員メモリ131に上書きする(ST42)。しかる後、CPU11は、ステップST33の処理に戻る。
【0046】
したがって、ステップST41の処理にて登録された販売員の権限コードが“2”であった場合、つまり薬剤師の販売員登録が行われた場合には、ステップST36の処理に進む。そして、確定ボタン41がタッチ入力されると、CPU11は、ポップアップ画面40を消去する(ST37)。また、第1類医薬品の販売データを売上メモリに登録処理する(ST38)。
【0047】
以上で、「強制」モードによる医薬品の売上登録処理は終了する(強制販売処理手段)。したがって、「強制」モードが選択された場合には、第1類医薬品については、販売員が薬剤師でないと、POS端末10に売上登録ができない。第2類医薬品,第3類医薬品及び指定第2類医薬品については、販売員が薬剤師か登録販売者であれば売上登録ができる。
【0048】
次に、前記ST19の「簡易」モードによる医薬品の売上登録処理手順について、図7の流れ図を用いて説明する。この処理が開始されると、CPU11は、一時バッファに記憶した商品データ中のリスク区分コードを調べる(ST51:商品区分判別手段)。そして、リスク区分コードが“1”であるか否かを判別する(ST52)。
【0049】
リスク区分コードが“1”以外、つまり第1類医薬品以外の一般医薬品であった場合には(ST52のNO)、CPU11は、一時メモリに記憶された商品データに基づいて一般用医薬品の販売データを売上メモリに登録処理する(ST60)。
【0050】
これに対し、リスク区分コードが“1”、つまり第1類医薬品であった場合には(ST52のYES)、CPU11は、図9に示すように、第1類の一般用医薬品であること、薬剤師から説明を受けたかお客様に確認することをオペレータに指示する画面50を確定ボタン51とともにポップアップ表示する(ST53)。
【0051】
しかる後、CPU11は、販売員登録が行われるか(ST54)、確定ボタンがタッチ入力されるのを待機する(ST55)。そして、確定ボタン51がタッチ入力された場合には(ST55のYES)、CPU11は、ポップアップ画面50を消去する(ST59)。また、第1類医薬品の販売データを売上メモリに登録処理する(ST60)。
【0052】
一方、確定ボタン51がタッチ入力されることなく(ST55のNO)、例えば、スキャナ28によって販売員コードのバーコードがスキャニングされた場合には(ST54のYES)、CPU11は、その販売員コードでファイルサーバ30に問合せを行う。この問合せに応じて、ファイルサーバ30では、問合せのあった販売員コードを含む販売員データレコード32Rが問合せ元のPOS端末10に送信されるので、CPU11は、ファイルサーバ30から受信した販売員データレコード32Rの販売員データに含まれる権限コードが“2”であるか否か判別する(ST57)。ここで、権限コードが“2”以外であった場合には(ST57のNO)、CPU11は、ステップ54の処理に戻る。そして、販売員登録が行われるか(ST54)、確定ボタンがタッチ入力されるのを待機する(ST55)。
【0053】
これに対し、権限コードが“2”であった場合には(ST57のYES)、CPU11は、ファイルサーバ30から受信した販売員データレコード32Rの販売員データを販売員メモリ131に上書きする(ST58)。しかる後、CPU11は、ポップアップ画面50を消去する(ST59)。また、第1類医薬品の販売データを売上メモリに登録処理する(ST60)。
【0054】
以上で、「簡易」モードによる医薬品の売上登録処理は終了する(簡易販売処理手段)。したがって、「簡易」モードが選択された場合には、第1類医薬品であっても、薬剤師以外の販売員がPOS端末10に売上登録できる。また、薬剤師が販売員登録を行ってもPOS端末10に売上登録できる。この場合、ポップアップ画面50は,確定ボタン51をタッチ入力せずとも消去される。
【0055】
一方、第2類医薬品,第3類医薬品及び指定第2類医薬品については、医薬品以外の商品と同様にポップアップ画面が表示されることなく誰でも売上登録ができる。
【0056】
このように本実施形態のPOS端末1によれば、一般用医薬品を含む商品の販売登録業務の処理モードとして「強制」モードを選択することによって、医薬品の受け渡しと会計を同じカウンタで行う販売形態の店で使用することができる。その一方で、「簡易」モードを選択することによって、医薬品の客への受け渡しは専用のカウンタで行い、会計は別のレジカウンタで行う販売形態の店で使用することができる。
【0057】
そして、「簡易」モードが選択された際には、「強制」モードが選択された場合と比較して、第1類医薬品以外の医薬品販売の際にポップアップ画面が表示されないので、ポップアップ画面を消去するための確定ボタンのタッチ入力が不要となる。また、第1類医薬品販売の際に薬剤師を販売員登録した場合には、自動的にポップアップ画面50が消去されるので、やはり確定ボタン51のタッチ入力が不要となる。
【0058】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、第1類医薬品を含む一般用医薬品を販売する場合について説明したが、医療用医薬品、高度医薬品、毒物劇物を販売する場合にも、これらは前記実施形態の第1類医薬品と同類であるとみなすことで、前記実施形態をそのまま適用することができる。
【0059】
また、前記実施形態では、確定ボタンをタッチボタンとしたが、キーボード24に配置されるいずれかのキーを確定ボタンと同一機能を持つ操作子として適用しても良い。
【0060】
また、前記実施形態では、登録業務のモードとして「強制」モードと「簡易」モードのどちらかを選択するPOS端末10を例示したが、「簡易」モードだけを有するPOS端末10であっても良い。すなわち、商品入力部(例えばキーボード24,スキャナ28)を介して入力されたデータで特定される商品に割り当てられる当該商品の販売が可能な販売資格を示す商品区分(リスク区分コード)を判別し、この商品区分により当該商品の販売資格として所定の資格が必要なときにはオペレータに確認を求め、確認操作がなされたことに応じて当該商品の販売データを処理する商品販売データ処理装置であっても、医薬品の客への受け渡しは専用のカウンタで行い、会計は別のレジで行う体系の店のレジで使用可能である。
【0061】
なお、前記実施形態は、POS端末10内部のプログラム記憶部であるROM12に発明の機能を実現させる制御プログラムが予め記録されているものとした。しかしこれに限らず、同様のプログラムがネットワークからPOS端末10にダウンロードされてもよい。あるいは、記録媒体に記録された同様のプログラムが、POS端末10にインストールされてもよい。記録媒体は、CD−ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。また、プログラムのインストールやダウンロードにより得る機能は、装置内部のOS(オペレーティング・システム)等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0062】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
10…POS端末、11…CPU、12…ROM、13…RAM、24…キーボード、25…タッチパネル、26…客用ディスプレイ、27…プリンタ、28…スキャナ、30…ファイルサーバ、31…商品マスタファイル、32…販売員マスタファイル、40,50…ポップアップ画面、131…販売員メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータである販売員が有する販売資格を記憶する販売員データ記憶部と、
客が購入する商品を特定可能なデータを入力する商品入力部と、
前記商品入力部を介して入力されたデータで特定される商品に割り当てられる当該商品の販売が可能な前記販売資格を示す商品区分を判別する商品区分判別手段と、
前記商品区分判別手段により判別された前記商品区分と前記販売員データ記憶部で記憶する前記販売資格とから、当該販売員による当該商品の販売が可能か否かを判断し、可能である場合には当該商品の販売データを処理し、不可能である場合には当該商品の販売データを処理しない強制販売処理手段と、
前記商品区分判別手段により判別された前記商品区分により当該商品の販売資格として所定の資格が必要なときにはオペレータに確認を求め、確認操作がなされたことに応じて当該商品の販売データを処理する簡易販売処理手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記簡易販売処理手段は、オペレータに確認を求めるための画面をディスプレイに表示させ、確認操作がなされると前記画面を消去することを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記簡易販売処理手段は、オペレータに確認を求めるための画面をディスプレイに表示させ、所定のキーが入力されるか、当該商品の販売資格を有する販売員を識別するためのコードが入力されると、前記画面を消去することを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項4】
前記強制販売処理手段による販売モードと前記監視販売処理手段による販売モードとのうちのいずれか一方を選択するモード選択手段、をさらに具備し、
前記強制販売処理手段による販売モードが選択されたときには前記強制販売処理手段を実行し、前記監視販売処理手段による販売モードが選択されたときには前記監視販売処理手段を実行することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1に記載の商品販売データ処理装置。
【請求項5】
オペレータである販売員が有する販売資格を記憶する販売員データ記憶部と、
客が購入する商品を特定可能なデータを入力する商品入力部と、
前記商品入力部を介して入力されたデータで特定される商品に割り当てられる当該商品の販売が可能な前記販売資格を示す商品区分を判別する商品区分判別手段と、
前記商品区分判別手段により判別された前記商品区分により当該商品の販売資格として所定の資格が必要なときにはオペレータに確認を求め、確認操作がなされたことに応じて当該商品の販売データを処理する簡易販売処理手段と、
を具備したことを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項6】
客が購入する商品を特定可能なデータを入力する商品入力部を備えたコンピュータに、
オペレータである販売員が有する販売資格を判別する販売資格判別機能と、
前記商品入力部を介して入力されたデータで特定される商品に割り当てられる当該商品の販売が可能な前記販売資格を示す商品区分を判別する商品区分判別機能と、
前記商品区分判別機能により判別された前記商品区分と前記販売資格判別機能により判別される前記販売資格とから、当該販売員による当該商品の販売が可能か否かを判断し、可能である場合には当該商品の販売データを処理し、不可能である場合には当該商品の販売データを処理しない強制販売処理機能と、
前記商品区分判別機能により判別された前記商品区分により当該商品の販売資格として所定の資格が必要なときにはオペレータに確認を求め、確認操作がなされたことに応じて当該商品の販売データを処理する簡易販売処理機能と、
を実現させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−89159(P2013−89159A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−231516(P2011−231516)
【出願日】平成23年10月21日(2011.10.21)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】