回路構成体、及び電気接続箱
【課題】本発明は、反りが抑制された回路構成体、及びこの回路構成体を用いた電気接続箱を提供する。
【解決手段】回路構成体12は、回路基板17と、金属板材からなると共に回路基板17の裏面21に積層された第1導電部材22と、を備える。回路基板17には基板側貫通孔25が形成されており、第1導電部材22には回路基板17に積層された状態で基板側貫通孔25に対応する位置に導電部材側貫通孔26が形成されている。基板側貫通孔25及び導電部材側貫通孔26の内部には基板側貫通孔25及び導電部材側貫通孔26を貫通して回路基板17と第1導電部材22とを積層状態で組み付ける第1絶縁部23が配されている。
【解決手段】回路構成体12は、回路基板17と、金属板材からなると共に回路基板17の裏面21に積層された第1導電部材22と、を備える。回路基板17には基板側貫通孔25が形成されており、第1導電部材22には回路基板17に積層された状態で基板側貫通孔25に対応する位置に導電部材側貫通孔26が形成されている。基板側貫通孔25及び導電部材側貫通孔26の内部には基板側貫通孔25及び導電部材側貫通孔26を貫通して回路基板17と第1導電部材22とを積層状態で組み付ける第1絶縁部23が配されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路構成体、及び電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されて、ホーン、ランプ等の車載電装品のスイッチングを実行する電気接続箱が知られている。このものは、ケース内に回路構成体を収容してなる。このような電気接続箱として、例えば特許文献1に記載のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−23870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の回路構成体として、例えば、表面にプリント配線技術により導電路が形成された回路基板の裏面に、バスバーを積層してなるものが考えられる。これにより、回路基板の配線密度を向上させることができる。
【0005】
しかしながら上記の構成によると、回路基板を構成する材料(合成樹脂等)と、バスバーを構成する金属材料とは、線膨張率が異なる。このため、電気接続箱の周囲の温度が変化することにより回路基板及びバスバーが延びると、回路基板の長さ寸法と、バスバーの長さ寸法とが異なってしまう。この結果、回路構成体が反ることが懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、反りが抑制された回路構成体、及びこの回路構成体を用いた電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、回路基板と、金属板材からなると共に前記回路基板の一方の面に積層された導電部材と、を備えた回路構成体であって、前記回路基板には基板側貫通孔が形成されており、前記導電部材には前記回路基板に積層された状態で前記基板側貫通孔に対応する位置に導電部材側貫通孔が形成されており、前記基板側貫通孔及び前記導電部材側貫通孔の内部には前記基板側貫通孔及び前記導電部材側貫通孔を貫通して前記回路基板と前記導電部材とを積層状態で組み付ける合成樹脂部材が配されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、ケース内に、前記回路構成体を収容してなることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、回路基板と、導電部材とは、基板側貫通孔及び導電部材側貫通孔において、その内部に配された合成樹脂材によって、積層状態で組み付けられる。これにより、回路基板と、導電部材とは、両部材が全面に亘って固定されている場合に比べて、その板面に平行な方向について、相対的に変位可能になっている。このため、周囲の温度変化によって、回路基板及び導電部材が、その板面に平行な方向について延びても、回路基板の延びた方向についての長さ寸法と、導電部材の延びた方向についての長さ寸法との差を、回路基板及び導電部材の板面に平行な方向に逃がすことができる。この結果、回路構成体が反ることを抑制できる。
【0010】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記合成樹脂部材は、前記回路構成体と前記導電部材とを積層した状態でモールド成形してなることが好ましい。
【0011】
上記の態様によれば、モールド成形という簡易な手法により回路構成体と導電部材とを積層状態で固定できる。
【0012】
前記合成樹脂部材は、前記基板側貫通孔及び前記導電部材側貫通孔の内部に挿通された樹脂ピンであることが好ましい。
【0013】
上記の態様によれば、樹脂ピンを基板側貫通孔及び導電部材側貫通孔の内部に挿通するという簡易な手法により、回路構成体と導電部材とを積層状態で固定できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回路構成体が反ることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1に係る電気接続箱を示す全体斜視図
【図2】電気接続箱を示す分解斜視図
【図3】電気接続箱を示す正面図
【図4】図3におけるIV−IV線断面図
【図5】図3におけるV−V線断面図
【図6】回路基板に第1導電部材及び第2導電部材を組み付けた状態を示す正面図
【図7】図6におけるVII−VII線断面図
【図8】図6におけるVIII−VIII線断面図
【図9】図6におけるIX−IX線断面図
【図10】第1導電部材と、第2導電部材との組み付け状態を示す斜視図
【図11】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材との組み付け状態を示す斜視図
【図12】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材とを組み付けた状態を示す斜視図
【図13】下型に第1導電部材を載置する状態を示す断面図
【図14】第1導電部材に第2導電部材を載置する状態を示す断面図
【図15】第1導電部材及び第2導電部材を上型及び下型内に収容した状態を示す断面図
【図16】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材との組み付け状態を示す断面図
【図17】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材とを組み付けた状態を示す断面図
【図18】本発明の実施形態2に係る回路構成体において、第1導電部材と第2導電部材を組み付けた状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1ないし図17を参照しつつ説明する。本実施形態は、車載用の電気接続箱10であって、電源(図示せず)と、ランプ、ホーン等の車載電装品(図示せず)との間に配設されて、車載電装品のスイッチングを実行する。この電気接続箱10は、合成樹脂製のケース11内に回路構成体12を収容してなる。なお、以下の説明においては、図4における左側を表側とし、右側を裏側として説明する。
【0017】
(ケース11)
図4に示すように、ケース11は、表側(図4における左側)に開口するケース本体13と、このケース本体13の開口を表側から塞ぐカバー14と、を備える。図2に示すように、ケース本体13は、表裏方向(図2における上下方向)から見て略五角形状をなしている。
【0018】
図4に示すように、カバー14には、図4における上端部寄りの位置に、図4における下方に開口すると共に、図示しない相手側コネクタが嵌合可能なコネクタ部15が形成されている。コネクタ部15にはコネクタ端子16がコネクタ部15と一体にモールド成形されている。図2に示すように、カバー14には、複数のコネクタ部15がカバー14と一体に形成されている。
【0019】
図4に示すように、ケース本体13の側壁の端縁と、カバー14の側壁の端縁とは、互いに当接された状態で超音波溶着によって接合されている。これにより、ケース本体13とカバー14とは一体に組み付けられる。
【0020】
(回路構成体12)
図2に示すように、回路構成体12は、回路基板17と、回路基板17の表面18に実装された半導体リレー19と、を有する。回路基板17の表面18には、プリント配線技術により導電路(図示せず)が形成されている。回路基板17は、表裏方向(図2における上下方向)から見て、略矩形状をなしている。
【0021】
図4に示すように、回路基板17の導電路には、半導体リレー19の側縁から外方(本実施形態では図4における下方)に突出するゲート端子20が、半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0022】
(第1導電部材22)
図4に示すように、回路基板17の裏面(特許請求の範囲に記載の一方の面に相当)21には、金属板材からなる第1導電部材(特許請求の範囲に記載の導電部材に相当)22が積層されている。第1導電部材22は、銅、銅合金等の金属板材に鍛造、鋳造、プレス加工、切削加工、圧延加工等を実行することにより所定の形状に形成される。なお、回路基板17の線膨張率と、第1導電部材22の線膨張率とは異なっている。
【0023】
図4に示すように、第1導電部材22は、回路基板17のうち図4における上端部寄りの位置に配設されている。回路基板17のうち図4における上端部寄りの位置には開口部24が回路基板17を貫通して形成されている。第1導電部材22は、開口部24を裏側(図4における右側)から塞ぐように配設されており、開口部24内には第1導電部材22の少なくとも一部が配されている。
【0024】
図6に示すように、回路基板17には、図6における開口部24の上方及び下方に、回路基板17を貫通する複数(本実施形態では8つ)の基板側貫通孔25が形成されている。基板側貫通孔25の断面形状は円形状をなしている。
【0025】
また、図11に示すように、第1導電部材22には、回路基板17の正規位置に第1導電部材22を組み付けた状態で、回路基板17の基板側貫通孔25に対応する位置に、複数(本実施形態では8つ)の導電部材側貫通孔26が形成されている。導電部材側貫通孔26の断面形状は円形状をなしている。基板側貫通孔25の内径寸法と、導電部材側貫通孔26の内径寸法とは、実質的に同じ寸法に設定されている。
【0026】
図17に示すように、基板側貫通孔25、及び導電部材側貫通孔26の双方には、モールド成形により第1絶縁部23(特許請求の範囲に記載の合成樹脂部材に相当)を構成する合成樹脂材が充填されている。第1絶縁部23は、基板側貫通孔25の内周面及び導電部材側貫通孔26の内周面の双方に密着している。この第1絶縁部23により、回路基板17と第1導電部材22とが積層された状態で組み付けられるようになっている。回路基板17と、第1導電部材22とは、基板側貫通孔25及び導電部材側貫通孔26とは異なる位置においては、その板面に平行な方向について、相対的に変位可能になっている。
【0027】
図4に示すように、回路基板17の開口部24に対応する位置には、表側(図4における左側)に突出する凸部27が形成されている。凸部27のうち、第1導電部材22の板面から立ち上がる側面28は、第1導電部材22の板面から実質的に垂直に突出している。実質的に垂直とは、凸部27の側面28と第1導電部材22の板面とが垂直である場合を含むと共に、垂直でなくとも、略垂直であると認められる場合を含む。
【0028】
図6に示すように、凸部27は、図6における左右方向に細長く延びて形成されている。開口部24の口縁は、凸部27の端縁に倣った形状に形成されている。
【0029】
図4に示すように、凸部27の突出端面29(図4における左端面)は、回路基板17の表面18と実質的に同じ高さ位置に配されている。
【0030】
図4に示すように、凸部27の突出端面29には、半導体リレー19の裏面(図4における右側面)に形成されたソース端子30が半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0031】
なお、図15に示すように、第1導電部材22には、後述する第2導電部材32とのモールド成形時に金型が挿通される金型挿通孔31が、第1導電部材22を貫通して形成されている。
【0032】
(第2導電部材32)
図4に示すように、第1導電部材22のうち回路基板17の開口部24に対応する位置には、第1導電部部材の表面(回路基板17側の面であって、図4における左側面)に、金属板材からなる第2導電部材32が積層されている。第2導電部材32は、銅、銅合金等の金属板材に鍛造、鋳造、プレス加工、切削加工、圧延加工等を実行することにより所定の形状に形成される。第1導電部材22と第2導電部材32との間には、絶縁性の合成樹脂材からなる第2絶縁部33が介されている。第2絶縁部33は、第1導電部材22と第2導電部材32とをモールド成形することにより形成される。
【0033】
図6に示すように、1つの第1導電部材22に、複数(本実施形態においては5つ)の第2導電部材32が積層されている。各第2導電部材32は図6における左右方向に間隔を空けて並んで配されている。各第2導電部材32の隙間には、第2絶縁部33を構成する合成樹脂材が充填されている。また、回路基板17に形成された開口部24の口縁は、第2導電部材32の端縁に倣った形状に形成されている。
【0034】
図4に示すように、第2導電部材32の表面(図4における左側面)には、半導体リレー19の側縁から外方(本実施形態では図4における上方)に突出するドレイン端子34が、半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。第2導電部材32の表面は、ドレイン端子34が接続される接続面35とされる。この接続面35は、回路基板17の表面18(図4における右側面)と、実質的に同じ高さに配されている。また、隣り合う第2導電部材32の隙間に充填された第2絶縁部33の表面(図4における右側面)も、回路基板17の表面18と実質的に同じ高さに配されている。なお、実質的に同じ高さとは、第2導電部材32の接続面35、および第2絶縁部33材の表面と、回路基板17の表面18とが、同じ高さである場合を含むと共に、同じ高さでなくとも、略同じと認められる程度である場合を含む。
【0035】
図8及び図9には、回路基板17、第1導電部材22、第2導電部材32、及び第2絶縁部33が積層された積層体の断面図を示す。本実施形態においては、回路基板17の表面18、第1導電部材22に形成された凸部27の突出端面29、第2絶縁部33の表面、及び第2絶縁部33の接続面35は、実質的に面一に配されている。
【0036】
(コネクタ端子16の接続構造)
上述したように、コネクタ部15にはコネクタ端子16がコネクタ部15と一体にモールド成形されており、コネクタ端子16の一方の端部はコネクタ部15内に位置して配されている。図4に示すように、コネクタ端子16の他方の端部は、裏側(図4における右側)に向けて曲げ形成されると共に裏側に向けてコネクタ部15から突出している。
【0037】
図4に示すように、複数のコネクタ端子16の一部については、コネクタ端子16の他方の端部に対応する位置に、第2導電部材32が配されている。この第2導電部材32には、コネクタ端子16の他方の端部に対応する位置に、コネクタ端子16の他方の端部が挿通される第2端子接続孔36が、第2導電部材32を貫通して形成されている。コネクタ端子16の他方の端部は、第2端子接続孔36内に挿通されて、半田付け等の公知の手法により、第2導電部材32と電気的に接続されている。
【0038】
また、図5に示すように、コネクタ端子16の他の一部については、コネクタ端子16の他方の端部に対応する位置に、回路基板17が位置している。この回路基板17には、コネクタ端子16の他方の端部に対応する位置に、コネクタ端子16の他方の端部が挿通される端子挿通孔37が形成されている。さらに、コネクタ端子16の他方の端部に対応する位置には、第1導電部材22が配されている。この第1導電部材22には、コネクタ端子16の他方の端部に対応する位置に、第1端子接続孔38が、第1導電部材22を貫通して形成されている。コネクタ端子16の他方の端部は、端子挿通孔37及び第1端子接続孔38内に挿通されて、半田付け等の公知の手法により、第1導電部材22と電気的に接続されている。
【0039】
また、図6に示すように、開口部24は、回路基板17のうち図6における上端部寄りの位置であって、且つ図6における左右方向について略右半分の位置に、形成されている。回路基板17のうち、開口部24の左方の位置には、複数の基板側端子接続孔39が回路基板17を貫通して形成されている。この基板側端子接続孔39には、詳細には図示しないが、コネクタ端子16の他方の端部が挿通されて、半田付け等の公知の手法により、回路基板17に形成された導電路と、電気的に接続される。
【0040】
(製造工程)
続いて、本実施形態の製造工程の一例について説明する。まず、金属板材を鍛造、鋳造、プレス加工等、任意の手法により加工して、第1導電部材22を形成する(図10参照)。次いで、図13に示すように、図13の下側に位置する金型40(以下、下型40と記載する。)の上面(図13における上面)に、第1導電部材22を載置する。下型40の上面には、第1導電部材22を収容するためのキャビティ41が形成されている。また、キャビティ41の底面には、上方(図13における上方)に突出する突出台42が形成されている。この突出台42の上面には、上方に突出する位置決め突起43が形成されている。
【0041】
図14に示すように、第1導電部材22を、凸部27を上方(図14における上方)に向けた姿勢で、且つ金型挿通孔31内に突出台42が挿通された状態で、下型40のキャビティ41内に収容する。第1導電部材22と、下型40とは、突出台42の外周面と、金型挿通孔31の内周面とが当接することにより位置決めされてもよいし、また、第1導電部材22の外縁と、キャビティ41の内面とが当接することにより位置決めされてもよい。
【0042】
その後、第2導電部材32を、図14の矢線で示す方向から第1導電部材22の上面に積層する。図10には、第1導電部材22と第2導電部材32の積層状態を斜視図で示す。このとき、第2導電部材32の第2端子接続孔36内に、下型40の位置決め突起43を挿通する。これにより、第1導電部材22と、第2導電部材32との相対的な位置決めを行う。
【0043】
図15に示すように、第2導電部材32の上方(図15における上方)から、上側に位置する金型44(以下、上型44と記載する。)を重ねる。これにより、下型40と、上型44との間に、第1導電部材22及び第2導電部材32が位置決めされた状態で挟まれる。その後、キャビティ41内に絶縁性の合成樹脂材を充填してモールド成形を行う。これにより、第1導電部材22と、第2導電部材32とが、第2絶縁部33を介して積層される。
【0044】
図11及び図16に示すように、回路基板17の裏面21側から(図11及び図16において矢線で示す方向)、回路基板17の開口部24を塞ぐようにして、第1導電部材22と第2導電部材32とを積層したものを重ねる。その後、図示しない一対の金型内に収容して、絶縁性の合成樹脂材でモールド成形を行う。すると、基板側貫通孔25及び導電部材側貫通孔26の双方に、第1絶縁部23が充填される。これにより、図17に示すように、第1導電部材22と第2導電部材32とを積層したものと、回路基板17とが積層された状態に組み付けられる。
【0045】
その後、回路基板17の表面18に半導体リレー19等を載置して、公知のリフロー半田付けを実行する。これにより、半導体リレー19が回路基板17に実装されて、回路構成体12が完成する。
【0046】
一方、コネクタ端子16を所定の形状に曲げ形成した後、合成樹脂材でモールド成形することにより、カバー14を製造する。その後、カバー14の裏面から回路構成体12を積層し、コネクタ端子16の端部を、それぞれ、基板側端子接続孔39、第1端子接続孔38、及び第2端子接続孔36内に挿通する。ついで、公知のフロー半田付けにより、コネクタ端子16と、回路基板17、第1導電部材22、及び第2導電部材32とを電気的に接続する。
【0047】
その後、ケース本体13の開口内に回路構成体12を収容すると共に、ケース本体13の側壁の端縁と、カバー14の側壁の端縁とを、互いに当接された状態で超音波溶着によって接合する。これにより、ケース本体13とカバー14とは一体に組み付けられる。以上により、電気接続箱10が完成する。
【0048】
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、回路基板17と、第1導電部材22とは、基板側貫通孔25及び導電部材側貫通孔26において、その内部に配された第1絶縁部23によって、積層状態で組み付けられる。これにより、回路基板17と、第1導電部材22とは、両部材17,22が全面に亘って固定されている場合に比べて、その板面に平行な方向について、相対的に変位可能になっている。このため、周囲の温度変化によって、回路基板17及び第1導電部材22が、その板面に平行な方向について延びても、回路基板17の延びた方向についての長さ寸法と、第1導電部材22の延びた方向についての長さ寸法との差を、回路基板17及び第1導電部材22の板面に平行な方向に逃がすことができる。この結果、回路構成体12が反ることを抑制できる。
【0049】
また、本実施形態によれば、モールド成形という簡易な手法により回路基板17と第1導電部材22とを積層状態で固定できる。
【0050】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図18を参照しつつ説明する。本実施形態においては、回路基板17には基板側貫通孔50が形成されている。基板側貫通孔50の表側(図18における左側)の開口部はやや径大に形成されている。また、第1導電部材22には、基板側貫通孔50に整合する位置に、導電部材側貫通孔51が形成されている。導電部材側貫通孔51の裏側(図18における右側)の開口部はやや径大に形成されている。
【0051】
基板側貫通孔50及び導電部材側貫通孔51内には、合成樹脂製の樹脂ピン52が貫通されている。そして、樹脂ピン52の両端部は、加熱、加圧されることで圧潰されている。これにより、回路基板17と、第1導電部材22とは、隙間を有して積層された状態に保持されている。
【0052】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0053】
本実施形態によれば、回路基板17と第2導電部材32とは隙間を有して積層されている。この結果、回路基板17と第2導電部材32との間には空気層53が存在する。本実施形態においては、この空気層53が第2絶縁部33とされる。
【0054】
上記の態様によれば、樹脂ピン52を基板側貫通孔50及び導電部材側貫通孔51の内部に挿通して圧潰するという簡易な手法により、回路基板17と第1導電部材22とを積層状態で固定できる。
【0055】
また、上記の構成によれば、通電時に第1導電部材22、及び第2導電部材32で発生した熱は、比較的に熱伝導率の低い空気層53によって遮断されて、回路基板17に伝達することが抑制される。これより、回路基板17に実装された電子部品が熱により不具合を生じることが抑制される。
【0056】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)第2導電部材32は省略してもよい。
(2)基板側貫通孔25及び導電部材側貫通孔26の断面形状は、円形状に限らず、三角形状、長方形状等の多角形状としてもよく、また、長円形状、楕円形状等、必要に応じて任意の形状とすることができる。
(3)本実施形態においては、基板側貫通孔25の内径と、導電部材側貫通孔26の内径とは実質的に同じ寸法とされたが、これに限られず、異なる寸法としてもよい。
(4)第2絶縁部33としては、絶縁性の接着剤、絶縁性の接着シート、絶縁性の粘着シート等、必要に応じて任意の絶縁性の材料を用いることができる。
(5)本実施形態においては、1つの第1導電部材22が回路基板17に組み付けられる構成としたが、これに限られず、複数の第1導電部材22が回路基板17に組み付けられる構成としてもよい。
(6)本実施形態においては、電子部品として半導体リレー19を用いたが、これに限られず、機械式リレー、抵抗、コンデンサ等、必要に応じて任意の素子を用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
10…電気接続箱
11…ケース
12…回路構成体
17…回路基板
22…第1導電部材(導電部材)
23…第1絶縁部(合成樹脂部材)
25,50…基板側貫通孔
26,51…導電部材側貫通孔
52…樹脂ピン
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路構成体、及び電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されて、ホーン、ランプ等の車載電装品のスイッチングを実行する電気接続箱が知られている。このものは、ケース内に回路構成体を収容してなる。このような電気接続箱として、例えば特許文献1に記載のものが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−23870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の回路構成体として、例えば、表面にプリント配線技術により導電路が形成された回路基板の裏面に、バスバーを積層してなるものが考えられる。これにより、回路基板の配線密度を向上させることができる。
【0005】
しかしながら上記の構成によると、回路基板を構成する材料(合成樹脂等)と、バスバーを構成する金属材料とは、線膨張率が異なる。このため、電気接続箱の周囲の温度が変化することにより回路基板及びバスバーが延びると、回路基板の長さ寸法と、バスバーの長さ寸法とが異なってしまう。この結果、回路構成体が反ることが懸念される。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、反りが抑制された回路構成体、及びこの回路構成体を用いた電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、回路基板と、金属板材からなると共に前記回路基板の一方の面に積層された導電部材と、を備えた回路構成体であって、前記回路基板には基板側貫通孔が形成されており、前記導電部材には前記回路基板に積層された状態で前記基板側貫通孔に対応する位置に導電部材側貫通孔が形成されており、前記基板側貫通孔及び前記導電部材側貫通孔の内部には前記基板側貫通孔及び前記導電部材側貫通孔を貫通して前記回路基板と前記導電部材とを積層状態で組み付ける合成樹脂部材が配されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、ケース内に、前記回路構成体を収容してなることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、回路基板と、導電部材とは、基板側貫通孔及び導電部材側貫通孔において、その内部に配された合成樹脂材によって、積層状態で組み付けられる。これにより、回路基板と、導電部材とは、両部材が全面に亘って固定されている場合に比べて、その板面に平行な方向について、相対的に変位可能になっている。このため、周囲の温度変化によって、回路基板及び導電部材が、その板面に平行な方向について延びても、回路基板の延びた方向についての長さ寸法と、導電部材の延びた方向についての長さ寸法との差を、回路基板及び導電部材の板面に平行な方向に逃がすことができる。この結果、回路構成体が反ることを抑制できる。
【0010】
本発明の実施態様としては以下の態様が好ましい。
前記合成樹脂部材は、前記回路構成体と前記導電部材とを積層した状態でモールド成形してなることが好ましい。
【0011】
上記の態様によれば、モールド成形という簡易な手法により回路構成体と導電部材とを積層状態で固定できる。
【0012】
前記合成樹脂部材は、前記基板側貫通孔及び前記導電部材側貫通孔の内部に挿通された樹脂ピンであることが好ましい。
【0013】
上記の態様によれば、樹脂ピンを基板側貫通孔及び導電部材側貫通孔の内部に挿通するという簡易な手法により、回路構成体と導電部材とを積層状態で固定できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、回路構成体が反ることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態1に係る電気接続箱を示す全体斜視図
【図2】電気接続箱を示す分解斜視図
【図3】電気接続箱を示す正面図
【図4】図3におけるIV−IV線断面図
【図5】図3におけるV−V線断面図
【図6】回路基板に第1導電部材及び第2導電部材を組み付けた状態を示す正面図
【図7】図6におけるVII−VII線断面図
【図8】図6におけるVIII−VIII線断面図
【図9】図6におけるIX−IX線断面図
【図10】第1導電部材と、第2導電部材との組み付け状態を示す斜視図
【図11】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材との組み付け状態を示す斜視図
【図12】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材とを組み付けた状態を示す斜視図
【図13】下型に第1導電部材を載置する状態を示す断面図
【図14】第1導電部材に第2導電部材を載置する状態を示す断面図
【図15】第1導電部材及び第2導電部材を上型及び下型内に収容した状態を示す断面図
【図16】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材との組み付け状態を示す断面図
【図17】回路基板と、第1導電部材及び第2導電部材とを組み付けた状態を示す断面図
【図18】本発明の実施形態2に係る回路構成体において、第1導電部材と第2導電部材を組み付けた状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を、図1ないし図17を参照しつつ説明する。本実施形態は、車載用の電気接続箱10であって、電源(図示せず)と、ランプ、ホーン等の車載電装品(図示せず)との間に配設されて、車載電装品のスイッチングを実行する。この電気接続箱10は、合成樹脂製のケース11内に回路構成体12を収容してなる。なお、以下の説明においては、図4における左側を表側とし、右側を裏側として説明する。
【0017】
(ケース11)
図4に示すように、ケース11は、表側(図4における左側)に開口するケース本体13と、このケース本体13の開口を表側から塞ぐカバー14と、を備える。図2に示すように、ケース本体13は、表裏方向(図2における上下方向)から見て略五角形状をなしている。
【0018】
図4に示すように、カバー14には、図4における上端部寄りの位置に、図4における下方に開口すると共に、図示しない相手側コネクタが嵌合可能なコネクタ部15が形成されている。コネクタ部15にはコネクタ端子16がコネクタ部15と一体にモールド成形されている。図2に示すように、カバー14には、複数のコネクタ部15がカバー14と一体に形成されている。
【0019】
図4に示すように、ケース本体13の側壁の端縁と、カバー14の側壁の端縁とは、互いに当接された状態で超音波溶着によって接合されている。これにより、ケース本体13とカバー14とは一体に組み付けられる。
【0020】
(回路構成体12)
図2に示すように、回路構成体12は、回路基板17と、回路基板17の表面18に実装された半導体リレー19と、を有する。回路基板17の表面18には、プリント配線技術により導電路(図示せず)が形成されている。回路基板17は、表裏方向(図2における上下方向)から見て、略矩形状をなしている。
【0021】
図4に示すように、回路基板17の導電路には、半導体リレー19の側縁から外方(本実施形態では図4における下方)に突出するゲート端子20が、半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0022】
(第1導電部材22)
図4に示すように、回路基板17の裏面(特許請求の範囲に記載の一方の面に相当)21には、金属板材からなる第1導電部材(特許請求の範囲に記載の導電部材に相当)22が積層されている。第1導電部材22は、銅、銅合金等の金属板材に鍛造、鋳造、プレス加工、切削加工、圧延加工等を実行することにより所定の形状に形成される。なお、回路基板17の線膨張率と、第1導電部材22の線膨張率とは異なっている。
【0023】
図4に示すように、第1導電部材22は、回路基板17のうち図4における上端部寄りの位置に配設されている。回路基板17のうち図4における上端部寄りの位置には開口部24が回路基板17を貫通して形成されている。第1導電部材22は、開口部24を裏側(図4における右側)から塞ぐように配設されており、開口部24内には第1導電部材22の少なくとも一部が配されている。
【0024】
図6に示すように、回路基板17には、図6における開口部24の上方及び下方に、回路基板17を貫通する複数(本実施形態では8つ)の基板側貫通孔25が形成されている。基板側貫通孔25の断面形状は円形状をなしている。
【0025】
また、図11に示すように、第1導電部材22には、回路基板17の正規位置に第1導電部材22を組み付けた状態で、回路基板17の基板側貫通孔25に対応する位置に、複数(本実施形態では8つ)の導電部材側貫通孔26が形成されている。導電部材側貫通孔26の断面形状は円形状をなしている。基板側貫通孔25の内径寸法と、導電部材側貫通孔26の内径寸法とは、実質的に同じ寸法に設定されている。
【0026】
図17に示すように、基板側貫通孔25、及び導電部材側貫通孔26の双方には、モールド成形により第1絶縁部23(特許請求の範囲に記載の合成樹脂部材に相当)を構成する合成樹脂材が充填されている。第1絶縁部23は、基板側貫通孔25の内周面及び導電部材側貫通孔26の内周面の双方に密着している。この第1絶縁部23により、回路基板17と第1導電部材22とが積層された状態で組み付けられるようになっている。回路基板17と、第1導電部材22とは、基板側貫通孔25及び導電部材側貫通孔26とは異なる位置においては、その板面に平行な方向について、相対的に変位可能になっている。
【0027】
図4に示すように、回路基板17の開口部24に対応する位置には、表側(図4における左側)に突出する凸部27が形成されている。凸部27のうち、第1導電部材22の板面から立ち上がる側面28は、第1導電部材22の板面から実質的に垂直に突出している。実質的に垂直とは、凸部27の側面28と第1導電部材22の板面とが垂直である場合を含むと共に、垂直でなくとも、略垂直であると認められる場合を含む。
【0028】
図6に示すように、凸部27は、図6における左右方向に細長く延びて形成されている。開口部24の口縁は、凸部27の端縁に倣った形状に形成されている。
【0029】
図4に示すように、凸部27の突出端面29(図4における左端面)は、回路基板17の表面18と実質的に同じ高さ位置に配されている。
【0030】
図4に示すように、凸部27の突出端面29には、半導体リレー19の裏面(図4における右側面)に形成されたソース端子30が半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。
【0031】
なお、図15に示すように、第1導電部材22には、後述する第2導電部材32とのモールド成形時に金型が挿通される金型挿通孔31が、第1導電部材22を貫通して形成されている。
【0032】
(第2導電部材32)
図4に示すように、第1導電部材22のうち回路基板17の開口部24に対応する位置には、第1導電部部材の表面(回路基板17側の面であって、図4における左側面)に、金属板材からなる第2導電部材32が積層されている。第2導電部材32は、銅、銅合金等の金属板材に鍛造、鋳造、プレス加工、切削加工、圧延加工等を実行することにより所定の形状に形成される。第1導電部材22と第2導電部材32との間には、絶縁性の合成樹脂材からなる第2絶縁部33が介されている。第2絶縁部33は、第1導電部材22と第2導電部材32とをモールド成形することにより形成される。
【0033】
図6に示すように、1つの第1導電部材22に、複数(本実施形態においては5つ)の第2導電部材32が積層されている。各第2導電部材32は図6における左右方向に間隔を空けて並んで配されている。各第2導電部材32の隙間には、第2絶縁部33を構成する合成樹脂材が充填されている。また、回路基板17に形成された開口部24の口縁は、第2導電部材32の端縁に倣った形状に形成されている。
【0034】
図4に示すように、第2導電部材32の表面(図4における左側面)には、半導体リレー19の側縁から外方(本実施形態では図4における上方)に突出するドレイン端子34が、半田付け等の公知の手法により電気的に接続されている。第2導電部材32の表面は、ドレイン端子34が接続される接続面35とされる。この接続面35は、回路基板17の表面18(図4における右側面)と、実質的に同じ高さに配されている。また、隣り合う第2導電部材32の隙間に充填された第2絶縁部33の表面(図4における右側面)も、回路基板17の表面18と実質的に同じ高さに配されている。なお、実質的に同じ高さとは、第2導電部材32の接続面35、および第2絶縁部33材の表面と、回路基板17の表面18とが、同じ高さである場合を含むと共に、同じ高さでなくとも、略同じと認められる程度である場合を含む。
【0035】
図8及び図9には、回路基板17、第1導電部材22、第2導電部材32、及び第2絶縁部33が積層された積層体の断面図を示す。本実施形態においては、回路基板17の表面18、第1導電部材22に形成された凸部27の突出端面29、第2絶縁部33の表面、及び第2絶縁部33の接続面35は、実質的に面一に配されている。
【0036】
(コネクタ端子16の接続構造)
上述したように、コネクタ部15にはコネクタ端子16がコネクタ部15と一体にモールド成形されており、コネクタ端子16の一方の端部はコネクタ部15内に位置して配されている。図4に示すように、コネクタ端子16の他方の端部は、裏側(図4における右側)に向けて曲げ形成されると共に裏側に向けてコネクタ部15から突出している。
【0037】
図4に示すように、複数のコネクタ端子16の一部については、コネクタ端子16の他方の端部に対応する位置に、第2導電部材32が配されている。この第2導電部材32には、コネクタ端子16の他方の端部に対応する位置に、コネクタ端子16の他方の端部が挿通される第2端子接続孔36が、第2導電部材32を貫通して形成されている。コネクタ端子16の他方の端部は、第2端子接続孔36内に挿通されて、半田付け等の公知の手法により、第2導電部材32と電気的に接続されている。
【0038】
また、図5に示すように、コネクタ端子16の他の一部については、コネクタ端子16の他方の端部に対応する位置に、回路基板17が位置している。この回路基板17には、コネクタ端子16の他方の端部に対応する位置に、コネクタ端子16の他方の端部が挿通される端子挿通孔37が形成されている。さらに、コネクタ端子16の他方の端部に対応する位置には、第1導電部材22が配されている。この第1導電部材22には、コネクタ端子16の他方の端部に対応する位置に、第1端子接続孔38が、第1導電部材22を貫通して形成されている。コネクタ端子16の他方の端部は、端子挿通孔37及び第1端子接続孔38内に挿通されて、半田付け等の公知の手法により、第1導電部材22と電気的に接続されている。
【0039】
また、図6に示すように、開口部24は、回路基板17のうち図6における上端部寄りの位置であって、且つ図6における左右方向について略右半分の位置に、形成されている。回路基板17のうち、開口部24の左方の位置には、複数の基板側端子接続孔39が回路基板17を貫通して形成されている。この基板側端子接続孔39には、詳細には図示しないが、コネクタ端子16の他方の端部が挿通されて、半田付け等の公知の手法により、回路基板17に形成された導電路と、電気的に接続される。
【0040】
(製造工程)
続いて、本実施形態の製造工程の一例について説明する。まず、金属板材を鍛造、鋳造、プレス加工等、任意の手法により加工して、第1導電部材22を形成する(図10参照)。次いで、図13に示すように、図13の下側に位置する金型40(以下、下型40と記載する。)の上面(図13における上面)に、第1導電部材22を載置する。下型40の上面には、第1導電部材22を収容するためのキャビティ41が形成されている。また、キャビティ41の底面には、上方(図13における上方)に突出する突出台42が形成されている。この突出台42の上面には、上方に突出する位置決め突起43が形成されている。
【0041】
図14に示すように、第1導電部材22を、凸部27を上方(図14における上方)に向けた姿勢で、且つ金型挿通孔31内に突出台42が挿通された状態で、下型40のキャビティ41内に収容する。第1導電部材22と、下型40とは、突出台42の外周面と、金型挿通孔31の内周面とが当接することにより位置決めされてもよいし、また、第1導電部材22の外縁と、キャビティ41の内面とが当接することにより位置決めされてもよい。
【0042】
その後、第2導電部材32を、図14の矢線で示す方向から第1導電部材22の上面に積層する。図10には、第1導電部材22と第2導電部材32の積層状態を斜視図で示す。このとき、第2導電部材32の第2端子接続孔36内に、下型40の位置決め突起43を挿通する。これにより、第1導電部材22と、第2導電部材32との相対的な位置決めを行う。
【0043】
図15に示すように、第2導電部材32の上方(図15における上方)から、上側に位置する金型44(以下、上型44と記載する。)を重ねる。これにより、下型40と、上型44との間に、第1導電部材22及び第2導電部材32が位置決めされた状態で挟まれる。その後、キャビティ41内に絶縁性の合成樹脂材を充填してモールド成形を行う。これにより、第1導電部材22と、第2導電部材32とが、第2絶縁部33を介して積層される。
【0044】
図11及び図16に示すように、回路基板17の裏面21側から(図11及び図16において矢線で示す方向)、回路基板17の開口部24を塞ぐようにして、第1導電部材22と第2導電部材32とを積層したものを重ねる。その後、図示しない一対の金型内に収容して、絶縁性の合成樹脂材でモールド成形を行う。すると、基板側貫通孔25及び導電部材側貫通孔26の双方に、第1絶縁部23が充填される。これにより、図17に示すように、第1導電部材22と第2導電部材32とを積層したものと、回路基板17とが積層された状態に組み付けられる。
【0045】
その後、回路基板17の表面18に半導体リレー19等を載置して、公知のリフロー半田付けを実行する。これにより、半導体リレー19が回路基板17に実装されて、回路構成体12が完成する。
【0046】
一方、コネクタ端子16を所定の形状に曲げ形成した後、合成樹脂材でモールド成形することにより、カバー14を製造する。その後、カバー14の裏面から回路構成体12を積層し、コネクタ端子16の端部を、それぞれ、基板側端子接続孔39、第1端子接続孔38、及び第2端子接続孔36内に挿通する。ついで、公知のフロー半田付けにより、コネクタ端子16と、回路基板17、第1導電部材22、及び第2導電部材32とを電気的に接続する。
【0047】
その後、ケース本体13の開口内に回路構成体12を収容すると共に、ケース本体13の側壁の端縁と、カバー14の側壁の端縁とを、互いに当接された状態で超音波溶着によって接合する。これにより、ケース本体13とカバー14とは一体に組み付けられる。以上により、電気接続箱10が完成する。
【0048】
(作用、効果)
続いて、本実施形態の作用、効果について説明する。本実施形態によれば、回路基板17と、第1導電部材22とは、基板側貫通孔25及び導電部材側貫通孔26において、その内部に配された第1絶縁部23によって、積層状態で組み付けられる。これにより、回路基板17と、第1導電部材22とは、両部材17,22が全面に亘って固定されている場合に比べて、その板面に平行な方向について、相対的に変位可能になっている。このため、周囲の温度変化によって、回路基板17及び第1導電部材22が、その板面に平行な方向について延びても、回路基板17の延びた方向についての長さ寸法と、第1導電部材22の延びた方向についての長さ寸法との差を、回路基板17及び第1導電部材22の板面に平行な方向に逃がすことができる。この結果、回路構成体12が反ることを抑制できる。
【0049】
また、本実施形態によれば、モールド成形という簡易な手法により回路基板17と第1導電部材22とを積層状態で固定できる。
【0050】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を、図18を参照しつつ説明する。本実施形態においては、回路基板17には基板側貫通孔50が形成されている。基板側貫通孔50の表側(図18における左側)の開口部はやや径大に形成されている。また、第1導電部材22には、基板側貫通孔50に整合する位置に、導電部材側貫通孔51が形成されている。導電部材側貫通孔51の裏側(図18における右側)の開口部はやや径大に形成されている。
【0051】
基板側貫通孔50及び導電部材側貫通孔51内には、合成樹脂製の樹脂ピン52が貫通されている。そして、樹脂ピン52の両端部は、加熱、加圧されることで圧潰されている。これにより、回路基板17と、第1導電部材22とは、隙間を有して積層された状態に保持されている。
【0052】
上記以外の構成については、実施形態1と略同様なので、同一部材については同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0053】
本実施形態によれば、回路基板17と第2導電部材32とは隙間を有して積層されている。この結果、回路基板17と第2導電部材32との間には空気層53が存在する。本実施形態においては、この空気層53が第2絶縁部33とされる。
【0054】
上記の態様によれば、樹脂ピン52を基板側貫通孔50及び導電部材側貫通孔51の内部に挿通して圧潰するという簡易な手法により、回路基板17と第1導電部材22とを積層状態で固定できる。
【0055】
また、上記の構成によれば、通電時に第1導電部材22、及び第2導電部材32で発生した熱は、比較的に熱伝導率の低い空気層53によって遮断されて、回路基板17に伝達することが抑制される。これより、回路基板17に実装された電子部品が熱により不具合を生じることが抑制される。
【0056】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)第2導電部材32は省略してもよい。
(2)基板側貫通孔25及び導電部材側貫通孔26の断面形状は、円形状に限らず、三角形状、長方形状等の多角形状としてもよく、また、長円形状、楕円形状等、必要に応じて任意の形状とすることができる。
(3)本実施形態においては、基板側貫通孔25の内径と、導電部材側貫通孔26の内径とは実質的に同じ寸法とされたが、これに限られず、異なる寸法としてもよい。
(4)第2絶縁部33としては、絶縁性の接着剤、絶縁性の接着シート、絶縁性の粘着シート等、必要に応じて任意の絶縁性の材料を用いることができる。
(5)本実施形態においては、1つの第1導電部材22が回路基板17に組み付けられる構成としたが、これに限られず、複数の第1導電部材22が回路基板17に組み付けられる構成としてもよい。
(6)本実施形態においては、電子部品として半導体リレー19を用いたが、これに限られず、機械式リレー、抵抗、コンデンサ等、必要に応じて任意の素子を用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
10…電気接続箱
11…ケース
12…回路構成体
17…回路基板
22…第1導電部材(導電部材)
23…第1絶縁部(合成樹脂部材)
25,50…基板側貫通孔
26,51…導電部材側貫通孔
52…樹脂ピン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板と、金属板材からなると共に前記回路基板の一方の面に積層された導電部材と、を備えた回路構成体であって、
前記回路基板には基板側貫通孔が形成されており、前記導電部材には前記回路基板に積層された状態で前記基板側貫通孔に対応する位置に導電部材側貫通孔が形成されており、前記基板側貫通孔及び前記導電部材側貫通孔の内部には前記基板側貫通孔及び前記導電部材側貫通孔を貫通して前記回路基板と前記導電部材とを積層状態で組み付ける合成樹脂部材が配されていることを特徴とする回路構成体。
【請求項2】
前記合成樹脂部材は、前記回路構成体と前記導電部材とを積層した状態でモールド成形してなることを特徴とする請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記合成樹脂部材は、前記基板側貫通孔及び前記導電部材側貫通孔の内部に挿通された樹脂ピンであることを特徴とする請求項1に記載の回路構成体。
【請求項4】
ケース内に、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の回路構成体を収容してなることを特徴とする電気接続箱。
【請求項1】
回路基板と、金属板材からなると共に前記回路基板の一方の面に積層された導電部材と、を備えた回路構成体であって、
前記回路基板には基板側貫通孔が形成されており、前記導電部材には前記回路基板に積層された状態で前記基板側貫通孔に対応する位置に導電部材側貫通孔が形成されており、前記基板側貫通孔及び前記導電部材側貫通孔の内部には前記基板側貫通孔及び前記導電部材側貫通孔を貫通して前記回路基板と前記導電部材とを積層状態で組み付ける合成樹脂部材が配されていることを特徴とする回路構成体。
【請求項2】
前記合成樹脂部材は、前記回路構成体と前記導電部材とを積層した状態でモールド成形してなることを特徴とする請求項1に記載の回路構成体。
【請求項3】
前記合成樹脂部材は、前記基板側貫通孔及び前記導電部材側貫通孔の内部に挿通された樹脂ピンであることを特徴とする請求項1に記載の回路構成体。
【請求項4】
ケース内に、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の回路構成体を収容してなることを特徴とする電気接続箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2010−220295(P2010−220295A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61188(P2009−61188)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
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