説明

回路装置

【目的】変化する入力電流I0(variable input current) のスイッチモード電源を用いて実質的に定電源PL で動作する放電ランプ(L)用の回路装置の駆動信号を用いて変化する前記入力電流I0 を制御するため周期的にスイッチするスイッチング手段(10)を備える回路装置において、電源の変動(fluctuations)の結果による前記動作ランプの色温度の変動をかなり制限し、同時に前記制御システムの簡素化を維持する手段を提供することを目的とする
【構成】駆動回路(V)で発生する前記駆動信号は、一方で前記入力電流に、他方で前記ランプ電圧VL 及び基準信号に比例する信号S1を発生する。前記回路装置は信号S1を発生するための手段(IV)を備える。良好な近似による前記電力PL は次の関係式を満足する。
L =Vb 0 −K2 /VL ここで、Vb は電源電圧、VL はランプ電圧、K2 は比例定数を表す。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】本発明は、変化する入力電流(a variable input current)のスイッチモード電源を用いて実質的に定電源で動作する放電ランプの回路装置に関するもので、この回路装置は駆動回路で発生し前記入力電流及び基準信号に比例する信号S1により形成される駆動信号を用いて前記入力電流を制御するための周期的にスイッチするスイッチング手段と、前記信号S1を発生する手段とを備えるものである。
【0002】
【発明の背景】冒頭に記載のような回路装置は米国特許第4,928,038号により既知である。この既知の回路装置により非常によい近似で接続されたランプを定電源で動作することが達成される。このランプにより発光する光の所望の色温度Tc を維持することは重要である。これは、前記スイッチモード電源としてダウンコンバータを有し、前記スイッチング手段を流れるパルス電流を測定して得られる測定信号を前記スイッチング手段を駆動するための駆動信号を発生するための駆動回路におけるフィードバック信号として用いることを既知の回路装置で達成する。前記回路装置は又例えばランプの調光のため、前記ランプを動作する電力で、これを調整する場合にも適切である。スイッチモード電源の異なる型を用いる場合に、入力電源も、スイッチング手段のスイッチングに依存するであろうが、しかし前記スイッチング手段を流れる電流に一致する必要はなく、又パルス状である必要もない。このような場合に前記入力電流の測定及び前記スイッチング手段を流れる電流の測定の両方共前記測定信号を得るのに適している。この既知の回路装置の利点は、比較的簡単な制御システムを実現し、これにより前記ランプの動作特性の変化(variations)を記録する必要はない。しかしながら既知の回路装置の制御の欠点は、ランプ電源に約3%までの変動(fluctuations)が生じ、これは実際に前記色温度TC における実質的な差となることが見出される。
【0003】
【発明の要約】従って本発明は電源の変動(fluctuations)の結果による前記動作ランプの色温度の変動をかなり限定し、同時に前記制御システムの簡素化を維持する手段を提供することを目的とする。
【0004】冒頭に記載のような回路装置がこの目的のために前記信号S1はランプ電圧VL に依存して与えられる手段を有することを特徴とする。
【0005】ランプ電圧を生ずる広い測定範囲に渡り1%以内に正確に前記ランプ電力を安定化することが可能であることが見出された。例えば、前記定格値より約35%高いランプ電圧で0.8 %の電源変化しか生じなかったことが実験的に確認された。本発明による作用の重要な面は、前記ランプ電流の値を変えることにより前記回路配置における損失が補償されることである。これは数学的に次のように説明される。米国特許第4,928,038 号は時間で平均化された入力電力Pin、パルス状入力電流I0と、電源電圧Vb との間の関係を開示している。即ち、Pin=Vb ・I0 (1)
前記ランプ電力PL は前記回路装置の効率ηに依存することが一般に知られており、その関係は数学的に次のように表される。
L =ηPin (2)
前記電力の差Pin−PL =Pdis は前記回路装置内で損失すると仮定すると、この関係は次のように表すことが出来る。
dis =K1 L (3)
ここでIL はランプ電流、K1 は前記損失を生ずるインピーダンスによる電圧差である。前記ランプ電力PL =VL L の所望の一定値から出発して、上式(3)は次のように書き代えることが出来る。
dis =K2 /VL (3a)
前記ランプ電力の関係は上式(1)及び(3)の結合により次式が得られる。
L =Vb 0 −K2 /VL (4)
前記周期的なスイッチング手段の駆動は、1/VL に比例する信号部分の前記信号S1に対する付加により前記回路装置に生ずる損失で補償される。
【0006】前記回路装置内の損失は、前記ランプ電流IL の値に依存することは上記記載から導き出すことができるが、前記制御のためのランプ電圧VL を使用することが好ましい。ランプ電圧VL の測定は実質的に損失なしに行うことが出来る。対照的に、ランプ電流IL に比例する信号の発生は、実際には簡潔さ、信頼性及び対価の理由により前記ランプ電流IL により横切られる回路部分に測定用抵抗器を使用するための選択となる。従って、さらに損失となりこれは望ましくない。
【0007】本発明による回路装置は既知の回路装置に比較して拡張された測定信号、即ち拡張された駆動回路を備えることは事実である。しかしながら、前記拡張の特性は2個の信号電圧の簡潔な総和(summation) が十分であり得ることを意味する。これは一般に知られた入手可能な電子部品を用いる非常に低いコストで簡単な方法で実現することが出来る。前記駆動回路の本質は変わらないままであり、簡素な制御システムの利点は損なわれない。
【0008】簡潔な制御システムの保護は関係式(4)の綿密な検討からもさらに明らかとなり、ここで発明者は前記信号SIの項VL /K2 が前記項Vb o に対応する前記信号S1の部分の小さな修正を表すことを見出した。これは前記関係式(4)を次式PL =Vb 0 +VL /K3 −C (5)
で置き換えることを可能にする。ここでK3 及びCは一定である。前記信号S1を発生する手段は非常に簡単に、見出された前記関係式(5)に基づいて、I0 及びVL を表す信号電圧の総和(summation) のための電気回路から構成され、ここで抵抗器は一定量Vb、K3 及びCを表すための所望の調整を達成するために作用する。
【0009】前記実際の値は前記信号S1の発生にVb としても用いられる他の改良点を達成することが出来る。このようにしてVb の値の妨害も修正され又前記ランプにより消費される電力は実質的にこのような妨害に対し全く反応を示さないことを達成する。実用的な目的のために、Vb ・I0 の積は総和Vb +I0 により十分に表すことが出来る。信号電圧の総和の簡潔なキャラクターは前記信号S1を発生するための回路装置の構成のために維持される。
【0010】本発明による回路装置は特にメタルハライドランプを動作するのに適切である。実際にメタルハライドランプは実際のランプ電圧に広範な変化を有することが見出されている。このように実際のランプ電圧は、定格ランプ電圧が85Vの場合に75Vと115Vとの間で変化するのが通常である。
【0011】
【実施例】本発明による回路装置の実施例を図面を参照し詳細に説明する。図1は接続されたランプと共に本発明による回路装置の図を示し、図2は信号S1を発生するための手段の詳細図を示す。
【0012】図1において参照番号1は220V、50Hzの交流電源(AC電源)のような電源に接続する接続端子を示す。前記回路装置は順に整流回路A、アップコンバータI、ダウンコンバータII及び整流子ネットワークIII (a commutator netwrok)の順に構成される。前記ダウンコンバータはスイッチモード電源の機能を達成する。ランプLは前記整流子ネットワークIII のランプ接続端子2と3との間に接続される。前記ランプは動作中に電気的変化の影響を受けないように前記整流子ネットワーク内に組み込まれる。前記整流回路Aは又電源からの電流の不所望な歪みを防止するために既知のフィルター回路で構成される。前記整流回路Aにより形成される直流電流(DC電流)は385Vの直流電圧(DC Voltage) に前記アップコンバータ1で変圧され、前記ダウンコンバータIIの電源電圧Vb として作用する。前記ダウンコンバータIIは電流電源として働き、前記電源からのパルス状電流を得ることにより接続されたランプを有する整流子ネットワークを動作し、この目的のために例えばMOSFETのような周期的なスイッチング手段10で構成される。前記スイッチング手段10は駆動回路Vで発生する駆動信号により駆動され、パルス入力電流及び基準信号に比例する信号S1により形成される。信号S1は又ランプ電圧VL に依存する。以下前記回路装置は前記信号S1を発生するための信号手段として参照すべき手段IVからなる。
【0013】前記電源電圧Vb はBで測定され、信号手段IVに対し導通する。同様にして前記ランプ電圧VL はC点で測定され、信号手段IVにより導通される。測定用抵抗器RはダウンコンバータIIに組み込まれ、この抵抗器にパルス状電流I0 が流れる。これはD点で測定される前記測定用抵抗器Rに印加される電圧差を生じ、信号手段IVを導通する。
【0014】図2に前記信号手段IVを詳細に示す。前記信号手段IVは電圧Vref として入力4aに示す基準信号と信号S1との比較のための演算増幅器4から構成される。B、CおよびDでの信号電圧の総和により得られる前記信号S1は入力4に示す。所望の調整は前記総和のために必要な相互比を表すために抵抗器5、6及び7を用いて行われる。信号S1と前記基準信号との間の差はコンデンサ8を用いて結合され、前記演算増幅器の出力4cを介して駆動回路Vに接続される。
【0015】上記実施例の実際の実現には、前記回路を220V、50Hzの交流電源で動作させる。前記アップコンバータIは前記供給電源電圧Vb として作用する385Vの直流電圧を供給する。75Wの電力定格を有するメタルハライドランプを前記回路装置で動作する。前記定格電圧は85Vである。前記ダウンコンバータは0.88Aの定格値を有するのこぎり歯電流を供給する。パルス状の入力電流はMOSFET10を流れると共に0.195Aの時間平均値で測定用抵抗器Rを流れる。前記電気加算回路の抵抗器5、6及び7は各々12Mohm、4.7Mohm 及び8.25kohmの値を有する。前記測定用抵抗器Rは2.75ohm の値を有する。一連の測定は実際のランプ電圧と前記ランプにより消費されるのに付随する電力とを測定した。第一の測定では、前記回路装置を従来既知の信号S1で動作し、従ってランプ電圧VL に依存しない。第二の測定では、前記回路装置は本発明により動作され、前記ランプ電流IL における変化に応じて前記回路装置内での損失の変化のための補償がされる。これらの測定の結果を以下の表Iに示す。この表において第1欄は前記第一の測定結果を、第2欄は前記第二の測定結果を示す。
【0016】
【表1】


【0017】前記電源電圧Vb の妨害の影響を第三の測定により調査した。この結果を表2に示す。
【0018】
【表2】


【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は接続されたランプと共に本発明による回路装置の図を示す。
【図2】 図2は信号S1を発生するための手段の詳細図を示す。
【符号の説明】
1:接続端子、 2、3:ランプ接続端子、
4:演算増幅器、 4a:入力、
5、6、7:抵抗器、 10:スイッチング手段、
I:アップコンバータ 、II:ダウンコンバータ、
III:整流子ネットワーク、IV:信号手段、
V:駆動回路、 A:整流回路、

【特許請求の範囲】
【請求項1】 変化する入力電流のスイッチモード電源を用いて実質的に定電源で動作する放電ランプ用の回路装置の駆動回路で発生し前記入力電流及び基準信号に比例する信号S1により形成される駆動信号を用いて前記入力電流を制御するための周期的にスイッチするスイッチング手段と、前記信号S1を発生する手段とを備える回路装置において、前記信号S1はランプ電圧VL に依存して与えられる手段を有することを特徴とする回路装置。
【請求項2】 請求項1に記載の回路装置において、前記信号S1を発生する手段は入力電流と電源電圧とをそれぞれ表す信号電圧の総和(summation) のための電気回路を備えることを特徴とする回路装置。
【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の回路装置において、前記電気回路は電源電圧を表す信号電圧の総和に作用することを特徴とする回路装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開平5−121187
【公開日】平成5年(1993)5月18日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−109318
【出願日】平成4年(1992)4月1日
【出願人】(590000248)エヌ・ベー・フイリツプス・フルーイランペンフアブリケン (12,071)
【氏名又は名称原語表記】N.V.PHILIPS’ GLOEILAMPENFABRIEKEN