説明

噴霧ノズル及び圧縮器を有する吸入療法装置

【課題】噴霧ノズルと、電気エネルギー貯蔵部を備えた圧縮器とを有し、一定の供給電圧が圧縮器の動作のためにもたらされる吸入療法装置の提供。
【解決手段】吸入療法装置は、液体5を噴霧化するための圧縮空気6が供給されることができる噴霧ノズル1、噴霧ノズルに供給される圧縮空気を発生させるための電動駆動装置8bを有する圧縮器8、及び、圧縮器8の電動駆動装置8bに電気エネルギーを供給するための電気エネルギー貯蔵部9を含む。電気エネルギー貯蔵部9は、エネルギー貯蔵部9の一定の出力電圧を保証する安定化装置9bを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気を用いて液体を噴霧化するための噴霧ノズルと、噴霧ノズルに供給される圧縮空気をもたらすための圧縮器と、を有する吸入療法装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体からエアロゾルを、供給された圧縮空気を用いて発生させる噴霧ノズルが、他の主なエアロゾル発生器と同様に、吸入療法を行うためのエアロゾルの発生に特に有益であることが分かっている。噴霧ノズルは、例えば、DE 27 11 060 A、DE 89 05 364 U、又はDE 196 02 628 Aから知られる。エアロゾル発生のための圧縮空気は圧縮器により供給され、圧縮器は、概して、駆動機構として電気モータを含む。ポータブル吸入療法装置、例えば、DE 94 18 334 Uに記載されている装置において、圧縮器は、電気エネルギー貯蔵部としてのアキュムレータを用いて作動される。
【0003】
先行技術から、ポータブル吸入療法装置に用いることができる様々な再充電可能な電気エネルギー貯蔵部が知られる。電子デバイス、例えば、モバイル情報システム及び通信システムの分野の電子デバイスのための電気エネルギー貯蔵部とは異なり、噴霧ノズルを含むポータブル吸入療法装置の場合、特定の特性を有する電気エネルギー貯蔵部が圧縮器の動作のために用いられるとは考えられない。多くのアキュムレータシステムが、吸入療法装置での利用に基本的に適している。モバイル情報システム及び通信システムの分野の先行技術においては、一定の出力電圧を、例えばDE 101 38 515 Aに記載されているような調整器を用いて保証する電気エネルギー貯蔵部を用いることが知られ得る。しかし、噴霧ノズル及び圧縮器を有する吸入療法装置での適用環境は、このような電子デバイスとはかなり異なる。なぜなら、圧縮器は、電圧供給に関する要求が非常に低い電気ユニットとみなされているはずだからであり、これは、例えば、モバイル情報及び通信技術の分野のデバイスと完全に異なる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の内容を考慮して、本発明は、噴霧ノズルと、電気エネルギー貯蔵部(アキュムレータ/バッテリパック)を備えた圧縮器とを有する吸入療法装置であって、調整器又は電圧変換器、例えばDC/DCコンバータにより、一定の供給電圧が圧縮器の動作のためにもたらされる吸入療法装置を設けることを提示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に従う吸入療法装置は、電気部品に関して、すなわち、詳細には圧縮器の電気モータに関して有利なだけでなく、本発明に従う吸入療法装置を用いて実行される吸入療法に関しても有利な効果を有する。これは、ポータブル吸入療法装置の圧縮器の作動のために一定の供給電圧を提供することにより、エアロゾルの放出量(TOR=全出力レート)及び質(MMD=中位粒径)に関してシステム全体が改善されること、及び、より一定の値が得られることが保証されるからである。この結果、本発明に従う吸入療法装置を用いて得られる投与量精度は向上する。
【0006】
本発明に従う吸入療法装置は、液体を噴霧化するための圧縮空気が供給されることができる噴霧ノズルと、噴霧ノズルに供給される圧縮空気を発生させるための電動駆動装置を有する圧縮器と、圧縮器の電動駆動装置に電気エネルギーを供給するための電気エネルギー貯蔵部とを含む。電気エネルギー貯蔵部は、エネルギー貯蔵部の一定の出力電圧を保証する安定化装置を含む。これにより、吸入療法装置に用いられるアキュムレータが、一定の出力電圧を、従って、決められた最大電力を供給することができる。
【0007】
安定化装置は、例えば、DC/DCコンバータの形態で実現されることができる。これは、ショート又は全放電によるアキュムレータへのあらゆる危険性を実質的に排除する。
【0008】
有利な実施形態において、電気エネルギー貯蔵部は、安定化装置が内部に収容されるハウジングを含む。従って、単一のユニットとして取り扱うことができるアキュムレータが有用である。
【0009】
全体が小型のシステムを得るために、電気エネルギー貯蔵部のハウジングの形状及び寸法は、圧縮器のハウジングに、有利な設計で適合される。
【0010】
以下に、本発明を実施形態を用いて説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1に示されている、本発明に従う吸入療法装置の実施形態は噴霧ノズル1を含み、噴霧ノズル1は、噴霧スペース3を取り囲むネブライザハウジング2内に配置されている。患者は、噴霧ノズル1により発生されたエアロゾルを、噴霧スペース3からマウスピース4を介して吸入する。エアロゾルを発生させるために、有利にはネブライザハウジング2内に保存されている液体5、及び圧縮空気6が、噴霧ノズル1に供給される。
【0012】
圧縮空気6は圧縮器8によりもたらされ、好ましくは、ホースライン7などを介して噴霧ノズル1に供給される。このために、圧縮器8は、典型的に、圧縮空気発生手段8a、例えば、ピストンポンプ、ダイヤフラムポンプ又は遠心ポンプと、電動駆動手段8b、好ましくは電気モータとを含む。
【0013】
電動駆動手段8bが作動するために、電気エネルギーが電動駆動手段8bに、電気エネルギー貯蔵部9により供給され、電気エネルギー貯蔵部9は、本発明に従えば、電気エネルギーを貯蔵する要素9a、及び、一定の出力電圧を保証するための装置9bの両方を含む。こうして、電気エネルギーは、一定の電圧で、圧縮器8の電動駆動装置8bに、供給ライン10を介して供給される。一定の出力電圧と、従って、一定の電力とが、貯蔵要素9aの放電期間の全体を通じて供給される。本発明に従う設計において、電気エネルギー貯蔵部を接続負荷に適合させること、例えば、貯蔵要素9aの個数を適合させることにより適合させることは必要でない。
【0014】
有利な実施形態において、安定化装置9bはDC/DCコンバータであり、DC/DCコンバータは、入力側では、予め決められた領域の電圧が供給されることができ、出力側では一定の出力電圧を放出する。
【0015】
さらなる有利な実施形態において、図1に見られる安定化装置9bは、電気エネルギー貯蔵部9のハウジング9c内に収容される。これにより、取り扱いが容易な小型のユニットがもたらされる。電気エネルギー貯蔵部9のハウジング9cは、好ましくは、これも図1に示されている圧縮器8のハウジングの形状及び寸法に合わせてつくられる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明に従う吸入療法装置の実施形態を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸入療法装置であって、
液体(5)を噴霧化するための圧縮空気(6)が供給されることができる噴霧ノズル(1)と、
噴霧ノズル(1)に供給される圧縮空気(6)を発生させるための電動駆動装置(8b)を有する圧縮器(8)と、
圧縮器(8)の電動駆動装置(8b)に電気エネルギーを供給するための電気エネルギー貯蔵部(9)と、
を含み、
前記電気エネルギー貯蔵部(9)が、エネルギー貯蔵部(9)の一定の出力電圧を保証する安定化装置(9b)を含むことを特徴とする吸入療法装置。
【請求項2】
安定化装置(9b)がDC/DCコンバータであることを特徴とする請求項1に記載の吸入療法。
【請求項3】
電気エネルギー貯蔵部(9)がハウジング(9c)を含み、安定化装置(9b)が、前記電気エネルギー貯蔵部(9)のハウジング(9c)内に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸入療法装置。
【請求項4】
圧縮器(8)がハウジング(8c)を含み、且つ、電気エネルギー貯蔵部(9)のハウジング(9c)が前記圧縮器(8)のハウジング(8c)の形状及び寸法に適合されていることを特徴とする請求項3に記載の吸入療法装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−314801(P2006−314801A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−133798(P2006−133798)
【出願日】平成18年5月12日(2006.5.12)
【出願人】(505475046)パリ ゲーエムベーハー シュペツィアリステン フューア エフェクティブ インハレツィオーン (7)
【氏名又は名称原語表記】PARI GMBH SPEZIALISTEN FUR EFFEKTIVE INHALATION