説明

喫煙コーナー用空気清浄化スタンド

【課題】喫煙者および周囲の健康被害を有効に防止できる喫煙コーナー用空気清浄化スタンドを提供する。
【解決手段】キャスター付きの可動台1に、煙草の煙を吸引排出するとともにそれを分解・除去ないし吸着する空気清浄化装置10が内蔵されるケースを台本体として具備し、さらに、この台本体ケース2に、灰皿配置用の喫煙テーブル3を載置するほか、中央に空洞の支柱5を立設することにより喫煙テーブルの上方を覆う中央に高いパラソル状の排煙カバー7を該支柱を介して設け、喫煙テーブルの中央部に喫煙テーブルの下をその上で揺らぐ煙の集煙室12としてそれへの下部吸煙口9を配設し、一方、排煙カバーの高い内側中央部に、支柱内の空洞を昇り煙の集煙ダクト14としてそれへの上部吸煙口11を配設し、台本体ケース内には、集煙室および集煙ダクトへ吸引排気ファンの吸引力が及ぶ空気清浄化装置を設け、下部に押出力が及ぶ浄化排気口17を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、事業所、公共施設、その他において、喫煙コーナーに設置することにより、煙草の煙を分解・除去ないし吸着して排出することができるようにした喫煙コーナー用空気清浄化スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
喫煙は本人の健康に有害であるばかりか、周囲にも健康被害を及ぼすことから、嫌煙の高まりとともに、この嫌煙に対し喫煙者の立場を配慮する喫煙対策として決まった場所の喫煙コーナーでのみ禁煙を認めて、周囲の迷惑と喫煙者の嗜好との間の調整を試みる職場や公共施設等が一般的となっている。
【0003】
従来、喫煙コーナーは、単に喫煙テーブル上に灰皿を配置するだけの簡単なものから、その周囲を衝立等で仕切るもの、さらには、天井に排気口を設けるもの等がある。また、駅やバス停留場等では、灰皿替わりとなる吸殻捨てボックスが所々に置かれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような喫煙コーナーでは、単に喫煙テーブルや吸殻捨てボックスを配置するだけでは、排煙処理がなされないために、周囲に喫煙の被害を及ぼすことは避けられなく、他人に迷惑が掛からないように配慮する喫煙対策として十分とは言えない。また、排煙処理をするときには、排煙のために天井に有する既存の排気口を利用するか、新たに排気口を設ける必要があるため、この場合、いずれにしても禁煙コーナーを自由に移転することは容易ではない。しかも、天井の排煙口を中心に周囲に衝立等の仕切りを設けた喫煙コーナーであっても、閉塞的であるために喫煙者が喫煙テーブルの上で漂う煙で、却って健康を害することになる。また、仕切りの上方から周囲へ煙が洩れるため、他人への配慮にも不十分であった。
【0005】
この発明は、上記のような実情に鑑みて、キャスター付きで喫煙テーブルとなる可動台に、テーブル上で漂う煙ばかりでなく上昇する煙も捕捉する手段と共に、浄化して排出する空気清浄化装置を具備するために、喫煙コーナーの設置ないし移転が極めて容易となり、しかも、喫煙コーナーが仕切りのない開放的空間になるにもかかわらず煙の捕捉が確実であるために、喫煙者および周囲の健康被害を有効に防止できる喫煙コーナー用空気清浄化スタンドを提供することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、この発明は、キャスター付きの可動台に、煙草の煙を吸引排出するとともにそれを分解・除去ないし吸着する空気清浄化装置が内蔵されるケースを台本体として具備し、さらに、この台本体ケースに、灰皿配置用の喫煙テーブルを載置するほか、中央に空洞の支柱を立設することにより喫煙テーブルの上方を覆う中央に高いパラソル状の排煙カバーを該支柱を介して設け、喫煙テーブルの中央部に喫煙テーブルの下をその上で揺らぐ煙の集煙室としてそれへの下部吸煙口を配設し、一方、排煙カバーの高い内側中央部に、支柱内の空洞を昇り煙の集煙ダクトとしてそれへの上部吸煙口を配設し、台本体ケース内には、集煙室および集煙ダクトへ吸引排気ファンの吸引力が及ぶ空気浄化装置を設け、下部に押出力が及ぶ浄化排気口を設けたことを特徴とする喫煙コーナー用空気清浄化スタンドを提供する。
【0007】
喫煙コーナー用空気清浄化スタンドを上記のように構成したから、これを設置した箇所がそのままで喫煙コーナーとなるよう装備されたもので、稼働状態において、喫煙テーブルを囲む喫煙者は、その上に配置される灰皿を利用しながら喫煙できることはもちろん、その際に、喫煙テーブルの上で漂う煙は下部吸煙口から吸引され、それに洩れて上昇する煙が排煙カバーで集合されて上部吸煙口から吸引され、それらの煙が本体ケースの内部に導入されて、空気清浄化装置によりヤニ、臭い等の有害物が分解・除去ないし吸着され、こうして無害化された空気が下端の浄化排気口から排出される。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、この発明の喫煙コーナー用空気清浄化スタンドによれば、喫煙コーナーとする場所に工事が不必要であって、移転もキャスターによる移動だけで足り、また、煙の捕捉が迅速且つ確実であって、開放的な空間となるにもかかわらず周囲に煙が洩れるのを防止できるだけでなく、喫煙者自身が二次的に煙を吸うことによる健康被害も防止できるという優れた効果がある。
【0009】
加えて、請求項2によれば、空気清浄化装置について、吸引排出が独立した2系統となることから、下部吸煙口と上部吸煙口とに偏って吸引力が働くような不具合を防止できため、光触媒による煙等の処理が確実となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
図面は一実施の形態を示したもので、その喫煙コーナー用空気清浄化スタンドは、可動台1を基本として、それに載置される喫煙テーブル3と、同じくそれに支柱5を介して上方に被さる排煙カバー7等から構成され、可動台1には2系統(10a,10b)に空気清浄化装置10が内蔵される。これについては、喫煙テーブル3では喫煙近辺でゆらぐ煙を捉える複数の下部吸煙口9が、排煙カバー7には昇る煙を捉える複数の上部吸煙口11がそれぞれ設けられ、両吸煙口9,11と一つの排気口17との間にそれぞれの吸引排気ファン23a,23bが設けられ、それに後続するフイルター25a,25bと光触媒26a,26bが装填される。また、支柱5内を集煙ダクト14として利用した2系統となっていることにも特徴がある。
【0012】
可動台1は、その本体がキャスター8付きの矩形のケースであって、一面に開閉扉20が内部の点検、整備、修理等の他、空気清浄化に要する装填部材を取替えるために設けられ、本体ケース2の上に、その周囲にはみ出る大きさに喫煙テーブル3が載置されるが、それと本体ケースの間に集煙室12が設けられる。また、支柱5が本体ケース2に固定されることにより、喫煙テーブル3の中央を貫通して立設されるが、喫煙テーブル3には、支柱5の周囲において前記下部吸煙口9が設けられ、さらにその周囲に多数の灰皿16,16,・・が配置されるよう、その灰皿受け18,18,・・が配設される。
【0013】
支柱5は、矩形の筒形であって、それに支持される排煙カバー7は、パラソル形で、その中央部には支柱5を中心に上部吸煙口11,11,・・が配設され、各上部吸煙口11,11,・・は、支柱5内部の集煙ダクト14に集約されるよう、上部吸煙口11と支柱5の上端との間に煙道19が設けられる。この排煙カバー7は、上面が金属板やプラスチック板等の板材39と骨組み37で中央部に高く組み立てられ、周囲がシート等の垂れ幕41で囲まれている。
【0014】
可動台1内の清浄化装置10は、下部吸煙口9から吸引された空気の清浄化装置10aと、上部吸煙口11から吸引された空気の清浄化装置10bとが別々に独立に設けられているが、清浄化処理後の浄化排気口17は、排気が人に触れないよう台本体1のケース底面に統一して設けられる。清浄化装置をこのように2系統に分けた理由は、多くの実験の結果、一個のファンを共有すると、下部吸煙口9と上部吸煙口11とのいずれか一方に吸引力が偏向しやすく、そうなると、その一方について煙の吸引が優先され、他方での捕捉率が著しく低下することから、これを防止するためである。
【0015】
このような吸引の優劣について具体的に言えば、煙の吸引が優先する経路は、その経路の空気流通抵抗が小さい場合であって、これが主な原因である。例えば吸引口が大きかったり近かったり経路が広かったりすると、その方が優先されファンの力がその経路に偏って働きやすいために、他方の吸引がおろそかになる。
【0016】
喫煙テーブル3の回りで喫煙されると、その煙は、まずはテーブル上で支柱5の周囲の下部吸煙口9から吸引され、それから外れて上昇した煙が排煙カバー7により捕捉されることにより上部吸煙口11から吸引される。そこで、次に、下部吸煙口9からの吸煙についてこれを一次経路として、上部吸煙口11からの吸煙についてこれを二次経路として、それぞれの清浄化装置10a,10bを説明する。
【0017】
可動台1の本体ケース内には、一次経路の吸引排気ファン23aと、二次経路の吸引排気ファン23bとが内蔵されるが、それぞれに従属するように、一次経路にそれ専用のフイルター25aと光触媒26aが装填され、二次経路にもそれ専用のフイルター25bと光触媒26bが装填される。両経路は異なるが、それが最終的にまとまりその浄化排気室29が下端部に設けられ、下面に共通の浄化排気口17が開口される。
【0018】
一次経路については、吸引排気ファン23aによる吸引力が下部吸煙口9に及ぶように、集煙室12の底面に支柱5を中心とする複数の吸引口31,31,31,31を等位に設け、各吸引口31,31,31,31には、吸引排気ファン23aに至る吸引ホース33,33,33,33が接続され、これが吸引排気ファン21(のケース)の回りに均等間隔にしてなされている。また、吸引排気ファン23bの排気口には先端部が浄化排気室29へ下向きとなるようにエルボー状に曲がる排気洞35aを設け、その先端部にフイルター25aと光触媒26aが取替え可能に装填される。
【0019】
二次経路については、本体ケース内の上部中央に吸引排気ファン23bが設置され、上部吸煙口11,11,・・が共に通じる支柱5内の集煙ダクト14は、下端で吸引短筒22を介してその吸引排気ファン23bに接続される。そして、吸引排気ファン23の排気側には、浄化排気室29へ下向きとなるエルボー状に曲がる排気洞35bが設けられ、その先端部にフイルター25bと光触媒26bがこれも取替え可能に装填される。
【0020】
光触媒26a,26bは、ステンレス製の板材に多数の通気穴を穿設し、それに酸化チタンを塗布したもので、図示は省略するが、複数の光触媒が並列され、その間にランプが介在され、ランプの光で励起され煙のヤニと臭いを分解・除去するようになっている。フイルター25a,26aに次ぐこのような煙の処理装置については、光触媒に限られなく、炭素等の吸着材によるものとしても良く、材料及び構造は様々となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の喫煙コーナー用空気清浄化スタンドを模式的に示す縦断面図である。
【図2】同喫煙コーナー用空気清浄化スタンドの斜視図である。
【符号の説明】
【0022】
1 可動台
2 台本体ケース
3 喫煙テーブル
5 支柱
7 排煙カバー
8 キャスター
9 下部吸煙口
10 空気清浄化装置
11 上部吸煙口
12 集煙室
14 集煙ダクト
16 灰皿
17 浄化排気口
18 灰皿受け
25a,25b フイルター
26a,26b 光触媒
35a,35b (吸引排気ファンに後続する経路としての)排気洞


【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャスター付きの可動台に、煙草の煙を吸引排出するとともにそれを分解・除去ないし吸着する空気清浄化装置が内蔵されるケースを台本体として具備し、さらに、この台本体ケースに、灰皿配置用の喫煙テーブルを載置するほか、中央に空洞の支柱を立設することにより喫煙テーブルの上方を覆う中央に高いパラソル状の排煙カバーを該支柱を介して設け、喫煙テーブルの中央部に喫煙テーブルの下をその上で揺らぐ煙の集煙室としてそれへの下部吸煙口を配設し、一方、排煙カバーの高い内側中央部に、支柱内の空洞を昇り煙の集煙ダクトとしてそれへの上部吸煙口を配設し、台本体ケース内には、集煙室および集煙ダクトへ吸引排気ファンの吸引力が及ぶ空気浄化装置を設け、下部に押出力が及ぶ浄化排気口を設けたことを特徴とする喫煙コーナー用空気清浄化スタンド。
【請求項2】
前記空気浄化装置は、下部吸煙口と上部吸煙口とについて2系統に分けて構成され、それぞれの経路において相互に独立した吸引排気ファンを装備し、各吸引排気ファンに後続してフイルターと光触媒とがそれぞれ取替え可能に装填されてなることを特徴とする請求項1記載の喫煙コーナー用空気清浄化スタンド。














【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−71551(P2010−71551A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−239210(P2008−239210)
【出願日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【出願人】(598096913)株式会社山崎屋 (6)
【出願人】(399032112)上野工業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】