説明

回路遮断器を閉じるアクチュエータ及びその動作方法

【課題】回路遮断器を閉じるアクチュエータ及びその動作方法を提供する。
【解決手段】閉路アクチュエータ34は、通信し、且つ信号をトリップユニット46から受信するように配置される。トリップユニット46は通信装置を含み、遠隔地からデータ及び信号を送受信する。トリップユニット46は、遠隔地から閉鎖信号を受信して、信号を閉路アクチュエータ34に送信する。閉路アクチュエータ34は信号の妥当性を確認し、信号が妥当であると判断されると、駆動回路を起動する。駆動回路は、ソレノイド68を付勢し、回路遮断器を閉路する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は回路遮断器に関し、特に遠隔地から閉じることができる回路遮断器に関する。
【背景技術】
【0002】
回路遮断器は、電源から電気回路への電流の流れを制御するために取り付ける配電装置である。回路遮断器は通常、例えば短絡又は電流レベルの上昇など、電気回路内での不都合な状態を検知するように構成される。不都合な状態が検知された場合は、回路遮断器はトリップし、又は電流の流れを停止して、不都合な状態が電気回路の配線を損傷することを防止する。
【0003】
不都合な状態が修正された後、オペレータ又は電気技師はトリップしたそれぞれの回路遮断器のところまで行き、回路遮断器を手動的にリセットして、電気回路に再び電流が流れることができるようにする必要がある。回路遮断器は典型的には、回路遮断器を閉じるためのばねを含む機構を含む。含まれる回路遮断器の種類に応じて、この機構はレバーによって、又は後で作動ボタンを介して解除される閉鎖ばねの装入によって作動させることができる。
【0004】
例えば処理プラントなどの大型施設では、リセットする必要がある回路遮断器が多数存在することがある。これらの回路遮断器は、さらに広い領域にわたって普及していることがある。その結果、電気技師はそれぞれの回路遮断器のところまで行き、必要なリセット動作を行うので回路遮断器をリセットする工程には長い時間を要することがある。それを解決するため、回路遮断器の遠隔操作が可能な付属品が提案されている。これらの付属品は回路遮断器とは別個の機能性を有しており、それには回路遮断器と管理センターとの間に追加の通信コンジットを取り付ける必要がある。このように別個の通信コンジットが必要であるため、遠隔操作用付属品の取り付けが複雑で高価なものになる。それは特に、回路遮断器を既に取り付けた後に付属品を取り付ける場合に当てはまる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、現行の回路遮断器は意図する目的には適当であるものの、別個の通信コンジットを必要とせずにリモート局に容易に接続できる回路遮断器がこの分野には必要である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
外部通信装置を備えたトリップユニットを有する回路遮断器が提供される。トリップユニットは、実行可能なコンピュータ命令に応答して、これが第1のプロセッサで実行されると、外部通信装置によって受信した第2の信号に応答して第1の信号を発生する第1のプロセッサを含む。機構は、トリップユニットに動作可能に結合される。機構には、ソレノイドが動作可能に結合される。トリップユニットとソレノイドとの間にコントローラが電気的に結合され、コントローラは実行可能なコンピュータ命令に応答して、これが第2のプロセッサで実行されると、前記トリップユニットから受信した第1の信号に応答してソレノイドへの電流が流れるようにする第2のプロセッサを含む。
【0007】
外部装置と通信するトリップユニットを有する回路遮断器と共に使用する、リモートコマンドされる回路遮断器の閉路アクチュエータも提供される。閉路アクチュエータはソレノイドを含む。電源回路はソレノイドに電気的に結合される。コントローラはソレノイドに電気的に結合される。リモートコマンド回路は、トリップユニットとコントローラとの間に電気的に結合される。駆動回路は、コントローラとソレノイドとの間に電気的に結合される。コントローラはさらに、実行可能なコンピュータ命令に応答して、これがプロセッサで実行されると、リモートコマンド回路から受信した第1の信号に応答して駆動回路でソレノイドに電流が流れるようにし、回路遮断器を閉じるプロセッサを含む。
【0008】
回路遮断器を遠隔操作する方法も提供される。この方法は、第1の信号をリモート局から送信するステップを含む。第1の信号はトリップユニット内で受信される。第2の信号は閉路アクチュエータに送信される。第2の信号が第1の閾値と第2の閾値とを満たしているか否かを判定する。第2の信号が第1の閾値と第2の閾値とを満たしていればMOSFETデバイスが起動される。MOSFETデバイスが起動されるとそれに応答して、ソレノイドに電流が供給される。
【0009】
本発明の特徴、態様及び利点は、添付図面を参照した以下の詳細な説明によってより明らかとなる。全図面において、同じ要素には同じ符号を付す。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】例示的実施形態による、遠隔操作閉路アクチュエータを備えた回路遮断器を有する電気回路の概略図である。
【図2】図1の遠隔操作閉路アクチュエータのブロック図である。
【図3】例示的実施形態による、回路遮断器を遠隔操作する方法のフローチャートである。
【図4】回路遮断器を遠隔操作する別の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
電気系統は典型的には、電気回路の効率がよく効果的な動作を可能にする様々な配電及び制御装置を組み込んでいる。図1は、信号制御可能な回路遮断器30によって保護された3本のバス24、26、28に3相電力A、B、Cをそれぞれ供給する電源22を有する例示的電気回路20を示す。電力はバスを介して1つ又は複数の負荷32に供給される。
【0012】
回路遮断器30は一般に、例えば短絡などの異常な動作状態で開路、又は「トリップ」するように構成される。異常な動作状態が回避又は修正された後、回路遮断器30はリセットされ、電流は再び負荷32に流れる。以下により詳細に記載するように、オペレータが遠隔地から回路遮断器30を再び閉じることができ、人員を回路遮断器の位置に派遣しなくてもよいようにするため、コマンドにより動作する閉コイル閉路アクチュエータ34を使用してもよい。
【0013】
回路遮断器30はさらに、電流が電源22から負荷32に流れる閉状態と、電力の流れが遮断される開状態との間を移動するように構成された1つ又は複数の接触アーム36を含む。接触アーム36は、回路遮断器30を電源22に電気的に接続する入力端子38に電気的に結合される。接触アーム36はさらに、例えば開路用押しボタン又はハンドル42を用いてオペレータが作動させると接触アーム36を閉位置から開位置へと移動させるばね及びリンク装置などの構成部品を含む機構40に結合される。機構40はさらに、この分野で知られているように、接触アーム36を閉じることができるようにする閉鎖ばね(図示せず)を装入できる閉鎖ラッチ(図示せず)を含んでもよい。機構はさらに、異常な動作状態の場合に接触アーム36を迅速に開くことができるようにするトリップバー・アセンブリ44を使用してもよい。出力端子50は回路遮断器30をバス24、26、28に結合する。
【0014】
機構40はトリップユニット46にも結合される。トリップユニット46は、回路遮断器30の動作を制御するコンピュータ命令を実行するプロセッサを備えたコントローラを有する電子部品でよい。トリップユニット46はさらに、異常な動作状態の場合にトリップバー・アセンブリ44を作動する磁石又は熱応動装置などの構成部品を組み込んだ機械的アセンブリでもよい。トリップユニット46が電子ユニットである場合は、回路遮断器30を通ってバス24、26、28に流れる電流のレベルを示す信号を供給するため、一組の変流器48が出力端子50の近傍に配置される。
【0015】
トリップユニット46は、通信回線又は通信装置52をさらに含む。通信装置52は、トリップユニット46を通信コンジット54に接続する。通信コンジット54は、回路遮断器30とリモート局56との間で送られる信号及びデータ用の接続を提供する。このようなデータ及び信号は、例えば回路遮断器の状態、測定された電気的特性、及びエラーコードなどを含むがこれらに限定されない情報を含むことができる。通信コンジット54は有線、ワイヤレス、無線及び光信号通信システムを含むがこれらに限定されないいずれかの通信手段でよい。通信装置52は、TCP/IP(通信制御プロトコル/インターネットプロトコル)、イーサーネット、IEEE 802.11、RS−232、ModBusなどのよく知られているコンピュータ通信プロトコルを使用して、リモート局56と通信するように構成される。
【0016】
閉路アクチュエータ34は、トリップユニット46と機構40とに結合される。例示的実施形態では、閉路アクチュエータ34は、信号の送信を可能にする一対のコンジット58によってトリップユニット46に結合される。信号は、実行可能なコンピュータ命令に応答するプロセッサを有するコントローラ60によって受信される。一実施形態では、プロセッサは、方法62で表わされるコンピュータ命令を実行する。方法62では、ブロック64でトリップユニット46から受信した信号を照会する。トリップユニット46から受信した信号の電圧及び周波数がある閾値を満たしていれば、方法62はブロック66に進み、回路遮断器30を閉じる。例示的実施形態では、回路遮断器はソレノイド68を付勢することによって閉じられる。ソレノイド68は機構40内の閉鎖ラッチを作動して閉鎖ばねに蓄積されたエネルギを解放し、接触アーム36を閉じさせ、その後、電流は再び負荷32に流れる。信号が所望の閾値を満たしていない場合は、方法62はブロック69で信号を無視し、新たな信号を待機する。
【0017】
次に図2を参照し、閉路アクチュエータ34の別の実施形態を示す。閉路アクチュエータ34はマイクロコントローラ70を含む。マイクロコントローラ70はデータ及び命令を受け取り、命令を実行してデータを処理し、結果を提示することができる適当な電子装置である。マイクロコントローラ70は、ユーザーインターフェースを介して、又は電子データカード、音声認識手段、手動操作可能な選択及び制御手段、照射光波長及び電子又は電気的伝送を含むがこれらに限定されないその他の手段を介して命令を受け取ることができる。従って、マイクロコントローラ70は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ミニコンピュータ、光コンピュータ、ボードコンピュータ、複合命令セットコンピュータ、ASIC(特定用途向け集積回路)、縮小命令セットコンピュータ、アナログコンピュータ、デジタルコンピュータ、ソリッドステートコンピュータ、シングルボードコンピュータ、又はこれらのいずれかの複合物であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0018】
マイクロコントローラ70は、複数の入力を受け取り、閉路アクチュエータ34に動作可能に結合された回路及びデバイスに複数の出力を伝送するように構成される。マイクロコントローラ70は、複数の入力を利用して適切な応答又は動作を決定する、例えば図3及び図4に示すようなアプリケーションコードで実施される動作制御方法を含む。これらの応答は次いで、所望の結果を達成するために接続された回路に伝送される。これらの方法は、典型的にはソフトウエアの形態でプロセッサによって実行されるように書き込まれたコンピュータ命令で実施される。ソフトウエアは、アセンブリ言語、VHDL(Verilog ハードウエア記述言語)、VHSIC HDL(超高速集積回路用ハードウエア記述言語)、Fortran(数式翻訳)、C、C++、ビジュアルC++、Java(登録商標)、ALGOL(アルゴリズミック言語)、BASIC(初心者向け汎用記号的命令コード)、ビジュアルBASIC、ActiveX、HTML(ハイパーテキストマークアップ言語)及び、これらのいずれかの組み合わせ、又は少なくとも1つの派生物を含むがそれらに限定されないいずれかの言語でエンコードすることができる。それに加え、オペレータはスプレッドシート又はデータベースなどの既存のソフトウエアアプリケーションを使用し、様々なセルをアルゴリズム内で挙げられた変数で相関させることができる。さらに、ソフトウエアは他のソフトウエアから独立したものでもよく、又は、統合ソフトウエアなどの他のソフトウエアに依存するものでもよい。
【0019】
閉路アクチュエータ34は、マイクロコントローラ70の命令を実行するための様々な回路とデバイスとを含む。電力回路72は、例えば、外部電源から高圧電力を受ける。電力回路72は、入力フィルタ74、整流回路76、及び電圧センサ78を含むがこれらに限定されない幾つかのサブ回路を含む。電力回路72は受け取った高圧電力を調整し、ソレノイド68が使用するように電力を調整する。電圧センサ78は整流回路76によって出力された電圧を監視し、この電圧を表わす信号80を出力し、この信号はその後マイクロコントローラ70への入力になる。整流回路76は、高圧電力を内部電源84に出力する第2の出力82も含む。電源84はさらに、閉路アクチュエータ34のサブ回路、及びマイクロコントローラ70への電力を調整し、配電する。
【0020】
ソレノイド68への電流の制御は駆動回路86によって行われる。例示的実施形態では、駆動回路86は、高レベルの電力の流れを制御することができる金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)である。以下により詳細に記述するように、駆動回路86は、マイクロコントローラ70からの信号88に応答してソレノイド68への電力の流れを開始し、停止する。前述のように、駆動回路86がソレノイド68への電力の流れを開始すると、ソレノイド68は閉鎖ラッチと噛み合って閉鎖ばねからのエネルギを解放し、その結果、回路遮断器の接触アーム36を閉路させる。
【0021】
リモートコマンド回路90はマイクロコントローラ70とトリップユニット46とのインターフェースを提供する。リモートコマンド回路90は、電源回路84からの第1の入力92と、トリップユニット46からの第2の入力94とを含む。第1の入力は3.3Vの信号であり、例えば光結合集積回路などのリモートコマンド回路90の構成部品を使用可能にする。第2の入力94は、トリップユニット46とリモートコマンド回路90との通信コンジットを提供する。リモート局56から閉路回路遮断器30へのコマンドを受信するとそれに応答して、トリップユニット46は入力94を経て所望の電圧と周波数の閉鎖コマンド信号をリモートコマンド回路90に送信する。例示的実施形態では、閉鎖コマンド信号は1000Hzで5ボルトの信号である。信号の周波数は、周囲環境による妨害を避けるように選択される。電圧は、例えば光結合素子用の駆動電圧など、リモートコマンド回路内で使用される選択された構成部品に基づいて選択してもよい。
【0022】
リモートコマンド回路は、トリップユニット46から信号94を受信し、所望の閉鎖コマンドパラメータに対する妥当性検査を行う。信号94が例えば1000Hzで5Vなどの所望のパラメータに適合する場合は、リモートコマンド回路90はマイクロコントローラ70に信号96を送信する。以下に記載するように、マイクロコントローラ70は信号96に応答して動作方法を実行し、その結果、ソレノイド68が作動し、回路遮断器が閉路される。
【0023】
一実施形態では、閉路アクチュエータ34はさらに、例えば押しボタン42などの回路遮断器のユーザーインターフェースでマイクロコントローラ70とインターフェースするローカルコマンド回路98も含む。リモートコマンド回路90と同様に、ローカルコマンド回路98は、押しボタン42と電気的に結合された第1の入力100と第2の入力102とを含む。オペレータが押しボタン42を作動するとそれに応答して、NO(常開)からNC(常閉)の形態の閉鎖信号が第2の入力102を経て送信される。ローカルコマンド回路98が押しボタン42を介してNC信号を受信すると直ちに、ローカルコマンド回路98は信号104をマイクロコントローラ70に送信する。前述のように、マイクロコントローラ70は信号104に応答して動作方法を実行し、その結果、ソレノイド68が作動し、回路遮断器30が閉路する。ローカルコマンド信号の機能性は、回路遮断器の閉路を制御する上で付加的な利点をもたらすことを理解されたい。例えば、ある環境下だけで押しボタン42を介した回路遮断器30の閉路を可能にするために、追加の論理又はテストをマイクロコントローラ70に組み込んでもよい。一実施形態では、マイクロコントローラ70は、コマンド信号がリモート局56及び押しボタン42から受信された場合だけ駆動回路86を起動してソレノイド68を付勢する。
【0024】
閉路アクチュエータ34は所望の機能性をもたらすために追加の回路を含んでもよい。例えば、閉路アクチュエータ34は電圧降下防止回路106を含んでもよい。電圧降下防止回路106は電源84から出力される電圧を監視する。電圧が例えば2.7Vなどの所望の閾値未満に降下すると、リセット信号108がマイクロコントローラ70に送信される。リセット信号108によってマイクロコントローラ70はリセットされ、動作を再び開始する。閉路アクチュエータ34は特許請求される発明の範囲から逸れることなくこのような1つ又は複数の回路を含んでもよいことを理解されたい。
【0025】
マイクロコントローラ70は、図3に示すようなアプリケーションコードで実施される動作制御方法110を実行する。方法110はブロック112で開始され、照会ブロック114で、例えば5ボルト、1000Hzの信号94を受信した場合のように、リモートコマンド信号が受信されたか否かを判定する。照会ブロック114が否定の応答を行った場合は、方法110は照会ブロック116に進み、例えばNC(常閉)信号104などのローカルコマンド信号が受信されたか否かを判定する。照会ブロック116が否定の応答を行った場合は、方法110は開始ブロック112にループバックする。
【0026】
照会ブロック114又は照会ブロック116が肯定の応答を行い、リモートコマンド信号又はローカルコマンド信号が受信されたことを意味する場合は、方法110は照会ブロック118に進み、そこでソレノイド68を動作するために十分な電圧を利用できるか否かが判定される。利用できる電圧は、例えばセンサ78によって測定される。電圧が不十分である場合は、方法110は開始動作112にループバックし、方法110以前のステップを繰り返す。照会ブロック118が肯定の応答を行った場合は、方法110はタイマーブロック122に移動し、そこでタイマーが開始される。例示的実施形態では、タイマーは100ミリ秒に設定される。次いでブロック124でMOSFET駆動回路86が起動される。それによりソレノイド68は付勢され、それにより機構への回路遮断器30が閉鎖ばねを解除させ、その結果、接触アーム36が閉鎖される。
【0027】
照会ブロック126はタイマーが満了したかどうかをチェックする。照会ブロック126が否定の応答を行った場合は、方法110はブロック124にループバックし、MOSFET駆動回路86を起動状態に保つ(例えばソレノイド68が付勢される)。照会ブロック126が、例えば100ミリ秒後に肯定の応答を行った場合は、方法110は消勢ブロック128に進み、そこでMOSFET駆動回路86とソレノイド68とが除勢される。
【0028】
次いで方法110は照会ブロック129に進み、そこでリモートコマンド信号又はローカルコマンド信号が未だ存在するか否かが判定される。照会ブロック129が肯定応答を行い、ローカルコマンド又はリモートコマンドがなお受信中であることを意味している場合は、方法110は照会ブロック129の入力にループバックする。照会ブロック129は回路遮断器を繰り返し再閉路して故障することを防止し、従ってコマンド信号ごとに単一の再閉路のみを可能にする。コマンド信号が停止すると、方法110は開始ブロック112にループバックし、工程を再び開始する。
【0029】
回路遮断器を遠隔操作する別の方法を図4に示す。この実施形態では、方法130は開始ブロック132で開始される。工程は、回路遮断器を閉路するコマンドがブロック134の場合のように例えばリモート局56などの遠隔地からオペレータによって発されるのか、又はコマンドがブロック136で接触アームを閉鎖するために回路遮断器のユーザーインターフェースを使用して、例えば押しボタン42によってオペレータがローカルに発するかに応じて、2つの並行した工程に分かれる。コマンドがローカルなものである場合は、方法130はブロック138に進み、そこで信号が閉路アクチュエータ34に送信される。
【0030】
閉鎖信号がブロック134で遠隔地から送信された場合は、方法130はブロック140に進み、そこで閉鎖信号がトリップユニット46により受信される。トリップユニット46は閉鎖信号を受信し、ブロック142で閉鎖コマンド信号を閉路アクチュエータ34に送る。ブロック138又はブロック142で閉鎖コマンド信号が閉路アクチュエータ34に送られた後、方法130は照会ブロック144に進む。照会ブロック144は、閉路アクチュエータ34により受信された信号が妥当であるか否かを判定する。例示的実施形態では、照会ブロック144は閉鎖コマンド信号の電圧と周波数との妥当性をチェックし、パラメータが所望の電圧及び周波数のパラメータに適合するか否かを判定する。照会ブロック144が否定の応答を行い、パラメータが所望のパラメータに適合しないことを意味すると、方法130は開始ブロック132にループバックする。
【0031】
閉鎖信号が妥当である場合は、照会ブロック144は肯定の応答を行って、ブロック146に進み、そこで例えばMOSFET駆動回路38などの駆動回路が起動される。駆動回路が起動されると、ブロック148でソレノイドが付勢される。ソレノイドが付勢されると回路遮断器の閉鎖ラッチが解除され、それによってブロック150で閉鎖ばねは接触アーム36を閉鎖位置に移動することが可能になる。回路遮断器が閉路された後は、方法130は開始ブロック132にループバックし、工程は再び開始される。
【0032】
閉路アクチュエータ34を有する回路遮断器30は多くの利点をもたらすことを理解されたい。閉路アクチュエータ34は、別個の通信コンジットの必要性を避けるために回路遮断器のトリップユニットの通信能力を利用するので、閉路アクチュエータ34によって、回路遮断器を最初に設置した後に最小限のコストで閉路アクチュエータ34を設置することが可能になる。閉路アクチュエータによってさらに、回路遮断器を閉路する機能を内部の回路遮断器機構ではなく閉路アクチュエータによって実行することが可能になる。
【0033】
本発明の実施形態を、コンピュータ実装工程、及びこれらの工程を実行する装置の形態で実施してもよい。さらに本発明を、例えばフロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、ハードドライブ、USB(ユニバーサルシリアルバス)ドライブなどの有形媒体、又はランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、不揮発性メモリ(NVM)、又は消去可能なプログラム可能リードオンリーメモリ(EPROM)などのその他のいずれかのコンピュータによる読み取り可能な記憶媒体で実施してもよく、その際にコンピュータプログラムコードがコンピュータにロードされ、コンピュータによって実行されると、コンピュータは本発明を実施するための装置になる。さらに、例えば記憶媒体に保存され、コンピュータにロードされ、且つ/又はコンピュータによって実行され、又は電気的配線又はケーブルを介し、光ファイバを通し、又は電磁放射を介するなどのある種の送信媒体を介して送信される、例えばコンピュータプログラムコードの形態で本発明を実施してもよく、その際、コンピュータプログラムコードがコンピュータにロードされ、且つコンピュータによって実行される場合は、コンピュータは本発明を実施するための装置になる。汎用マイクロプロセッサに実装される場合、コンピュータプログラムコードのセグメントがマイクロプロセッサを特定の論理回路を作成するように構成する。実行可能な命令の技術的な効果は、回路遮断器を回路遮断器から遠隔した位置から閉路可能にすることである。
【0034】
例示的実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能であり、同等物の置き換えも可能であることは理解されよう。また、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、本発明の教示に適する特別な状況又は構成要素に修正できる。従って、本発明は、発明を実施するための最良の形態として開示された特定の実施形態に制限されることなく、特許請求の範囲内のあらゆる実施形態を含む。図面の簡単な説明では、本発明の例示的実施形態を開示しており、特定の用語を使用したが、特に明記しない限り、一般的に説明する意味で使用しただけであり、限定する目的ではなく、本発明の範囲を制限するものではない。また、「第1」、「第2」などの用語は、順番や重要性を表しているのではなく、1つの構成要素を区別するために使用している。さらに、数詞のないことは量を限定しているものではなく、参照項目が少なくとも1つ存在していることを示している。
【符号の説明】
【0035】
20 電気回路
22 電源
24 バスA
26 バスB
28 バスC
30 回路遮断器
32 負荷
34 閉路アクチュエータ
36 接触アーム
38 入力端子
40 機構
42 押しボタン
44 トリップバー・アセンブリ
46 トリップユニット
48 変流器
50 出力端子
52 通信装置
54 通信コンジット
56 リモート局
58 一対のコンジット
60 コントローラ
62 方法
64 照会ブロック
66 回路遮断器閉路ブロック
68 ソレノイド
69 信号ブロック無視
70 マイクロコントローラ
72 電力回路
74 入力フィルタ
76 整流回路
78 電圧センサ
80 電圧信号
82 整流高圧出力
84 電源回路
86 駆動回路
88 (マイクロコントローラからMOSFET駆動回路への)信号
90 リモートコマンド回路
92 第1の入力(リモートコマンド回路)
94 第2の入力(リモートコマンド回路)
96 (リモートコマンド回路からマイクロコントローラへの)閉鎖信号
98 ローカルコマンド回路
100 第1の入力
102 第2の入力
104 (ローカルコマンド回路からマイクロコントローラへの)閉鎖信号
106 電圧降下防止回路
108 リセット信号
110 方法
112 開始ブロック
114 リモートコマンド信号ブロック
116 ローカルコマンド信号ブロック
118 十分な電圧のブロック
120 十分な電圧になるまで待機するブロック
122 タイマー開始ブロック
124 MOSFET起動ブロック
126 タイマー満了照会ブロック
128 MOSFET消勢ブロック
129 照会ブロック(信号が未だ存在するか?)
130 方法
132 開始ブロック
134 遠隔地から閉鎖信号を送信するブロック
136 ローカルユーザインターフェースから閉鎖信号を送信するブロック
138 閉路アクチュエータへ信号を送信するブロック
140 閉鎖信号を受信するブロック
142 閉路アクチュエータへ信号を送信するブロック
144 照会ブロック(閉鎖信号の妥当性)
146 駆動回路の起動
148 ソレノイドの付勢
150 回路遮断器の閉路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路遮断器(30)であって、
外部通信装置(52)を備えたトリップユニット(46)であって、実行可能なコンピュータ命令に応答して、これが第1のプロセッサで実行されると、前記外部通信装置(52)によって受信された第2の信号に応答して第1の信号(94)を発生する第1のプロセッサを含む前記トリップユニット(46)と、
前記トリップユニット(46)に動作可能に結合された機構(40)と、
前記機構(40)に動作可能に結合されたソレノイド(68)と、
前記トリップユニット(46)と前記ソレノイド(68)との間に電気的に結合されたコントローラ(60)であって、実行可能なコンピュータ命令に応答して、これが第2のプロセッサで実行されると、前記トリップユニット(46)から受信された前記第1の信号(94)に応答して前記ソレノイド(68)への電流が流れるようにする前記第2のプロセッサを含む前記コントローラ(60)と、を備える回路遮断器。
【請求項2】
前記第2のプロセッサはさらに実行可能なコンピュータ命令に応答して、これが前記第2のプロセッサで実行されると、第3の信号(102)の受信に応答して前記ソレノイド(68)への前記電流を制御する、請求項1に記載の回路遮断器(30)。
【請求項3】
前記コントローラ(60)に電気的に結合されたユーザーインターフェース(42)をさらに備え、前記ユーザーインターフェース(42)は、ユーザーが前記ユーザーインターフェース(42)を作動するとそれに応答して前記第3の信号を生成する、請求項2に記載の回路遮断器(30)。
【請求項4】
前記コントローラ(60)は前記プロセッサと前記ソレノイド(68)との間に電気的に結合されたMOSFET駆動回路(86)をさらに含み、前記MOSFET駆動回路(86)は前記ソレノイド(68)への電流を制御する、請求項1に記載の回路遮断器(30)。
【請求項5】
前記第2のプロセッサは、前記トリップユニット(46)から受信された前記第1の信号(94)に応答して、前記MOSFET駆動回路(86)に第4の信号(88)を送信し、
前記第1の信号(94)は、電圧レベル・パラメータと周波数パラメータとを含む、請求項4に記載の回路遮断器(30)。
【請求項6】
前記第2のプロセッサは、前記電圧レベル・パラメータが第1の閾値を満たし、前記周波数パラメータが第2の閾値を満たすとそれに応答して、前記第4の信号(88)を送信する、請求項5に記載の回路遮断器。
【請求項7】
外部装置(56)と通信するように構成されたトリップユニット(46)を有する回路遮断器(30)と共に使用されるリモートコマンドの回路遮断器の閉路アクチュエータ(34)であって、前記閉路アクチュエータ(34)は、
ソレノイド(68)と、
前記ソレノイド(68)に電気的に結合された電力回路(72)と、
前記ソレノイド(68)に電気的に結合されたコントローラ(70)と、
前記トリップユニット(46)と前記コントローラ(70)との間に電気的に結合されたリモートコマンド回路(90)と、
前記コントローラ(70)と前記ソレノイド(68)との間に電気的に結合された駆動回路(86)とを備え、
前記コントローラ(70)は、実行可能なコンピュータ命令に応答して、これがプロセッサで実行されると、前記リモートコマンド回路(90)から受信された第1の信号(94)に応答して前記駆動回路(86)で前記ソレノイド(68)に電流が流れることを可能にする前記プロセッサを含む、回路遮断器閉路アクチュエータ。
【請求項8】
前記コントローラ(70)に電気的に結合されたローカルコマンド回路(98)をさらに備え、前記プロセッサはさらに実行可能なコンピュータ命令に応答して、これが前記プロセッサで実行されると、前記ローカルコマンド回路(98)により受信された第2の信号(102)に応答して前記ソレノイド(68)に電流が流れるようにする、請求項7に記載の閉路アクチュエータ(34)。
【請求項9】
前記第2のプロセッサでは前記駆動回路(86)で前記ソレノイド(68)に所定量の時間だけ電流が流れるようにする、請求項8に記載の閉路アクチュエータ(34)。
【請求項10】
前記リモートコマンド回路(90)は、前記トリップユニット(46)からのコマンド信号(94)の受信に応答して、第3の信号(96)を前記コントローラ(70)に送信し、
前記コマンド信号(94)は電圧レベル・パラメータと周波数パラメータとを含み、前記リモートコマンド回路(90)は、前記電圧レベル・パラメータが第1の閾値を満たし、前記周波数パラメータが第2の閾値を満たすとそれに応答して、前記第3の信号(96)を送信する、請求項9に記載の閉路アクチュエータ(34)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−62144(P2010−62144A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196262(P2009−196262)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】