説明

回転ロータ、電気掃除機用床吸込具、電気掃除機、及び空気調和機

【課題】 回転ロータを構成する個々の部品を分解して分別廃棄することができる回転ロータを提供する。
【解決手段】 機器に回転自在に取着されると共に、外周長手方向に少なくとも1条の支持溝を有するロータ1と、清掃体2と、該清掃体2のスラスト方向の抜けを防止する為の規制部材4とを備えた回転ロータ12において、該回転ロータ12は、少なくとも締付用頭部3c、軸部3b、及びネジ部3aを有する回転軸3にて前記規制部材4が前記ロータ1にたいして着脱可能に装着されてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気掃除機又は空気調和機に使用される回転ロータと、この回転ロータを組込んだ電気掃除機用床吸込具と、電気掃除機、及び空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、電気掃除機又は空気調和機に内蔵されている回転ロータは、回転自在に取着されており、外周の長手方向に支持溝を有する回転軸を備えたロータと、このロータの支持溝に挿入される清掃体と、清掃体がロータから抜けるのを防止する為の規制部材とを備えているものが知られている(特許文献1〜3)。これらの回転ロータは、規制部材と回転軸とが一体となっていると共に、ロータの両端部に規制部材の凹部が圧入され嵌合されて清掃体の抜け止めがなされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−124085号公報
【特許文献2】特開平07−039492号公報
【特許文献3】特開平07−008421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の構成を備えた従来の回転ロータでは、清掃体のみの交換を行うことができず、経年の使用により、清掃体が劣化した場合には、回転ロータ単位で交換しなければならなかった。また、近年環境保護、資源保護等の理由から製造物のリサイクルが重要性を増してきており、清掃体、ロータ、回転軸、及び規制部材の各々に分解して分別廃棄することが必要となっていた。
【0005】
本発明は上記点に鑑み、回転ロータを構成する個々の部品を分解して分別廃棄することができる回転ロータと、この回転ロータを備えた電気掃除機用床吸込具と、電気掃除機、及び空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明では、機器に回転自在に取着されると共に、外周長手方向に少なくとも1条の支持溝を有するロータと、清掃体と、該清掃体のスラスト方向の抜けを防止する為の規制部材とを備えた回転ロータにおいて、該回転ロータは、少なくとも締付用頭部、軸部、及びネジ部を有する回転軸にて前記規制部材が前記ロータにたいして着脱可能に装着されてあることを特徴としている。したがって、回転ロータを構成する回転軸と、規制部材と、ロータと、清掃体とを分離することができるので、清掃体の交換作業が容易となると共に、容易に分別廃棄することが可能となる。
【0007】
請求項2の発明では、機器に回転自在に取着されると共に、外周長手方向に少なくとも1条の支持溝を有するロータと、清掃体と、該清掃体のスラスト方向の抜けを防止する為の規制部材を備えた回転ロータにおいて、該回転ロータは、少なくとも締付用頭部、及びネジ部を有するネジ部材にたいして、軸部を構成する中空軸を挿入固定した回転軸にて、前記規制部材が前記ロータにたいして着脱可能に装着されてあることを特徴としている。したがって、回転ロータを構成する回転軸をネジ部材と中空軸とに分離できると共に、規制部材と、ロータと、清掃体とを分離することができるので、清掃体の交換作業が容易となると共に、容易に分別廃棄することが可能となる。また、ネジ部材として市販品のネジを使用できるので、回転ロータの製造コストを低減できる。
【0008】
請求項3の発明では、機器に回転自在に取着されると共に、外周長手方向に少なくとも1条の支持溝を有するロータと、清掃体と、該清掃体のスラスト方向の抜けを防止する為の規制部材とを備えた回転ロータにおいて、該回転ロータは、少なくとも締付用頭部、軸部、及びネジ部を有する回転軸にたいして、前記規制部材を螺合すると共に、前記回転軸が前記ロータにたいして着脱可能に装着されてあることを特徴としている。したがって、ロータと回転軸とが簡易な手段で着脱可能に確実に固定されると共に、規制部材とロータとの間も着脱可能に確実に固定され、さらに、回転軸と規制部材との間も着脱可能に確実に固定されるので、清掃体の抜けを確実に防止することができると共に、回転ロータを構成する回転軸と、規制部材と、ロータと、清掃体とを分離することができるので、清掃体の交換作業が容易となり、容易に分別廃棄することも可能となる。
【0009】
請求項4の発明は、電気掃除機用床吸込具の発明であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転ロータを回転自在に設けたことを特徴としている。したがって、ロータと回転軸及びロータと規制部材との間が簡易な手段で着脱可能に固定され、回転ロータを構成する回転軸と、規制部材と、ロータと、清掃体とを分離することができる回転ロータを備えた電気掃除機用床吸込具である。
【0010】
請求項5の発明は、電気掃除機の発明であって、電動送風機と、請求項4に記載の電気掃除機用床吸込具とを備え、前記電動送風機と前記電気掃除機用床吸込具とを連通させたことを特徴としている。したがって、ロータと回転軸及びロータと規制部材との間が簡易な手段で着脱可能に固定され、回転ロータを構成する回転軸と、規制部材と、ロータと、清掃体とを分離することができる回転ロータを備えた電気掃除機用床吸込具を備えた電気掃除機であるので、清掃体の交換作業が容易となると共に、製造コストを低減でき、容易に分別廃棄することが可能となる。
【0011】
請求項6の発明は、空気調和機の発明であって、空気を熱交換する熱交換器と、該熱交換器の上流側に配されて流入する空気中に含まれる塵埃を捕集するエアフィルターと、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転ロータとを備え、該回転ロータにて前記エアフィルターで捕集された塵埃を除去するようにしたことを特徴としている。したがって、ロータと回転軸及びロータと規制部材との間が簡易な手段で着脱可能に固定された回転ロータを備えた空気調和機であり、清掃体の交換作業が容易となると共に、製造コストを低減でき、容易に分別廃棄することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜3の発明では、ロータと回転軸とが簡易な手段で着脱可能に確実に固定されると共に、規制部材とロータとの間も着脱可能に確実に固定され、回転ロータを構成する回転軸と、ロータと、清掃体等とを分離することができるので、清掃体の交換作業が容易となると共に、容易に分別廃棄することが可能となる回転ロータを提供することができる。また、請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれかの回転ロータを備えた電気掃除機用床吸込具を提供することができる。また、請求項5の発明では、請求項4の電気掃除機用床吸込具を備えた電気掃除機を提供することができる。さらに、請求項6の発明では、請求項1〜3のいずれかの回転ロータを備えた空気調和機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態を示す断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態を示す断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態を示す断面図である。
【図4】本発明の回転ロータを備えた電気掃除機用床吸込具を示す斜視図である。
【図5】本発明の電気掃除機用床吸込具を備えた電気掃除機を示す側面図である。
【図6】本発明の回転ロータを備えた空気調和機を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る回転ロータの第1の実施形態を示す断面図である。この図に示すように、回転ロータ12は、ロータ1の外周長手方向に形成された支持溝に清掃体2が挿入されており、清掃体2は、スラスト方向(清掃体2の長手方向)へスライドするようにして、ロータ1の一端近傍から他端近傍の支持溝に配置される。ロータ1の端部には規制部材4が嵌合して清掃体2が、そのスラスト方向に沿って支持溝から抜けでるのを防止している。このロータ1と規制部材4の固定を確実なものとするために、ネジで形成された回転軸3がロータ1と螺合している。
【0015】
即ち、回転軸3は、締付用頭部3cと、軸部3bと、ネジ部3aとから構成されてあり、ネジ部3aがロータ1と螺合しているのである。そして、軸部3bはベアリング6の内側と接触しており、このベアリング6の外側は、固定部材5に接触している。固定部材と規制部材4との間にはワッシャ7が挿入されてあり、ベアリング6と回転軸3の締付用頭部3cとの間にもワッシャ7が挿入されてある。そして、固定部材5は電気掃除機用床吸込具の本体ケース或いは空気調和機の本体ケース10等に固定されるのである。また、規制部材4の外周にはプーリ8が装着されており、このプーリ8に図示しない回転駆動体と連結されてベルト9が掛けられている。
【0016】
上記構成としたことによって、使用により清掃体2が擦り減る等した場合に、清掃体2を交換する作業は、ドライバーで回転軸3をロータ1から取り外すだけで清掃体2の装着されたロータ1を取り出すことができるので、清掃体2の交換作業は極めて容易に行うことができる。また、回転軸3と、規制部材4と、ロータ1と、清掃体2とに各々分解することができるので、容易に分別廃棄することができる。
【0017】
図2は、本発明に係る回転ロータの第2の実施形態を示す断面図である。尚、上述した第1の実施形態と相違する部分だけを説明し、その他の部分は省略する。この第2の実施形態の回転ロータ12aでは、回転軸33は、締付用頭部33cと、ネジ部33aとから形成されたネジ部材と、中空軸11とで形成されてあり、この中空軸11は、ネジ部33aの締付用頭部33c側の外周に挿入されてある。上記構成とすることによって、中空軸11がベアリング6と接触することとなる。尚、中空軸11の内周と、ネジ部材のネジ図33aとは強固に嵌合して結合されてある。したがって、図1で示した第1の実施形態と同様に、使用により清掃体2が擦り減る等した場合に、清掃体2を交換する作業は、ドライバーで回転軸3をロータ1から取り外すだけで清掃体2の装着されたロータ1を取り出すことができるので、清掃体2の交換作業は極めて容易に行うことができる。また、回転軸33と、中空軸11と、規制部材4と、ロータ1と、清掃体2とに各々分解することができるので、容易に分別廃棄することができる。
【0018】
図3は、本発明に係る回転ロータの第3の実施形態を示す断面図である。尚、上述した第1及び第2の実施形態と相違する部分だけを説明し、その他の部分は省略する。この第3の実施形態の回転ロータ12bでは、回転軸3は、第1の実施形態と同様に、締付用頭部3cと、軸部3bと、ネジ部3aとから構成されてあり、軸部3bの一部と、規制部材4の一部に形成されたネジ部4aとが螺合されてあると共に、ネジ部3aと、ロータ1とが螺合されてある。また、ベアリング6は固定部材5に圧入等により勘合されてある。上記構成とすることによって、規制部材4と回転軸3を螺合にて一体化できると共に、着脱可能に確実に固定されるのである。したがって、図1で示した第1の実施形態、図2で示した第2の実施形態と同様に、使用により清掃体2が擦り減る等した場合に、清掃体2を交換する作業は、ドライバーで回転軸3をロータ1から取り外すだけで清掃体2の装着されたロータ1を取り出すことができるので、清掃体2の交換作業は極めて容易に行うことができる。また、回転軸3と、規制部材4と、ロータ1と、清掃体2とに各々分解することができるので、容易に分別廃棄することができる。
【0019】
図4は、本発明に係る回転ロータを備えた電気掃除機用床吸込具を示す一部分解斜視図である。この図に示す電気掃除機用床吸込具20の下ケース21の前部30の底部31に開口する吸込口22に清掃体2の開放端が臨むようにして軸受41を下ケース21の両側部の軸受支工23にはめ合せて保持していると共に、回転ロータ40の駆動装置は、ベルト14を介して前記回転ロータ40を駆動回転する。下ケース21に設ける仕切24から後部分において下ケース21にかぶせている上ケース25とによって構成する後部26に内蔵している。
【0020】
回転ロータ40をとりつけた下ケース21の部分には、着脱自在に前ケース(図示していない)をかぶせた前部30が構成されてあり、この中で回転ロータ40が回転すると清掃体2の開放端が吸込口22において床面と接触摩擦して床面に付着している塵を離脱し跳上げる。電気掃除機用床吸込具20は、上記下ケース21の仕切24の中央部に吸入開口28を設け、後部26に上ケース25と下ケース21とにはさんでパイプ29をとりつけこれを延長管やフレキシブルホース(ともに図示していない)を経由して掃除機本体(図示していない)へ接続している。掃除機を運転すると電気掃除機用床吸込具20の吸込口22から床面の空気が吸入され、上記吸入開口28、パイプ29を通って掃除機へ吸い込まれる。このとき、清掃体2が回転する事により、床面の塵は跳ね上げられて空気と共に吸入される。
【0021】
図5は、上述した回転ロータを備えた電気掃除機用床吸込具を接続した電気掃除機の全体側面図である。電気掃除機100は、前部に塵埃を捕集する集塵室51と、後部に電動送風機52を内蔵した電動送風機室53をそれぞれ備えた掃除機本体50と、集塵室51に連通するように一端が掃除機本体50に接続されるホース54と、ホース54の他端に設けられたハンドルパイプ55に着脱自在に接続される延長管56とを備え、延長管56の他端に、電気掃除機用床吸込具20が接続される。
【0022】
上記構成により、掃除機本体50を運転し、ハンドルパイプ55を操作して、電気掃除機用床吸込具20をフローリングやじゅうたん上で操作すると、電気掃除機用床吸込具20に内蔵されたモータにより回転ロータが回転し、塵埃が軟質ブレードや起毛布により掻き上げられ、電動送風機52による吸引力で、空気と共に塵埃が、延長管56、ホース54を通って集塵室51に流れ込みそこで塵埃が捕集される。
【0023】
図6は、上述した回転ロータを備えた空気調和機を示す説明図である。空気調和機本体60は、熱交換器61と、室内の空気を取り入れる吸込口62と、前記熱交換器61と吸込口62の間に配され、吸込口62から流入する空気中に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルター63と、エアフィルター63の上流側に配されると共に、エアフィルター63で捕獲された塵埃を除去する回転ロータ12と、回転ロータ12を回転駆動する回転駆動手段(図示せず)と、回転ロータ12をエアフィルター63の上流側の表面に沿って上下方向に移動させる上下移動手段(図示せず)と、吸込口62から室内の空気を吸引し、エアフィルター63、熱交換器61を通して、吹き出し口64から、熱交換された空気を室内に吹き出すファン65とを備えている。
【0024】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な実施形態を採用することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明の回転ロータ、電気掃除機用床吸込具、電気掃除機、及び空気調和機は、各種清掃作業を行うことができる回転ロータを備えた電気掃除機として、或いはエアフィルターの清掃を行うことができる回転ロータを備えた空気調和機として利用される。
【符号の説明】
【0026】
1 ロータ
2 清掃体
3 回転軸
3a、4a ネジ部
3b 軸部
3c 締付用頭部
4 規制部材
5 固定部材
6 ベアリング
7 ワッシャ
8 プーリ
9 ベルト
10 本体ケース
11 中空軸
12、12a、12b 回転ロータ
20 電気掃除機用床吸込具
50 掃除機本体
60 空気調和機本体
100 電気掃除機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機器に回転自在に取着されると共に、外周長手方向に少なくとも1条の支持溝を有するロータと、清掃体と、該清掃体のスラスト方向の抜けを防止する為の規制部材とを備えた回転ロータにおいて、該回転ロータは、少なくとも締付用頭部、軸部、及びネジ部を有する回転軸にて前記規制部材が前記ロータにたいして着脱可能に装着されてあることを特徴とする回転ロータ。
【請求項2】
機器に回転自在に取着されると共に、外周長手方向に少なくとも1条の支持溝を有するロータと、清掃体と、該清掃体のスラスト方向の抜けを防止する為の規制部材を備えた回転ロータにおいて、該回転ロータは、少なくとも締付用頭部、及びネジ部を有するネジ部材にたいして、軸部を構成する中空軸を挿入固定した回転軸にて、前記規制部材が前記ロータにたいして着脱可能に装着されてあることを特徴とする回転ロータ。
【請求項3】
機器に回転自在に取着されると共に、外周長手方向に少なくとも1条の支持溝を有するロータと、清掃体と、該清掃体のスラスト方向の抜けを防止する為の規制部材とを備えた回転ロータにおいて、該回転ロータは、少なくとも締付用頭部、軸部、及びネジ部を有する回転軸にたいして、前記規制部材を螺合すると共に、前記回転軸が前記ロータにたいして着脱可能に装着されてあることを特徴とする回転ロータ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転ロータを回転自在に設けたことを特徴とする電気掃除機用床吸込具。
【請求項5】
電動送風機と、請求項4に記載の電気掃除機用床吸込具とを備え、前記電動送風機と前記電気掃除機用床吸込具とを連通させたことを特徴とする電気掃除機。
【請求項6】
空気を熱交換する熱交換器と、該熱交換器の上流側に配されて流入する空気中に含まれる塵埃を捕集するエアフィルターと、請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転ロータとを備え、該回転ロータにて前記エアフィルターで捕集された塵埃を除去するようにしたことを特徴とする空気調和機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate