説明

商品販売データ処理装置

【課題】 複数の商品販売データ処理装置が接続されたネットワーク上で上位装置を有しない場合でも、ネットワークに接続された他の商品販売データ処理装置の商品販売データを合算処理させる。
【解決手段】 上位装置でないPOS端末装置は、ネットワークに接続されたPOS端末装置のネットワーク上におけるPOS端末装置の装置名を設定し(ST102)、その設定された装置名に対応するPOS端末装置に登録された商品販売データを取得し(ST105からST108)、その取得した商品販売データを合算し(ST109)、合算した商品販売データが示す販売した商品に関する合算レポートを報知する(ST110,ST112)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の商品販売データ処理装置が接続されたネットワークにおいて、上位装置を有しない商品販売データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンビニエンスストア、量販店等の店舗においては、POS(販売時点情報管理)システムを用い、POS端末装置で販売時に販売した商品の登録を行い販売商品の管理を行っている。具体的なシステムでは、例えばPOS端末装置(サテライトPOS)を各売場に配置しておき、これらのPOS端末装置をマスタPOS(POS端末装置の上位装置)とネットワークで接続したものがある。このようなマスタPOSはサテライトPOSからデータを取得できるように必要な設定がなされている。そして、閉局業務、任意のタイミング等に、マスタPOSはサテライトPOSから販売した商品に関する商品販売データを取得し、売上の合算等のデータ処理を行うことにより店舗全体の商品の販売状況等の管理を行っている。
【0003】
なお、各金銭登録機にそれぞれ接続されている自動釣銭機の金種別の収納貨幣枚数を各金銭登録機に伝送回線を介して接続された上位機種で一括集中して確認できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
一方、マスタPOSのような上位装置を有さない商品販売データ処理装置であるPOS端末装置もある。このようなPOS端末装置は、各POS端末装置がネットワークで接続されていたとしても、POS端末装置毎に商品販売データを処理するようになっている。
【特許文献1】特許第2987287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マスタPOSのような上位装置を有さないPOS端末装置が複数ネットワークに接続された店舗において、ユーザは、店舗内の任意のPOS端末装置を操作してネットワークに接続された他のPOS端末装置に登録された商品販売データを合算させた処理、例えば合算レポートのような処理を希望する場合もある。
【0006】
しかしながら、上位装置を有さないPOS端末装置によりシステムが構築された店舗においては、マスタPOSとサテライトPOSからなるPOSシステムのようにマスタPOSで商品販売データを管理するための設定がなされていないため、他のPOS端末装置と商品販売データを合算させる処理をPOS端末装置で行うことができない。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、複数の商品販売データ処理装置が接続されたネットワーク上で上位装置を有しない場合でも、ネットワークに接続された他の商品販売データ処理装置の商品販売データを合算処理することができる商品販売データ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、販売する商品に関する商品販売データを登録し、指定された指示に応じて商品販売データに関する処理を行う商品販売データ処理装置が少なくとも2以上が接続されたネットワークで使用されるとともにネットワークにおいて上位装置を有さない商品販売データ処理装置において、ネットワークに接続された商品販売データ処理装置のネットワーク上における商品販売データ処理装置の装置名を設定し、その設定された装置名に対応する商品販売データ処理装置に登録された商品販売データを取得し、その取得した商品販売データを合算し、合算した商品販売データが示す合算レポートを報知するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、複数の商品販売データ処理装置が接続されたネットワーク上で上位装置を有しない場合でも、ネットワークに接続された他の商品販売データ処理装置の商品販売データを合算処理することができる商品販売データ処理装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係わるネットワーク構成を概略的に示す図である。A店には、POS端末装置1,2が設置されており、B店にはPOS端末装置3,4が設置されている。これらのPOS端末装置1から4は、ネットワーク5を介して通信可能に接続されている。なお、本実施の形態では説明を簡略化するためA店とB店の2つの店、A店にPOS端末装置1,2、B店にPOS端末装置3,4が設置されている場合で説明するが、店舗数やPOS端末装置の台数はこれに限定されるものではない。なお、POS端末装置1から4は、それぞれ商品販売データ処理装置である。
【0011】
POS端末装置1から4は、マスタPOSとサテライトPOSのような階層関係を有するものではなく、それぞれのPOS端末装置1から4にて、登録している販売した商品に関する商品販売データの処理、例えば後述する合算レポート出力処理を行うことができるようになっている。
【0012】
次にPOS端末装置1の要部構成について説明する。なお、POS端末装置2から4の要部構成は同様な構成であるため、POS端末装置1の要部構成についてのみ説明し、POS端末装置2から4については説明を省略する。
【0013】
図2はPOS端末装置1の要部構成を示すブロック図である。POS端末装置1は、制御部本体を構成するCPU11に、POS端末装置として動作するために周知のプログラム、後述する合算レポート出力処理及び商品販売データクリア処理を実行するプログラム等のプログラムを格納したROM12、後述するPOS端末装置名を示すデータ、販売する商品を所定の部門に分けたテーブルを示すデータ、販売した商品に関する商品販売データ、合算レポート出力処理において部門の指定がされた場合にその部門を示すデータ等の各種データを記憶するRAM13、現在の日時を計時する時計部14、I/Oポート15、ネットワークコントローラ16、キーボードコントローラ17、タッチパネルコントローラ18、ディスプレイコントローラ19、プリンタコントローラ20、スキャナインタフェース(I/F)21等をバス接続してなる制御回路を内蔵している。
そして、I/Oポート15にモードスイッチ22とドロワ開放装置23とを接続し、ネットワークコントローラ16にネットワーク5を接続し、キーボードコントローラ17にキーボード24を接続し、タッチパネルコントローラ18にタッチパネル付ディスプレイのタッチパネルセンサ25とディスプレイ26とを接続し、ディスプレイコントローラ19に客用ディスプレイ27を接続し、プリンタコントローラ20にプリンタ28を接続し、スキャナインタフェース21にスキャナ29を接続している。
【0014】
モードスイッチ22は、登録モード、設定モード、点検モード、精算モード等の各種業務モードを選択するためのものである。登録モードは、販売した商品の登録を行うモードである。設定モードは、例えば後述する合算レポート処理を行うときに収集対象となるPOS端末装置名を設定するモードである。点検モードは、1日の売上げの点検や各種設定内容の一覧リストを発行するモードである。精算モードは1日の業務を精算するモードである。ネットワークコントローラ16は、ネットワーク5を通じて行なうデータ通信を制御する。キーボードコントローラ17は、キーボード24から操作されたキーに対応するキー信号を取り込みCPU11に知らせる。タッチパネルコントローラ18は、CPU11からの指令によりディスプレイ26に各種の画面を選択的に表示させるとともに、タッチパネルセンサ25の信号を取り込みタッチ位置座標を求めてCPU11に知らせる。ディスプレイコントローラ19は、表示データに対応した文字等を客用ディスプレイ27に表示させる。プリンタコントローラ20は、プリンタ28によるレシート印字及びジャーナル印字を制御する。スキャナインタフェース(I/F)21は、スキャナ29にてスキャニングされたバーコードデータを入力する。
【0015】
RAM13の一部の領域には、ネットワーク5に接続されているPOS端末装置1から4のPOS端末装置名を示すデータとして、ネットワーク5上におけるPOS端末装置1から4のアドレスを示すデータが記憶される。例えば、POS端末装置1のネットワーク5におけるアドレスである「xxxxxxxx.A店1番」が、POS端末装置1のPOS端末装置名を示すデータとして記憶される。さらに、POS端末装置2から4のネットワーク5におけるアドレスである「xxxxxxxx.A店2番」、「xxxxxxxx.B店1番」、「xxxxxxxx.B店2番」が、POS端末装置2から4のPOS端末装置名を示すデータとしてそれぞれ記憶される。これらのPOS端末装置名を示すデータは、例えば、図3に示すようなテーブルT1に記憶される。図3は、ネットワーク5における自己のPOS端末装置名「xxxxxxxx.A店1番」とネットワーク5に接続された他のPOS端末装置名「xxxxxxxx.A店2番」、「xxxxxxxx.B店1番」、「xxxxxxxx.B店2番」を記憶したテーブルT1である。すなわち、図3に示すように、ネットワーク5における自己のPOS端末装置名(アドレス)と、ネットワーク5に接続している他のPOS端末装置2から4のPOS端末装置名(アドレス)が記憶される。
【0016】
また、RAM13の他の領域の一部には、販売する商品として登録されている商品を所定の部門に分けたテーブルT2が記憶される。図4は、テーブルT2を示す図である。図4に示すように、部門は、「0001」から始まる番号である部門コードとその部門コードに設定された部門名とが対応して記憶される。部門コード「0001」には部門名「雑誌」が対応して記憶されており、部門コード「0002」には部門名「コミック」が対応して記憶されている。なお、図示は省略するが、部門毎に、販売する商品のアイテム名及びそのアイテムの単価等を設定したテーブルも用意されている。図4においては、説明の都合上、部門コード「0001」、「0002」しか示していないが、これら以外の部門コードにも部門名が対応して記憶されており、販売する商品全てに対して部門コードが設定されている。
【0017】
次に登録モードで販売した商品を登録したときに、その登録された商品すなわち販売された商品に関するRAM13に登録される商品販売データについて説明する。図5は商品販売データの一例を示すテーブルT31である。図5に示すように、「部門コード」、「部門名」、「点数」、「値引/割引」、「返品」、「客数」、「金額」を示すエリアに販売された商品を示すデータが登録される。すなわち、商品販売時に、スキャナ29により入力されたバーコードデータやタッチパネルセンサ25で入力されたデータから、その販売された商品の部門コード、部門名が決定される。そして、その決定された部門コード及び部門名に対応する「点数」、「値引/割引」、「返品」、「客数」、「金額」のエリアにそれぞれのデータが登録される。図5では、雑誌が1人の客に1冊ずつ販売され、その2冊の雑誌の合計金額が3,000円で、値引/割引、返品が無かった場合を示しており、部門コード「0001」及び部門名「雑誌」に対応する「点数」のエリアに「2」、「客数」のエリアに「2」、「金額」のエリアに「3000」が登録されており、「値引/割引」のエリア、「返品」のエリアは「0」のままとなっている。
【0018】
なお、RAM13に登録される商品販売データは、POS端末装置1から4でそれぞれ異なるものである。このため、POS端末装置2から4に登録されている商品販売データを示すテーブルT32からT34についてそれぞれ説明する。
【0019】
図6は、POS端末装置2に登録されている商品販売データを示すテーブルT32である。図6では、コミックが1人の客に1冊販売され、その金額が25,000円で、値引/割引、返品が無かった場合を示しており、部門コード「0002」及び部門名「コミック」に対応する「点数」のエリアに「1」、「客数」のエリアに「1」、「金額」のエリアに「25000」が登録されており、「値引/割引」のエリア、「返品」のエリアは「0」のままとなっている。
【0020】
図7は、POS端末装置3に登録されている商品販売データを示すテーブルT33である。図7では、商品が販売されていない場合であり、各部門コード及び部門名に対応する「点数」、「値引/割引」、「返品」、「客数」、「金額」のエリアは、「0」のままである。なお、POS端末装置4はPOS端末装置3と同様に商品が販売されていないため、商品販売データを示すテーブルT34は、上述のテーブルT34と同一であるため図示を省略する。
【0021】
次に、合算レポート出力処理について説明する。合算レポート出力処理は、ネットワーク5に接続されたいずれかのPOS端末装置で、他のPOS端末装置と商品販売データを合算して出力するための処理である。
【0022】
図8は、合算レポート出力処理を示すフローチャートである。ユーザが設定モードで合算レポートの収集対象となるPOS端末装置を設定した後(この設定は、例えば、RAM13に記憶されているPOS端末装置名を呼び出して設定される。)、点検モードで店合計キーが入力されると、CPU11はこの処理を開始する。なお、店合計キーが押される前にユーザは、タッチパネルセンサ25を操作することにより合算レポートの収集対象となる部門を指定できるようになっている。この部門の指定は、例えば、点検モードにおいてタッチパネルセンサ25のキーに予め部門を指定するためのキーを割り当てておき、そのキーを入力した後、部門コードの入力又は部門名を入力することに指定する。
【0023】
CPU11は、合算レポートを実行するか否かの指示、すなわち、点検モードで店合計キーの入力を受け付けたか否かを判断する(ST101)。点検モードで店合計キーの入力を受け付けるまではこの処理は開始されず(ST101でNO)、点検モードで店合計キーの入力を受け付けたと判断すると(ST101でYES)、CPU11は設定モードで設定されたPOS端末装置名を取得し、その取得したPOS端末装置を合算レポートの収集対象として設定する(ST102,装置名設定手段)。
【0024】
設定モードで設定されたPOS端末装置名を取得すると、CPU11は商品販売データを取得するデータの指定はあるか否か、つまり、部門の指定はあるか否かを判断する(ST103)。例えば、CPU11は商品販売データを取得する部門を示すデータがRAM13の所定エリアに格納されているか否かに基づいて判断をする。部門の指定がタッチパネルセンサ25によりなされると、その指定された部門を示すデータがRAM13の所定のエリアに格納される。したがってCPU11は当該所定のエリアに部門を示すデータが格納されていれば部門の指定はあると判断し、当該所定のエリアに部門を示すデータが格納されていなければ部門の指定は無いと判断する。商品販売データを取得する部門の指定があると判断すると(ST103、YES)、CPU11その指定された部門を合算レポートの収集対象として設定する(ST104,データ指定手段)。なお、ST103でNOと判断されると、すなわち、部門の指定が無い場合はステップST104の処理はパスされる。
【0025】
このように、合算レポートの収集対象となるPOS端末装置名(ST103でYESの場合は、さらに部門)の設定がされると、CPU11は設定された全てのPOS端末装置から商品販売データを取得したか否かを判断する(ST105)。
【0026】
このステップST105でNOと判断すると、CPU11は設定されたPOS端末装置名から1つのPOS端末装置名を選択し(ST106)、その選択されたPOS端末装置名が示すネットワーク5上のPOS端末装置と通信を行い、その通信相手であるPOS端末装置のRAM13に登録されている商品販売データを取得する(ST107)。具体的には、POS端末装置1がPOS端末装置2から商品販売データを取得する場合には、POS端末装置1は、POS端末装置2のRAM13のテーブルT32に登録された商品販売データから部門コード「0002」及び部門名「コミック」に対応する「点数」エリアの「1」、「値引/割引」のエリアの「0」、「返品」のエリアの「0」、「客数」のエリアの「2」、「金額」のエリアの「25000」を示すデータを取得する。なお、部門の指定がされていれば、その部門に対応する「点数」、「値引/割引」、「返品」、「客数」、「金額」のエリアに登録されたデータのみが取得される。そして、CPU11は取得した商品販売データをRAM13の所定のエリアに記憶する(ST108)。
【0027】
このようにステップST106で選択したPOS端末装置名が示すPOS端末装置から商品販売データを取得すると、CPU11は再びステップST105の判断を行う。すなわち、合算レポートの収集対象として設定された全てのPOS端末装置から商品販売データの取得をしたか否かを判断する(ST105)。このようにステップST105からST108の処理(商品販売データ取得手段)を繰り返すことにより、合算レポートの収集対象として設定されたPOS端末装置名が示すPOS端末装置の全てから商品販売データを取得することができる。また、合算レポートの収集対象となる商品販売データの部門が指定されている場合には、その指定された部門の商品販売データのみを合算レポートの収集対象として設定されたPOS端末装置名が示すPOS端末装置から取得することができる。
【0028】
一方、ステップST105の判断でYESと判断すると、CPU11はステップST105からST108で取得して、RAMの所定のエリアに記憶している商品販売データを部門毎に合算する処理を行う(ST109,商品販売データ合算手段)。これにより、合算レポートの収集対象となるPOS端末装置から取得した商品販売データを部門に対応させて「点数」、「値引/割引」、「返品」、「客数」、「金額」のエリアごとに合算することができる。具体的には、POS端末装置1から4の合算した商品販売データとして、部門コード「0001」及び部門名「雑誌」に対応する「点数」、「値引/割引」、「返品」、「客数」、「金額」のエリアに「2」、「0」、「0」、「2」、「3000」、部門コード「0002」及び部門名「コミック」に対応する「点数」、「値引/割引」、「返品」、「客数」、「金額」のエリアに「1」、「0」、「0」、「1」、「25000」が算出される。図9は、合算された商品販売データを示すテーブルT4である。なお、この実施の形態においては、ステップST109の合算処理を行うとき、全ての部門の合計金額を算出し、各部門の合計金額が全ての部門の合計金額のなかでどれだけ占有しているかを示す占有率も算出するようになっている。
【0029】
商品販売データの合算処理が終了すると、CPU11は合算した商品販売データを合算レポートしてディスプレイ26に表示する(ST110,商品販売データ報知手段)。このように合算レポートをディスプレイ26に表示すると、CPU11は合算レポートの印字が指示されたか否かを判断する(ST111)。この印字の指示は、例えば、タッチパネルセンサ25で実行キーが入力されたか否かにより判断する。
【0030】
印字の指示がされたと判断すると(ST111でYES)、CPU11は、合算レポートのデータ、合算レポートを印字出力するための印字フォーマットのデータ、時計部14が計時した現在の時刻を示す時刻データ等を取得し、取得した印字フォーマットで印字ができるように印字データを生成し、生成した印字データに基づいて合算レポートの印字を行う(ST112,商品販売データ報知手段)。印字の指示がされない場合は(ST111でNO)、CPU11は合算レポートのディスプレイ26への表示の終了が指示されたか否かを判断する(ST113)。終了の指示がされなければ(ST113でNO)、印字が指示されたか否かを判断するステップST111の処理へ戻る。これにより、合算レポートをユーザに報知することができる。なお、ユーザへの合算レポートの報知はディスプレイ26への表示によるものでも良いし、合算レポートの印字出力により得られた印字出力結果によるものでも良い。終了の指示がなされると(ステップST113でYES)、CPU11はディスプレイ26に表示している合算レポートの表示を消去し(ST114)、CPU11は合算レポート出力処理を終了する。
【0031】
次に、商品販売データクリア処理について説明する。図10は商品販売データクリア処理(商品販売データ保持手段)を示すフローチャートである。
【0032】
CPU11は、開局か否かを判断する(ST201)。この判断は例えば、POS端末装置1の電源スイッチがONとなり、電源が投入されたときに自動的に開局のための処理を行うタイプであれば、その開局処理が終了したか否かに基づいて判断される。開局と判断すると(ST201でYES)、CPU11はRAM13に登録している商品販売データをクリアする(ST202)。すなわち、開局処理が行われた場合にのみ商品販売データがクリアされる。
【0033】
続いて、このようにネットワーク5に接続されたPOS端末装置で合算レポートを出力する場合の作用について説明する。以下では、ユーザがPOS端末装置1を操作して、POS端末装置1に登録されている商品販売データとPOS端末装置2から4に登録されている商品販売データとの合算レポートを出力する場合で説明する。
【0034】
A店に設置されたPOS端末装置1,2、B店に設置されたPOS端末装置3,4の全てのPOS端末装置の合算レポート出力させるために、先ずユーザはPOS端末装置1のモードスイッチ22を設定モードにする。これによりPOS端末装置1を設定モードとなる。POS端末装置1の設定モードにおいて、ユーザは、タッチパネルセンサ25を用いて合算レポートの収集対象となるPOS端末装置の設定を行うことができる。ユーザは、商品販売データの収集対象として、POS端末装置1から4を設定する。図11は、POS端末装置1から4を合算レポートに関する商品販売データの収集対象として設定したときのディスプレイ26の表示例である。POS端末装置1から4のPOS端末装置名がそれぞれ設定されている。
【0035】
ユーザは、合算レポートの収集対象としてPOS端末装置1から4を設定すると、モードスイッチ22を切り替えてPOS端末装置1を設定モードから点検モードに変更する。ユーザは点検モードにおいてPOS端末装置1のタッチパネルセンサ25で店合計キーを押下する。なお、ユーザが商品販売データを収集する部門を指定するときは、店合計キーを押下する前に部門を指定するためのキーを押下した後、部門コード又は部門名を入力する。
【0036】
店合計キーが押下されると、設定モードで設定された合算レポートの収集対象となるPOS端末装置名「xxxxxxxx.A店1番」、「xxxxxxxx.A店2番」、「xxxxxxxx.B店1番」、「xxxxxxxx.B店2番」、すなわちPOS端末装置1から4のそれぞれからRAM13に登録されている商品販売データを取得する。したがって、商品販売データとして、POS端末装置1に登録されている部門コード「0001」及び部門名「雑誌」に対応する「点数」、「値引/割引」、「返品」、「客数」、「金額」のエリアからそれぞれ「2」、「0」、「0」、「2」、「3000」を示すデータを、POS端末装置に登録されている部門コード「0002」及び部門名「コミック」に対応する「点数」、「値引/割引」、「返品」、「客数」、「金額」のエリアからそれぞれ「1」、「0」、「0」、「1」、「25000」を示す商品販売データが取得される。POS端末装置3,4からは全てのエリアが「0」のデータが取得される。このようにPOS端末装置1から4の商品販売データを取得すると、取得した商品販売データを部門ごとに合算し、商品販売データを合算した合算レポートをディスプレイ26に表示する。
【0037】
図12は、ディスプレイ26に表示された合算レポートの表示例を示す図である。図12に示すように、「部門コード」、「部門名」、「占有率」、「客数」、「点数」、「金額」、「値引/割引」、「返品」の項目ごとに取得した商品販売データが合算された合算レポートが表示されるとともに、さらに部門ごとの数字を合算した合計金額が「¥28000」、合計の点数が「3点」、値引/割引が「0点 ¥0」、返品が「0点 ¥0」と表示されている。なお、占有率は総売上げに対する各部門の売上げの割合を示している。このようにユーザはディスプレイ26の表示により、合算レポートを視認することができる。
【0038】
また、ユーザは、合算レポートを印字出力する場合には、タッチパネルセンサ25の印字を実行するための実行キー(図示しない。)を押下する。このように実行キーが押下されると、POS端末装置1は、合算処理した商品販売データ、レシートを印字するための印字フォーマットのデータ、時計部14から取得した現在時刻を示すデータ等に基づいて、プリンタコントローラ20を制御して合算レポートを印字発行する。
【0039】
図13は、このようにして印字発行されたレシート30の例を示す図である。ディスプレイ26に表示された内容と同内容の合算レポートが印字されている。すなわち、「部門コード」、「部門名」、「占有率」、「客数」、「点数」、「金額」、「値引/割引」、「返品」の項目ごとに合算処理された合算レポートのデータに基づいて印字されるとともに、さらに部門ごとの数字を合算した合計金額が「¥28000」、合計の点数が「3点」、値引/割引が「0点 ¥0」、返品が「0点 ¥0」と印字されている。
【0040】
この実施の形態のPOS端末装置1は、ネットワーク5上でPOS端末装置2から4の商品販売データを管理する機能を有するマスタPOSのような上位装置ではないが、POS端末装置1から4をPOS端末装置名で指定することにより、RAM13に登録されている自己の商品販売データと、POS端末装置2から4それぞれから取得したPOS端末装置2から4にそれぞれ登録されている商品販売データとを合算させる処理をして合算レポートを作成し、その合算レポートをユーザに報知することができる。
【0041】
したがって、ネットワーク5上で上位装置を有さない場合でも、ネットワーク5に接続されたPOS端末装置から合算レポートの収集対象として設定したPOS端末装置の商品販売データを合算させることができユーザの利便性を向上させることができる。
【0042】
また、合算レポートの処理を開始する店合計キーを押下する前に、部門を指定することにより、合算レポートの収集対象として設定したPOS端末装置から、指定した部門の商品販売データのみを合算処理した合算レポートを作成することができる。このように部門に絞って合算レポートを算出することができるため、ある部門についての販売状況等を確認したい場合に大変便利である。
【0043】
また、POS端末装置1は、ネットワーク5で接続されているとともにPOS端末装置名を指定できのであれば、店舗Aと店舗Bのように、異なる店舗間でも商品販売データを合算処理し、合算レポートを作成することができる。
【0044】
さらに、POS端末装置1は、開局までRAMに登録された商品販売データをクリアしない。すなわち、POS端末装置1は、合算レポートの収集対象となっており、商品販売データを出力してもRAM13に登録された商品販売データをクリアされずにデータを保持することができる。
【0045】
さらに、図4の説明時に述べたように、各部門は、さらに販売する商品であるアイテム毎に管理されている。このため、RAM13に登録する商品販売データもアイテム毎に登録しておくことも可能である。このように商品販売データをアイテム毎に登録しておくことにより、POS端末装置1は、点検モードで店合計キーを押下する前に、アイテムを指定すれば、アイテムを指定した合算レポートを作成することもできる。アイテムの指定は、例えば、アイテムを指定するためのキーをタッチパネルセンサ25に割り付けておき、そのキーが入力された後アイテムを指定できるようにすれば良い。
【0046】
なお、本発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態におけるネットワーク構成を概略的に示す図。
【図2】同実施の形態におけるPOS端末装置の要部構成を示すブロック図。
【図3】同実施の形態におけるPOS端末装置名を説明するための図。
【図4】同実施の形態における部門コードと部門名との対応関係を示す図。
【図5】同実施の形態における商品販売データの一例を示すテーブル。
【図6】同実施の形態における商品販売データの一例を示すテーブル。
【図7】同実施の形態における商品販売データの一例を示すテーブル。
【図8】同実施の形態における合算レポート出力処理を示すフローチャート。
【図9】同実施の形態における合算された商品販売データの一例を示すテーブル。
【図10】同実施の形態における商品販売データクリア処理を示すフローチャート。
【図11】同実施の形態における合算レポート出力の対象となるPOS端末装置名の設定画面例を示す図。
【図12】同実施の形態における合算レポートの表示例を示す図。
【図13】同実施の形態における合算レポートの印字例を示す図。
【符号の説明】
【0048】
1から4…POS端末装置,11…CPU,12…ROM,13…RAM,26…ディスプレイ,30…合算レポート印字出力結果,T1,T2,T31,T32,T33,T34,T4…テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売する商品に関する商品販売データを登録し、指定された指示に応じて前記商品販売データに関する処理を行う商品販売データ処理装置が少なくとも2以上が接続されたネットワークで使用されるとともに前記ネットワークにおいて上位装置を有さない商品販売データ処理装置において、
前記ネットワークに接続された商品販売データ処理装置の前記ネットワーク上における商品販売データ処理装置の少なくとも2以上の装置名を設定する装置名設定手段と、
前記装置名設定手段で設定された装置名に対応する商品販売データ処理装置に登録された商品販売データを取得する商品販売データ取得手段と、
前記商品販売データ取得手段で取得した商品販売データを合算する商品販売データ合算手段と、
前記商品販売データ合算手段で合算した商品販売データが示す合算レポートを報知する商品販売データ報知手段とを具備することを特徴とする商品販売データ処理装置。
【請求項2】
前記商品販売データのうちから所定のデータを指定するデータ指定手段をさらに具備し、
前記商品販売データ取得手段は、前記装置名設定手段で設定された装置名に対応する商品販売データ処理装置で、かつ、前記データ設定手段で指定されたデータのみを取得することを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。
【請求項3】
前記登録される商品販売データを、前記商品販売データ合算手段で商品販売データを合算したか否かにかかわらず、次回の開局時まで保持する商品販売データ保持手段をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の商品販売データ処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−4559(P2007−4559A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−184946(P2005−184946)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】