説明

回転ドラムヘッド調律法と球状音響室を有するドラム構造

【解決手段】 先行技術による楽器に勝る聴覚的改良と視覚的改良の両方を提供するために、従来のドラムに使用されているつまみに代わるねじが切られた調律リムと、球状音響室と、を使用した回転調律システム。回転調律システムは、ねじが切られたドラムシェルとねじが切られたリムの間に挟まれたときに、ドラムに固定されるドラムヘッドを使用している。ドラムは、リムを回転させてドラムヘッドに働く圧力を増すことにより調律される。本発明の更なる特徴は、ドラムシェルに代わる球状音響室である。球状音響室は、強化されたオーディオ品質を提供すると共に、球状の室内に保持される電子機器用のハウジングも提供している。また、球状音響室は、ドラムの音響品質の改良、及び娯楽を目的としてプログラムされる照明を可能にする数多くの視覚的改良を提供している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は楽器に関する。具体的には、本発明は、先行技術に勝る聴覚的改良と視覚的改良の両方を提供する球状音響室を使用したドラム構造の新しい回転調律機構に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、2005年2月4日、唯一の発明人としてここで指名されている発明人のRobert Lernerの名の下に、「つまみ無しドラムヘッド調律法及び球状音響室を有するドラム構造」という名称で出願された米国仮特許出願第60/593,691号、並びに2005年12月2日、唯一の発明人としてここで指名されている発明人のRobert Lernerの名の下に、「球状ドラムシェル」という名称で出願された米国意匠特許出願第29/244,051号に関係し、それらの恩典を主張するとともに、上記各出願の内容を全体的に参考文献としてここに特定的に援用する。
【0003】
音楽業界では、殆どあらゆる種類の音楽でドラムが使用されている。どんな種類の音楽にも適するドラムもあるが、特定の種類の音楽により適しているドラムもある。結果的に、多種多様な音楽の分野に応じて、多くの種類のドラムが開発されてきた。例えば、ロックンロールのバンドに使用されるドラムセット又はドラムキットは、オーケストラや他の音楽的な組み合わせによって使用されるドラムとは違っている。それら様々な目的のために、ボンゴ、スクエアドラム、パーカッションドラム、ベースドラム、ケトルドラム、タムタムドラム、及びティンパニドラムの様な多種多様なドラムが開発されており、あらゆる種類のドラムが、多くの種類の音楽の創作に使用されている。音響的なドラムの他に、多くのドラムが、電子機器によりシミュレートされ又は増強されてきた。
【0004】
開発された多種類のドラムは、それぞれ独自の音質を持っている。その結果、バンドとオーケストラは、通常、特定の音楽作品に求められる様々な音を作り出すために、多くの種類のドラムを必要とする。アーティストの意図にもよるが、特定の楽器の音響品質の変化が、所与の音楽作品の性質を向上させる。特定の音響的効果を生み出すために、既存のドラムの音質を変える方法があれば望ましい。
【0005】
ドラムの使用に伴う別の問題は、正しく調律するためには相当の技量と努力が要求されることである。ドラムは、通常、ドラムヘッドの周辺部周りに配設された一連のつまみを調整することにより調律される。ドラムを調律する方法で、より短時間で調律でき、高度な技量を必要とせず、調律が便利に行える方法があれば望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、従来のドラムに使用されているつまみに代えて、ねじが切られた調律用のリムを使用したドラム調律システムを備えている球形状のドラムを提供している。球状音響室は、先行技術の楽器に勝る聴覚的改良と視覚的改良の両方を提供している。調律システムは、ねじが切られたドラムシェルに回転式リムで固定されているドラムヘッドを使用している。本発明の更なる特徴は、球状音響室である。球状音響室は、優れた聴覚的品質を提供すると共に、球状室の中に保持される電子機器のハウジングでもある。また、球状室は、多くの視覚的改良を提供しており、内部照明を、娯楽を目的にプログラムすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図面を詳しく説明する前に、本システムの概要を提示する。本発明は、オーディオ品質を改善すると共に見た目に楽しめる追加的なオプションを提供する球状音響室と共に、ドラムヘッドを調律する改善された方法を提供している。
【0008】
従来のドラムは、ドラムシェルに取り付けられた一連のつまみを使用して調律される。ドラムを正しく調律するには、異なるつまみそれぞれを慎重に調整して、所望のオーディオ品質を提供する正しい張りをドラムヘッドに与えねばならない。好適な実施形態では、先行技術によるドラムヘッド(通常、ドラムスチックで叩かれるプラスチックシートと、それを支持する金属製のチューブフレームとで構成されている)は、リムとドラムの支承縁部の間に挟まれている。好適な実施形態では、ねじが切られたリムとドラムヘッドは単一部品である。しかしながら、それらを別々の部品として製造することもできる。リムとドラムは、ねじが切られた面を有しており、両者を一体に固定できるようになっている。ねじが切られたリムとねじが切られたドラムの支承縁部の間にドラムヘッドを挟み込むことにより、ドラムは、全ての側部に等しい張りを掛けて音響的に調律される。別の好適な実施形態は、ドラムヘッドをドラム上のねじに直接ねじ込めるようにした新しいドラムヘッド装着用アッセンブリを提供している。新しいドラムヘッドは、ドラムヘッドを全ての側部で等しく徐々に締め付けることにより、ねじが切られたドラムにドラムヘッドを固定し、正しい張りと音色を作り出す、ねじ部を有している。このドラムヘッドは、ドラムヘッドのねじが切られた部分を回して徐々に張りを強くしていくことにより調律される。
【0009】
本発明の重要な特徴は、球状音響室を追加したことである。ドラムシェルは、ドラムヘッドとこの球状音響室の間に配置されている。代わりに、球状音響室とシェルと支承縁部が単一のプラスチック部品としてモールド成形される一部品設計を使用してもよい。球状音響室は、音楽家が奏でる演奏部品がどんなものであれ、それに独特な音を与える改善されたオーディオ品質を提供する。その1つの理由は、球状音響室が或る独特な音響特性を有していることが分かっていることである。具体的には、球状音響室は、室内部に作り出される干渉波が少ない。その結果、従来のドラムとは異なる音を作り出す。或る好適な実施形態では、ドラムヘッドは、シェル上に置かれ、リムで固定される。シェルとリムは、ねじが切られた面を有しており、回転させると、ドラムヘッドを締め付け、それに働く圧力を変えて調律を行う。ドラムを実際に調律するのはこの締め付け行為である。
【0010】
本発明により作り出される音響品質に加えて、本発明のもう一つの重要な特徴は、独特な視覚的外観を提供することである。具体的には、ドラムは、しばしば、大きさが異なる幾つかの独立したドラムで構成されたセットで使用される。多数のドラムを使用する場合、異なる大きさに作られた球状音響室を組み合わせることにより、結果的に、「分子」構造に似た独特な視覚的効果を与えることができる。球状の形状は、もう一つの利点を提供する。即ち、球状音響室が寸法的に増強されるので、追加的特徴を付け加えることができる。例えば、プログラムされるか又はドラムが作り出す音に反応して光る内部照明を設けることができる。また、球状音響室内に電子装置を隠して、ドラムが、音響音楽ではなく電子音楽を作り出せるようにしてもよい。照明の他にも、ドラム内のセンサーが、ドラムがいつ叩かれようと、ドラムを照らすためにドラムが叩かれたことを検知できるようにして、照明を音楽で制御することもできる。理解頂けるように、上記ドラムの独特な視覚的外観に加えて、それらドラムは、聴覚及び視覚の両方の観点から、その性能を向上させる各種内臓機能装置も有している。
【0011】
なお、ドラムは、木、金属などの様な材料で製作されることが多い。また、異なる種類のドラムは、大抵は異なる材料で製作されている。例えば、一般にバスドラムでは木製のドラム環帯が使用されているが、他方、小型のドラム(即ち、タムタムなど)は、普通は金属製のリムを使用している。球状音響室を有するドラムは、その他どんな種類のドラムと比較しても、ドラムを製作するのに使用される材料の点では制限を受けない。その結果、それらドラムは、アーティストに、使用される材料についての大きい自由を与える。唯一の制限は、選択された材料がドラムの作り出す音に及ぼす影響である。
【0012】
以上、回転調律と球状音響室について概略的に述べてきたが、これより、図面を更に詳しく説明する。
図1Aは、球状音響室2を使用しているドラム1の好適な実施形態の側面図である。この図では、球状音響室2は、ドラムシェル4に固定される伸張部3を有している。ここでは、先行技術によるつまみ7が、木製の環帯5を固定するのに使用されている。ドラムヘッド6は、木製の環帯5とドラムシェル4の間に固定されている。本図で分かるように、球状音響室2は、独特の新しい形状と全体的な外観をドラム1に与えている。当業者には理解頂けるように、多数のドラム1を有する完全なドラムセットは、聴衆に衝撃的な視覚的外観を提供するであろう。
【0013】
当業者には理解頂けるように、本発明が提供する球形をしたドラムの大きさは、ドラム1の具体的な種類により変化する。球状音響室2は、どの様な大きさ又は種類のドラム1とでも使用できると想定している。例えば、球状音響室は、ボンゴ、スクエアドラム、パーカッションドラム、ベースドラム、ケトルドラム、又はタムタムドラムで使用することができる。その結果、球状音響室2の大きさは、広範囲に変化する。球状音響室2の直径寸法は、通常、2フィート6インチから1フィート1インチの範囲に亘る。同様に、好適な実施形態では、ドラムシェル4は、通常、約5インチの大きさである。上記寸法は、本発明がどの様に実施されるかを示唆している。しかしながら、寸法は重要ではなく、ドラムの種類とドラムヘッド6の大きさによって大幅に変えることができるものと理解頂きたい。
【0014】
大きさの他に、設計者には、ドラム1を造るのに使用される材料の点で、相当数多くのオプションがある。ドラムは、木、金属、ガラス、プラスチック(暗闇で光るプラスチックを含む)、樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの様な、適していればどの様な透明、有色の材料で製作してもよい。実際、適した音響的及び視覚的特性を有するどの様な材料でも使用することができる。加えて、球状音響室2は、色、画像、レタリングなどで装飾して、多種多様な視覚的テーマを聴衆に提示することもできる。
【0015】
球状音響室2の大きさと、これを製作するのに使用される材料の種類の多様性に加え、球状音響室2は形状を変えることもできる。分かりやすくするために、球状音響室2を使用して本発明を例証している。図面には球状音響室2を示しているが、当業者には理解頂けるように、本発明を実施するのに代わりの形状を使用してもよい。形状は、完全な球、偏球、楕円球などでもよい。音響室は、自由形状、不規則形状、更には各種文字の形状も考えられる。唯一の制限は、球状音響室2は、一体モールド成形品(即ち、プラスチック室、シェル、及び支承縁部)で製作されていない限り、対象の特定のドラムシェル4に取り付けることができるということである。説明を分かり易くするため、特に指定しない限り、「球状音響室」という用語は、本明細書では、上記形状の何れをも指すものとする。但し、世間の一般的な定義において球状であるとされる音響室では、干渉波が殆ど作り出されないため、或る種の独特な音響特性を有することを、指摘しておく。
【0016】
図1Bは、本発明の好適な実施形態の端面図であり、ドラムヘッド6が木製環帯5に取り付けられ、その環帯が球状音響室2に取り付けられている状態を示している。本図には、随意的なつまみ7も示している。先行技術では、ドラム1の調律にはつまみ7が使用されていた。ここで示す実施形態では、つまみ7には装飾品的な価値があり、ドラムヘッド6と木製環帯5を一体に固定するのは随意であって、ドラム1は、機能又は調律目的ではつまみ7を必要としていない。当業者には理解頂けるように、ドラム1の構成要素を一体に固定するには数多くの適したやり方がある。唯一の要件は、それが意図した目的に適していることである。つまみ7を使用する場合、つまみは様々なやり方で取り付けることができる。例えば、つまみは、室への一体的取付部としての音響室2の壁の一部として、又はドラムシェル4に固定される従来のつまみ7などとして形成することもできる。
【0017】
分かり易くするために、この図は、球状音響室2が、ドラムシェル4よりも大きい直径を有するものとして示している。しかしながら、このことは、実際には、本発明の実施にとって要件ではない。球状音響室2の直径は、ドラムシェル4の直径と同じでもよく、小さい場合すらある。当業者には理解頂けるように、特定のドラムセットの音響的及び視覚的設計目的に適するように、球状音響室2の大きさを変えてもよい。
【0018】
図2Aは、本発明により使用されるドラムの好適な実施形態を示している。ドラムヘッド6は、リム9に取り付けられている。この図では、リム9の内側に設けられている雌ねじ8の位置も示している。ドラムヘッド6とリム9をドラムシェル4に取り付けるとき、三者は、雌ねじ8を、ドラムシェル4側の対応する雄ねじに螺合させることによって固定される。好適な実施形態では、雄ねじは、ドラムシェル4の本体に取り付けられるねじが切られたカラー12に形成されている。この図では、支承縁部11も示している。ドラムヘッドを所定の位置に置いてリム9を対応する雄ねじ10に螺合させるとき、支承縁部11は、調律リム9をねじ込める距離を制限する。リム9は金属で製作されているのが望ましい。しかしながら、他の適した材料を使用してもよい。リム9をドラムシェル4にどの程度ねじ込むかによって、ドラムヘッド6に加えられる圧力が変化し、ドラムヘッド6は全ての側部が等しく調律される。
【0019】
この構成では、幾つかの変型が可能である。例えば、ねじが切られたカラー12は、必要に応じて容易に取り替えられるようにするため、脱着可能であってもよい。同様に、カラーはドラムシェル4に永久的に取り付けられていてもよい。支承縁部11に関しても、取替え可能に製作されていてもよい。ねじによる取り付けは、カラー12をドラムシェル4に固定する1つの方法に過ぎない。例えば、ドラムシェル/球などの外周に設けた溝で取り付けてもよい。同様に、ドラムシェル/球とカラー12の間の接点にスペーサを使用して、接触を最小限にし、音響的な歪を最小限にすることもできる。
【0020】
図2Bは、本発明により使用されるドラム1の別の好適な実施形態を示している。この実施形態では、ドラムヘッド6とリム9は、単一の構成要素として製作されている。これは、チューブリング14(図5に示す)を延ばして、ねじが切られた内側表面がリム9を形成しているカラーを有するようにすることで容易に達成される。本図は、ドラムヘッド6の内側に設けられている雌ねじ8の位置を示している。ドラムヘッド6は、ドラムシェル4に取り付けるときは、雌ねじ8をドラムシェル4側の対応する雄ねじ10に螺合させることによって、固定される。好適な実施形態では、雄ねじは、ドラムシェル4の本体に取り付けられているねじが切られたカラー12に形成されている。本図には、支承縁部11も示している。チューブフレーム9が、対応する雄ねじ10にねじ込まれるとき、支承縁部11は、金属リム9をねじ込める距離を制限する。リム9は、金属で製作されるのが望ましい。しかしながら、他の適した材料を使用してもよい。無論、当業者には理解頂けるように、金属ねじ10又は雌ねじ8が、ねじが切られたカラー側かリム9側かということは問題ではない。肝心なことは、両者が一体に接合されて、ドラムヘッド6をドラム1に固定し、ドラムヘッド6を締め付けることによりドラム1が調律される、ということだけである。
【0021】
通常、ねじが切られたカラー12は、1.5インチ程度と比較的小さい。しかしながら、これは、使用される材料とドラム1の大きさとによって変わる。同様に、好適な実施形態では、ねじが切られたカラーが金属で製作されることを想定している。しかしながら、意図する目的に適していれば、他のどの様な材料を使用してもよい。
【0022】
図3は、ドラムヘッド6がドラムシェル4にどの様に組み付けられるかを示す、本発明の或る好適な実施形態の断面図である。本図では、ドラムヘッド6は、ドラムシェル4に取り付けられている。本図に示すように、雄ねじ10は、柔軟なガスケット13を、金属の雄ねじ10と通常は木で製作されるドラムシェル4との間に配置した状態で、ドラムシェル4に固定されている。組み付け時、金属製のチューブフレーム14は、図示のようにドラムヘッド6に取り付けられ、ドラムシェル4の縁部に重ねられる。一旦、ドラムヘッド6がドラムシェル4に取り付けられると、ドラムヘッド6がドラムシェル4にしっかりと取り付けられるまで、調律リング15が雄ねじ10にねじ込まれる。
【0023】
システムの他の構成要素と同じ様に、好適な実施形態では、金属で製作されたチューブフレーム14を想定している。しかしながら、当業者には理解頂けるように、その目的に適している限り、どの様な適した材料を使用してもよい。チューブフレームは、当技術では既知である。
【0024】
この実施形態では、先行技術で行われていたように、つまみを調整することによりドラム1を調律する必要はない。この実施形態では、ドラムヘッド6は、調律リング15と雄ねじ10の締め付けを調整することにより調律される。これにより、ドラムヘッド6の張りを調整する方法がより容易且つ便利になる。要約すると、この回転ドラム調律の実施形態は、金属(又は他の適した材料)で製作される。調律リング15は、ドラムシェル4の外側に螺合させるように設計されている。これによって、つまみを使用する必要はなくなり、より簡単でより精度の高いドラム1の調律法が提供される。このシステムは、音響ドラムと電子ドラムの両方に使用される。
【0025】
図4は、支承縁部11が、ねじが切られたカラー12と一体に形成されている、本発明の或る好適な実施形態の破断図を示している。この支承縁部11をドラムヘッド6に押し付けて、ドラム1の調律を行う。リム9を締め付けると、支承縁部11は、ドラムヘッド6に働く圧力を増し、ドラム1の音響品質を変化させる。本図には、ねじが切られたカラー12とドラムシェル4の間のノイズを低減するガスケット13も示されている。ガスケット13をねじが切られたカラー12及びドラムシェル4に取り付けるには、ねじや接着剤など、どの様な適した手段を使用してもよい。
【0026】
図5は、或る好適な実施形態の球状音響室2が、ドラムヘッド6と調律リング15に取り付けられる様子が示されている。この実施形態では、ドラムヘッド6は、チューブフレーム14に固定されている。チューブフレーム14は、支承縁部11に被せて取り付けられ、次いで、調律リング15をねじが切られたカラー12に螺合させることにより所定の位置に固定される。点線8は、ねじが切られたカラー12と噛み合う調律リング15内部のねじ部を示している。
【0027】
図6は、本発明の別の好適な実施形態である。この実施形態では、球状音響室2は、ねじが切られたカラー12に取り付けられる大きさに作られた伸張部3を有している。また、伸張部3の縁部は、支承縁部11を形成している。ドラムヘッド6と調律リング15は、前と同じやり方で取り付けられる。
【0028】
図7は、別の好適な実施形態の球状音響室2の側断面図を示している。この実施形態では、ドラム1により作り出される音に特定の変化を作り出すため、ドラム1の球状音響室2の内部に、随意的な音響要素16が設置されている。代わりに、音響要素16は、球状音響室2と一体の部品であってもよい。
【0029】
図解し易くするため、音響要素16は、単純な円錐形状を有するように示している。しかしながら、当業者には理解頂けるように、音響要素16は、所望の音響効果を生み出すため、どの様な形状(例えば、峰、谷など)を有していてもよい。同様に、音響要素16を製作するのに使用される材料は、所望の音響効果に基づいて変えてもよい。例えば、音を柔らかくし又は弱めるには柔らかい発泡材料が使用され、他方、或る種の音の効果を強めるには、より硬質の材料が使用される。その結果、特定のドラム1により使用される音響要素16の量、並びにそれを製作するのに使用される材料は、ドラム1の意図した用途によって変わることになる。例えば、シンフォニーオーケストラに使用されるドラムでは、ヘビメタロックバンドに使用されるドラムとは実質的に異なる音が求められる。
【0030】
音響要素16を製作するために特定の材料を選択することによって音を変えることに加え、音響要素16の形状と大きさも、音に影響する。同様に、ドラム1の外表面も、音を増強又は放射するために、突起物、フィンなどを含むように変更してもよい。
【0031】
音響要素16は、球状音響室2の内部に永久的に取り付けてもよいし、球状音響室2の一体の部分であってもよい。当業者には理解頂けるように、両者を取り外し可能に取り付けて、音楽家が、特定の演奏のために、音響要素16の幾つか又は全てを取り外し、音響要素の幾つか又は全てを再度取り付けることができるようにしてもよい。これは、様々なやり方で実現できる。例えば、音響要素16は、接着剤、両面テープ、スナップ取付、その他の適した手段で取り付けることができる。音響要素16を取り外し可能に取り付けられるようにすると、音楽家にとっては、その特定の楽器で達成できるものの柔軟性が大幅に広がる。
【0032】
ドラム1の音波性能を変える別の方法は、球状音響室2を製作する材料を変えることである。例えば、球状音響室2は、或る種類の音が得られるプラスチック又はファイバーグラスの様な材料で製造してもよい。同様に、球状音響室2は、異なる種類の音を生み出す金属、木、石複合物、又はそれらの組み合わせの様な他の材料で製造してもよい。球状音響室2を製作するときは、特定の材料、例えば木を使用する場合でも、音質は、厚さ、木の密度、木の種類の様な各種因子に基づいて変化する。
【0033】
図8は、更に別の好適な実施形態の球状音響室2を示している。この実施形態では、ドラム1が作り出す音の品質を変える目的で、球状音響室の壁に孔17が形成されている。図解し易くするため、孔17は、単純な楕円形状を有するように示している。しかしながら、当業者には理解頂けるように、孔17の形状は、ドラム1の作り出す音質に及ぼす効果によって変えることもできる。同様に、孔17の形状は、意図する外観に基づいて変えてもよい。
【0034】
説明を簡単にするため、ドラム1の各構成要素は、個別の要素として図示し説明している。しかしながら、当業者には理解頂けるように、製造工程を簡素化するため、多くの要素を単一のユニットとしてモールド成形してもよい。同様に、ドラムは、回転調律システムを使用してもしなくてもよい。例えば、一部品のプラスチックモールド成形されたドラムを使用する場合、つまみは、球状音響室に取り付けてもよい。同様に、つまみ又は調律リムは、第2又は「共振」ドラムヘッドを有するドラム1に対応できるように変更してもよい。逆に、システムが一部品のモールド成形されたドラム(即ち、木製シェルを持たないプラスチックの支承縁部)に使用される場合は、ねじ部に対応するために追加のリップ又はカラー領域が必要になる。
【0035】
図9は、内装灯18が内側から球状音響室2を照らす、更に別の好適な実施形態を示している。内装灯18は、従来の電源(図示せず)から、内装灯18を電源に接続する電力コード19を介して電力供給される。本図には、随意的な電灯制御装置21、随意的な電灯制御装置信号配線22、及び随意的なセンサー23も併せて示している。
【0036】
内装灯18の照明は、様々なやり方で制御することができる。例えば、各ドラム1内の内装灯18は、演奏の始めから終わりまでずっとオンの状態に保って、ドラムの全てが照らされるようにしてもよい。同様に、所与のドラム1セット内の幾つかの内装灯18をオフにして、事前に選択されたドラムだけが照らされるようにすることもできる。また、ドラム1の内装灯18を、随意的な電灯制御装置21と随意的な電灯制御装置信号配線22で動的に制御することもできる。随意的な電灯制御装置21を使用する場合、単独で又は他のドラム1と連携してドラム1が事前に設定されたパターンで内装灯18をオフにするように、制御装置を事前にプログラムすることもできる。内装灯18照明の順序は、電灯制御装置21に永久的に記憶してもよいし、電灯制御装置信号配線22を介して遠隔的に制御してもよいし、電灯制御装置21内の記憶装置にダウンロードされた順序を有していてもよい。ドラム1の照明を操作できるようにしたことで、アーティストは、特定の演奏に適するように照明を調整することができるようになる。
【0037】
好適な実施形態は、内部照明を使用することを想定しているが、当業者には理解頂けるように、灯火は球の外表面に組み込むこともできる。LED、電子発光(EL)電灯などの様な、多種多様な既知の技法を使用することができる。また、照明電灯は球の内部の何処に設置してもよい。
【0038】
上記の他に、電灯制御装置21には、ドラム1が音楽家によって叩かれた時を判定するセンサー23を組み込むこともできる。電灯制御装置21にソフトウェアを組み込んで、電灯制御装置18が、センサー23からの入力データを使ってドラム1の照明を制御して、ドラム1の作り出す音と同期させるようにすることもできる。照明は、ドラム1への衝撃の強さに基づいて変えることさえできる。
【0039】
当業者には理解頂けるように、電灯制御装置信号配線22は、物理的な信号配線として示しているが、利用可能な各種技法を使用して簡単にワイヤレス接続として実施してもよい。また、当業者には理解頂けるように、電灯制御装置18は、音楽家が、1つの照明法からスイッチ類、遠隔制御装置類などを介して別の照明法に動的に切り替えることができるようにするだけの知能を備えて製作してもよい。
【0040】
図10は、球状音響室2が何らかの美的主題を組み込んだ装飾的な外装デザインを有する更に別の好適な実施形態を示している。この実施例では、異なる色に彩色された区画24から27により或るパターンが作り出されている。図解し易くするために、本図では簡単なパターンを示している。しかしながら、当業者には理解頂けるように、どの様な美的処理を使用してもよい。パターンは、地球の地図、個人の画像、写真画像、絵画の複製、又は特定の演奏に適したどの様な美的処理であってもよい。或るショーと別のショーで変えることのできる、取り外し可能な美的処理を有することさえ可能である。
【0041】
図9から図10の実施形態の利点を、様々なやり方で組み合わせることもできる。内装灯18は、内側からドラム1を照らすことにより、装飾的な外装デザインを強化することができる。また、内装灯18は、従来の白色灯に限定する必要はない。例えば、内装灯18は、蛍光塗料を使用した装飾デザインと反応するように設計された紫外線灯でもよい。同様に、ドラムは、彩色光、レーザー光、又は投影画像で照らしてもよい。これは、ドラム1の照明の可能性の範囲を拡大する。ドラム1は、一種類の塗料又は一種類の照明だけで使用する必要はない。例えば、従来の塗料と蛍光塗料の組み合わせを、白色光(例えば、普通の可視光スペクトル)、彩色光、レーザー光、及び/又は紫外線(例えば、一般的にブラックライトと呼ばれているもの)を作り出す内装灯18と組み合わせて使用してもよい。複数の種類の照明の利用可能性は、特定の音楽作品と連携させた娯楽的な光のショーを作り出すようにプログラムされた電灯制御装置21に利用することができる。
【0042】
この処理によって、演奏中に画像を変えられるようになる。例えば、白色光がオンになると、球状音響室2に適用された第1の画像が見える。蛍光塗料を使用して球状音響室2上に第2の画像が施されていれば、紫外線電球の組み込まれた内装灯18が点灯されるまで、それは見えない。その結果、或る画像は、白色光だけが点灯された場合に表示され、第2の画像は、紫外線光が点灯された場合にだけ表示され、第3の画像は、白色光と紫外線光の両方が点灯された場合に表示されることになる。また、白色光と紫外線光の組み合わせは、独立した彩色光、レーザー光、及び/又は投影画像を加えることにより増強されるので、電灯制御装置21の能力が拡張され、ドラム1を介して娯楽を提供できるようになる。これは、アーティストが、音楽的娯楽性と視覚的娯楽性の両方を組み合わせた楽しめるプログラムを設計する際の柔軟性を提供する。
【0043】
以上、本発明を、その好適な実施形態に関して説明してきたが、当業者には理解頂けるように、本発明の精神、範囲、及び教示から逸脱することなく、細部に様々な変更を加えることができる。例えば、球状音響室は、従来のつまみを基本とする調律システムと共に使用することもできる。同様に、ここに提供されている回転調律システムは、従来のドラムでも使用することができる。従って、ここに開示している発明は、特許請求の範囲に特定されるようにだけ限定されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1Aは、本発明の好適な実施形態の側面図であり、ドラムヘッドに取り付けられた球状音響室を有するドラムシェルを示している。図1Bは、本発明の好適な実施形態の縁部の図であり、球状音響室を有するドラムシェルに取り付けられたドラムヘッドを示している。
【図2】図2Aは、ドラムヘッドがリムによりドラムシェルに固定されている本発明の好適な実施形態を示している。図2Bは、一体型のドラムヘッド/リム合体部がドラムシェルに固定されている、本発明の別の好適な実施形態を示している。
【図3】ドラムヘッドがどの様にドラムシェルに組みつけられるかを示している、本発明の好適な実施形態の断面図を示している。
【図4】ドラムシェルのねじが切られたカラーの縁部破断図である。この実施形態のねじが切られたカラーと一体に形成されている支承縁部も併せて示している。
【図5】ドラムヘッドと調律リングに取り付けられた球状音響室を示している。
【図6】球状音響室が、ねじの切られたカラーに取り付けられる支承縁部を形成する伸張部を有している、代わりの好適な実施形態を示している。
【図7】音響要素が球状音響室の内部に設置されるか、又は、ドラムが作り出す音に特定の変化を作り出すためにドラム内部に造形が施されている、代わりの好適な実施形態を示している。
【図8】ドラムが作り出す音の品質を変える目的で、及び装飾のために、球状音響室の壁に孔が形成されている、更に別の好適な実施形態を示している。
【図9】内装灯が球状音響室を内側から照らしている、更に別の好適な実施形態を示している。
【図10】球状音響室に装飾的な外装デザインが施されている、更に別の好適な実施形態を示している。
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドラムにおいて、
球状音響室と、
カラーと、
前記球状音響室を前記カラーに取り付けるための手段と、
ドラムヘッドと、
調律リングであって、前記調律リングを回転することによって、前記ドラムヘッドに働く張りが調整されて前記ドラムが調律されるように、前記カラーと調整可能に係合された調律リングと、を備えているドラム。
【請求項2】
前記球状音響室は、木、金属、プラスチック、ファイバーグラス、石複合材料、又はそれらの組み合わせで製作されている、請求項1に記載のドラム。
【請求項3】
ねじの切られたリムが、前記ドラムヘッドを前記ねじが切られたカラーに取り付けるための手段として使用されている、請求項1に記載のドラム。
【請求項4】
前記ねじが切られたカラーの上で前記ねじが切られたリムを回転させる際は、両者の間に前記ドラムヘッドが挟まれており、回転につれて前記ドラムヘッドに働く張りが増し、
それにより、前記ドラムヘッドは、前記ドラムヘッドを前記カラーの上で回転させることによって調律される、請求項3に記載のドラム。
【請求項5】
前記球状音響室内の、前記ドラムが作り出す音のオーディオ品質を変えることができるだけの大きさを有する少なくとも1つの孔を更に備えている、請求項1に記載のドラム。
【請求項6】
前記球状音響室内側の少なくとも1つの音響要素であって、前記ドラムが叩かれたときに前記ドラムの前記音響品質を変える造形を有している音響要素を更に備えている、請求項1に記載のドラム。
【請求項7】
前記音響要素は、前記ドラムが作り出す音を柔らかくすることになる材料で製作されている、請求項6に記載のドラム。
【請求項8】
前記音響要素は、前記ドラムが作り出す音を鋭くすることになる材料で製作されている、請求項6に記載のドラム。
【請求項9】
電灯を更に備えている、請求項1に記載のドラム。
【請求項10】
前記電灯の作動を制御する手段を更に備えている、請求項9に記載のドラム。
【請求項11】
前記電灯を手動で作動させる手段を更に備えている、請求項10に記載のドラム。
【請求項12】
前記電灯の作動を動的に制御する電灯制御装置を更に備えており、
前記電灯は、音楽生成の過程で作動又は作動停止される、請求項10に記載のドラム。
【請求項13】
前記電灯制御装置は、前記電灯の作動と作動停止を制御する、事前にプログラムされたコマンドのセットを実行する手段を有している、請求項12に記載のドラム。
【請求項14】
前記電灯制御装置に制御信号を供給する電灯制御信号配線を、更に備えており、
これにより、前記電灯制御装置は、前記電灯制御装置信号配線を介する信号入力により動的に制御される、請求項12に記載のドラム。
【請求項15】
前記球状音響室は、干渉波が殆ど発生しないようにするために内部の縁部及び/又は突起を一切設けていないか、音の音響品質を変えるために内部の縁部及び/又は突起を設けている、丸い球である、請求項6に記載のドラム。
【請求項16】
前記電灯制御装置に接続されていて、前記電灯の照明を制御するために前記電灯制御装置が使用する入力データを前記電灯制御装置に提供するセンサーを更に備えている、請求項12に記載のドラム。
【請求項17】
前記電灯は、前記球状音響室の内部に配置されており、
前記球状音響室上の美的デザインは前記電灯により照らし出される、請求項12に記載のドラム。
【請求項18】
前記電灯は、白色光、紫外線光、彩色光、レーザー光、内部画像投影、又はそれらの組み合わせを作り出す、請求項17に記載のドラム。
【請求項19】
前記球状音響室上の美的デザインは、電灯に照らされたときに、白色光、紫外線光、又はその両方に反応する材料で形成されている、請求項18に記載のドラム。
【請求項20】
白色光、紫外線光、彩色光、レーザー光、及び/又は投影画像の作動を独立して制御する複数の光源と、
第1の画像を照らし出す少なくとも1つの光源と、
第2の画像を照らし出す少なくとも1つの第2光源と、を更に備えており、
これにより、前記美的デザインを、前記光源の組み合わせで照らすことにより、複数の画像が動的に提示される、請求項12に記載のドラム。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−530593(P2008−530593A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−554260(P2007−554260)
【出願日】平成18年2月3日(2006.2.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/003938
【国際公開番号】WO2006/084181
【国際公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(507264815)