説明

回転ハンドル連結構造

【課題】ハンドルへのダメージの少ない回転ハンドル連結構造の提供。
【解決手段】回動軸材1は、軸方向に垂直な断面がほぼ5角形の長尺状に形成されている。ハンドル2には、断面が正方形の連結孔が形成されており、連結プレート3は、回動軸材1を取り囲むように金属製の平板が折り曲げられて形成されている。連結孔内に連結プレート3および回動軸材1を挿入した後、締結螺子4を連結孔に連通した締付孔26に挿通させ、連結プレート3の雌螺子36に締め付けながら、締結螺子4の先端により回動軸材1を押動する。これにより、回動軸材1の一対の前方面11a、11bが、連結プレート3の押圧部31a、31bを付勢して拡開させ、それぞれの押圧部31a、31bが連結孔の2面を押圧する。一方、連結プレート3の牽引部33a、33bが押圧部31a、31bと反対方向に引っ張られ、連結孔の残りの2面を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアに取り付けられた回動軸材に対して、ドア開閉操作用のハンドルを結合する回転ハンドル連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ドアに設けられたラッチボルトを作動させるためにドアに取り付けられた回動軸材に対し、開閉操作用のハンドルを結合するための連結構造に関しては、従来よりさまざまなものがあった。その1つとして、断面が略直角3角形状の一対の回動軸材を、ハンドルに形成した連結孔内に挿入して双方を結合した連結構造があった(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これは図6に示すように、回動軸材101a、101bをハンドル102の断面が正方形状の連結孔103内に挿入した後、ハンドル102の外部から連結孔103内へと進入させた締結螺子104を一方の回動軸材101aに螺合させるとともに、締結螺子104の先端部で他方の回動軸材101bの側面を押動させているものである。これにより、一対の回動軸材101a、101bは互いに引き離され、それぞれの直角を形成する2面が連結孔103の内周面を押圧するため、一対の回動軸材101a、101bは互いに所定の間隔を保持した状態で、ハンドル102に結合される。
【特許文献1】実開平7−32136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術によるハンドルの連結構造は、回動軸材101a、101bの一対の直角面により形成されたエッジ部が連結孔103を押圧するため、連結孔103の隅部に応力が集中し、ハンドル102の亀裂等の恐れがあった。特に、昨今はドア操作者の手触り感や意匠性の向上のために、金属材料が敬遠されて合成樹脂製のハンドルを使用する場合が多く、結合時に発生した応力によるハンドルへのダメージが大きかった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ハンドルへのダメージの少ない回転ハンドル連結構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による回転ハンドル連結構造は、長尺状を呈し、少なくとも一端において所定の角度で向き合う一対の側面が形成された回動軸材と、把持可能な握り部および握り部と接続された結合部とにより一体に形成され、結合部には、回動軸材の一端が挿入されるために断面が略4辺形を呈するとともに、隣り合う一対の辺が回動軸材の一対の側面が成す角度と等しい角度を形成する連結孔が設けられ、連結孔は、結合部の側面において連結孔の軸中心に向けて形成された締付孔により外部と連通したハンドルと、連結孔に挿入された回動軸材の外周面と連結孔の内周面との間に介装可能なように、金属製の板材が折り曲げられて形成され、互いに離れた状態で連結孔の隣り合う一対の辺が成す角度と等しい角度を形成するように向き合う一対の平板状の押圧部と、押圧部の一端部同士を互いに接続する接続部を有し、接続部には押圧部に対してそれぞれ接続され、連結孔の残りの一対の辺が成す角度と等しい角度を形成するように向き合った一対の平板状の牽引部が形成されるとともに、一対の牽引部の間には雌螺子孔が貫通した連結プレートとを備えている。
【0006】
回動軸材に対してハンドルを結合する場合、回動軸材の所定の角度で向き合う一対の側面と、連結孔の内周面であって回動軸材の一対の側面が成す角度と等しい角度を形成する隣り合う一対の面との間に、連結プレートの一対の押圧部が位置するように連結孔内に連結プレートおよび回動軸材を挿入した後、締付孔に挿通させた締結螺子を連結プレートの雌螺子孔に締め付けながら、連結プレートの内周側に突出した締結螺子の先端により回動軸材を押動することにより、回動軸材の所定の角度で向き合う一対の側面が連結プレートの押圧部を付勢して互いに拡開させ、それぞれの押圧部が連結孔の隣り合う一対の面を押圧するとともに、連結プレートの牽引部はそれぞれ押圧部と反対方向に引っ張られ連結孔の残りの一対の面を押圧する。
これにより、連結プレートの一対の押圧部および牽引部が、連結孔の表面形状に倣って弾性変形して連結孔の表面を均等に押圧するため、連結孔の表面に応力が集中することがなく、ハンドルへのダメージを低減した状態でハンドルを回動軸材に結合することができる。
【0007】
また、本発明による回転ハンドル連結構造は、連結プレートの接続部にバーリング加工が施され、バーリング加工により形成された絞り部位に雌螺子孔が形成されている。これにより、雌螺子孔を形成するための筒状部を連結プレートのプレス工程にて同時に形成することができ、製造の容易な連結構造にすることができる。
【0008】
また、本発明による回転ハンドル連結構造は、回動軸材における締結螺子の先端が当接する部位には位置決め孔が形成され、締結螺子を雌螺子孔に締め付けていくことにより、締結螺子の先端が位置決め孔に嵌合する。これにより、回動軸材が締結螺子に対して位置ずれすることがなく、振動が加わる等してもハンドルと回動軸材との結合が外れることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
<実施形態1>
図1および図2に基づいて、実施形態1による回転ハンドル連結構造について説明する。回動軸材1(本発明の回動軸材に該当する)は金属あるいは合成樹脂材料等にて長尺状に形成されており、全体として角柱状を呈している(図1において、その一端部のみを示す)。回動軸材1は、ラッチボルトを作動させるためにドア(いずれも図示せず)に回転可能に取り付けられるためのものである。回動軸材1は全長にわたって軸方向に垂直な断面が変則的な5角形に形成されており、断面形状はX軸に関して対称となっている(図2示)。尚、上述した断面形状は、回動軸材1の少なくとも端部のみに形成されていればよい。
【0010】
回動軸材1の上述した5角形を形成する側面のうちの隣り合った一対の面である前方面11a、11bは、互いに直角に位置するように形成されており、前方面11a、11bにはそれぞれ斜面12a、12bがほぼ直角に接続され、斜面12a、12bは後面13により連結されている。後述するように、回動軸材1とハンドル2とを結合する場合に、締結螺子4の先端が当接する部位である後面13の中央部には、位置決め孔14(本発明の位置決め孔に該当する)が前方面11a、11bの接続位置に到達するように垂直に貫通している。位置決め孔14は内径が後述する締結螺子4の外径よりも小さく、回動軸材1の軸方向端部から所定距離だけ内方に入った位置に形成されている。一方、回動軸材1の反対側の端部においても、位置決め孔14を含めて同様の構成が形成されている。
【0011】
ハンドル2(本発明のハンドルに該当する)は合成樹脂材料により一体に形成されており、ハンドル操作者が把持可能な握り部21(本発明の握り部に該当する)とこれに接続された結合部22(本発明の結合部に該当する)とにより形成されている(図1示)。結合部22はおよそ円柱状に形成された大径部23と、その端部に形成され大径部23よりも小さい外径を有した小径部24を有しており、小径部24は本実施形態による連結構造をドアに取り付ける場合に、ドア内部に埋没する部位である。
【0012】
結合部22には、回動軸材1の一端が挿入されるために連結孔25(本発明の連結孔に該当する)が設けられている。連結孔25は、図1において結合部22の下端から結合部22の軸方向に延びており、その全長にわたり軸方向に垂直な断面がほぼ正方形を呈している(図2示)。すなわち、連結孔25は4つの側面により形成され、隣り合った側面同士は互いに直角に位置しており、連結孔25の隣り合う一対の側面が形成する角度は、回動軸材1の前方面11a、11b同士が成す角度と等しい。
【0013】
また、結合部22の外周面には締付孔26(本発明の締付孔に該当する)が形成されている。締付孔26は結合部22の外周面から連結孔25の軸中心に向けて延びており、連結孔25を形成する一対の側面が直交している部位へと到達し、これにより連結孔25は結合部22の外部と連通されている。
一方、ハンドル2の握り部21は平板状に形成されており、円柱状の結合部22の軸中心から半径方向へと延びている。これにより、ハンドル操作者は握り部21を把持して、ハンドル2を結合部22の軸中心に回動可能となっている。
【0014】
連結プレート3(本発明の連結プレートに該当する)は金属製の板材をプレス成型することにより折り曲げられて形成されている。連結プレート3は、連結孔25に挿入された回動軸材1の外周面と連結孔25の内周面との間に介装され、回動軸材1の外周面を取り囲むことが可能なように5つの側面により形成され、図2に示すように、その軸方向に垂直な断面形状は(X軸に関して)対称となっている。
【0015】
連結プレート3は、互いに離れた状態で直角に向き合う一対の押圧部31a、31b(本発明の押圧部に該当する)と、これらの押圧部31a、31bの一端部同士を互いに接続する接続部32(本発明の接続部に該当する)を有している。したがって、押圧部31a、31b同士が形成する角度は、連結孔25の隣り合った側面同士が成す角度と等しい。接続部32には押圧部31a、31bに対してそれぞれ直行するように接続された一対の牽引部33a、33b(本発明の牽引部に該当する)が形成されるとともに、一対の牽引部33a、33bの間を連結する締付面34が設けられている。したがって、牽引部33a、33b同士が形成する角度は、連結孔25の残りの隣り合った側面同士が成す角度と等しい。
【0016】
締付面34の中央部にはバーリング加工が施されて、押圧部31a、31b方向へと絞られた筒状部35(本発明の絞り部位に該当する)が形成されており、筒状部35の内周面には雌螺子36が形成されている。雌螺子36が形成された筒状部35の内周面は、本発明の雌螺子孔に該当する。
【0017】
ここで、図2に示したように、連結プレート3のそれぞれの押圧部31a、31bの長さAは、後述するように回動軸材1とハンドル2とを結合する場合に、押圧部31a、31bからハンドル2の連結孔25の内周面に加えられる面圧を低減するためには、極力大きくすることが望ましい。しかしながら製造上の理由から、押圧部31a、31bと連結孔25の内周面との間が平行でない場合、押圧部31a、31bの先端部から連結孔25の内周面に対して荷重が働くことを考慮すれば、連結孔25の内周面を形成する側面の中央部を押圧させるために、押圧部31a、31bの長さAを連結孔25の側面の幅Bのおよそ1/2にすることが望ましい。
【0018】
次に、本実施形態の回転ハンドル連結構造による、回動軸材1とハンドル2との結合方法について説明する。最初に、ハンドル2の連結孔25内に、連結プレート3を挿入していく。図2に示したように、連結プレート3は締付面34がハンドル2の締付孔26と対向する向きに挿入する。
【0019】
次に、連結孔25内に挿入された連結プレート3の押圧部31a、31bの内側に回動軸材1の前方面11a、11bが位置するように、回動軸材1を連結プレート3内に挿入する。これにより、回動軸材1の前方面11a、11bと、連結孔25の内周面であって回動軸材1の一対の前方面11a、11bが成す角度と等しい角度である直角を形成する隣り合う一対の面との間に、連結プレート3の押圧部31a、31bが位置する。
【0020】
次に、回動軸材1に形成された位置決め孔14、連結プレート3に形成された雌螺子36およびハンドル2に形成された締付孔26を互いに位置合わせした後、締付孔26から締結螺子4を挿入させ、連結プレート3の雌螺子36に締め付けるとともに、連結プレート3の内周側に突出した締結螺子4の先端を回動軸材1の位置決め孔14に嵌合させる。
【0021】
締結螺子4を連結プレート3の雌螺子36に締め付けていくことにより、連結プレート3の内周側に突出したその先端が、回動軸材1を図2において左方に押動する。これにより、回動軸材1の前方面11a、11bが、連結プレート3の押圧部31a、31bを付勢して弾性変形させて互いに拡開させる。押圧部31a、31bは拡開されながら、それぞれが当接した連結孔25の隣り合う一対の面を押圧する。それとともに、連結プレート3の接続部32が締結螺子4の締め付けにともなう軸力により、図2において右方に引っ張られることにより、牽引部33a、33bは、それぞれ弾性変形して押圧部31a、31bと反対方向に引っ張られ、当接した連結孔25の残りの一対の面を押圧する。これによって、ハンドル2の回動軸材1の一端への結合が完了する。
【0022】
完成した回転ハンドル連結構造をドアに取り付けた後、回動軸材1の一端に結合されたハンドル2の握り部21を操作者が把持して回動させることにより、回動軸材1が回転されてラッチボルトを作動させ、ドアの開閉操作が行われる。尚、回動軸材1の他端部においても、上述した場合と同様の方法によりハンドル2が結合され、回動軸材1の両端部に結合されたハンドル2は、ドアの両側においてそれぞれ開閉操作者の操作に供される。
【0023】
本実施形態によれば、回動軸材1に対してハンドル2を結合する場合、回動軸材1の互いに直角に位置する一対の面である前方面11a、11bと、連結孔25の内周面であって回動軸材1の一対の側面11a、11bが成す角度と等しい角度を形成する隣り合う一対の面との間に、連結プレート3の一対の押圧部31a、31bが位置するように連結孔25内に連結プレート3および回動軸材1を挿入した後、締付孔26に挿通させた締結螺子4を連結プレート3の雌螺子36に締め付けながら、連結プレート3の内周側に突出した締結螺子4の先端により回動軸材1を押動する。これにより、回動軸材1の前方面11a、11bが連結プレート3の押圧部31a31bを付勢して互いに拡開させ、それぞれの押圧部31a、31bが連結孔25の隣り合う一対の面を押圧する。これとともに、連結プレート3の牽引部33a、33bはそれぞれ押圧部31a、31bと反対方向に引っ張られ連結孔25の残りの一対の面を押圧する。
【0024】
これにより、連結プレート3の一対の押圧部31a、31bおよび牽引部33a、33bが、連結孔25の表面形状に倣って弾性変形して連結孔25の4つの側面の表面を均等に押圧するため、連結孔25の表面に応力が集中することがなく、ハンドル2へのダメージを低減した状態で、ハンドル2を回動軸材1に結合することができる。
【0025】
また、本実施形態によれば、ドアのラッチボルトを作動させる回動軸材を1つにすることができ、一対の回動軸材を使用した従来技術の場合のように、ハンドルを作動させた場合に加わるモーメントにより、一対の回動軸材の間に捩れが発生して連結構造が外れることがなく、その信頼性を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、合成樹脂材料にて形成されたハンドル2に雌螺子を形成して回動軸材1を取り付ける必要もないため、いっそうハンドル2へのダメージを低減することができる。
【0026】
また、本実施形態によれば、連結プレート3の接続部32にはバーリング加工が施され、バーリング加工により形成された筒状部35の内周面に雌螺子36が形成されている。これにより、雌螺子36を形成するための筒状部35を連結プレート3のプレス工程にて同時に形成することができ、製造の容易な連結構造にすることができる。
【0027】
また、本実施形態によれば、回動軸材1における締結螺子4の先端が当接する部位には位置決め孔14が形成され、締結螺子4を雌螺子36に締め付けていくことにより、締結螺子4の先端が位置決め孔14に嵌合する。これにより、回動軸材1が締結螺子4に対して位置ずれすることがなく、振動が加わる等してもハンドル2と回動軸材1との結合が外れることがない。
【0028】
<実施形態2>
図3に基づき、実施形態2による回転ハンドル連結構造について説明する。本実施形態によれば、実施形態1の場合と同様に連結プレート5には互いに直角に向き合う押圧部51a、51bと、押圧部51a、51bの両端を接続するように接続部52が形成され、接続部52上の牽引部53a、53bを連結するように締付面54が設けられている。本実施形態の場合、締付面54にはバーリング加工が施されて、実施形態1による連結プレート3とは反対方向へと絞られた筒状部55が形成されており、筒状部55の内周面には雌螺子56が形成されている。また本実施形態においては、連結プレート5をハンドル2に取り付けた場合に筒状部55が締付孔26側を向くため、ハンドル2の連結孔25内には筒状部55との干渉を避けるための逃し部27が形成されている。その他の構成については、実施形態1の場合と同様であるため説明は省略する。
本実施形態によれば、実施形態1のものに対して連結プレート5の筒状部55の向きを反対方向に向けており、連結プレートの成形工程の成り立ちによって、筒状部の成型方法に関して実施形態1によるか本実施形態によるかを適宜選択することができる。
【0029】
<実施形態3>
図4に基づき、実施形態3による回転ハンドル連結構造について説明する。本実施形態によれば、回動軸材6はほぼ3角柱状に形成されている。すなわち、回動軸材6は全長にわたって軸方向に垂直な断面が、おおよそ直角2等辺3角形に形成されている。回動軸材6において、上述した直角2等辺3角形を形成する側面のうちの隣り合った一対の面である前方面61a、61bは、互いに直角に位置するように形成されている。実施形態1の場合と同様に、前方面61a、61bは連結プレート3の押圧部31a、31bを付勢するためのものであり、これらは後方面62により接続されている。また、後方面62の中央部には、位置決め孔63が前方面61a、61bの接続位置に到達するように垂直に貫通している。その他の構成については、実施形態1の場合と同様であるため説明は省略する。
本実施形態によれば、回動軸材6の断面が3角形状に形成されているため、その成形工程の簡素化が可能で、また、回動軸材6を軽量化することもできる。
【0030】
<実施形態4>
図5に基づき、実施形態4による回転ハンドル連結構造について説明する。本実施形態によれば、回動軸材7は変則的な6角柱状に形成されている。回動軸材7の図5における左方には平坦面71が形成され、この平坦面71の両端部には一対の前方面72a、72bが互いに直角に位置するように接続されている。実施形態1の場合と同様に、前方面72a、72bは連結プレート3の押圧部31a、31bを付勢するためのものである。
【0031】
前方面72a、72bにはそれぞれ斜面73a、73bがほぼ直角に接続され、斜面73a、73bは後面74により連結されている。また後面74の中央部には、位置決め孔75が形成されている。位置決め孔75は、実施形態1の場合とは異なり平坦面71側へ貫通してはいない。このように、位置決め孔75は有底であってもよいし、上述した実施形態1乃至3に示したように、回動軸材1、6に貫通していてもよい。その他の構成については、実施形態1の場合と同様であるため説明は省略する。
本実施形態によれば、回動軸材7において位置決め孔75が貫通していないため、その形成工程の時間を短縮することができる。
【0032】
<他の実施形態>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
回動軸材1の一端は少なくとも所定の角度で向き合う一対の側面を有しておればよく、その断面形状は上述した実施形態に示したもの以外の形状であってもよい。
回動軸材1の一対の前方面11a、11b同士により形成される角度は直角に限られるものではなく、鋭角あるいは鈍角に形成されていてもよい。
【0033】
ハンドル2に形成された連結孔25は、断面がほぼ4辺形を呈するように4つの側面を有しておればよく、その側面同士が成す角度は連結プレート3の押圧部31a、31bおよび牽引部33a、33bが形成する角度と等しければ、鋭角あるいは鈍角であってもよい。
また、連結孔の断面形状において、その隅部は必ずしもエッジ状となっていなくてもよく、隣り合う側面は適当な大きさの曲線等によりつながれていてもよい。
【0034】
また、連結プレート3の一対の押圧部31a、31b同士により形成される角度は、連結孔25の隣り合う側面により形成される角度および回動軸材1の一対の前方面11a、11b同士により形成される角度と等しければ、鋭角あるいは鈍角に形成されていてもよい。また、一対の牽引部33a、33b同士により形成される角度も、連結孔25の残りの隣り合う側面により形成される角度と等しければ、鋭角あるいは鈍角に形成されていてもよい。
【0035】
また、回動軸材1に結合されたハンドル2の軸方向への位置ずれが発生しない程度に、位置決め孔14を回動軸材1の軸方向に延びた長孔に形成してもよい。位置決め孔14を長孔にすることにより、ハンドル2の回動軸材1への結合時に、締付孔26に挿通された締結螺子4の先端を位置決め孔14に嵌合させる場合、ハンドル2の回動軸材1の軸方向に対する位置に関して、ある程度の自由度が許容されることになり、ハンドル2を回動軸材1へ結合するための作業性が向上する。
【0036】
回動軸材1の両端部において、本実施形態による回転ハンドル連結構造を使用してハンドル2を取り付けてもよいし、また、回動軸材1の一端部において、本実施形態による回転ハンドル連結構造を使用してハンドル2を取り付け、他端部においては、回動軸材1をハンドル2に対してインサート成形する等の本実施形態とは異なる連結構造により結合してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施形態1による回転ハンドル連結構造の分解斜視図
【図2】図1に示した回転ハンドル連結構造を、締結螺子の位置において回動軸材の軸方向に垂直な面により切断した場合の断面図
【図3】実施形態2による回転ハンドル連結構造の図2相当の断面図
【図4】実施形態3による回転ハンドル連結構造の図2相当の断面図
【図5】実施形態4による回転ハンドル連結構造の図2相当の断面図
【図6】従来技術による回転ハンドル連結構造の断面図
【符号の説明】
【0038】
図面中、1、6、7は回動軸材、2はハンドル、3、5は連結プレート、4は締結螺子、11a,11b,61a,61b,72a,72bは前方面(互いに直角に位置する一対の面)、14,63,75は位置決め孔、21は握り部、22は結合部、25は連結孔、26は締付孔、31a,31b,51a,51bは押圧部、32,52は接続部、33a,33b,53a,53bは牽引部、35,55は筒状部、36,56は雌螺子を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状を呈し、少なくとも一端において所定の角度で向き合う一対の側面が形成された回動軸材と、
把持可能な握り部および該握り部と接続された結合部とにより一体に形成され、前記結合部には、前記回動軸材の一端が挿入されるために断面が略4辺形を呈するとともに、隣り合う一対の辺が前記回動軸材の前記一対の側面が成す角度と等しい角度を形成する連結孔が設けられ、前記連結孔は、前記結合部の側面において前記連結孔の軸中心に向けて形成された締付孔により外部と連通したハンドルと、
前記連結孔に挿入された前記回動軸材の外周面と前記連結孔の内周面との間に介装可能なように、金属製の板材が折り曲げられて形成され、互いに離れた状態で前記連結孔の隣り合う一対の辺が成す角度と等しい角度を形成するように向き合う一対の平板状の押圧部と、該押圧部の一端部同士を互いに接続する接続部を有し、該接続部には前記押圧部に対してそれぞれ接続され、前記連結孔の残りの一対の辺が成す角度と等しい角度を形成するように向き合った一対の平板状の牽引部が形成されるとともに、前記一対の牽引部の間には雌螺子孔が貫通した連結プレートとを備え、
前記回動軸材に形成された一対の側面と、前記連結孔の内周面であって前記回動軸材の前記一対の側面が成す角度と等しい角度を形成する隣り合う一対の面との間に、前記連結プレートの一対の押圧部が位置するように前記連結孔内に前記連結プレートおよび前記回動軸材を挿入した後、前記締付孔に挿通させた締結螺子を前記連結プレートの前記雌螺子孔に締め付けながら、前記連結プレートの内周側に突出した前記締結螺子の先端により前記回動軸材を押動することにより、前記回動軸材の前記一対の側面が前記連結プレートの前記押圧部を付勢して互いに拡開させ、それぞれの前記押圧部が前記連結孔の隣り合う前記一対の面を押圧するとともに、前記連結プレートの前記牽引部はそれぞれ前記押圧部と反対方向に引っ張られ、前記連結孔の残りの一対の面を押圧することによって、前記ハンドルが前記回動軸材の一端に結合されることを特徴とする回転ハンドル連結構造。
【請求項2】
前記連結プレートの前記接続部にはバーリング加工が施され、当該バーリング加工により形成された絞り部位に前記雌螺子孔が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の回転ハンドル連結構造。
【請求項3】
前記回動軸材における前記締結螺子の先端が当接する部位には位置決め孔が形成され、前記締結螺子を前記雌螺子孔に締め付けていくことにより、前記締結螺子の先端が前記位置決め孔に嵌合することを特徴とする請求項1または2に記載の回転ハンドル連結構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−228321(P2009−228321A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−75519(P2008−75519)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(000100827)アイシン機工株式会社 (122)