説明

回転ロータと、掃除機用床吸込具と電気掃除機

【課題】小型で、掃除性能に優れた回転ロータを提供する。
【解決手段】回転自在のロータ30と、塵埃を掻き上げる清掃体32とからなり、ロータ30は、略放射状に突出すると共に、先端側側部にかつ長手方向に清掃体32の一端が装着される清掃体取着部30aと、同じく略放射状に突出すると共に清掃体32の反回転方向側に位置し、ロータ30が回転した時に清掃体32の反回転方向側を受けるリブ体30bを有するもので、ロータ30が回転した時に、清掃体32の反回転方向側がリブ体30bで受けられてこしが強くなるので、被掃除面の磨き効果及び清掃効果が向上する。又、清掃体取着部30aやリブ体30bが突出して形成されているので、吸引される吸い込み風を効率よく受け、回転ロータ16の回転トルクが大きくなると共に、清掃体取着部30aの回転によって塵埃が巻き上げられるので、掃除性能が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転して被掃除面の塵埃を掻き上げる回転ロータと、その回転ロータを組み込んだ掃除機用床吸込具と、その掃除機用床吸込具と連結される電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の回転ロータについて、図10、図11を用いて説明する。図10は、従来の回転ロータを収納した掃除機用床吸込具の上カバーを外した状態の斜視図、図11(a)は、同回転ロータの側面図である。
【0003】
図10及び11(a)において、従来の回転ロータ1は、外形断面形状が略円形で掃除機用床吸込具2に回転自在に取着されたロータ3と、ロータ3の外周に設けた螺旋状の溝部3aに一端が装着されると共に被掃除面の塵埃を掻き上げるブラシ状清掃体4aやブレード状清掃体4bから構成され、ベルト5を介して掃除機用床吸込具2に内蔵された電動機などの駆動手段6で回転駆動されるようになっている。
【0004】
上記構成により、図示しない電気掃除機を運転し、掃除機用床吸込具2に内蔵された駆動手段6を運転すると、回転ロータ1が回転し、ブラシ状清掃体4aやブレード状清掃体4bで床などの被掃除面上の塵埃が掻き上げられ、その掻き上げられた塵埃は、掃除機用床吸込具2の底面に設けた開口部7より流入し、吸引通路8を経て、図示しない電気掃除機に吸引されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
しかしながら、上記従来の回転ロータ1のブラシ状清掃体4aやブレード状清掃体4bは、単に、ロータ3に放射状に装着されただけなので、こしが弱く、回転ロータ1を回転させたときに、被掃除面を軽くなでるだけで、掃除性能は決してよくなかった。こしの強いブラシ状清掃体4aにするために、剛性の強いブラシ毛或いは、太いブラシ毛でブラシ状清掃体4aを形成することも可能だが、それでは、ブラシ毛の先端で被掃除面に傷をつけるという問題があり有効ではなかった。
【0006】
そこで、上記問題を解決するために、図11(b)に示すように、ロータ3の外周面で、かつ反回転方向側に、すなわち清掃体4の後方に凸部3bを形成し、ロータ3が矢印方向に回転したときに、凸部3bで清掃体4の反回転方向側を受けて、清掃体4のこしを強くするようにしたものが考案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2005−211403号公報
【特許文献2】実願平2−17038号(実開平4−348号)のマイクロフイルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、図11(b)に示すような従来の回転ロータ1の構成では、清掃体4をロータ3に略放射状に植設するようにしているため、清掃体4の植設寸法Pを確保すると共に、ロータ3の強度確保の観点から、ロータ3の中心Cと清掃体4の下端との間Gを所定の距離確保する必要があった。このため、ロータ3の外径寸法を小さくすることができず、掃除機用床吸込具2の薄型化を図るのが困難になるという課題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、簡単な構成で、小型で、掃除性能に優れた回転ロータ、掃除機用床吸込具及び電気掃除機を提供する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の回転ロータは、掃除機用床吸込具に回転自在に取着されるロータと、被掃除面の塵埃を掻き上げる清掃体とからなり、前記ロータは、略放射状に突出すると共に、先端側側部にかつ長手方向に前記清掃体の一端が装着される清掃体取着部と、同じく略放射状に突出すると共に前記清掃体の反回転方向側に位置し、前記ロータが回転した時に前記清掃体の反回転方向側を受けるリブ体を有するもので、ロータが回転した時に、清掃体の反回転方向側がリブ体で受けられるので、清掃体のこしが強くなり、被掃除面の磨き効果及び清掃効果が向上する。
【0010】
また、清掃体取着部やリブ体が突出して形成されているので、掃除機用床吸込具内に吸引される吸い込み風を効率よく受け、回転ロータの回転トルクが大きくなると共に、清掃体取着部の回転によって塵埃が巻き上げられるので、掃除性能が向上する。さらに、清掃体の一端を清掃体取着部の先端側側部に装着するようにしているので、清掃体の装着側端部とロータの中心との距離の確保が容易になるので、その分ロータの外径寸法を小さくすることができ、掃除機用床吸込具の小型化を図ることができる。
【0011】
また、本発明の回転ロータは、掃除機用床吸込具に回転自在に取着されると共に断面略S字状のロータと、前記ロータの端部にかつ長手方向に形成された清掃体取着部に一端が装着されると共に被掃除面の塵埃を掻き上げる清掃体とからなり、前記ロータが回転した時に前記清掃体の反回転方向側を受ける突出部を、前記ロータ断面における前記清掃体取着部と前記ロータの回転中心との間に配したもので、ロータが回転した時に、清掃体の反回転方向側が突出部で受けられるので、清掃体のこしが強くなり、被掃除面の磨き効果及び清掃効果が向上する。
【0012】
また、ロータの断面が略S状に形成されているので、掃除機用床吸込具内に吸引される吸い込み風が効率よく、しかも無駄なくロータで受けられ、回転ロータの回転トルクが大きくなると共に、ロータの回転によって塵埃が巻き上げられるので、掃除性能が向上する。さらに、清掃体の一端を、略S字状のロータの端部に設けた清掃体取着部に装着するようにしているので、清掃体の一端とロータの中心との距離の確保が容易になるので、その分ロータの外径寸法を小さくすることができ、掃除機用床吸込具の小型化を図ることができる。
【0013】
また、本発明の掃除機用床吸込具は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転ロータを備えたもので、こしの強い清掃体と、清掃体取着部、リブ体で巻き起こされる風、さらに清掃体取着部、リブ体に吹き付けられる吸引風による回転トルクの増大で、優れた掃除性能を発揮することができる。
【0014】
本発明の電気掃除機は、電動送風機と、請求項5又は6に記載の掃除機用床吸込具とを備えたもので、こしの強い清掃体と、清掃体取着部、リブ体で巻き起こされる風、さらに清掃体取着部、リブ体に吹き付けられる吸引風による回転トルクの増大で、優れた掃除性能を発揮することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の回転ロータ、掃除機用床吸込具及び電気掃除機は、簡単な構成で、小型で、掃除性能に優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
第1の発明は、掃除機用床吸込具に回転自在に取着されるロータと、被掃除面の塵埃を掻き上げる清掃体とからなり、前記ロータは、略放射状に突出すると共に、先端側側部にかつ長手方向に前記清掃体の一端が装着される清掃体取着部と、同じく略放射状に突出すると共に前記清掃体の反回転方向側に位置し、前記ロータが回転した時に前記清掃体の反回転方向側を受けるリブ体を有するもので、ロータが回転した時に、清掃体の反回転方向側がリブ体で受けられるので、清掃体のこしが強くなり、被掃除面の磨き効果及び清掃効果が向上する。
【0017】
また、清掃体取着部やリブ体が突出して形成されているので、掃除機用床吸込具内に吸引される吸い込み風を効率よく受け、回転ロータの回転トルクが大きくなると共に、清掃体取着部の回転によって塵埃が巻き上げられるので、掃除性能が向上する。さらに、清掃体の一端を清掃体取着部の先端側側部に装着するようにしているので、清掃体の装着側端部とロータの中心との距離の確保が容易になるので、その分ロータの外径寸法を小さくすることができ、掃除機用床吸込具の小型化を図ることができる。
【0018】
第2の発明は、特に、第1の発明の清掃体取着部又は/及びリブ体の断面を、風を受ける側が窪むように湾曲形状としたもので、清掃体取着部やリブ体で、吸い込み風をより効率よく受けるようになり、ロータの回転トルクがより大きくなり、掃除性能が大幅に向上する。
【0019】
第3の発明は、掃除機用床吸込具に回転自在に取着されると共に断面略S字状のロータと、前記ロータの端部にかつ長手方向に形成された清掃体取着部に一端が装着されると共に被掃除面の塵埃を掻き上げる清掃体とからなり、前記ロータが回転した時に前記清掃体の反回転方向側を受ける突出部を、前記ロータ断面における前記清掃体取着部と前記ロータの回転中心との間に配したもので、ロータが回転した時に、清掃体の反回転方向側が突出部で受けられるので、清掃体のこしが強くなり、被掃除面の磨き効果及び清掃効果が向上する。
【0020】
また、ロータの断面が略S状に形成されているので、掃除機用床吸込具内に吸引される吸い込み風が効率よく、しかも無駄なくロータで受けられ、回転ロータの回転トルクが大きくなると共に、ロータの回転によって塵埃が巻き上げられるので、掃除性能が向上する。さらに、清掃体の一端を、略S字状のロータの端部に設けた清掃体取着部に装着するようにしているので、清掃体の一端とロータの中心との距離の確保が容易になるので、その分ロータの外径寸法を小さくすることができ、掃除機用床吸込具の小型化を図ることができる。
【0021】
第4の発明は、請求項1〜3のいずれか一つの発明のロータを金属材料で形成したもので、ロータに、清掃体取着部やリブ体が突出されて形成されても、十分な強度が確保され、回転ロータが掃除機用床吸込具に組み込まれて高速で回転しても、何ら支障なく、使用できる。
【0022】
第5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転ロータを備えた掃除機用床吸込具としたもので、こしの強い清掃体と、清掃体取着部、リブ体で巻き起こされる風、さらに清掃体取着部、リブ体に吹き付けられる吸引風による回転トルクの増大で、優れた掃除性能を発揮することができる。
【0023】
第6の発明は、特に、第5の発明の回転ロータを回転駆動する駆動手段を備えたもので、絨毯面や多少の凹凸がある被掃除面であっても、回転ロータの回転が著しく低下することなく確実に、掃除を行うことができる。
【0024】
第7の発明は、電動送風機と、請求項5又は6に記載の掃除機用床吸込具とを備えた電気掃除機としたもので、こしの強い清掃体と、清掃体取着部、リブ体で巻き起こされる風、さらに清掃体取着部、リブ体に吹き付けられる吸引風による回転トルクの増大で、優れた掃除性能を発揮することができる。
【0025】
以下、本発明の実施例を、図面を参照しながら説明する。なお、下記実施例で本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0026】
以下に、本発明の第1の実施例における回転ロータについて、図1〜5を用いて説明する。
図1は、本実施例における回転ロータを組み込んだ掃除機用床吸込具の一部破断斜視図である。
【0027】
図1において、10は、図示しない電気掃除機に連通接続される掃除機用床吸込具(以下「床吸込具10」という)で、その外郭11は、上ケース12と、下面に吸い込み口13を有する下ケース14からなり、外周に、掃除の際に家具などへの傷付を防止するためのバンパー15が設けられ、前部に、本実施例における回転ロータ16を回転自在に収納すると共に吸い込み口13と連通する回転ロータ室17が配されている。又、床吸込具10の後部には、延長管(図示せず)などを介して、電気掃除機(図示せず)に連通接続される接続管18が傾動自在に取着されている。
【0028】
20は、下ケース14の底面の前部、後部にそれぞれ一対ずつ設けられた走行用ローラーで、床吸込具10を、木床などの被掃除面に置いたとき、その被掃除面と下ケース14の底面との間に所定の隙間を確保して、電気掃除機による吸引力で、床吸込具10の底部が被掃除面に密着して操作性が悪くなることの無いようにするものである。
【0029】
21は、床吸込具10の略中央でかつ回転ロータ16の後方に位置し、回転ロータ室17と接続管18とを連通する吸引口である。22は、ベルト23を介して回転ロータ16を回転駆動する駆動手段となる電動機である。
【0030】
次に、本実施例における回転ロータ16の詳細な構成について、図2〜4を用いて説明する。図2は、回転ロータ16の斜視図、図3は、回転ロータ16の清掃体の斜視図、図4は、回転ロータ16の側面図である。
【0031】
図2〜4において、回転ロータ16は、アルミニウムなどの金属材料からなり螺旋状に捩られたロータ30と、ロータ30に着脱自在に装着されると共に被掃除面の塵埃を掻き上げる清掃体32と、ロータ30の一端に圧入されると共にベルト23の一端が張架されるプーリー付軸受けホルダー33と、ロータ30の他端に圧入される軸受けホルダー34から構成されている。35は、プーリー付軸受けホルダー33及び軸受けホルダー34のそれぞれを回転自在に支持すると共に、吸込具10の内壁50で保持される軸受けである。
【0032】
清掃体32は、図3に示すように、複数の繊維などからなるブラシ部32aと、ブラシ部32aの下端が植設又は固定された基部32bから構成されている。尚、ブラシ部32aは、複数の繊維などに限らず、軟質材からなるブレード状のもので形成しても良い。
【0033】
ロータ30は、略放射状に突出すると共に、先端側側部の長手方向に清掃体32の基部32bが着脱自在に装着される溝部31を有する一対の清掃体取着部30aと、同じく略放射状に突出すると共に一対の清掃体取着部30a間に位置し、ロータ30が矢印方向に回転した時に前記清掃体32の反回転方向側を先端で受ける一対のリブ体30bから構成されている。
【0034】
本実施例では、図4に示すように、ロータ30の清掃体取着部30aの先端側側部に設けた溝部31に清掃体32の基部32bを装着することにより、清掃体32の長手方向中心線L1と清掃体取着部30aの長手方向中心線L2とが直交するようになっている。
【0035】
次に、ロータ30の製造、加工方法についていくつか述べる。
第1の方法は、捩り押出し金型にて、ロータ30の材料を捩りながら押出すもので、1工程で目的の捩り角度に仕上げることができる。ただ、反り、うねりが生じやすく精度が確保しにくく、また、捩り角度が大きくなるほどこの傾向が顕著になるという難点があり、捩り角度は、360度程度が限界で、それ以上は実用上製品にならない。
【0036】
第2の方法は、ロータ30の材料を金型で捩りながら押出して、一旦目的の捩り角度より小さな角度のロータ30を作り、このロータ30を後加工にて、目的の捩り角度まで捩って仕上げるもので、後加工が最小限に抑えられるので、断面形状の歪も少なく、精度のよいロータ30を製造することができる。唯一の欠点は、工程が2段階になることである。
【0037】
第3の方法は、ロータ30の材料をまっすぐに押出して、後加工で、目的の捩り角度まで捩って仕上げるもので、1工程(直線押出し)による製品素材の精度が非常に高く、これを元に後加工で捩るため、捩りによる歪が小さく精度のよいロータ30を製造することができる。また、後捩り加工により、同一金型でも自由にロータ30の捩り角度を設定することができる。欠点としては、中空素材や、大径の素材は捩り加工による断面変形が生じやすく、あまり大きな捩り角度には向かない。
【0038】
第4の方法は、同一ライン上に捩り方向に回転する可動盤等の設備を設けて、金型で、ロータ30の材料を押出しながら、同時に捩り加工も行い、目的の捩り角度に仕上げる製法で、捩り工程を別に設ける必要が無く、また、可動盤の回転速度で自由に捩り角度が設定できるというメリットがあるが、設備が複雑になるという欠点がある。
【0039】
したがって、ロータ30の製造にあたっては、ロータ30の断面形状、材質、厚み、強度、捩り角度、必要な精度等を勘案し、製造方法、加工方法を適宜決定するようにすると良い。また、押出し加工によるロータ30の代表的な製造方法を上記したが、本発明のロータ30は特に、清掃体取着部30aとリブ体30bが放射状に突出して形成されているため、押出しバランスも崩れ易く、押出し時にうねりを生じる場合がある。よって、製品の直進度を確保するために、押出し後に延伸加工を施してもよいものである。
【0040】
次に、上記構成による回転ロータ30と、それを組み込んだ床吸込具10の、動作、作用について、図5を用いて説明する。
【0041】
図5において、図示しない電気掃除機並びに床吸込具10の電動機22の運転を開始すると、回転ロータ16が、実線矢印方向に回転する。そして、清掃体32の先端が被掃除面に接するときに、その清掃体32の反回転方向側が、その清掃体32の反回転方向側に位置するリブ体30bの先端で受けられるので、清掃体32のこしが強化され、被掃除面上の塵埃を効率よく掻き上げることができる。掻き上げられた塵埃は、電気掃除機によって作用する吸引力により、床吸込具10の底部に設けた吸い込み口13から流入し、吸引口21、接続管18を経て、電気掃除機に吸引される。
【0042】
以上のように本実施例によれば、清掃体32のこしがリブ体30bにより強化されるので、清掃体32を径の細い繊維からなるブラシを用いても、塵埃の掻き上げ性能が劣化することがなく、被掃除面の磨き性能を向上させることができる。
【0043】
また、清掃体取着部30aやリブ体30bがロータ30の表面より突出して形成されているので、掃除機用床吸込具10内に破線矢印のように吸引される吸い込み風を効率よく受け、回転ロータ16の回転トルクが大きくなるので、その分電動機22を小型化することができ、さらに清掃体取着部30aやリブ体30bの回転によって、団扇で風を扇ぐような作用が働き、清掃体32で掻き出された塵埃が、効率よく巻き上げられることになり、電気掃除機の吸引力が多少低下しても、十分な掃除性能を発揮することができるものである。
【0044】
さらに、清掃体32の基部32bが清掃体取着部30aの先端側側部に装着されているので、すなわち、清掃体32の長手方向の中心線L1と、清掃体取着部30aの長手方向の中心線L2が略直交することにより、清掃体32の装着側端部とロータ30の中心との距離G1の確保が容易になるので、その分ロータ30の外径寸法を小さくしても、回転ロータ16としての必要な強度を確保できるので、掃除機用床吸込具10の小型化を図ることができる。
【0045】
また、ロータ30を金属材料で形成することにより、ロータ30に、清掃体取着部30aやリブ体30bが突出されて形成されても、十分な強度が確保され、回転ロータ16が掃除機用床吸込具10に組み込まれて高速で回転しても、何ら支障なく、使用できる。
【0046】
また、回転ロータ16を回転駆動する駆動手段として、電動機22を用いることにより絨毯面や多少の凹凸がある被掃除面であっても、回転ロータ16の回転が著しく低下することなく確実に、掃除を行うことができる。
【0047】
なお、図6に示すように、清掃体取着部30aとリブ体30bの断面を、吸い込み風を受ける側が窪むように湾曲させると、吸い込み風をより効率よく受けるようになり、ロータ30の回転トルクがより大きくなり、掃除性能を大幅に向上させることが出来る。なお、断面を湾曲させるのは、清掃体取着部30aとリブ体30bのいずれか一方でも良い。
【0048】
また、上記実施例では、回転ロータ16を駆動する駆動手段として、電動機22を用いたが、電動機22を用いる代わりに、回転ロータ16を吸引風で回転させるようにしても良い。具体的には、特に図示しないが、床吸込具10の外郭11の一部に、外部と回転ロータ室17とを連通する孔を設け、その孔から流入する高速の空気を、ロータ30の一部に設けた羽根車(図示せず)あるいは、清掃体取着部30aとリブ体30bに直接当てて、回転トルクを発生させて、回転ロータ16を回転させるようにしても良い。
【0049】
なお、上記実施例では、ロータ30に、一対の清掃体取着部30aと一対のリブ体30bを交互に設けたが、図7に示すように、清掃体取着部30aとリブ体30bのそれぞれ2対を交互に設けるようにすれば、吸引風による回転トルクがより強くなると共に、回転ロータ16の回転がよりスムーズになり、清掃性能をより向上させることができる。
【実施例2】
【0050】
図8は、本発明の第2の実施例における回転ロータの断面図である。尚、上記第1の実施例と同一部分について、同一符号を付してその説明を省略する。
【0051】
図8において、本実施例における回転ロータ38は、アルミニウムなどの金属材料からなり螺旋状に捩られると共に断面略S字状のロータ38aと、前記ロータ38aの端部にかつ長手方向に形成された清掃体取着部38bと、清掃体取着部38bに一端が装着されると共に被掃除面の塵埃を掻き上げる清掃体32とから構成され、前記ロータ38aが回転した時に前記清掃体32の反回転方向側を受ける突出部38cを、前記清掃体取着部38bと前記ロータ38aの回転中心Cとの間に配したもので、他の構成は、上記第1の実施例と同一である。
【0052】
以上のように本実施例における回転ロータ38によれば、回転ロータ38が矢印方向に回転すると、清掃体32の反回転方向側が2点鎖線で示されたように突出部38cで受けられるので、清掃体32のこしが強くなり、被掃除面の磨き効果及び清掃効果が向上する。
【0053】
また、ロータ38aの断面が略S状に形成されているので、掃除機用床吸込具10内に吸引される吸い込み風が効率よく、しかも無駄なくロータ38aで受けられ、回転ロータ38の回転トルクが大きくなると共に、ロータ38aの回転によって塵埃が巻き上げられるので、掃除性能が向上する。
【0054】
さらに、清掃体32の一端である基部32bを、略S字状のロータ38aの端部に設けた清掃体取着部38bに装着するようにしているので、清掃体32の基部32bとロータ38aの回転中心Cとの距離の確保が容易になるので、その分ロータ38aの外径寸法を小さくすることができ、掃除機用床吸込具10の小型化を図ることができる。
【0055】
また、特に図示しないが、清掃体32の毛足が非常に長い場合は、回転ロータ38が図8に示した矢印と逆方向に回転しても、清掃体32の反回転方向側を突出部38cで受けることができるので、清掃体32のこしが強くなり、被掃除面の磨き効果及び清掃効果が向上する。
【実施例3】
【0056】
図9は、本発明の第3の実施例における電気掃除機の全体構成を示す図である。尚、上記第1の実施例と同一部分について、同一符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図9において、本実施例における電気掃除機40は、前部に塵埃を捕集する集塵室41と、後部に電動送風機42を内蔵した電動送風機室43をそれぞれ備えた掃除機本体44と、前記集塵室41に連通するように一端が掃除機本体44に接続されるホース45と、ホース45の他端に設けられたハンドルパイプ46に一端が着脱自在に接続される延長管47とを備え、前記延長管47の他端に、上記第1の実施例における床吸込具10が接続される。ハンドルパイプ46には、掃除機本体44の運転を操作する本体スイッチ46aと、床吸込具10に内蔵された電動機22の運転を操作する吸込具スイッチ46bが設けられている。
【0058】
上記のように構成された電気掃除機の動作、作用は、以下の通りである。
掃除機本体44内に収納された電源コード(図示せず)を引き出し、そのプラグ(図示せず)を室内のコンセント(図示せず)に差し込んで、ハンドルパイプ46に設けた本体スイッチ46a、吸込具スイッチ46bを操作すると、電動送風機42及び床吸込具10内の電動機22の運転が開始し、それに伴い、吸込具10の底部に設けた吸い込み口13から、清掃体32で掻き上げられた被掃除面上の塵埃が、外気と共に吸引され、延長管47、ハンドルパイプ46、ホース45を経て集塵室41に至り、そこで吸引風に含まれた塵埃が捕集され、きれいになった空気は、掃除機本体44の後部に設けた排気口(図示せず)から排気される。
【0059】
本実施例によれば、床吸込具10に組み込まれた回転ロータ16の清掃体32のこしがリブ体30により強化されるので、清掃体32を径の細い繊維からなるブラシを用いても、塵埃の掻き上げ性能に優れ、また、細い繊維のブラシを用いることで、磨き効果も向上する。
【0060】
また、清掃体取着部30aやリブ体30bがロータ30の表面より突出して形成されているので、掃除機用床吸込具10内に吸引される吸い込み風を効率よく受け、回転ロータ16の回転トルクが大きくなるので、その分電動機22を小型化することができ、さらに清掃体取着部30aやリブ体30bの回転によって、団扇で風を扇ぐような作用が働き、それにより清掃体32で掻き出された塵埃が、効率よく巻き上げられることになり、電動送風機42の吸引力が多少低下しても、十分な掃除性能を発揮することができるものである。
【0061】
さらに、清掃体32の基部32bが清掃体取着部30aの先端側側部に装着されているので、清掃体32の装着側端部とロータ30の中心との距離G1の確保が容易になるので、その分ロータ30の外径寸法を小さくしても、回転ロータ16としての必要な強度を確保できるので、掃除機用床吸込具10をより小型化することが出来、使用勝手の良い電気掃除機を提供することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上のように、本発明にかかる回転ロータ、掃除機用床吸込具及び電気掃除機は、小型で、掃除性能に優れ、使用勝手が良いもので、各種電気掃除機に使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の第1の実施例における回転ロータを組み込んだ掃除機用床吸込具の一部破断斜視図
【図2】同回転ロータの斜視図
【図3】同回転ロータの清掃体の斜視図
【図4】同回転ロータの側面図
【図5】同掃除機用床吸込具の断面図
【図6】他の例を示す掃除機用床吸込具の断面図
【図7】他の例を示す回転ロータの側面図
【図8】本発明の第2の実施例における回転ロータの断面図
【図9】本発明の第3の実施例に電気掃除機の全体構成を示す図
【図10】従来の回転ロータを収納した掃除機用床吸込具の上カバーを外した状態の斜視図
【図11】(a)同回転ロータの側面図、(b)従来の回転ロータの他の例を示す断面図
【符号の説明】
【0064】
10 掃除機用床吸込具(床吸込具)
13 吸い込み口
16、38 回転ロータ
22 駆動手段
30 ロータ
30a 清掃体取着部
30b リブ体
32 清掃体
32a ブラシ部
32b 基部
40 電気掃除機
41 集塵室
42 電動送風機
44 掃除機本体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機用床吸込具に回転自在に取着されるロータと、被掃除面の塵埃を掻き上げる清掃体とからなり、前記ロータは、略放射状に突出すると共に、先端側側部にかつ長手方向に前記清掃体の一端が装着される清掃体取着部と、同じく略放射状に突出すると共に前記清掃体の反回転方向側に位置し、前記ロータが回転した時に前記清掃体の反回転方向側を受けるリブ体を有することを特徴とする回転ロータ。
【請求項2】
清掃体取着部又は/及びリブ体の断面を、風を受ける側が窪むように湾曲形状とした請求項1に記載の回転ロータ。
【請求項3】
掃除機用床吸込具に回転自在に取着されると共に断面略S字状のロータと、前記ロータの端部にかつ長手方向に形成された清掃体取着部に一端が装着されると共に被掃除面の塵埃を掻き上げる清掃体とからなり、前記ロータが回転した時に前記清掃体の反回転方向側を受ける突出部を、前記ロータ断面における前記清掃体取着部と前記ロータの回転中心との間に配したことを特徴とする回転ロータ。
【請求項4】
ロータを金属材料で形成した請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転ロータ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転ロータを備えた掃除機用床吸込具。
【請求項6】
回転ロータを回転駆動する駆動手段を備えた請求項5に記載の掃除機用床吸込具。
【請求項7】
電動送風機と、請求項5又は6に記載の掃除機用床吸込具とを備えた電気掃除機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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