喉頭マスク気道装置
【課題】患者の声門開口部へ気道通路を確保するための喉頭マスク気道装置を提供する。
【解決手段】気道装置1は、気道チューブ2と、気道チューブ2に取り付けられたマスク3と、を具備し、マスク3は、遠位端および近位端を有する本体4と周辺膨張可能なカフ7とを具備し、気体用の出口を画成し、マスク3は、チューブ2とマスクとの間の気体連通のために気道チューブ2に接続されており、マスクの遠位端は、近位端に対して、腹部側に変位している。
【解決手段】気道装置1は、気道チューブ2と、気道チューブ2に取り付けられたマスク3と、を具備し、マスク3は、遠位端および近位端を有する本体4と周辺膨張可能なカフ7とを具備し、気体用の出口を画成し、マスク3は、チューブ2とマスクとの間の気体連通のために気道チューブ2に接続されており、マスクの遠位端は、近位端に対して、腹部側に変位している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、喉頭マスク気道装置に関する。
【背景技術】
【0002】
喉頭マスク気道装置は、意識不明の患者に気道を確立するのに有用な周知の装置である。米国特許第4,509,514号は、喉頭マスク気道装置を説明する多くの公報の1つである。そのような装置は、長年の間使用されてきており、より古いよりよく知られてさえいる気管内チューブに対する代案を提供する。少なくとも70年の間、チューブの遠位端に配置された膨張可能なバルーンを備えた長く細いチューブを具備する気管内チューブが、意識不明の患者に気道を確立するために使用されてきている。操作において、気管内チューブの遠位端は、患者の口を通って挿入され、患者の気管を過ぎる。ひとたびそのように位置決めされると、バルーンは、気管の内側裏層で封止を形成するように膨張する。この封止が確立した後に、正の圧力がチューブの近位端に加えられ、患者の肺を通気してもよい。また、バルーンと気管の内側裏層との間の封止が、肺を吸引から保護する(たとえば、封止は、胃から逆流した物質が患者の肺内に吸引されるのを防止する)。
【0003】
気管内チューブは、非常に成功しているが、数種類の主な不利点がある。気管内チューブの第1の不利点は、チューブを適切に挿入することの困難さに関係する。気管内チューブを患者内に挿入することは、高度のスキルを必要とする手順である。また、熟練した医者でさえ、気管内チューブの挿入は、困難であるかまたは可能でないこともある。多くの場合、気管内チューブを挿入することの困難さは、悲劇的なことに患者の死を招くが、それは、十分速く患者に気道を確立することができなかったからである。また、気管内チューブを挿入することは、通常、患者の頭部および頚部を動かすことを必要とし、さらに、患者の顎を強制的に広く開くことを必要とする。これらの必要な操作は、頸部損傷を受けているかもしれない患者内に、気管内チューブを挿入することを困難にするかまたは望ましくないものにする。
【0004】
気管内チューブとは対照的に、喉頭マスク気道装置を患者内に挿入し、それによって気道を確立することは、比較的容易である。また、喉頭マスク気道装置は、不適当に挿入された場合でさえ依然として気道を確立する傾向があるという点で、「寛大な」装置である。それに応じて、喉頭マスク気道装置は、「救命」装置と考えられることが多い。また、喉頭マスク気道装置は、患者の頭部、頚部および顎を比較的小さく動かすだけで挿入されてもよい。さらに、喉頭マスク気道装置は、気管の敏感な内側裏層に接触する必要なく患者の肺への通気を提供し、確立された気道のサイズは典型的に、気管内チューブで確立された気道のサイズよりもかなり大きい。また、喉頭マスク気道装置は、気管内チューブと同一程度に咳に干渉しない。主にこれらの利点のため、喉頭マスク気道装置は、近年では、ますます人気を博している。
【0005】
米国特許第5,303,697号および第6,079,409号には、「挿管喉頭マスク気道装置」と称されてもよい先行技術の装置の例が記載されている。
【0006】
挿管装置は、気管内チューブの挿入を容易にするのに有用であるという追加利点を有する。挿管喉頭マスク気道装置が患者に位置した後に、装置は、その後に挿入される気管内チューブ用のガイドとして作用することができる。このように喉頭マスク気道装置を使用することは、一般に気管内チューブの「ブラインド挿入」として知られていることを容易にする。挿管喉頭マスク気道装置を挿入するために必要なのは、患者の頭部、頚部および顎をわずかに動かすことだけであり、ひとたび装置が患者に位置すると、気管内チューブは、実質的に患者をさらに動かすことなく挿入されてもよい。これは、挿管喉頭マスク気道装置の補助なしで気管内チューブが挿入される場合に必要である患者の頭部、頚部および顎の比較的大きな動きとは対照的に、有効である。さらに、これらの装置は、患者の頭部および頚部を中立位置から動かすことなくいずれのユーザ位置から片手で挿入することを可能にし、また、指を患者の口に挿入することなく適所に置くこともできる。最後に、これは、独自に、挿管を試みる間に通気制御および患者酸素供給を継続することを可能にし、それによって脱飽和の可能性を少なくする気道装置である装置であるという点で独特であると思われる。
【0007】
示された性格の人工的な気道装置は、米国特許第4,509,514号、米国特許第5,249,571号、米国特許第5,282,464号、米国特許第5,297,547号、米国特許第5,303,697号の開示によって、および、英国特許第2,205,499号の開示によって、例証されている。胃の排出ドレナージを追加して設けたような装置は、米国特許第4,995,388号(図7〜10)、米国特許第5,241,956号および米国特許第5,355,879号によって、例証されている。
【0008】
一般に、喉頭マスク気道装置は、肺の十分以上の通気を確実にするような断面の気道チューブを提供することを目的としており、胃のドレナージを設けた設計は、比較的複雑な内側接続によって特徴づけられており、断面は、実質的な固体が胃の排出に呈することができる困難な状況に作用するように計算されている。結果として、下咽頭の直接作用に適用可能なマスクの遠位端に胃の排出開口を設けることは、そのようなマスクが、かさばり過度に固くなる傾向になり、したがって、マスクを適切に挿入するのが困難になる。さらに、過度にかさばり固くなることは、喉頭蓋および咽頭の他の自然の構造物に外傷的に遭遇するのを確実に回避するやり方で、挿入時に患者の喉の後部湾曲を追跡するための遠位柔軟性の必要要件とは正反対である。
【0009】
これらの先行技術の種類の装置のすべてで、多数の問題が経験されている。たとえば、いくつかの先行技術の装置は、患者の生体構造の一部たとえば喉頭蓋によって気道出口が閉塞するのを、出口を横切ってバー等を設けることによって、防止することを求めている。そのような装置は大半の場合にはよく機能するが、製造をより複雑にする可能性があり、使用の際に装置の性能に影響を与える可能性がある。これは、より伝統的な液状シリコーンゴム(Liquid Silicon Rubber)(LSR)とは対照的に、PVC等の比較的剛性のある材料から形成された装置では特にそうである。
【0010】
一般に、PVC等の材料から形成された装置は、作るのに安価であり、「単回使用」装置として経済的に提供することができるため、魅力的である。しかし、PVCおよびPVC接着剤には重要な相違があり、たとえば、LSRと比較してデュロメーター硬さが増加することであり、これは、使用の際に装置がどのように機能するかに影響を与える。たとえば、所与の容量の空気で、LSRカフは、匹敵するPVCカフよりも大きなサイズに膨張する。この優れた弾性のため、LSRカフは、減少した粘膜圧力で、生体構造的に優れた封止を提供することができる。性能ギャップに近づけるために、PVCカフは、壁厚を減少しなければならない。しかし、壁厚が減少したPVCカフは、収縮して挿入用に準備されると、気道チューブを通ってカフ遠位先端への挿入力の移送を適切に吸収することが
できないため、不良屈曲反応を被る。カフアセンブリは、屈曲性能を保存する厚さへ収縮しなければならず、すなわち、喉頭蓋の向斜に抵抗するが、膨張し、そのため、0.4mm以下のカフ壁厚が申し分のない封止を形成する。マスクのバックプレートが、カフ同様、PVCから形成される場合には、PVCの増加するデュロメーター硬さが屈曲性能に反比例するという事実(ヒステリシス)は、装置の屈曲性能が、変形における反応、応答および回復の観点から、匹敵するLSR装置に劣るということを意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の問題は、食道ドレーンを組み込む装置では、特に深刻である。上述のように、いずれのそのような装置において、それが形成される材料とは無関係に、食道ドレーンをそれ自体に加えることは、製造の複雑さをかなり加え、挿入の容易さ、封止形成および吸入の防止の観点から、装置の性能に影響を与える可能性がある。これらの問題は、PVCまたは同様に機能する材料が使用される場合には、さらに悪化する可能性がある。たとえば、製造の観点から、気道から封止され且つ膨張可能カフを通って進まなければならないドレーンチューブを提供する必要性が、特に困難な問題を課すことを、当業者は認識している。機能性に関する効果の観点から、ドレーンチューブを設けることは、マスク先端区域に受け入れることができない硬化および気道通路の閉塞/制限を生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にしたがって、患者の声門開口部へ気道通路を提供するために患者に挿入するための喉頭マスク気道装置を作る方法が提供され、装置は、気道チューブと該気道チューブに取り付けられるマスクとを具備し、前記マスクは、遠位端および近位端を有する本体と周辺膨張可能なカフとを含むと共に気体用の出口を画成し、且つ前記マスクとチューブの間の気体連通のために該気道チューブに接続され、
マスクの遠位端部は、近位端部に対して、腹部側に変位している。驚くべきことに、先端が気道生体構造の湾曲のまわりを追跡するときに最適な角度で呈されるため、先端部の腹部変位は、マスクの挿入をかなり容易にすることがわかった。
遠位変位の程度は、5mm〜20mmであることが好適であり、遠位変位の程度は、約10mmであることが最も好適である。これが最適な範囲であることがわかった。変位の程度が大きすぎる場合には、装置は、挿入の最大程度で正しい位置にないことがわかった。
本体は、その近位端から遠位端へ実質的に凸状カーブを描くことが好適である。マスク本体はプレートを具備し、プレートは背側部および腹側部を有し、背側部は実質的に滑らかであり、その幅にわたって凸状湾曲を有することがさらに好適である。気道チューブの背部表面は、湾曲が、プレートの幅にわたった湾曲に対応することもまた好適である。これらの措置のすべては、マスクをより容易に挿入するのを補助する。
気道チューブは、マスク本体よりも、比較的剛性な材料を具備することが好ましい。気道チューブおよびマスク本体の両方が、プラスチック材料を具備することが好ましい。
装置は、食道ドレーンチューブをさらに含んでもよく、食道ドレーンチューブは、背側部に滑らかなプロファイルを維持し挿入をより容易にするために、本体の腹側部に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にしたがった装置の背部4分の3の斜視図である。
【図2】図1の装置の右側面図である。
【図3】図1の装置の背面図である。
【図4】図1の装置の腹面図である。
【図4a】本発明にしたがった装置のさらなる実施形態の腹面図である。
【図5】図1の装置の近位端から遠位端へ向かって見ている、端面図である。
【図6】図1の装置のマスクの遠位端から近位端へ向かって見ている、端面図である。
【図7】図1の装置のマスクの拡大図である。
【図8】図4aの装置の背面図である。
【図9】図8の線Y−Yに沿った長手方向断面図である。
【図10】図4aの装置の拡大側面図である。
【図11】図10の線A−A〜K−Kに沿った横方向断面図である。
【図12】本発明にしたがった装置の分解背部斜視図である。
【図13】本発明にしたがった装置の分解腹部斜視図である。
【図14】本発明にしたがった装置の背部4分の3の斜視図である。
【図15】図14の装置の右側面図である。
【図16】図14の装置の背面図である。
【図17】図14の装置の腹面図である。
【図18】図14の装置のマスクの近位端から遠位端へ向かって見ている、端面図である。
【図19】図14の装置のマスクの遠位端から近位端へ向かって見ている、端面図である。
【図20】図14の装置の背部4分の3の斜視図である。
【図21】図20のセクションCC−CCの図である。
【図22】図17のセクションVC−VCの図である。
【図23】図14の装置の部品の近位端面図である。
【図24】図14の装置の部品の遠位端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、図面を参照して例としてさらに説明される。
図面を参照すると、患者の声門開口部へ気道通路を提供するために患者に挿入するための喉頭マスク気道装置1が例示され、装置1は、気道チューブ2と、気道チューブ2に取り付けられたマスク3と、を具備し、マスク3は、遠位端5および近位端6を有する本体4と周辺膨張可能カフ7とを具備し、気体用の出口8を画成し、マスク3は、チューブ2とマスクとの間の気体連通のために気道チューブ2に接続されており、マスクの遠位端部が近位端部に対して、腹部側に変位している。
【0015】
この実施形態において、装置1は、食道ドレーン10をさらに具備し、ドレーン10は、遠位端5の開口12から、装置1が適所にあるときには患者の外部に配置されたドレーン出口13へ延在する導通路11を備え、導通路11は、本体4の材料に一体的に形成されている。
図面から見ることができるように、装置1は、全体的な外観の観点からいえば、喉頭マスク気道装置のすべてでなければその大半を作り上げる基本部品、すなわち、気道チューブ2と、本体部品4含むマスク3と、カフ7と、から構成されるという点で、先行技術の装置に幾分類似している。
説明目的のために、装置1の区域に参照名を割り当てることが適切であり、したがって、図2〜6を参照すると、装置1は、背側部14と、腹側部15と、近位端16(患者ではなく、ユーザに最も近い端という意味で)と、遠位端17と、左右の側部18および19を有する。
【0016】
最初に気道チューブ2を参照すると、例示された実施形態において、チューブは、比較的剛性のあるPVC材料、たとえば、ショア90Aカラライト(Colorite)PVCを具備し、適切に生体構造的にカーブした形状に成形されている。チューブ2は、曲げられた場合には元々の形状に戻るように、幾分の柔軟性を有する。このように弾性的に変形可能であるが、装置1を患者内に挿入するのを補助するのを可能にするほど十分な剛性があり、ハンドルおよびガイドとして作用する。この実施形態において、気道チューブ2は、多くの先行技術の装置がそうであるような円形の断面は有さず、代わりに、背部/腹部方向に圧縮され、これは、形状が自然の気道の形状をほぼ模倣するため、装置1の正確な挿入を補助し、捩れを防止するのを助け、患者にとって快適な位置決めを補助する。この実施形態において、気道チューブ2の各側部18、19は、近位端から遠位端へチューブの長さの大半を延在する溝またはチャネル20を含む。これらの溝20は、気道チューブ2が潰れるか捩れるのを防止するのをさらに補助する。内側に、溝20は、側部18および19の内側表面に沿ってリッジを形成する。
【0017】
次に、図13を参照すると、これは、装置1の分解図を示し、気道チューブ2が、マスク3を気道チューブ2にはみ出し成形することによって便利に、チューブ2をマスク3に取り付けることを可能にするように配置された表面22aを備えたフレア状遠位端22を含むのを見ることができる。このようにして、気道チューブ2自体が、装置1の形成に使用される予備成形物を形成することができ、これは実質的に製造を容易にする。特に注目すべきなのは、気道チューブの背部モールド表面23(図13)である。この表面23は、フレア状遠位端22に位置し、背部壁2cの外側背部表面2aと内側背部表面2b(図24)との間に延在する平坦部の形態を取る。これは、任意の貫通穴2dを含み、後述されるように、はみ出し成形されたバックプレート4がチューブ2に係止するのを可能にする。この特徴は、気道チューブ2およびマスク3を作り上げる異なる材料の間のしっかりした接続を確実にするのを助ける。
【0018】
気道チューブ2のさらなる特徴は、食道ドレーンチューブ41である。このドレーンチューブ41は、気道チューブ2内に位置し、これを通って一方の端から他方へ中心に延在し、この実施形態では、気道チューブ2の背部壁2cの内側表面2bに接触するように配置され、各側部では、それが走るのに通る浅いチャネルを形成する隆起した滑らかな壁(図示せず)で境界づけられている。
気道チューブ2の近位端には、たとえば図12および13に且つ図9の断面に示されるように、装置1を気体サプライおよびドレーン(図示せず)に接続するために、コネクタ42が設けられている。コネクタ42は、コネクタ本体43と、任意の嵌合片44と、コネクタプラグ45と、を具備する。コネクタ本体43および嵌合片44は、形状および寸法が、気道チューブ2の近位端の内側形状に対応し、その内部に嵌るようする。コネクタ本体43は、垂直に延在する周辺フランジ46を有し、その円周の1つの点でタブ47内に延在する。コネクタプラグ45は、接着剤またはフランジ46に加えられる他の適切な手段によって、コネクタ本体43に取り付けられる。コネクタプラグ45は、大きなボア48および小さなボア49を具備し、これらは両方とも、コネクタプラグ45の遠位端で共通房50内に導き、そこでコネクタ本体43に接着する。ドレーンチューブ41は、小さいボア49内にこれを通って延在し、気道チューブ2のボアおよびドレーンチューブ41のボアが互いから分離されるようにする。
【0019】
次に、マスク3に移ると、マスク3は、2つの部品、すなわち、バックプレート(背板)と称されることが多い本体部品4と、周辺カフ7とから構成される。
バックプレート4は、これらの実施形態では、ショア50Aヴィセーン(Vythene)PVC+PUから成形することによって形成されている。この材料は、気道チューブ2の材料よりも、実質的により柔らかく、より変形可能である。
次に、図23を参照すると、バックプレート4は、背部または腹部の方向から見たときに、略長円のモールディングを具備し、滑らかな背部表面24と、形成された腹部表面24a(図17)と、近位結合部分24bと、遠位先端61と、を有する。
【0020】
背部表面24は、一方の側部から他方の側部へ凸状湾曲を有し、気道チューブ2の背部表面の湾曲に対応し、且つ、長手方向に更に反れ、結合部分24bで開始する湾曲を有し、一定の率の湾曲で遠位先端61へ向けて延在する。結果として、先端61は、気道チューブの遠位端に対して腹部側に偏倚し、組み立てられた装置1で、遠位先端部61の変位の程度は、患者の生体構造に適するマスクの湾曲を生成するために、およそ20mmまたは10度である。これは、図2ではXで概略的に示されている。挿入時に、先端61のこの変位は、挿入経路で「隅を曲がる」際にマスクを補助する。
【0021】
腹側部から見たときに、バックプレート4の一体的に成形された構造物を最良に見ることができる(図4、7、12、17)。バックプレートの腹側部24aの正確な形状は、特に、図11A〜11Kに示された断面図および図7の拡大斜視図に例示されている。図12に示された分解図を参照すると、バックプレート4の背部表面24の凸状湾曲は、腹側部の対応する凹状湾曲に酷似している。このようにして、腹部表面24aは、遠位先端61へ向けてテーパする浅く細長いチャネルを形成する。チャネルは、壁26によって境界づけられる。壁26は、対応して形状づけられた、長手方向に延在する凸状外側表面25を形成する。各壁26は、近位結合部分24bから遠位先端61へ向けてバックプレート4の実質的に長さ全体を長手方向に延在する。各壁26はまた、凸状内側表面28も有するが、チャネルの床へ直角の角度で終端するのではなく、各壁26のカーブは継続し、壁はチャネル上へ戻ってカーブし、内向きに延在するウェブ27で終端する(図7および11)。側壁26の内側表面28は、下へカーブし、チャネルの床を形成するが、合流は
せず、それは、チャネルの基部または床が、長手方向に延在する一体的に成形された導通管(又は導通路)によって二分されるからであり、それは、結合部分24bから遠位先端61へ長さ全体をそれに沿って延在する食道ドレーンチューブ11である。このようにして、チャネルは、3本の長手方向に延在する導通路をその内側表面に有し、組み立てられた装置1の小さい気体導通路である2本の開口外側導通路28aと、その間に隔壁を形成する中央ドレーンチューブ11と、であるのを見ることができる。
【0022】
次に、ドレーンチューブ11をより詳細に参照すると、上壁部位11aであるチャネルの床から最も遠い壁部位(図11K−K)が、側壁26の内向きに延在するウェブ27と類似位置にあるように、チューブ11が十分な直径を有することが見られる。さらに、上部壁セクション11aはまたそれ自体が、外向きに延在するウェブ30を有し、これは、ウェブ27に対応して傾斜した縁へ向けて傾くが、合流しない。このようにして、ドレーンチューブ11の上壁部位11aの上部表面11bおよびウェブ27、30(図7)は、一緒に、全3本の導通路11、28aが走るレベルより下で、図11の点線によって概略的に示された表面11cを画成する。
【0023】
次に、特に図7を参照すると、ドレーンチューブ11は、その近位結合部分24bから遠位先端61へバックプレート4の全長を延在するが、導通路28aは、バックプレート4の全長を延在せず、代わりに、その長さに沿って約半分ほどで終端するのを見ることができる。導通路28aの床31は、バックプレート4の遠位先端61へ向けて延在するときに穏やかに上方へ反れ、ついには、ウェブ27および30のレベルにほぼ等しいレベルで終端する。図4aに示された実施形態において、これらの区域は、中空にされて窪み31bを形成する。
【0024】
図12および21〜23に例示されるように、ドレーンチューブ11は、遠位先端61へ延在し、開口12に終端する。このようにして、ドレーンチューブ11の端部11eは、バックプレート4の端を過ぎて突出する。この端部11eには、背部ウェビング11aが設けられ、これは、それのいずれかの側部へ、それのまわりに延在し、フードまたはポケット36aを形成し、その円周のまわりに端部11eを取り囲む。フードまたはポケット36aは、開口12の円周12aのまわりでドレーンチューブ11の遠位端に取り付けられている(図22)。このフードまたはポケット36aは、遠位先端61でバックプレート4の材料に一体的に形成される。これは、ドレーンチューブ開口12の円周を完全に囲繞しそれから延在し、それらの間のジョイントは滑らかである。例示されたように、フードの腹部の範囲は、背部の範囲よりも限定されており、背部の範囲は、バックプレート4の近位端へ向けて戻ったほぼ中間である。図11の断面A−AおよびB−Bを参照すると、ドレーンチューブ11が、垂直に延在するウェブ62によって、その左右の側部におよび背部表面に支持されるのを見ることができる。これらのウェブ62は、一体的に形成され、開口12から戻って、端部11eがバックプレート4の範囲に合流する点へ延在する。例示された実施形態において、背部ウェブ62は、ドレーンチューブから実質的に垂直に延在するが、好適な実施形態では、90度未満の角度で、一方の側部へまたは他方の側部へ延在してもよい。
【0025】
マスク3の第2の部品は、周辺カフ7である。カフ7は、この実施形態では、ブロー成形されたPVCであり、中心開口部7aと、膨張ポート38を備えた比較的深い近位端37と、「楔」プロファイル39へテーパする比較的浅い遠位端7bと、を有する略楕円形の膨張可能リングの形態を取る。認識されるように、特に、図12および13に示された分解図から、カフ7は、1片に一体的に形成されている。背側部表面積の腹側部表面積に対する率が背側部を支持するように、楔プロファイルは設けられる。このようにして、収縮したときには、カフ7の遠位端7bは、背側部から腹側部へ偏倚してカールする。
組み立てられた装置1において、ドレーンチューブ41は、気道チューブ2内に挿入され、これが近位端16から突出するようにする。コネクタ42は、コネクタ本体43および咬合阻止器44を近位端16内に挿入することによって、気道チューブ2に取り付けられる。部品は、締まり嵌めであり、接着剤によって固定することができる。プラグ45がフランジ46を経由してコネクタ本体43に取り付けられ、ドレーンチューブ41が小さなボア49内に進み、その口でまたはそれに隣接して終端するようにする。このようにして、小さなボア49が単にドレーンチューブ41に流体連通するだけであり、大きなボア48は単に気道チューブ2の内部に流体連通するだけであるのが見られる。
【0026】
気道チューブ2は、既に形成されたチューブ2にバックプレート4をはみ出し成形することによって便利に、バックプレート4に取り付けられる。このようにして、バックプレート4の結合部分24bは、気道チューブ2の背部弓に成形される(図13)。確実な取付は、成形が発生する増加した表面積を提供する表面22a、23、および、バックプレート材料が中に流れることができる貫通穴2dによって容易にされる。ドレーンチューブ41は、矢印Zによって示されるように、一体的に成形されたドレーン11に、流体密封式に接続される(図13)。
【0027】
カフ7は、図12および13に例示されたように、カフ7の楔形状の遠位端7bをバックプレート4の遠位先端61でフードまたはポケット36a内に挿入することによってバックプレート4に結合され、楔表面39がフード36aの内側表面36bに噛み合い、カフ7の内側周囲部位がバックプレート壁26の凸状外側表面25に噛み合うようにする。カフ7は、フードに結合され、フードとカフとの間の空間が気密であるようにし、この実施形態では、カフには、「ピンチオフ」(狭窄開放)40(図21および22)が提供され、カフ7およびフード36aを流体連通させ、そのため、カフ7自体に加えて、フードの空気空間もまた膨張することができる。しかし、カフ7のピンチオフは、カフの遠位端へ向けて距離全体を延在せず、膨張の圧力が開口12を閉塞するのを防止する。カフの近位背部表面は、気道チューブ2の遠位端22の腹部弓に結合される。このようにして、食道ドレーンを組み込む先の装置とは異なり、本発明では、ドレーン11はカフ7を穿刺せず、製造をより容易にすることが認識される。さらに、ドレーンがカフを穿刺する先行技術の装置では、カフは、遠位先端でドレーンチューブの円周のまわりに固定して取り付けられなければならない。たとえば接着剤でのそのような固定取付は、先端を硬くする可能性があり、ドレーンチューブが、収縮した平らな装置で折り畳まれるのを妨げるが、それは、マスクが、生体構造の湾曲のまわりに容易に進むことを可能にするために高度に望ましいことである。加えて、ドレーンチューブのカフジョイントへの鋭い湾曲が、亀裂を招くことが非常に多い。本発明では、ドレーンチューブ11はフード36aと一体的に成形され、これが、事実上、遠位先端で第2のカフまたは小さなカフを形成するため、これらの問題は回避される。
【0028】
認識されるように、装置1の気道は、気体が患者へ進むのに通る導通路であり、気道チューブ2のボアによって設けられ、これは、フレア状遠位端22で終端する。フレア状遠位端22は、バックプレート4およびカフ7とともに、チューブ2からマスク3内に進む気体用の出口8を画成する。出口8は、気体がマスク内に進んでもよい3本のルートを含み、すなわち、主要気体導通路8a(図6)、および、2本の小さな気体導通路28aである。
【0029】
使用の際には、収縮した装置1が、この種類の装置の通常のやり方で、患者内に挿入される。上記に注記されたように、気道チューブ2が比較的剛性があり、ユーザは、これを把持することができ、これを使用して装置1を患者内にガイドし、一方、バックプレートの比較的柔らかくより柔軟な材料は、マスクがより容易に変形し、生体構造を損傷することなく挿入経路と折り合いを付け、且つ、その最適な形状に戻り、挿入の最も遠い範囲で良好な封止が達成されるのを確実にする。バックプレート4と気道チューブ2との間の接合箇所に対する遠位先端61の腹部変位は、挿入の容易さをさらに高めるが、それは、遠位先端61がそれによって、挿入経路の「曲げ」と折り合いを付けるための最適な角度で呈されるからである。比較的剛性のある材料、たとえば、PVC等から形成された装置では、しばしば使用されるLSRとは対照的に、挿入を容易にし、その封止を高める際に、これらの特徴は特に重要である。
【0030】
次に、成形されたバックプレート4の特徴を参照すると、バックプレート4の材料に一体的に成形されたドレーンチューブ11を提供することによって、接着剤で適所に結合された別個のドレーンチューブの存在によって生じた先行技術の設計におけるマスクの固さおよび製造の困難さの問題を緩和することができる。
さらに、本発明のバックプレート4で、中心に位置するドレーンチューブ11と小さな気体導通路28aとの組み合わせが、患者の生体構造の一部によって気道が閉塞する問題を解決するのを補助する。小さな気体導通路28aは、「鼻孔」と考えることができ、これを通って気体が、主要出口8aがたとえば患者の喉頭蓋によって閉塞された場合でさえ、患者内に進み続けてもよく、喉頭蓋はドレーンチューブ11によって設けられた隔壁にある。特に図11Iおよび11Jに例示されたように、ウェブ27、30は、導通路28a上に部分閉鎖を形成し、喉頭蓋等の構造物が導通路28a内に落ちてこれを遮るのを防止し、且つ、バックプレート4を側方向圧縮に対してより抵抗性のあるようにする。この実施形態において、ドレーン11は、導通路28aの間に便利な隔壁を形成するが、食道ドレーンのない装置では、単に、成形によってバックプレートの材料に、中実隔壁を形成することができるだけであることが認識される。加えて、より大きな数の導通路28aを設けることができる。
【0031】
このようにして、上述の実施形態は、先行技術の問題を、新規で発明的なやり方で、対処するのを見ることができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、喉頭マスク気道装置に関する。
【背景技術】
【0002】
喉頭マスク気道装置は、意識不明の患者に気道を確立するのに有用な周知の装置である。米国特許第4,509,514号は、喉頭マスク気道装置を説明する多くの公報の1つである。そのような装置は、長年の間使用されてきており、より古いよりよく知られてさえいる気管内チューブに対する代案を提供する。少なくとも70年の間、チューブの遠位端に配置された膨張可能なバルーンを備えた長く細いチューブを具備する気管内チューブが、意識不明の患者に気道を確立するために使用されてきている。操作において、気管内チューブの遠位端は、患者の口を通って挿入され、患者の気管を過ぎる。ひとたびそのように位置決めされると、バルーンは、気管の内側裏層で封止を形成するように膨張する。この封止が確立した後に、正の圧力がチューブの近位端に加えられ、患者の肺を通気してもよい。また、バルーンと気管の内側裏層との間の封止が、肺を吸引から保護する(たとえば、封止は、胃から逆流した物質が患者の肺内に吸引されるのを防止する)。
【0003】
気管内チューブは、非常に成功しているが、数種類の主な不利点がある。気管内チューブの第1の不利点は、チューブを適切に挿入することの困難さに関係する。気管内チューブを患者内に挿入することは、高度のスキルを必要とする手順である。また、熟練した医者でさえ、気管内チューブの挿入は、困難であるかまたは可能でないこともある。多くの場合、気管内チューブを挿入することの困難さは、悲劇的なことに患者の死を招くが、それは、十分速く患者に気道を確立することができなかったからである。また、気管内チューブを挿入することは、通常、患者の頭部および頚部を動かすことを必要とし、さらに、患者の顎を強制的に広く開くことを必要とする。これらの必要な操作は、頸部損傷を受けているかもしれない患者内に、気管内チューブを挿入することを困難にするかまたは望ましくないものにする。
【0004】
気管内チューブとは対照的に、喉頭マスク気道装置を患者内に挿入し、それによって気道を確立することは、比較的容易である。また、喉頭マスク気道装置は、不適当に挿入された場合でさえ依然として気道を確立する傾向があるという点で、「寛大な」装置である。それに応じて、喉頭マスク気道装置は、「救命」装置と考えられることが多い。また、喉頭マスク気道装置は、患者の頭部、頚部および顎を比較的小さく動かすだけで挿入されてもよい。さらに、喉頭マスク気道装置は、気管の敏感な内側裏層に接触する必要なく患者の肺への通気を提供し、確立された気道のサイズは典型的に、気管内チューブで確立された気道のサイズよりもかなり大きい。また、喉頭マスク気道装置は、気管内チューブと同一程度に咳に干渉しない。主にこれらの利点のため、喉頭マスク気道装置は、近年では、ますます人気を博している。
【0005】
米国特許第5,303,697号および第6,079,409号には、「挿管喉頭マスク気道装置」と称されてもよい先行技術の装置の例が記載されている。
【0006】
挿管装置は、気管内チューブの挿入を容易にするのに有用であるという追加利点を有する。挿管喉頭マスク気道装置が患者に位置した後に、装置は、その後に挿入される気管内チューブ用のガイドとして作用することができる。このように喉頭マスク気道装置を使用することは、一般に気管内チューブの「ブラインド挿入」として知られていることを容易にする。挿管喉頭マスク気道装置を挿入するために必要なのは、患者の頭部、頚部および顎をわずかに動かすことだけであり、ひとたび装置が患者に位置すると、気管内チューブは、実質的に患者をさらに動かすことなく挿入されてもよい。これは、挿管喉頭マスク気道装置の補助なしで気管内チューブが挿入される場合に必要である患者の頭部、頚部および顎の比較的大きな動きとは対照的に、有効である。さらに、これらの装置は、患者の頭部および頚部を中立位置から動かすことなくいずれのユーザ位置から片手で挿入することを可能にし、また、指を患者の口に挿入することなく適所に置くこともできる。最後に、これは、独自に、挿管を試みる間に通気制御および患者酸素供給を継続することを可能にし、それによって脱飽和の可能性を少なくする気道装置である装置であるという点で独特であると思われる。
【0007】
示された性格の人工的な気道装置は、米国特許第4,509,514号、米国特許第5,249,571号、米国特許第5,282,464号、米国特許第5,297,547号、米国特許第5,303,697号の開示によって、および、英国特許第2,205,499号の開示によって、例証されている。胃の排出ドレナージを追加して設けたような装置は、米国特許第4,995,388号(図7〜10)、米国特許第5,241,956号および米国特許第5,355,879号によって、例証されている。
【0008】
一般に、喉頭マスク気道装置は、肺の十分以上の通気を確実にするような断面の気道チューブを提供することを目的としており、胃のドレナージを設けた設計は、比較的複雑な内側接続によって特徴づけられており、断面は、実質的な固体が胃の排出に呈することができる困難な状況に作用するように計算されている。結果として、下咽頭の直接作用に適用可能なマスクの遠位端に胃の排出開口を設けることは、そのようなマスクが、かさばり過度に固くなる傾向になり、したがって、マスクを適切に挿入するのが困難になる。さらに、過度にかさばり固くなることは、喉頭蓋および咽頭の他の自然の構造物に外傷的に遭遇するのを確実に回避するやり方で、挿入時に患者の喉の後部湾曲を追跡するための遠位柔軟性の必要要件とは正反対である。
【0009】
これらの先行技術の種類の装置のすべてで、多数の問題が経験されている。たとえば、いくつかの先行技術の装置は、患者の生体構造の一部たとえば喉頭蓋によって気道出口が閉塞するのを、出口を横切ってバー等を設けることによって、防止することを求めている。そのような装置は大半の場合にはよく機能するが、製造をより複雑にする可能性があり、使用の際に装置の性能に影響を与える可能性がある。これは、より伝統的な液状シリコーンゴム(Liquid Silicon Rubber)(LSR)とは対照的に、PVC等の比較的剛性のある材料から形成された装置では特にそうである。
【0010】
一般に、PVC等の材料から形成された装置は、作るのに安価であり、「単回使用」装置として経済的に提供することができるため、魅力的である。しかし、PVCおよびPVC接着剤には重要な相違があり、たとえば、LSRと比較してデュロメーター硬さが増加することであり、これは、使用の際に装置がどのように機能するかに影響を与える。たとえば、所与の容量の空気で、LSRカフは、匹敵するPVCカフよりも大きなサイズに膨張する。この優れた弾性のため、LSRカフは、減少した粘膜圧力で、生体構造的に優れた封止を提供することができる。性能ギャップに近づけるために、PVCカフは、壁厚を減少しなければならない。しかし、壁厚が減少したPVCカフは、収縮して挿入用に準備されると、気道チューブを通ってカフ遠位先端への挿入力の移送を適切に吸収することが
できないため、不良屈曲反応を被る。カフアセンブリは、屈曲性能を保存する厚さへ収縮しなければならず、すなわち、喉頭蓋の向斜に抵抗するが、膨張し、そのため、0.4mm以下のカフ壁厚が申し分のない封止を形成する。マスクのバックプレートが、カフ同様、PVCから形成される場合には、PVCの増加するデュロメーター硬さが屈曲性能に反比例するという事実(ヒステリシス)は、装置の屈曲性能が、変形における反応、応答および回復の観点から、匹敵するLSR装置に劣るということを意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述の問題は、食道ドレーンを組み込む装置では、特に深刻である。上述のように、いずれのそのような装置において、それが形成される材料とは無関係に、食道ドレーンをそれ自体に加えることは、製造の複雑さをかなり加え、挿入の容易さ、封止形成および吸入の防止の観点から、装置の性能に影響を与える可能性がある。これらの問題は、PVCまたは同様に機能する材料が使用される場合には、さらに悪化する可能性がある。たとえば、製造の観点から、気道から封止され且つ膨張可能カフを通って進まなければならないドレーンチューブを提供する必要性が、特に困難な問題を課すことを、当業者は認識している。機能性に関する効果の観点から、ドレーンチューブを設けることは、マスク先端区域に受け入れることができない硬化および気道通路の閉塞/制限を生じる可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明にしたがって、患者の声門開口部へ気道通路を提供するために患者に挿入するための喉頭マスク気道装置を作る方法が提供され、装置は、気道チューブと該気道チューブに取り付けられるマスクとを具備し、前記マスクは、遠位端および近位端を有する本体と周辺膨張可能なカフとを含むと共に気体用の出口を画成し、且つ前記マスクとチューブの間の気体連通のために該気道チューブに接続され、
マスクの遠位端部は、近位端部に対して、腹部側に変位している。驚くべきことに、先端が気道生体構造の湾曲のまわりを追跡するときに最適な角度で呈されるため、先端部の腹部変位は、マスクの挿入をかなり容易にすることがわかった。
遠位変位の程度は、5mm〜20mmであることが好適であり、遠位変位の程度は、約10mmであることが最も好適である。これが最適な範囲であることがわかった。変位の程度が大きすぎる場合には、装置は、挿入の最大程度で正しい位置にないことがわかった。
本体は、その近位端から遠位端へ実質的に凸状カーブを描くことが好適である。マスク本体はプレートを具備し、プレートは背側部および腹側部を有し、背側部は実質的に滑らかであり、その幅にわたって凸状湾曲を有することがさらに好適である。気道チューブの背部表面は、湾曲が、プレートの幅にわたった湾曲に対応することもまた好適である。これらの措置のすべては、マスクをより容易に挿入するのを補助する。
気道チューブは、マスク本体よりも、比較的剛性な材料を具備することが好ましい。気道チューブおよびマスク本体の両方が、プラスチック材料を具備することが好ましい。
装置は、食道ドレーンチューブをさらに含んでもよく、食道ドレーンチューブは、背側部に滑らかなプロファイルを維持し挿入をより容易にするために、本体の腹側部に配置されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明にしたがった装置の背部4分の3の斜視図である。
【図2】図1の装置の右側面図である。
【図3】図1の装置の背面図である。
【図4】図1の装置の腹面図である。
【図4a】本発明にしたがった装置のさらなる実施形態の腹面図である。
【図5】図1の装置の近位端から遠位端へ向かって見ている、端面図である。
【図6】図1の装置のマスクの遠位端から近位端へ向かって見ている、端面図である。
【図7】図1の装置のマスクの拡大図である。
【図8】図4aの装置の背面図である。
【図9】図8の線Y−Yに沿った長手方向断面図である。
【図10】図4aの装置の拡大側面図である。
【図11】図10の線A−A〜K−Kに沿った横方向断面図である。
【図12】本発明にしたがった装置の分解背部斜視図である。
【図13】本発明にしたがった装置の分解腹部斜視図である。
【図14】本発明にしたがった装置の背部4分の3の斜視図である。
【図15】図14の装置の右側面図である。
【図16】図14の装置の背面図である。
【図17】図14の装置の腹面図である。
【図18】図14の装置のマスクの近位端から遠位端へ向かって見ている、端面図である。
【図19】図14の装置のマスクの遠位端から近位端へ向かって見ている、端面図である。
【図20】図14の装置の背部4分の3の斜視図である。
【図21】図20のセクションCC−CCの図である。
【図22】図17のセクションVC−VCの図である。
【図23】図14の装置の部品の近位端面図である。
【図24】図14の装置の部品の遠位端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、図面を参照して例としてさらに説明される。
図面を参照すると、患者の声門開口部へ気道通路を提供するために患者に挿入するための喉頭マスク気道装置1が例示され、装置1は、気道チューブ2と、気道チューブ2に取り付けられたマスク3と、を具備し、マスク3は、遠位端5および近位端6を有する本体4と周辺膨張可能カフ7とを具備し、気体用の出口8を画成し、マスク3は、チューブ2とマスクとの間の気体連通のために気道チューブ2に接続されており、マスクの遠位端部が近位端部に対して、腹部側に変位している。
【0015】
この実施形態において、装置1は、食道ドレーン10をさらに具備し、ドレーン10は、遠位端5の開口12から、装置1が適所にあるときには患者の外部に配置されたドレーン出口13へ延在する導通路11を備え、導通路11は、本体4の材料に一体的に形成されている。
図面から見ることができるように、装置1は、全体的な外観の観点からいえば、喉頭マスク気道装置のすべてでなければその大半を作り上げる基本部品、すなわち、気道チューブ2と、本体部品4含むマスク3と、カフ7と、から構成されるという点で、先行技術の装置に幾分類似している。
説明目的のために、装置1の区域に参照名を割り当てることが適切であり、したがって、図2〜6を参照すると、装置1は、背側部14と、腹側部15と、近位端16(患者ではなく、ユーザに最も近い端という意味で)と、遠位端17と、左右の側部18および19を有する。
【0016】
最初に気道チューブ2を参照すると、例示された実施形態において、チューブは、比較的剛性のあるPVC材料、たとえば、ショア90Aカラライト(Colorite)PVCを具備し、適切に生体構造的にカーブした形状に成形されている。チューブ2は、曲げられた場合には元々の形状に戻るように、幾分の柔軟性を有する。このように弾性的に変形可能であるが、装置1を患者内に挿入するのを補助するのを可能にするほど十分な剛性があり、ハンドルおよびガイドとして作用する。この実施形態において、気道チューブ2は、多くの先行技術の装置がそうであるような円形の断面は有さず、代わりに、背部/腹部方向に圧縮され、これは、形状が自然の気道の形状をほぼ模倣するため、装置1の正確な挿入を補助し、捩れを防止するのを助け、患者にとって快適な位置決めを補助する。この実施形態において、気道チューブ2の各側部18、19は、近位端から遠位端へチューブの長さの大半を延在する溝またはチャネル20を含む。これらの溝20は、気道チューブ2が潰れるか捩れるのを防止するのをさらに補助する。内側に、溝20は、側部18および19の内側表面に沿ってリッジを形成する。
【0017】
次に、図13を参照すると、これは、装置1の分解図を示し、気道チューブ2が、マスク3を気道チューブ2にはみ出し成形することによって便利に、チューブ2をマスク3に取り付けることを可能にするように配置された表面22aを備えたフレア状遠位端22を含むのを見ることができる。このようにして、気道チューブ2自体が、装置1の形成に使用される予備成形物を形成することができ、これは実質的に製造を容易にする。特に注目すべきなのは、気道チューブの背部モールド表面23(図13)である。この表面23は、フレア状遠位端22に位置し、背部壁2cの外側背部表面2aと内側背部表面2b(図24)との間に延在する平坦部の形態を取る。これは、任意の貫通穴2dを含み、後述されるように、はみ出し成形されたバックプレート4がチューブ2に係止するのを可能にする。この特徴は、気道チューブ2およびマスク3を作り上げる異なる材料の間のしっかりした接続を確実にするのを助ける。
【0018】
気道チューブ2のさらなる特徴は、食道ドレーンチューブ41である。このドレーンチューブ41は、気道チューブ2内に位置し、これを通って一方の端から他方へ中心に延在し、この実施形態では、気道チューブ2の背部壁2cの内側表面2bに接触するように配置され、各側部では、それが走るのに通る浅いチャネルを形成する隆起した滑らかな壁(図示せず)で境界づけられている。
気道チューブ2の近位端には、たとえば図12および13に且つ図9の断面に示されるように、装置1を気体サプライおよびドレーン(図示せず)に接続するために、コネクタ42が設けられている。コネクタ42は、コネクタ本体43と、任意の嵌合片44と、コネクタプラグ45と、を具備する。コネクタ本体43および嵌合片44は、形状および寸法が、気道チューブ2の近位端の内側形状に対応し、その内部に嵌るようする。コネクタ本体43は、垂直に延在する周辺フランジ46を有し、その円周の1つの点でタブ47内に延在する。コネクタプラグ45は、接着剤またはフランジ46に加えられる他の適切な手段によって、コネクタ本体43に取り付けられる。コネクタプラグ45は、大きなボア48および小さなボア49を具備し、これらは両方とも、コネクタプラグ45の遠位端で共通房50内に導き、そこでコネクタ本体43に接着する。ドレーンチューブ41は、小さいボア49内にこれを通って延在し、気道チューブ2のボアおよびドレーンチューブ41のボアが互いから分離されるようにする。
【0019】
次に、マスク3に移ると、マスク3は、2つの部品、すなわち、バックプレート(背板)と称されることが多い本体部品4と、周辺カフ7とから構成される。
バックプレート4は、これらの実施形態では、ショア50Aヴィセーン(Vythene)PVC+PUから成形することによって形成されている。この材料は、気道チューブ2の材料よりも、実質的により柔らかく、より変形可能である。
次に、図23を参照すると、バックプレート4は、背部または腹部の方向から見たときに、略長円のモールディングを具備し、滑らかな背部表面24と、形成された腹部表面24a(図17)と、近位結合部分24bと、遠位先端61と、を有する。
【0020】
背部表面24は、一方の側部から他方の側部へ凸状湾曲を有し、気道チューブ2の背部表面の湾曲に対応し、且つ、長手方向に更に反れ、結合部分24bで開始する湾曲を有し、一定の率の湾曲で遠位先端61へ向けて延在する。結果として、先端61は、気道チューブの遠位端に対して腹部側に偏倚し、組み立てられた装置1で、遠位先端部61の変位の程度は、患者の生体構造に適するマスクの湾曲を生成するために、およそ20mmまたは10度である。これは、図2ではXで概略的に示されている。挿入時に、先端61のこの変位は、挿入経路で「隅を曲がる」際にマスクを補助する。
【0021】
腹側部から見たときに、バックプレート4の一体的に成形された構造物を最良に見ることができる(図4、7、12、17)。バックプレートの腹側部24aの正確な形状は、特に、図11A〜11Kに示された断面図および図7の拡大斜視図に例示されている。図12に示された分解図を参照すると、バックプレート4の背部表面24の凸状湾曲は、腹側部の対応する凹状湾曲に酷似している。このようにして、腹部表面24aは、遠位先端61へ向けてテーパする浅く細長いチャネルを形成する。チャネルは、壁26によって境界づけられる。壁26は、対応して形状づけられた、長手方向に延在する凸状外側表面25を形成する。各壁26は、近位結合部分24bから遠位先端61へ向けてバックプレート4の実質的に長さ全体を長手方向に延在する。各壁26はまた、凸状内側表面28も有するが、チャネルの床へ直角の角度で終端するのではなく、各壁26のカーブは継続し、壁はチャネル上へ戻ってカーブし、内向きに延在するウェブ27で終端する(図7および11)。側壁26の内側表面28は、下へカーブし、チャネルの床を形成するが、合流は
せず、それは、チャネルの基部または床が、長手方向に延在する一体的に成形された導通管(又は導通路)によって二分されるからであり、それは、結合部分24bから遠位先端61へ長さ全体をそれに沿って延在する食道ドレーンチューブ11である。このようにして、チャネルは、3本の長手方向に延在する導通路をその内側表面に有し、組み立てられた装置1の小さい気体導通路である2本の開口外側導通路28aと、その間に隔壁を形成する中央ドレーンチューブ11と、であるのを見ることができる。
【0022】
次に、ドレーンチューブ11をより詳細に参照すると、上壁部位11aであるチャネルの床から最も遠い壁部位(図11K−K)が、側壁26の内向きに延在するウェブ27と類似位置にあるように、チューブ11が十分な直径を有することが見られる。さらに、上部壁セクション11aはまたそれ自体が、外向きに延在するウェブ30を有し、これは、ウェブ27に対応して傾斜した縁へ向けて傾くが、合流しない。このようにして、ドレーンチューブ11の上壁部位11aの上部表面11bおよびウェブ27、30(図7)は、一緒に、全3本の導通路11、28aが走るレベルより下で、図11の点線によって概略的に示された表面11cを画成する。
【0023】
次に、特に図7を参照すると、ドレーンチューブ11は、その近位結合部分24bから遠位先端61へバックプレート4の全長を延在するが、導通路28aは、バックプレート4の全長を延在せず、代わりに、その長さに沿って約半分ほどで終端するのを見ることができる。導通路28aの床31は、バックプレート4の遠位先端61へ向けて延在するときに穏やかに上方へ反れ、ついには、ウェブ27および30のレベルにほぼ等しいレベルで終端する。図4aに示された実施形態において、これらの区域は、中空にされて窪み31bを形成する。
【0024】
図12および21〜23に例示されるように、ドレーンチューブ11は、遠位先端61へ延在し、開口12に終端する。このようにして、ドレーンチューブ11の端部11eは、バックプレート4の端を過ぎて突出する。この端部11eには、背部ウェビング11aが設けられ、これは、それのいずれかの側部へ、それのまわりに延在し、フードまたはポケット36aを形成し、その円周のまわりに端部11eを取り囲む。フードまたはポケット36aは、開口12の円周12aのまわりでドレーンチューブ11の遠位端に取り付けられている(図22)。このフードまたはポケット36aは、遠位先端61でバックプレート4の材料に一体的に形成される。これは、ドレーンチューブ開口12の円周を完全に囲繞しそれから延在し、それらの間のジョイントは滑らかである。例示されたように、フードの腹部の範囲は、背部の範囲よりも限定されており、背部の範囲は、バックプレート4の近位端へ向けて戻ったほぼ中間である。図11の断面A−AおよびB−Bを参照すると、ドレーンチューブ11が、垂直に延在するウェブ62によって、その左右の側部におよび背部表面に支持されるのを見ることができる。これらのウェブ62は、一体的に形成され、開口12から戻って、端部11eがバックプレート4の範囲に合流する点へ延在する。例示された実施形態において、背部ウェブ62は、ドレーンチューブから実質的に垂直に延在するが、好適な実施形態では、90度未満の角度で、一方の側部へまたは他方の側部へ延在してもよい。
【0025】
マスク3の第2の部品は、周辺カフ7である。カフ7は、この実施形態では、ブロー成形されたPVCであり、中心開口部7aと、膨張ポート38を備えた比較的深い近位端37と、「楔」プロファイル39へテーパする比較的浅い遠位端7bと、を有する略楕円形の膨張可能リングの形態を取る。認識されるように、特に、図12および13に示された分解図から、カフ7は、1片に一体的に形成されている。背側部表面積の腹側部表面積に対する率が背側部を支持するように、楔プロファイルは設けられる。このようにして、収縮したときには、カフ7の遠位端7bは、背側部から腹側部へ偏倚してカールする。
組み立てられた装置1において、ドレーンチューブ41は、気道チューブ2内に挿入され、これが近位端16から突出するようにする。コネクタ42は、コネクタ本体43および咬合阻止器44を近位端16内に挿入することによって、気道チューブ2に取り付けられる。部品は、締まり嵌めであり、接着剤によって固定することができる。プラグ45がフランジ46を経由してコネクタ本体43に取り付けられ、ドレーンチューブ41が小さなボア49内に進み、その口でまたはそれに隣接して終端するようにする。このようにして、小さなボア49が単にドレーンチューブ41に流体連通するだけであり、大きなボア48は単に気道チューブ2の内部に流体連通するだけであるのが見られる。
【0026】
気道チューブ2は、既に形成されたチューブ2にバックプレート4をはみ出し成形することによって便利に、バックプレート4に取り付けられる。このようにして、バックプレート4の結合部分24bは、気道チューブ2の背部弓に成形される(図13)。確実な取付は、成形が発生する増加した表面積を提供する表面22a、23、および、バックプレート材料が中に流れることができる貫通穴2dによって容易にされる。ドレーンチューブ41は、矢印Zによって示されるように、一体的に成形されたドレーン11に、流体密封式に接続される(図13)。
【0027】
カフ7は、図12および13に例示されたように、カフ7の楔形状の遠位端7bをバックプレート4の遠位先端61でフードまたはポケット36a内に挿入することによってバックプレート4に結合され、楔表面39がフード36aの内側表面36bに噛み合い、カフ7の内側周囲部位がバックプレート壁26の凸状外側表面25に噛み合うようにする。カフ7は、フードに結合され、フードとカフとの間の空間が気密であるようにし、この実施形態では、カフには、「ピンチオフ」(狭窄開放)40(図21および22)が提供され、カフ7およびフード36aを流体連通させ、そのため、カフ7自体に加えて、フードの空気空間もまた膨張することができる。しかし、カフ7のピンチオフは、カフの遠位端へ向けて距離全体を延在せず、膨張の圧力が開口12を閉塞するのを防止する。カフの近位背部表面は、気道チューブ2の遠位端22の腹部弓に結合される。このようにして、食道ドレーンを組み込む先の装置とは異なり、本発明では、ドレーン11はカフ7を穿刺せず、製造をより容易にすることが認識される。さらに、ドレーンがカフを穿刺する先行技術の装置では、カフは、遠位先端でドレーンチューブの円周のまわりに固定して取り付けられなければならない。たとえば接着剤でのそのような固定取付は、先端を硬くする可能性があり、ドレーンチューブが、収縮した平らな装置で折り畳まれるのを妨げるが、それは、マスクが、生体構造の湾曲のまわりに容易に進むことを可能にするために高度に望ましいことである。加えて、ドレーンチューブのカフジョイントへの鋭い湾曲が、亀裂を招くことが非常に多い。本発明では、ドレーンチューブ11はフード36aと一体的に成形され、これが、事実上、遠位先端で第2のカフまたは小さなカフを形成するため、これらの問題は回避される。
【0028】
認識されるように、装置1の気道は、気体が患者へ進むのに通る導通路であり、気道チューブ2のボアによって設けられ、これは、フレア状遠位端22で終端する。フレア状遠位端22は、バックプレート4およびカフ7とともに、チューブ2からマスク3内に進む気体用の出口8を画成する。出口8は、気体がマスク内に進んでもよい3本のルートを含み、すなわち、主要気体導通路8a(図6)、および、2本の小さな気体導通路28aである。
【0029】
使用の際には、収縮した装置1が、この種類の装置の通常のやり方で、患者内に挿入される。上記に注記されたように、気道チューブ2が比較的剛性があり、ユーザは、これを把持することができ、これを使用して装置1を患者内にガイドし、一方、バックプレートの比較的柔らかくより柔軟な材料は、マスクがより容易に変形し、生体構造を損傷することなく挿入経路と折り合いを付け、且つ、その最適な形状に戻り、挿入の最も遠い範囲で良好な封止が達成されるのを確実にする。バックプレート4と気道チューブ2との間の接合箇所に対する遠位先端61の腹部変位は、挿入の容易さをさらに高めるが、それは、遠位先端61がそれによって、挿入経路の「曲げ」と折り合いを付けるための最適な角度で呈されるからである。比較的剛性のある材料、たとえば、PVC等から形成された装置では、しばしば使用されるLSRとは対照的に、挿入を容易にし、その封止を高める際に、これらの特徴は特に重要である。
【0030】
次に、成形されたバックプレート4の特徴を参照すると、バックプレート4の材料に一体的に成形されたドレーンチューブ11を提供することによって、接着剤で適所に結合された別個のドレーンチューブの存在によって生じた先行技術の設計におけるマスクの固さおよび製造の困難さの問題を緩和することができる。
さらに、本発明のバックプレート4で、中心に位置するドレーンチューブ11と小さな気体導通路28aとの組み合わせが、患者の生体構造の一部によって気道が閉塞する問題を解決するのを補助する。小さな気体導通路28aは、「鼻孔」と考えることができ、これを通って気体が、主要出口8aがたとえば患者の喉頭蓋によって閉塞された場合でさえ、患者内に進み続けてもよく、喉頭蓋はドレーンチューブ11によって設けられた隔壁にある。特に図11Iおよび11Jに例示されたように、ウェブ27、30は、導通路28a上に部分閉鎖を形成し、喉頭蓋等の構造物が導通路28a内に落ちてこれを遮るのを防止し、且つ、バックプレート4を側方向圧縮に対してより抵抗性のあるようにする。この実施形態において、ドレーン11は、導通路28aの間に便利な隔壁を形成するが、食道ドレーンのない装置では、単に、成形によってバックプレートの材料に、中実隔壁を形成することができるだけであることが認識される。加えて、より大きな数の導通路28aを設けることができる。
【0031】
このようにして、上述の実施形態は、先行技術の問題を、新規で発明的なやり方で、対処するのを見ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の声門開口部へ気道通路を提供するために患者に挿入するための喉頭マスク気道装置であって、
前記装置は、気道チューブ(2)と該気道チューブに取り付けられるマスク(3)とを具備し、前記マスクは、遠位端(5)、近位端(6)、背部表面(24)及び腹部表面(24a)を有するバックプレート(4)を含み、また周辺膨張可能なカフ(7)とを含むと共に気体用の出口(8)を画成し、且つ前記マスクとチューブの間の気体連通のために該気道チューブに接続され、
前記バックプレートの前記遠位端が該マスクの近位端に対して、その腹部側に変位するように、前記バックプレートの背部表面は、湾曲され、該プレートの結合部分(24b)で開始する湾曲を有すると共に一定の率の湾曲で遠位端へ向けて延在している喉頭マスク気道装置。
【請求項2】
前記遠位端の変位の程度(X)は、5mm〜20mmである請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記遠位端の変位の程度は、10mmである請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記バックプレートは、前記近位端から前記遠位端へ凸状カーブを描く請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記バックプレートは、その幅にわたって凸状湾曲を有する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記気道チューブは背部表面を有し、前記気道チューブの前記背部表面は、その湾曲が、前記プレートの前記幅にわたった湾曲に対応する請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記気道チューブは、前記バックプレートよりも、剛性な材料を具備する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
食道ドレーンチューブをさらに含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記食道ドレーンチューブは、前記バックプレートの前記腹側部に配置されている請求項8記載の装置。
【請求項1】
患者の声門開口部へ気道通路を提供するために患者に挿入するための喉頭マスク気道装置であって、
前記装置は、気道チューブ(2)と該気道チューブに取り付けられるマスク(3)とを具備し、前記マスクは、遠位端(5)、近位端(6)、背部表面(24)及び腹部表面(24a)を有するバックプレート(4)を含み、また周辺膨張可能なカフ(7)とを含むと共に気体用の出口(8)を画成し、且つ前記マスクとチューブの間の気体連通のために該気道チューブに接続され、
前記バックプレートの前記遠位端が該マスクの近位端に対して、その腹部側に変位するように、前記バックプレートの背部表面は、湾曲され、該プレートの結合部分(24b)で開始する湾曲を有すると共に一定の率の湾曲で遠位端へ向けて延在している喉頭マスク気道装置。
【請求項2】
前記遠位端の変位の程度(X)は、5mm〜20mmである請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記遠位端の変位の程度は、10mmである請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記バックプレートは、前記近位端から前記遠位端へ凸状カーブを描く請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記バックプレートは、その幅にわたって凸状湾曲を有する請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記気道チューブは背部表面を有し、前記気道チューブの前記背部表面は、その湾曲が、前記プレートの前記幅にわたった湾曲に対応する請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記気道チューブは、前記バックプレートよりも、剛性な材料を具備する請求項1に記載の装置。
【請求項8】
食道ドレーンチューブをさらに含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記食道ドレーンチューブは、前記バックプレートの前記腹側部に配置されている請求項8記載の装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4a】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4a】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2012−179406(P2012−179406A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−117796(P2012−117796)
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【分割の表示】特願2008−512912(P2008−512912)の分割
【原出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(505269629)ザ ラリンジアル マスク カンパニー リミテッド (14)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月23日(2012.5.23)
【分割の表示】特願2008−512912(P2008−512912)の分割
【原出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(505269629)ザ ラリンジアル マスク カンパニー リミテッド (14)
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