説明

回転ロータ及び電気掃除機用吸込具

【課題】溝への挿入作業が不要となり、安価に生産でき、清掃体が取り付けられるロータとの間に塵埃等が入り込むことを防止する構造とすることによってカビや悪臭の発生を防ぎ、且つ清掃効果にも優れた回転ロータ及び電気掃除機用吸込具を提供する。
【解決手段】回転ロータ30は、合成樹脂で形成された略円筒状のロータ10と、塵埃を除去する清掃体7、8と、ロータ10の両端に取り付けられる回転駆動用のブラケット9a、9bとを備えている。ロータ10と清掃体7、8とは、一端から他端に亘って螺旋状に形成されてあると共に、押出成形にて一体的に形成されてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種清掃装置に組み込まれ、回転しながら塵埃を除去する回転ロータと、これを用いた電気掃除機用吸込具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電気掃除機用吸込具の回転ロータは、ロータ及び清掃体からなり、ロータ及び清掃体は熱可塑性樹脂あるいはゴム弾性体から形成され、清掃体は外周部に清掃片を有すると共に、清掃体がロータの外周部に形成されるように、ロータにたいして清掃体を2層成形したものが知られている(特許文献1)。
【0003】
また、別の回転ロータは、心材となるシャフトの周りに装着されるとともにブレードを有し且つ軟質の樹脂製のパイプと、ブラシを植毛したブラシ台を装着するための溝を有し且つシャフトの軸方向に沿って延びる硬質の樹脂製の保持部とを押出成形によって一体成形し、この一体成形したパイプの孔にシャフトを貫装させ、保持部の溝にブラシ台を装着させ、この後、そのパイプの端部をシャフトに対して周方向に捻ってその端部をシャフトに固定したものが知られている(特許文献2)。
【0004】
また、別の回転ロータは、中空の円筒形状であって、周方向の均等位置で径方向外方へ膨出したブレード保持部が設けられており、このブレード保持部は、ロータ体の軸方向に沿って90度〜180度の範囲で螺旋状に捩られており、その長手方向に沿って断面逆T字状を呈するブレード嵌着用の螺旋溝が形成されたものが知られている(特許文献3)。
【0005】
さらに、別の回転ロータは、軸線方向に沿った複数の溝を有する回転軸部と、各溝にそれぞれ挿入保持される複数のブレードとを有しているものであって、複数のブレードのうち少なくとも1つは、溝から所定の高さだけ突出し且つ溝に沿って延びた布地の清掃部材と、溝に沿って延びるとともに清掃部材を取り付けて溝に挿入保持される樹脂製の台座とで形成し、台座を清掃部材とともに一体成形して清掃部材を台座72に貫通させた状態に取り付けているものが知られている(特許文献4)。
【0006】
【特許文献1】特開2003−494号公報
【特許文献2】特開2003−290093号公報
【特許文献3】特開2000−107093号公報
【特許文献4】特開平9−47404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の特許文献1に記載された回転ロータでは、ロータのみならず、清掃体をも熱可塑性樹脂あるいはゴム弾性体から形成されているので、絨毯上面にからみついた塵埃の除去には最適だった。しかしながら、床面、畳面の拭き掃き効果は無く、掃除面への叩き音が高く、音がうるさかった。
また、特許文献2〜4に記載された回転ロータでは、ロータを成形した後に、このロータに形成された溝に清掃部材を挿入する構造となっていることから、清掃部材を組み立てる作業工程が必要となり、高価なものになっていた。さらに、ロータの溝と清掃部材との間に隙間ができ、この隙間に床面から塵埃が入り込み、その除去が困難となっていた。また、これを放置すると、湿気を含んだ塵埃の場合には、カビが生えて悪臭の発生源となっていた。
【0008】
本発明は上記点に鑑み、清掃体が起毛ブラシの場合は、掃除範囲が絨毯に限らず、床面のフローリングの拭き掃き、畳面の拭き掃きが好適にでき、被清掃面に当接する時の叩き音を極めて低くすることができることで静音化でき、溝への挿入作業が不要となり、安価に生産でき、清掃体が取り付けられるロータとの間に塵埃等が入り込むことを防止する構造とすることによってカビや悪臭の発生を防ぎ、且つ清掃効果にも優れた回転ロータ及び電気掃除機用吸込具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、合成樹脂で形成された略円筒状のロータと、塵埃を除去する清掃体と、前記ロータの両端に取り付けられる回転駆動用のブラケットとを備え、各種清掃装置に組込まれる回転ロータにおいて、前記ロータと前記清掃体とは、一端から他端に亘って螺旋状に形成されてあると共に、押出成形にて一体的に形成されてあることに特徴を有する。したがって、清掃体が起毛ブラシの場合は、掃除範囲が絨毯に限らず、床面のフローリングの拭き掃き、畳面の拭き掃きが好適にできる。また、被清掃面に当接する時の叩き音を極めて低くすることができ、静音化できる。さらに、溝への挿入作業が不要となり、安価に生産できる。また、ロータと清掃体との間に床面からの塵埃が入り込む隙間がないので、カビや悪臭の発生を防ぐことができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、清掃体は、複数種類を有し、少なくとも一つ以上の前記清掃体は、長尺な基部と、該基部上にパイル状の繊維等からなるブラシ部とを備えた起毛ブラシにて形成されてあることに特徴を有する。したがって、起毛ブラシの長尺な基部と、ロータとが一体的に形成されることによって、清掃体が起毛ブラシの場合は、掃除範囲が絨毯に限らず、床面のフローリングの拭き掃き、畳面の拭き掃きが好適にできる。また、被清掃面に当接する時の叩き音を極めて低くすることができ、静音化できる。さらに、溝への挿入作業が不要となり、安価に生産できる。また、床面からの塵埃が入り込む隙間がないので、カビや悪臭の発生を防ぐことができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、清掃体は、長尺な基部と、該基部上にパイル状の繊維等からなるブラシ部とを備えた起毛ブラシにて形成されてあることに特徴を有する。したがって、起毛ブラシの長尺な基部と、ロータとが一体的に形成されることによって、清掃体が起毛ブラシの場合は、掃除範囲が絨毯に限らず、床面のフローリングの拭き掃き、畳面の拭き掃きが好適にできる。また、被清掃面に当接する時の叩き音を極めて低くすることができ、静音化できる。さらに、溝への挿入作業が不要となり、安価に生産できる。また、床面からの塵埃が入り込む隙間がないので、カビや悪臭の発生を防ぐことができる。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、清掃体は、長尺な基部と、該基部上にパイル状の繊維等からなるブラシ部とを備えた起毛ブラシにて形成されてあり、前記起毛ブラシの根元部が前記基部の縁部により狭持されていると共に、前記基部の縁部がロータの外表面にたいして所定長さ突出して形成されてあることに特徴を有する。したがって、起毛ブラシの基部が布地で形成された基布で構成されている場合には、押出成形時にロータを構成する溶融された樹脂が基部の細かな空隙部に入り込み、確実に固定される。また、起毛ブラシの基部が樹脂、合成ゴム等で形成されている場合には、押出成形時にロータを構成する溶融された樹脂が、基部の一部にたいして溶け込み、確実に固定される。また、樹脂等の基部の外表面に凹凸を形成した場合には、押出成形時にロータを構成する溶融された樹脂が凹凸面に入り込み、確実に固定される。また、清掃体が床面等を回転しながら清掃する際に生じる衝撃力によってロータと起毛ブラシの基部とが分解することを防止できる。また、ロータと起毛ブラシの基部とが異材質であっても確実に溶融結合することができる。また、起毛ブラシの基部を布地で形成された基布で構成すれば、柔軟性に優れているので押出成形時の螺旋形状の形成が容易にできる。さらに、起毛ブラシの根元部が基部の縁部によって挟持されているので、押出成形時にロータの一部が起毛ブラシの根元部に入り込み、起毛ブラシのブラシ部を硬化させて、屈曲性を阻害させることを防ぐことができる。また、基部の縁部がロータの外表面にたいして所定長さ突出して形成されてある為、突出した縁部にたいして押出成形時の金型を位置決めする事により、起毛ブラシをロータに確実に位置決めできる。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、清掃体は、長尺な基部と、該基部上にパイル状の繊維等からなるブラシ部とを備えた起毛ブラシにて形成されてあり、前記起毛ブラシの根元部の側部近傍に基部の縁部が露出された溝部が形成されてあることに特徴を有する。したがって、溝部に押出成形金型が入り込むことによって、起毛ブラシの基部を押さえ込むと共に、パイル状の繊維等からなるブラシ部に樹脂が流れ込まないよう防止している。さらに、溝部の両側のロータが位置決めとなり、ロータと清掃体との位置がずれることなく、精度のよい回転ロータを大量生産することができる。
【0014】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれかの発明において、ロータの外周面に、押出成形時に前記ロータを位置決めする為のロータつかみ部が形成されてあることに特徴を有する。したがって、ロータと清掃体との一体化の段階で、ロータにたいする清掃体の位置がずれることなく、精度のよい回転ロータを大量生産することができる。
【0015】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれかの回転ロータを備えた電気掃除機用吸込具に特徴を有する。したがって、清掃体が起毛ブラシの場合は、掃除範囲が絨毯に限らず、床面のフローリングの拭き掃き、畳面の拭き掃きが好適にでき、被清掃面に当接する時の叩き音を極めて低くすることができ、静音化でき、溝への挿入作業が不要となり、安価に生産でき、ロータと清掃体との間に床面からの塵埃が入り込む隙間がないので、カビや悪臭の発生を防ぐことができると共に、量産性に優れた回転ロータを備えた電気掃除機用吸込具を提供できる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1〜3の発明では、清掃体が起毛ブラシの場合は、掃除範囲が絨毯に限らず、床面のフローリングの拭き掃き、畳面の拭き掃きが好適にできる。また、被清掃面に当接する時の叩き音を極めて低くすることができ、静音化できる。さらに、溝への挿入作業が不要となり、安価に生産できる。また、ロータと清掃体との間に床面からの塵埃が入り込む隙間がないので、カビや悪臭の発生を防ぐことができる。また、請求項4の発明では、清掃体が床面等を回転しながら清掃する際に生じる衝撃力によってロータと起毛ブラシの基部とが分解することを防止できる。また、ロータと起毛ブラシの基部とが異材質であっても確実に溶融結合することができる。また、請求項5及び6の発明では、ロータと清掃体との位置がずれることなく、精度のよい回転ロータを大量生産することができる。さらに、請求項7の発明では、清掃体が起毛ブラシの場合は、掃除範囲が絨毯に限らず、床面のフローリングの拭き掃き、畳面の拭き掃きが好適にでき、被清掃面に当接する時の叩き音を極めて低くすることができることで静音化でき、溝への挿入作業が不要となり、安価に生産でき、ロータと清掃体との間に床面からの塵埃が入り込む隙間がないので、カビや悪臭の発生を防ぐことができると共に、量産性に優れた回転ロータを備えた電気掃除機用吸込具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1(a)は、本発明に係る回転ロータ30の斜視図であり、図1(b)は同回転ロータ30の断面図である。回転ロータ30は、合成樹脂で形成された略円筒状のロータ10と、塵埃を除去する清掃体7、8と、ロータ10の両端に取り付けられる回転駆動用のブラケット9a、9bとを備えている。ロータ10と清掃体7、8とは、一端から他端に亘って螺旋状に形成されてあると共に、押出成形にて一体的に形成されてある。清掃体7は、起毛ブラシであるため、掃除範囲が絨毯に限らず、床面のフローリングの拭き掃き、畳面の拭き掃きが好適にできる。また、被清掃面に当接する時の叩き音を極めて低くすることができ、静音化できる。さらに、溝への挿入作業が不要となり、安価に生産できる。また、ロータ10と清掃体7、8との間に床面からの塵埃が入り込む隙間がないので、カビや悪臭の発生を防ぐことができる。尚、螺旋の角度については、生産上は一定角度が望ましいが、押出スピードと、後述する捩り矯正冶具の回転速度を変化させることにより、自由に角度設定を行うことができるようになっている。
【0018】
尚、ブラケット9a、9bは、ロータ10に嵌合するキャップ部93、94と、図示しない軸受けに軸支される回転軸91、95とを備えている。また、一方のブラケット9bは、図示しない回転駆動装置と連結するベルトが取り付けられるためのギア96が形成されている。
【0019】
図2は、本発明に係る回転ロータの第1実施形態を示す断面図である。回転ロータ30の清掃体7と、清掃体8とは種類が異なるものである。また、少なくとも一つ以上の清掃体7は、長尺な基部7aと、この基部7a上にパイル状の繊維等からなるブラシ部7bとを備えた起毛ブラシ70にて形成されてある。清掃体7は、基部7aが布地で形成された基布の形態及び樹脂、合成ゴム等の形態を採用できる。起毛ブラシ70の基部7aが布地で形成された基布で構成されている場合には、押出成形時にロータ10を構成する溶融された樹脂が基部の細かな空隙部に入り込み、確実に固定される。また、起毛ブラシ70の基部7aが樹脂、合成ゴム等で形成されている場合には、押出成形時にロータ10を構成する溶融された樹脂が、基部の一部にたいして溶け込み、確実に固定される。また、樹脂等の基部7aの外表面に凹凸を形成した場合には、押出成形時にロータ10を構成する溶融された樹脂が凹凸面に入り込み、確実に固定される。また、清掃体8は合成樹脂、ゴム、エラストマー等から形成されてある。したがって、起毛ブラシ70の長尺な基部7aと、ロータ10とが一体的に形成されることによって、床面からの塵埃が入り込む隙間がないので、カビや悪臭の発生を防ぐことができる。また、ロータ10の外周面に、押出成形時にロータ10を位置決めする為のロータつかみ部10aが形成されてある。したがって、ロータ10と清掃体7、8との一体化の段階で、位置がずれることなく、精度のよい回転ロータ30を大量生産することができる。
【0020】
上記の実施例において、ロータ10の素材には、熱可塑性樹脂が使用されてあるが、タルク、マイカ、ガラス繊維、カーボン繊維、チタン酸カリウム、金属繊維、炭酸カルシウム、クレー、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ウオラスナイト等の内、少なくとも1種類以上の添加剤を含有した熱可塑性合成樹脂を使用する事もできる。使用する熱可塑性合成樹脂の剛性については、目的に応じて適時、設定すれば良いが、曲げ弾性率が30kg/cm以上のものを使用すれば、回転時の心振れ等にたいして、より高い剛性を有するロータを製作できる。また、熱可塑性合成樹脂80重量%に対してタルクを20重量%添加すると非常に高い剛性を得られることが実験で確認されている。したがって、タルクを10重量%〜30重量%の範囲で添加すれば、ロータに高い剛性を付与することができる。
【0021】
なお、熱可塑性合成樹脂としては、ABS樹脂、AS樹脂、AAS樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体などのアクリル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂などのオレフィン系樹脂、6−ナイロン樹脂、66−ナイロン樹脂、46−ナイロン樹脂などのポリアミド系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂、ポリエチレテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂などがあるが、好ましくは、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂などの非結晶性樹脂が、押し出し成形性と剛性面よりバランスがとれており好ましい。
【0022】
図3は、本発明の回転ロータに係る清掃体7を起毛ブラシ70で構成した場合の斜視図である。起毛ブラシ70は、長尺な基部7aと、この基部7a上にパイル状の繊維等からなるブラシ部7bが植毛されたものである。基部7aは、布地で形成された基布の形態、或いは樹脂、合成ゴム等で形成された形態を採用できる。起毛ブラシ70の基部7aが布地で形成された基布で構成されている場合には、押出成形時にロータ10を構成する溶融された樹脂が基部7aの細かな空隙部に入り込み、確実に固定される。また、起毛ブラシ70の基部7aが樹脂、合成ゴム等で形成されている場合には、押出成形時にロータ10を構成する溶融された樹脂が、基部の一部にたいして溶け込み、確実に固定される。また、樹脂等の基部7aの外表面に凹凸を形成した場合には、押出成形時にロータ10を構成する溶融された樹脂が凹凸面に入り込み、確実に固定される。また、基部7aと、図2で示したロータ10とを同材質にした場合には、押出成形で確実に一体化することができる。
【0023】
図4は、本発明に係る回転ロータの第2実施形態を示す断面図である。回転ロータ31は、清掃体7を構成する起毛ブラシ700の根元部の側部近傍に基部7aが露出された縁部7cが形成されてある。また、ロータ11の外周面に、押出成形時にロータ11を位置決めする為のロータつかみ部10bが形成されてある。上記構成とすることによって、縁部7cに押出成形金型が入り込むことによって、起毛ブラシ700の基部7aを押さえ込むと共に、パイル状の繊維等からなるブラシ部7bに樹脂が流れ込まないようにしている。さらに、溝部12の両側のロータつかみ部10bが位置決めとなり、ロータ11と清掃体7との位置がずれることなく、精度のよい回転ロータ31を大量生産することができる。
【0024】
図5は、本発明に係る回転ロータの第3実施形態を示す断面図である。回転ロータ32は、起毛ブラシ700の根元部が縁部7cにより狭持されていると共に、縁部7cがロータ12の外表面にたいして所定長さ突出して形成されてある。このように構成することによって、起毛ブラシ700は、この起毛ブラシ700の基部7aが布地で形成された基布で構成されている場合には、押出成形時にロータ12を構成する溶融された樹脂が基部7aの細かな空隙部に入り込み、確実に固定される。また、起毛ブラシ700の基部7aが樹脂、合成ゴム等で形成されている場合には、押出成形時にロータ12を構成する溶融された樹脂が、基部7aの一部にたいして溶け込み、確実に固定される。また、樹脂等の基部7aの外表面に凹凸を形成した場合には、押出成形時にロータ12を構成する溶融された樹脂が凹凸面に入り込み、確実に固定される。また、清掃体7が床面等を回転しながら清掃する際に生じる衝撃力によってロータ12と起毛ブラシ700の縁部7cとが分解することを防止できる。また、ロータ12と起毛ブラシ700の縁部7cとが異材質であっても確実に溶融結合することができる。また、起毛ブラシ700の縁部7cを基布で構成すれば、柔軟性に優れているので押出成形時の螺旋形状の形成が容易にでき、ロータ12との同一形状性に優れている。さらに、起毛ブラシ700の根元部が縁部7cによって挟時されているので、押出成形時にロータ12の一部が起毛ブラシ700の根元部に入り込み、起毛ブラシ700のブラシ部7bを硬化させて、屈曲性を阻害させることを防ぐことができる。
【0025】
図6は、押出成形の一例を示す模式図である。この図に示すように、押出金型13より、ストレート溝10cを有するロータ10が押出されると、このロータ10のストレート溝10cに清掃体7、8が挿入されつつ、捩り矯正治具(サイディング)14に挿入される。捩り矯正治具(サイディング)14を通過すると、ロータ10と清掃体7、8とが一体化され、且つ、上述したストレート溝10cが螺旋溝10dとなるように、ロータ10と清掃体7、8とは、一端から他端に亘って螺旋状に形成された回転ロータ30となるのである。
【0026】
図7(a)は、本発明に係る電気掃除機用吸込具の斜視図であり、図7(b)は、同底面図である。電気掃除機用吸込具19は、上ケース19aと下ケース19bと、継手管部22とから構成されており、下ケース19bの4箇所にはローラ23が設置されている。そして、図1で示した回転ロータ30は、電気掃除機用吸込具19の吸込口24に設置される。電気掃除機用吸込具19には、モータ20が内蔵されており、このモータ20と、上述したブラケットのギア96とがベルト21によって連結されて、モータ20の回転と連動して回転ロータ30が回転するようになっている。
【0027】
図8は、本発明に係る回転ロータを各種清掃装置に取り付けた状態を示す斜視図と同断面図である。この図に示すように、本発明に係る回転ロータ30は、上述した電気掃除機用吸込具19だけでなく、各種清掃装置に取り付けることができる。図8に示す清掃装置28は、空気調和機のフィルター27の清掃を行う装置である。フィルター27は、フィルター体27bと押え枠27aとから構成されており、フィルター27又は清掃装置28を可動させ、回転ロータ30を回転させることによって、フィルター体27bに付着した塵埃を回転ロータ30の清掃体7で取り除く構成となっている。そして、取り除かれた塵埃は、管29を経由して吸引装置40へと吸引される。
【0028】
尚、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の実施形態をとることができることは言うまでもない。例えば、清掃体は、ブレード等の形態も採用できる。また、ロータつかみ部の形成箇所、個数等も適宜採用できる。また、清掃装置は上記実施形態以外にも適宜採用できる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明の回転ロータ及び電気掃除機用吸込具は、電気掃除機に組み込まれて各種清掃を行う為に使用される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る回転ロータの斜視図及び同断面図。
【図2】回転ロータの第1実施形態を示す断面図。
【図3】清掃体を起毛ブラシで構成した場合の斜視図。
【図4】回転ロータの第2実施形態を示す断面図。
【図5】回転ロータの第3実施形態を示す断面図。
【図6】押出成形の一例を示す模式図。
【図7】本発明に係る電気掃除機用吸込具の斜視図及び同底面図。
【図8】本発明に係る回転ロータを各種清掃装置に取り付けた状態を示す斜視図及び同断面図。
【符号の説明】
【0031】
7、8 清掃体
7a 基部
7b ブラシ部
7c 縁部
10、11、12 ロータ
10a、10b ロータつかみ部
10c ストレート溝
10d 螺旋溝
30、31、32 回転ロータ
70、700 起毛ブラシ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂で形成された略円筒状のロータと、塵埃を除去する清掃体と、前記ロータの両端に取り付けられる回転駆動用のブラケットとを備え、各種清掃装置に組込まれる回転ロータにおいて、前記ロータと前記清掃体とは、一端から他端に亘って螺旋状に形成されてあると共に、押出成形にて一体的に形成されてあることを特徴とする回転ロータ。
【請求項2】
清掃体は、複数種類を有し、少なくとも一つ以上の前記清掃体は、長尺な基部と、該基部上にパイル状の繊維等からなるブラシ部とを備えた起毛ブラシにて形成されてあることを特徴とする請求項1に記載の回転ロータ。
【請求項3】
清掃体は、長尺な基部と、該基部上にパイル状の繊維等からなるブラシ部とを備えた起毛ブラシにて形成されてあることを特徴とする請求項1に記載の回転ロータ。
【請求項4】
清掃体は、長尺な基部と、該基部上にパイル状の繊維等からなるブラシ部とを備えた起毛ブラシにて形成されてあり、前記起毛ブラシの根元部が前記基部の縁部により狭持されていると共に、前記基部の縁部がロータの外表面にたいして所定長さ突出して形成されてあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転ロータ。
【請求項5】
清掃体は、長尺な基部と、該基部上にパイル状の繊維等からなるブラシ部とを備えた起毛ブラシにて形成されてあり、前記起毛ブラシの根元部の側部近傍に基部の縁部が露出された溝部が形成されてあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転ロータ。
【請求項6】
ロータの外周面に、押出成形時に前記ロータを位置決めする為のロータつかみ部が形成されてあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の回転ロータ。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかの回転ロータを備えた電気掃除機用吸込具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−12080(P2010−12080A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175495(P2008−175495)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】