説明

商品販売登録データ処理装置及び制御プログラム

【課題】販売価格が原価割れしている場合に、原価で販売できるようにする。
【解決手段】販売価格が原価を下回る場合には、CPU4は、単品マスタファイル18から読み出した商品データ中の上位マスタ参照フラグを調べる。上位マスタ参照フラグの値が“1”であれば、CPU4は、単品マスタファイル18から読み出した商品データ中の部門コードに対応する商品データを、上位構成商品マスタファイル19から読み出す。そして、この上位構成商品マスタファイル19から読み出した商品データ中の原価割フラグの値を調べ、原価割フラグの値が“1”である場合、CPU4は、販売価格を原価に変更して、原価を販売価格メモリ20に記憶する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子式キャッシュレジスタやPOS(販売時点情報管理)ターミナル等の商品販売登録データ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の商品販売登録データ処理装置は、スキャナやキーボード等の単品コード入力手段を備え、各単品コードに対応して該当商品の単価等の商品データを設定した単品ファイルから、前記単品コード入力手段によって入力した単品コードに対応する単価を読出して販売価格とし、この商品販売データを売上登録処理するものとなっていた。
【0003】
また、商品販売登録データ処理装置は、商品の値引に対応できるように、値引額や割引率を入力する値引情報入力手段を備え、この値引情報入力手段により販売商品の値引情報が入力されると、上記単品ファイルから読出した該当商品の単価を値引演算して販売価格を算出していた。そして、仮にオペレータの入力した値引額や割引率が大きすぎて、販売商品の販売価格がその商品の原価を下回った場合、警告が発せられていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、販売商品の販売価格がその商品の原価を下回った商品を販売する場合、その商品の原価を下回った販売価格で販売するしかなかった。
【0005】
本発明は、上記のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、販売価格が原価割れしている場合に、原価で販売できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の商品販売登録データ処理装置は、商品識別情報毎に商品情報を記憶し、入力手段により商品識別情報が入力されると商品情報を読み出して商品登録を行う商品登録装置において、前記商品情報に各商品の原価を含み、商品識別情報が入力された販売商品の販売価格と当該商品の原価とを比較し、販売価格が原価を下回るとき、前記販売価格を原価に設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、販売価格が原価割れしている場合に、原価で商品販売登録できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態のPOSシステムの構成図
【図2】同POSシステムを構成するPOS端末の構成図
【図3】図2における単品マスタファイルの説明図
【図4】図2における上位商品構成マスタファイルの説明図
【図5】同POS端末が実行する売上げ登録動作を示すフロー図
【図6】同POSシステムを構成するPOSサーバの構成図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施の一形態を図1ないし図6に基づいて説明する。ここで、図1 はPOSシステムの全体構成を概略的に示すシステム構成図である。図1に示すように、各店舗に設けられるPOSシステムは、商品販売データ処理装置である複数台のPOS端末1と、これらのPOS端末1をLAN等のネットワーク3によって接続して、各POS端末1から送信された売上げ登録データを集計する売上登録データ集計装置であるPOSサーバ2とで構成されている。
【0010】
図2はPOS端末1の要部構成を示すブロック図であって、制御部本体としてCPU4を搭載している。また、起動プログラム等を格納するROM5、売上バッファや印字バッファ等の各種バッファを構成して各種データを書き換え自在に格納するワークエリアとして機能するRAM6、CPU4を動作させる制御プログラム等が記憶されたHDD7、時計回路8、通信コントローラ9、キーボードコントローラ10、表示部コントローラ11、プリンタコントローラ12及びスキャナコントローラ13等の各部を備えている。
【0011】
HDD7は、更に、単品マスタファイル18、上位商品構成マスタファイル19、売上げ登録する際に使用する販売価格を記憶する販売価格メモリ20や1取引の商品販売データを蓄積記憶する売上げ登録データファイル21を記憶管理している。ここで、図3は単品マスタファイル18を模式的に示す説明図である。単品マスタファイル18は、各商品の単品コードに対応して、部門コードと商品名、単価、原価、原価割フラグ、上位マスタ参照フラグを含む商品データを記憶保持するデータファイルである。原価割フラグは、原価割れをさせない場合は“1”、原価割れを許可する場合は“0”と設定する。また、上位マスタ参照フラグは、上位商品構成マスタファイル19を参照する場合は“1”、参照しない場合は“0”と設定する。
【0012】
図4は上位商品構成マスタファイル19を模式的に示す説明図である。上位商品構成マスタファイル19は、分類識別情報である部門コードに対応して、部門名と原価割フラグを含む商品データを記憶保持するデータファイルである。原価割フラグは、原価割れをさせない場合は“1”、原価割れを許可する場合は“0”と設定する
【0013】
図2の通信コントローラ9は、ネットワーク3を介して接続されたPOSサーバ2とのデータ通信を制御する。キーボードコントローラ10は、置数キー、値引キー、割引キー等の各種キーを配設して入力手段として機能するキーボード14の操作キーに対応したキー信号を取込む。表示コントローラ11は、販売登録された商品の名称や販売価格や合計金額等を表示出力するLCD等の表示部15に対する画面表示を制御する。プリンタコントローラ12は、POS端末1に内蔵されたプリンタ16によるレシート印字を制御する。スキャナコントローラ13は、バーコード等を光学的に読取って入力手段として機能するスキャナ17の読取動作を制御する。
【0014】
かかるPOS端末2は、前記CPU4が図5の流れ図に示す処理手順に従い各部を制御して客買上商品の登録業務を処理するようにHDD7内の制御プログラムを構成している。CPU4は、ST(ステップ)1として客買上商品の商品識別情報として単品コードが入力されたか否かを調べる。因みに、このPOS端末1では、単品コードの入力手段として、バーコード化された単品コードをスキャナ17により読取り入力する方法と、キーボード14の置数キーで単品コードを入力する方法がある。単品コードが入力された場合、CPU4は、入力された単品コードに対応した商品データを、単品マスタファイル18から読み出す。そして、CPU4は、ST2として、単品マスタファイル18から読み出した商品データ中の単価を販売価格メモリ20に記憶する。
【0015】
次に、CPU4は、ST3として客買上商品について値引情報が入力されたか否かを調べる。 因みに、このPOS端末1では、値引情報の入力手段として、キーボード14の値引キーを入力した後、置数キーにより値引額を入力する方法と、割引キーを入力した後、置数キーにより割引率を入力する方法、割引券や値引き券によってバーコード化された値引金額、値引率をスキャナ17により読取り入力する方法がある。値引情報が入力された場合、CPU4は、ST4として、値引額のときには、販売価格メモリ20に記憶した販売価格から値引額を減額した販売価格を求め、減額した販売価格を販売価格メモリ20に記憶する。 割引率のときには、販売価格メモリ20に記憶した販売価格に割引率を乗じて値引額を算出し、前記販売価格からこの値引額を減額した販売価格を販売価格メモリ20に記憶する(販売価格取得手段)。
【0016】
値引情報が入力されない場合、CPU4は、ST11として販売価格メモリ20に記憶した販売価格、すなわち単品マスタファイル18から読み出した単価を使用して、客買上商品について売上げ登録処理を実行し、この売上げ登録データを売上げ登録ファイル21に記憶する。
【0017】
次に、CPU4は、ST5として上記販売価格メモリ20の販売価格、すなわち減額した販売価格と単品マスタファイル18から読み出した商品データ中の原価とを比較する。そして、販売価格が原価以上の場合には、CPU4は、ST11として販売価格メモリ20に記憶された販売価格を使用して、客買上商品について売上げ登録処理を実行し、この売上げ登録データを売上げ登録ファイル21に記憶する。
【0018】
販売価格が原価を下回る場合には、CPU4は、ST6として、単品マスタファイル18から読み出した商品データ中の上位マスタ参照フラグに設定された値を調べる。上位マスタ参照フラグの値が“1”であれば、CPU4は、ST9として、単品マスタファイル18から読み出した商品データ中の部門コードに対応する商品データを、上位構成商品マスタファイル19から読み出し、この上位構成商品マスタファイル19から読み出した商品データ中の原価割フラグの値を調べる。原価割フラグの値が“1”である場合、CPU4は、ST10として、販売価格を原価に変更して、原価を販売価格メモリ20に記憶する(原価設定手段)。 そして、CPU4は、ST11として、販売価格メモリ20に記憶された販売価格、すなわち原価を使用して客買上商品について売上げ登録処理を実行し、この売上げ登録データを売上げ登録ファイル21に記憶する。一方、原価割フラグの値が“0”である場合、CPU4は、ST11として販売価格メモリ20に記憶された販売価格、すなわち原価割れした販売価格を使用して、客買上商品について売上げ登録処理を実行し、この売上げ登録データを売上げ登録ファイル21に記憶する。
【0019】
単品マスタファイル18から読み出した商品データ中の上位マスタ参照フラグが“0”であれば、CPU1は、ST7として、当該商品データ中の原価割フラグの値を調べる。原価割フラグが“1”である場合、CPU4は、ST8として、販売価格を原価に変更して、原価を販売価格メモリ20に記憶する(原価設定手段)。 そして、CPU4は、ST11として、販売価格メモリ20に記憶された販売価格、すなわち原価を使用して客買上商品について売上げ登録処理を実行し、この売上げ登録データを売上げ登録ファイル21に記憶する。一方、原価割フラグの値が“0”である場合、CPU4は、ST11として販売価格メモリ20に記憶された販売価格、すなわち原価割れした販売価格を使用して、客買上商品について売上げ登録処理を実行し、この売上げ登録データを売上げ登録ファイル21に記憶する。
【0020】
以上説明したように、値引・割引によって販売価格変更した場合に、その変更した販売価格が原価割れしていても、原価で商品販売登録できるため、売上げロスを低減することができる。原価割れ販売をさせるかどうかの原価割れ販売方法の設定は、単品マスタファイル18と上位商品構成マスタファイル19に保持し、かつ単品毎にどちらのマスタファイルを参照するか単品毎に設定される。そのため、上位商品構成単位、例えば部門単位で原価割れ販売方法の設定ができ、更に、同じ部門でも一部の単品については、単品マスタファイルで設定された販売方法を参照することもできる。
【0021】
なお、この発明は前記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。例えば図6に示すように、POSサーバ2に、単品マスタファイル18、上位商品構成マスタファイル19を記憶させることもできる。この場合、単品マスタファイル18の上位マスタ参照フラグと原価割フラグの設定及び上位商品構成マスタファイル19の原価割フラグの設定を、POSサーバ2で行う。そして、POS端末1は、例えば営業終了後、通信コントローラ9及びネットワーク3を介して、POSサーバ2から単品マスタファイル18、上位商品構成マスタファイル19に設定された設定データを受信し、HDD7に記憶した単品マスタファイル18、上位商品構成マスタファイル19の設定データを、受信した設定データに更新するようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、電子式キャッシュレジスタやPOS(販売時点情報管理)ターミナル等の商品販売登録データ処理装置に関する。
【符号の説明】
【0023】
1 POS端末
2 POSサーバ
3 ネットワーク
4 CPU
5 ROM
6 RAM
7 HDD
8 時計回路
9 通信コントローラー
14 キーボード
17 スキャナ
18 単品マスタファイル
19 上位構成商品マスタファイル
20 販売価格メモリ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0024】
【特許文献1】特開平09−319969号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品識別情報毎に商品の原価等の商品情報を記憶し、入力手段により商品識別情報が入力されると商品情報を読み出して商品登録を行う商品登録装置において、商品識別情報が入力された販売商品の販売価格と当該商品の原価とを比較し、販売価格が原価を下回るとき、前記販売価格を原価に設定することを特徴とする商品販売登録データ処理装置。
【請求項2】
各商品に設定された商品識別情報に対応して該当商品の単価、原価等の商品データを予め記憶した第1のデータファイルを有し、入力手段により販売商品の商品識別情報が入力されると、前記データファイルから入力商品識別情報に対応する商品データを読出し、この商品データ中の単価に基づいて販売価格を取得して前記販売商品の売上げ登録処理する商品販売登録データ処理装置において、前記入力手段により商品識別情報が入力された販売商品の販売価格と前記データファイルに記憶した原価とを比較する金額比較手段と、この金額比較手段による比較の結果販売価格が原価を下回るとき、前記販売価格を原価に設定する設定手段を設けたことを特徴とする商品販売登録データ処理装置。
【請求項3】
前記第1のデータファイルに記憶する商品データに、該当商品の原価割れ販売をさせるかどうかを識別する識別情報を含み、前記識別情報が原価割れの販売をさせる識別情報である場合に、前記設定手段は前記販売価格を原価に設定することを特徴とする商品販売登録データ処理装置。
【請求項4】
各商品を分類する分類識別情報に対応して該当分類名とその分類に属する商品の原価割れ販売をさせるかどうかを識別する識別情報を含む商品データを予め記憶してなる第2のデータファイルを更に有し、前記設定手段は、前記第1のデータファイルまたは前記第2のデータファイルに記憶された商品データに含まれる原価割れ販売をさせるかどうかを識別する識別情報のいづれかを参照し、原価割れの販売をさせる識別情報である場合に、前記販売価格を原価に設定することを特徴とする商品販売登録データ処理装置。
【請求項5】
前記第1のデータファイルに記憶する商品データに、第2のデータファイルを参照するかどうかを識別する識別情報を含み、前記識別情報が原価割れの販売をさせる識別情報である場合に、前記設定手段は、前記第2のデータファイルに記憶された分類に属する商品の原価割れ販売をさせるかどうかを識別する識別情報識別情報を参照し、原価割れの販売をさせる識別情報である場合に、前記設定手段は前記販売価格を原価に設定することを特徴とする商品販売登録データ処理装置。
【請求項6】
商品識別情報毎に商品の原価等の商品情報を記憶し、入力手段により商品識別情報が入力されると商品情報を読み出して商品登録を行う商品登録装置のコンピュータを、
商品識別情報が入力された販売商品の販売価格と当該商品の原価とを比較する比較手段と、販売価格が原価を下回るとき前記販売価格を原価に設定する設定手段として機能させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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