説明

回路基板の接続構造

【目的】クロストークによる輻射ノイズ発生を抑制し、電波障害を起こさない小型薄型電子機器を提供すること。
【構成】コネクタ8を備えたマザー基板1と、コネクタ9を備えたメカコントロール基板2と、マザー基板1とメカコントロール基板2を接続するためのコネクタ10および11を備えたフレキシビリティを有する接続基板4とからなる。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、パーソナルコンピュータ,プリンタなど電子機器に使用される回路基板の接続構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電子機器に於いては、回路基板の接続を、図3に示したようにハーネス3を使って行ってきた。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
しかし図3のように、回路基板1と回路基板2のような位置関係にある2つの回路基板をハーネスで接続する場合、必ずA部のようにワイヤが折重なる部分ができてしまう。従って異なる信号線が近づくため、信号が干渉し合う現象(クロストーク)が起き、その結果輻射ノイズが発生してしまうという問題点を有していた。また、ハーネスを折り返すための厚みを考慮したスペースを確保し、さらにハーネスが抜けないようにするためロック付きコネクタを使用しなければならないため電子機器自体のサイズが大きくなってしまうという問題点を有してきた。本考案は前述の課題を解決するためのもので、その目的とするところは輻射ノイズの発生を抑制し、電波障害を起こさない小型薄型電子機器を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、本考案の回路基板の接続構造はコネクタ8を備えた回路基板1と、コネクタ9を備えた回路基板2と、前記回路基板1と前記回路基板2を接続するための少なくとも2個のコネクタ10、11を搭載したフレキシビリティを有する回路基板4を有している。
【0005】
また、前記コネクタF及びGが前記コネクタ8及び9から抜けないように、前記回路基板4の半田面側に絶縁物を配置している。
【0006】
【実施例】
図1に本考案の一実施例であるレーザービームプリンタのコントローラ実装部の斜視図を、図2にその断面図を示す。
【0007】
以下に図1及び図2の各構成部品について説明する。
【0008】
1はマザー基板であり、コントローラ基板5をスライド挿入し接続するためのコネクタ6、ICカードを挿入するためのコネクタ7、基板4との接続用コネクタ8などが実装されている。
【0009】
2はメカコントロール基板であり、印字部の制御を行うCPUやROM、基板4との接続用コネクタ9などが実装されている。
【0010】
4は基板1と基板2を接続するためのフレキシビリティを有する接続基板であり、それぞれの基板と接続するためのコネクタ10とコネクタ11が実装されている。
【0011】
マザー基板1とコントローラ基板5はシールドケース12に、基板4はシールド板金13に覆われている。このシールド板金13には、コネクタ10及びコネクタ11の足とシールド板金13が接触しないようするための絶縁シート14が貼り付けられており、基板4をシールドするとともに、絶縁シート14とコネクタ10及び11の足との間隔を、コネクタ8と10及び9と11の勘合範囲内におさまる寸法に設定することによって、コネクタ10と11の抜け防止を行っている。従って、ハーネス使用時のようにロック付きのコネクタを用いずに済むため、この部分のスペースを非常に小さくすることができる。
【0012】
以上で図1,図2の構成部品の説明を終わる。
【0013】
本実施例では、基板4は、厚さ0.8mmのポリエステル繊維とガラス繊維よりなる不織布にエポキシ樹脂を含浸させた基材からなる基板で、フレキシビリティを有しているため、コネクタ8と9の中心距離よりもコネクタ10と11の中心距離を少し大きめに設定することにより、コネクタ8と9の中心距離公差を吸収することができる。さらに図2のようにコネクタ8と9の位置は上下方向にもずれている場合にも、基板4のフレキシビリティにより高低差を吸収することができる。従ってハーネスを用いなくても基板1と基板2を確実に接続することができる。
【0014】
また、本実施例では接続基板としてポリエステル繊維とガラス繊維よりなる不織布にエポキシ樹脂を含浸させた基材からなる基板を用いていたが、FPC等のフレキシビリティを有する基板であれば、これを代用することができる
【0015】
【考案の効果】
以上実施例で説明したように、本考案の基板接続構造では、基板の接続をフレキシビリティーを有する基板により行っているため、クロストークが起きず、輻射ノイズの発生を抑制することができ、電波障害を起こさない電子機器を提供することができる。
【0016】
また、ハーネスを折り返すため必要であったスペースや、ロック付きのコネクタも不要となり、小型薄型の電子機器を提供することができる。
【0017】
さらにハーネスに比べ基板は、製造の段階で圧着、圧接等の複雑な工程が無いため、アッセンブリコストが安くでき、電子機器のコスト低減を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の実施例であるレーザービームプリンタのコントローラ実装部の斜視図である。
【図2】本考案の実施例であるレーザービームプリンタのコントローラ実装部の断面図である。
【図3】従来のハーネスを用いた基板接続構造の斜視図である。
【符号の説明】
1 マザー基板
2 メカコントロール基板
3 ハーネス
4 フレキシビリティを有する接続基板
5 コントローラ基板
6 コネクタ
7 コネクタ
8 コネクタ
9 コネクタ
10 コネクタ
11 コネクタ
12 シールドケース
13 シールド板金
14 絶縁シート

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 コネクタ8を備えた回路基板1と、コネクタ9を備えた回路基板2と、前記回路基板1と前記回路基板2を接続するための少なくとも2個のコネクタ10、11を搭載したフレキシビリティを有する回路基板4とからなることを特徴とする回路基板の接続構造。
【請求項2】 前記コネクタ10及び11が前記コネクタ8及び9から抜けないように、前記回路基板4の半田面側に絶縁物を配置したことを特徴とする請求項1記載の回路基板の接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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