説明

四フッ化ケイ素の製造方法

本発明は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩の蒸解により四フッ化ケイ素を生成するための方法、任意にはケイ素源存在下で、四フッ化ケイ素を生成するためのシラン生成物の副産物の酸蒸解を含んで成るシラン生成方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ化物化合物の製造方法に関する。特に、本発明は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩の酸分解による四フッ化ケイ素(又はテトラフルオロシラン)の製造方法に関する。
【0002】
シランは、多くの産業利用性を有した用途の広い化合物である。半導体産業では、シランは、半導体ウェハにエピタキシャルなケイ素層の蒸着や多結晶シリコンの製造に利用されてもよい。多結晶シリコンは、流動床リアクター中のケイ素粒子へのシランの熱分解によって生産されてもよい例えば、集積回路や光電池(すなわち、太陽電池)等の多くの商業的製品を生産するために使用される不可欠な原料である。
【0003】
シランは、目的が関連し、一致しているため本明細書に組み入れられている米国特許第4632816号に開示されているように、四フッ化ケイ素と四水素化アルミニウム・ナトリウム等の水素化アルカリ又はアルカリ土類金属アルミニウムとの反応により生成される。シランの生成により、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとの様々なフッ化物塩(例えば、NaAlF4、NaAl14およびNaAlF)等の副産物が生じてもよい。一般的には、これらの浪費物は低価格で販売され、又は埋め立て地に処分される。
【0004】
三フッ化アルミニウムは、アルミニウムの生成のため電解溶液中の成分として使用され、又多くのフッ素化反応で使用されてもよい多目的物質である。三フッ化アルミニウムは、フッ化水素と相対的に高価なアルミナ又はアルミナ三水和物との反応により一般的に生成される。又、四フッ化ケイ素は、シラン又は様々なハロシランを生成するために使用されてもよく、又イオン注入、フッ素化シリカのプラズマ蒸着、純シリカ又は窒化ケイ素の生成に使用され、又金属ケイ化物のエッチングの際、使用されてもよい多目的物質である。
【0005】
シラン生成の間に生成される副産物を再使用して、埋め立てられ、又安く販売される物の量を低減し、シラン生成と商業的製品(例えば、太陽電池)の生産の経済性を改善する方法が継続して必要とされている。又、三フッ化アルミニウムや四フッ化ケイ素等の価値のある原料を生成するための方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本発明のある態様では、四フッ化ケイ素を生成する方法として、フルオロアルミン酸(フルオロアルミネート;fluoroaluminate)塩原料(又はフィード;feed)、酸およびケイ素源を接触させて、四フッ化ケイ素と少なくとも1種(又は1つ)の副産物とを生成させることが挙げられる。フルオロアルミン酸塩原料は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩を少なくとも約30重量%を含んで成る。
【0007】
別の態様では、四フッ化ケイ素を生成する方法として、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩、酸およびケイ素源を接触させて、四フッ化ケイ素と少なくとも1種の副産物とを生成させることが挙げられる。四フッ化ケイ素は、生成物として四フッ化ケイ素を回収するために副産物から分離される。
【0008】
更に、本発明の更なる態様では、シランと四フッ化ケイ素とを生成するための方法が導かれる。その方法として、四フッ化ケイ素および四水素化アルミニウムのアルカリ又はアルカリ土類金属塩を接触させて、シランと流出液(又はエフルエント;effluent)とを生成することが挙げられる。流出液は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩を含んで成る。流出液、酸およびケイ素源は、四フッ化ケイ素と少なくとも1種の副産物とを生成するために接触される。四フッ化ケイ素は、副産物から分離される。
【0009】
更に別の態様では、シランと四フッ化ケイ素とを生成する方法として、フルオロアルミン酸塩原料、酸およびケイ素源を接触させて、四フッ化ケイ素と少なくとも1種の副産物とを生成することが挙げられる。フルオロアルミン酸塩原料は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩を含んで成る。四フッ化ケイ素は、副産物から分離される。四フッ化ケイ素を四水素化アルミニウムのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩と反応させて、シランが生成する。
【0010】
本発明の上記態様に関する特徴には、様々な変更が行われる。又、本発明の上記態様に更なる特徴が組み入れられてもよい。これらの特徴の変更と追加とは、各々又は組み合わされてもよい。例えば、本発明の例示した態様に関して、本発明の上記態様に下記に説明する様々な特徴を1つ又は組み合わせて組み入れてもよい。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩の蒸解により、フッ化物(例えば、三フッ化アルミニウム又は四フッ化ケイ素)を生成するための方法を含んで成る。蒸解反応は、水性環境又は略無水環境で生じてもよい。又、本発明は、副産物であるシランとフルオロアルミン酸塩の生成方法と、これら副産物を使用して、三フッ化アルミニウムと四フッ化ケイ素とから選択される原料の生成とを含んで成る。
【0012】
一般的に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属およびアルミニウムのフッ化物塩と硫酸と塩酸とから選択される酸とを接触させることによって、フッ化物化合物(例えば、三フッ化アルミニウム又は四フッ化ケイ素)と、フッ化水素とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩又は硫化物塩等の様々な副産物とを生成する反応が進行する。四フッ化ケイ素を生成させる場合、反応はケイ素源の存在下で進行してもよい。ケイ素源がない場合に反応が生じる場合、三フッ化アルミニウムが生成される。
【0013】
本発明の目的達成のため、「アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩」は、一般的な分子式MAlの化合物を含んで成る。x、yおよびzは、1〜20の整数であり又は1〜10の整数である。Mは、アルカリ金属又はアルカリ土類金属である。又、フッ化物塩は、本発明の範囲から逸脱することなく「フッ化アルミニウム塩」、「フルオロアルミン酸塩」又は単に「塩」と一般的に呼ばれてもよい。一般的に、塩の構造は本発明には不可欠なものではなく、フッ素原子、アルミニウム原子およびアルカリ金属又はアルカリ土類金属の原子を含んで成る塩が制限されることなく、使用されてもよい。ある態様では、本発明に従い使用されるフッ化物塩は、一般的な分子式MAl(2x/p+3y)の化合物を含んで成る。Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属である。Mがアルカリ金属である場合、pは2である。Mがアルカリ土類金属である場合、pは1である。
【0014】
特定の学説に縛られることなく、ケイ素がない場合にフルオロアルミン酸塩と塩酸とを接触させる際に生じる反応は下記の化学式により表されてもよいとされている。

Al(2x/p+3y)+(2x/p)HCl→yAlF+(2x/p)HF+xMCl2/p (i)

Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属である。Mがアルカリ金属である際、pは2である。Mがアルカリ土類金属である際、pは1である。例えば、アルミニウムのフッ化物塩がNaAlFである場合、反応は次のとおり進行する。

NaAlF+HCl→AlF+HF+NaCl (ii)
【0015】
塩が(チオライトとして周知である)NaAl14である場合、反応は次のとおり進行する。
NaAl14+5HCl→3AlF+5HF+5NaCl (iii)
【0016】
塩が(クリオライトとして周知である)NaAlFである場合、反応は次のとおり進行する。
NaAlF+3HCl→AlF+3HF+3NaCl (iv)
【0017】
塩がBaAl12である場合、反応は次のとおり進行する。
BaAl12+6HCl→2AlF+6HF+3BaCl (v)
【0018】
フルオロアルミン酸塩が(SiO等の)ケイ素源の存在下で酸と接触すると、反応は次のとおり進行するとされている。
Al(2x/p+3y)+(x/2p+3y/4)SiO+(2x/p+3y)HCl→
(x/2p+3y/4)SiF+(x/p+3y/2)HO+xMCl2/p+yAlCl (vi)

Mおよびpは上記のとおり規定されている。例えば、アルミニウムのフッ化物塩がNaAlFである場合、反応は反応式(vii)に従い進行する。
NaAlF+SiO+4HCl→SiF+2HO+NaCl+AlCl (vii)
【0019】
塩がNaAl14である場合、反応は反応式(Viii)に従い進行する。
NaAl14+3.5SiO+14HCl→
3.5SiF+7HO+5NaCl+3AlCl (viii)
【0020】
塩がNaAlFである場合、反応は反応式(ix)に従い進行する。
NaAlF+1.5SiO+6HCl→
1.5SiF+3HO+3NaCl+AlCl (ix)

【0021】
塩がBaAl12である場合、反応は反応式(x)に従い進行する。
BaAl12+3SiO+12HCl→
13SiF+6HO+3NaCl+2AlCl (x)
【0022】
上記の反応式には出発物質としてHClを使用することが示されているが、限定されることなく、硫酸等の他の酸が使用されてもよいことは理解されよう。この点に関して、上記反応は例示目的で示したものであり、限定的に解釈されるべきではない。
【0023】
本発明の方法の典型的な態様は、任意にケイ素源があろうとなかろうと反応槽にフルオロアルミン酸塩と(例えばHCl又は硫酸等の)酸を導入することを含んで成る。三フッ化アルミニウム(AlF)又は四フッ化ケイ素(SiF)等のフッ化物といくつかの副産物とが生成される。フッ化物および副産物並びに未反応の出発物質を精製システムに導入して、フッ化物が分離され、および/又は副産物が精製され、単離されてもよい。
【0024】
<反応出発物質>
様々な態様では、フルオロアルミン酸塩供給物質(同義的に「フルオロアルミン酸塩原料」、「フルオロアルミン酸塩流出液」又は単に「流出液」)は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属フルオロアルミン酸塩を含んで成る。適当なアルカリ金属又はアルカリ土類金属フルオロアルミン酸塩は、フルオロアルミン酸塩リチウム、フルオロアルミン酸塩ナトリウム、フルオロアルミン酸塩カリウム、フルオロアルミン酸塩マグネシウム、フルオロアルミン酸塩バリウム、フルオロアルミン酸塩カルシウムおよびこれらの混合物を含んで成る。ナトリウム原料の幅広い有用性を踏まえて、苛性ソーダやカリウム等は、経済的に反応させて水素化アルミニウム・ナトリウムを生成させてよく、四フッ化ケイ素と反応させてシランを生成させてよく、フルオロアルミン酸塩は、シラン生成物の副産物として生成されるフルオロアルミン酸塩ナトリウムであってもよい。1つよりも多いフッ化アルミン酸は、本発明の範囲から逸脱することなく、フルオロアルミン酸塩原料に含まれていてもよい。フルオロアルミン酸塩原料は、NaAlF4、NaAl14およびNaAlFの少なくとも1つを含んで成ってよく、ある態様では、NaAlF4、NaAl14およびNaAlFの混合物を含んで成る。
【0025】
フルオロアルミン酸塩原料の純度は、原料中の未反応の不純物を後続の工程の間に除去する場合、それ程重要ではない。フルオロアルミン酸塩原料は、三フッ化ケイ素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物塩および/又はアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩、および/又はアルミニウム又は他の不純物を含んで成ってよい。様々な態様では、フルオロアルミン酸塩原料は、無水ベースで約15重量%以下の不純物又は約10重量%以下の不純物を含んで成る。本発明の目的のため、「不純物」という用語は、例えば三フッ化アルミニウムやフッ化物塩(例えば、NaF)等のフルオロアルミン酸塩以外の化合物を指す。
【0026】
フルオロアルミン酸塩原料中の水分量は重要ではない。一般的に、フルオロアルミン酸塩原料は、固体状および/又はドライ状であってよい(すなわち、一般的に流動性があってよい)。しかしながら、ある態様では、フルオロアルミン酸塩原料は溶媒に溶解される。一般的に、溶媒が使用される場合、水以外の溶媒は、水中のフルオロアルミン酸塩に対して低溶解性であるため好ましい。適当な溶媒は非極性であり、例えば、ジメトキシエタン(DME)やトルエンを含んで成ってよい。固体状のフルオロアルミン酸塩原料は、約5重量%以下、約1重量%以下又は約0.1重量%以下の水を含んで成ってよい。フルオロアルミン酸塩原料の粒子径は、固体が反応し易くなるために相対的に小さくてもよい。しかしながら、原料物質は、困難なく操作し易くするために十分に大きくてもよい。1つ又はそれよりも多い態様では、フルオロアルミン酸塩原料の粒子径は、約500μm以下、他の態様では約300μm以下、約100μm〜約500μm又は約200μm〜約300μmであってよい。ある態様では、フルオロアルミン酸塩は、反応器(又は反応ベッセル;reaction vessel)へ物質を運ぶため水溶溶液中に含まれる(すなわち、水門形式のシステムが活用されてもよい)。
【0027】
フルオロアルミン酸塩原料は、副産物としてフルオロアルミン酸塩を生成する工程を含む周知のフルオロアルミン酸塩の生成方法の何れかによって生成されてもよい。ある態様では、フルオロアルミン酸塩原料は、シラン生成の副産物である。シランは、目的が関連し一致しているため本明細書に組み入れられている下記の「シランとフッ化生成物の生成」と題する章で説明されるように、又米国特許第4632816号中で説明されるように、水素化アルミニウム(例えば、四水素化アルミニウム・リチウム又はナトリウム)と四フッ化ケイ素との反応により生成されてもよい。一般的に、そのような工程は、液体反応媒体に含まれる(溶解性又はスラリー状の)固形物である副産物を有した液体反応媒体を生成する。固形物である副産物は、典型的にはフルオロアルミン酸塩を多く含んで成り、本発明のフルオロアルミン酸塩原料として使用されてもよい。
【0028】
フルオロアルミン酸塩原料中のフルオロアルミン酸塩の量は、乾燥ベースでフルオロアルミン酸塩原料の少なくとも約30重量%であってよい。又、他の態様では、フルオロアルミン酸塩原料中のフルオロアルミン酸塩の量は、乾燥ベースでフルオロアルミン酸塩原料の少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、約30重量%〜約95重量%又は約70重量%〜約95重量%である。
【0029】
一般的に、フルオロアルミン酸塩原料は、下記により詳細に説明するように酸性の原料・ストリームにある酸と反応する。適当な酸は、HCl、硫酸又はこれらの混合物を含んで成る。ある態様では、酸性の原料・ストリームは、HClを含んで成り、酸性の原料・ストリーム中の酸としてHClを含んで成ってよい。HClが水溶溶液中に含まれる態様では、HClの濃度は重量ベースで水溶溶液の少なくとも約2.5重量%、少なくとも約7.5重量%、少なくとも約9重量%、約3重量%〜約20重量%又は約3重量%〜約15重量%であってもよい。硫酸が水溶溶液中に含まれる態様では、硫酸の濃度は重量ベースで水溶溶液の少なくとも約50重量%、少なくとも約75重量%、少なくとも約90重量%又は約75重量%〜約99重量%であってもよい。
【0030】
硫酸とHClとの混合物は、酸性の原料・ストリームで使用されてもよい。この混合物は、乾燥ベースで少なくとも約10重量%、少なくとも約25重量%、少なくとも約50重量%、少なくとも約75重量%又は少なくとも約90重量%のHClを含んでよい。ある態様では、酸性の原料はHClを含み硫酸を含まず、又は硫酸を含みHClを含まなくてもよい。
【0031】
他の態様では、酸は実質的には無水のガス・ストリームである。本発明の目的のため、「実質的に無水」とは一般的に約5重量%以下の水を含むプロセス・ストリームを指す。ある態様では、酸性の原料は約1重量%以下の水又は約0.1重量%以下の水を含んで成る。
【0032】
上記に示すように、ケイ素源は任意には反応混合物に含まれてもよい。ケイ素があることで、フッ化生成物が決定される(すなわち、SiFはケイ素存在下で形成され、AlFはケイ素がない状態で形成される)。ケイ素源は、砂(すなわち、SiO)、石英、フリント、珪藻岩、無機ケイ酸塩、冶金級ケイ素(又は冶金グレードケイ素)(すなわち、多結晶シリコン)、フュームドシリカ、フルオロケイ酸塩およびこれらの混合物を含んで成る。ある量のケイ素不純物は、(例えば、フルオロアルミン酸塩原料がシラン生成物の副産物である場合、)フルオロアルミン酸塩原料にあってもよい。
【0033】
<反応条件>
一般的に、本発明の反応により反応器中でフルオロアルミン酸塩原料と酸性の原料とが接触して、反応混合物が適当に形成される。この反応は、下記により詳細に説明するように、水溶性又は無水環境で生じてもよい。
【0034】
反応器に追加する酸とフルオロアルミン酸塩とのモル比は、フルオロアルミン酸塩の出発物質に依存し、又反応i〜xにより決定されてもよい化学量論比であってよい(例えば、反応iiiでは1モルのチオライトにつき5モルの酸が添加される)。又、過剰のモル濃度の酸が使用されてもよい。(例えば、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約250%又は少なくとも約500%の過剰のモル濃度の酸が使用されてもよい)。様々な態様では(すなわち、使用されるフルオロアルミン酸塩の出発物質により)、反応器に供給される酸(例えば、HCl又は硫酸)と反応器に供給されるフルオロアルミン酸塩の量とのモル比(すなわち、)は、少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約10:1、少なくとも約25:1、少なくとも約50:1又は少なくとも約100:1であってよい。ある態様では、このモル比は、約1:1〜約100:1、約1:1〜約50:1又は約1:1〜約25:1である。
【0035】
ケイ素源(例えば、砂)は、化学量論比近傍であるフルオロアルミン酸塩に対する比で反応器に追加されてもよい。例えば、上記の反応式vi〜xに示されるように、反応混合物に追加されるケイ素原子とフッ素原子との比は約1:4である。又、ケイ素は過剰のモル濃度で追加されてもよい。例えば、反応混合物に追加されるケイ素原子とフッ素原子とのモル比は約1:3.5より大きく、約1:3より大きく、約1:2より大きく又は少なくとも約1:1であってよい。又、又は更に、過剰なケイ素のモル濃度は、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、少なくとも約50%、少なくとも約100%、少なくとも約250%又は少なくとも約500%であってよい。この点に関して、ケイ素源は、上記に示した以外の量で追加されてもよいことに留意する必要がある。ケイ素をおおよそ化学量論比以下の比で追加して、反応生成物が四フッ化ケイ素と三フッ化アルミニウムの両方を含んで成ってもよい(すなわち、ケイ素が存在する際、反応により四フッ化ケイ素が生じ、ケイ素が消費され存在しない際、反応により三フッ化アルミニウムが生じるのである)。ケイ素は、反応器に個々に反応器に追加してもよく、又は反応器に導く前にフルオロアルミン酸塩原料と混合してもよい。
【0036】
<水溶性の反応システム>
ある態様では、酸性の水溶溶液が反応システムで使用される。酸はフルオロアルミン酸塩が供給される反応器にある。酸は連続式工程等で反応器に連続的に供給されてもよく、又は少ない量の酸がバッチ工程等で供給されてもよい。酸は、反応器中にある水溶溶液に溶解している酸性の水溶溶液又はガスとして供給されてもよい。
【0037】
水性の反応システムでは、反応器の内容物は、例えば機械性の攪拌機(インペラ又はバブリング)により連続的に混合されてもよい。水性の反応システムを作用させる態様では、反応器の温度は大気温度(約20℃〜約25℃)である。又、又は更に、反応器の温度は、反応の間制御される必要はない。すなわち、ある態様では、外部からの加熱又は冷却を必要としない。他の態様では、反応器の温度は、少なくとも約100℃、少なくとも約150℃、少なくとも約200℃、大気温度〜約300℃、大気温度〜約250℃又は約100℃〜約250℃の温度で維持される。一般的に、酸の濃度が増えるにつれて、反応を完全に維持する反応器の温度は下がっていく。
【0038】
水性システムでの反応器のデザインは一般的に当業者が想到し得るものであり、所望の生産率、転化、操作温度等に依存する。目的が関連し一致しているため本明細書に組み入れられているペリーの化学技術者のハンドブック(1997年、第7版)のP23〜49に記載されているように、ある態様では、反応器は攪拌槽であり、他の態様では、反応器はスラリー気泡塔である。スラリー気泡塔は、連続的に追加することで操作してもよい。頂部側又は側部側の注入口からカラム内の水性反応混合物に(粉末状又はスラリー状の)フルオロアルミン酸塩物質を連続的に追加し、(スパージャーを通じて)酸液内でバブリングを行って、気泡塔を操作してもよい。反応スラリーはカラムの底部から除去してもよい。又、スラリー気泡塔は、底部に位置するスパージャーにより追加される酸性ガスを有する各ストリームを頂部側又は側部側から反応器へ追加するバッチモードで操作してもよい。反応は所望の滞留時間の間に生じてもよいし、次いで、反応の内容物はリアクターから除去されてもよい。
【0039】
反応器の圧力は、おおよそ大気圧であってよく、又は少なくとも約5バール、少なくとも約10バール、少なくとも約15バール、おおよそ大気圧〜約20バール、おおよそ大気圧〜約15バール、又はおおよそ大気圧〜約10バールの圧力で維持されてもよい。
【0040】
一般的に、バッチシステムでは、少なくとも約10分、少なくとも約30分、少なくとも約60分、少なくとも約90分、約10分〜約120分、又は約15分〜約60分で反応を進めることができる。連続システムでは、反応器中の滞留時間は、約1分〜約60分又は約5分〜約30分であってよい。
【0041】
<無水反応システム>
ある態様では、フルオロアルミン酸塩と接触する酸は、実質的には無水ガス・ストリームである。例えば、流動床反応器等のフルオロアルミン酸塩と任意にケイ素源とが懸濁される反応器に実質的に無水の酸(実質的に無水のHCl又は硫酸)を供給してもよい。
【0042】
無水システムでの反応器のデザインは、一般的に当業者が想到し得るものであり、所望の生産率、転化、操作温度等に依存する。反応システムは、本発明の範囲から逸脱することなくバッチ、連続式又はセミバッチであってよい。流動床リアクターが反応器として使用される態様では、流動床リアクターは一般的に垂直円筒形状の容器であってもよい。しかしながら、流動床操作に好ましい構造が利用されてもよい。容器の特定の大きさは、本発明の範囲から逸脱することなく、所望のシステム出力、熱移動効率およびシステム流体力学等のシステムによって異なるシステムデザインのファクターに依存する。
【0043】
反応システムの操作の間、流動床リアクターの反応域を通る流動化ガス速度は、フルオロアルミン酸塩と任意のケイ素源の最小の流動化速度よりも大きく維持される。流動床リアクターを通るガス速度は、一般的に、流動床内の粒子を流動させるため最小流動速度の約1〜約8倍の速度で維持される。ある態様では、ガス速度は、流動床内の粒子を流動させるため最小流動速度の約2倍〜約5倍であり、又約4倍であってよい。最小流動速度は、ガスや含有する粒子の特性に応じて変わる。(目的が関連し一致しているため本明細書に組み入れられているペリーの化学技術者のハンドブック(第7版)のP17−4に示すように)最小流動速度は、標準的な手段により決定されてもよい。本発明は特定の最小流動速度に限定されるものではないが、本発明に有用な最小流動速度は、約0.7cm/sec〜約350cm/sec又は約6cm/sec〜約150cm/secである。
【0044】
最小流動流速よりも速いガス速度がしばしば生産性をより高めるために望まれる。ガス速度が最小流動速度よりも速くなると、過剰なガスは気泡を形成し、流動床の空隙率を増やす。流動床は、気泡およびケイ素粒子と接触するガスを含んで成る「エマルジョン」から構成されると考えられている。エマルジョンの性質は、最小流動状態での流動床の性質にかなり似ている。エマルジョン中の局所的な空隙率は、最小の流動床の空隙率に近い。従って、気泡は、最小流動化を得るために必要とされるガスよりも過剰に導かれるガスにより発生する。最小流動速度に対する実際のガス速度の比率が増えるにつれて、気泡が形成され易くなる。その比率が高いと、ガス化した大きなスラグが流動床に形成される。流動床の空隙率が全ガス流速と共に増えると、固気相間の接触効果が低くなる。流動床の体積により、流動床の空隙率が増えてフッ化生成物への転化が減ることで、反応ガスと接触する固体の表面積は減る。従って、ガス速度を制御して受容可能な範囲内で転化を維持する必要がある。
【0045】
(流動床リアクター以外の反応器が使用される態様を含んで成る)反応器の温度は、少なくとも約75℃、少なくとも約150℃、少なくとも約200℃、約75℃〜約300℃又は約75℃〜約200℃の温度で維持されてもよい。そのような温度での反応域を維持するために使用される熱は、反応器壁の外部に配置される電気的抵抗ヒーター等の標準的な加熱システムにより供されてもよい。反応器は、約1バール〜約20バール又は約1バール〜約10バールの圧力で操作してもよい。リアクター中の滞留時間は、約10分以下、約5分以下又は約1分以下であってよい。
【0046】
一般的に、フッ化生成物を生成するための水性システムと無水システムとでは、フルオロアルミン酸塩のフッ化生成物への転化率は少なくとも約50%であり、他の態様では、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約90%又は少なくとも約95%(例えば、約50%〜約98%、約60%〜約98%又は約75%〜約98%)であってよい。
【0047】
上記の反応を行うことが可能なリアクターが、本発明の範囲から逸脱することなく使用されてもよいことに留意する必要がある。更に、本発明の実施態様のプロセスは、連続式システム又はバッチシステムで行われてよい。又、本発明の実施態様のプロセスは、単一の反応器で行われてもよく、又は直列に又は並列に構成された1つ又はそれよりも多い反応器を組み入れてもよい。
【0048】
<フッ化生成物の回収と副産物の処理>
本発明の方法は、一般的に1つ又はそれよりも多い副産物を有した(例えば、三フッ化アルミニウムおよび/又は四フッ化ケイ素等の)フッ化生成物の準備を含んで成る。上記に記載する様々な反応生成物と副産物とを表1に示し、下記により詳細に説明する。(例えば、三フッ化アルミニウムおよび/又は四フッ化ケイ素等の)フッ化生成物を分離し、精製するための装置および方法は、制限されることなく当業者に周知で、利用可能な装置および方法から選択されてもよい。無水システムがスラリー処理操作を含んでいない場合、無水システムは一般的に水性システムより操作し易い。しかしながら、無水システムは、フルオロアルミン酸塩原料(および、あるならばケイ素源)の制御された粒子径分布の影響を受け、より高い処理温度の影響を受けるかもしれない。
【0049】
表1:水性および無水システム並びにケイ素がある時およびケイ素がない時に生成される生成物および副産物

【0050】
ケイ素源を含んでいない水性システムでは、反応完了後、反応混合物は、反応混合物中にスラリー状の三フッ化アルミニウムの生成物を含んで成る。又、(例えば、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩化物又は硫化物等の)酸塩は、典型的にはスラリー状の固体として存在し、および/又は水性の反応混合物に溶解される。又、反応により、反応混合物に溶解してもよく、又は流出液ガス中の反応混合物から引き抜かれてもよい多くのフッ化水素を生成してもよい。又、この流出液ガスは多くの水素ガスと未反応で気化した酸とを含んでもよい。
【0051】
スラリー状のフッ化生成物を含んで成る液体の反応混合物は、三フッ化アルミニウム生成物と(例えば、塩化物塩および/又は硫化物塩等の)酸塩とを含む固体留分およびフッ化水素、酸塩および多くの未反応の酸を含んで成る液体留分を生成するために、固−液分離ユニットに導かれてもよい。固−液分離ユニットは、一般的に周知のものであり、例えば、遠心分離機、デカンター、(例えば、ふるいスクリーン等の)フィルター等を含んで成る。
【0052】
塩から固体状の三フッ化アルミニウムの生成物を分離するために、固体留分を1つ又はそれよりも多い洗浄ユニットに導いてもよい。一般的に、塩は、三フッ化アルミニウム生成物よりも水中に溶解し易い。洗浄ユニットは、水相に塩が溶解できるように、十分な時間フッ化物/塩の固体留分と水とが接触することにより一般的に操作される。次いで、生成物回収のため第2次固−液分離ユニットによって、塩を豊富に有した水がスラリー状の三フッ化アルミニウム生成物から分離される。この第2次固−液分離ユニットは洗浄ユニット部を形成してもよい。多くの洗浄ユニットは使用されてもよく、制限されることなく直列に又は並列に配置されてもよい。使用された洗浄水は、商業的に販売する塩を回収するために(フラッシュ乾燥等の乾燥により)処理されてもよく、又は下記に説明するように更に処理されてもよい。
【0053】
三フッ化アルミニウムの生成物は、残水を除去するために外部ヒーターを追加して乾燥されてもよく、および/又は生成物から追加の水および/又は酸を除去するために減圧されてもよい。適当な乾燥温度は、少なくとも約50℃、少なくとも約100℃、少なくとも約130℃、約50℃〜約150℃又は約100℃〜約150℃である。
【0054】
この点に関して、三フッ化アルミニウムがフッ化生成物として生成される際、三フッ化アルミニウムは水和物の形で多く存在してもよい。特定の学説に縛られることなく、固−液分離装置から脱水される三フッ化アルミニウムの固体物(例えば、ろ過ケーキ)は、三水和物(AlF・3HO)の形状である。更に、乾燥物は生成物の脱水により得られ、少なくとも1つのモノ水和物、セミ水和物又は三フッ化アルミニウムの無水形成物の形状で得られる。
【0055】
固−液分離装置中の固体留分から分離された液体留分と、反応器から除去される流出液ガスを蒸留カラムに導いて、1つ又はそれよりも多い未使用の酸、フッ化水素および水素ガスが除去、分離されてもよい。蒸留方法のデザインと操作は、一般的に当業者に自明の範囲であり、原料の組成、所望の回収された生成物、所望の回収物等を含んで成る様々なファクターによる。未反応の酸は連続式システム中の反応器に再循環させてもよい。
【0056】
例えば、無水酸性ガスがフルオロアルミン酸塩物質から成る流動床を通じて泡立てられる流動床操作等のケイ素が存在しない無水システムでは、反応により、リアクターから引き抜かれる固体状の三フッ化アルミニウム生成物が生成される。生成物の粒子は、下記に示すように分離されてもよい固体状の(例えば、NaCl、NaHSO又はNaSO等の)副産物塩を含んでもよい。フッ化水素および水素ガスは、未反応の酸を有する反応器から引き抜かれるガス状の副産物として発生してもよい。
【0057】
ケイ素が存在しない無水システムでは、典型的に三フッ化アルミニウム生成物と塩とを含んで成る粒子は、1つ又はそれよりも多い洗浄ユニットに導入されて、三フッ化アルミニウム生成物から塩が分離されてよい。この洗浄ユニットは、上記で説明した水性システムでの洗浄ユニットと同様であってよい。洗浄後、上記に示すように、フッ化生成物を少なくとも部分的に脱水するために、固体状の生成物を乾燥してもよい。反応器から除去される使用済みガスを蒸留して、未反応の酸、フッ化水素および水素ガスの少なくとも1つが回収されてもよい。
【0058】
水性および無水システムでは、ケイ素が反応器にあり、反応に利用できる場合、四フッ化ケイ素ガスは生成物として生成される。水性システムでは、酸塩は、副産物として反応混合物内にスラリー状にされてもよい。又、水性システムでは、反応により反応混合物に溶解し、および/又は生成ガスを有する反応混合物から引き抜かれてもよいフッ化水素が生成されてもよい。又、この生成ガスは、蒸発した酸および/又は副産物であるFSiOSiFを含んでもよい。
【0059】
ケイ素源を含む水性システムでは、反応の間、固体状のフルオロアルミン酸塩が(NaCl、NaHSO又はNaSO)粒子状の塩に分解する。フッ化水素は、未反応の酸と四フッ化ケイ素とを有する反応器から引き抜かれるガス状の副産物として発生してもよい。四フッ化ケイ素生成ガスを生成する水性および無水システムでは、四フッ化ケイ素ガスは、制限されることなく組み合わせて多く操作され、直列に又は平行に操作されてもよい蒸留、(例えば、未反応のHFを除去するための硫酸浴等の)酸浴および/又は(例えば、酸を除去するための亜鉛系吸収装置等の)吸収ユニットにより他のガスから分離されてもよい。四フッ化ケイ素生成ガスは、液体生成物として保存するため凝縮されてもよく、および/又は、例えばシラン生成のためアルカリ金属又はアルカリ土類金属と四水素化アルミニウムとの反応により更に処理されてもよい。
【0060】
ある態様では、水性又は無水の酸が使用されるか否かに関わらず、又ケイ素の存在下で反応が生じるか否かに関わらず、副産物であるフッ化水素を適当にケイ素源と反応させて、四フッ化ケイ素ガスを生成させてもよい。フッ化水素は、蒸留カラム中の他のガスから分離されてもよい。この点に関して、酸は四フッ化ケイ素の生成を妨げないため、フッ化水素から未反応の酸を除去する必要はないことに留意することを要する。フッ化水素は、四フッ化ケイ素を生成するために(例えば、砂等の)ケイ素源が充填床又は流動床等にある反応器に導入されてもよい。四フッ化ケイ素ガスを硫酸で洗浄して、副産物であるガスを更に除去してもよく、又四フッ化ケイ素ガスを好ましくは亜鉛媒体を有した吸収装置に導入して未反応の酸を除去してもよい。
【0061】
(例えば、反応溶液に存在し、および/又は洗浄操作の間溶解する)溶解した塩化物又は硫化物塩が乾燥により回収されてもよい。この乾燥操作により、典型的には反応溶液にある再使用のため回収可能な未反応の酸が気化される。回収された副産物である塩化物塩又は硫化物塩は、商業的に販売されてもよく、又はフルオロケイ酸と反応させて出発の酸(HCl又は硫酸)を再生し、(例えば、四フッ化ケイ素等の)本発明のフッ化生成物の生成のための出発物質として使用されるフルオロケイ酸塩を生成してもよい。例えば、フルオロケイ酸塩は、四フッ化ケイ素を生成するためのケイ素源として使用されてもよい。
【0062】
<シランとフッ化生成物の生成>
上記で説明するフッ化物の生成方法は、一般的にシラン生成の工程に組み入れられることで、シラン生成の副産物を使用して価値のある追加の生成物を生じさせてもよい。1つ又はそれよりも多い典型的な態様では、四フッ化ケイ素を四水素化アルミニウムのアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩と接触させて、1つ又はそれよりも多いフルオロアルミン酸塩を含んで成るシランと流出液とを生成させる。上記に示すように、フルオロアルミン酸塩を酸と接触させて、(ケイ素が存在しない時)三フッ化アルミニウム又は(ケイ素存在下で)四フッ化ケイ素およびフッ化生成物から分離されてもよい少なくとも1種の副産物が生成されてもよい。
【0063】
四フッ化ケイ素の出発物質はフルオロケイ酸の蒸発溶液により生成されてもよい。又、又は更に、四水素化アルミニウムと反応してシランを生成する四フッ化ケイ素の一部は、上記に記載した方法により作り出されてもよい。四水素化アルミニウムのアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩は、高圧および高温度の下で元素前駆体(Na、AlおよびH)と反応することにより生成されてもよい。
【0064】
シラン生成物は、概して目的が関連し、一致しているため本明細書に組み入れられている米国特許第4632816号で説明されている。ガス状の四フッ化ケイ素は、四水素化アルミニウム塩を含んで成る攪拌された液体反応媒体に導かれてもよい。液体反応媒体は、(ジグリム、モノグライム又はジオキサン等の)ポリエーテル、(トルエン又はペンタン等の)炭化水素およびこれらの混合物から選択される溶媒を含んでもよい。反応混合物は約30℃〜約80℃に維持されてもよく、大気圧が使用されてもよい。又、反応混合物は、例えば約100atm以上の高圧に維持されてもよい。ある態様では、反応媒体は、約1〜約10atmの圧力に維持される。
【0065】
化学量論量の四フッ化ケイ素と四水素化アルミニウムとを使用して、シランを生成してもよい。しかしながら、ある態様では、過剰モルの四水素化物を使用することで、副産物の形成が抑制されてもよい。反応は、連続混合リアクター又はスラリー気泡塔等で回分式又は連続式に行われてもよい。
【0066】
反応によりシランガスとスラリー状のフルオロアルミン酸塩塩とが生じる。フルオロアルミン酸塩は、固−液分離ユニット(遠心分離機、デカンター、フィルター等)の使用等当業者に一般的に周知の手段により反応媒体から分離されてもよい。上記に説明するように、分離の際、フルオロアルミン酸塩を酸と共に反応器に導入して、フッ化生成物を生成してもよい。
【実施例】
【0067】
<実施例1:連続的に発生したガスを排出しながらフルオロアルミン酸塩の塩酸分解による 三フッ化アルミニウムの生成>
フッ化アルミニウム(NaAlF)ナトリウム、チオライト(NaAl14)およびクリオライト(NaAlF)(「フルオロアルミン酸塩混合物」)の固体状の混合物(15.7g)をシリカ(8g)と共に混合した。次いで、水性塩酸(36重量%で243g)を含んで成るテフロンビーカーに固体状の混合物を混合した。塩酸とフルオロアルミン酸塩混合物との初期のモル比は20:1であった。混合物を機械的に攪拌するため磁気スターラーをビーカーの底に配置した。ビーカーは1バールの大気圧にあり、20℃の大気温度にあった。フルオロアルミン酸塩粉末は水性塩酸と激しく反応して、連続的に排出されるガス(SiF)を生成した。フルオロアルミン酸塩混合物と水性の塩酸の灰色がかったスラリーが完全に白っぽいスラリーに変わるまで混合物を45分間攪拌した。スラリー中の液体を注ぎ出して、得られた固体混合物をランプで乾燥して、27.3gの固体を得た。乾燥させた固体物の分析により、重量ベースで塩素モル中のゲインと同等であるフッ素モルの11%が消失したことがわかった。化学量論に基づき、フルオロアルミン酸塩から三フッ化アルミニウム半水和物とフッ化水素への転化は約60%であると考えられる。
【0068】
<実施例2:密閉容器でフルオロアルミン酸塩の塩酸消化による三フッ化アルミニウムの生成>
テフロンの密閉分解容器でフルオロアルミン酸塩混合物(24.7g)と36重量%の塩酸とを混合した。容器と内容物とを150℃に加熱して、容器上に安全弁を設けて、100psigで開放した。30分の加熱後、容器の内容物を大気温度まで冷やし、安全弁を開放した。容器の重量損失、すなわち、開放されたガスは0.11gであった。分解容器中の液体を注ぎ出して、固体混合物をランプで乾燥させた。乾燥での固体物の収率は28%であった。得られた固体物を水で洗浄して、再度乾燥させた。二次乾燥物における固体物の収率は64%であった。化学量論に基づき、フルオロアルミン酸塩の三フッ化アルミニウム半水和物への転化は93%であった。
【0069】
本発明又は好ましい態様の要素を導く際、冠詞「a」、「an」、「the」および「said」は、1つ又はそれよりも多い要素があることを示している。用語「comprising」「including」および「having」は包含的な意味を示し、列挙した要素以外に追加の要素があってもよいことを示している。
【0070】
本発明の範囲から逸脱することなく、上記装置および方法に多くの変更を行うことができるので、上記記載に含まれ、添付図面に示される全事項はあくまでも例示であって、限定的な意味ではないと解釈されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四フッ化ケイ素を生成する方法であって、
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩を少なくとも約30重量%含んで成るフルオロアルミン酸塩原料、酸およびケイ素源を接触させて、四フッ化ケイ素と少なくとも1種の副産物とを生成することを含んで成る、方法。
【請求項2】
フルオロアルミン酸塩原料がシラン生成物の副産物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
四フッ化ケイ素を副産物から分離して、生成物として四フッ化ケイ素を回収する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ケイ素源が、砂、石英、フリント、珪藻岩、ケイ酸塩、冶金級ケイ素、ヒュームド・シリカ、フルオロケイ酸塩およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
フルオロアルミン酸塩原料が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩を少なくとも約50重量%、少なくとも約70重量%、少なくとも約80重量%、少なくとも約90重量%、約30重量%〜約95重量%又は約70重量%〜約95重量%を含んで成る、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
酸が塩酸、硫酸およびこれらの混合物から選択される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
酸が塩酸である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウムおよびこれらの混合物から選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩がNaAlF、NaAl14、NaAlFおよびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
フルオロアルミン酸塩原料が、NaAlF、NaAl14、NaAlFを含んで成る、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
又、フルオロアルミン酸塩原料がフッ化アルミニウムおよび/又はフッ化ナトリウムを含んで成る、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
フッ化水素とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩又は硫化物塩とが、副産物として生成される、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
塩化物塩が副産物として生成され、塩化物塩がLiCl、NaCl、KCl、MgCl、BaCl、CaClおよびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
塩化物塩がNaClである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
フッ化水素をケイ素源と接触させて、四フッ化ケイ素を生成する、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩およびケイ素源を水性酸と接触させる、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩およびケイ素源を反応器に導いて、四フッ化ケイ素を含んで成る生成ガスと副産物を含んで成るスラリーとを生成する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩とケイ素源とを連続的に反応器に供給して、スラリーと生成ガスとを連続的に反応器から除去する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
生成ガスが四フッ化ケイ素とフッ化水素とを含んで成る、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
蒸留塔でフッ化水素と四フッ化ケイ素とを分離することを含んで成る、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
スラリーを固−液分離装置に導いて、固体フラクションと液体フラクションとを生成し、固体フラクションがアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩又は硫化物塩を含んで成り、液体フラクションが水、フッ化水素、未反応の酸およびアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩又は硫化物塩を含んで成る、請求項18〜20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
蒸留塔で水、フッ化水素および未反応の酸の少なくとも1つを分離することを含んで成る、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩およびケイ素源を実質的に無水の酸で接触させる、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
フッ化物塩とケイ素源とを、流動化ガスとして酸を含んで成る流動床リアクターに導く、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
生成ガスとアルカリ金属又はアルカリ土類金属の粒状の塩化物塩又は硫化物塩とを流動床リアクターで生成させ、生成ガスが四フッ化ケイ素、フッ化水素および未反応の酸を含んで成る、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
蒸留塔で四フッ化ケイ素を少なくとも1つの他のガスから分離させることを含んで成る、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
フッ化物塩が約500μm以下の平均公称径を有する粒子である、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
フッ化物塩が約300μm以下の平均公称径を有する粒子である、請求項1〜26のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約10:1又は約1:1〜約25:1のモル比で酸とフッ化物塩とを反応器に加える、請求項1〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
反応器に加えられるフッ化物塩よりも少なくとも約5モル%、少なくとも約25モル%、少なくとも約50モル%、少なくとも約100モル%、少なくとも約250モル%又は少なくとも約500モル%多く反応器に酸を加える、請求項1〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
ケイ素原子数およびフッ素原子数基準で、約1:4、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2又は少なくとも約1:1のモル比でケイ素源とフッ化物塩とを反応器に加える、請求項1〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
反応器に加えられるフッ化物塩よりも少なくとも約5モル%、少なくとも約25モル%、少なくとも約50モル%、少なくとも約100モル%、少なくとも約250モル%又は少なくとも約500モル%多くケイ素原子が加えられるようにケイ素源を反応器に加える、請求項1〜31のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
フッ化物塩から四フッ化ケイ素への転化率が、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、約50%〜約98%、約60%〜約98%又は約75%〜約98%である、請求項1〜32のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
四フッ化ケイ素を生成する方法であって、
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩、酸およびケイ素源を接触させて、四フッ化ケイ素と少なくとも1種の副産物とを生成すること、および
副産物から四フッ化ケイ素を分離して、生成物として四フッ化ケイ素を回収することを含んで成る、方法。
【請求項35】
液体生成物として保存するため四フッ化ケイ素を凝縮する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
フッ化物塩がシラン生成物の副産物である、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
ケイ素源が、砂、石英、フリント、珪藻岩、ケイ酸塩、冶金級ケイ素、ヒュームド・シリカ、フルオロケイ酸塩およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項34〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
酸が塩酸、硫酸およびこれらの混合物から選択される、請求項34〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
酸が塩酸である、請求項34〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウムおよびこれらの混合物から選択される、請求項34〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩がNaAlF、NaAl14、NaAlFおよびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項34〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
NaAlF、NaAl14およびNaAlFの混合物を酸と接触させる、請求項34〜39のいずれかに記載の方法。
【請求項43】
又、混合物がフッ化アルミニウムおよび/又はフッ化ナトリウムをも含んで成る、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
フッ化水素とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩又は硫化物塩とが、副産物として生成される、請求項34〜43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
塩化物塩が副産物として生成され、塩化物塩がLiCl、NaCl、KCl、MgCl、BaCl、CaClおよびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
塩化物塩がNaClである、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
フッ化水素をケイ素源と接触させて、四フッ化ケイ素を生成する、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩とケイ素源とを水性酸と接触させる、請求項34〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項49】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩およびケイ素源を反応器に導いて、四フッ化ケイ素を含んで成る生成ガスおよび副産物を含んで成るスラリーを生成する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩とケイ素源とを連続的に反応器に供給し、スラリーと生成ガスとを連続的に反応器から除去する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
生成ガスが四フッ化ケイ素とフッ化水素とを含んで成る、請求項49又は50に記載の方法。
【請求項52】
蒸留塔でフッ化水素と四フッ化ケイ素とを分離することを含んで成る、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
スラリーを固−液分離装置に導いて、固体フラクションと液体フラクションとを生成し、固体フラクションがアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩又は硫化物塩を含んで成り、液体フラクションが水、フッ化水素、未反応の酸およびアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩又は硫化物塩を含んで成る、請求項50〜52のいずれかに記載の方法。
【請求項54】
蒸留塔で水、フッ化水素および未反応の酸の少なくとも1つを分離することを含んで成る、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩およびケイ素源を実質的に無水の酸と接触させる、請求項34〜47のいずれかに記載の方法。
【請求項56】
フッ化物塩とケイ素源とを、流動化ガスとして酸を含んで成る流動床リアクターに導く、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
生成ガスとアルカリ金属又はアルカリ土類金属の粒状の塩化物塩又は硫化物塩とを流動床リアクターで生成させ、生成ガスが四フッ化ケイ素、フッ化水素および未反応の酸を含んで成る、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
蒸留塔で四フッ化ケイ素を少なくとも1つの他のガスから分離させることを含んで成る、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
フッ化物塩が約500μm以下の平均公称径を有する粒子である、請求項34〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
フッ化物塩が約300μm以下の平均公称径を有する粒子である、請求項34〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項61】
少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約10:1又は約1:1〜約25:1のモル比で酸とフッ化物塩とを反応器に加える、請求項34〜60のいずれかに記載の方法。
【請求項62】
反応器に加えられるフッ化物塩よりも少なくとも約5モル%、少なくとも約25モル%、少なくとも約50モル%、少なくとも約100モル%、少なくとも約250モル%又は少なくとも約500モル%多く反応器に酸を加える、請求項34〜61のいずれかに記載の方法。
【請求項63】
ケイ素原子数およびフッ素原子数基準で、約1:4、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2又は少なくとも約1:1のモル比でケイ素源とフッ化物塩とを反応器に加える、請求項34〜62のいずれかに記載の方法。
【請求項64】
反応器に加えられるフッ化物塩よりも少なくとも約5モル%、少なくとも約25モル%、少なくとも約50モル%、少なくとも約100モル%、少なくとも約250モル%又は少なくとも約500モル%多くケイ素原子が加えられるようにケイ素源を反応器に加える、請求項34〜63のいずれかに記載の方法。
【請求項65】
フッ化物塩から四フッ化ケイ素への転化率が、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、約50%〜約98%、約60%〜約98%又は約75%〜約98%である、請求項34〜64のいずれかに記載の方法。
【請求項66】
シランと四フッ化ケイ素とを生成する方法であって、
四フッ化ケイ素および四水素化アルミニウムのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩を接触させて、シランおよびアルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩を含んで成る流出液を生成すること、
流出液、酸およびケイ素源を接触させて、四フッ化ケイ素と少なくとも1種の副産物を生成すること、および
四フッ化ケイ素を副産物から分離することを含んで成る、方法。
【請求項67】
四水素化アルミニウムを含んで成る反応溶液を通じて四フッ化ケイ素を泡立てる、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
約30℃〜約80℃に維持されている反応媒体で、四フッ化ケイ素および四水素化アルミニウムを接触させる、請求項66又は67に記載の方法。
【請求項69】
固−液分離装置で反応媒体からフッ化物塩を分離する、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
副産物から分離された四フッ化ケイ素を使用して、四フッ化ケイ素と四水素化アルミニウムのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを反応させて、シランを追加的に生成する、請求項66〜69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
液体生成物として保存するため四フッ化ケイ素を凝縮する、請求項66〜70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
ケイ素源が、砂、石英、フリント、珪藻岩、ケイ酸塩、冶金級ケイ素、ヒュームド・シリカ、フルオロケイ酸塩およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項66〜71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
流出液が、約30重量%〜約95重量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩を含んで成る、請求項66〜72のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
流出液が、約70重量%〜約95重量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩を含んで成る、請求項66〜72のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
酸が塩酸、硫酸およびこれらの混合物から選択される、請求項66〜74のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
酸が塩酸である、請求項66〜74のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウムおよびこれらの混合物から選択される、請求項66〜76のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩がNaAlF、NaAl14、NaAlFおよびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項66〜76のいずれかに記載の方法。
【請求項79】
流出液がNaAlF、NaAl14およびNaAlFを含んで成る、請求項66〜76のいずれかに記載の方法。
【請求項80】
又、流出液がフッ化アルミニウムおよび/又はフッ化ナトリウムを含んで成る、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
フッ化水素とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩又は硫化物塩とが、副産物として生成される、請求項66〜80のいずれかに記載の方法。
【請求項82】
塩化物塩が副産物として生成され、塩化物塩がLiCl、NaCl、KCl、MgCl、BaCl、CaClおよびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
塩化物塩がNaClである、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
フッ化水素をケイ素源と接触させて、四フッ化ケイ素を生成する、請求項81に記載の方法。
【請求項85】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩およびケイ素源を水性酸と接触させる、請求項66〜84のいずれかに記載の方法。
【請求項86】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩およびケイ素源を反応器に導いて、四フッ化ケイ素を含んで成る生成ガスおよび副産物を含んで成るスラリーを生成する、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩とケイ素源とを連続的に反応器に供給して、スラリーと生成ガスとを連続的に反応器から除去する、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
生成ガスが四フッ化ケイ素とフッ化水素とを含んで成る、請求項86又は87に記載の方法。
【請求項89】
蒸留塔でフッ化水素と四フッ化ケイ素とを分離することを含んで成る、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
スラリーを固−液分離装置に導いて、固体フラクションと液体フラクションとを生成し、固体フラクションがアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩又は硫化物塩を含んで成り、液体フラクションが水、フッ化水素、未反応の酸およびアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩又は硫化物塩を含んで成る、請求項86〜89のいずれかに記載の方法。
【請求項91】
蒸留塔で水、フッ化水素および未反応の酸の少なくとも1つを分離することを含んで成る、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩およびケイ素源を実質的に無水の酸と接触させる、請求項66〜84のいずれかに記載の方法。
【請求項93】
フッ化物塩およびケイ素源を、流動化ガスとして酸を含んで成る流動床リアクターに導く、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
生成ガスとアルカリ金属又はアルカリ土類金属の粒状の塩化物塩又は硫化物塩とを流動床リアクターで生成させ、生成ガスが四フッ化ケイ素、フッ化水素および未反応の酸を含んで成る、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
蒸留塔で四フッ化ケイ素を少なくとも1つの他のガスから分離させることを含んで成る、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
フッ化物塩が約500μm以下の平均公称径を有する粒子である、請求項66〜95のいずれかに記載の方法。
【請求項97】
フッ化物塩が約300μm以下の平均公称径を有する粒子である、請求項66〜95のいずれかに記載の方法。
【請求項98】
少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約10:1又は約1:1〜約25:1のモル比で酸とフッ化物塩とを反応器に加える、請求項66〜97のいずれかに記載の方法。
【請求項99】
反応器に加えられるフッ化物塩よりも少なくとも約5モル%、少なくとも約25モル%、少なくとも約50モル%、少なくとも約100モル%、少なくとも約250モル%又は少なくとも約500モル%多く反応器に酸を加える、請求項66〜98のいずれかに記載の方法。
【請求項100】
ケイ素原子数およびフッ素原子数基準で、約1:4、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2又は少なくとも約1:1のモル比でケイ素源とフッ化物塩とを反応器に加える、請求項66〜99のいずれかに記載の方法。
【請求項101】
反応器に加えられるフッ化物塩よりも少なくとも約5モル%、少なくとも約25モル%、少なくとも約50モル%、少なくとも約100モル%、少なくとも約250モル%又は少なくとも約500モル%多くケイ素原子が加えられるようにケイ素源を反応器に加える、請求項66〜100のいずれかに記載の方法。
【請求項102】
フッ化物塩から四フッ化ケイ素への転化率が、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、約50%〜約98%、約60%〜約98%又は約75%〜約98%である、請求項66〜101のいずれかに記載の方法。
【請求項103】
シランと四フッ化ケイ素とを生成する方法であって、
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩を含んで成るフルオロアルミン酸塩原料、酸およびケイ素源を接触させて、四フッ化ケイ素と少なくとも1種の副産物とを生成すること、
副産物から四フッ化ケイ素を分離すること、および
四フッ化ケイ素と四水素化アルミニウムのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩とを反応させて、シランを生成することを含んで成る、方法。
【請求項104】
四水素化アルミニウムを含んで成る反応溶液を通じて四フッ化ケイ素を泡立てる、請求項103に記載の方法。
【請求項105】
約30℃〜約80℃に維持されている反応媒体で、四フッ化ケイ素および四水素化アルミニウムを接触させる、請求項103又は104に記載の方法。
【請求項106】
固−液分離装置で反応媒体からフッ化物塩を分離する、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
ケイ素源が、砂、石英、フリント、珪藻岩、ケイ酸塩、冶金級ケイ素、ヒュームド・シリカ、フルオロケイ酸塩およびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項103〜106のいずれかに記載の方法。
【請求項108】
フルオロアルミン酸塩原料が、約30重量%〜約95重量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩を含んで成る、請求項103〜107のいずれかに記載の方法。
【請求項109】
フルオロアルミン酸塩原料が、約70重量%〜約95重量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩を含んで成る、請求項103〜107のいずれかに記載の方法。
【請求項110】
酸が塩酸、硫酸およびこれらの混合物から選択される、請求項103〜109のいずれかに記載の方法。
【請求項111】
酸が塩酸である、請求項103〜109のいずれかに記載の方法。
【請求項112】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム、カルシウムおよびこれらの混合物から選択される、請求項103〜111のいずれかに記載の方法。
【請求項113】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩がNaAlF、NaAl14、NaAlFおよびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項103〜111のいずれかに記載の方法。
【請求項114】
フルオロアルミン酸塩原料がNaAlF、NaAl14およびNaAlFを含んで成る、請求項103〜111のいずれかに記載の方法。
【請求項115】
又、フルオロアルミン酸塩原料がフッ化アルミニウムおよび/又はフッ化ナトリウムを含んで成る、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
フッ化水素とアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩又は硫化物塩とが、副産物として生成される、請求項103〜115のいずれかに記載の方法。
【請求項117】
塩化物塩が副産物として生成され、塩化物塩がLiCl、NaCl、KCl、MgCl、BaCl、CaClおよびこれらの混合物から成る群から選択される、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
塩化物塩がNaClである、請求項117に記載の方法。
【請求項119】
フッ化水素をケイ素源と接触させて、四フッ化ケイ素を生成する、請求項116に記載の方法。
【請求項120】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩およびケイ素源を水性酸と接触させる、請求項103〜119のいずれかに記載の方法。
【請求項121】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩およびケイ素源を反応器に導いて、四フッ化ケイ素を含んで成る生成ガスおよび副産物を含んで成るスラリーを生成する、請求項120に記載の方法。
【請求項122】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩とケイ素源とを連続的に反応器に供給して、スラリーと生成ガスとを連続的に反応器から除去する、請求項121に記載の方法。
【請求項123】
生成ガスが四フッ化ケイ素およびフッ化水素を含んで成る、請求項121又は122に記載の方法。
【請求項124】
蒸留塔でフッ化水素と四フッ化ケイ素とを分離することを含んで成る、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
スラリーを固−液分離装置に導いて、固体フラクションと液体フラクションとを生成し、固体フラクションがアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩又は硫化物塩を含んで成り、液体フラクションが水、フッ化水素、未反応の酸およびアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩化物塩又は硫化物塩を含んで成る、請求項121〜124のいずれかに記載の方法。
【請求項126】
蒸留塔で水、フッ化水素および未反応の酸の少なくとも1つを分離することを含んで成る、請求項125に記載の方法。
【請求項127】
アルカリ金属又はアルカリ土類金属とアルミニウムとのフッ化物塩およびケイ素源を実質的に無水の酸と接触させる、請求項103〜119のいずれかに記載の方法。
【請求項128】
フッ化物塩およびケイ素源を、流動化ガスとして酸を含んで成る流動床リアクターに導く、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
生成ガスとアルカリ金属又はアルカリ土類金属の粒状の塩化物塩又は硫化物塩とを流動床リアクターで生成させ、生成ガスが四フッ化ケイ素、フッ化水素および未反応の酸を含んで成る、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
蒸留塔で四フッ化ケイ素を少なくとも1つの他のガスから分離させることを含んで成る、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
酸と接触するフッ化物塩が約500μm以下の平均公称径を有する粒子である、請求項103〜130のいずれかに記載の方法。
【請求項132】
酸と接触するフッ化物塩が約300μm以下の平均公称径を有する粒子である、請求項103〜130のいずれかに記載の方法。
【請求項133】
少なくとも約1:1、少なくとも約2:1、少なくとも約3:1、少なくとも約10:1又は約1:1〜約25:1のモル比で酸とフッ化物塩とを反応器に加える、請求項103〜132のいずれかに記載の方法。
【請求項134】
反応器に加えられるフッ化物塩よりも少なくとも約5モル%、少なくとも約25モル%、少なくとも約50モル%、少なくとも約100モル%、少なくとも約250モル%又は少なくとも約500モル%多く反応器に酸を加える、請求項103〜133のいずれかに記載の方法。
【請求項135】
ケイ素原子数およびフッ素原子数基準で、約1:4、少なくとも約1:3、少なくとも約1:2又は少なくとも約1:1のモル比でケイ素源とフッ化物塩とを反応器に加える、請求項103〜134のいずれかに記載の方法。
【請求項136】
反応器に加えられるフッ化物塩よりも少なくとも約5モル%、少なくとも約25モル%、少なくとも約50モル%、少なくとも約100モル%、少なくとも約250モル%又は少なくとも約500モル%多くケイ素原子が加えられるようにケイ素源を反応器に加える、請求項103〜135のいずれかに記載の方法。
【請求項137】
フッ化物塩から四フッ化ケイ素への転化率が、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約90%、約50%〜約98%、約60%〜約98%又は約75%〜約98%である、請求項103〜136のいずれかに記載の方法。

【公表番号】特表2013−516377(P2013−516377A)
【公表日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546531(P2012−546531)
【出願日】平成22年12月18日(2010.12.18)
【国際出願番号】PCT/IB2010/055927
【国際公開番号】WO2011/080657
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(392026316)エムイーエムシー・エレクトロニック・マテリアルズ・インコーポレイテッド (74)
【氏名又は名称原語表記】MEMC ELECTRONIC MATERIALS,INCORPORATED
【Fターム(参考)】