噴霧ノズル
【課題】内容物に旋回力を与え、霧状にして噴出させる噴霧ノズルを提案する。
【解決手段】テーパ状のノズル本体部分１と、この内側に配置され、先端部より霧状にして噴出させるエレメント２とを備えた噴霧ノズルにおいて、エレメントを、ノズル本体部分１の貫通開口１ａに嵌合する筒体２ａと、この筒体２ａの先端部を閉塞させてその内側に内容物の送給経路ｍを形成する天壁２ｂとにより構成する。筒体２ａに、その内外に連通する開孔３を設け、該開孔３を含む領域に、ノズル本体部分１の内壁面との相互間で該本体部分１の軸芯に沿う微細隙間４ａを形成する縦溝４を形成し、前記筒体２ａの天壁２ｂに、その縁部にて起立しノズル本体部分１との間にて出側経路５ａを形成する周壁５を設け、この周壁５に、該縦溝４と同程度の開口幅を有し、該開孔３及び微細隙間４ａを経た内容物を該周壁５の内壁面に沿う向きに誘導して旋回流を生ずるスリット６、７を形成する。
【解決手段】テーパ状のノズル本体部分１と、この内側に配置され、先端部より霧状にして噴出させるエレメント２とを備えた噴霧ノズルにおいて、エレメントを、ノズル本体部分１の貫通開口１ａに嵌合する筒体２ａと、この筒体２ａの先端部を閉塞させてその内側に内容物の送給経路ｍを形成する天壁２ｂとにより構成する。筒体２ａに、その内外に連通する開孔３を設け、該開孔３を含む領域に、ノズル本体部分１の内壁面との相互間で該本体部分１の軸芯に沿う微細隙間４ａを形成する縦溝４を形成し、前記筒体２ａの天壁２ｂに、その縁部にて起立しノズル本体部分１との間にて出側経路５ａを形成する周壁５を設け、この周壁５に、該縦溝４と同程度の開口幅を有し、該開孔３及び微細隙間４ａを経た内容物を該周壁５の内壁面に沿う向きに誘導して旋回流を生ずるスリット６、７を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、点鼻薬等を噴霧するのに好適な噴霧ノズルに関するものであり、容器内に充填された内容物を供給する際に、該内容物に確実に旋回力を付与（スピンをかける。）して安定した噴霧を実現しようとするものである。
【背景技術】
【０００２】
点鼻薬等の薬剤は、薬剤による直接的な刺激による不快感の緩和を図るため、薬剤を霧状にして噴霧するのが普通になっており、従来は、ノズル本体部分の内部通路を通過する内容物に旋回力（スピン）を付与してその実現を図るようにしていた（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
ところで、従来のこの種の噴霧ノズルは、ノズル本体部分の内部通路あるいはエレメントの何れか一方に旋回流形成壁を設け、該ノズル本体部分とエレメントとを組み合せたときに形成される内部空間内で該壁に所定の角度でもって内容物を流出させることによってスピンをかけて噴霧状としていたところ、ノズル本体部分とエレメントとの組み合わせに不都合（組み付け性が悪く、本来、形成されなければないらない内部空間に余計な空間が生じる等。）があり、内容物にスピンをかけることができないこともあって、この点に関して未だ改善の余地が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００８−１３２４０６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明の課題は、内容物に対し確実に旋回力を付与して安定して霧状に噴霧できる新規な噴霧ノズルを提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、先細り外観形状を有するテーパ状のノズル本体部分と、このノズル本体部分の内側に配置され、内容物に旋回力を与えて該ノズル本体部分の先端より霧状にして噴出させるエレメントとを備えた噴霧ノズルであって、
前記エレメントが、ノズル本部分の貫通開口に嵌合する筒体と、この筒体の先端部を閉塞させてその内側に内容物の送給経路を形成する天壁とからなり、
前記筒体に、その内外に連通する開孔を設けるとともに、該開孔を含む領域の外壁面と、ノズル本体部分の内壁面との相互間に微細隙間を形成し、
前記筒体の天壁の縁部に、ノズル本体部分の内部天井壁部との協働によりその内側に出側空間領域を形成する周壁を設け、この周壁に、前記出側経路と前記微細隙間とを連通させ、該開孔及び微細隙間を通り抜けた内容物を該周壁の内壁面に沿う向きに誘導、流出させて旋回流を生じさせる横向き開孔を形成したことを特徴とする噴霧ノズルである。
【０００７】
前記周壁としては、内容物に対して旋回流を付与する観点から平面形状が円形あるいは楕円を呈するものがとくに好ましい。また、前記開孔、微細隙間及び横向き開孔は、筒体の対向位置に、それぞれ設けることができるが、筒体の周りに沿い間隔をおいて複数設けてもよい。
【０００８】
さらに、ノズル本体部分の内側（内部天井壁部）に環状溝を設け、エレメントの周壁には、該ノズル本体部分の環状溝に嵌合する先端部を設けておくのが望ましい。
【発明の効果】
【０００９】
エレメントを構成する筒体の天壁に周壁を設け、この周壁に形成した横向き開孔を通して内容物を周壁の内壁面へ誘導して該内壁面に沿うように流出させることによって内容物に旋回力を付与したため、構成部材の組み付け性の不具合により所定の容積よりも大きな空間が形成されるようなことがあっても、内容物に常に所定の旋回力を付与することが可能であり、内容物の安定した噴霧が行える。
【００１０】
周壁の先端部を、ノズル本体部分の内側に形成した環状溝に嵌合させる構造としておくことによりシール性が改善されるとともに、両部材が確実に連結されたかどうか明瞭に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明にしたがう噴霧ノズルの実施の形態を示した図である。
【図２】図１に示した噴霧ノズルのエレメントの平面を示した図であり、（ａ）は、要部の拡大図、（ｂ）は、（ａ）のＡ−Ａ断面を示した図である。
【図３】図１に示した噴霧ノズルの要部を拡大して示した図である。
【図４】（ａ）（ｂ）は、従来の噴霧ノズルの要部を拡大して示した図である。
【図５】図１に示した噴霧ノズルの要部を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図１は、本発明にしたがう噴霧ノズルの実施の形態を断面で示した図であり、図２（ａ）（ｂ）は、図１に示した噴霧ノズルの要部拡大図と、エレメントの平面（Ａ−Ａ断面）を示した図であり、図３は、エレメントの要部の外観斜視図である。
【００１３】
図における１は、先細り外観形状を有するテーパ状のノズル本体部分である。このノズル本体部分１には貫通開口１ａが設けられており、その先端には、容器内の内容物を噴霧するための噴孔１ｂが形成されている。
【００１４】
２は、エレメントである。このエレメント２は、ノズル本体部分１の貫通開口１ａに嵌合する筒体２ａと、この筒体２ａの先端部を閉塞させてその内側に内容物の送給経路ｍを形成する天壁２ｂから構成されている。
【００１５】
３は、筒体２ａに設けられたその内外において連結する通路を形成する横向きの開孔、４は、開孔３を含む領域に該ノズル本体部分１の軸芯Оに沿って設けられた凹所である。この凹所４は、エレメント２がノズル本体部分１の貫通開口１ａに嵌合した際に、その相互間で微小隙間４ａを形成する。
【００１６】
５は、エレメント２の天壁２ｂの縁部において起立する周壁である。この周壁５は、図２（ｂ）に平面を示したように円形状をなしており、ノズル本体部分１の内側壁と、天壁２ｂとの相互間にて出側空間領域（旋回流形成領域）５ａを形成している。周壁５の外周面は、ノズル本体部分１の内壁で強固に嵌合（径方向で嵌合）しており、その相互間が液密状態に保たれている。
【００１７】
さらに、６、７は、周壁５の対向位置（長軸側Ｌ１の対向位置）にそれぞれ設けられ、開孔３及び微細隙間４ａを経た内容物を、該周壁５の内壁面に沿うように誘導、流出させる横向き開孔である。この横向き開孔６、７は、ノズル本体部分１の軸芯Оからｅ１、ｅ２だけ偏心させた開口中心を有するものであり（図２（ｂ）参照）、この横向き開口６、７を通して出側空間領域５ａに流出させることによって内容物に旋回力を付与する。
【００１８】
８は、ノズル本体部分１の下部に一体的に設けられた操作用の鍔部、９は、噴霧ノズルを保持し、容器の口部に装着されるベースキャップである。ベースキャップ９には、容器内の内容物を吸引、加圧、圧縮するためのポンプ１０が組み込まれていて、噴霧ノズルのエレメント２の下端部は、ポンプ１０を構成する中空ステム１０ａの上端開口につながっており、その全体が、スプリング１０ｂ１を介してベースキャップ９の上部において弾性支持されている。
【００１９】
ノズル本体部分１の下部に設けられた操作用の鍔部８に指をあてがい、スプリング１０ｂ１、１０ｂ２の付勢力に抗する噴霧ノズルの押し込み（内容物の加圧、圧縮、噴霧）と、その押し込みの際に付加した力を解除する動作（内容物の吸引）を繰り返し行うことによりシリンダ１０ｃ内に配置されたピストン１０ｄがその内部において昇降移動することとなり、容器内の内容物は、吸引管１０ｅを通してシリンダ１０ｃ内に吸引されるとともに加圧、圧縮される。
【００２０】
内容物の加圧、圧縮に際してシリンダ１０ｃ内が所定の圧力に達したときに、スプリング１０ｂ２により弾性支持されたロッド１０ｆが、ピストン１０ｄから瞬時に離反するとともに接触（ロッド１０ｆとピストン１０ｄで弁体が構成されており、所望圧力で該弁体が開閉する。）し、これによって圧縮にかかる内容物は、中空ステム１０ａ、送給経路ｍ、開孔３、微小隙間４ａ、横向き開孔６、７、出側空間領域５ａを経てノズル本体部分１の噴孔１ｂから外界へと排出される。
【００２１】
従来の噴霧ノズルにおいて、例えば、エレメント２の天壁２ｂに旋回流形成壁１１が設けられものにあっては、図４（ａ）に示すように、ノズル本体部分１への組み付けにより旋回流形成領域を形成していたが、図４（ｂ）の如く、エレメントの組み付けが十分でなく、その相互間に隙間ｔが形成されるような場合にあっては、その隙間ｔを通る内容物も存在することから、内容物に充分な旋回力を付与することができないこともあったが、本発明にしたがう噴霧ノズルは、横向き開孔６、７を通り抜けた内容物は、周壁５の内壁面に沿うように誘導され、これにより内容物には旋回力が付加されることになるため、図５に示すように、たとえ、出側経路５ａの軸方向に沿う寸法に若干の変動があっても内容物の旋回に影響を及ぼすことはなく、内容物のすべてが霧状になって安定的に噴霧される。
【００２２】
周壁５については、その先端部をノズル本体部分１の内部天井壁部に突き当てるとともに、その外周壁部をノズル本体部分１の内周壁部に接触させてシールする場合について示したが、ノズル本体部分１の内部天井壁部に予め溝部を形成しておき、該周壁５の先端をノズル本体部分１の内部天井壁部に形成した溝部に嵌合させる構造としてもよく、この点については限定されない。
【００２３】
また、内容物の吸引、加圧、圧縮に供するポンプ１０については、付勢力の異なる二種のスプリングを備えた蓄圧式のポンプを例として示したが、ポンプ構造も用途や内容物の種類によって種々変更されるものであって、図示のものには限定されない。
【００２４】
周壁５についてはその内壁が楕円を描くような形状にするのが良く、これにより内容物が出側空間領域５ａに入ると内壁にぶつかり該内壁に沿って旋回するため旋回力のアップに有効となる。
【産業上の利用可能性】
【００２５】
内容物に確実に旋回力を付与して霧状に噴出させ得る噴霧ノズルが提供できる。
【符号の説明】
【００２６】
１ ノズル本体部分
１ａ 貫通開口
１ｂ 噴孔
２ エレメント
２ａ 筒体
２ｂ 天壁
３ 開孔
４ 凹所
４ａ 微小隙間
５ 周壁
５ａ 出側経路
６ 横向き開孔
７ 横向き開孔
８ 鍔部
９ ベースキャップ
１０ ポンプ
１１ 旋回流形成壁
ｍ 送給経路
ｔ 隙間
【技術分野】
【０００１】
本発明は、点鼻薬等を噴霧するのに好適な噴霧ノズルに関するものであり、容器内に充填された内容物を供給する際に、該内容物に確実に旋回力を付与（スピンをかける。）して安定した噴霧を実現しようとするものである。
【背景技術】
【０００２】
点鼻薬等の薬剤は、薬剤による直接的な刺激による不快感の緩和を図るため、薬剤を霧状にして噴霧するのが普通になっており、従来は、ノズル本体部分の内部通路を通過する内容物に旋回力（スピン）を付与してその実現を図るようにしていた（例えば、特許文献１参照）。
【０００３】
ところで、従来のこの種の噴霧ノズルは、ノズル本体部分の内部通路あるいはエレメントの何れか一方に旋回流形成壁を設け、該ノズル本体部分とエレメントとを組み合せたときに形成される内部空間内で該壁に所定の角度でもって内容物を流出させることによってスピンをかけて噴霧状としていたところ、ノズル本体部分とエレメントとの組み合わせに不都合（組み付け性が悪く、本来、形成されなければないらない内部空間に余計な空間が生じる等。）があり、内容物にスピンをかけることができないこともあって、この点に関して未だ改善の余地が残されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００４】
【特許文献１】特開２００８−１３２４０６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明の課題は、内容物に対し確実に旋回力を付与して安定して霧状に噴霧できる新規な噴霧ノズルを提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明は、先細り外観形状を有するテーパ状のノズル本体部分と、このノズル本体部分の内側に配置され、内容物に旋回力を与えて該ノズル本体部分の先端より霧状にして噴出させるエレメントとを備えた噴霧ノズルであって、
前記エレメントが、ノズル本部分の貫通開口に嵌合する筒体と、この筒体の先端部を閉塞させてその内側に内容物の送給経路を形成する天壁とからなり、
前記筒体に、その内外に連通する開孔を設けるとともに、該開孔を含む領域の外壁面と、ノズル本体部分の内壁面との相互間に微細隙間を形成し、
前記筒体の天壁の縁部に、ノズル本体部分の内部天井壁部との協働によりその内側に出側空間領域を形成する周壁を設け、この周壁に、前記出側経路と前記微細隙間とを連通させ、該開孔及び微細隙間を通り抜けた内容物を該周壁の内壁面に沿う向きに誘導、流出させて旋回流を生じさせる横向き開孔を形成したことを特徴とする噴霧ノズルである。
【０００７】
前記周壁としては、内容物に対して旋回流を付与する観点から平面形状が円形あるいは楕円を呈するものがとくに好ましい。また、前記開孔、微細隙間及び横向き開孔は、筒体の対向位置に、それぞれ設けることができるが、筒体の周りに沿い間隔をおいて複数設けてもよい。
【０００８】
さらに、ノズル本体部分の内側（内部天井壁部）に環状溝を設け、エレメントの周壁には、該ノズル本体部分の環状溝に嵌合する先端部を設けておくのが望ましい。
【発明の効果】
【０００９】
エレメントを構成する筒体の天壁に周壁を設け、この周壁に形成した横向き開孔を通して内容物を周壁の内壁面へ誘導して該内壁面に沿うように流出させることによって内容物に旋回力を付与したため、構成部材の組み付け性の不具合により所定の容積よりも大きな空間が形成されるようなことがあっても、内容物に常に所定の旋回力を付与することが可能であり、内容物の安定した噴霧が行える。
【００１０】
周壁の先端部を、ノズル本体部分の内側に形成した環状溝に嵌合させる構造としておくことによりシール性が改善されるとともに、両部材が確実に連結されたかどうか明瞭に把握できる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明にしたがう噴霧ノズルの実施の形態を示した図である。
【図２】図１に示した噴霧ノズルのエレメントの平面を示した図であり、（ａ）は、要部の拡大図、（ｂ）は、（ａ）のＡ−Ａ断面を示した図である。
【図３】図１に示した噴霧ノズルの要部を拡大して示した図である。
【図４】（ａ）（ｂ）は、従来の噴霧ノズルの要部を拡大して示した図である。
【図５】図１に示した噴霧ノズルの要部を拡大して示した図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
図１は、本発明にしたがう噴霧ノズルの実施の形態を断面で示した図であり、図２（ａ）（ｂ）は、図１に示した噴霧ノズルの要部拡大図と、エレメントの平面（Ａ−Ａ断面）を示した図であり、図３は、エレメントの要部の外観斜視図である。
【００１３】
図における１は、先細り外観形状を有するテーパ状のノズル本体部分である。このノズル本体部分１には貫通開口１ａが設けられており、その先端には、容器内の内容物を噴霧するための噴孔１ｂが形成されている。
【００１４】
２は、エレメントである。このエレメント２は、ノズル本体部分１の貫通開口１ａに嵌合する筒体２ａと、この筒体２ａの先端部を閉塞させてその内側に内容物の送給経路ｍを形成する天壁２ｂから構成されている。
【００１５】
３は、筒体２ａに設けられたその内外において連結する通路を形成する横向きの開孔、４は、開孔３を含む領域に該ノズル本体部分１の軸芯Оに沿って設けられた凹所である。この凹所４は、エレメント２がノズル本体部分１の貫通開口１ａに嵌合した際に、その相互間で微小隙間４ａを形成する。
【００１６】
５は、エレメント２の天壁２ｂの縁部において起立する周壁である。この周壁５は、図２（ｂ）に平面を示したように円形状をなしており、ノズル本体部分１の内側壁と、天壁２ｂとの相互間にて出側空間領域（旋回流形成領域）５ａを形成している。周壁５の外周面は、ノズル本体部分１の内壁で強固に嵌合（径方向で嵌合）しており、その相互間が液密状態に保たれている。
【００１７】
さらに、６、７は、周壁５の対向位置（長軸側Ｌ１の対向位置）にそれぞれ設けられ、開孔３及び微細隙間４ａを経た内容物を、該周壁５の内壁面に沿うように誘導、流出させる横向き開孔である。この横向き開孔６、７は、ノズル本体部分１の軸芯Оからｅ１、ｅ２だけ偏心させた開口中心を有するものであり（図２（ｂ）参照）、この横向き開口６、７を通して出側空間領域５ａに流出させることによって内容物に旋回力を付与する。
【００１８】
８は、ノズル本体部分１の下部に一体的に設けられた操作用の鍔部、９は、噴霧ノズルを保持し、容器の口部に装着されるベースキャップである。ベースキャップ９には、容器内の内容物を吸引、加圧、圧縮するためのポンプ１０が組み込まれていて、噴霧ノズルのエレメント２の下端部は、ポンプ１０を構成する中空ステム１０ａの上端開口につながっており、その全体が、スプリング１０ｂ１を介してベースキャップ９の上部において弾性支持されている。
【００１９】
ノズル本体部分１の下部に設けられた操作用の鍔部８に指をあてがい、スプリング１０ｂ１、１０ｂ２の付勢力に抗する噴霧ノズルの押し込み（内容物の加圧、圧縮、噴霧）と、その押し込みの際に付加した力を解除する動作（内容物の吸引）を繰り返し行うことによりシリンダ１０ｃ内に配置されたピストン１０ｄがその内部において昇降移動することとなり、容器内の内容物は、吸引管１０ｅを通してシリンダ１０ｃ内に吸引されるとともに加圧、圧縮される。
【００２０】
内容物の加圧、圧縮に際してシリンダ１０ｃ内が所定の圧力に達したときに、スプリング１０ｂ２により弾性支持されたロッド１０ｆが、ピストン１０ｄから瞬時に離反するとともに接触（ロッド１０ｆとピストン１０ｄで弁体が構成されており、所望圧力で該弁体が開閉する。）し、これによって圧縮にかかる内容物は、中空ステム１０ａ、送給経路ｍ、開孔３、微小隙間４ａ、横向き開孔６、７、出側空間領域５ａを経てノズル本体部分１の噴孔１ｂから外界へと排出される。
【００２１】
従来の噴霧ノズルにおいて、例えば、エレメント２の天壁２ｂに旋回流形成壁１１が設けられものにあっては、図４（ａ）に示すように、ノズル本体部分１への組み付けにより旋回流形成領域を形成していたが、図４（ｂ）の如く、エレメントの組み付けが十分でなく、その相互間に隙間ｔが形成されるような場合にあっては、その隙間ｔを通る内容物も存在することから、内容物に充分な旋回力を付与することができないこともあったが、本発明にしたがう噴霧ノズルは、横向き開孔６、７を通り抜けた内容物は、周壁５の内壁面に沿うように誘導され、これにより内容物には旋回力が付加されることになるため、図５に示すように、たとえ、出側経路５ａの軸方向に沿う寸法に若干の変動があっても内容物の旋回に影響を及ぼすことはなく、内容物のすべてが霧状になって安定的に噴霧される。
【００２２】
周壁５については、その先端部をノズル本体部分１の内部天井壁部に突き当てるとともに、その外周壁部をノズル本体部分１の内周壁部に接触させてシールする場合について示したが、ノズル本体部分１の内部天井壁部に予め溝部を形成しておき、該周壁５の先端をノズル本体部分１の内部天井壁部に形成した溝部に嵌合させる構造としてもよく、この点については限定されない。
【００２３】
また、内容物の吸引、加圧、圧縮に供するポンプ１０については、付勢力の異なる二種のスプリングを備えた蓄圧式のポンプを例として示したが、ポンプ構造も用途や内容物の種類によって種々変更されるものであって、図示のものには限定されない。
【００２４】
周壁５についてはその内壁が楕円を描くような形状にするのが良く、これにより内容物が出側空間領域５ａに入ると内壁にぶつかり該内壁に沿って旋回するため旋回力のアップに有効となる。
【産業上の利用可能性】
【００２５】
内容物に確実に旋回力を付与して霧状に噴出させ得る噴霧ノズルが提供できる。
【符号の説明】
【００２６】
１ ノズル本体部分
１ａ 貫通開口
１ｂ 噴孔
２ エレメント
２ａ 筒体
２ｂ 天壁
３ 開孔
４ 凹所
４ａ 微小隙間
５ 周壁
５ａ 出側経路
６ 横向き開孔
７ 横向き開孔
８ 鍔部
９ ベースキャップ
１０ ポンプ
１１ 旋回流形成壁
ｍ 送給経路
ｔ 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項１】
先細り外観形状を有するテーパ状のノズル本体部分と、このノズル本体部分の内側に配置され、内容物に旋回力を与えて該ノズル本体部分の先端より霧状にして噴出させるエレメントとを備えた噴霧ノズルであって、
前記エレメントが、ノズル本体部分の貫通開口に嵌合する筒体と、この筒体の先端部を閉塞させてその内側に内容物の送給経路を形成する天壁とからなり、
前記筒体に、その内外に連通する開孔を設けるとともに、該開孔を含む領域の外壁面と、ノズル本体部分の内壁面との相互間に微細隙間を形成し、
前記筒体の天壁の縁部に、ノズル本体部分の内部天井壁部との協働によりその内側に出側空間領域を形成する周壁を設け、この周壁に、前記出側経路と前記微細隙間とを連通させ、該開孔及び微細隙間を通り抜けた内容物を該周壁の内壁面に沿う向きに誘導、流出させて旋回流を生じさせる横向き開孔を形成したことを特徴とする噴霧ノズル。
【請求項２】
前記開孔、微細隙間及び横向き開孔は、前記筒体の周りに沿い間隔をおいて複数設けられたものである、請求項１記載の噴霧ノズル。
【請求項３】
前記周壁は、ノズル本体部分に形成された環状溝に嵌合する先端部を有する、請求項１又は２の何れかに記載の噴霧ノズル。
【請求項１】
先細り外観形状を有するテーパ状のノズル本体部分と、このノズル本体部分の内側に配置され、内容物に旋回力を与えて該ノズル本体部分の先端より霧状にして噴出させるエレメントとを備えた噴霧ノズルであって、
前記エレメントが、ノズル本体部分の貫通開口に嵌合する筒体と、この筒体の先端部を閉塞させてその内側に内容物の送給経路を形成する天壁とからなり、
前記筒体に、その内外に連通する開孔を設けるとともに、該開孔を含む領域の外壁面と、ノズル本体部分の内壁面との相互間に微細隙間を形成し、
前記筒体の天壁の縁部に、ノズル本体部分の内部天井壁部との協働によりその内側に出側空間領域を形成する周壁を設け、この周壁に、前記出側経路と前記微細隙間とを連通させ、該開孔及び微細隙間を通り抜けた内容物を該周壁の内壁面に沿う向きに誘導、流出させて旋回流を生じさせる横向き開孔を形成したことを特徴とする噴霧ノズル。
【請求項２】
前記開孔、微細隙間及び横向き開孔は、前記筒体の周りに沿い間隔をおいて複数設けられたものである、請求項１記載の噴霧ノズル。
【請求項３】
前記周壁は、ノズル本体部分に形成された環状溝に嵌合する先端部を有する、請求項１又は２の何れかに記載の噴霧ノズル。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【公開番号】特開２０１１−１０７５３（Ｐ２０１１−１０７５３Ａ）
【公開日】平成２３年１月２０日（２０１１．１．２０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−１５５９１０（Ｐ２００９−１５５９１０）
【出願日】平成２１年６月３０日（２００９．６．３０）
【出願人】（０００００６９０９）株式会社吉野工業所 (2,913)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年１月２０日（２０１１．１．２０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年６月３０日（２００９．６．３０）
【出願人】（０００００６９０９）株式会社吉野工業所 (2,913)
【Ｆターム（参考）】
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