説明

回動式掃除具

【目的】ハンドルを払拭体の中心軸回りに回動自在にして種々の清掃姿勢でも疲れることなく簡易に清掃作業を行え、且つワンタッチで払拭体に対して装着部を挿脱することができる清掃具を提供することを目的としている。
【構成】ジョイント部材9における連結部には、挿着片4を自転自在にする自転機構と、挿着片4の開放端をハンドル2の軸方向側に回動自在にする回動機構が設けられている。自転機構はハンドル2の根元部5に連結された回動軸受10を軸体21に外嵌して枢支した機構からなる。回動機構は、差込片15、16の回動端15b、16bを軸体21に軸支し、且つ、差込片15、16を軸体21に係着、解除可能にした機構からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面や壁面を清掃するための払拭体をハンドル先端部に挿脱自在にした清掃具に関し、特には、ハンドル先端部を回動自在にした回動式掃除具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、この種の清掃具としてハンディタイプや箒状の長柄ハンドル型のものが広く利用されている。例えば、特許文献1には長柄ハンドル型の清掃具が開示されている。
図12は長柄ハンドル型の清掃具を示す。図12の(12A)及び(12B)は夫々、パイル製払拭体40、同図(12B)はパイル製払拭体40を固定し保持する長柄保持具41を示す。
【0003】
払拭体40は、楕円状の基布42と、基布42の下面に植設された多数のパイル44からなる。基布42は綿繊維や合成繊維を網目状に織成して構成され、基布42の上面には同繊維種からなる袋状差込部43、43が設けられている。
【0004】
長柄保持具41は、基布42に装着される装着部45と、手動操作するためのパイプ状の柄47とからなり、柄47の先端側にはグリップ48が設けられている。柄47の先端はジョイント部46を介して装着部45に枢支されている。装着部45は略楕円状の長円板からなり、両端部を袋状差込部43、43に挿入することにより、払拭体40が長柄保持具41に装着され、長柄ハンドル型の清掃具を構成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−270630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の従来の掃除具においては、払拭体40の取替えや洗浄時の作業を簡便にするために払拭体40をハンドル先端の装着部45により挿脱自在にしている。 しかしながら、装着部45はジョイント部46を突設した長円板からなるため、柄47を持っただけで袋状差込部43、43に挿入したり、脱離したりするのが難しく、装着部45を直接手で掴みながら袋状差込部43、43に挿入、脱離する必要があった。従って、この挿脱の際には、汚れた払拭体40が手や体に触れたりして挿脱作業が面倒になるといった問題があった。
【0007】
また、払拭体40を装着部45に装着した状態では、大半のパイル44は装着部45の裏側に位置する。しかも、ジョイント部46を介して柄47の先端は装着部45に対して固定、保持され、装着部45の長軸の回りに動かせる自由度を持たないため、柄47を装着部45の長手方向に傾けたりすることはできるものの、装着部45の長軸の回りに回動することができなかった。このため、清掃作業者は、パイル44の払拭面が床面等に当たるように、常時、柄47を動かす力に気を配って清掃作業を行う必要があり、円滑な清掃作業を妨げていた。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、ハンドルを払拭体の中心軸回りに回動自在にして種々の清掃姿勢でも疲れることなく簡易に清掃作業を行え、且つワンタッチで払拭体に対して装着部を挿脱することができる清掃具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであって、本発明の第1の形態は、ハンドルの根元部に連結される連結部を備えた挿着片を前記根元部から横方向に延出させて払拭体の袋部に挿着した清掃具であって、前記連結部に、前記挿着状態において前記挿着片の挿着方向の軸回りに前記挿着片を自転自在にする自転機構と、前記挿着片の回動端を軸支し、前記回動端を係着して前記挿着状態を保持し、前記係着を解除したとき、前記挿着片の開放端を前記ハンドルの軸方向側に回動自在にする回動機構とを設けた清掃具である。
【0010】
本発明の第2の形態は、第1の形態において、前記自転機構は、前記根元部に連結された回動軸受と、前記回動軸受に枢支された軸体とからなり、前記軸体に前記挿着片の回動端を軸支した清掃具である。
【0011】
本発明の第3の形態は、第2の形態において、前記回動軸受は、前記根元部に連結する連結部材と、前記連結部材と反対側に軸方向に設けた切り欠き溝とを備えた中空体からなり、前記中空体内に前記軸体を嵌入して前記自転機構を構成し、前記挿着片の開放端を前記ハンドルの軸方向側に回動するときに前記開放端の一部を前記切り欠き溝より逃がす清掃具である。
【0012】
本発明の第4の形態は、第2又は第3の形態において、前記挿着片の回動端を前記軸体の端部で軸支し、前記回動端に設けた係合部と係合する係止部を前記軸体に設け、前記係合部を前記係止部に係着して前記挿着状態を保持する清掃具である。
【0013】
本発明の第5の形態は、第2、第3又は第4の形態において、前記挿着片は一対の差込片からなり、夫々の差込片の回動端を前記軸体に左右対称状に軸支した清掃具である。
【0014】
本発明の第6の形態は、第1〜第5のいずれかの形態において、前記挿着片は、棒状、細長舌片状、細長枠状のいずれかの差込片からなる清掃具である。
【0015】
本発明の第7の形態は、第1〜第6のいずれかの形態において、前記袋部の全周囲に払拭材を多数設けた清掃具である。
【0016】
本発明の第8の形態は、第1〜第6のいずれかの形態において、前記払拭材がパイルからなる清掃具である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の形態によれば、前記連結部に設けた前記自転機構により、前記挿着状態において前記挿着片の挿着方向の軸回りに前記挿着片を自転自在にしたので、前記払拭体の中心軸回りに回動自在にして種々の清掃姿勢でも疲れることなく簡易に清掃作業を行うことができる。
また、前記連結部に設けた前記回動機構により、前記挿着片の回動端を軸支し、前記回動端を係着して前記挿着状態を保持し、前記係着を解除したとき、前記挿着片の開放端を前記ハンドルの軸方向側に回動自在にしたので、前記袋部にワンタッチで前記装着片を挿脱することができる。即ち、前記係着を解除し、前記挿着片の開放端を前記ハンドルの軸方向側に移動させた状態で、前記開放端を前記払拭体に当接させて前記袋部側に回動させることにより、前記袋部に前記開放端を挿入させることができるので、前記ハンドルを掴んで前記当接のための力をハンドル先端側に加えるだけで簡便に挿着作業を行うことができる。挿着状態は前記回動端の係着により保持することができ、脱離時には、前記係着を解除して前記挿着片の開放端を前記ハンドルの軸方向側に移動させることにより、前記挿着片から前記払拭体を簡単に脱離させることができる。
【0018】
本発明の第2の形態によれば、前記根元部に連結された前記回動軸受に前記軸体を枢支することにより前記自転機構を構成し、前記軸体に前記挿着片の回動端を軸支するので、前記回動軸受と前記軸体による簡単な前記自転機構の構成によって前記軸体の中心軸回りに前記ハンドルを回動自在にし、且つ前記軸支により前記挿着片を前記軸体に対して前記挿着状態と前記ハンドルの軸方向側への脱離状態間で回動自在にした清掃具を提供することができる。
【0019】
本発明の第3の形態によれば、前記中空体内に前記軸体を嵌入して前記自転機構を構成し、前記挿着片の開放端を前記ハンドルの軸方向側に回動するときに前記開放端の一部を前記切り欠き溝より逃がすので、前記挿着片の面方向が前記切り欠き溝に合致する位置でのみ前記挿着片の回動が可能になり、合致しない位置では前記挿着状態を保持して、前記払拭体が簡単に脱離せず安定して清掃作業を行うことができる。
【0020】
本発明の第5の形態によれば、前記挿着片の回動端を前記軸体の端部で軸支し、前記回動端に設けた係合部と係合する係止部を前記軸体に設け、前記係合部を前記係止部に係着して前記挿着状態を保持するので、前記払拭体が簡単に脱離せず安定して清掃作業を行うことができる。
【0021】
本発明は、ハンドルの根元部に対して挿着片が略T字形又は略L字形に連結される略T字形又は略L字形の掃除具に適用することができる。例えば、単一の挿着片を自転・回動自在にして略L字形の掃除具を得ることができる。また、本発明の第4の形態によれば、前記挿着片は一対の差込片からなり、夫々の差込片の回動端を前記軸体に左右対称状に軸支したので、前記自転機構により、前記挿着状態において夫々の差込片を自転自在にし、各差込片の開放端を前記ハンドルの軸方向側に回動自在にして、種々の清掃姿勢でも疲れることなく簡易に清掃作業を行え、且つ前記袋部にワンタッチで両差込片を挿脱することができる略T字形掃除具を実現することができる。
【0022】
本発明の第6の形態によれば、前記挿着片は、棒状、細長舌片状、細長枠状のいずれかの差込片からなるので、払拭材を円筒状に植設した払拭体を挿着して、払拭体の中心軸回りに自由に動かして、清掃方向に制約されずに円滑に清掃作業を行うことができる。
【0023】
本発明の第7の形態によれば、前記袋部の全周囲に払拭材を多数設けた払拭体を挿着して、払拭体の中心軸回り約360°に自由に動かして、清掃方向に制約されずに円滑に清掃作業を行える清掃具を実現することができる。
本発明の払拭体には、例えば、織布又は不織布の基布に、縫製加工や溶着加工等により中心軸回りに全周にわたり払拭材を植設した払拭体を使用することができる。本発明における払拭材には、ナイロン、綿、ポリエステル等の素材を使用することができる。
【0024】
本発明の第8の形態によれば、パイルの払拭材を使用して、床面や壁面等を隅々まで疲労せずに清掃することができる清掃具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る清掃具の外観斜視図である。
【図2】前記清掃具の払拭体1の縦断面構造図である。
【図3】前記清掃具における根元部5及び挿着片4の外観斜視図である。
【図4】根元部5及び挿着片4の平面図である。
【図5】回動軸受10及び挿着片4の上面図である。
【図6】回動軸受10及び挿着片4の底面図である。
【図7】前記清掃具における連結部の平面断面図である。
【図8】根元部5及び挿着片4の側面図である。
【図9】軸体21の外観斜視図である。
【図10】挿着片4の回動動作を説明するための部分断面図である。
【図11】払拭体1の概略側面図及び上面図である。
【図12】従来の清掃具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明に係る清掃具の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本実施形態に係る長柄ハンドル型清掃具の全体を示す。
この清掃具は払拭体1と清掃作業時に把持する長柄ハンドル2からなる。長柄ハンドル2は長尺状の樹脂製パイプ部材からなり、その根元部5には、T字形状に横方向に延出して払拭体1の袋部に挿着された挿着片4がジョイント部材9により連結されている。長柄ハンドル2の開放端にはグリップ32が設けられている。
【0027】
図2は払拭体1の縦断面構造を模式的に示す。払拭体1は、片面側に多数のパイル(払拭材)群3が植設された一組の長手形状の基布11、12からなる。払拭体1の中央には開口部6が形成され、内部には袋状の袋部8が形成されている。袋部8は、基布11、12の基布面のうちパイル群3が植設されていない面を対面させて重ね合わせ、基布の周縁部を、その一部を開口して縫着して形成されている。図2の縦断面においては、開口部6の下端側の周縁部19を横糸30で縫着した状態が示されている。袋部8は開口部6から挿着片4を挿着可能にしたT字形状を有し、袋部8の全外周にわたりパイル7が植設されている。基布の素材には、パイル群を保持する強度を必要とし、厚手のキャンバス布、木綿や合成化学繊維の帆布等の布材等を使用するのが好ましい。本実施形態では、パイル材及び基布材として無色のナイロン素材を使用している。
【0028】
図11は払拭体1の概略側面及び上面を示す。
各基布11、12の長手方向の一辺側中央部20の一部が切り欠いて切除されており、図11の(11A)に示すように、切除端は縁縫い22が施されて布端が解れないようにしている。袋部8の形成により、中央部20は挿着片4の導入口、つまり開口部6となる。
同図(11B)は(11A)のA−A断面を模式的に示す。同図(11B)に示すように、各基布の端部25、26と27、28は、縫糸29により結着されて、裏返されて袋部8の内側に取り込まれている。袋部8の開口部6に隣接した各基布の周縁部18は横糸31で縫着され、開口部6と対向した各基布の周縁部19は横糸30で縫着されている。従って、袋部8には開口部6のみが開口され、その全外周にわたりパイル7が植設された状態になっている。なお、図11の(11B)においてはパイル群3の一断面を模式的に示し、パイル間に隙間があるようにみえるが、各パイルが大きな間隙もなく密集状に植設され、互いに絡み合っている。
【0029】
本実施形態においては、挿着片4は一対の差込片15、16からなり、夫々の差込片15、16の回動端15C、16Cを軸体21に左右対称状に軸支されていて、挿着状態で同一直線上に対向配置される。
図3はハンドル2の根元部5及び挿着片4の外観斜視図である。図4は根元部5及び挿着片4の平面図である。図5は回動軸受10及び挿着片4の上面図である。図6は回動軸受10及び挿着片4の底面図である。
ジョイント部材9における連結部には、挿着状態において挿着片4の挿着方向の軸回りに挿着片4を自転自在にする自転機構と、挿着片4の各回動端15c、16cを軸支し、回動端15c、16cを係着して挿着状態を保持し、係着を解除したとき、挿着片4の開放端をハンドル2の軸方向側に回動自在にする回動機構が設けられている。挿着片4、自転機構及び回動機構の各部材は、ポリカーボネートやABS樹脂などの合成樹脂で成形加工品で形成されている。
【0030】
差込片15、16は細長枠形状を有し、中空部の中間に緩衝リング部材15a、16aが一体成形されている。袋部8に差込片15、16に挿入したとき、袋部8に接触したとき押圧変形して、抜け落ちないように、緩衝リング部材15a、16aによる反発力が袋内面に作用する。差込片には、棒状や細長舌片状のものを使用してもよい。
【0031】
図7はジョイント部材9における連結部の平面断面図である。図8は根元部5及び挿着片4の側面図である。図9は軸体21の外観斜視図である。
自転機構は、根元部5に連結された回動軸受10と、回動軸受10に枢支された軸体21からなり、軸体21に回動端15C、16Cが軸支されている。
【0032】
回動軸受10は、根元部5に連結する連結部材13が一側面に取着され、連結部材13と反対側に軸方向に設けた一対の切り欠き溝10aとを備えた中空体からなる。連結部材13の上部はハンドル2の根元部5を軸14により軸支する軸受構造を有する。この軸支により、挿着状態において軸14の回りにハンドル2を回動可能にして、清掃時にハンドル2を差込片15、16の軸方向前後に傾倒可能にしている。
【0033】
図9に示すように、軸体21は円筒状の本体21aからなり、本体21aの両端には軸方向に溝21cが切り欠き形成されている。本体21aの外側面には回動軸受10の中空体が外嵌されて軸体21と回動軸受10が回動可能に連結される。回動軸受10の中空体には一対の切り欠き溝10aの間に分離スリット10bが形成されていて、分離スリット10bを拡げることにより、本体21aの外側面に回動軸受10の中空体を外嵌することができる。各溝21cの上下面には軸受用の突起21dが突設されている。差込片15、16の回動端15b、16b表裏には、回動軸用の孔15c、16cが刻設されている。回動端15b、16bを溝21cに挿入し、突起15c,16cを孔21dに嵌着して、差込片15、16を軸支している。
【0034】
軸体21内部には、断面コ字形の係止部材17、17が嵌着されている。各係止部材17は溝21cの外側に向いた突起17aを有する。差込片15、16の回動端15b、16b先端には、係合用の二股状突起15d、16dが突設されている。回動端15b、16bを溝21cに挿入し、孔15c、16cを突起21dに嵌着して軸支した状態において、差込片15、16を一直線状にしたとき、各突起17aは二股状突起15d、16dに嵌って、差込片15、16を軸体21に係着することができる。この係着により、払拭体1への挿着状態をT字形に保持することが可能になる。係着状態から、各差込片を約90°ハンドル2の軸方向側に突起15c,16cを回転中心にして、連結部材13より下向きに回動すると、各突起17aと突起15d、16dとの係合が解除されて、各差込片がハンドル2より下方に並置される解除状態にすることができる。
【0035】
回動軸受10の一対の切り欠き溝10aは、各挿着片15、16の開放端をハンドル2の軸方向側に回動するときに回動端15b、16bの上部を切り欠き溝10aより逃がして、円滑に解除状態に移行させる。従って、差込片15、16の面方向が切り欠き溝10aに合致する位置でのみ挿着片15、16の回動が可能になり、合致しない位置では挿着状態を保持して、払拭体1が簡単に脱離せず安定して清掃作業を行うことができる。
【0036】
図10は挿着片4の回動動作を説明するための部分断面図である。
上記構成により、ジョイント部材9における連結部には、挿着片4を自転自在にする自転機構と、挿着片4の開放端をハンドル2の軸方向側に回動自在にする回動機構が設けられている。根元部5に連結された回動軸受10は軸体21に外嵌して枢支される簡単な機構により前記自転機構を構成している。従って、払拭体1の長手方向の中心軸回りに全周360°にわたり植設した多数のパイル群3をハンドル2の回動角度を前記中心軸回りに可変して操作して、図10のCで示すように、任意の向きで清掃面に押し当てることができ、ハンドル操作だけで疲れることなく簡易に清掃作業を行うことができる。
【0037】
差込片15、16の回動端15b、16bを軸体21に軸支し、且つ、差込片15、16を軸体21に係着、解除可能にした簡単な機構により、前記回動機構を構成している。各突起17aと二股状突起15d、16dとの係着により、図10の符号Aに示すように、差込片15、16を一直線状にした挿着状態を保持することが可能になる。また、図10の符号Bに示すように、係着状態から各差込片を約90°ハンドル2の軸方向側に突起15c、16cを回動させて、簡易に係合を解除して、各差込片がハンドル2より下方に並置される解除状態に移行させることができる。従って、払拭体1の挿着時には、各差込片がハンドル2より下方に並置される解除状態にして、各差込片15、16の先端を袋部8に挿入し、ハンドル操作で袋内に押し込むことによって、開脚状に各差込片が符号Bから符号Aの状態に円滑に移行し、払拭体1や挿着片4を一切触れることなく、ワンタッチで払拭体1の挿着作業を行うことができる。払拭体1の脱離時には、差込片15、16の面方向を切り欠き溝10aに合致させ、各差込片の先端側を折り曲げれば、払拭体1の重みによりハンドル2側に回動して、各差込片が並置される解除状態に移行させ、簡単に脱離作業を行うことができる。
【0038】
本実施形態の清掃具は長尺状の清掃具の場合であるが、本発明は、短尺状の清掃具やハンディタイプの清掃具に適用でき、更に、ハンドル部分を伸縮自在にして、作業内容に応じて柄の長さを調整可能にした伸縮タイプの清掃具にも適用することができる。払拭材としては、パイルの他に、化学繊維材等を使用することができる。
【0039】
本発明は、上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
この発明に係る清掃具は、家庭や事務所や工場の床材、及び店舗の床などを清掃するときに用いられ、払拭体を定期的に取り替えてメーカーなどからユーザーにレンタルするようにしてもよいものである。
【符号の説明】
【0041】
1 払拭体
2 長柄ハンドル
3 パイル群
4 挿着片
5 根元部
6 開口部
7 パイル
8 袋部
9 ジョイント部材
10 回動軸受
10a 切り欠き溝
10b 分離スリット
11 基布
12 基布
13 連結部材
14 軸
15 差込片
15a 緩衝リング部材
15b 回動端
15c 孔
15d 突起
16 差込片
16a 緩衝リング部材
16b 回動端
16c 孔
16d 突起
17 係止部材
17a 突起
18 周縁部
19 周縁部
20 中央部
21 軸体
22 縁縫い
25 端部
26 端部
27 端部
28 端部
29 縫糸
30 横糸
31 横糸
32 グリップ
40 払拭体
41 長柄保持具
42 基布
43 袋状差込部
44 パイル
45 装着部
46 ジョイント部
47 柄
48 グリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルの根元部に連結される連結部を備えた挿着片を前記根元部から横方向に延出させて払拭体の袋部に挿着した清掃具であって、前記連結部に、前記挿着状態において前記挿着片の挿着方向の軸回りに前記挿着片を自転自在にする自転機構と、前記挿着片の回動端を軸支し、前記回動端を係着して前記挿着状態を保持し、前記係着を解除したとき、前記挿着片の開放端を前記ハンドルの軸方向側に回動自在にする回動機構とを設けたことを特徴とする清掃具。
【請求項2】
前記自転機構は、前記根元部に連結された回動軸受と、前記回動軸受に枢支された軸体とからなり、前記軸体に前記挿着片の回動端を軸支した請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
前記回動軸受は、前記根元部に連結する連結部材と、前記連結部材と反対側に軸方向に設けた切り欠き溝とを備えた中空体からなり、前記中空体内に前記軸体を嵌入して前記自転機構を構成し、前記挿着片の開放端を前記ハンドルの軸方向側に回動するときに前記開放端の一部を前記切り欠き溝より逃がす請求項2に記載の清掃具。
【請求項4】
前記回動端に設けた係合部と係合する係止部を前記軸体に設け、前記係合部を前記係止部に係着して前記挿着状態を保持する請求項2又は3に記載の清掃具。
【請求項5】
前記挿着片は一対の差込片からなり、夫々の差込片の回動端を前記軸体に左右対称状に軸支した請求項2、3又は4に記載の清掃具。
【請求項6】
前記挿着片は、棒状、舌片状、中空板状のいずれかの差込片からなる請求項1〜5のいずれかに記載の清掃具。
【請求項7】
前記袋部の全周囲に払拭材を多数設けた請求項1〜6のいずれかに記載の清掃具。
【請求項8】
前記払拭材がパイルからなる請求項1〜7のいずれかに記載の清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−161169(P2011−161169A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−30713(P2010−30713)
【出願日】平成22年2月15日(2010.2.15)
【出願人】(000133445)株式会社ダスキン (119)
【Fターム(参考)】