説明

回り縁部のコーナー部材

【課題】 建物の外壁をなすサイディングと、窓枠等の取付部材との間に使用されるJチャンネル部材などの回り縁部のコーナー部材であって、施工が容易で、施工時間もかからず、かつ見栄えの良い回り縁部のコーナー部材を提供する。
【解決手段】 本発明の回り縁部のコーナー部材は、Jチャンネル部材21のサイディング端部覆い板体23の内側面に当接する基板1と、Jチャンネル部材21のサイディング端部覆い板体23の外側面を覆うカバー部材2とからなり、基板1に設けられた可嵌合突部6と、前記カバー部材の裏面に設けられた可嵌合突部とが相互に嵌合することによって、Jチャンネル部材21同士が直交状に突き当てられる窓枠等のコーナー部に取付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物、構造物の外装材、特に外壁のリフォームに最適に用いられる合成樹脂サイディングと、窓枠等の取付部材との間に使用される回り縁部のコーナー部材、特には、Jチャンネル部材のコーナー部材に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂サイディング(以下、サイディングと略称する。)は、耐久性に優れ、塩害による錆や凍結融解によるひび割れもなく、また、目地にコーキングを必要とせず、撥水性、耐衝撃性に優れ、裏打ち材がなくても軽量で施工性も良好であることから、建物の長寿命の外装化粧材として、新築もしくは既存壁のリフォームに使用されており、今後急激な伸びが期待されている。
【0003】
このようなサイディングを、建物の外壁に用いた場合において、窓枠等の取付部材をサイディング上に配置して取付けるには、通常、取付部材とサイディングとの間には、合成樹脂製の回り縁部、例えば、Jチャンネル部材が用いられる。
このJチャンネル部材は、図5に示すように、窓枠20の周囲に当接状に配設して、Jチャンネル部材21の施工面取付板体22を、胴縁等の施工面24に固定し、前記施工面取付板体22とJチャンネル部材21のサイディング覆い板体23との間に、サイディングの端部を嵌め入れて固定している。
【0004】
しかし、Jチャンネル部材21を窓枠20等の取付部材の周囲に配設し、固定しようとすると、縦方向および横方向に配設したJチャンネル部材21、21同士が直交状に突き当てられる窓枠20のコーナー部分で、気温の変動等によるJチャンネル部材21の伸縮により、隙間25や変形が生じやすく、この隙間から塵等が入り込む上に、見栄えも悪い。
さらに、施工時に、Jチャンネル部材同士の直交部分を、隙間無く、見栄え良く施工するには手間もかかる。
そこで、施工を簡便にし、仕上がり外観を好適なものとするため、Jチャンネル部材同士の直交部分を、受部材31とカバー材51で覆う取付構造の例も見られる(特許文献1)(図6参照)。
【特許文献1】特許第306935号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記取付構造の例では、仕上がり外観を好適なものとすることができるものの、受部材31とカバー材51を、ネジを用いて、Jチャンネル部材同士が交差する窓枠のコーナー部分を固定するため、施工に手間がかかり、かつネジ一本で固定しているため、前記ネジを軸として回転する等、施工後の安定が悪く、雨水で錆びが発生したりして、見栄えが悪くなる。
そこで、本発明の課題は、Jチャンネル部材などの回り縁部を用いたコーナー部に使用するコーナー部材であって、施工が容易で、施工時間もかからず、かつ見栄えの良い回り縁部のコーナー部材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のJチャンネル部材の固定部材は、建物の外壁をなすサイディングと、窓枠等の取付部材との間に使用される回り縁部のコーナー部材であって、回り縁部のサイディング端部覆い板体の内側面に当接する基板と、回り縁部のサイディング端部覆い板体の外側面を覆うカバー部材とからなり、前記基板に設けられた可嵌合突部と、前記カバー部材の裏面に設けられた可嵌合突部とが相互に嵌合することによって、回り縁部のコーナー部に取付けられる構成である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、サイディング上に配置して取付けられる窓枠等の取付部材の設置に際し、コーナー部分における取付部材の固定施工が簡単かつ短時間で行なえ、さらには施工後の安定が良く、見栄えの良い取付けのできる回り縁部のコーナー部材を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を、図に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る回り縁部のコーナー部材の一例を示す斜視図であり、図2は、図1に示すコーナー部材の使用状態を示す模式的な部分斜視図である。図3は、図1に示すコーナー部材に係るカバー部材の模式的な底面図である。図4の(a)、(b)は、図1に示すコーナー部材に係る突部の模式的な部分断面図である。
【0009】
図1に示すように、本発明の回り縁部のコーナー部材は、基板1とこの基板1に嵌合するカバー部材2とから構成されている。
基板1は、縦横二方向に延びる板体3、4からなり、これらの板体の基点となる交差部5上には、三個の突部6が間隔をあけて設けられており、さらにこの交差部5から板体3、4の先端側には、それぞれ台部7が設けられている。
【0010】
カバー部材2は、基板1と同様、縦横二方向に延びる板状体13、14からなり、これらの板状体13、14の基点となる交差部15の裏面には、図3に示すように、基板1に設けられた三個の突部6に嵌合可能な突部16が間隔をあけて設けられている。
また、図1の上段に示すように、カバー部材2の板状体13から14に至る内側の側縁には、下方に伸びる側板17が連続して一体に形成され、カバー部材2の板状体13から14に至る外側の側縁には、下方に折曲された係止辺18が連続して一体に形成されている。
【0011】
基板1の交差部5に設けられた三個の突部6は、いずれも頂面の中央に凹部を有する切頭円錐形であるのに対し、カバー部材2の交差部15の裏面に設けられた三個の突部16は、上面の中央に凹部を有する円筒形であって、カバー部材2の突部16の凹部に、基板1の突部6の頂部が、それぞれ嵌入して基板1とカバー部材2とが嵌合して取付け固定されるようになっている。
【0012】
なお、図1では、基板1の突部6を切頭円錐形とし、図3では、カバー部材2の突部16を円筒形としたものを示したが、これとは反対に、カバー部材2の突部16を切頭円錐形とし、基板1の突部6を円筒形とし、カバー部材2の突部16を基板1の突部6の凹部に嵌入して基板1とカバー部材が嵌合できるようにしてもよく、さらには、基板1とカバー部材2に形成する前記形状の突部を混在させるようにしてもよい。
【0013】
本発明の回り縁部のコーナー部材は、図2に示すように、基板1の縦横二方向に延びる板体3、4を、それぞれ窓枠等の取付部材のコーナー部で交差するJチャンネル部材21、21のサイディング覆い板体23、23の内側に挿入して配置し、これらのサイディング覆い板体23、23の外側面を覆うように、カバー部材2を被せ、図3に示すような、カバー部材2の突部16の凹部を基板1の突部6の頂部にあてがい押し込むことにより、カバー部材2の突部16の凹部に基板1の突部6の頭部が嵌入される。
これにより、基板1とカバー部材2は、交差するJチャンネル部材21、21のサイディング覆い板体23、23の双方を挟持した状態で嵌合して、窓枠等の取付部材のコーナー部をカバーするように取付け固定される。
【0014】
図1に示す基板1の台部7、7は、板状体3、4に厚みを持たせたもので、図2に示すように、基板1をJチャンネル部材21のサイディング覆い板体23の内側に配置する際、サイディング覆い板体23の側端縁折曲部26の内側空間に入る厚みを持たせることにより、基板1をJチャンネル部材21のサイディング覆い板体23の内側に配置する際、前記台部7がサイディング覆い板体23の側端縁折曲部26の内側空間に係止して、いわば仮止め状態となるので、基板1へのカバー部材の取付けが容易になるという効果が得られる。
【0015】
カバー部材2の外側の側縁に形成された係止辺18は、基板1を、Jチャンネル部材21のサイディング覆い板体23の内側に挿入配置した
後、サイディング覆い板体23の外側面に、カバー部材2を被せる際、サイディング覆い板体23の側端縁折曲部26の外側縁に係止して、基板1へのカバー部材2の位置決めを容易にし、取付け後の固定を確実にするという効果がある。
【0016】
カバー部材2の側板17は、窓枠等の取付部材のコーナー部で交差するJチャンネル部材21の、双方のサイディング覆い板体23の外側面にカバー部材2を被せて固定した際、双方のサイディング覆い板体23の交差部分を覆って塵等の侵入を阻止すると共に、コーナー部の水密性を高め、見栄えを良くする。
【0017】
図1〜図3で示した、基板1およびカバー部材2に設けられる突部は、図4(a)に示すように、切頭円錐形の突部6の外周面に凸部8を設け、図4(b)に示すように、円筒形の突部の凹部内周面に、前記凸部8を受け入れる周凹部9を設けて、基板1とカバー部材2とが、パッチンと音をたてて嵌合できるようにするのがより好ましい。
【0018】
なお、図1〜図3では、本発明の回り縁部のコーナー部材を構成する基板1とカバー部材2に設けた突部6、16が、それぞれ3個のものを示したが、これに限られず、一個でもよく、またさらに多くの個数としてもよい。
さらに、基板1とカバー部材2に設ける突部は、互いに嵌合できる形状であれば、どのような形状の嵌合形態も採用できる。
【0019】
本発明を構成する基板およびカバー部材は、いずれも合成樹脂製であり、これらの合成樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ABS樹脂、AES樹脂、ASA樹脂等が用いられる。
また、用途に応じて紫外線吸収剤、衝撃改質材、安定剤、着色剤等の添加剤を加えることもできる。特に屋外での使用があるため紫外線吸収剤、衝撃改質材を添加することが良い。
【0020】
本発明の回り縁部のコーナー部材は、窓枠等の取付部材のコーナー部で、交差状に取付けられたJチャンネル部材のサイディング覆い板体の内側に基板を挿入配置し、この基板にカバー部材をあてがい、基板の突部とカバー部材の突部とを嵌合させるだけで、Jチャンネル部材の交差部への取付け固定ができ、ネジ止め等の施工行為は一切必要としない。そのため、施工時間の短縮と、コストの削減を図ることができ、さらには、基板とカバー部材に設ける突部を複数としたときは、施工後の取付け安定性が良く、見栄えの良い取付けが実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明に係る回り縁部のコーナー部材は、サイディングに取付けられるあらゆる備品に応用できるので、今後大幅な伸びが期待されるサイディングの分野における産業上の利用可能性は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る回り縁部のコーナー部材の一例を示す斜視図である。
【図2】図1に示すコーナー部材の使用状態を示す模式的な部分斜視図である。
【図3】図1に示すコーナー部材に係るカバー部材の模式的な底面図である。
【図4】(a)、(b)は、図1に示すコーナー部材に係る突部の模式的な断面図である。
【図5】従来のJチャンネル部材の施工例を示す斜視図である。
【図6】従来の回り縁部のコーナー部材の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0023】
1 基板
2 カバー部材
3、4 板体
5、15 交差部
6、16 突部
7 台部
8 凸部
9 周凹部
13、14 板状体
17 側板
18 係止辺
20 窓枠
21 Jチャンネル部材
22 (Jチャンネル部材の)施工面取付板体
23 (Jチャンネル部材の)サイディング覆い板体
24 施工面
25 隙間
26 (サイディング覆い板体の)側端縁折曲部
31 受部材
51 カバー材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の外壁をなすサイディングと、窓枠等の取付部材との間に使用される回り縁部のコーナー部材であって、回り縁部のサイディング端部覆い板体の内側面に当接する基板と、回り縁部のサイディング端部覆い板体の外側面を覆うカバー部材とからなり、前記基板に設けられた可嵌合突部と、前記カバー部材の裏面に設けられた可嵌合突部とが相互に嵌合することによって、回り縁部のコーナー部に取付けられることを特徴とする回り縁部のコーナー部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−138131(P2006−138131A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−329222(P2004−329222)
【出願日】平成16年11月12日(2004.11.12)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)