説明

回路遮断器における引き外しレバー構造及びその組立方法

【課題】回路遮断器において、トリップレバーのリレー軸への押圧領域を限定的とし、リレー軸の回転を阻止することで、高いかしめ圧力を得ることで、かしめ保持力を向上することができる引き外しレバー構造及びその組立方法を提供する。
【解決手段】リレー軸3が挿通されるトリップレバー2には、平行な二平面部分9,9を備える挿通孔部7と、挿通孔部7から連続した長孔部8とを有する取付け孔6が形成されている。リレー軸3が取付け孔6に挿通された状態で取付け孔6が特に長孔部8においてポンチ4,4によって押し潰されることで、リレー軸3は、平行な二面部分9,9に圧接される状態でトリップレバー2に結合される。リレー軸3に対するかしめ面圧が増加するとともに、二面部分9,9の圧接を伴う押し潰し状態によってリレー軸3の取付け孔6内での回転が妨げられ、かしめ保持力の向上が実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、事業所や工場などで用いられる回路遮断器であって、通電回路に大電流が流れたとき、引き外し装置によって接触子機構を開離させることによって回路を遮断する回路遮断器における引き外しレバー構造及びその組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器は、送配電線や変電所母線・機器等の短絡故障時にその回路を自動的に遮断するための開閉器であるが、平常時は回路の開閉にも用いられる機器である。従来の回路遮断器の構造が、断面図として図10に示されている。図10において、回路遮断器60は、主回路と、開閉引き外し機構部68と、引き外し装置69等を備えている。主回路は電源側端子61と、固定接点62と、それに対向する可動接点63、可動接点台64、負荷側端子65等を備えている。可動接点台64は、接点軸66に接点ばね67を介して保持されており、接点軸66は開閉引き外し機構部68と連結し回転することにより、主回路の接点を開閉する構造になっている。
【0003】
引き外し装置69は開閉引き外し機構部68と連動している。引き外し装置69が作動した場合、その機械的出力は開閉引き外し機構部68のラッチを引き外して開閉引き外し機構部68を作動させ、可動接点台64を動かして主回路を引き外し、直ちに開路させるようになっている。主回路の構成要素及び主回路開閉要素は、本体ケース70、本体カバー71に収納されている。72は開閉引き外し機構部68の操作ハンドルである。
【0004】
図11を参照して、開閉引き外し機構部68の内部構成を説明する。開閉引き外し機構部68は、固定フレーム73、ハンドルリンク74、フック75、フックピン76、リンク上下ピン77、上リンク78、下リンク79、トリップ金具80、トリップ金具ピン81、トリップバネ82、トリップリンク(トリップレバー)83、トリップリンク軸(リレー軸)84、トリップリンクピン85を備えている。
【0005】
操作ハンドル72はハンドルリンク74と結合されており、ハンドルリンク74は固定フレーム73の一点を中心に回転する。下リンク79は可動接点台64と連結されており、下リンク79と上リンク78とはリンク上下ピン77で連結されており、更に、リンク上下ピン77とハンドルリンク74とが駆動バネ86を介して連結されているので、リンク上下ピン77を介して上リンク78、下リンク79、駆動バネ86が連動する。
【0006】
フック75は、フックピン76によって固定フレーム73に連結されており、このフックピン76を中心に回転する。また、上リンク78はフック上部打出し部87と連結されており、このフック上部打出し部87を中心に回転する。トリップ金具80はトリップバネ82と共にトリップ金具ピン81を中心に回転する。トリップ金具80はトリップバネ82により負荷側に回転する力が働く。トリップリンク83は、トリップリンクピン85により固定フレーム73に連結されているので、トリップリンクピン85を中心に回転する。
【0007】
フック75は、上リンク78を介して駆動バネ86により上に持ち上げられる力が働き、フックピン76を中心に電源側方向に回転しようとするが、フック75の先端がトリップ金具80と係合されているので、フック75の回転は止められている。また、トリップ金具80はトリップバネ82によりフック75との係合を外そうとするが、トリップリンク83により回転を止められている。
【0008】
この機構において、引き外し装置69によりトリップリンク83を回転させることにより、トリップリンク83とトリップ金具80のラッチが外れてトリップ金具80が回転し、トリップ金具80とフック75のラッチが外れてフック75が回転し、それに伴い可動接点台64が動いて、主回路を開路可能となっている。
【0009】
かかる引き外し装置69の構造は、トリップリンク83に形成されている孔へ、断面が丸いトリップリンク軸84を挿入し、トリップリンク83を塑性変形させ、トリップリンク83とトリップリンク軸84の摩擦でトリップリンク軸84を保持する構造である。トリップリンク軸84のかしめ保持力を向上するには、かしめ圧力を上げなければならない。しかしながら、かしめ圧力を高めると、トリップリンク83はそのかしめ圧力に耐えられず折損する不具合が発生する。それゆえ、現在のかしめ方法では、かしめ保持力を向上することは困難である。
【0010】
トリップレバーとリレー軸との結合として、トリップバーを非金属製の絶縁バーで構成し、フレーム(トリップレバー相当する)に切欠で外に開いくように形成した軸受孔に挿入する構造が示されている(特許文献1参照)。切欠は軸受孔の内径よりも若干幅狭い等幅・直線状に形成されており、トリップバーには、切欠位置に合わせて、外周の2面が切欠の幅よりも僅かに小径に削除されている。また、金属板に形成した貫通穴に溝を形成した軸を挿入し、金属板を押し潰して金属板の一部を軸の溝内に膨出させることにより金属板と軸を結合する構成が提案されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−31951号公報(段落0003,0006、図1〜図3)
【特許文献2】特開昭62−215108号公報(第2頁上左欄第15行〜下左欄第4行、図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、電源側端子、この電源側端子に固着された接点、可動接点台及び負荷側端子を有する主回路と、固定フレーム、フック及びフックに連結された上リンクを有し、前記可動接点台を回転させることにより回路接点の開閉引き外しを行う開閉引き外し機構部と、当該開閉引き外し機構部を動作させる引き外しレバーとを具備する回路遮断器においては、トリップレバーの押し潰しによってトリップレバーとリレー軸とをかしめ結合する際に、トリップレバーのリレー軸への押圧領域を限定的とすることにより、リレー軸の回転を阻止すると共に高いかしめ圧力を得る点で解決すべき課題がある。
【0012】
この発明の目的は、トリップレバーのリレー軸への押圧領域を限定的とし、リレー軸の回転を阻止することで、高いかしめ圧力を得ることで、かしめ保持力を向上することができる回路遮断器における引き外しレバー構造及びその組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前途の課題を解決するため、この発明による引き外しレバー構造は、かかる回路遮断器において、前記引き外しレバーは、リレー軸と、平行な二平面部分を備える取付け孔が形成されたトリップレバーとを備えており、前記リレー軸が前記取付け孔に挿通される状態で前記トリップレバーを押し潰すことにより前記リレー軸が前記平行な二面部分に圧接される状態で前記トリップレバーに結合されていることを特徴としている。
【0014】
また、この発明による回路遮断器において引き外しレバー構造の組立方法は、前記引き外しレバーは、リレー軸と、当該リレー軸が取り付けられるトリップレバーとを備えており、前記トリップレバーに平行な二平面部分を備える取付け孔を形成し、前記リレー軸が前記取付け孔に挿通された状態で前記取付け孔が潰される態様で前記トリップレバーを押し潰し、前記リレー軸を前記平行な二面部分に圧接される状態で前記トリップレバーに結合することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、以上で述べたとおり、トリップレバーに平行な二平面部分を備える取付け孔を形成し、リレー軸が取付け孔に挿通された状態で取付け孔が潰される態様でトリップレバーを押し潰し、リレー軸を前記平行な二面部分に圧接される状態でトリップレバーに結合するので、リレー軸に対するかしめ面圧が増加するとともに、二面部分の圧接を伴う押し潰し状態によって丸いリレー軸の取付け孔内での回転が妨げられ、かしめ保持力の向上が実現することができる。この効果により、さらに製品の信頼性も向上し使用者側にとって安全な製品を提供すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明による回路遮断器における引き外しレバー構造及びその組立方法の実施例を説明する。
【0017】
図1である斜視図には、本発明による引き外しレバーかしめ方法が適用される回路遮断器の概要が示されている。図1に示す回路遮断器においては、引き外しレバー1は、トリップレバー2と、断面円形の丸棒から成るリレー軸3とを備えている。この例では、トリップレバー2は金属板材製とされ、リレー軸3は樹脂製とされるが、この組合せに限らない。なお、回路遮断器のその他の基本的な構造それ自体は知られている構造であって、図10及び図11に示した従来の回路遮断器と同等のものであってよいので、それらについての詳細な説明を省略する。
【実施例1】
【0018】
図2〜図4を参照して本発明による引き外しレバーかしめ方法の実施例1を説明する。図2は、本発明による引き外しレバー構造及びその組立方法を説明する斜視図である。図3には、図2に示す引き外しレバーのかしめによる結合構造の詳細がリレー軸3に直交する断面での断面図として示されている。
【0019】
図2において、引き外しレバー1は、トリップレバー2にリレー軸3を組み合せて、一対のポンチ面4c,4cが対向して配置されたかしめポンチ4,4を移動方向5,5へ向けて移動させ、トリップレバー2に対してポンチ加工を行うことにより組み立てられる。このポンチ加工の際に生じるトリップレバー2及びリレー軸3の塑性変形を利用して、リレー軸3はトリップレバー2にかしめ保持される。トリップレバー2を構成する板材の板厚tは1.2mmとされ、かしめポンチ4の加工を行う端面4cの幅は2mmとされているが、これらの寸法は、あくまで一例であり、これに限られない。
【0020】
図3を参照して、本発明による引き外しレバー構造とその組立方法の詳細を説明する。図3(a)は組立の際のかしめ工程前の状態を示す図であり、図3(b)はかしめ工程後の状態、即ち、組み立てられた後の引き外しレバー構造を示す図である。図3(a)に示すように、かしめ前のトリップレバー2には、その一対の板状のレバー部分2a,2aに取付け孔6,6が形成されており、各取付け孔6は、リレー軸3が嵌まり合う挿通孔部7と、挿通孔部7から連続して延びる長孔部8とから形成されている。
【0021】
挿通孔部7は、リレー軸3が嵌合できるようにリレー軸3の断面形状よりも大きな、例えば概略円形又は縦長の楕円形の孔部であるが、かしめポンチ4の移動方向5で見て最も離れた部分に当該移動方向5と直交し、それゆえ互いに平行な二つの平面部分9,9が設けられている。平面部分9,9間の距離は、リレー軸3の嵌合に無理はないが、軸直径と殆ど同程度の距離に設定されている。また、各平面部分9の長さは、リレー軸3の軸直径の3分の1程度であるが、これに限ることはない。リレー軸3を挿通孔部7内に挿入した状態では、リレー軸3の周面が平面部分9,9に軽く接触するか、殆ど接触する状態にある。平面部分9,9以外の挿通孔部7では、リレー軸3の周面との間には、0.05mm程度の隙間が残される。
【0022】
一方、長孔部8は、その長手方向はかしめポンチ4の移動方向5と直交する方向に延びており、互いに平行な平面部分10,10が設けられている。長孔部8の長さはリレー軸3の軸直径程度であり、また、平面部分10,10間の距離はリレー軸3の軸直径の3分の1程度であるが、いずれもこれに限ることはない。かしめ加工の際に、トリップレバー2とリレー軸3との組合せをかしめポンチ4,4間に置いた状態では、かしめポンチ4,4の端面4c,4cは、長孔部8の長手方向の中央部分に対応した位置を取る。
【0023】
このように、トリップレバー2とリレー軸3との組合せをかしめポンチ4,4間に置いた状態から、かしめポンチ4,4を移動方向5,5に動作させると、長孔部8は、平面部分10,10が接近するように潰れる変形をする。この変形に伴って、挿通孔部7においても平面部分9,9が接近する方向に潰れる変形をする。これにより、断面丸形状のリレー軸3に加わる力は、従来の面接触による低い圧力状態から、平面部分9,9との点接触、或いは面接触であるとしても狭い面接触による高い圧力状態となり、リレー軸3に対する圧力が増加する。また、リレー軸3と挿通孔部7との潰れ変形後の接触部分の形状は、図3(b)に示すように、平面部分9,9であった部分が上側にやや窄んだ形状となっており、レバー軸3の断面形状もそれに応じて変形された形状となっている。即ち、かしめ変形後の接触部分の形状は円形やそれに近い形状ではないので、レバー軸3がトリップレバー2に対して回転可能になることはなく、したがって、レバー軸3とトリップレバー2との結合が緩むこともない。
【0024】
図4には、従来と本発明によるリレー軸3の保持力の比較が示されている。図4に示す通り、本発明によって得られたかしめ構造によれば、平面部分9,9によってリレー軸3を塑性変形させてトリップレバー2と結合させることで、かしめ保持力が従来の構造と比べて約4倍に向上することができることが判明している。
【0025】
図3に示すかしめ方法では、かしめポンチ4,4は、トリップレバー2を、その移動方向5,5と直交する方向に長く延びている長孔部8を変形させればよいので、トリップレバー2に接触するかしめポンチ4,4の端面4c,4cの形状を2mm幅の広さを持たせることができる。このような構造によれば、かしめポンチ4,4の端面4c,4cからトリップレバー2に及ぶ応力は分散され、応力集中は低下する。したがって、トリップレバー2が応力集中に起因して割れを生じるのを防止することができる。
【実施例2】
【0026】
図5を参照して、本発明による引き外しレバー構造とその組立方法の別の実施例を説明する。図5に示す実施例2においては、図3に示した構成要素及び部位と同等のものについては同じ符号を付すことで再度の説明を省略する(後述の図6、図7に示す各実施例についても同様である)。実施例2では、トリップレバー12に形成される取付け孔16は、挿通孔部17が角の丸い四角形状に形成されている点で、実施例1とは異なるが、その他の点では格別な差異はない。挿通孔部17に形成される平面部分19,19は、四角形状の一辺の長さに略等しくなっている。かしめポンチ4,4によるかしめ加工については、実施例1の場合と同様である。また、挿通孔部17の平面部分19,19の構造は、実施例1の平面部分9,9の場合と同様に、リレー軸3に対するかしめ強度を高め、かしめ保持力を向上させている。
【実施例3】
【0027】
図6を参照して、本発明による引き外しレバー構造とその組立方法の別の実施例を説明する。図6に示す実施例3においては、トリップレバー22に形成される取付け孔26は、挿通孔部27が六角形状に形成されている点で、実施例1や実施例2と異なるが、その他の点では相違はない。挿通孔部27に形成される平面部分29,29は、六角形状の一辺の長さに略等しくなっているが、実施例1の平面部分9,9の場合と同様に、リレー軸3に対するかしめ強度を高め、かしめ保持力を向上させている。
【実施例4】
【0028】
図7を参照して、本発明による引き外しレバー構造とその組立方法の更に別の実施例を説明する。図7に示す実施例4においては、トリップレバー32に形成される取付け孔36は、図3に示す実施例1のトリップレバー2に形成される取付け孔6の挿通孔部7と略同じ形状の挿通孔部37を有しているが、長孔部については、実施例1の長孔部8と同等の長孔部38と、挿通孔部37を挟んで直径方向に対向した位置に長孔部38と同様の態様で延びる長孔部38aとを有している。このトリップレバー32の構造に対応して、かしめポンチについても、長孔部38に対応して設けられるかしめポンチ4,4と、長孔部38aに対応して設けられるかしめポンチ4a,4aとが設けられている。したがって、トリップレバー32が、かしめポンチ4,4;4a,4aによってかしめ加工されたときには、挿通孔部37の上下両側で、長孔部38,38aが潰れる変形を受け、平面部分39,39は、長孔部38,38a側でそれぞれ窄まる形状に変形を受け、リレー軸3もそれに倣った変形を受ける。したがって、実施例1の場合よりもリレー軸3に対して均等にかしめ強度を分布させることができる。
【0029】
図8は、この発明による引き外しレバーかしめ構造の更に別の実施例を示す斜視図である。図8(a)はバーリング加工されたトリップレバーを示す側面図、図8(b)はそのトリップレバーを用いてリレー軸をかしめ固定した状態を示す斜視図である。図8に示す実施例5においては、トリップレバー42の取付け孔46の孔形状は実施例1に示す形状と同じであるが、トリップレバー42の板厚は実施例1のトリップレバー2の板厚よりも薄くされている。トリップレバー42の板厚が薄いとリレー軸3へのかしめ強度が低下するおそれがあるが、これを強度的に補うため、図8(a)に示すように、トリップレバー42への取付け孔46の形成をバーリング加工によって行うことによって、トリップレバー42には、取付け孔46の開口縁周りに補強部分46aが形成されている。トリップレバー42の板厚は、補強部分46aが形成されている部分については、補強部分46aを含めて実施例1の場合と同様に1.2mmとされる。リレー軸3に対しては、トリップレバー42がレバー部分2aとバーリング形状として連続形成された補強部分46aとを含めてかしめられるので、実施例1と同程度にかしめ強度が高められ、且つかしめ保持力を向上させることができる。
【0030】
図9は、この発明による引き外しレバーかしめ構造の更に別の実施例を示す図である。図9(a)は孔形成されたトリップレバー52の展開状態を示す図であり、図9(b)はリレー軸3をかしめ固定した状態を示す斜視図である。図9に示す実施例6においては、トリップレバー52の板厚は実施例1のトリップレバー2の板厚よりも薄くされているので、リレー軸3へのかしめ強度が低下するおそれがあるが、これを強度的に補うため、図9(a)に示すように、トリップレバー52の取付け孔56の孔形状は実施例1に示す形状と同じものを鏡対称に2つ形成しておき、このトリップレバー52を鏡位置57で折り返すことで、取付け孔56,56aが重ねられる。板厚は、折り返し二重構造58,58の状態で実施例1と同等の1.2mmとされる。リレー軸3に対しては、実施例1と同程度にかしめ強度が高められ、且つかしめ保持力を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上の説明から明らかなように、この発明による回路遮断器における引き外しレバー構造及びその組立方法によれば、トリップレバーの孔形状に直線部分を設けることによって、リレー軸を挿通した状態でトリップレバーをかしめることにより、かしめ保持力の向上が可能となり信頼性の高い回路遮断器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による引き外しレバー構造が適用される回路遮断器の外観斜視図。
【図2】本発明による引き外しレバー構造及びその組立方法を説明する斜視図。
【図3】図2に示す引き外しレバーのかしめによる結合構造の詳細を示す断面図。
【図4】従来と本発明によるリレー軸の保持力の比較を示す図。
【図5】本発明による引き外しレバー構造とその組立方法の実施例2を説明する図。
【図6】本発明による引き外しレバー構造とその組立方法の実施例3を説明する図。
【図7】本発明による引き外しレバー構造とその組立方法の実施例4を説明する図。
【図8】本発明による引き外しレバー構造の更に別の実施例5を説明する図。
【図9】本発明による引き外しレバー構造の更に別の実施例6を説明する図。
【図10】従来の回路遮断器の一例を示す断面図。
【図11】図10に示す回路遮断器の開閉引き外し機構部の詳細図。
【符号の説明】
【0033】
1 引き外しレバー
2;12;22;32;42;52 トリップレバー 2a レバー部分
3 リレー軸
4,4a かしめポンチ 4c 端面
5 移動方向(かしめ方向)
6;16;26;36;46;56,56a 取付け孔
7;17;27;37 挿通孔部 8;38,38a 長孔部
9;19;29;39 平面部分 10 平面部分
46a 補強部分 57 鏡位置
58 折り返し二重構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源側端子、この電源側端子に固着された接点、可動接点台及び負荷側端子を有する主回路と、固定フレーム、フック及びフックに連結された上リンクを有し、前記可動接点台を回転させることにより回路接点の開閉引き外しを行う開閉引き外し機構部と、当該開閉引き外し機構部を動作させる引き外しレバーとを具備する回路遮断器において、
前記引き外しレバーは、リレー軸と、平行な二平面部分を備える取付け孔が形成されたトリップレバーとを備えており、前記リレー軸が前記取付け孔に挿通される状態で前記トリップレバーを押し潰すことにより前記リレー軸が前記平行な二面部分に圧接される状態で前記トリップレバーに結合されていることを特徴とする引き外しレバー構造。
【請求項2】
請求項1記載の回路遮断器における引き外しレバー構造において、
前記引き外しレバーに形成される前記取付け孔は、前記二平面部分を備え前記リレー軸が挿通される挿通孔部と当該挿通孔部から連続して延びる長孔部とを有しており、前記トリップレバーに前記長孔部を押し潰す態様で加えた変形が前記挿通孔部に及ぶことにより、前記リレー軸を前記トリップレバーに対して前記挿通孔部においてかしめ保持することを特徴とする
回路遮断器における引き外しレバー構造。
【請求項3】
請求項2記載の回路遮断器における引き外しレバー構造において、
前記挿通孔部は、前記長孔部の押し潰し方向と平行な方向に最も離れた部分において、当該押し潰し方向と直交する方向に延びる一対の向かい合う平坦壁面部分を有しており、前記変形が前記挿通孔部に及ぶときに前記平坦壁面部分が前記リレー軸に接触してかしめ強度を向上することを特徴とする
回路遮断器における引き外しレバー構造。
【請求項4】
請求項3記載の回路遮断器における引き外しレバー構造において、
前記挿通孔部は、前記平坦壁面部分以外の壁部分が前記リレー軸の外形に倣った円柱壁面部分又は楕円柱壁面部分であることを特徴とする
回路遮断器における引き外しレバー構造。
【請求項5】
請求項3記載の回路遮断器における引き外しレバー構造において、
前記挿通孔部は、前記各平坦壁面部分を一辺とする四角形以上の多角形に形成されていることを特徴とする
回路遮断器における引き外しレバー構造。
【請求項6】
請求項2記載の回路遮断器における引き外しレバー構造において、
前記取付け孔の前記長孔部は、前記挿通孔部から当該押し潰し方向と直交する方向に延びる二つの長孔部として形成されており、前記トリップレバーに前記両長孔部を押し潰す態様で加えた変形が前記挿通孔部に及ぶことにより、前記リレー軸を前記トリップレバーに対して前記挿通孔部においてかしめ保持することを特徴とする
回路遮断器における引き外しレバー構造。
【請求項7】
請求項2記載の回路遮断器における引き外しレバー構造において、
前記挿通孔部の開口縁周りには、環状の補強部分が形成されていることを特徴とする
回路遮断器における引き外しレバー構造。
【請求項8】
請求項2記載の回路遮断器における引き外しレバー構造において、
前記トリップレバーは、鏡対称に形成された二つの前記取付け孔が重ねられた折り返し二重構造とされていることを特徴とする
回路遮断器における引き外しレバー構造。
【請求項9】
電源側端子、この電源側端子に固着された接点、可動接点台及び負荷側端子を有する主回路と、固定フレーム、フック及びフックに連結された上リンクを有し、前記可動接点台を回転させることにより回路接点の開閉引き外しを行う開閉引き外し機構部と、当該開閉引き外し機構部を動作させる引き外しレバーとを具備している回路遮断器において、
前記引き外しレバーは、リレー軸と、当該リレー軸が取り付けられるトリップレバーとを備えており、
前記トリップレバーに平行な二平面部分を備える取付け孔を形成し、前記リレー軸が前記取付け孔に挿通された状態で前記取付け孔が潰される態様で前記トリップレバーを押し潰し、前記リレー軸を前記平行な二面部分に圧接される状態で前記トリップレバーに結合することを特徴とする
回路遮断器における引き外しレバー構造の組立方法。
【請求項10】
請求項9記載の回路遮断器における引き外しレバー構造の組立方法において、
前記引き外しレバーに形成される前記取付け孔を、前記二平面部分を備え前記リレー軸が挿通される挿通孔部と当該挿通孔部から連続して延びる長孔部として形成し、前記トリップレバーにかしめポンチによって前記長孔部を押し潰す態様で加えた変形を前記挿通孔部に及ぼすことにより、前記リレー軸を前記トリップレバーに対して前記挿通孔部においてかしめ保持することを特徴とする
回路遮断器における引き外しレバー構造の組立方法。
【請求項11】
請求項10記載の回路遮断器における引き外しレバー構造の組立方法おいて、
前記トリップレバーへの応力集中による割れを防止するため、先端形状を平らな形状とした前記かしめポンチを用いることを特徴とする
回路遮断器における引き外しレバー構造の組立方法。
【請求項12】
請求項10記載の回路遮断器における引き外しレバー構造の組立方法において、
前記取付け孔を前記トリップレバーに対するバーリング加工によって形成し、
前記バーリング加工によって、前記挿通孔部の開口縁周りには、環状の補強部分を形成することを特徴とする
回路遮断器における引き外しレバー構造の組立方法。
【請求項13】
請求項10記載の回路遮断器における引き外しレバー構造の組立方法において、
前記トリップレバーには、二つの前記取付け孔を鏡対称に形成し、
前記トリップレバーを当該鏡の位置で折り返して前記両取付け孔を重ねることにより、前記トリップレバーを折り返し二重構造とすることを特徴とする
回路遮断器における引き外しレバー構造の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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