説明

回転ドラム装置に装着するヘッドカバー

【課題】メンテナンス時に固定下ドラムのリード部に付着した付着物を有効に除去するヘッドカバーの提供を目的とする。
【解決手段】回転ドラム装置100にメンテナンス時に取り付けるヘッドカバー101を装着することにより、ヘッド104の損傷を防止する。またテーパ形状101aを有することにより、クリーニングパーツ106とのクリアランスを確保し、視認性を向上させることにより、固定下ドラム105のリード部105bに付着した付着物を有効に除去できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ドラム装置のメンテナンス時の作業性改善に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転ドラム装置に備えられた回転磁気ヘッドのクリーニング方法としては、例えば特許文献1に開示されたような構成が知られている。また、固定下ドラムのリード部に付着した付着物(テープ走行による磁性粉の付着及び異物等の付着)の除去を行うメンテナンス時には、付着物除去用に専用のクリーニングパーツを使用している。
【特許文献1】特開平7−296345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来のリード部のメンテナンス方法では、リード部の付着物の除去中にクリーニングパーツとヘッドが誤って接触し、ヘッドの損傷が発生することがあった。
【0004】
本発明はこのような課題に鑑み、リード部における付着物の除去作業中に、回転磁気ヘッドの損傷を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するため、本発明のヘッドカバーは、メンテナンス時のみに回転ドラム装置の固定上ドラムに着脱自在な形状とし、ヘッド及びヘッドを固定して回転する回転中ドラムをカバーすることでヘッドの損傷を防止すると共に、ヘッドカバー下端部をテーパ形状とした。
【発明の効果】
【0006】
リード部のクリーニング時に本発明のヘッドカバーを装着することにより、クリーニング作業中のヘッドの損傷を防止できる。また、下端部にテーパを形成することでクリーニングパーツとヘッドカバーとのクリアランスを確保でき、かつ視認性が向上するため、固定下ドラムのリード部に付着した付着物の除去作業のバラツキを防止することができる。その結果として固定下ドラムのリード部の直線性を確保することができ、長期的に安定した互換性能を保証してフォーマットの信頼性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0008】
図1は、本発明の実施の形態におけるヘッドカバーを回転ドラム装置に装着した状態を示す図である。図1において、回転ドラム装置100は、上から順に固定上ドラム102、回転中ドラム103および固定下ドラム105が組み合わされた3層構成となっている。各ドラムは円柱形状で、その中心軸が一致するように配置されている。また、回転中ドラム103は、固定上ドラム102および固定下ドラム105に対して中心軸を中心として回転可能となっており、回転中ドラム103の外周下端近傍には磁気ヘッド104がひとつまたは複数個備えられている。磁気ヘッド104は、回転中ドラム103の外周から僅かに突出した状態で固定されている。固定下ドラム105は、テープ側端をガイドするためのリード部105bを有する。
【0009】
ヘッドカバー101は、その内面全体が固定上ドラム102の外周部に接するような円筒形状をしている。固定上ドラム102の下部の直径は上部(非テープ走行部102a)に対してわずかに大きく、そのためにこれらの境界部にはわずかな段差がある。この固定上ドラム102の形状に合わせて、ヘッドカバー101における非テープ走行部102aに対向する内面の内径は、下部に対向する内面の内径よりもわずかに小さくなっている。この段差により、ヘッドカバー101を固定上ドラム102の上部より挿入すると、固定上ドラムの非テープ走行部102aと下部との段差によりヘッドカバー101が固定上ドラム102に対して位置決めされ、着脱自在に芯だし固定される。この時に、ヘッドカバー101の下端近傍の内面が回転中ドラム103に固定され僅かに突出したヘッド104と接触しないような直径方向の隙間を有し、かつ回転中ドラム103の下端近傍の高さになるようにヘッドカバーの高さ(ヘッドカバー内面の段差からヘッドカバー下端までの長さ)を設定する。このようにすることで、回転ドラム装置100に装着したときには回転中ドラム103の全体が覆われることで、ヘッド104が覆われかつ、ヘッド104とヘッドカバー101とが接触しない状態となる。したがって、固定下ドラム105のリード部105bに付着した付着物の除去作業に使用するクリーニングパーツ106とヘッド104との接触を防ぎ、ヘッドの損傷を防止することができる。
【0010】
またヘッドカバー101の下端部をテーパ形状101aに形成することにより、クリーニングパーツ106による固定下ドラム105のリード部105bの清掃中に、クリーニングパーツ106とヘッドカバー101とのクリアランスを確保すると共に付着物の除去状態を上方から確認する時の視認性が向上することで、除去作業のバラツキを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0011】
本発明にかかる回転ドラム装置のヘッドカバーによれば、メンテナンス時にヘッドカバーを装着し、ヘッドの損傷を防止しつつ固定下ドラムのリード部に付着した付着物の除去作業を行うことで、固定下ドラムのリード部の直線性を確保し、長期的に安定した互換性能の保証ができ、フォーマットの信頼性を高めることになるため、HD化により狭トラック化及び多ヘッドを搭載するフォーマットの業務用VTRのメンテナンス用途にも有効である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態におけるヘッドカバーを回転ドラム装置に装着した状態を示す図
【符号の説明】
【0013】
100 回転ドラム装置
101 ヘッドカバー
101a ヘッドカバー下端のテーパ形状
102 固定上ドラム
102a 固定上ドラムの非テープ走行部
103 回転ドラム
104 ヘッド
105 固定下ドラム
105b 固定下ドラムのリード部
106 クリーニングパーツ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定上ドラムと外周下端部にヘッドを固定した回転中ドラムとテープ側端をガイドするためのリード部を有する固定下ドラムとを備える回転ドラム装置に対し、前記固定上ドラムに着脱自在に芯だし固定可能なヘッドカバーであって、前記ヘッドカバーは略円筒形状を形成し、前記ヘッドに接触せずかつ前記回転中ドラム全体を覆う高さに設定され、リード部を有する固定下ドラムのリード部に付着した付着物の除去時に使用するクリーニングパーツとヘッドが接触して発生するヘッドの損傷を防止するヘッドカバー。
【請求項2】
前記クリーニングパーツと前記ヘッドカバーとのクリアランスを確保し、かつ上方からの前記リード部の視認性の向上のため、下端部にテーパを形成した請求項1記載のヘッドカバー。

【図1】
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